以前、『日本企業に最大2兆円の損害?絶対折れてはならない理由とは』のなかで、韓国側で徴用工判決が出たことを受け、日本企業を続々と訴えるという動きが出ているのではないかと申し上げましたが、これについては何となく、狙いが見えてきた気がします。端的に言えば、日本に対しては「ツートラック」を掲げながら、慰安婦や徴用工などの歴史を徹底的に政治問題化することで永遠に日本を揺さぶり、精神的にも経済的にも優位に立つ、という、極めて卑劣なやりかたです。こんなやり方を、絶対に許してはなりません。
未来志向のツートラック
今さら「未来志向」と言われても、正直、困ります。
未来志向の対日関係強調=歴史問題と分離-韓国高官(2019年04月04日22時01分付 時事通信より)
時事通信によると、韓国大統領府の盧英敏(ろ・えいびん)秘書室長は4日、韓国国会委員会の答弁で、次のように述べたのだとか。
「両国間の不幸な歴史問題の賢明な解決を模索する一方、経済や社会、文化、人的交流などすべての分野での協力を積極的に進めていく立場だ」。
この「歴史問題と未来志向を分けて考える」という韓国国内の発想を、一般に「ツートラック」と呼ぶようです。ただ、ここでわかりにくいのは、なぜわざわざ韓国大統領府の秘書室長が、この「ツートラック」に言及しているのか、という点です。
これは私自身の見方ですが、『どうせ「未来志向に基づく日韓対等の関係」が成立しないなら…』などでも申し上げてきたとおり、どうも韓国国内には、同じ反日でも「用日派」と「純粋反日派」がいるように思えます。
このうち「用日派」とは、韓国が日本に精神的優位性を保つために歴史問題を悪用しつつ、日本からの経済面、産業面での協力を引き出すために未来志向を悪用する、という、「歴史と未来のツートラック」的な考え方に立つ勢力です。
一方で「純粋反日派」とは、日本をひたすら敵視し、日本との関係を破壊することもためらわないような勢力のことですが、「用日派」と異なり、そこまで極端な「ツートラック」嗜好はありません。
そして、現在の文在寅(ぶん・ざいいん)韓国大統領の支持基盤は「用日派」ではなく「純粋反日派」であり、おもに韓国国内の「用日派」(あるいは保守派)からは、「文在寅政権は『ツートラック』の姿勢が足りない」、と批判されているほどなのです。
このような文脈から考えていけば、盧室長が「ツートラック」に言及するのも、韓国国内に対する保守派への配慮という意味では、ある意味では当然の話なのかもしれません。
訴訟は相次ぐ:やっぱり「支援団体」がいたのか?
ただ、韓国が日本との関係で、過去と未来を「ツートラック」で分離するつもりであったとしても、わが国はそれを許してはなりません。
こうしたなか、同じく昨日には、こんな報道もありました。
韓国の強制徴用被害者ら 日本企業4社を追加提訴(2019.04.04 15:12付 聯合ニュース日本語版より)
韓国メディア『聯合ニュース』(日本語版)によると、自称元徴用工らの損害賠償訴訟を支援する「民主社会のための弁護士会」(民弁)という団体は4日、原告31人が日本企業4社を相手取り、8件の追加訴訟をソウル地裁に起こしたのだとか。
訴訟を起こされたのは日本製鉄(旧新日鉄住金)、不二越、三菱重工業、日本コークス工業(旧三井鉱山)の4社であり、このうち日本製鉄と三菱重工の2社については、昨年10月30日と11月29日に別件で大法院(※最高裁に相当)の敗訴が確定しています。
おそらく、今回の訴訟も、時間が経てば一審、二審と進み、最終的には大法院で日本企業の敗訴が確定するのでしょう。
それよりも気になるのは、この「民弁」という団体です。
聯合ニュースによれば、「民弁」側は昨年12月に所属弁護士12人で訴訟の弁護団を作り、訴訟の準備を行ってきたのだそうですが、要するに組織的に日本に対して歴史戦を仕掛けるための活動家の一種ではないでしょうか。
韓国側の狙いは「解決」ではなく「徹底した政治問題化」
ところで、昨年の大法院判決などを受けて、新日鐵住金(現・日本製鐵)、三菱重工、不二越の各社は、すでに在韓資産の差し押さえを受けています。
報道によれば、日本製鐵と不二越は韓国の合弁会社の株式、三菱重工は特許権や商標権だそうですが、きわめて不思議なことに、容易に換金できるはずの金銭債権・商事債権(売掛金や貸付金、配当金請求権など)についての差し押さえは行われていません。
つまり、韓国側の原告らは、わざわざ換金困難な資産ばかり選んで差押えを行っているのです。どうも、『日本企業に最大2兆円の損害?絶対折れてはならない理由とは』でも述べたとおり、彼らが「問題の真の解決を望んでおらず、徴用工問題で徹底的に騒ぐことを狙っているからだ」、としか考えられません。
私の仮説は、こうです。
韓国側で差し押さえられた資産は、いずれも、単なる「名義変更の禁止措置」などが取られているだけであり、非上場株式にしろ、商標権・特許権にしろ、強制換金処分がなされない限りは、問題なく使い続けることができます。
実際、日本製鐵の原告団らは差し押さえた合弁会社株式の売却を先送りにする方針を示していますが(『韓国経済に「突然死リスク」があるとすれば「資金ショート」』参照)、このことは彼らが本気で差し押さえた資産の売却を図るつもりがない証拠にほかなりません。
つまり、韓国側の目的は、「強制売却して換金すること」ではなく、「在韓資産を人質にとって、日本企業に徴用工問題の存在を認めさせること」にあるのです。
ゆくゆくは2015年12月の「日韓慰安婦合意」で設立された慰安婦財団と似たような「徴用工財団」を作り、そこに日本企業に資金を拠出させ、数年たってカネが足りなくなったら財団を解散して「日本は反省が足りない!」と騒ぐことまで目に見えています。
静観もわかるが、叩いて躾けるのも大事
これに対し、日本政府側は今のところ静観を決め込んでいるようです。
といっても、以前、『徴用工判決問題に対する仲裁手続移行の遅れ、なぜ?』のなかで申し上げたとおり、日本政府としては日韓請求権協定第3条第2項の「仲裁手続」と、それ以降の国際裁判(国際司法裁判所など)への提訴を視野に入れているのではないかと見ています。
これについては見方がいろいろあるのですが、日本政府が静観を決め込んでいる理由の1つは、「戦略的放置」、すなわち韓国の行動に対して何らリアクションを取らずに放置することで、韓国でどんどんと行動が先鋭化していくのを狙っている、という点にあるのかもしれません。
もちろん、日本政府自身が、今月末と来月初の天皇陛下のご譲位、6月のG20、7月の参議院議員選挙などを視野に入れ、韓国を相手にしている暇がないという事情もあるとは思いますが、ただ、私自身はこの「戦略的放置」論には積極的に賛成できません。
やはり、次の3つの理由から、韓国に対する何らかの経済制裁が必要であると申し上げたいのです。
- 無法国家である韓国がこれ以上、日本に対して不法行為を仕掛けられないよう、叩いて躾ける
- 北朝鮮の核武装を陰に陽に支援している韓国に対し、安全保障という観点から圧迫を加える
- 「核武装した経済大国」の出現を阻止するために、予防的に韓国の産業競争力を大きく削ぎ落とす
いずれにせよ、4月に入ってしまったため、日本政府としては韓国に対して確固たる対応を取り辛いという事情はあるのかもしれませんが、むしろ、日本政府がどのような姿勢を示すかについては、私としては注目せざるを得ないのです。
View Comments (26)
韓国、北朝鮮、総連、民団、海外で遠征売春婦像を建立している団体や旭日旗に似た模様を排斥している団体を誣告罪で国際的な司法の場に引き出す方策が無いのでしょうか?
ついでに自称元慰安婦とか言う「従軍遠征売春婦」の団体や元徴用工とか言う「朝鮮人出稼ぎ労働者」訴訟の原告団も誣告罪で提訴して、朝鮮が歴史的売春婦輸出国である事も世界に暴露出来たらと日々考えます。
まったくもってお説のとおりだと思います。「民弁」、彼らはガチガチの反日・親北活動家であり、若いが主流をなす連中でしょう。正義ぶって、本邦からカネを巻き上げようとしていますが、これまで我が国から如何に多額の資金が、数々の犯罪・違法な行為によって、北の核、生物化学兵器の開発、整備に使われてきたことか。人類に惨禍をもたらす虞が大いにあるのに、その北を幇助する連中でもある。彼らもまた、罪深く、人道に対する罪を担うことになるのではないでしょうか。心の中に、恨みと残虐性を備えています。
一国民様
韓国の労組というのは、会社を潰しても、国を傾けても、自分たちの意を通す。と聞いています。ガン細胞のようですね。
今回、こちらで取り上げられた「民弁」という団体も、そのような組織のように思われます。これが、韓国国民の民度なのでしょう。
保守政権は、対処療法で、彼らを押さえていたのでしょうが、文在寅政権は、何もしませんね。
韓国という国は、余命何ヶ月なのでしょう。
韓国は徴用工、慰安婦問題を半永久的に解決する気はないでしょう。
解決したら最後、道徳的優位もなくなる。
北朝鮮にとっての核と同じですね。
易地思之だっけ?彼らの自己都合優先を表した国民性を指しているのは。それが真実なら韓国人と話す必要などないし、少しでもこちらが勘案するべきではない。そう思うと日韓議連は今まで何をやっていたのか疑問だらけだな。相手の文化や民族性に対する分析もせずに日本と同じなどと子供じみた発想で付き合っていたんだろうよ。馬鹿の老人ばかりだったな。もう政治の世界から去れよ。
それにしてもツートラックなんぞ何処から持ち出してきたのかだが、このような気持ちの悪い発想で日本に難癖かけてくると世界にアピールする事がまずやるべきこと。これは熱心にやらねばならない。仲が悪いのではない、韓国の言いがかりに日本は困っていると言うべきだ。そのような素行の悪さを世の中に問えばいい。あらゆる媒体を通して世界に浸透させることがひいては韓国人の性根を叩き直すことに繋がることだろう。やられたら引くばかりでは骨までしゃぶられるのは必至だよ。
朝鮮人の性根は叩き直せません。
それが出来るなら朝鮮を併合していた時期に行っていたでしょう。
日本本土東北地方の窮乏を置いての、あれほどの慈愛に満ちた教化と援助を「日帝強占」などとほざく輩どもです。
彼等の言う通り彼等は「黒い山葡萄猿人の末裔」我々ホモ・サピエンスとは違うのですから、歴史の必然の通り非ホモ・サピエンスの旧人類は淘汰されてしまうでしょう。
それが、内戦なのかエスノ・クレンジングなのか消極的な差別排斥はわかりません。
おそらくは、私が生きている間に進化論の生々しい現実を目にするでしょう、その時に冥福を祈らず喝采を揚げれば良いかと思います。
ただ、その時まで今以上に朝鮮人が地球に蔓延らない事を祈ります。
>実際、日本製鐵の原告団らは差し押さえた合弁会社株式の売却を先送りにする方針を示していますが(『韓国経済に「突然死リスク」があるとすれば「資金ショート」』参照)、このことは彼らが本気で差し押さえた資産の売却を図るつもりがない証拠にほかなりません。
ここまで韓国政府の意向に沿った行動をとっていることを考えると、やはりこの原告団は表向きは一般市民ということになっていますが、明らかに韓国政府と一体となって動いている政治的な団体だということでしょうね。韓国ウォッチャーにとっては当たり前のことをわざわざコメントに書いてしまってすみません。私のような「韓国素人」にとっては結構ショッキングなことでしたので。
>いずれにせよ、4月に入ってしまったため、日本政府としては韓国に対して確固たる対応を取り辛いという事情はあるのかもしれませんが、
忙しいので、韓国にかまっているゆとりはない。ということかしら。
ただ、昨日、韓国メディアの中央日報の記事を拾っておいたのですが
<日本の韓日関係改善デッドライン、6月28日の大阪G20首脳会議>
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190403-00000001-cnippou-kr
昨日のコメントでも申し上げましたが、これについては、中央日報の飛ばしかもしれません。
しかし、今月26日に安倍総理が訪米し、トランプ大統領と会談します。安倍さんは、ここで北朝鮮問題や米中貿易協議について、トランプ氏と協議すると思いますが、北朝鮮問題に包括して具体的なセカンダリーサンクションや韓国制裁についても協議するのではないか。と思っております。
軽はずみはできませんが、今年行われる参院選の前に政権与党の党首として、日本国民の目に見える形で何らかのアクションを起こさなくてはならないと思いますので。
どこまで本気出すかはわかりませんが「民弁」の皆さんの活躍の一端
> 記事によると、民主社会のための弁護士会(民弁)と韓ベ平和財団は同日午後、ベトナム・フォンニィ村虐殺の生存者とハミ村虐殺の生存者とともに、韓国大統領府の噴水前で記者会見を開いた。請願書は民間人虐殺の真相調査と公式謝罪、被害復旧措置などを要求している。
> 会見に出席したイム・ジェソン弁護士は「これまで韓国軍の民間人虐殺に対する真相究明や被害復旧などいかなる手続きも行われていない。情報公開請求を通じて、国家情報院にベトナム戦争当時の民間人虐殺に加わった軍人らを調査した文書の公開を数回要求して勝訴までしたが、依然として(文書を)隠している。国家情報院は必ずこの文書を公開すべきだ」と話したという。
> 生存者らは「韓国政府は日本政府に謝罪を要求している。韓国とわれわれが経験した苦しみは同じ。日本に謝罪を要求するなら、まずわれわれに謝罪するべき」などと主張したという。
>民弁と韓ベ平和財団は先月1~15日、ベトナム戦争当時に韓国軍が駐留した中部地方を回り、請願への署名を集めた。16の村から103人のベトナム人が参加したという。
こんな事も。
アリバイづくりでしょう。彼らの親や祖父世代が行ったベトナムでの蛮行を日本国内等から指摘されるようになったので。民族の恥にはなるが、保守派の元軍人等を黙らせ骨抜きにする材料にはなりますからね。
記事とは直接関係ありませんが、本日のBSフジ プライムニュースに久し振りに 鈴置高史氏が出演されます。
大いに期待しています。
Aki様 ありがとう。
今日は、チャンネル譲らないわ(笑)。鈴置氏と反町氏。わくわくします。
情報ありがとうございます。必ず視聴します。
>次の3つの理由から、韓国に対する何らかの経済制裁が必要であると申し上げたいのです…。
ブログ主も日本政府の緩慢な対応にいらつきをおぼえているのではないでしょうか。それは日本国民がすべて思っていることです。
個人生活において、隣家から境界線を越えて生ゴミがポイポイ捨てられているのに、対抗措置も取らずに家長が黙っているとしたら、家族の不満のはけ口は家長に向かいます。そして、呆れられて信頼をなくします。
慰安婦問題と同じく徴用工問題の初期対応を怠ったため、どのような時期に行動を起こしたらよいのか日本政府は苦慮しているのでは、と思っています。
心配性のおばさんが言われるように、外的要因(例えばアメリカのセカンダリーサンクション)に便乗して日本も韓国へのセカンダリーサンクションを実施する方法しかないと思っています。
夏の参議院選挙は大丈夫なのか、非常に心配しております。
今は新元号効果で内閣支持率も上がったようで一安心です。御譲位がつつがなく行われる間は、国民は穢らわしき者どもに対して感情を乱すことを控えるでしょう。それもいつまでも持つことではありません。
大阪G20がデッドラインというのは、参議院選挙を目前に控えたギリギリの線です。それを過ぎても日本政府が目に見える動きを見せない場合、自民党は参院の議席を大きく失うかもしれません。
阿野煮鱒 様
同感です。
どうせ日本政府は何もしない(できない)。差し押さえても強制換金処分をしない限り問題はない。
そして、日本を貶める言動や差し押さえを継続していけば結果として自民党の支持率も急落するはず、と韓国が戦略的にやっているとしたらどうでしょうか?
根拠のない妄想ですが、北が後ろにいたら大いにその可能性があると思っています。
吉村洋文(大阪府知事候補)
@hiroyoshimura
これが事実です。退職金含めた平松さんの報酬は、橋下さんや僕の約2倍です。4年で1億4000万円なんて仕事、ありますか?支払者は納税者の皆さんです。おかしい。市長がぶくぶく美味しい思いをしたら、役所も美味しい思いをします。役所の無駄が生まれてきます。僕たちは役所を筋肉質に変えてきました。
https://twitter.com/hiroyoshimura/status/1113986377975128064
大阪市民ですが、維新を断固支持してます
吉村市長は、慰安婦像設置を許可したサンフランシスコ市との姉妹都市を解消しました
国の矜持を守る政党を支持します
自民はクチばっか 対韓国非難声明って何回やってんのアホ
李相哲さんの著書「北朝鮮がつくった韓国大統領」によると、
韓国の「民弁」は、文大統領も在籍していた左派系弁護士団体で、「民主化、人権」を盾に保守政権と対決した来ました。新宿会計士さんの言う、純粋な反日団体です。
最近では、2016年中国浙江省にあった北朝鮮レストランから集団で韓国に脱北した従業員の「人権」をめぐり、当時の朴大統領と対立しました。当時野党(現与党)の「共に民主党」も、朴政権の「選挙利用」だとして批判した。脱北の事実を発表した韓国政府に対し、北朝鮮は「従業員らは韓国が誘引、拉致したものだ。即謝罪し、送還しろ」と猛反発した。
重要なことは、こうした北の主張に「民弁」所属の弁護士や市民団体が同調したという事です。
韓国の有力月刊誌の記者も「多数の脱北者が中国などで拘束され、北朝鮮に強制送還されることには一言も言わなかった民弁が、今回は脱北者の権利を守るとしょうして人身保護を主張し、北の家族に返すべきだと主張するのは納得がいかない」と批判した。
1988年に結成された民弁はもっぱら韓国版公安事件を弁護してきた。とくに北朝鮮工作員がらみの弁護活動は民弁がひきうけてきた。2003年11月、民弁統一委員長を歴任した弁護士の一人はテレビ出演し「大韓航空機爆破事件の犯人、キムキョンヒは完全にでっち上げだ。北の工作員ではないと、われわれ民団は断定する。」とまで言っている。
長々と書きましたが、民弁は北朝鮮に染まった団体であり、ここが徴用工問題に絡んできているという事は、日本政府としても、「丁寧な無視」とか、悠長なことは言ってられないという事です。日本国民として、政府に一刻も早い対応を望みます。