【夕刊】中華帝国への先祖返り:事実上の皇帝制度の復活へ

本日2本目の記事は、「夕刊」といいながらも朝9時台の配信です。久しぶりに中国の話題を取り上げたいと思います。

中国で事実上の皇帝制度

とんでもない報道に驚く!

昨日のメディアの報道で、とんでもない話題を発見しました。

中国、国家主席の任期撤廃の改憲案提出 習近平氏の長期政権に現実味(2018.2.25 19:47付 産経ニュースより)
中国、国家主席の任期撤廃へ 習近平政権3期目可能に/新華社報道、3月の全人代で正式決定(2018/2/25 18:42付 日本経済新聞電子版より)

すでにいくつかのメディアが報じていますが、中国共産党中央委員会が国家主席の任期に関する規定を削除する改憲案を全国人民代表大会(全人代)に提出したそうです。これにより、習近平(しゅう・きんぺい)氏が、事実上、中国国家主席として無制限に在任できることになります。

大統領の任期規定を撤廃した国としては、ロシアの例がありますが、それでもロシアの場合は、形式上は民主主義制度を維持しており、大統領はロシア国民の投票により選ばれます。しかし、中国の場合、中国国家主席は中国人民の投票で選ばれたわけではありません。

いわば、中国が「先祖返り」し、事実上の「皇帝制度」を採用した格好だと言っても良いでしょう。

「習近平皇帝陛下」の問題点

習近平氏は昨年秋の中国共産党大会で2期目に入ったばかりですが、「権力基盤を固めた」とされているわりに、私の目から見て彼の指導力には疑念を払拭することができません。

一例を挙げるならば、北朝鮮の核開発問題があります。昨年4月、習近平氏は米国のドナルド・トランプ大統領と首脳会談を行い、その場でトランプ氏から北朝鮮の核開発問題解決への協力を求められたものの、結局、中国はこの問題を解決することができませんでした。

また、南シナ海への海上進出は周辺国と無用なコンフリクトを招く形で現在も進められており、東南アジア諸国連合(ASEAN)の中では中国への警戒論が高まっていますし、アジアインフラ投資銀行(AIIB)や一帯一路構想の行き詰まりも明らかになって来ています。

ところで、古今東西、国家には常に2つの存在目的があります。それは、(1)国民の生命と安全を守ること、(2)国民を腹いっぱい食べさせること、です。このうち(1)を「安全保障」、(2)を「経済的発展」と呼ぶことにしましょう。

中国共産党は、このうち(1)については失格です。なぜなら、中国共産党一党独裁を批判した瞬間、中国人民は拘束されてしまいますし、また、東南アジアとのコンフリクトを高めていることは、中・長期的に見て、却って中国の安全を危うくする行為です。

一方、(2)については、1990年代以降は「社会主義市場経済」なる意味不明の概念を持ち出しつつも、外資を導入して安価な労働力を提供することで、猛烈な経済発展をすることに成功しました。ただ、投資と輸出に依存した強引な経済発展は限界を迎えつつあることも事実です。

そうなってくれば、(1)政治的自由がない状況で、(2)経済発展が見込めない状況が到来しているということであり、中国共産党は人民の不満をそらすための何らかの対策を行わなければならない、ということでもあるのです。

貧すれば鈍する:中国は暴走する!

中国共産党の正当性は、これまで、まがりなりにも経済発展を達成してきたことにあります。人民の多くはいまだに貧しいものの、中国は全体として、人口をそこそこ食べさせていけるようになりました。政治的な自由はなくても、「将来はより豊かになる」という期待があったからこそ、中国の政治は安定していたのです。

しかし、経済発展が停滞して来たことは、間違いなく、中国の政治を不安定化させます。なぜなら、中国は日本や米国などと違って、政治的な自由がないからです。そして、政治的自由も経済的発展もなければ、人民は絶望のあまり、破れかぶれで反乱を起こしかねません。

これが、「易姓革命」の歴史でしょう。

ということは、中国共産党としては、「中国が海外で領土を獲得した!」「外国人使節が北京に朝貢して来た!」といったプロパガンダを人民に喧伝することで、何とか政権の安定化を図るしかなくなります。そのターゲットは、日本です。

中国共産党は、すでに日本を「悪者」に仕立てるプロパガンダ作戦を実施に移しています。その一例が、「従軍慰安婦問題」です。中国にとっての「鉄砲玉」である韓国を使役して、日本を徹底的に貶める戦術を、それこそ世界中で展開しているのです。

そして、今後は「日本が平和憲法を改正し、過去の侵略国家になろうとしている!」などと批判し、場合によっては日本と事を構えようとするでしょう。そうなれば、一触即発の危機に陥るのです。

日本は改憲を急げ!

では、日本はいったい何をしなければならないのでしょうか?

やることは決まっています。それは、①カウンター・プロパガンダと、②憲法改正、です。

このうち、残念ながら①については、現在の日本には、まったくできていません。中国が「南京大屠殺」や「従軍慰安婦問題」で日本を貶めて来るならば、日本は全力で、「天安門事件」や「チベット問題」を全世界で喧伝すべきです。

なぜなら、「南京大屠殺」にせよ「従軍慰安婦問題」にせよ、いずれも中国が日本を世界で弱体化させることを目的に展開しているウソのプロパガンダであり、これを封殺するためには、中国の「弱点」を突くしかないのです。

一方の②については、意外に思う方もいらっしゃるかもしれません。「日本が軍備を整えれば、中国を刺激して戦争になる」、「だから現状の平和憲法を動かすべきではない」、といった議論は、保守派の論客からも出ているからです。

しかし、こうした考え方は間違っています。中国が軍事的に暴発するリスクが高まっているのであれば、なおさら、私たち日本はこれに備えなければなりません。そして、日本がきちんと自衛力を整えれば、中国としてもおいそれと暴発して日本に攻め込むことなどできなくなります。

いずれにせよ、私自身は、中・長期的に見れば、中国共産党政権が消滅すると考えています。その時期は、早ければ10年以内、遅くとも私が生きている間でしょう(ただし、私が平均寿命まで生きられると仮定しています)。

むしろ本当の混乱は、中国共産党が消滅したあとでやってくるのかもしれません。

読者コメント一覧

  1. めがねのおやじ より:

    < 夕刊の配信ありがとうございます。
    < 近平君は始皇帝になったつもりかな?終生独裁をしないと、自分がいつ屠りさられるか分からない国、いや任期10年で辞めたらきっと後任に罪をなすりつけられるか、良くて軟禁生活。AIIBも一帯一路も鳴り物入りだったが、その後パッとせず。経済発展も目標数値にはほど遠い。また少数民族間とのトラブル、自由主義国でない為情報が入りにくいが、八方ふさがりです。
    < 人民の目を背けるには、日本を悪く言い回るのが手っ取り早い、しかも属国の韓国を使って。近平君が死ぬか、体制が崩れるのが早いか。一党独裁が意外に早く崩れるかも。何故なら無理にムリを重ね過ぎ。崩壊した時の方が日本への影響は大きいです。
    < 失礼しました。

    1. 団塊 より:

      AIIBは結構 成功してるんじゃありませんか。
      紙屑「元」を円やポンドより上位にしたIMFが、また、変な動きをした。そして、格付け会社も動いた。

      一路一帯も外国の港を略奪基地化に成功してますよね。

  2. 歴史好きの軍国主義者 より:

    知的好奇心を刺激する記事の配信頂き有り難うございます。
    この記事は朝日新聞でも見たのですが、同じ面には「プーチン帝国」とタイトルが書いてある記事がありました。ここは公平を保つ為に「習近平帝国」位の見出しの併記は欲しかったです。
    まあ朝日に期待しても無駄ですが(笑)

    さて、中国共産党が大陸を支配してから現在迄、中華帝国的な支配構造は変わっていないのではないかと思います。
    前漢の皇帝みたいに同じテーブルでの統治か、宋以降の皇帝のように一段高い位置の椅子から見下ろすかの違いは有りますが。
    習皇帝としては高い椅子に登りたいのでしょうね。
    今のところ禅譲で権力の椅子が渡っていますが、いつまで続くか見ものです。

    さて、未来の予想になりますが歴史好きの当方が関心を寄せる問題として2045年問題と言うのが有ります。

    機械の処理能力が人間の知性での把握を越えた状態で発達すると言う状態が発生し継続することです。

    このような社会では一般人は人間社会に貢献できるのでしょうか?

    否ならば民主主義は機能出来るのでしょうか?

    専制者の意志が発達した機械がサポートして一般人を支配する中華帝国的な専制支配システムが優位な未来が待っているかもしれません。

    当方の予想では無策の場合、民主主義の維持は悲観的ですが、このような予想は外れて欲しいものです。

  3. むるむる より:

    名実共に遂に中華帝国が復活ですか清が滅びて106年結構かかりましたね、ただ満州族が作った征服王朝で漢民族の王朝だと言い切るのは難しいので明以来共なると374年ぶりでしょうか?(漢民族の定義は中華文化を受け入れた支配王朝も含まれるので注意)中国人の人口爆発と民族の大移動を引き起こしたのは清の時代ですから面倒な事をしてくれたものです。

    さてこの中華帝国を滅ぼすのは並大抵の苦労では達成できませんし、清の時代よろしく民族の大移動を始められても困るので厄介な奴等です。過去の前例に従うのであれば攻めて来る連中を日本から叩き出したり上陸した中国兵を皆殺しにすればいいだけですが現代戦でそれが通用するのかと、中国が非正規戦よろしく在日中国人増やす方法もあるのでかなり本気で掛からないと日本は危ういかもしれません。

  4. 団塊 より:

    >>天安門事件

    はなく「天安門大虐殺」← 支那では。。。。。ソース:石平氏の文

    >>自衛力

    どと遠慮せず、はっきり「軍事力」と言いましょうよ。

  5. 冶金技術者 より:

    他の方も指摘されてますが共産主義を取る中華人民共和国は、内実としては共産主義という皇帝を頂き、入党試験という科挙を(コネで)通った共産党員という臣下達によって運営される帝国であると思います。
    しかもこの皇帝陛下、歴代の誰と比べても低コスト且つ利用しやすい存在です。
    なにしろ臣下の権威を保証してくれるのに、絢爛豪華な宮殿の設営を求めたり、広大な後宮を維持運営する必要もなく、内政や外政で変なことをしでかして臣下を困らせることもないという、国富を貪り権力を縦にする奸臣佞臣にとっての理想の君主です。
    そしてこの度の任期制撤廃ですが、任期だけが歴代王朝にはなかった臣下の制限事項なので、熾烈な闘争でやっとのこと獲得した権力をより長期に渡って維持するためには撤廃しかありえません。
    あと歴代王朝との違いは通信と移動手段の高速化により、しばしば易姓革命の起点となった地方軍閥などが非常に存在しにくいことと、核兵器の存在でしょう。
    彼の国は核兵器を常々国内用だと諸外国に説明してきましたが、建前という側面もありますが同時に本音でもあるのでしょう。もし地方で軍事力と地元の経済機構が合わさった独立勢力が生じても、ボタン一つで支持者である民衆ごと滅ぼせる「無敵の天帝軍」足り得るのですから。
    彼の国がどのように崩壊するかとしたら、鍵になるのは核のボタンという玉璽の行方次第でしょうね。一つの勢力が玉璽を維持すれば現状と似たような状態で高官同士は殺し合いをし、民衆は搾取され続けながらまとまり続け、玉璽が複数に分散したらその分散した玉璽の数だけ新国家が建設されるのでしょう。
    もし分裂するとしても細切れだと核拡散の危険が高くなりすぎますから、アジア・アメリカ貿易と日印台対立で混乱する南部と、親露従北の北部、両方から切り離され内陸国となったためにチベット・ウイグルの部分独立で中央アジア諸国と融和しないと枯死してしまう中部というあたりが安定しやすいでしょうか。
    平均寿命の真ん中を過ぎた私が生きてるうちに見れたら面白いのですが。

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