【夜刊】米軍によるシリア攻撃と北朝鮮
米国が英仏両国と合同でシリア攻撃に踏み切りました。これについては事実関係をざっとまとめておくとともに、とくに北朝鮮との関係について振り返っておきましょう。
シリア攻撃に関するWSJ報道
今回の攻撃はあくまでも “reprisal”
米国が英国、フランスとともに、米国時間13日(金)午後9時(日本時間14日(土)午前10時)に、シリアに対する攻撃を開始しました。
U.S., U.K. and France Launch Strikes Against Syria(米国夏時間2018/04/14(土) 02:46付=日本時間2018/04/14(土) 15:46付 WSJオンラインより)
米メディア『ウォール・ストリート・ジャーナル』(WSJ)電子版によると、今回の攻撃はシリアのアサド政権による「化学兵器を用いた自国民に対する攻撃」の疑いが生じていることに関連して、同国の化学兵器拠点をターゲットとした空爆作戦を実施するものです。
WSJによると、この化学兵器による攻撃で、先週、少なくとも43人の市民が犠牲になり、数百人以上が負傷したとしています(ただし、WSJが米メディアであり、最初から米国寄りにかなりのバイアスが掛かっている可能性があるという点には注意する必要があると思いますが…)。
といっても、今回の攻撃は、あくまでも “reprisal” と呼ばれるものです。この “reprisal” 、うまい日本語訳が見つからないのですが、辞書的に言えば、「戦争に突入しない程度の政治的・軍事的な制裁を加える、国際法上の実力行使」のことです。
実際、ドナルド・トランプ米大統領は、金曜日の夜、ホワイトハウスで会見し、今回の空爆の目的はあくまでも「化学兵器を破壊すること」にあるとしており、別にアサド政権自体を倒すものではありません。
ポイント①米露関係
ただし、今回の攻撃については、単純に「米国対シリア」というだけのものではありません。少なくとも重要なポイントは2つあり、そのうちの1つが、ロシアとの関係です。
WSJからの孫引きですが、ドナルド・トランプ米大統領は今回の攻撃の原因を作ったのがロシアであると述べています。
Mr. Trump blamed “Russia’s failure” for the suspected chemical attack in Syria, saying Moscow had vowed to stop the use of such weapons in the country. He said Russia needs to decide whether it will continue down a “dark path” in Syria or become a force for “stability and peace.” (仮訳)シリアで自国民に対する化学兵器を用いた攻撃の疑いが生じていることに関連し、トランプ大統領は金曜日の夜、「化学兵器使用を止めなかったロシアに責任がある」と指摘。シリアとともに「汚い道」を歩むのか、「安定と平和」を実現する仲間となるのかを選ぶ必要があると述べた。
“Hopefully, someday, we’ll get along with Russia, and maybe even Iran—but maybe not,” Mr. Trump said.(仮訳)トランプ氏は「私たちが将来、ロシア、さらにはイランとともに歩めれば良いのだが、しかしそうではない可能性もある」と述べた。
つまり、シリア攻撃の裏には、米国が「アサド政権を支援するロシア」との対決姿勢を強めているという要因があります。実際にロシアがアサド政権を支援しているかどうかではなく、米国がそう見なしている、という点が重要です。
折しも、『【緊急速報】西側諸国がロシア外交官追放:日本に漁夫の利?』でも報告したとおり、西側諸国ではロシアの外交官の追放が相次いでいます。2014年にロシアがウクライナ領だったクリミア半島とセヴァストポリ市を併合して以来、西側諸国とロシアとの関係は悪化の一途をたどっているのです。
ポイント②北朝鮮との密接なつながり?
一方で、WSJの記事には指摘されていませんが、2つ目のポイントは、シリアと北朝鮮との密接なつながり(の可能性)です。
北朝鮮は核開発ですっかり有名になりましたが、北朝鮮が所持・開発しているのは、核兵器だけではありません。サリンガス、VXガス、天然痘ウィルスなど、生物・化学兵器も大量に所持しているようです。昨年2月、マレーシアでの金正男(きん・せいだん)の暗殺も、毒ガスが使われたと見て良いでしょう。
報道等によれば、北朝鮮が開発中のICBMには、現時点では、核兵器を搭載した状態で米国本土まで到達する能力はありません。しかし、このICBMに、重たい核兵器ではなく熱に強い生物・化学兵器を搭載すれば、事情は変わって来るのではないでしょうか?
いずれにせよ、北朝鮮が大量破壊兵器を開発する理由は、自国が使用するためだけでなく、中東地域などに転売して儲けるという、邪悪な意図があることは間違いないと見て良いでしょう。
地球上から消えるべき王朝
北朝鮮は、人身売買、保険金詐欺、ニセ札・麻薬製造などで資金を稼ぎ、稼いだ資金で生物・化学兵器、核兵器、ミサイルなどを開発しています。果たして北朝鮮の金王朝は、これで人類に何か貢献しているといえるのでしょうか?私は決してそうは思いません。
英米メディアはシリアの化学兵器やイランの核開発などに注目しているようですが、「悪の連鎖」を断ち切るためには、それだけでは不十分です。やはり、人類に対して悪さをしようとする金王朝自体を、この地球上から消し去らなければならないと私は考えます。
拉致問題も核問題も、大量破壊兵器問題まで含めて、一挙に解決する方法は、独裁者である金正恩(きん・しょうおん)を排除する以外にはありえません。
この点、今回のシリア攻撃で、もしかすると金正恩は布団を引っ被り、ブルブル、ガタガタ震えているのかもしれません。
ただ、現状で考えるならば、金王朝の打倒を目的とした北朝鮮攻撃は、極めて困難です。なぜなら、中国共産党、ロシアが、陰に陽に、北朝鮮に対して支援を提供しているからです。日本が改憲に成功して自衛隊を日本軍に改組したあと、日米連合軍が北朝鮮に攻め込んだところで、ロシア、中国の介入を招くのが関の山でしょう。
それだけではありません。
いまや、北朝鮮の代理人(エージェント)に成り果てた、南の文在寅(ぶん・ざいいん)政権が、日米連合軍による金王朝除去を邪魔しに来ることは目に見えています。さらに、日本国内に目を転じれば、マス・メディアが「もりかけテロ攻撃」により、安倍政権を妨害し、攻撃して来ています。
日本の前途は多難です。日本国民が団結し、国難を乗り切るために、迂遠(うえん)ではありますが、まずはマス・メディアと反日野党の排除が必要ではないかと思うのです。シリア攻撃の報道に接し、その思いを、ますます強くした次第です。
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