日本の違法民泊問題がなぜか韓国メディアに取り上げられる

本日から「民泊新法」が適用されるとともに、違法民泊に対する罰則が大幅に強化されます。ただ、日本国外の某国のメディアが、この問題に深い関心を寄せているようなのです。

違法民泊が消えた?

個人的に経験している違法民泊被害

以前から当ウェブサイトでは何度か「違法民泊問題」について取り上げており、つい先週土曜日にも、『民泊新法と違法民泊問題の振り返り』という記事を掲載したばかりです。

私自身、東京都新宿区内のマンションに居住しているのですが、以前から当ウェブサイトで取り上げてきたとおり、数年前から、マンション内で「明らかに居住者ではない人たち」を見かけるようになりました。彼らは当マンション内に設けられた違法民泊物件の利用者です。

見たところ、これらの利用者の9割がた、つまり圧倒的多数は外国人ですが、日本人も1割くらいはいます。また、外国人の多くは中国人や韓国人と思しき人たちですが、西洋人と思しき人たちもいます。いずれにせよ、彼らはさまざまな問題を引き起こしています。

たとえば、彼らは大きなスーツケースを抱えてエレベーターを利用します。このため、わが家がベビーカーを押しているときには、エレベーターに乗りきれないこともあります。つまり、本来ならば居住者が優先的に利用すべきエレベーターが、違法民泊の利用者によって占領されてしまっているのです。

また、当マンションはロビーや共用廊下部分が禁煙なのですが、民泊利用者のなかには、これらの禁煙区画で堂々とタバコに火をつけている者もいます(もっとも、居住者のなかにも禁煙場所で喫煙している不届きな輩は存在していますが…)。

さらに、彼らはマンションのゴミ出しのルールの違反、夜間に大騒ぎするなどの騒音被害など、さまざまな問題をもたらしています。おりしも、関西の民泊を舞台にした犯罪が発生したこともあり、違法民泊物件の近隣住民はこうした利用者に強い不安を抱いているのです。

ここ1週間で、違法民泊利用客が消滅

ところが、ここ1週間、私の居住するマンションで、突然、こうした違法民泊の利用者を見かけなくなりました。なぜでしょうか?おそらく、本日から施行される「民泊新法」の影響でしょう。『民泊新法と違法民泊問題の振り返り』で触れた民泊新法について、ここで、簡単に振り返っておきましょう。

まず、①民泊事業を営む場合には、事前に、都道府県知事などに届け出る必要があります。次に、②年間営業日数の上限は180泊以内とし、各自治体がこれよりも厳しい制限を設けることもできます。さらに、③違法な民泊に対する罰則は、最大で懲役6ヵ月と罰金100万円の併科にまで引き上げられました。

一方、私が居住しているマンションでは、2年前の総会で管理規約を改正し、民泊を禁止しました。当然、この「民泊新法」が適用された場合でも、当マンションで行政側からの民泊営業許可は下りません。それでも無理やり違法民泊営業を続けた場合、その事業者に厳しい刑事罰が下される可能性があります。

これこそが、私の居住するマンションから違法民泊利用者がいなくなった理由でしょう。

なぜか違法民泊問題に関心を寄せる韓国メディア

なぜ韓国メディアが関心を?

ところで、なぜこの違法民泊の話題をもう1度持ち出したのかといえば、なぜか韓国のメディア『中央日報』(日本語版)が昨日、この問題を取り上げているからです。

日本を訪問する外国人観光客、「民泊取り消し」で混乱(2018年06月14日10時30分付 中央日報日本語版より)

違法民泊の紹介サイトの最大手と言えば「Airbnb(エアビーエヌビー)」ですが、中央日報はこのAirbnbが6月15日(つまり本日)以降の予約を一方的に取り消している、という話題を取り上げています。

中央日報は民泊新法の施行を前に、Airbnb側が「違法営業を避けるために6月分の予約を取り消している」と報じていますが、これは正しくありません。今までも違法民泊の営業は違法だからです。ただし、Airbnb側が慌てて予約を取り消しているのは、6月15日以降に罰則が強化されるからでしょう。

ただ、私が注目するのは、違法民泊物件やAirbnbという犯罪組織の動向について、ではありません。韓国メディアが、なぜか日本の違法民泊問題に注目している、という事実です。いったいなぜ、韓国メディアがこれに注目しているのでしょうか?

それには、2つの理由があると思います。

1つ目の理由は、韓国自身が「観光立国」を政策課題に掲げており、「2020年までに4000万人の訪日外国人観光客」を目標に掲げる日本に、やたらと対抗意識を持っているためだと思います(もっとも、中国人観光客の激減により、現在、訪韓外国人数は低迷しているようですが…)。

こちらの要因については、別に大して重要なものではありません。しかし、私の仮説では、2つ目の理由こそが重要です。それは、現実に韓国国内で、「日本で違法民泊の取締りが強化されること」に対する関心が高いからではないでしょうか?

あまり根拠もなく断言するのは適切ではありませんが、あえて申し上げます。ずばり、「Airbnbを使った日本の違法民泊物件の紹介を受けることが出来なくて困っている韓国人が多いから」、ではないかと思うのです。

中国人、韓国人観光客の急増

1つ知っておかねばならないことがあるとすれば、日本を訪れる中国人や韓国人が近年、急増している、という事実です。これについては近日中に、どこかで詳しく触れたいと思っているのですが、本日は取り急ぎ、日本政府観光局(JNTO)の『国籍/月別 訪日外客数』を見ておきましょう。

現時点で手に入る最新版は2018年4月までのデータですが(3・4月は速報ベース)、これによると、単月で見ても、連月で見ても、日本への入国者数に占める中国人、韓国人の割合が非常に高いことがわかります(図表1図表2)。

図表1 今年4月までの国籍別入国者数(単月)
集計期間総数中国韓国
2018年4月2,900,700683,400638,500
2018年3月2,607,900594,900619,200
2018年2月2,509,297716,333708,318
2018年1月2,501,409632,304803,816

(【出所】JNTOウェブサイトより著者作成)

図表2 今年4月までの国籍別入国者数(12ヵ月連続値)
集計期間総数中国韓国
2017年5月~2018年4月30,094,3067,805,3357,641,863
2016年5月~2017年4月25,321,2566,564,0475,624,987
2015年5月~2016年4月21,675,9815,651,4804,483,102
2014年5月~2015年4月15,203,3533,069,8413,134,662
2013年5月~2014年4月11,291,8521,627,2712,449,239
2012年5月~2013年4月8,851,8361,284,0032,278,157

(【出所】JNTOウェブサイトより著者作成)

これで見ると、とくに直近1年で入国者全体に占める中韓国籍者の比率は、それぞれ25%前後を占めており、日本入国者に占める両国の比率は約50%にも達している計算です。また、今年の傾向としては、韓国人入国者の人数が中国人入国者の人数を上回る月がある、という点も見逃せません。

韓国メディアがこの問題に関心を抱く理由は、まさにこうしたAirbnbの営業停止により、多くの韓国人が影響を受けているため、なのかもしれません。

さまざまな問題が発生する

訪日旅客4000万人目標に反対する

さて、当ウェブサイトは「ネトウヨサイト」ではありません。そして、「中韓の人々が日本に来たら治安が悪くなる」、といった短絡的な議論に、私は与するつもりはありません。ただ、あくまでも一般論として申し上げるならば、さまざまなフリクションが起こるのは当然の話です。

以前から問題視しているAirbnbの違法営業についても、利用者に中韓両国民が多いのは事実でしょうが、それに限られているわけではありません。私が確認しただけでも、欧米系の旅行者が違法民泊物件を利用していることは間違いないからです。

しかも、そもそもAirbnbで紹介されている違法民泊物件に泊まろうとする需要がある理由は、欧米主要国と比べて物価が安いはずの日本で、ホテル代すら払うのがもったいないと思うようなレベルの旅行者が、大量に日本に押し寄せているからでしょう。

安倍政権が外交面で目覚ましい成果を挙げていることは事実ですが、それと同時に、安倍政権が掲げる経済政策には疑問を抱かざるを得ないものも数多くあります。安倍政権が掲げる「訪日観光客4000万人目標」が、その典型例でしょう。

もちろん、多くの人が日本を訪れ、日本の文化、社会、料理、生活などに触れ、日本を好きになって帰って行ってくれること自体は、世界中で日本に対するファンを増やすことに貢献します。しかし、それとともに、筋の悪い旅行者が日本にやってきて、様々な問題を引き起こすことは好ましくありません。

不法就労問題と民主党政権

さらには、観光ビザで日本にやってきて、日本に不法滞在するという輩は、少なくない人数、存在しています。なかには日本に「亡命申請」をし、その間は就労するという不届きな外国人もいたほどです。もっとも、下記記事にあるとおり、制度改正により、この制度自体は廃止されました。

法務省、難民申請後6ヵ月での就労許可を廃止 在留の制限強化(2018年1月12日 17:11付 ロイターより)

ロイターによると、難民申請をした外国人が、申請後6ヵ月以降は就労できる、という制度があったのですが、これについては今年1月に、ようやく廃止されたのだとか。ちなみに記事によれば、この制度ができたのは、2010年3月、つまり民主党・鳩山政権下です。

余談ですが、本当に民主党政権が終了したのは日本のために良いことだったと思います。

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

さて、違法民泊物件は本日以降、なくなるのでしょうか、それとも存続するのでしょうか?

これについては現段階ではまだわかりません。しかし、違法民泊物件の罰則が強化されたことと、Airbnbという犯罪まがいの組織が、さっさと違法民泊物件の紹介から手を引き始めたことで、この問題はある程度、沈静化すると期待しています。

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