日韓慰安婦合意の蒸し返しと韓国政府にとっての不都合な事実
「またか」、と思う人もいるかもしれませんが、いわゆる「慰安婦合意」を蒸し返す動きが、定期的に韓国の方から出てきます。これをどうとらえるべきでしょうか?
目次
中央日報へのコメント禁止措置
当ウェブサイトでは昨日、『中央日報日本語版を読んで、メディア・リテラシーを磨こう!』のなかで、韓国メディア『中央日報』を読むことを、強く推奨しました。コメント自由、記事も無制限で閲覧可能であるなどの理由に加え、「メディアを批判的に読む訓練になる」からです。そのうえで、
「中央日報を読むと、日々、記事に対する辛辣なコメントで溢れ返っていますが、それでも私は、中央日報が敢えて閲覧自由、コメント自由に設定してくれていることに、心から感謝したいと思うのです。」
と記載しました。
ところが、私がこの評論を掲載した当日、中央日報に私自身が打ち込んだコメントがすべて削除され、かつ、新たなコメントも禁止されてしまいました。よっぽど私のコメントが中央日報にとって都合が悪いと思ったのでしょうか?
いずれにせよ、昨日申し上げた主張のうち、
「(中央日報が)コメント自由に設定してくれていることに、心から感謝したい」
という下りについては、謹んで撤回したいと思います。
もちろん、ツイッターに「新宿会計士2」などのアカウントを設定すれば、再び中央日報に対してコメントを打ちこむことが可能だと思いますが、私は中央日報にコメントを打つために、わざわざそこまでするつもりはありません。
ただ、中央日報が「新宿会計士」のコメントを削除し、新たなコメント入力を禁止したとしても、別に私自身がウェブ言論活動そのものを封殺されるわけではありません。ツイッターのアカウントはそのまま生きていますし、当ウェブサイトは独自サーバですので、そもそも「アカウント停止」という概念がありません。
今後とも遠慮なく、当ウェブサイトで中央日報を含めたメディアに対する批判を続けたいと思います。
慰安婦合意の流れ
韓国政府、まだやっていたのか
中央日報について言及した流れで、韓国に関する話題を紹介しておきましょう。
思わず、「まだやっていたのか」、と思ってしまう記事を発見しました。それが、産経ニュース(※共同通信配信記事)に掲載された、次の記事です。
韓国、日本拠出10億円分の予備費計上 慰安婦合意に基づく日本の資金凍結(2018.7.24 14:49付 産経ニュースより)
共同通信によると、韓国政府は24日、「和解・癒やし財団」に対して拠出するために、10億円の予備費を計上すると閣議承認したそうです。
もともと、この「和解・癒やし財団」は、2015年12月の「日韓慰安婦合意」に基づき、自称元慰安婦らに現金を支給するなどの目的で、韓国政府が設立した財団であり、2016年8月に日本政府が予算から10億円の資金を拠出済みです。
ところが、朴槿恵(ぼく・きんけい)前大統領が2017年3月に罷免されたことに伴い、同年5月に後任大統領に選出された文在寅(ぶん・ざいいん)氏は、この日韓慰安婦合意自体を見直すことを政権公約に掲げており、昨年末頃から日本政府に対し、慰安婦合意の見直しを求めています。
たとえば、昨年12月27日には、韓国政府が設置した「慰安婦合意検証タスクフォース(TF)」が「検証結果」を公表し、これを受けて今年1月には康京和(こう・きょうわ)外交部長(※外相に相当)、文在寅大統領本人が相次いで慰安婦合意の見直しを求めました。
しかし、これに対して菅義偉(すが・よしひで)内閣官房長官、河野太郎外相、安倍晋三総理大臣は相次いで、日韓合意の着実かつ誠実な履行が必要だと指摘。日本政府は現在まで、「慰安婦合意は1ミリも動かない」という姿勢を堅持しています。
つまり、大々的に「慰安婦合意の見直し」をぶち上げたまではよかったものの、肝心の日本政府が慰安婦合意の見直しに一切応じる気配を見せていないため、韓国政府としても振り上げた拳の落としどころが見つからず、困惑している状況だといえるでしょう。
今回の記事も、「どうすれば良いかわからないが、とりあえずは日本政府と協議するために、日本政府から拠出された資金を凍結してみた」、ということだと思います。
とくに、韓国政府としても自分で「日韓合意を見直す」と言い出してしまった手前、収拾がつかなくなっているという側面はあるのかもしれません。慰安婦合意自体、韓国国内では「わずかな賠償金と引き換えに、慰安婦問題のすべてを封殺された」という国民の不満がうごめいているからです。
日本にも反省すべき点はある
ただし、韓国政府が困惑しているからといって、日本政府が韓国政府と協議すべき筋合いのものではありません。事態がここまでこじれたのは、「慰安婦問題」をことあるごとに政治問題として利用して来た韓国政府の自業自得でもあるからです。
慰安婦問題が日韓両国政府間で「最終的かつ不可逆的」に解決した以上、今後、慰安婦問題を巡る諸問題を含め、事態を収拾する全責任は韓国政府にあります。日本政府としては、韓国政府に対して「事態を収拾しろ」と言い放つだけで良いのです。
ところが、本来であれば日本が韓国に忖度すべきことは何一つないにも関わらず、「韓国は困っているから、日本としては韓国に配慮してあげるべきだ」、「安倍総理がお詫びの手紙を出すなどの追加的な措置を講じるべきだ」、といった「対韓配慮論」を言い出す人が出て来ます。これが日本の悪いところです。
日本が過去の振る舞いを反省し、過去の行動から教訓を得るのであれば、まずは、「無用な救いの手を差し伸べる」ということをやめるべきです。
慰安婦合意撤回の動きはブーメラン
ついでに、文在寅政権が設置した「慰安婦合意検証タスクフォース(TF)」が昨年12月27日発表した「検証結果」のなかでは、これまでは非公開だった、日韓合意における次の4つの内容なども含まれていました。
- ①被害者関連団体(挺対協など)がこの合意に不満を示す場合に韓国政府が説得することを日本政府が要請し、韓国側はこの希望を事実上受け入れた
- ②日本政府側は海外に(慰安婦被害者の)追悼碑などを設置することを韓国政府が支援しないことを要請し、韓国側は『支援することなく』との表現を非公開部分に盛り込むことに同意した
- ③日本側は韓国側に対し、「性奴隷」との表現を使わないよう求め、韓国側は政府が使用する公式名称は「日本軍慰安婦被害者問題」だけであることを非公開部分で確認した
- ④ソウルの日本大使館前に設置された少女像については、日本側が具体的な移転計画を求めたのに対し、韓国側は「適切に解決するよう努力する」と応じた
これをよく読むと、要点としては、
「仮に韓国国内で慰安婦合意に対する不満が生じたとしても、それを収集する責任は韓国側にあるし、日本大使館前に慰安婦像が設置されている問題についても解決に向けて努力する義務は韓国側にある(①、④)」
「韓国政府が民間団体による慰安婦問題を世界に広めようとする動きを支援してはならないし、ましてや韓国政府が『性奴隷』という表現を使うこと自体、適切ではない(②、③)」
ということであり、いわば、慰安婦合意を撤回しようとする動き自体が、韓国政府に対して「ブーメラン」のように突き刺さっているのだ、という言い方ができるかもしれません。
本日のオマケ:ウェブサイト運営が厳しくなってきました
当ウェブサイトでは運営を開始して以来、夜中の12時ちょうどに記事を公表するように設定してきたのですが、当ウェブサイトへのアクセス解析をしたところ、どうも朝8時台、昼12時台、夕方5時以降の3つの時間帯にアクセスが多く、夜12時に記事を公表しても閲覧数が伸びないということが判明。
ためしに夜中12時の記事公表を中止してみたのですが、アクセス数はほとんど変わりません。そこで、しばらくは記事を更新するタイミングを、朝5~8時、昼10~14時、夕方16~18時ごろに設定して運営してみたいと思います。
ただし、本日から数日間は、専門書の執筆の締切が迫っていることに加え、突発的に子供が熱を出したなどの事情もあるため、ウェブサイトの記事更新頻度は低下するかもしれません。それでもどうかご愛読いただけますと幸いです。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
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【おしらせ】人生で10冊目の出版をしました
自称元徴用工問題、自称元慰安婦問題、火器管制レーダー照射、天皇陛下侮辱、旭日旗侮辱…。韓国によるわが国に対する不法行為は留まるところを知りませんが、こうしたなか、「韓国の不法行為に基づく責任を、法的・経済的・政治的に追及する手段」を真面目に考察してみました。類書のない議論をお楽しみください。 |
【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました
日本経済の姿について、客観的な数字で読んでみました。結論からいえば、日本は財政危機の状況にはありません。むしろ日本が必要としているのは大幅な減税と財政出動、そして国債の大幅な増発です。日本経済復活を考えるうえでの議論のたたき台として、ぜひとも本書をご活用賜りますと幸いです。 |
< 更新ありがとうございます。
< 癒し財団を立ち上げ、日本から渡した金を凍結する、、?どうしたらいいか分からんって感じですね。韓国内では既に文大統領を攻撃する声が上がってます。今、支持率60%台ですか。ブーメランが韓国政府に直撃ッ(笑)。
< その韓国のSK建設が手掛けたラオスのダムが決壊し、メチャクチャな被害が出ています。現地、ラオスの国民の皆さんにはお気の毒ですが、ラオス政府が韓国と契約した時点で、終わってます。
< 多少高かろうが、日本製、日本企業に限ります。間違いなく、今回のは作り手の不手際、人災。逃げないよう、シツコク追い回しましょう。また、保障、賠償を取った後は韓国、中国企業とは関わらないようにして下さいね。
< さあ、3時の休憩は『中央日報』でも冷やかしに行こッ!
以上。
山岡鉄秀氏、ケント・ギルバート氏の朝日新聞の慰安婦報道の英語表現の訂正を求める要望の返答が来ました。その内容が公表されています。興味がある方は見てみて下さい。
https://www.youtube.com/watch?v=LpS7aTDz-k4
何時ものやり口
国内問題:経済ピンチ・支持率低下➡反日強化で話題ずらし
見出しだけ見て、保守速報みたいに広告剥がしでもされたのかと心配しました。
本業・ご家族へのケア、大事にされて、決して無理などされませんようお願いします。
さて、「文在寅さん、支持率100%に向けて是非頑張ってください」のエントリでも思ったのですが、これだけ客観的な経済指標の絶望的な数字、韓国の若者ネチズン(死語)のムン災害といったバッシングが日本にいても聞こえ伝わっているのに、なぜこれほど文在寅の支持率は高いのでしょうか。
安倍政権の支持率より興味深い謎です。
ヒトラーの支持率も、最後まで高かったそうです。
韓国民は、いくら客観的事実としてムン・ジェインの政治で生活が悪くなろうと、自分たちの選択が間違っていたとは思いたくないのでしょう。そう考えるからこそ、ムン政権の支持率は高いのです。ムン政権を支持しない、あるいは批判するということは、つまり自分の過ちを認めることになるからです。
なお、私は現在の韓国民が、かつてのドイツ国民より賢明だとは考えていません。
はじめてコメントします。このウエブサイト、虎ノ門ニュ-スをみるまで、朝日新聞、日本経済新聞、NHKの内容を信じていました。今は色々な情報を得て判断しています。このウエブサイトのコメント、読者コメントの投稿はホントに勉強になり、感謝しています。「ウェブサイト運営が厳しくなってきました」に驚いたので感謝のコメントをしました。できる限り続けくださるようお願いいたします。
韓国の通常運転に戻っただけです。契約も協定も条約も、およそ約束事が守られることはありません。関わらないのが正解です。
お疲れ様です。
閲覧が増えるタイミングから察するに、皆さん通勤中・昼食中・帰宅中に見ているように見えますね。
以前は一日にこんなに記事をアップロードして大丈夫なのかという気もしていましたが…
実際問題として、見返りのすくない努力って続けられるものでもありませんし、
上記のタイミングでアップロードするのが新宿会計士様にとって一番やりやすいのであれば、
そうするのがベストだと思います。
さて、記事の話ですが、支持率が思ったより大きく下がったので早速切札を切ってきた感じですかね?
それも単に10億貰ったことを無かったことにするのではなく、「日本ではなく自国の政府が出したことにする」という斜め上のやり方で。
本当に「他人の嫌がる事を進んでやる」国だと思います。悪い意味で。
10億をポッケナイナイしようがどうしようが、合意を交わしたことは紛れもない事実としてありますし
(なにせ、合意の機密部分を先にばらしたのはあっちですから)、こちらとしては向こうが何をお願いして来ようが「合意を履行しろ」で追い返せることに変わりはありません。
ただ、北朝鮮の事もあるので、そろそろ一発キツイお仕置きをすべきではないかとも思いますけどね。
失礼します。
この財団の出来事で印象的なのが、
前政権が倒れる前に、当時の野党(現与党)の反対で、
韓国側が負担するとされていた、財団運営費の予算が縮小され、
慰安婦への支給のみに使われるとされていた、
日本の拠出金を財団運営費に流用していたとのニュースです。
その後を知らないのですが、政権が交代して改めて財団運営費を予算化して支出し、
帳尻を合わせたというのならいざ知らず、
場合によっては一度手をつけたが最後、
際限なく流用し、ついには預金が枯渇してにっちもさっちもゆかず、
さりとて運営費名目では出せないので、日本が受け取らないのを承知の上で、
日本へ返す分という事にして10億円(相当)の予算を通して、
とりあえずこの場をしのごうなんて考えかも、
なんて邪推してしまいます。
それにしても日本側の拠出金10億円は我々国民の血税です。
国会議員には、この合意に賛成でも、反対の立場でも
その支出状況について韓国政府にしっかりとした報告、説明をさせるよう、
与野党関係なく、日本政府に要求して欲しいものです。
「もりかけ」よりもはるかに重要な事のように思えます。
外国政府からの拠出金を預かり、自国政府からの公金支出を受ける財団ですから、
それ相当の決算書類くらい作成している。(はず)
公的な財団でそれを公表出来ない事情なんてない。(はず)
私の住む地域では町会でさえ年に一回、それなりの決算報告をしています。
(まあ、町会も自治体からの公金を受領していますから当たり前かもしれませんが)
失礼しました。
>中央日報に私自身が打ち込んだコメントがすべて削除され、かつ、新たなコメントも禁止されてしまいました。
正論に対しては勝ち目がないことを中央日報が悟ったのでしょうね。頑張ってください。