昨日の『協議申入は日本政府の「時間稼ぎ」?そしてその真の狙いとは』の「続報」です。日韓関係は日増しに悪化している気がしてならないのですが、こうしたなか、昨日は韓国側から「韓日議連」の代表者らが来日し、「韓日両国が知恵を絞るべきだ」などと言い放ったのだそうですが、これと同じタイミングで、「あの」朝日新聞も社説で「日韓両国で克服する努力を」などと主張したのだとか。本当に分かりやすい人たちだと思います。こうしたなか、英国が日本の同盟国として復活するかもしれませんが、「日米英同盟」に韓国の姿はありません。
目次
「日韓両国が知恵絞る」の間違い
いったい何をしに来たのですか?
昨年12月、日本の「日韓議連」と韓国の「韓日議連」の年1回の合同総会が、韓国で行われました。
ところが、この合同総会の実施のタイミングに合わせ、韓国側はみずからが不法占拠する、日本領である島根県竹島で軍事演習を実施。それなのに、額賀福志郎・議連会長は笑顔で文在寅(ぶん・ざいいん)大統領と握手を交わし、ノコノコ議員総会に参加して来ました。
このときの顛末と、当ウェブサイトのコメント主様や私自身による「日本国民としての額賀氏ら日韓議連関係者に対する怒り」については、『能天気過ぎる日韓議連の共同宣言と自民党内の韓国への怒り』で触れている通りなので、ここでは繰り返しません。
ただ、日本側の日韓議連と韓国側の韓日議連は今でも交流があるらしく、昨日は韓国側の韓日議連の会長らが日本を訪れていたようです。
韓日議連会長ら訪日 「強制徴用判決、知恵集めよう」(2019.01.11 17:21付 聯合ニュース日本語版より)
韓国メディア『聯合ニュース』(日本語版)によると、来日していたのは韓日議連の姜昌一(きょう・しょういち)会長(「ともに民主党」所属)ら議員11人で、昨日、日韓議連の額賀会長らと東京で昼食を共にしたのだそうです。
(※どうでも良いのですが、「日本の政治家が韓国の政治家と昼食」という話題を目にすると、私はどうしても、安倍晋三総理大臣が2015年11月に韓国を訪問した際、当時の朴槿恵(ぼく・きんけい)大統領が昼食すら出さなかったことを思い出してしまいます。)
それはともかく、この人たちはいったい何をしに日本にやってきたのでしょうか?
聯合ニュースによると、
「この席で姜氏は、韓国大法院(最高裁)が日本による植民地時代に強制徴用された韓国人被害者への賠償を日本企業に命じた判決を韓国政府は尊重するしかないという立場と、日本政府も判決を尊重しなければならないという意見を伝えた」
としていますが、そんな下らないことを伝えるためにわざわざ日本にやってきたのだとすれば、呆れて物も言えません。
三権分立以前の問題
昨日、『協議申入は日本政府の「時間稼ぎ」?そしてその真の狙いとは』で紹介したとおり、日本政府の立場は、「日韓基本条約は韓国の司法府を含めて拘束するもの」であり、「韓国の司法府自身が国際法違反の状態を作り出した」というものです。
要するに、「三権分立」以前の問題だ、ということですね。
それなのに、聯合ニュースによると、姜会長は
「韓国政府や韓日議員連盟は三権分立が確立した大韓民国の大法院の判決を尊重せざるを得ないが、日本との関係も非常に重要だ。韓国政府が困難をどのように克服するか悩んでいる。韓日が知恵を集め困難を乗り越えていこう」
と言い放ったのだとか。
「三権分立が確立した大韓民国」とは、何かたちの悪い冗談ではないでしょうか?
そして、「韓国の司法が国際法違反の状態を作り出している」という問題を解消する責任は、100%、韓国側にあります。韓国政府が「困難をどのように克服するか悩む」のも、「日本との関係は非常に重要だ」と思うのも自由ですが、日本は関係ありません。
本件を巡って、日本政府は「知恵を出す」立場にはありませんし、そのようなことをすれば、今度こそ日本国民の怒りが日本政府に向かうことは間違いないでしょう。
朝日新聞の主張が文在寅とまったく同じ!
こうしたなか、私が「国民の敵」と呼んで批判しているメディアの1つが朝日新聞ですが、昨日はこんな「社説」が出ていました。
(社説)徴用工問題 日韓で克服する努力を(2019年1月11日05時00分付 朝日新聞デジタル日本語版より)
まさに「朝日新聞の逆」が日本にとっての正解だ、という事実を感じざるを得ないのがこの記事でしょう。
私は、この朝日新聞の社説の要諦は
「もし仮に仲裁委に向かうとしても、日韓両国はあくまで二国間の話し合いで合意を築くことをあきらめるべきではない。」
という下りだと考えています。
ということは、日韓両国は「二ヵ国間の話し合い」をできるだけ早い段階で打ち切り、米国など「第三国」を間に入れた話し合いに移行するのが正解だ、ということです。そして、朝日新聞が「韓日で克服する努力を!」と呼びかけるのも、「韓国が一方的に悪い」という重要な証拠でもあるのです。
すでに実損害が出ている!
日立造船が二審で敗訴
ところで、聯合ニュースの報道によれば、昨日は日立造船も自称元徴用工らが起こした裁判で敗訴したそうです。といっても、日立造船のケースは大法院(※最高裁に相当)ではなく、高裁レベルの判決です。
日立造船に対する強制徴用訴訟 二審も賠償命じる=韓国(2019.01.11 16:44付 聯合ニュース日本語版より)
実は、地裁、高裁レベルで日本企業が敗訴する事例は、昨年の10月30日以降、急増しています。
今回の記事も、こうしたニュースの1つですが、敢えて私がこれを取り上げたのには理由があります。
聯合ニュースの記事では、日立造船が上告するのかどうかは明らかにされていませんが、もし日立造船側が韓国の大法院に上告しなければ、日立造船の敗訴は高裁レベルで確定してしまいます。このため、おそらく日立造船も上告するのではないかと思います。
ただ、冷静に考えてみれば、日本企業は外国で裁判を起こされた場合、その国の裁判所に出廷しなければなりません。もちろん、現地の法律事務所を代理人に選定しても良いのですが、その場合であっても、現地で莫大なコストがかかります。
今回の訴訟についても、原告側が要求している金額は、日本円換算で約1200万円だそうですが、おそらく日立造船側には、弁護士コスト、社内の法務部の人件費などを考えると、1200万円ではとうてい済まされないだけの訴訟コストが生じているのではないかと思います。
こうした機会費用を考えるならば、現時点ですでに日本企業には「不当な不利益」が生じているのです。その意味で、当ウェブサイトでは何度も紹介している、河野太郎外相の昨年12月24日の臨時記者会見(モロッコ)における次の発言内容には、大きな問題があると言わざるを得ません。
「韓国側は李洛淵総理を中心に対応策を検討していただいております。これは韓国側の中でも難しい問題というふうに理解をしておりますので、日本としては日本企業に不当な不利益が生じない限り静観をしたいというふうに思っております。」(※下線部は引用者による加工)
この言い方だと、日本企業には「まだ不当な不利益は生じていない」かのような誤解を招きます。
しかし、繰り返して申し上げます。「日本企業には、すでに不当な不利益は生じている」のです。
いつまでも日本政府がこれを静観し続けることは許されません。
日韓関係「リセット」論とは?
こうしたなか、昨日は『FNNプライム』というウェブサイトに、少し気になる記事が掲載されていました。
「日韓関係リセット説」です。
日韓問題「リセットの時が来た!」「韓国に経済制裁を!」 自民党から政府に対抗措置求める声相次ぐ(2019年1月11日 18:30付 FNN PRIMEより)
FNNプライムによると、昨日開かれた自民党の外交部会・外交調査会の合同会議で、韓国に対して
- ヒト、モノ、カネと全体的に対抗措置を考えるべきだ
- 韓国から日本への人的渡航の制限をやるべきだ
といった「強硬論」が相次いだのだそうです。
といっても、現在の韓国の姿を考えるならば、別に私自身、これらの主張は何も「強硬」でもなんでもないと思いますが、いずれにせよ、自民党内からこのような声が堂々と出てくるあたり、時代も大きく変わったものです。
ちなみにこの「日韓関係リセット説」は、「出席したA議員」による、次の発言に基づくものです。
「対抗措置をしっかり検討すべきだ。解決するまで日本の大使は戻ってきてもらえばいい。韓国は特別だから配慮しなきゃと言って、今までさんざん煮え湯を飲まされてきた。絶対引かないということをやらないと、韓国は未来思考だなんて良く言うなと。こんなことして、未来思考なんてできるわけない。歴史認識の問題についてもリセットボタンを押す時がきた」
また、ほかにも韓国国民に対する観光ビザ免除プログラムの見直し、就労ビザの制限などにも触れられたようですし、事実上の経済制裁なども検討されているようです。
単なるガス抜きなのか、それとも…?
ただ、私が見たところ、昨年10月30日の徴用工判決以来、自民党の外交部会などでは、昨年末頃から韓国に対する「強硬論」が相次いでいるものの、日本政府としては基本的に「遺憾」を表明するだけで、具体的な動きは見せていませんでした。
これがやっと動き出したのが、今週の話です。
日本政府としては韓国政府に対し、「日韓請求権協定」第3条第1項に基づく「外交ルートを通じた協議」を申し入れる意向を明らかにしていますが、これは2016年12月末の「釜山日本領事館前慰安婦像設置事件」に対する対抗措置と比べると、いかにも生ぬるい措置に見えてしまいます。
なぜなら、昨日も申し上げたとおり、請求権協定に基づく協議、仲裁手続をやろうと思えば、少なく見積もっても2~3ヵ月間は時間がかかるからです。その意味で、なぜ日本政府が韓国に対する即効性のある強硬策を講じないのかについては、微妙な気がするのです。
もちろん、私自身は最近になって、「日本政府が何らかの理由で、わざと時間稼ぎを行っているのではないか?」という可能性があるとも考えているのですが、このあたりについてはよくわかりません。
いずれにせよ、今回の自民党部会の動きは「単なるガス抜き」なのか、それとも対韓経済制裁の布石なのかについては、現段階ではその両方に可能性があるとしか申し上げられません。
韓国と距離を置く
こうした中、私が密かに注目しているのは、訪英中の安倍総理が北朝鮮の瀬取り対策などの協力で合意するなど、日本が英国と緊密な連携を深めていることです。
安倍首相、合意なしブレグジットの回避を「世界が期待」(2019年01月11日付 BBC日本語版より)
英メディアBBCによると、安倍晋三総理大臣と英国のテリーザ・メイ首相は現地時間10日午後、ダウニング街の首相官邸で会談したあとで共同記者会見に臨み、安倍総理は英国の欧州連合(EU)離脱を巡って離脱協定を「全面支持する」と述べました。
このこと自体、日本が英・EU関係に重要な口添えをしているということでもありますが、それだけではありません。英国は軍艦HMSモントローズを日本に派遣し、北朝鮮による制裁違反活動を監視することも決めるなど、安全保障面でも日英連携が進みつつあるのです。
おそらく、いわゆる「ファイブ・アイズ」(米英豪加NZ)に日本が加わる時代は、すぐそこにやって来ているのでしょう。
そして、英軍艦が北朝鮮の瀬取り行為を監視するということは、それと同時に、韓国海軍も監視される対象になる、ということではないでしょうか?
先日のレーダー照射事件については、韓国は徹底的に「日本の威嚇飛行」に論点をずらし、日本非難に終始する戦略に切り替えたのだと思いますが、もしかしたら日本の海上自衛隊は、場合によっては韓国のレーダー波形などの情報を、米英などに提供するのかもしれません。
このように考えていくと、「現実」は私たちの想像のはるか先を行き始めているのかもしれません。
View Comments (12)
>「韓日両国が知恵を絞るべき」
その産物が「日韓基本条約」なのですが。
そもそもこんな条約も結ぶべきではなかった。
韓国とは戦争もしていない、
強いて挙げれば
朝鮮半島の日本の資産を返還する条約のみで良かったのに、
韓国の人質外交(韓国抑留日本人漁民)で多くの妥協をせざるをえなかった。
日韓関係は、国交開始第一歩目から間違っていた。
ボタンの掛け違いだからいつまで経っても問題は解決しない。
そもそもで言うなら
韓国の憲法も相当おかしい。
日本との接点も知恵も、「韓国はルールを守れ」以外もはやない。
ほんと、安倍さんの外交努力には頭が下がりますわ。
額賀を始め、党内に有象無象の売国老害先輩議員やら
ややこしい連中を黙らせるのにも労苦が要るやろうし
河野jrも最初だけで、大して宛にならんのが実際でしょう。
専用機欲しいなら現状での実績示せと…。
とにかく健康の方を気遣いつつ頑張って欲しいです。
日本で裁判おこしますか?
韓国は主権を放棄して中国の植民地になれってw
中国が反訴してきたら笑うけどw
ちなみに根拠が示せる類の情報ではありませんが、コモンウェルス・米国だけに制限されていたSIGINT情報に去年からドイツと日本がアクセスできる様になったという噂があります。
ドイツは戦死者を出してまで国連軍に出兵し、日本も安倍政権が長期にわたって安定した保守を続けしばらくは自民以外の政権になることはないだろうという分析の元、それが許されたのだと思います。
日本のファイブアイズ加入は無理でしょうね
わが国にはスパイ防止法がないですから、情報が筒抜けになります
中国共産党の手に落ちたNZは外れるべきですが
そもそも韓国海軍は無視してもいい存在です
帝国海軍は外地の人は入隊させておりませんから、組織としての基礎が全くないのでしょう
規律も実力もないため、見た目のハードウエアでパフォーマンスをしようとするのでしょうね
在韓の日本企業には、政府の方針を明確に伝えておりますから、在韓資産の移転等、着々と撤退の準備を進めているのではないでしょうか
レーダー照射事件にせよ、徴用?工訴訟には、文在寅は直接関わり合いを持とうとはしないでしょうね
反日が国是の韓国では、日本へ謝罪、譲歩などは失政を意味します
ただでさえ支持基盤が不安定な文在寅政権、あっという間に失脚してしまいます
誰が見ても明らかな失政が露見した場合、毛沢東ですら自己批判の上で国家主席を辞任しています
習近平もそうですね
中国国内では中米貿易「戦争」と言う言葉は使えません
正念場。
ちゃんと突き放せるか心配になる。
それにしても売国マスゴミの根は深い。
世代交代が進めば変わっていくのだろうか?
ご執筆ありがとうございます。同じ海洋国家として英国との同盟は有益だと思います。英国の人口は日本の半分(6,000万人強)なのに防衛費は日本とほぼ同額なんですね・・・
日韓議連に関しては、この時点で存続している事自体が不思議に思えます。「困難な時ほど対話を」というのが驚くほど朝日新聞と似通っていますが、誤解しか与えない対話の様に見えてならず、そういう時は不用意な会合は持たない方がよろしいのでは無いでしょうか。
それから、レーダーの件で、素朴な疑問がありまして、現時点の韓国の立場は「火器統制レーダーを一切、照射していない」というものですよね。対して日本は韓国艦搭載のレーダーの照射周波数も、今回、被照射された周波数も記録していて、必要なら「秘」を掛けた状態でいつでも出すよ。」だと思うのです。
確かにレーダーの周波数を全て明らかにするのは、同じ機器をヨーロッパの国でも使っていて、これが分かるとレーダーの無効化ができるので、機密と言い張れます。しかし、この周波数はGhz(ギガヘルツ)つまり8.xxxxxxxGhzという様に数字化でき、火器統制レーダーとその他のレーダーでは、周波数帯が異なりますので、頭の二桁を出すだけで、区別がつく様に思えます。
韓国は、「軍事機密だから出せないだろ」と言っていますが、同じメーカーのレーダーである以上、生データを照射されているのを示すレーダーの受像画面で、あの時の実際の時間と頭二桁を出す事が可能なら、証拠になるのでは無いでしょうか。
レーダーの周波数の全桁数を、日本側は握っていると思いますので、そういえば相手が降参するとの読みですか?仮に全桁数が一致しても、否定してくる様に思えますが、世界に対して、これほどの嘘情報を映像で流す相手には、合法的に出来る事をやらないと、慰安婦合意の様にいつの間にか世界に嘘情報が蔓延してしまう事を危惧します。
世界に分かりやすい形で、映像化し、既存のマスコミを通さずにYouTubeにアップして欲しいのですが、現在の様に揉めている理由を、どなたか、教えていただけないでしょうか。
* 更新ありがとうございます。
* 韓国では「強制かどうか分からん偽徴用工の判決」が出て、日本企業資産の差し押さえ指示まで出ましたが、相変わらず韓国は『日韓両国で知恵を出し合おう』と、飛行機に乗ってわざわざ言いに来た。もう聞き飽きた(笑)。
* そんな事より、安倍内閣総理大臣は英、オランダを歴訪(確かこれは昨年行けなかった積み残し分の訪問でしたね)、特に英国とはテリーザ・メイ首相と昨年9月に続く会談、『日英同盟』と言える成果を残しました。同じ海洋国家ですもん、良くわかってらっしゃる(何が?)。日米、日英、日豪、日加、あれあれ出ないよ韓国サンが。また、僻むだろうネ~『戦犯国が入っている』って。
* そんな事ばかり言って、本当は入りたいんだな。韓国も(笑)。
日韓議員連盟は何をしたいのでしょうか。報道されているレベルで内容を見る限る、韓国側に好き放題言われた上に飯も食わせたという腰抜け対応にしか思えません。言うべき事は言い、韓国側が会議室から逃げ出すような熱い議論をして貰いたいものです。まあ期待できませんが。