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徴用工判決巡り、さりげなくウソを混ぜる韓国政府関係者

韓国外交部傘下の国立外交院・院長が徴用工判決に関連し、ウソを混ぜ込みながら解決策について騙ったそうです。この時点で韓国政府というものに対する信用は皆無です。ただ、冷静になって考えてみれば、徴用工判決を巡っては、いっそのこと韓国側でさっさと日本企業の資産の差し押さえが実現してしまった方が、その後の展開としては遥かにやりやすいのではないかと、最近になって思うようになりました。

徴用工判決、現時点の振り返り

今朝方の当ウェブサイト『新宿会計士の政治経済評論』では、『韓国メディアを通して見る韓国社会の病理 ウソツキはだれ?』のなかで韓国の話題を取り上げたばかりなのですが、もう1つ、どうしても触れておきたい記事を発見したので、紹介しておきたいと思います。それは、「徴用工判決」に関する話題です。

この「徴用工判決」とは、韓国の大法院(日本の最高裁に相当)が日本企業である新日鐵住金に対し、自称元徴用工やその遺族への損害賠償を認めた判決のことです。「旧朝鮮半島出身労働者に対する判決」などと表現する人もいますが、当ウェブサイトでは「徴用工判決」で表記を統一しています。

本日の話題に触れる前に、前提条件をざっと振り返っておきましょう。

「徴用工判決を巡る韓国側の対応」については、現時点までに、韓国政府内でだいたい4つの案が検討されているそうです。

  • 「2者基金」(韓国政府と韓国企業が基金を設立する案)
  • 「3者基金」(「2者基金」に日本企業を加えた案)
  • 「判決の履行」(韓国の司法判断を尊重し、日本企業に対して強制執行する案)
  • 「仲裁手続・国際裁判」

一方、韓国の原告側は、12月24日までに新日鐵住金側から回答がなければ同社資産の差し押さえに踏み切るとの姿勢を示しており、これに対して日本政府側は、韓国が資産差し押さえに踏み切った場合、対抗措置として韓国の在日資産凍結に踏み切ることを検討している、といった報道もあります。

これらの情報源も含めた詳細については、先週、『徴用工判決 これまでの動きと韓国政府の「出方」を整理する』で取り上げていますので、興味があれば是非ともご参照ください。

事実誤認だらけの外交院長発言

以上を踏まえて、この記事を紹介しておきましょう。

強制徴用判決 「韓日請求権協定認めた上で解決策を」=韓国外交院長(2018.12.07 20:28付 聯合ニュース日本語版より)

韓国メディア『聯合ニュース』(日本語版)によると、韓国政府・外交部(※外務省に相当)傘下の「国立外交院」の趙世暎(ちょう・せよう)院長は7日、「徴用工判決」を巡っては「日韓請求権協定を認めたうえで解決策を考えるべきだ」と述べたのだそうです。

また、聯合ニュースの記事によれば、この人物は「韓国を代表する対日外交の専門家」とありますが、2015年12月の「日韓慰安婦合意」を巡り、文在寅(ぶん・ざいいん)政権下で検証作業に加わったとの記述もあり、その時点でこの人物の発言に信憑性がありません。

それはさておき、聯合ニュースの記事に沿って、この人物の発言の要旨を紹介しておきましょう(※ただし原文の「韓日」を「日韓」に修正しているほか、細かい日本語表現についても適宜修正しています)。

  • 徴用工判決を巡り、1965年の日韓請求権協定の枠組みは認めるものの、協定で解決できない問題に対する解決策について考える必要がある
  • 外交というのは妥協の結果だから(1965年の日韓請求権協定は)完璧ではないが、早急に国家建設をしなければならない状況だったため、日韓国交正常化に踏み切ったものだ
  • 日韓請求権協定ではすべてカバーされているわけではなく、解決できない問題が出てきた。協定締結から50年あまりで人権の概念も変わり、国家と個人の関係も変わり、国際法も変わった

なんだか凄いことを言っていますね、この人物は…。

さりげなくウソを言うのはやめて欲しいものです。

少なくとも2つのウソが!

まず、「日韓請求権協定ですべてカバーされているわけではない」という主張は、まさに「荒唐無稽」のヒトコトに尽きます。この人物が日韓請求権協定の原文(とくに第2条第1項と第3項)を読んでいない(あるいは文章を正しく理解していない)ことは、これだけでも明らかです。

日韓請求権協定によれば、1945年8月15日以前に発生していた債権を韓国国民が日本企業に請求すること自体ができない、と明記されているからです。

日韓請求権協定第2条第1項(PDFファイルの8ページ目)

両締約国は、両締約国及びその国民(法人を含む。)の財産、権利及び利益並びに両締約国及びその国民の間の請求権に関する問題が、一九五一年九月八日にサン・フランシスコ市で署名された日本国との平和条約第四条(a)に規定されたものを含めて、完全かつ最終的に解決されたこととなることを確認する。

日韓請求権協定第2条第3項(PDFファイルの9ページ目)

2の規定に従うことを条件として、一方の締約国及びその国民の財産、権利及び利益であつてこの協定の署名の日に他方の締約国の管轄の下にあるものに対する措置並びに一方の締約国及びその国民の他方の締約国及びその国民に対するすべての請求権であつて同日以前に生じた事由に基づくものに関しては、いかなる主張もすることができないものとする。

(※「2の規定」とは:1945年8月15日から日韓請求権協定締結時点における日韓両国の請求権等。これは終戦と関係がないので、「完全かつ最終的に解決され、いかなる主張もできない」という項目から除外されているものです。)

また、2つ目のウソは、「日韓請求権協定締結から50年あまりで人権の概念も変わり、国家と個人の関係も変わり、国際法も変わった」、という下りでしょう。そういう事実はありません。こういうウソをさりげなく混ぜ込むあたり、いかにも韓国人らしいと言いましょうか。

ではそれをICJで主張してごらんなさい

こうした根本的なウソを混ぜ込みながら、趙氏は「植民地支配が違法という大前提で論理的に結論を下せば(自称元徴用工に対し)損害賠償をしなければならないという結論が出る」と結論付けているようですが、こんな人物が政府の要職に就いているという時点で、絶望的なものを感じます。

結局、この人物の発言では、肝心の「どういう解決が望ましいのか」という点については一切示されていないのですが、議論の前提条件自体が間違っている以上、この人物の議論から大した解決策が出て来るとも思えません。

ちなみに、この人物が「日韓請求権協定ではカバーされていない部分がある」、「50年間で人権の概念も変わり、国家と個人の関係も変わり、国際法も変わった」とおっしゃるのなら、国際司法裁判所(ICJ)でそのように主張してみれば良いのではないかと思います。

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

ただ、最近になって私は、少し考え方が変わってきました。

いっそのこと、韓国で日本企業に対する異常な判決が相次ぎ、国際法を無視した差し押さえが実施されてしまった方が、日本社会全体として危機意識を共有する、ちょうど良いきっかけになるからです。

先ほど、韓国政府内では4つの案が検討されているという話がありましたが、逆に言えば、むしろ一番面倒で厄介なのが国際調停や国際裁判です。というのも、国際的な調停、裁判の手続に持ち込まれれば、そこからさらに時間とコストが掛かるからです。

これに対し、韓国が国際調停や国際裁判などの手続をすっ飛ばし、むしろいきなり日本企業の資産の差し押さえに踏み切ってくれれば、もはやだれの目にも韓国の無法は明らかになります。日本政府としても、堂々と大手を振って、韓国に対する制裁に踏み切れるのです。

ただし、『米政府も一目置く、嫌韓と一線を画す論客・鈴置高史氏』でも触れたとおり、現在、徴用工判決とはまったく別の次元で、北朝鮮核開発の支援を巡り、日米両国政府は韓国に対して経済制裁に踏み切ろうとしているのかもしれません。

いずれにせよ、日本の韓国に対する経済制裁に関しては、まだしばらく目が離せない展開が続きそうです。

新宿会計士:

View Comments (19)

  • 韓国政府は今、日本に妥協案懇願状態(構ってチョ?)だと思います。
    韓国の努力の甲斐あって、全ての慰安婦が癒され解散した癒し財団、之に倣って半島労働者問題も解決すればよいのでは無いでしょうか。
    資金は?韓国政府、韓国企業,プラス{日本」からの解散癒し財団基金の残金です。
    「日本」と言う字が入っていれば、韓国は納得するのでしょう?

  • 司法の原則は「争点の是非の判断は、その当時に発効していたルールに沿って行う」ですので、例えば女性に参政権の無かった時代の為政者を「女性に投票を許さなかった極悪非道な人権侵害者」として現在の法の下で訴える事は出来ません。

    これを法令不遡及の大原則と言い、法治国家の磐石の基本中の基本です。

    国立外交院・院長がこの司法の大原則に対してこれ程無知であると言う事実や、最高裁の判決の支離滅裂な論法を勘案すると韓国の国家としての知能程度・人材・能力の限界が見えます。

    ここで一つ強調しておきたいのは、韓国国内での新日鐵住金に対する差し押さえは「徴用工裁判の原告」と言う「民間人」が裁判所と言う「司法府」を動かす純粋な「民事の司法手続き」ですので、原則的に「韓国行政府」は介入する立場(米国式にいえば"Legal Standing")にありません。

    もし行政府が差し押さえの一時差し止めの請願を当該の裁判所に提出したところで、差し押さえは韓国最高裁のお墨付きなので却下されるのは確実で、無意味です。

    唯一つ、差し押さえを回避する方法は韓国の立法府である韓国国会が差し押さえが発効される前に何らかの特別な立法措置を成立させる事ですが、その可能性は限りなく低いでしょうな。

    私も個人的には筋の通らないイイカゲンな妥協を排して「差し押さえ」⇒「ICJ提訴」と行き着く所まで行って欲しいと考えています。

  • いつも有益な情報、ありがとうございます。

    私も嫌いな韓国に興味がある理由は、その思考や結論の導き出し方が謎過ぎて…
    ・なぜそう考えるのだろう?
    ・なぜそのように行動するのだろう?
    その理由を知りたい!ということにつきます。

    私は、リスクはあるもののICJに提訴すべきだと思っています。逆に言うと、この判決がないと韓国の大統領チェンジ・リセットは永遠に繰り返されると思います。ICJに提訴すると考えられる韓国側の行動は以下の3つ。

    ①韓国は応じず無視する
    ②韓国が受けて立ち敗訴
    ③韓国が受けて立ち勝訴

    ①韓国は応じず無視する
    おそらく一番確率が高い行動でしょうが、応じない理由を表明する必要があり、提訴から逃げた韓国政府を糾弾する国内世論が強まり、現在の経済危機による雇用悪化による不満との相乗効果で支持率の低下が致命的になると思います。

    ②韓国が受けて立ち敗訴
    提訴に応じた場合、ほぼ敗訴することになると思います(勝つ可能性があるなら、韓国自身がICJに提訴するでしょうから)。この敗訴は国内世論を回復不能なまでに悪化させるでしょう。間違いなく政権が持たなくなると思います。

    ③韓国が受けて立ち勝訴
    可能性が著しく低いですが、こうなると、判決に納得いかない日本は以下のような行動に出ると思います。
    ・日本政府による経済制裁の実施(フッ化水素などの輸出停止)
    ・日本企業の大半が朝鮮半島から撤退

    結局、①②③のどれになっても、韓国に実利は全くないと思います。
    韓国は、ICJ提訴に応じなくても、勝っても、負けても、多大なダメージを負うことになります。なぜこのような不確実性の高いギャンブルを国家として意思決定するのか、不思議でならないのです。

    文大統領や韓国政府は、上記のようなリスクを踏まえて意思決定しているのでしょうか?それとも、楽観的にいつも通り日本が妥協してくれるとかんがえているのでしょうか?知りたいです。

  • 解決を(永遠に、永続的に)せまること =反日愛国者
    解決したと結論づけること =親日反民族行為売国奴

    解決と明記した条約「日韓基本条約」「日韓慰安婦合意」 =売国、屈辱、不平等条約

    解決を口にした人物、朴正煕、朴槿恵、
    解決を一部口にした人物、廬武鉉他歴代大統領多数

    「どういう解決が望ましいのか」の具体策(ゴールポストの設定)を韓国から提示すれば売国奴。

    文在寅 「日本は解決と言ってはならない」
    =自らは解決したとは口が裂けても言えない、問題の棚上げ、丸投げ、逃避

    売国合意の「日韓慰安婦合意」は事実上破棄後は
    「日韓基本条約」も骨抜き、破棄し、
    統一朝鮮として「新日朝基本条約」を結びなおし、解決の明記なしの半永久的賠償をせまることでしょう。

  • < 更新ありがとうございます。

    < 趙氏とやらも革新の文派ですか。ま、どちらでもいいけど。よくまあ、こんな嘘を喋れるもんだ。では国際法や国と国が交わした条文も、常に韓国の都合良く解釈しまくれる訳か?

    < しつこさ、あほらしさ、1円の利益も生み出さない韓国の挑発に、乗ってはいけないというのは理解出来ますが、もう肉を切らして骨を断つぐらいのつもりでないと、『狂人国家』は付きまといます。

    < 日本は24日の回答もしない、但し韓国が日本企業資産拿捕なら、仕返しはキッチリやる。ICJに出廷する気はさらさら無いです。我々も、決着はちゃんと付くが、ノロノロして1年2年かかるようでは、韓国ペースです。

    < 出来れば2019年上半期までに韓国を二度と国際舞台に立てないよう、ズタボロにしたい。米と合同で。

  • 「日本は韓国にひれ伏さねばならない」、「韓国の方が日本より上位の国だということを日本に見せつけたい」という歪んだ情動を、日本に対して抱いているようなのです。とブログ主が言われるとおりだと思います。

    でも、内心では日本の方が上であり韓国は下と言うことを彼ら自身が認識していると思います。

    そうでなければ嫌いな日本にわざわざ来ることはないし、日本の出来事についてこれほど異常に関心を持つこともないはずです。

    しかし、下の者の方が正しく、上の者の不正を指摘していかなければならないと言う彼らの儒教に基づく独特の考えがベースにあるために、現在だけでなく、過去の日本が行った行動まで遡って指摘の対象になるのだと思います。

    それがお互い法律・約束で解決していたとしても関係ありません。彼の国では法律よりこうあるべきだと言う気持ち(情緒)が優先するからです。

    さらに、日本は常に悪だから何を言っても構わないし、日本に何をしても構わないと言う我々日本人から見たら信じがたい言動に出ることになります。

    何を言いたいのかと言うと、国際司法裁判所に提訴しても彼らは何も感じません。自分達があくまでも正義であり、提訴などやっても意味がないと思っているからです。

    日本は提訴する!と主張しますが、世界から見れば東アジアの2国で何か争っているくらいしか見えないし、正直言って、世界にそれほど強烈にアピールできる出来事とは考えられません。また間接的です。

    一番効果的なのは、やはり日本による直接的な経済制裁です。ここもブログ主と同じです。韓国全体を揺るがす経済的な打撃の上に、悪の日本から仕掛けられたと言う精神的な打撃が重なります。効果抜群です。

    差し押さえがあれば経済制裁、なくても年末まで日本が納得する具体的な対策を韓国が提示しなければ経済制裁を日本政府は徹底的に行ってください。

    • >>国際司法裁判所に提訴しても~
      >>誰かが書いていた気はしますが、提訴しても意味がないのではなく「提訴する」という意思表示そのものに意味があるんですよ。日本が提訴するという意思を表明してる時点で各国からは公平な場で決着をつけようとしているのであろうことは判断してくれるはずです。(これは日本のロビー活動の成果次第でもありますが)そして韓国がこの場に出ないのであれば日本はリスクを最小限にしたうえで制裁を科せるようになる、そのための提訴です。

  • 定例記者会見です。「第二次世界大戦時労働者」の話は、新しいことは何もないですが、

    https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/kaiken/kaiken4_000784.html#topic5

    台湾による日本産食品輸入規制に対する措置
    【中国時報 黄記者】台湾の先日の住民投票について伺いますが,これからも台湾の外交部長は最近のインタビューの中で,これから2年間,多分,この規制緩和はしないだろうという話があるんですが,その点について,大臣のご意見を伺いたいと思います。そして日本政府は,今WTOに提訴する準備とか検討はしていますか。

    【河野外務大臣】食品の規制というのは,科学的な根拠に基づいて行われなければならないというのは国際的に確立されたルールだと思っております。日本はこれまでも台湾に対して,様々そうした観点からの情報提供を行ってきたところでございます。このような事態になったのは誠に残念と言わざるを得ません。こうしたことがWTOルールに反しているならば,日本としてWTOへの提訴も排除しません。また,TPPが年内に発効いたしますが,台湾からTPPへの参加への意思の表明をいただいていた中で,こういう事態になって参加ができないということになるのは非常に残念に思っております。
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    行儀の悪い国はTPPに入れないよと明言したのは画期的じゃないでしょうか。
    いわんや韓国w

  • いっそ早く差し押さえてほしい、僕もそう思います。が、あいにく新日鉄住金も重工も差し押さえやすい資産が韓国にない。なんだかんだ言って差し押さえないことで日韓関係の命脈を維持することも可能でしょう。
    そこで次の不二越。韓国にオフィスもあり取引も多そうです。韓国側に差し押さえるか否かの決断が迫られます。ま、差し押さえるでしょう、最終的には。
    ある意味、今の韓国ほど手が読みやすい相手はいないですから、日本にはそこで効果的な一手を打ってほしいものです。

  •  独断と偏見かもしれないと、お断りしてコメントさせていただきます。
     
     今回の騒動を見て、韓国は日本と(もしかしたら世界と)共通の言葉が
    ないことを隠さなくなったと感じます。(一見すると、同じ言葉のようで
    すが、意味が違うことも含みます)
     もし、そうだとすると、韓国と交渉すること自体が無意味になります。

    駄文にて失礼しました。

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