本日、韓国メディア『中央日報』(日本語版)に、なかなか興味深い記事が掲載されていました。「じつは日米がタッグを組んで韓国のDRAM産業を牽制しようとしているのではないか」、という指摘です。当ウェブサイトでは先月、『鈴置論考「米中代理戦争」と経済焦土化』のなかで、じつは日本の韓国向け輸出管理体制変更の背景には米国がいるのではないかといった仮説を紹介したのですが、これに関連し、韓国メディア『中央日報』(日本語版)になかなか興味深い記事を発見しました。
「海洋勢力」対「大陸勢力」
わが国の経産省が7月1日に『韓国向け輸出管理の運用の見直し』を公表した直後から、韓国政府側はこれを「日本の不当な経済報復だ」、などと強く反発して来ました。
また、マスコミ各社(※)も、「今回の日本の措置は自称元徴用工問題に対する経済報復であり、このままでは日韓両国の対立が取り返しのつかないところにまで行ってしまうだろう」、といった論調で報道してきたように思えます(※韓国メディアだけでなく、日本や外国のメディアも含めて、です)。
ただ、これを「経済報復」と絡めて捉えるのは、あまりにも近視眼的です。
そもそも論として、韓国が地政学的にどういうポジションに位置付けられていて、同国の行動のひとつひとつがどういう意味を持っているのか、という、非常に大きな話と切り離して考えることはできません。
端的に申し上げるならば、重要なポイントは「海洋勢力」と「大陸勢力」のぶつかり合いです。「海洋勢力」は米国、日本などを中心とする自由民主主義国家陣営であり、「大陸勢力」とは中国を中心とする、日米と価値を異にする国々です。
日本が「海洋勢力」に属している点については、もはや論をまたない点ですが、微妙なのは、韓国です。
本来、韓国は日本や米国と同じ「海洋勢力」に所属している体裁の国ですが、現実には中国に近寄ったり、北朝鮮に近寄ったり、と、フラフラしています。
とくに日本に対する態度は酷く、李明博(り・めいはく)政権時代には大統領自身が竹島に不法上陸し、天皇陛下(現在の上皇陛下)を侮辱するなどの発言を行ったほか、後任の朴槿恵(ぼく・きんけい)政権でもさまざまな不法行為が行われました。
そして、昨年秋口以降は、旭日旗騒動を皮切りに、自称元徴用工判決問題やレーダー照射事件、国会議長による天皇陛下侮辱事件や慰安婦財団の解散など、それこそ日韓関係が今すぐ破綻してもおかしくないくらいの行為が仕掛けられているのです。
本質は「米中代理戦争」?
ただ、この「海洋勢力対大陸勢力」という視点については、先月、『鈴置論考「米中代理戦争」と経済焦土化』のなかで紹介した、韓国観察者の鈴置高史氏が『デイリー新潮』に寄稿した『日本に追い詰められた韓国 米国に泣きつくも「中国と手を切れ」と一喝』という論考が参考になります。
鈴置論考の要点は、次のとおりです。
- 日本が打ち出した「対韓輸出管理強化」に伴い、フッ化水素など3品目の輸出が7月4日以降、完全に停止したことで、今後、半導体生産に支障をきたす可能性が出て来た
- 韓国は米国に頼んで日本の措置を撤回させようとしたところ、韓国から泣きつかれた米国が「中国と手を切れ」「インド太平洋戦略に参加しろ」と突き放している
- しかし、韓国は北京からのお叱りがこわくて、この「インド太平洋戦略」から逃げ回っている
- 米中「板挟み」になった文在寅政権は、2017年11月の米韓首脳会談時に代表されるとおり、米国との約束を反故にしてきたが、こうしたムシが良い韓国の態度に米国も堪忍袋の緒が切れた
- 「中国封じ込め」の主戦場が、「海洋」から「技術」、すなわち5Gに切り替わったからだ
- しかし、韓国がファーウェイに売る半導体の両端日本企業と比べ物にならないほど多く、トランプ政権の「ファーウェイ潰し」においそれと参加できない
早い話が、日本の韓国に対する輸出管理の厳格化は、米中貿易戦争の「代理戦争」という意味合いがある、ということです。
日本政府が米国政府の要請を受けてこの措置に踏み切ったのかどうかはわかりませんが、米国政府が現時点に至るまで日本政府に対し本件で沈黙を守っている点から判断すれば、少なくとも米国政府が日本の今回の措置に暗黙の了解を与えていることは明らかでしょう。
中央日報がそれに気づいた?
なぜこの論考のことを持ち出したのかといえば、韓国メディア『中央日報』(日本語版)に本日、こんな記事が掲載されていたからです。
AI時代の核心はDRAM…韓国半導体牽制、日本の後に米国?(1)(2019年08月18日13時14分付 中央日報日本語版より)
AI時代の核心はDRAM…韓国半導体牽制、日本の後に米国?(2)(2019年08月18日13時14分付 中央日報日本語版より)
出オチで恐縮ですが、中央日報にはこんな記述があります。
「半導体専門家らは『世界メモリー半導体戦争の兆しはかねてから見えていた』と話す。日本が経済戦争を挑発し半導体核心素材と部品に先に手を付けながら国際分業体制である『グローバルバリューチェーン』を壊しているのに米国が沈黙を守るのは、米国もこの戦争の一当事者として動いているためではないのか疑うべきという声も出ている。」(下線部は引用者による加工)
ポイントとなる部分はいくつかあるのですが、重要なのは「米国が現在の韓国をどう見ているか」という点です。
「『ミサイルもAIが統制する時代になる時、このAIに大量に投入しなければならない最も重要な半導体は高性能DRAMだ。DRAMを掌握した国がAIも支配することになる可能性が大きい』。ソウル大学材料工学部のファン・チョルソン教授の言葉だ。彼は『AI時代を主導するメモリー半導体覇権を現在のように韓国が握っている状況自体を米国が面白く思っていないだろう』ともした。」
正しくいえば、「メモリーなどの半導体産業を韓国が握っている状況を是正しなければならないと思っている」、ということではないかと思います。
そのうえで、中央日報は「日米が戦略的に手を組む状態のなかで、韓国は後手に回っている」と述べるのですが、正しくは「日米が戦略的に手を組み、韓国を除外している」、ということではないでしょうか。
経済焦土化が目的?
記事のなかで最も重要なポイントは、おそらく次の節でしょう。
「一方、政治的解釈も出ている。ソウル大学メディア情報学科のハン・ギュソプ教授は『今回の半導体事案をめぐる内外のメディアの反応を分析してみると、日本より米国の中国牽制用の心理が多く読み取れる。特にトランプ大統領の行動を見て米国の大統領選挙前に韓国の半導体工場を米国に誘致しようとする意図があるのではないかと考えさせられる』とした。」
いや、米国の本当の目的は、「韓国の半導体工場を米国に誘致する」というよりも、「韓国が世界の半導体需要の半数を供給している状況」を是正することにあるのではないでしょうか。
いつも申し上げていることですが、日韓関係とは、「日本と韓国の関係」だけで論じることができる段階ではなくなっています。その理由は簡単で、日韓関係は日米同盟と米韓同盟の結果、出て来ているだけの代物だからです。
もちろん、韓国が日本に対する態度を改め、真摯に「国際的な条約や約束を守る」「同盟の義務を果たす」といった姿勢を見せるならば、日本としても韓国との関係を考え直す余地が出て来ます。
しかし、韓国が今のまま、日本に対する態度を改めようとしないならば、日本政府としてもあえて積極的に韓国との関係を改善しようとは考えないでしょうし、それどころか、むしろ韓国と友好関係を維持することの「コスト」を強く意識するようになるでしょう。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
日韓関係や米韓同盟の将来がどうなるのかは、現時点ではまだわかりません。
日米両国政府は、口先だけでは「日米韓3ヵ国連携が重要だ」と強調しているからです。
ただ、自然に考えるならば、将来的な日韓断交が避けられないのだとしたら、韓国に重要な産業を残さないというのは基本でしょうし、もっといえば、日米ともに韓国との関係を清算するならば、その前提として韓国を経済的に焦土化しようとするでしょう。
その意味で、日本や米国が韓国とどう向き合うのかについては、半導体産業の中・長期的な動向という側面からも、注目に値すると思う次第です。
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私も経済焦土化作戦には賛成ですね。
韓国のプロパガンダは一流ですので、最終的には残念ですが日本が何かしらの基金を作る形になるしかないと思います。
そうなった時に、韓国側には日本が負担する基金以上の経済的ダメージを与える必要があると考えています。
ちなみに、韓国のプロパガンダはNew York Times,Bloomberg等を読んでいても明らかですね。ほんとうに韓国系の著者が日本批判記事を書いています。
以下サイトでは、Los Angeles Timesの記事について解説していますが、こちらも韓国系の方の韓国よりの記事です。こうやって国際的な世論を集めていく作戦が進行しているのです。
https://haveafunwithenglish.com/englishlearnercheckarticlejapankorea-4-2-328
日本政府は基金をつくる形での決着はつけないと思います。
いままでの例をみても、これは解決にならず、かって日本は非を認めたとして攻撃されます。
一番いいのは、このまま裁判を続けることです。
三菱重工、新日鉄等の資本は韓国にほとんどなく、これらの企業の資産が大きく減ることはありません。
また、裁判に負けても、そのたびごとに韓国に制裁を加えていけばいいと思います。
徴用工が裁判を起こしても、金にならないとすると、追加の訴訟もありません。
当初訴訟が多発するといわれてましたが、日本の強い態度のため、数えるほどしかありません。
この裁判の時効は2年といわれているので、来年の11月には時効を迎えます。
もっとも韓国得意の訴求法で、時効を撤廃するかもしれませんが、このままの措置を続けるべきだと思います。
さらりーまんさま
こんばんは!
唐突な返信で申し訳ありません。。。
NYT は朝日新聞社の傘下です。
NYT に捏造記事を書かせて「NYT によればどうのこうの」という記事を書くのは朝日新聞の常套手段です。
それを、彼の国のメディア(右、左問わず)が「日本メディアによると」と引用し、さらにまた欧州などのメディアまでが捏造記事を引用して指数関数的に増殖させていきます。
さらに言うと、Bloomberg, Reuter は、投資屋の御用メディアなのでますます信用なりません。
日本人は横文字系のメディアに弱いのが寂しい限りです。
プロパガンダが上手い相手に対しては、無言の実力行使が最も効果的ではないでしょうか。
国際会議で日本を非難する都度に制裁の矢を放つ。
協議は一切応じず、韓国に対しては説明もなし。
話し合えば分かるという幻想を捨て、ただ黙って矢を放ち続けるのが、ストーカー国家に対して最も有効だと思います。
ただし、諸外国へは理由を丁寧に説明し、支援や優遇措置を適応する。
韓国だけ、あからさまに扱いを差別化し、孤立化させるくらいが丁度良い、そう考えます。
アメリカ政府と親密だったが、敵対した国、
例えば、キューバ、ベトナム(南ベトナム)、イラン、イラク
国自体無くなるか、長期経済低迷している
南ベトナムは存在してる間、常に北より人口も、GDPでも上だった
またアメリカの膨大な援助により、スペック上は精強な100万人の軍隊を誇っていた
なので、韓国の国力が北に対し圧倒的でも、内部から浸透されれば落城する
しかし私はベトナムの様に、北朝鮮が南を併合するとは思えない
連邦構想も金正恩は乗り気とは思えない
共産主義国家らしく、今やってる様に南上層部に浸透工作を行い傀儡化したいのだろう
そして南を利用するだけ利用する。北朝鮮は今後も鎖国で聖域化のまま
北朝鮮は中国とアメリカの間のバランス外交でサバイバルしたいのだろう
トランプと金正恩の奇妙な友情?はそういう事なのだろう
「軍事は意志と能力で見よ」と言うが、表立って金正恩やトランプが言う筈は無いが、
北京や天津は北朝鮮のミサイル射程内である。意志はいつでも変わり得る
ミサイルの照準はいつでもすぐに変更できる
だから冷戦後期のアメリカ+中共⇔ソ連の関係の様に、アメリカ+北朝鮮⇔中国という構図になり得る
↓下の回の後編の最後の言葉で、鈴置氏が「誰も言わないし誰も書かないが、
アメリカが中国経済を潰そうとしてるのと同じ様に、
日本政府(の集合的無意識の様なもの)では、韓国経済を潰す意志があるのだろう
日韓関係問題を日本に都合の良い様に導くには、韓国の国力を落とすしかない
それ以外に韓国がおとなしくなる方法は無い」
という趣旨の事を言っています。さもありなんと思いました。是非ご覧あれ
>8/9 (金)『通貨&株安で韓国激震 「反日」文政権の実情』
>ゲスト:佐藤正久 外務副大臣、真田幸光 愛知淑徳大学教授、鈴置高史 元日本経済新聞編集委員
http://www.bsfuji.tv/primenews/movie/day/d190705_0.html
>8/9 (金)『通貨&株安で韓国激震 「反日」文政権の実情』
>ゲスト:佐藤正久 外務副大臣、真田幸光 愛知淑徳大学教授、鈴置高史 元日本経済新聞編集委員
URLはこちらのようです。
↓
http://www.bsfuji.tv/primenews/movie/day/d190809_0.html
いくら世耕さんが報復や制裁で無いと仰っても、額面通りに受け取る人間は少ないと思います。「信頼できない国とは・・・」というフレーズに、慰安婦・戦時労働者の件が含まれていないとは到底思えません。
かつては「価値観を共有する重要な・・・」と謳われていたことを思えば隔世の感があります。
もちろん米中関係の変化がその裏にあり、日本が好むと好まざるとに関わらず、日韓関係も見直しを必要とする時期に成ったと言う事でしょう。
中・朝・韓などの戦後レジームへの挑戦者VS日米などの戦後レジーム維持派の抗争ということになるでしょうか。
これは形を変えた戦争だと思いますので落しどころはありません。何れかが何れかの価値感に屈服するまでは終わらないと思います。
どういう形で終結するかもよく分かりませんが、始めた戦争は勝たねばならない、というのは第二次大戦の教訓だと思います。
>>米国の本当の目的は、「韓国の半導体工場を米国に誘致する」というよりも、「韓国が世界の半導体需要の半数を供給している状況」を是正することにあるのではないでしょうか。
結論は同じかもしれませんが韓国を通して中国へ先端技術や装置の流失を防ぐ為と私は推察してます、約束を守らない中国、軍事的に押さえ込むのが難しいがこのままにしては置けない、ではどうするのか、経済軍事で圧力を加えるのと先端技術の囲い込みで体力消耗を狙うしか今の処ないのでしょう。
日本もアジア人では有りますが、中国に飲み込まれるのはゴメン被りたいです。
どうも韓国、日本とも今回の半導体3品の輸出管理について誤解があるようです。
フォトレジストについて193n以下となっておりDRAMやSNANDで使用される220ンは対象になっていません。これはサムソンが次期主力といっているシステム半導体に使用されるもので現在は試験用に輸入されているだけです。
フッ素ポリイミドはOLEDに使用されるもので主力の液晶ディスプレイには使用されていません。OLEDはまだ主流ではありません。
エッチングガスについては適正数量の国内消費が確約されれば許可は出ます。韓国政府よ違って企業は約束は守ります。
従って、現時点で言えば韓国の半導体SNAND産業にさしたる影響はないと考えられます。
それにDRAM、SNAMD単体は中国やベトナムに送られマザーボードやメモリボードになってから日本は輸入しますのでさらに影響は少なくなります。
将来はともかく、半導体焦土化なないと思いますがいかがでしょうか。
>>エッチングガスについては適正数量の国内消費が確約されれば許可は出ます。
フッ化水素に付いては3年間の使用報告が成さなければ韓国には許可が出ないと理解していたのですが私の認識が間違っていたようですね。
私も、フッ化水素については過去3年間の調達実績が必要だと理解しています。
過去3年間の調達実績の根拠が用意できない業者は、許可されないと思います。
---
「輸出貿易管理令の運用について」等の一部を改正する通達について
https://www.meti.go.jp/policy/anpo/law_document/tutatu/190701_gaiyo.pdf
この文書のフッ化水素の欄にある、「貨物等省令第2条第1項第1号ヘ」の申請様式に、「需要者の当該貨物の調達実績(過去3年間) 」とあります。
経産省・申請書類・窓口一覧(貨物)
https://www.meti.go.jp/policy/anpo/apply09.html
→3項(1)貨物等省令第2条第1項第一号ヘに該当する貨物
→り地域
→提出書類:D1
輸出令別表第1(提出書類:D1)
https://www.meti.go.jp/policy/anpo/kanri/sinsa-unyo/sinnseisyo-tenpsyorui-itiran/tenp24fy/tenpD1.html
→8 貨物の需要者(又はよていされる需要者)の当該貨物の調達実績及び最終製品の生産状況に係る資料
↑ここに、「需要者の当該貨物の調達実績(過去3年間)」とあり、記載要領にも以下の記述があります。
別記1提出書類の記載要領
https://www.meti.go.jp/policy/anpo/kanri/shinseisho/tenpu24fy/bekki1_kisaiyouryou.pdf
(サ)貨物の需要者の当該貨物の調達実績及び最終製品の生産状況に係る資料様式6に従い、貨物の需要者(又は予定される需要者)の当該貨物の調達実績及び最終製品の生産状況(過去3年間)に関する資料を添付すること。
訂正します。
過去3年間の調達実績が必要だと理解しています。
↓
過去3年間の調達実績と最終製品の生産状況が必要だと理解しています。
後者の情報も大きいと思います。
なんちゃん 様
詳細提示有り難うございます。
オールドプログラマ様 あのぅ~
>現時点で言えば韓国の半導体SNAND産業にさしたる影響はないと考えられます。
>将来はともかく、半導体焦土化なないと思いますがいかがでしょうか。
表題の「韓国に対する経済焦土化は半導体産業から?」というのは、半導体不安からという意味じゃありませんかしら?
私、金融には疎いんですが、~不安で資本が引き上げられたり。とかしません?
オールドプログラマ 様
いくつかの切り口があるので、分けて考えたほうが無難です。
まず、三品目の輸出管理については6月末にリーク記事が出て、7月4日から手続きが切り替わってます。
つまり韓国が情報を入手してから手続きの切り替わりまで一週間もありません。
切り替わる前は短期間で輸出可能だったそうなので、手続きにかかる期間の差から、空白期間が発生します。標準処理期間とされているのは90日で、通常は書類上の問題が発生しない限りもっと短期間で許可が得られると言われています。
つまり、7月は輸出が止まっていたと言えないこともありません。
それが最近、経産省が敢えて最初の許可が出たことを公表しました。手続きはだいたい一か月程度だろうと予想されます。
唯一輸出許可が出てないのがフッ化水素で、この品目だけ過去3年分の調達実績と生産状況を添付する必要があります。この書類を韓国企業が出せるのかどうかについて注目されてます。
ただ、過去に瑕疵があったとしても今後の生産計画とのつじつまが合えば許可される可能性もあるので、そこはグレーゾーンです。
韓国が恐れているのは、中国が似たような手続きで恣意的に引き延ばして許可を出さなかったり、嫌な目にあったからでしょう。日本も制裁として恣意的に運用する可能性を恐れていたと考えられます。
三品目の用途はネット上の記事でもいくつか見かけましたが、おっしゃる通りサムスンが立ち上げつつあるファンドリー事業への影響があるだけ(w)で、DRAMやNANDフラッシュへの影響は無さそうです。
逆にそれを狙い撃ちしたんじゃないかと韓国は疑ってます。
フッ化水素酸についても代替が効かないのは高純度のものだけで、影響はほんのわずかとどこかで見た覚えがあります。また、代替可能でも事前評価は必須で、唐突に切り替えろと言われたら現場のエンジニアは苦笑いでしょう。
ちなみに、液晶は中国生産の立ち上がりによって利益が得られなくなりつつあり、OLED生産にシフトしつつあるという話を見たことがあります。中国での大型パネルもサンプル出荷までいったようです。
> 過去に瑕疵があったとしても今後の生産計画とのつじつまが合えば許可される可能性もあるので、そこはグレーゾーンです。
仰る通りの可能性はあるかも知れませんが、過去に悪意や犯罪行為等があれば、許可迄に一悶着あって不思議ではないので、韓国が内心心配しているのはこちらの方でしょう。
韓国とて馬鹿じゃないので、過去が瑕疵程度で済む様な案件に絞って当面申請して来るでしょう。次第に、より黒に近い灰色を申請して、日本側の閾値を値踏みする攻防が続くのでは?
墺を見倣え 様
日本の立場としては、過去の情報でつじつまが合わない場合でも一応は輸出許可を出して、粛々と過去3年分の実績データを入手しようとしている可能性もあります。
実際に瑕疵がある場合には時間を掛けて詳細情報を引き出して、それを将来なんらかの材料に使う、ということも可能だと思います。
韓国は調子に乗ってどんどん黒い情報を出してくれれば日本にとってもメリットがあるのでは。
おっと、書いてる最中に間違って送信してしまいました。続きです。
> 逆にそれを狙い撃ちしたんじゃないかと韓国は疑ってます。
半導体も液晶も、被害(と言えるか?)が出るのは、韓国が捕らぬ狸の皮算用している部分です。
皮算用なので、韓国側が被害を立証するのは容易ではない。(将来得られると目論んでいた利益の、目論みが外れるだけだから。)
> 影響はほんのわずかとどこかで見た覚えがあります。
実績ある部分には、日本の措置は殆ど影響しない。
マスゴミだけでなく、本ブログのコメンテータの中にも「大問題です。」と大騒ぎしていた人は居たが。
実績ある部分は、中国が侵食してくれるので、日本が手を出す必要すらない。
P.S.
半導体に関しては、サムスンのボンボンが大枚はたいて買い占めた半導体製造装置が、失敗作かも知れないと噂される位出来が悪い様なので、判断するにはまだまだ時期尚早だが、日本の措置は特に必要なかった可能性もある。(要するに、日本が何もしなかったとしても、自滅してくれる可能性あり。)
>サムスンのボンボンが大枚はたいて買い占めた半導体製造装置が、失敗作かも知れないと噂される位出来が悪い
これってNXE:3400Bの話ですか?
特にSamsungの7nm EUVが不調だという話は聞かないのですが。
>中国が侵食してくれる
私は本当の敵は中国だと思っているので、中国が侵食する様を傍観するしかないのは歯がゆいですが。
EUVに関しては、以下の記事を見ると、装置に問題があって手間取ってるという感じのスケジュールではありません。
https://japanese.joins.com/article/273/255273.html
TSMCの生産がひっ迫している状況から言っても、もしサムスンのファウンドリー事業がうまくいったら、巨額の利益を生み出しそうな気がしています。
今のタイミングはTSMCの増産が間に合わず、サムスンの生産開始直前なので、客観的に見れば狙ってる言われても否定できません。
御照会の記事で触れているのは、「計画」だけで、「進捗」には触れてないので、
> 感じのスケジュールではありません。
と仰るのも解らないではないですが、これは、どこに原因が{日本と無関係な原因で)あっても、全て日本のせいだと責任転嫁する為の布石でしかない様な気がします。
>> 判断するにはまだまだ時期尚早だ
と書いた様に、今後どう転ぶか判りません。
装置の保守契約でかなり救済(回避)されると思いますが、購入契約以降に登場した(するであろう)新部品・新素材迄保守契約でカバーされるのか不明です。
現時点では、試作は問題なくても、量産の黒字化は見通せていないだろう。
尤も、同社の歴史は赤字量産する事でライバル社を潰して来た歴史なので、伝統に忠実とも考えられ、どうなるか判りません。かなりリスキーなギャンブルであろう事の確度は上がった様だ。
P.S.
日本に飛んで来て金融関係者と会いまくった事と関係あるカモ。
墺を見倣え 様
異なる視点の意見が聞けて非常に有益な場になりました。
ありがとうございます。
私が理解している内容は、去年末にサムスンがEUVのプロセス開発を終わらせたと公式アナウンスしたことから、試作品の生産は可能な状況にあるだろうということです。
おっしゃる通り、量産時の稼働率、歩留まり等がどうなるかわからないという点は同意です。もっとも、どの企業にとっても当たれば大儲け、外れれば大損というギャンブルなのは変わりありませんが。
韓国は5Gの件があるので、やらかしている可能性についてはあると思います。
しかし、機密なので当然かもしれませんが、どうも表面的にはうまくいっているように見せていますよね。それで、うまくいっている可能性が高い、と思っていました。
これからは、危ないかも、という視点も持つようにしますw
>墺を見倣えさま
https://wccftech.com/samsung-7nm-euv-volume-produce/
この記事を見る限り、生産上の問題は(レジストの入手というのは別にして)なにもないと思うのですが、反証になる記事を紹介してくれませんか?
昔から、半導体製造装置購入時の悩みは、購入後に、新部品や新素材等が登場する事です。
まあ、力関係からそれを見越した保守契約をしているカモ知れませんし。
華城工場は、試作から歩留研究迄(半量産迄)の位置付けで、本命は西安工場カモ知れませんし。
どっちにどう転ぶか全然判らない状況です。
技術の流れを読んでいる技術者には或程度見通せる状況でも、文系記者が気付くにはまだまだ時間がかかるのではありませんか?
また、文系記者が「どっち転ぶか判らない」という記事原稿を書いても、デスクが通らない可能性も大でしょう、結局、どっちに転ぶか文系記者にも大勢が見える様になるまで、その様な記事は登場しないカモ知れません。
だから、今の処提灯記事でも、「量産に向けて一歩進んだ」程度の書き方で、「量産したら黒字が出る」という記事は見当りません。
また、日本に関係のない話迄「悪いのは全て日本のせい」と責任転嫁されてはかなわんので、
「日本がフォトレジスト2件目の韓国輸出を許可、サムスン電子が6か月分の物量を追加確保」
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2019/08/20/2019082080006.html
なんて記事が出てます。(十分予想された事ですが)
日本としては必要ない規制はしないのでしょう。
なるほど。現行向けではなく、より精細な加工向けの製品が対象なのですね。
確かにこれはかなりキタナイやり方(誉め言葉)ですね。
試作用のレジストということは、これがないと試作ができない。
→よりよい歩止まりを得られるパラメタ(温度とか湿度とか)が探れない。
→量産がそれだけ遅れる。
→韓国がユーザ(半導体を購入するトコロ)にサンプル提供できる時期が遅れる。
→ユーザは販売開始を遅らせるわけにいかないから、他社からの供給を検討する。
これが、既存のサプライチェーンには影響を与えないようにしつつ、今後カネを稼げる事業をつぶすということを実現するのであれば、なかなか鬼蓄な対応ですね。
まさしく、韓国焦土化に向けて一直線な印象です。
サムソンの副会長について、こちらのコメント主様には、英邁な人物だとおっしゃる方もみえるのですが、私にはそう思えない。
英邁な人物が、米中経済戦争が噂されているなか、中国に半導体工場を作ったりしますかしら?
第一に文在寅政権が反日の狼煙をあげた時点で、半導体企業のトップであれば、今日の状況は予測できたはずです。アメリカは文在寅政権の韓国をとうの昔に見限っています。文在寅政権ではなくサムソンにアメリカが直接声を掛けたと聞いていますが、その時点で決断できなかった彼は、英邁どころか愚鈍な人物ではありませんかね。決断の遅れたサムソンは、亡国の韓国と運命を共にするしか、道が残されていません。
サムソンの中国工場は、米中貿易戦争の前から始まっていました。最大の顧客の国に工場を作り、製造するのは、自然な事でしょう。
また、自動車用の蓄電池は、中国メーカーに補助金が与えられて、韓国メーカーは競争に参加するにハンデとなりました。
中国は、韓国メーカーの技術を盗むためにも、国内に工場を作れと圧力をかけたと思います。
李在鎔三星グループ副会長は韓国内での評判は高くないです。彼よりも長女の李富眞ホテル新羅社長の方が優れているとの話しです。
以前にも書いたのですが、現在の三星グループが凄いのは李一族が優れているのではなく、三星グループの経営戦略室の面々が凄いのです。
駄文にて失礼します。
アメリカが、今の韓国の半導体シェアが高いことを、安全保障上の問題として、20時の日米首脳会談で合意し、日本が直後に3製品の輸出規制をかけたと考えれは、辻褄は合いそうですね。
アメリカが、そう判断した理由としては、ファーウェイに対する輸出規制を、韓国政府が断った為ではないかと思っています。
米中貿易戦争で、アメリカ側に付かなかった、お仕置きなのかもしれません。
ここで日米共に、韓国経済が悪化しても、手助け(スワップ)をする気が、無いであろう事が推察されます。
韓国は、この前から、国内経済、米中貿易戦争の煽りで、既に悪化が避けられない状態だったと思います。
本格的な悪化のタイミングとしては、日本が韓国をホワイト国から除外した辺りではないでしょうか。
この時に沈んだ船に水が流れ込み始めたような状態で、最終的には、韓国が一番弱い金融から、沈没するんじゃないかと、思っています。
韓国半導体産業の焦土化ですがもちろんフッ化水素など3品目だけでは限定的です。
今始まっている流れとして米国市場から問題のあるとされる中国企業の上場外しや取引禁止の範囲が広がる傾向があります。
これに韓国企業も範疇に入ってしまうことは現状となれば否定できない可能性です。
韓国の位置するサプライチェーンの上流だけでなく下流でも流れを切ってしまうことを考えているのではないかと思います。去る時は武器は敵に渡さない。これは常識です。
以前トランプ政権にマチスさんがいたころそれは必死に反対されていたことでしょう。
あくまで勝手な想像に過ぎませんがマチスさんが政権を去るきっかけのひとつ(韓国政策既定路線)になっていた可能性はあります。
独断と偏見かもしれないと、お断りしてコメントさせていただきます。
韓国メディアが、「日本の対韓国輸出審査を強化したのは、米中貿易摩
擦の代理戦争である」という可能性を指摘したということは、今後、韓国
政府が、「日本に、韓国へのホワイト国除外を撤回させる」ためにも、日
本政府に圧力をかけるのではなく、トランプ大統領との間で、合意するよ
うに、方針転換をすると思うのですが。(もし、米中貿易摩擦の代理戦争
なら、日本だけでは、韓国へのホワイト国除外を撤回したくても、撤回で
きないことになります)
もっとも、(韓国の)文大統領のことですから、米韓で合意しても(日
本が)ホワイト国除外を撤回した瞬間に、米韓の合意を破棄する可能性も
ありますが。
駄文にて失礼しました。
今回の輸出手続きの厳格化と、自称徴用工判決との直接の関連はないと理解しています。仮に、韓国政府が判決に反して、韓国自体が賠償金を払うといい、実際に支払いを完了したとしても、武器転用可能な物資の適切な管理を怠った事実は変わらないですし、それだけで、ホワイト国に戻したとしたら、西側諸国から反発されるのではないでしょうか。
個別審査に移行し、何年か経過して、管理体制に問題がないことを確認し、かつ、韓国が西側諸国の一員として共産国に対して、厳しい態度で臨むようになって初めて、再度検討する、というレベルの話ではないでしょうか。
まあ、慰安婦財団の解散や、自称徴用工判決があって、今ならリストから外してもいいと判断した材料にはなったと思いますが。
日本は華麗にスルーしていけばいいし、また差し押さえから、現金化に進んだとしたら、そこでこそ国際法違反状態の解決の意思なしとして、金融制裁でもしたらいいと思います。
その上、GSOMIAの延長をやめたりしたら、本当に共産側の国になって、中国、北朝鮮、あとロシアに金をむしり取られ、港を奪われ、国民の生活が疲弊し、難民流出という恐ろしい展開になると思います。
そんな展開になったとして、日本が断固とした対応ができるかが気がかりですね。