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「報復合戦」を韓国側がお望みならば、それもひとつの手だ

本日の「速報」です。ちょっと看過できない記事が出て来ました。韓国の康京和(こう・きょうわ)外交部長官(※外相に相当)が25日、韓国国会で、もし自称元徴用工問題で日本からの報復措置が発動された場合には、その「日本の報復には黙っていない」、などと発言したそうです。正直、ここまで来ると、この康京和氏という人物の、外交に携わる最高責任者としての能力以前に、何か根本的な思慮のなさを感じてしまうのです。

韓国外相が「日本の報復に黙っていない」

黙って座っていれば、あちらから勝手にネタが落ちて来るというのも凄い話です。

韓国の康京和(こう・きょうわ)外交部長官(※外相に相当)は25日、韓国国会で自称元徴用工問題に関し、日本が何らかの報復措置を取った場合には「(韓国政府も)黙っているわけにはいかない」との立場を明らかにしたそうです。

ここでは韓国メディア『中央日報』と『聯合ニュース』(※いずれも日本語版)の報道をもとに、やり取りを再現しておきましょう。

韓国外交長官「日本の報復性対応あれば黙っていない」(2019年06月25日15時11分付 中央日報日本語版より)
日本が報復措置取れば「黙っているわけにはいかない」 韓国外相(2019.06.25 14:17付 聯合ニュース日本語版より)

この発言は、韓国国会「外交統一委員会全体会議」で「自由韓国党」の兪奇濬(ゆ・きしゅん)議員の質問に対して康京和氏が答弁したものです。

兪奇濬氏は昨年10月30日に大法院(※最高裁に相当)で敗訴した新日鐵住金(現・日本製鉄)が保有する「浦項製鉄の株式」(※中央日報)を巡り、その売却が強制執行されれば「日本の報復が憂慮される」と質問。これに対して康京和氏は「日本が報復措置を取れば、それに黙っていることはできない」と述べたのだとか。

(※もっとも、この下りは「浦項製鉄の株式」ではなく、「浦項製鉄との合弁会社であるPNRの株式」の間違いだと思いますが、いちおう、中央日報の原文どおりに転載しています。)

これに対し兪奇濬氏は、今度は「では、日本と外交戦争をする気か、そのような答弁をしても良いのか」などと再質問したところ、康京和氏は「状況の悪化を防止しなければならないという脈絡で申し上げた」「日本の当局にもそのように話している」などと答弁した、ということです。

「では、いったいどうする気ですか?」

この康京和氏という人物の発言を巡って、以前からずっと気になっているのですが、彼女の発言は総じてなんらら具体性もなく、歯切れも今ひとつです。

文在寅(ぶん・ざいいん)政権下では、労働活動上がりの一部の政権幹部のみが外交方針などを決めていて、むしろ康京和氏には、事実上、なんら決定権も実権も渡されていないのではないか、と思うことが多々あります。

康京和氏の経歴を調べてみると、彼女はもともとテレビ局のアナウンサーだったのだそうですが、英語力を生かして金大中(きん・だいちゅう)政権下で通訳に抜擢され、そこから政界入りした、という人物であるようです。

まことに失礼ながら、「外交官としての能力」ではなく、「通訳としての能力」が評価されて、外交部長官に抜擢されてしまった、というのが正しい気がします。事実、漏れ伝わる彼女の発言を見ても、外交どころかビジネスのことすらよく理解していないのではないかと感じることが多々あるからです。

この「黙っていない」発言も、何か深い考えから出て来たものというよりは、たんに「よく考えていなくて、口が滑ってしまった」、という方が正しい気がします。したがって、この問題は「韓国外相が日本の報復に際報復すると発言した!」などと大々的に問題視して取り上げるべき筋合いのものとは言えないでしょう。

報復合戦?それも悪くない

もっとも、正直にいえば、日韓間で「報復合戦」が生じることは、必ずしも悪いことではありません。

今までの日韓関係においては、ともすれば、日本側に「何とか穏便に済ませましょう」、といった発想がありました。相手が怒っていれば、自分に何も悪い部分がなかったとしても、「とりあえず謝っておけば良い」、という発想だと考えても良いでしょう。

何らかの手違いがあったときに、とりあえず「誤解を招く表現で申し訳ございませんでした」などと謝っておこう、という判断は、一般に日本のビジネス社会ではしばしばみられるものです(とくに消費者向けビジネスの世界では、「お客様は神様」とばかりにこうした発想をする人が多いようです)。

ただ、「悪いことをしていないのに謝る」というのは、「相手のメンツを立てることで、トラブルを穏便に済ませる」という効果を期待してのことと思われますが、これが通用するのは、「メンツを立ててもらったらそこで満足する」という相手だけです。

こうした「穏便に済ませましょう」という発想を逆手に取り続けてきたのが韓国です。下手に少しでも謝ってしまったら、「ほら、お前たちは罪を認めたな!」「もっと謝れ!」「もっと謝れ!」とばかりに、どんどんと付け込まれ、その結果、関係が破綻するまで無制限に謝り続けることになるのです。

もちろん、今日、日韓関係が破綻の危機に瀕している原因が、韓国の国を挙げた不法行為にあることは間違いありませんが、日韓関係破綻の遠因を作ったという意味では、日本側のこうした「事なかれ主義的に謝ってしまう」という態度にあったという側面も否定できないのではないでしょうか。

もちろん、今すぐに日韓関係が破綻すれば、短期的には私たち日本にとっては甚大な影響が出て来ますので、これは何としても避けなければなりません。

ただし、この「今すぐ」をもう少し正確にいえば、日韓関係の破綻を避けねばならないのは、「日米同盟と米韓同盟が同時に存在しているうちは」、ということでもあります。逆に言えば、米韓同盟が消滅してしまえば、現在の日韓関係が存続する必然性はなくなります。

つまり、「現在の日韓関係が永続する」という前提を無条件に置く必要はない、ということでもありますし、むしろ「朝鮮半島の全域が軍事的に敵対する地域になる」という、日本の安全保障にとっては最悪の事態についても、そろそろ想定する必要があることも事実です。

このように考えていくと、まず経済分野から日韓関係がなし崩しに悪化し、報復合戦に至るというのは、決して悪い話ではありません。

日韓関係は経済関係と防衛関係がありますが、このうち形だけでも良いので防衛協力を維持していれば(あるいは少なくとも軍事的対立に持ち込まなければ)、経済関係が先行して破綻しても構わないと思うのです。

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

ところで、本日の夕方、この「康京和発言」よりも、はるかに取り上げる価値のある論考を発見しました。

G20直前、金正恩がもらって小躍りした「トランプ親書」の中身は?(2019年6月25日付 デイリー新潮より)

私が「大ファンだ」と公言する、韓国観察者・鈴置高史氏の最新論考で、鈴置氏にしては珍しい「推測ネタ」ですが、そこらの「推測ネタ」とは違って、鈴置論考を改めて確認し、すっきりと頭の整理に使うことができる、優れた記事でもあります。

ただし、こちらの話題については、取り上げるのに少々時間がかかりますので、申し訳ないのですが、当ウェブサイトとしては改めて取り上げさせていただくことにします。

新宿会計士:

View Comments (19)

  • 日本に「報復するとは言っていない」と言わせたかったのかも。
    スルーが一番かと。

  • この人パッと見は聡明なご婦人に見えるけど中身はどうしようもないポンコツですよね・・・

    • 匿名様

      文大統領も黙っていれば有能かつ温厚そうに見えると思うのですが、中身はみなさんご存じの通り。
      勇将の下に弱卒無し、ということでしょうか。

    • 正直言って、私も康京和外交部長官の見た目はよいと思います。文在寅大統領も見た目は温厚そうな老人です。
      きっと、本当に中身も良い人なのでしょう。彼は多分本当に善人ですよ。
      ただ、人が良いことと、政治家として良いかどうかは全く別で時には逆にもなりますよね。
      彼は誰に対しても良い人でありたくて、結果的に誰にとっても悪い人になってるのでしょう。

      康京和外交部部長も同様だと思います。官吏としては優秀そうですけど、やはり政治家の能力としてはかなり疑問ですね。めたぼーんさんがおっしゃるように、そもそも権限がないのかもしれませんけど。

      私の個人的な好みで言えば、安倍さんの見た目は普通。河野外務大臣も普通。麻生さんの見た目は別の意味で良いですね。いい味した顔つきです。彼は政治家としても類稀な何かをもってますね。理屈を超えたセンスと言うか。
      麻生内閣が短命に終わったのは本当に残念です。

      話がそれました。

  • 報復合戦ですか (´Д`)ハァ…

    日本から韓国に求めてるのって、「約束を守れ」ってことだけで、これは、約束を守れないとことはまともに付き合えないってことなんだと思います

    韓国が約束を守れるようになれば、一番いいのですが、その可能性は低そうなので、取り敢えずほっときます

    で、まともになれずに、報復合戦がはじまると、互いの交流が減ってくだろうけど、これはこれで「約束も守れない韓国とは付き合わない」って状況だから、日本としては、最善ではないけど、まぁ仕方のないというか予想された結果でしかないのでしょうか♪

    まぁ自称の原告団もやるやる詐欺してるっぽくて、損害賠償請求からの合戦開始にはもちょっと時間がかかりそうだから、その前に別名目の小競合いが起こるのかもしれませんね 

  • 「黙っていない」ってのは、例の如くおカド違いの文句を言う事ではないかと…

    日本の無慈悲な“報復”で、二度と日本に逆らわないと肝に刻んでヤらねばと強く思うのですがね。

  • 外交部長官は、文氏の使いっ走り程度の仕事しかしていないし、出来ない立場と思いますので、まともに受け止める理由は無いかと。仕事と言えば文氏夫妻の海外旅行の通訳か、ひとり飯の相手か、何故か国民の海外旅行先での事故の陣頭指揮に、何のノウハウも無いのに、相手国を嗾けるためだけに行かされると言うレベル。信頼関係がある国なら、電話で依頼をして、部下と救助隊を生かせれば済んだはずですけどね。

  • >韓国外相が「日本の報復に黙っていない」

    どうぞどうぞ。(笑)
    韓国政府のネタは、どうしてもダチョウ倶楽部ネタにつながっちゃいます。

    6/18の参議院の外交防衛委員会、宇都議員は宣言通り、岩屋大臣に質問したようです。
    ---
    【宇都隆史】6.18 参議院外交防衛委員会質問[桜R1/6/20]
    https://www.nicovideo.jp/watch/so35287540

    3分30秒あたりから
    ---
    映像だとまどろっこしいんですが、議事録がまだ出てませんでした。
    まあ、宇都議員、怒ってました。(笑)

    官邸のストップがあったかどうかに関してはそもそも質問での言及無し。

    岩屋大臣は「CUSEを遵守していこうとの認識の一致を見た」
    宇都議員は「レーダー照射を今後行わないという確認は何も取れていない」

    岩屋大臣の発言は曖昧な表現が多かったんですが、棚上げ・密室合意したんだろうなーという匂いがプンプンしました。
    隊員の安全を預かる防衛相の立場として、直近の安全確保のために棚上げの判断はまあ、ありかと思います。

    ただ、会談のやり方や、流し方のマズさはどうしようもないですね。
    岩屋大臣自身はマズいと思ってないって言ったんですが、仮にそう思ったとしても絶対認めないって雰囲気でした。
    無謬性第一って感じ。

    至って普通にあり得る反応ですが、ちょっと心に響かないです。
    次の防衛相は別の人になるんじゃないかと思います。

  • 良い機会ですから、中国を見習って、棒を使って躾けをしましょう。
    少々の不利益なんぞは、これから発生するかもしれない損害を考えれば、安いものだと思います。

    自分の愚かさが、高くつくことを分からせないといけません。

  • カン・ギョンファ外交部長官は、『対日最終兵器』であります。日本に対する最終兵器として、ムン・ジェインから厚い期待を受けて入閣しました。
    もちろん、まだまだ本気を見せておりませんし、これから徐々に本気を見せていくのでしょう。
    『最終兵器彼女』では、ヒロインは札幌の街を破壊しながら、徐々に人間離れして鋼鉄のマシンへと変化していきます。カン・ギョンファもきっと人間離れした能力を示して、日本を恐怖に落としこむのでしょう…(冗談です…)

    真剣に言いますと、カン・ギョンファの能力はキム・ジョンウンからムン・ジェインに伝えられた内容を英語に翻訳して世界に伝えられればそれでいいのでしょう。それ以上の能力は期待されていないし、それ以外は余分なものでしょう。

  • *米が米韓(日)同盟は大事とおべんちゃらでも言わなくなった時が韓国が崩壊する日。
    *韓国は自爆弾絶賛蓄積中。

    シンシアリさんより

    「米国は紛争海域で中国が影響力を拡大することに抗議する意味で、韓国に南シナ海に軍艦を送ってほしいと要請したが、韓国政府は北朝鮮の脅威に国防力を集中しなければならないという理由で、これを拒否した」

    「朝鮮戦争が起きた日(25日)なのに、大統領のコメントとか、そんなもの何もありませんね」

    楽韓さんより

    「安倍晋三首相は28、29日に大阪で開かれる20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)に合わせ、少なくとも計19カ国・機関の首脳と会談する」

    「印象操作というのは言いすぎかもしれませんが、数字のマジックをうまく使っている感じがします。
    「日本が韓国を除け者にした」という印象が見事なくらいに残りますよね。
    日本が目指そうとしている方向性というものがよく理解できるのではないでしょうか。」

    • **追加:対韓米同盟自爆弾

      在韓米大使館に車が突っ込む、男を逮捕 カセットボンベ積載

      6/25(火) 22:56配信

      AFP=時事

      ハリスさーん、在韓米軍撤退の目途がついたら、日本でご休憩くださいまし。

  • 「黙ってない」って、報復ではなくて、文字どおり口を使って抗議するだけかもしれませんけどね。
    さておき、報復合戦になるとある意味、日本のほうが分が悪いと思うんですよね。
    なぜなら、なんせ相手は自国の国益度外視なんですからそりゃ強い。いっぽう日本は国益を考える政府と健全な民意というのがありますから。
    どうなりますやら。

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