故・松本龍元復興相の言動を、きちんと振り返り記録すべきだ
昨日死亡した松本龍氏といえば、元衆議院議員で、東日本大震災の直後に復興相に就任し、1週間で辞表を提出した人物です。一応はご冥福をお祈りしたいと思いますが、だからといって彼がやったことを「なかったこと」にすべきではありません。事実関係をきちんと振り返り、必要な教訓をきちんと後世に残すべきでしょう。
目次
松本龍氏の死亡
「松本龍事件」をうやむやにしない
元衆議院議員の松本龍氏(67)が昨日、肺がんのため死亡しました。とりあえずはご冥福を祈りたいと思います。
ただ、死亡したからといって、この人物がやったことを「なかったこと」にすることは許されません。それは、2011年3月11日に発生した東日本大震災を受け、同氏が「復興担当相」に就任した際に被災地で行った言動などに、極めて大きな問題があった、ということです。
この東日本大震災については、私自身も影響を受けましたし、また、さまざまな報道をリアルタイムで追いかけていたため、強く印象に残っています。そして、2011年といえば、私自身もすでに大手ブログサイトにブログを開設し、自分なりの「政治経済評論」を開始していました。
私は記事を書くに当たり、当時から、「正確な情報をもとに記事を執筆する」ということを心がけていたつもりであり、当時のメモ書きは今でも私の手元に残っています。これらを振り返ってみると、今日に繋がる「野党とマス・メディアの問題」とまったく同じであると思うのです。
客観的な事実を列挙
松本氏は大震災から3ヵ月後の2011年6月27日に復興担当相に就任しましたが、その約1週間後の7月5日に辞表を提出しています。辞任する直接のきっかけとなったのは、宮城県庁での松本氏の言動が、東北放送で報道され、それがYouTubeを通じて、あっというまに拡散したからです。
まずは、松本氏が復興担当相に就任して以降の客観的事実を振り返っておきましょう。情報源は私自身の手元メモです(ただし、さすがに古い事件なので、当時の報道については、リンクがほとんど消えてしまっており、情報源をお示しできない点については申し訳ございません)。
- 2011年6月27日…復興担当相就任に伴い環境相を辞任
- 2011年7月3日…岩手県庁と宮城県庁を訪問した際に暴言を吐く
- 2011年7月5日…復興担当相の辞表を提出
- 2011年7月11日…病院に入院
- 2012年12月16日…衆議院議員総選挙で小選挙区(福岡1区)で落選、比例でも復活当選せず
- 2014年12月14日…衆議院議員総選挙への出馬自体を見送り
7月3日の宮城県での行動は、こうです。
約束の午後2時15分に応接室に入室して来た宮城県の村井嘉浩知事に対し、松本氏は冒頭で握手を拒絶。さらに、村井知事からの要望書を受け取った直後に椅子にふんぞり返り、開口一番に村井知事を人差し指で指さしながら、命令口調で
「(復興に関しては)県でコンセンサスを得ろよ。そうしないと我々は何もしないぞ。ちゃんとやれ。」
と発言。さらには、自分が県の応接室に入室する際に村井知事が先に応接室に入っていなかったことについて、
「いま、後から自分が入ってきたけど、お客さんが入ってくる時は、自分が入ってからお客さん呼べ。いいか?長幼の序がわかっている自衛隊ならそんなことやるぞ。分かった?はい。しっかりやれよ。」
と発言します。そして、この発言に続き、居合わせた報道陣に対して、
「あのぉ、最後の言葉はオフレコです。いいですか、みなさん。いいですか?書いたらもうその社は終わりだから。」
と付け加えたのです。
どこがどう問題なのか?
まず、松本氏は村井知事に対し、「自分がお客さんなんだから、まずは自分が応接室に入ってからお客さんを呼べ」と言い放ちました。しかし、まともな社会人の経験があれば、どこかの会社・役所を訪問する際には、まず応接室に通されて、その応接室に面談相手が入室するのはごく普通だとわかるはずです。
逆に、相手が応接室であらかじめ待っている方がよほど特殊です(たとえば「マル暴案件」、つまり反社会的団体が関わる案件など)。松本氏の言動から判断すると、松本氏自身が反社会的勢力として、常に役所を恫喝し続けてきた結果、「役所に行けば相手が待っているものだ」と勘違いしたのでしょうか?
そう疑われても文句は言えないでしょう。
次に、「長幼の序」を持ち出した松本氏の態度からは、「自分が上」「相手が下」という上下関係意識を隠す意図すらありません。しかし、大臣と県知事は単純に役割分担をしているだけの話であり、別に「大臣が上」で「県知事が下」ではありません。彼が行っているのは単なる恫喝です。
さらに、村井知事との会見で、居合わせたメディア関係者が凍りついたためでしょうか、さすがに自分でこの発言はまずいと思ったのか、慌ててとっさにマス・メディアに対しても「このやりとりを報道するな」と恫喝した格好ですが、まさに極めて尊大かつ非常識な態度であり、大臣以前に社会人として問題があります。
本質は「マスゴミの問題」だった
東北放送がやりとりを詳報
ところで、松本氏はマス・メディアを「書いたらその社は終わりだからね」と恫喝した結果、在京メディアなどはこの場面をかなり伏せ、松本氏に配慮した報道を流したのですが、こうした動きに逆らった会社が1社だけありました。それが地元の「東北放送」です。
この東北放送だけは、問題の場面をノーカットで放送。さらにこの放送を誰かがYouTubeにアップロードしたことで、あっという間に全国に拡散しました。その結果、もはや隠せなくなったために、全国紙や在京キー局などが慌ててこの事実を報じざるを得なくなったというのが真相に近いのです。
それだけではありません。この宮城県庁でのやり取りが明らかになったあとで、松本氏が岩手県庁を訪れた際にも、増田達也知事(当時)に対し、県庁の玄関でいきなりサッカーボールを蹴り込み、その後、
「おれ、九州の人間だから、東北の何市がどこの県とか、わからん」
「知恵を出したところは助けるけれど、知恵を出さないところは助けないぞ」
などといった暴言を吐いていたことも判明しました。
こうした一連のやり取りを見ていると、正直、この松本龍復興担当相という人物は、人間として大切な、どこか根本的なところに深刻な欠陥を抱えていたのではないかと思わざるを得ません。結局、松本氏は東北放送の報道のおかげで、この発言からわずか2日後に辞表提出に追い込まれます。
マス・メディアこそ猛省が必要だ
ただ、松本氏の発言の真の問題点は、在京メディアがほぼ全社(産経新聞まで含めて)、そろってこの松本氏の発言を覆い隠したことにあります。そして、私が先ほど紹介した松本氏の発言も、もともとは、東北放送が流したものであり、在京メディアなどから得たものではありません。
マス・メディアが「報道しない自由」を駆使して松本氏をかばっていたことが露呈した格好ですが、マス・メディア各社は呆れたことに、SNSなどで事実が拡散してしまったことを見て、慌ててこれを報道したのです。どう考えてもアリバイ作りのためとしか思えません。
逆に言えば、もし東北放送がこのやりとりを報道していなければ、松本氏が辞任することもなく、したがって、復興はさらに遅れていたに違いありません。このように考えていけば、本当の問題点とは、まさにマス・メディアによる「報道しない自由」にあると言わざるを得ません。
そのマス・メディア業界は、いまだに記者クラブ制度により、独占的に情報を得る仕組みを既得権として維持しています(※この問題点については、今年5月に執筆した『RSFランキング最新版と倒産に向かうマスゴミ』もご参照ください)。
ここで「マスゴミ」とは、私の理解では「ゴミのような情報ばかりを垂れ流すマス・メディアに対する怒りを込めたネット・スラング」のことですが、垂れ流す情報だけでなく、彼らの取材方法もゴミです(『災害報道の共同通信の新人記者は被害者ではなく立派な加害者』参照)。
こうしたゴミのような酷い取材スタンス、報道スタンスの問題と、マス・メディアをすっ飛ばしてSNSにより情報が拡散するという構図は、すでに今から7年前の時点で確立しつつあった、という点については、なかなか興味深い事実だと思います。
「攻め」に強くても批判には極端に弱い
この「松本龍事件」を巡り、もう1つ、私が個人的に「非常に興味深い」と感じたことがあります。
それは、左巻きの政治家、活動家らは、誰かを批判する時には威勢が良い割に、自分が批判に晒された時に、極端に打たれ弱い、という点です。実際、松本氏は2011年7月5日に辞表を提出していますが、その約1週間後には九州大学病院に入院しています。
「豆腐のようなメンタル」という表現がありますが、松本氏のメンタルはまさに豆腐のように脆弱だったのでしょう。宮城県庁や岩手県庁での恫喝は、彼の「強さの証拠」ではなく、むしろ「内面の弱さ」を誤魔化すために、偉そうに虚勢を張っていただけなのではないかとも思えるのです。
松本龍氏自身は、「部落解放の父」ともいわれる松本治一郎の養子の息子です。「部落解放同盟中央本部」によると、この松本治一郎は、「全国水平社」の九州版である「全九州水平社」の創設者でもあり、戦後は日本社会党結成にも参加し、初代参議院副議長に選出された人物でもあります。
また、福岡空港の用地は松本一族が所有していて、莫大な地代が支払われているという報道もあります。これについては、松本治一郎が参議院副議長としての地位を悪用し、空港建設に先立って土地を買い占めたからではないかとの疑いもあるようですが、真偽のほどはさだかではありません。
ネットが変える社会
いずれにせよ、「松本龍事件」とは、
「素性の知れない怪しい人間が大臣に就任してしまい、いつものパターンで相手を恫喝したところ、それがポロッと報道されてしまい、そこからインターネットを通じて爆発的に広まり、批判を浴びて撃沈した」
と要約できるでしょう。
当時の民主党(現在の立憲民主党や国民民主党)に属する人材にも大きな問題があったと言えますが、それだけではなく、なぜかマス・メディアの報道姿勢が特定の政治勢力(当時は与党・民主党、現在は野党・立憲民主党など)に対して異常に甘いのも問題です。
ただ、それと同時にインターネットが松本龍氏を葬り去る原動力となったことは、高く評価に値するでしょう。実は、この2011年7月の「松本龍事件」の翌月、2011年8月には、お台場にあるフジテレビの本社前で6000人もの人々が参加するデモ行進が行われています。
このデモ自体、フジテレビを筆頭とする在京テレビ局などはほぼ完全に無視しましたが、いまやフジテレビは「独り負け状態」ですし(これについては「嫌なら見るな」というキーワードで検索すればすぐにわかると思います)、インターネット上ではテレビ局や新聞社を冷ややかに見る意見が広まっています。
あの地震からすでに7年以上が経過しましたが、災害時におけるインターネットの威力はますます強まっており、西日本豪雨で爆音を立てながら被災地上空を飛び回る朝日新聞社の報道ヘリを見て、「撃ち落すべきだ」とする極論に対し、共感する人が多いのも、マス・メディア不信の証拠でしょう。
いずれにせよ、私自身は「松本龍事件」を改めて振り返ると、立憲民主党と国民民主党と日本共産党には絶対に政権を握らせてはならないと痛感してしまうのです。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
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冥福は祈りますが、当時仙台に住んでいた私は、彼の言ったこと、やったことは、一生忘れません。
松本龍 復興大臣 「自分が入ってからお客さんを呼べ」 – YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=A5b9IVYcneU
1:10あたりから、「オフレコだからな、書いたらその社(マスゴミ)は終わり」と恫喝しますが、
同行したマスゴミから、それに応えるように笑い声すら聞こえます。
しかし、被災した仙台の東北放送には侮辱されたように感じ放送したのでしょう。
私は、当日のOAで見ましたが、怒りに震えたのをはっきり覚えています。
書くまでもないと思いますが、任命したのは、民主党の菅直人です。
< 更新ありがとうございます。
< 落選した後、どうしたのやらと思っていたら、訃報ですか。1年以上前にこのコメント欄で松本龍氏の県知事への傲慢な態度、侮辱する発言について割と詳しく、かつ非難の発言をいたしました。県庁玄関でサッカーボールを知事に向けて蹴り込み、『キックオフだ!』って何のパフォーマンスなんだろう?知事は敵チームか(笑)。
< 国会議員などには、成ってはいけなかった方ですね。ただ、養祖父が水平社の大物、本人も『部落解放同盟』(解同)の重鎮です。いわば既得権護る、ゴネ方知ってます。実父から地盤を譲られて日本社会党から当選。国鉄時代の労働運動にも関わってました。『なんでも反対、基本的人権を護れ、福祉の充実をしろ』を喚いて来た方です。
< 強面で辺りを圧する態度は、その経歴から分かります。つまり、シタテに出たら舐められる、、いつも身体に装甲を巻いてたんでしょう。実際、『東北知事侮辱事件・東北震災舌禍事件』以外、あまり記憶に残る議員業績は無い。
< もっとも民主党政権で、人材が枯渇していたから、こんな非常識な方でも復興特命相に任命された。余談だがこの方、親が福岡で有名な土建屋で、福岡空港の土地も広範囲に抑えてます。
< また実弟の自宅には数年前、自宅に数発の拳銃弾が撃ち込まれている。姻戚関係者に指定暴力団K会の会長がいる。立候補出来るんですか?(笑)。
< とにかくややこしい、グレーな方です。こんな方を選んでた福岡県民は、土建屋の仕事で地元にカネが落ちてたんでしょう。でも、今後は【絶対やめとけ】【後継者にも投票するな】です。良識疑われますよ! 以上。
以前に貴ブログで取り上げた朝日新聞Twitterでのアダルトコンテンツ事件でも思ったことですが、どうも政治家やマスゴミの多くはITテクノロジーに疎過ぎるのではと感じます。
IT技術基礎みたいな授業が義務教育で行われる日が本当に来るのかも知れません。
※個人的にはプログラミングよりもインターネット検索術を義務教育で教える方が良いと思っています。
知事は遅れてはいなかった…早く到着しといて逆ギレwww
県庁関係者
会談は3日の午後2時15分から設定されており、知事は時間通りに入室している。
通常、知事の来客がある際は、誰であっても先に応接室に入室してもらうのが一般的。
相手の準備を邪魔しない配慮もある。
他県も民間企業も同様の対応を取っているはずだ。
ちょっと気になる記事を見つけたので備忘録としてコメントしておきます。
朝日新聞系のアエラでは素晴らしい人物だったことにしたいようです。
https://dot.asahi.com/dot/2018072400064.html
当時の村井知事との面会での発言に関して適当に記事を引用しておきます。
「トップダウンで復興計画を決めようとしている村井知事に対して、被災者の怒りを知事に直接ぶつけたつもりだったのだろう。」
「龍さんは理由もなくあんなことを言う人ではない。何であんなに激しい口調になったのか、その背景を知ってほしい。」
「震災対応で緊張の連続で、最後は疲れ過ぎで感情のコントロールができなくなってしまったのだと思う。」
この記者は当時忙しかったのは松本氏だけだったとでも思っているのでしょうか。また被災地の直接の所管は地方自治体です。漁村の高台移転など反対も多かったのは承知のことですが100年先を見通した防災対策が政治判断として求められていたときに、適当に反対意見をピックアップしてもしかたがないでしょう。
デスマーチや3連徹夜も経験してきたものとして、極限状態のプロジェクト中に意味なく怒ったり、泣き言を言うリーダーは最悪です。緊張の糸を緩ませず、モチベーションを維持しながら全員の持てるパワーを絞り出すのが当時の松本市の仕事だったはずです。このことからもこの人は政治家ましてや大臣の器ではなかったことは断言できます。