文科省汚職でマスコミが立憲民主党の吉田統彦議員を擁護か?
文部科学省の一連の汚職事件を巡って、新たなスキャンダルの可能性が浮上しています。インターネット上で少し前から話題になりはじめていたのが、立憲民主党の吉田統彦(よしだ・つねひこ)衆議院議員が一連の汚職に深くかかわっているのではないかとの噂です。本稿では共同通信の記事をベースに、ずばり、「マス・メディアの報道しない自由」の問題点について考察してみたいと思います。
目次
JAXAの新たなスキャンダル?
宇宙飛行士による講演
「宇宙航空研究開発機構」という組織があります。略称は「JAXA」(ジャクサ)です。
同機構ホームページによると、このJAXAという組織は2003年に宇宙科学研究所(ISAS)、航空宇宙技術研究所(NAL)、宇宙開発事業団(NASDA)の3機関が統合して誕生し、「政府全体の宇宙開発利用を技術で支える中核的実施機関」と位置付けられています。
このJAXAのウェブサイト内に設置されている『ファン!ファン!JAXA』のページに行けば、宇宙科学技術に関する情報が満載であり、夏休みのお子さんの自由研究にも最適かもしれませんし、また、大人が読んでも面白いページが多々あります。
こうしたなかで、宇宙飛行士やJAXAに所属する職員が実施する講演会は大人気となっており、主催者が「宇宙飛行士による講演」を申し込んだとしても、なかなか実現が難しい状況が続いているようです。
職員/宇宙飛行士の講演(JAXAウェブサイトより)
これについてJAXAは、
「宇宙航空の研究開発に対する理解を深めていただくために普及・教育活動の一環として、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の職員が学校、各種団体等に赴き、講演を行っています。/なお、宇宙飛行士に係わる講演依頼につきましては、大変難しい状況です。」(※赤字は原文ママ)
と説明しており、いわば、宇宙飛行士による講演会は申請しても、滅多に実現しないような状況になっているのだとか。
共同通信、記事をわざとわかりにくく報道?
以上を踏まえて、本日紹介したいのは、昨日配信された、次の共同通信の記事です。
東京医科大、国会議員通じ相談か/宇宙飛行士講演で、文科省汚職(2018/8/13 17:23付 共同通信より)
共同通信は記事の前段で、次のように報じています。
「宇宙航空研究開発機構(JAXA)の業務を巡る収賄容疑で逮捕された文部科学省の前国際統括官川端和明容疑者(57)のあっせんで実現したとされる宇宙飛行士の講演について、東京医科大側が立憲民主党の衆院議員を通じて元コンサルタント会社役員谷口浩司容疑者(47)=贈賄の疑いで再逮捕=に相談を持ち掛けていたとみられることが13日、関係者への取材で分かった。」
何のことやらさっぱりわかりません。1つの文章として長すぎることと、文中に登場人物が多すぎることが原因ですが、何の予備知識もなしに読むと、まったく理解できないという人が多いでしょう。どうも立憲民主党の国会議員が何らかの不正に関与しているのではないか、という点については辛うじて読み取れますが、大部分の人はこの文章を読み飛ばすことでしょう。
共同通信の記事の卑劣な点は、もう1つあります。
それは、「立憲民主党の不祥事」という点を、一生懸命覆い隠そうとしている点です。たとえば、記事の中核部分である「立憲民主党の国会議員」という記載がタイトルに明記されていませんし、記事本文中で立憲民主党の国会議員の実名についても触れられていません。
要するに、「立憲民主党の国会議員の不正疑惑について、一応報道はしましたよ」というアリバイ作りのための記事ではないかと思ってしまいます。こんな記事を掲載していると、「いったい共同通信は、誰のためのメディアなのか」と疑問を持たれても文句はいえません。
事件の振り返り
さて、この共同通信の記事を確認する前に、逮捕された容疑者の氏名、年齢、逮捕時の肩書き、逮捕容疑等について確認しておきましょう(敬称略)。
佐野太容疑者(58、文部科学省 科学技術・学術政策局長)
…「私立大学研究ブランディング事業」で東京医大に便宜を図る見返りに自身の息子に点数を加算して不正に合格させるように依頼したとして、東京地検特捜部が受託収賄容疑で7月4日に逮捕
川端和明容疑者(57、文部科学省 国際統括官)
…宇宙航空研究開発機構(JAXA)に理事として出向中の2015年8月から2017年3月にかけて、JAXA理事の職務に関連し、谷口容疑者から東京都内の飲食店で約140万円相当の飲食などの接待を受けたとして、東京地検特捜部が収賄容疑で7月26日に逮捕
谷口浩司容疑者(47、コンサルタント会社役員)
佐野容疑者の逮捕にあわせて、東京地検特捜部が受託収賄幇助容疑で逮捕。また、川端容疑者の逮捕にあわせて、同じく東京地検特捜部が贈賄容疑で再逮捕
文科省の汚職事件で逮捕された主要人物はこの3人ですが、他にも、入学試験で佐野太容疑者の子息の点数嵩上げを指示したとされる臼井正彦前理事長(77)と鈴木衛(まもる)前学長(69)の2人は在宅起訴ですが、なぜか逮捕されていません。
また、この2つの文科省汚職事件を巡っては、金額もさることながら、逮捕容疑自体が実に不自然です。もちろん、川端容疑者が140万円相当の飲食・遊興で接待を受けたことが事実であれば、それは極めて非常識であり、佐野容疑者が息子の合格を依頼するなどしたら、入試の公正性を歪める問題です。
しかし、いずれも個人犯罪の域の問題であり、「東京地検特捜部がわざわざ動いて逮捕される事案」なのかと問われれば、それも非常に不自然な話です。ということは、やはりこの2つの事件は単なる「きっかけ」であって、検察の狙いは別のところにあるのではないか、というのが私自身の邪推なのです。
立憲民主党の吉田統彦氏が登場?
共同通信の記事解説
以上を踏まえて、共同通信の記事を、次のように書き換えてみましょう。
「人気が高い宇宙飛行士の講演を実現させるために、東京医大は立憲民主党の国会議員を通じて、元コンサルタント会社役員谷口浩司容疑者(47)=贈賄の疑いで再逮捕=に相談を持ちかけていたとみられることが13日、関係者への取材で分かった。この講演会は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の業務を巡る収賄容疑で逮捕された文部科学省の前国際統括官川端和明容疑者(57)の斡旋で実現したとされている。」
いかがでしょうか?
文章の順番を入れ替え、ほんの少し情報を付加するだけで、東京医大がJAXAに対して圧力を掛けるために、立憲民主党の国会議員を通じて谷口容疑者にコンタクトを取った、という図式が浮かび上がります。実にわかりやすくなったと思いませんか?
谷口浩司氏の奥様のホームページ?
ただ、ここでいう「立憲民主党の国会議員」とは誰なのでしょうか?
ここで、『谷口浩司を信じる妻の疑問 谷口浩司のホームページ』というウェブサイトがあります。これは、ウェブサイトの運営者の主張を信じるならば、逮捕された谷口浩司容疑者の奥様が運営するホームページであり、マス・メディアが報じない事実を告発する、という体裁のものです。
疑問の前提
東京医科大学臼井理事長の前に二人の人物がいます。
一人は、医師で衆議院議員。
一人は、悪徳ブローカー。
佐野太官房長には大学のために便宜を図ってもらいたい。
JAXAの川端和明氏には大学の記念講演に宇宙飛行士を派遣してもらいたい。
あなたが臼井理事長ならどちらの人物に頼みますか?
こんな簡単な事実を特捜もマスコミも隠しています。
私は事件は初めから無かったと信じています。
もし事件が本当にあるなら主犯は国会議員です。
(※引用した文章は、原則として原文ママ)
もっとも、このウェブサイトは時系列もバラバラで登場人物も非常に多いなど、情報が今ひとつ整理されておらず、また、文字も小さく色遣いにも問題があるなど、正直、非常にわかり辛いサイトです。ただ、「疑問の前提」という節に記載された「主犯は国会議員です」の下りの直後に出てくる人名があります。
それは、立憲民主党の吉田統彦(よしだ・つねひこ)衆議院議員です。
もちろん、先ほど紹介した共同通信の記事に「吉田統彦」という名前は出て来ないため、JAXAに宇宙飛行士の講演会を実現するよう口利きをした人物が吉田統彦議員なのかどうかはわかりません。
吉田衆議院議員について調べてみると…
余談ですが、この吉田衆議院議員を巡っては、朝日新聞デジタル(日本語版)に昨年11月の段階で、興味深い報道がありました。
立憲・吉田氏の政党支部、妻名義ビルに家賃3250万円(2017年11月30日11時39分付 朝日新聞デジタル日本語版より)
これによると吉田統彦衆議院議員は、妻が所有する名古屋市北区のビルに、2012年1月から16年末までの5年間で家賃や敷金など総額3250万円を支払っていたというものです。
この報道が事実ならば、吉田氏は政治資金を家賃という形で自身の配偶者に還元していたというものであり、「政治資金が個人資産の形成に流用された」という疑いもあります。
ただ、朝日新聞が野党議員の不祥事疑惑を報じるのは非常に珍しいと思ったのですが、不思議なことに、この「政治資金流用疑惑」については続報が一切ありません。要するに、この朝日新聞の記事も、「一応はきちんと報じたよ」というアリバイ作りのためのものでしょう。
やはり、立憲民主党議員というだけで、マス・メディアは「報道しない自由」を悪用し、全力で擁護するという姿勢には変わりがないようです。
「報道しない自由」とは?
もちろん、現段階で共同通信が報じた「立憲民主党の国会議員」が吉田統彦氏のことなのかどうかは断定できません。いかに国会議員が相手とはいえ、当ウェブサイトとしても、確たる証拠もなしに、迂闊に「吉田統彦(氏)は有罪だ」、などと断定するのは控えたいと思います。
ただ、「疑われている側が無実の証拠を出すべきだ」というロジックは、吉田統彦氏が所属する立憲民主党が常々主張している内容でもあります。いうまでもなく、「もりかけ問題」、すなわち
「安倍晋三(氏)が内閣総理大臣としての地位を悪用し、友人が経営する学校法人に違法な便宜を図っていた疑い」
を巡って、立憲民主党は朝日新聞などとともに、「安倍総理が怪しい!」「無実だというのならばその証拠を出せ!」といった、かなり強引で無理のあるこじつけを行ってきたからです。このロジックで行けば、
「吉田統彦(氏)が国会議員としての地位を悪用し、文科省やJAXAなどが関わる汚職全般に関わっていた疑い」
を巡り、吉田氏が無実である証拠を提出する義務は、吉田氏、あるいは立憲民主党にあります。そして、吉田氏の無実が証明できない限りは、吉田氏は衆議院議員を辞職したうえで、立憲民主党の枝野幸男代表も連座して代表を辞任しなければなりません。
…という笑えない冗談はさておき、どうして今回、マス・メディアは文部科学省の汚職事件について、大々的に騒がないのでしょうか?
2017年7月、加計学園による獣医学部新設を巡り、前川喜平・前文科省事務次官を「正義の人」などと誉めそやし、一方的な視点で報道合戦を繰り広げたマス・メディアが、どうして今回の文科省の汚職や立憲民主党の疑惑にダンマリを決め込んでいるのでしょうか?
マス・メディアが好んで使う「報道の自由」とは、「都合が良いことばかり報道する自由」ではありませんし、「都合が悪いことを報道しない自由」ではありません。あくまでも「報道機関」としての良心に従い、国民が知りたがっている内容をきちんと調べて、権力を批判する自由のことです。
しかし、現在のマス・メディアの姿勢だと、特定の政治勢力(とくに財務省や立憲民主党、日本共産党)と結託し、国民が知りたがっている真実を隠蔽していると批判されても仕方がないのではないでしょうか?
少なくとも私には、そう思えてならないのです。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
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相も変わらずの寝ぼけコメントを申します
事件の真相は捜査が始まったばかりで不明ですが、文科省の汚職疑惑であるのは間違いないでしょう。前川前事務次官から今回の騒ぎまで、文科省の腐敗体質にはただただ呆れるばかりです。獣医学部新設を長年認可してこなかったように、文科省の規制体質は国の行政をゆがめている。文科省のさじ加減で私立大学の経営が左右され、文科省高官の子供の裏口入学まで行われている。
歴史教科書でも中国、韓国に遠慮して古代の日本の歴史が失われている。遺跡発掘や日本周辺の人のDNA比較などで、日本のルーツは明確になっておるにも関わらず、縄文から続いている日本史さえなくしている。文科省は日本の歴史を正しく教育現場に伝えようとはしないで、中国や韓国に配慮しているのが実態です。
アメリカなどでは文科省がなくても学校教育は成り立ち、科学水準も高く維持されている。はたして文科省の存在が必要なのかと思ってしまう。
United States Department of Education
教育省というのがございますね。
確かに文部科学省という名前の役所はございませんが。