日中新時代は「政熱経冷」でお願いします
私の持論は「日中友好」です。え?「本当に心からそう思っているのか」って?いやいや、本当ですよ。ただし、「条件付きで」、ですけどね。
目次
話題が多すぎる!
久しぶりに東京に戻って来て、ゆっくりと情報を収集しようと思っていたのですが、思っていたよりも多くの話題が溢れており、今になって慌てて情報を整理している最中です。
国内だと、労働市場が著しく改善し始めている件や、安倍政権と「もりかけ問題」に終始する野党の話題、海外だとドナルド・トランプ米大統領のアジア歴訪や日中首脳会談などの外交の話題、さらにはスペインからの独立を宣言しようとしたカタルーニャ州の前州首相が身柄を拘束された話題など、いくつも興味深い話題がめじろ押しとなってしまっています。
ただ、当ウェブサイトの記事は、私が「ワンオペ」で執筆しているという事情もあり、どうしても「あれも、これも」と紹介することはできません。いろいろともどかしい思いを抱えていますが、これも仕方がない話です。
こういうときに、複数の執筆者を抱えているウェブサイトを見ると、羨ましくなるのですが、残念ながら当ウェブサイトは、まだ他の方に執筆をお願いできるような体制が整っていません。
読者の皆様も、もし、読みたい内容の話題があれば、コメント欄でリクエストをして下さい。全てのご要望に応えられるかは別として、今後の執筆の参考にしたいと思います。
日中関係の好転をどう読むか?
日中首脳会談、相互往来を前向きに検討へ
私が出張中だった11月11日(土曜日)、安倍晋三総理大臣は訪問先のベトナムで、習近平(しゅう・きんぺい)中国国家主席と会談しました。
複数のメディアの報道によれば、安倍総理側が習近平氏側に相互訪問を提案。習主席側もこれに即答はしなかったものの、前向きに検討する方針を示したそうです。
安倍首相、相互訪問を提案 日中首脳、対北朝鮮は連携(2017/11/11 23:30付 日本経済新聞電子版より)
「関係改善を力強く進めたい」 安倍晋三首相が中国・習近平国家主席と会談 習氏「前向きな発展を推進したい」 対北でも協力要請(2017.11.11 21:55付 産経ニュースより)
ちなみに、こちらに示したリンクのうち、産経ニュースの方の記事を執筆しているのは、産経新聞の「官邸キャップ」を務める田北真樹子氏です。
これらの記事からポイントを抜粋すれば、
「▼日中両国は関係をさらに改善させることで一致、▼安倍総理は日中首脳の相互訪問を提案した、▼安倍総理は北朝鮮の核問題に対する中国の役割を求めた、▼双方は来年に日中友好条約締結40周年を見据えて関係改善を力強く進めていくことで合意した」
といったところです。
正直、会談の中身自体は、あまり重要ではありません。というのも、日本側が中国側に対し、北朝鮮の核開発問題の解決を促してきたことは、今に始まったものではないからですし、首脳の相互往来や「日中間3ヵ国首脳会談」の提案についても同様だからです。
中国メディアの扱いが明らかに変わった!
日本側のメディアの報道を眺めていると、今回の日中首脳会談からの成果は、今ひとつ、よくわかりません。しかし、ここで視点を変えてみると、興味深い事実が判明します。
少し異例ですが、中国本土のメディア「新華社通信」の中国語版(繁体字)の記事を眺めてみましょう。
習近平會見日本首相安倍晉三(2017-11-11 23:10:25付 新華網より)
新華網の記事は漢字(しかも簡体字ではなく繁体字)で執筆されているため、何となく、何が言いたいのか伝わってくるような気がします。リンク先の記事の書き出しは、次の通りです。
「習近平指出,中日是近鄰,也是亞洲和世界主要經濟體。中日關係穩定發展符合雙方利益,對地區和世界具有重要影響。今年是中日邦交正常化45周年,明年將迎來中日和平友好條約締結40周年。雙方要從兩國人民根本利益出發,準確把握和平、友好、合作大方向,通過堅持不懈努力,積累有利條件,推動中日關係持續改善,向好發展。」
これを、翻訳ソフトウェアを使って日本語に仮置きし、私自身の文責で文体を整えると、次のとおりです。
「習近平は、中国と日本が近い隣人であり、アジアと世界の主要経済国であると指摘した。中日関係の着実な発展は両国の関心事であり、地域や世界に大きな影響を与えている。今年は中国と日本の外交関係の正常化45周年を迎え、来年は中日友好条約締結40周年を迎える節目でもある。双方は、両国の本質的な利益から出発し、平和、友好、協力の総体的な方向性を正しく把握し、継続的な改善と中日関係を推進するための継続的な努力を通じて好条件を蓄積するべきである。」
なんと、習近平氏の側から日本に対し、「日中両国は隣人であり、アジアと世界の主要経済国である」と言い出しているのです。
しかも、今回の日中首脳会談については、日中両国の国旗をバックに、安倍・習の両氏がにこやかに笑みを浮かべている写真が用いられています。
これは非常に重要な変化です。
これまで、中国のメディアが日本について触れるときには、良くて「三面記事扱い」でしたし、両首脳の写真も、背景には国旗も何もなく、習近平氏がブスッと不機嫌そうな表情をしているというものが用いられていたからです。
新華社の記事を私自身の文責で要約すれば、
「▼習近平は、中日関係改善の鍵が相互信頼にあると強調した、▼そのためには日本が中国のパートナーとして、戦略的合意に達することへの期待を示した、▼中日の違いは建設的な方法で適切に管理されるべきである、▼歴史問題や台湾問題については、日本が中日間のこれまでの合意を尊重しなければならない」
といったものです。
あいかわらずの「上から目線」という勘違いもありますが、それよりも、中国首脳の口から「戦略的互恵関係」という言葉が出てきたのです。
「戦略的互恵関係」とは?
ここで、「戦略的互恵関係」という言葉を、少し解説しておきたいと思います。
もともと、この「戦略的互恵関係」とは、2008年5月6日に国賓として訪日した胡錦濤(こ・きんとう)中国国家主席(当時)と福田康夫首相(当時)との間で合意した共同声明に含まれていた文言です(その詳しい内容については、外務省のウェブサイトで閲覧することが可能です)。
これを私の言葉で解説するならば、「お互い相容れない部分もあるけれども、違いを認めて協力できるところは協力しようね」、という考え方です。
そして、外交に関する考え方としては、非常に正しいです。日中間にはさまざまな問題が横たわっていますし、また、日本は自由・民主主義国であり、中国は共産党一党独裁という政治体制を維持しています。政治体制も異なれば問題も抱えているような国同士だと、放っておけば軍事衝突が発生するかもしれません。
そこで、日中双方が自制しあい、対立する問題についてはうまく管理しつつ、将来に向けて相互理解と相互信頼をベースに互恵関係を拡大する、というのが、非常によい考え方なのです。
この点については、読者の皆様としても異論はないと思います。
問題は、この「戦略的互恵関係」、一方的に破り、踏みにじって来たのは、中国の側であった、という点にあります。
2008年の日中共同声明からわずか2年後には、中国は尖閣諸島沖で漁船の侵入事件を発生していますし(当時の日本は菅直人政権)、この時、中国政府は日本企業に対するレア・アースの禁輸措置を発動しました(当然、WTO協定違反です)。
さらに2012年には野田佳彦首相(当時)が尖閣諸島を国有化すると決定したことを受けて、中国全土で猛烈な反日デモが発生し、日本企業や現地在住の日本人の資産が奪われ、破壊されました。
つまり、ここ10年間の日中関係とは、「戦略的互恵関係」というお題目のもとで、中国側が日本に対し、「やりたい放題」に加害行為を加えて来ていたのです。
中国側からの強力な「関係改善」のメッセージの背景
しかし、新華社通信の記事では、習近平氏側から「戦略的合意」という表現が持ちかけられたのです。
これは、いったいどう考えるべきでしょうか?
これは、中国側からの日本側に対する、かなり強力な「関係改善」のメッセージです。これに加えて中国側は、安倍政権による「日中首脳の相互往来」にも応じる可能性が高いとみて良いでしょう。
これまで散々、中国が日本に対して不法行為を行って来たことを棚に上げて、関係改善などとはおこがましい、という感情的な反発は、とりあえず棚に上げて、これをどう考えるべきでしょうか?
その背景には、中国経済の行き詰まりがあります。
まず、日本企業が中国から撤退し始めているという事情があります。2010年のレア・アース禁輸措置以降、主だった日本企業の間では、「チャイナ・リスク」が強烈に意識され、戦略資源を中国1ヵ国に依存することがいかに危険であるかという問題意識が共有されました。その結果、日本企業は、レア・アースを初めとする資源の調達先を中国からオーストラリアやインドネシアなどに切り替え、それとともにノウハウを持った人材を中国から引き揚げ始めたのです。
それだけではありません。中国のGDPが日本を追い抜いて世界第2位になって以降、中国では人件費の高騰が激しく、日本企業にとっては中国を生産拠点とすることの実利が薄れ始めたのです。
日本貿易振興機構(JETRO)がアンケート調査を実施したところ、中国で「事業拠点を有しており、今後も拡大を図る」と回答した企業の割合は、2011年度に67.9%(回答社数:1602社)だったものが、2016年度には52.3%(回答社数:992社)へと減少。腰が重いことで知られる日本企業でさえ、この5年間で着実に中国からの撤退を検討し始めていることが明らかになっているのです(出所:JETRO『日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査』P18など)。
日本企業のこうした姿勢は、中国に対する海外直接投資(FDI)にもダイレクトに影響を与えます。
GDPは国内消費、投資、政府支出、純輸出(輸出-輸入)の合計値として定義されますが、このうち中国の「投資」を支えてきた主体のひとつである日本企業の「脱中国」の流れが、中国経済にも間接的に打撃を与えていることは、想像に難くありません。
ついに第4次政権となった安倍政権への「畏敬の念」
このタイミングで中国側から関係改善のメッセージが出てきた理由は、もう1つあります。
それは、安倍政権が日本としては異例な長期政権となっていることです。
第2次安倍政権が発足したのは2012年12月26日のことですが、その日から起算して本日(2017年11月16日)で、実に1787日目に入ります。また、第1次安倍政権(2006年9月26日~2007年9月26日)の366日をカウントにいれれば、本日までの安倍晋三氏の内閣総理大臣としての通算在任日数は2153日で、これは歴代5位です。
歴代内閣総理大臣の通算在任日数(敬称略)
- 1位:桂 太郎(2,886日)
- 2位:佐藤 榮作(2,798日)
- 3位:伊藤 博文(2,720日)
- 4位:吉田 茂(2,616日)
- 5位:安倍 晋三(2,153日)
(【出所】首相官邸ホームページより著者カウント)
仮に安倍政権が2019年2月22日(金)まで続けば、吉田茂政権を追い抜いて歴代4位に浮上。同年の参議院議員選挙を制して2019年11月19日(火)まで続けば、桂太郎政権を抜いて、憲政史上最長政権となります。
もちろん、内閣総理大臣に求められることは「何をなしたか」であって、私は別に内閣総理大臣を「長く続けること」が良いことだとは思いません。しかし、毎年のようにコロコロと首相が交替する状態よりは、しっかりと腰を落ち着けて政権を担ってもらう方が、国際的な発言力が高まることは間違いありません。
そして、10月22日に行われた衆院選を制し、今月、第4次政権を発足させた安倍晋三氏に対し、習近平氏は、ある種の「畏敬の念」を抱いているのかもしれません。
強い者に媚び、弱い者を叩く中国という国
すでに私たち日本人の多くは気付いていますが、中国という国は、決して「近代国家」ではありません。
もっと言えば、「強い者には媚び、弱い者は叩く」という、日本の武士道とは真逆の国です。
もっとも、別に私は中国を侮蔑してそのように申し上げている訳ではありません。そのような国は地球上にいくらでもあります。ロシアなどがその典型例でしょう。
そして、日本の政権が「弱かった」ときには、日本は中国から「弱い国」とみなされていた節があります。その表れが2010年のレア・アース禁輸事件であり、2012年の反日デモ事件でもあります。
また、韓国のように、現在、中国から徹底的にいじめられている国もあります。おそらく、韓国が中国と「対等」な関係になることは、今後、ありえないでしょう(※もっとも、韓国の場合は自業自得でもありますが…)。
ところが、中国から見て、安倍政権が思ったよりも長続きしてしまったことは、大誤算だったのかもしれません。
というよりもむしろ、中国共産党から見て、日本という国は、やはり「得体のしれない民主主義国家」なのです。事前に朝日新聞や毎日新聞などの、日本国内のいわゆる「マスゴミ」の報道を見ていれば、今回の総選挙で安倍政権が倒れる可能性が高いと誤解しても仕方がないのかもしれません。しかし、日本の有権者は、朝日新聞を筆頭とする「マスゴミ」に騙されず、安倍政権を選択しました。
さらに、中国は「民主主義国」ではありません。習近平氏は今年の共産党大会を乗り切り、権力基盤を固めることには成功したものの、政権としての「正統性」は、安倍政権と比べて遥かに弱いのです。
「政熱経冷」を目指すべき
中国との関係改善は歓迎すべきか?
ところで、私たち日本にとって、中国との関係改善は歓迎すべきなのでしょうか、それともそうではないのでしょうか?
私も日本人の1人ですから、これまで中国が私たちの国・日本にしてきた、さまざまな不法行為、加害行為については、許せないという感情的な怒りを持っています。そのような「感情的な面」からすれば、「中国なんかとは断交したい!」という気持ちが、ないといえばウソになります。
ただ、「ビジネスマン評論家」の立場としては、今回の関係改善は、間違いなく良いことです。
いや、もう少し正確に申し上げるならば、「政治面での関係改善は」、間違いなく良いことだといえます。
何故でしょうか?
それには、先ほど申し上げた、「中国とは強い者に媚び、弱い者を叩く国である」、という事実を思い出してもらう必要があります。言い換えれば、中国は常に膨張していなければならない国だ、ということです。
それに、習近平氏は中国人民から選挙で選ばれた訳ではなく、その意味では権力としての「正統性」は日本と比べて遥かに劣ります。そんな習近平氏が国民から支持を集めようとするならば、強引な経済成長戦略か、それとも強引な拡張的領土政策(つまり侵略)か、そのいずれかしかありません。
ということは、中国からの侵略を防ぐうえで、日本がある程度の「パワー」を持っている状態が必要だ、ということです。
しかも、それだけでは足りません。
日本は中国からの侵略を防ぐだけの「パワー」を持つだけでなく、日中両国が政治的な意思疎通をしっかりと行うことが必要です。もっとわかりやすいことばでいえば、
「中国さんよ、貴国が侵略のそぶりを見せたら、日本は容赦なく貴国に反撃するよ」
と常に伝え続ける必要があるのです。その意味で、中国との「政治的な意思疎通」はしっかりと図るべきなのです(いわゆる「政熱」。)
そして、中国からの関係改善のメッセージは、間違いなく領土的な侵略のリスクを減らす方向にいくので、歓迎すべきことです。
戦略的互恵関係の意味を改めて噛みしめよ!
ただ、日中関係は別に、欧州連合(EU)のような「アジア統合」などを目指すべきではありません。
というよりも、政治・経済両面において、協力できるところは協力し、一致できない点については衝突しないようにうまく管理する、という姿勢が必要です。
良い意味でも悪い意味でも、日本は中国とうまく付き合っていくことが必要なのです。
具体的には、日中間の懸案についての解決を図ることが必要です。たとえば、日中中間線で中国人民解放軍が開発を続けるガス田の問題や、尖閣諸島周辺海域に中国海警局の船舶が日常的に侵入している問題などについては、本来ならばいますぐ止めさせるべき筋合いのものです。しかし、これまでの日本政府の不作為という影響もあり、日本は中国から「舐められっぱなし」です。
さらに、中国政府が日本に対して仕掛けて来ている国際的なプロパガンダ戦(南京大虐殺や、最近だと朝鮮人慰安婦問題など)も、広い意味では中国から日本に対して仕掛けられている攻撃です。
そして、私が主張する「うまく付き合う」とは、別に「日本が中国の主張を丸呑みすること」ではありません。むしろ話は逆であり、中国が国際的なプロパガンダ戦を仕掛けて来るならば、日本政府としては、水面下で天安門事件の追及をする団体に資金支援をしても良いでしょうし、チベット亡命政府に東京の庁舎を提供しても良いかもしれません。
要するに、中国とは表面上、仲良くしつつも、中国が何かを仕掛けてきたら、それに対して国際社会において合法とされる方法で反撃する(いわば、「テーブルの下で足を蹴り飛ばす」)という方法で、きっちりと牽制しつつ、お互いに利益がある点では協力しよう、という関係が良いのです。
AIIBへの参加は切り札になる
こうした中、中国が持つ最大の弱点を、日本としてもしたたかに活用すべきでしょう。
その事例の1つが、中国が主導する国際開発銀行(MDB)である「アジアインフラ投資銀行(AIIB)」です。日本は米国と並んで、いまのところAIIBには参加していません。朝日新聞を筆頭とした、頭がおかしいゴミメディアの皆さんが、「バスに乗り遅れるから無条件にAIIBに参加しろ」と必死に主張しているにも関わらず、です。
ところで、私は当初、AIIBについては「鳴かず飛ばずだ」と申し上げて来ましたが、最近はそうでもありません。
AIIBは今年7月までに、国際的な格付業者からトリプルAの格付を取得し、今年10月にはバーゼル銀行監督委員会(BCBS)からも「標準的手法におけるゼロ%リスク・ウェイト」の承認を得ています(詳しくは『金融庁よ、AIIBにゼロ%リスク・ウェイトを適用するな!』をご参照ください)。
これにより、仮にAIIBが債券を発行しようとすれば、国際的な債券市場でドル建て、円建てなどの債券を発行し、巨額の資金を集めるということは、理屈のうえでは可能となりました。
ただ、日米両国がAIIBに参加していないという事情もあり、とくに日本の銀行等金融機関は表立ってAIIB債券を取得することは控えるでしょう。このため、せっかくAIIBが高いコストを支払ってトリプルA格付を取得したのに、資金難から融資実行ができないという可能性は残ります。
そこで、たとえば日本政府が、「AIIBのガバナンス改革」と引き換えに、AIIBに参加すれば、そのことは中国政府との交渉の「切り札」にはなるでしょう。具体的には、日本がAIIBに参加するのと引き換えに、日本が何らかの政治的要求(たとえば「中国が北朝鮮の核放棄を実現させる」でも良いですし、「日本の核武装と国連常任理事国入りを中国が容認する」でも良いです)を実現させるのです(ただし、日本がAIIBに参加するなら、少なくとも、中国が単独で所持している「拒否権」を放棄させることは必要ですし、さらにはAIIBの総裁職を日中が相互に務めるのも良いかもしれません)。
もっとも、その場合は北京に事実上の「第二ADB」が出来上がるだけの話ですが…(笑)
ビジネス上の信義が通じない国とは付き合えない
ただし、私自身はビジネスマンでもあります。
私の目から見て、中国という国は、ビジネス上、決して信頼できない国です。というのも、契約書が履行される保証がないからです。今までのような「経熱」という姿勢は、日本という国の方向性として間違っていたのではないかと考えています。
日本は法治国家ですので、相手先を見極めたうえで契約書で相手を「縛って」しまえば、ビジネス上、先行きが読みやすいという面があります。しかし、中国は人治主義社会であり、また、法律に基づく「予見可能性」がありません。
もちろん、日本だって、唐突に規制が導入されることはあります(とくに金融規制)が、その場合も、いちおうは「デュー・プロセス」が重視されます。しかし、中国の場合は、それこそ「一夜にして」規制が変わるということがあり得る国ですし、また、反日デモも起こされますし、人件費も高騰する国です。
先ほど私は「政治的には日本が中国に何らかの要求を呑ますためにAIIBに参加することはアリだ」と申し上げましたが、経済的には、いまから中国に進出しようとする企業があったとしたら、その企業の経営者の頭脳を疑います。
日本は自己責任の国です。ご自身の責任で中国に進出した民間企業は、日本国民の税金で救済を受けようとする厚かましいことを考えないことです。その意味で、私は「経熱」ではなく、むしろ経済界が中国リスクを正しく認識し、結果的に「経冷」状態になることこそが、日中の正しい付き合い方だと考えています。
つまり、この日中新時代、私は「政熱経冷に基づく戦略的互恵関係」を目指すべきだと考えているのです。
日本は中国と違う価値観を大切に!
さて、私は「ウソをつかない」「ルールを守る」「努力をする」「困っている人を助ける」という、4つの倫理規範が、人間として何よりも重要ではないかと考えています。そして、このように申し上げると、日本国内では多くの方々から賛同を得ることができます。
しかし、こうした倫理規範は、得てして、日本国外では通用しません。
とくに、中国はウソをついてまで、日本を貶めようとしてきますし、南シナ海や東シナ海では国際法というルールを一切無視し、傍若無人に振る舞っています。そして、困っている国(たとえば韓国)を見つけたら、それを助けるのではなく、むしろいじめているほどです(※ただし、これに関しては韓国側の自業自得という側面もありますが…)。
では、そういう中国に対し、日本はどうすべきでしょうか?同じ次元で争うべきでしょうか?
私は、中国が日本に対し、不当なプロパガンダ戦を仕掛けてきたら、それに対しては毅然と反論すべきだと思いますが、それだけでは足りないと思います。やはり、中国に対し、その弱点を突く形で反撃しなければなりません。
ただし、中国のような、「なりふり構わずルールを無視する」という姿勢は、いただけません。中国がウソを並べ立てて日本を貶めているからと言って、日本もウソを並べ立てて中国を批判する、ということは、やってはならないことです。
先ほども申し上げましたが、日本がやるべきは、「国際社会が容認するルールの範囲で」、中国の弱点を突くというやり方です。具体的には、中国が侵略したチベットやウイグルなどの独立団体、天安門事件の原因究明を目指す団体を水面下で支援するという形でも良いですし、台湾の独立を支援しても良いかもしれません。さらに、横暴に振る舞う中国に悩む、フィリピンやベトナムなどのアジアの国々(ただし韓国を除く)に警備艇を提供するという形でも良いでしょう。
いずれにせよ日本は中国と「戦略的互恵関係」と称して、「表面上は」うまくやっていくべきです。
そして、中国の様な「歪んだ国」に対しては、日本は主張すべきところをみっちりと主張するという「正論」で対決しましょう。本当の相互理解はその先にあるのだと思います。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
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【おしらせ】人生で10冊目の出版をしました
自称元徴用工問題、自称元慰安婦問題、火器管制レーダー照射、天皇陛下侮辱、旭日旗侮辱…。韓国によるわが国に対する不法行為は留まるところを知りませんが、こうしたなか、「韓国の不法行為に基づく責任を、法的・経済的・政治的に追及する手段」を真面目に考察してみました。類書のない議論をお楽しみください。 |
【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました
日本経済の姿について、客観的な数字で読んでみました。結論からいえば、日本は財政危機の状況にはありません。むしろ日本が必要としているのは大幅な減税と財政出動、そして国債の大幅な増発です。日本経済復活を考えるうえでの議論のたたき台として、ぜひとも本書をご活用賜りますと幸いです。 |
本題と離れますが「日中友好」の友好という言葉の解釈は日中では大違いです。
日本は友好を言葉通り「友人としての親しい交わり」と取ります。
しかし、中国側の友好解釈は、中国側に不愉快や不都合なことは言わないことが前提になっています。
要は中国側の主張だけ聞け(従う)ということ、中華(俺様が王様)思想に基づく横柄な解釈なのです。
ところが、これに対して日本は何も反論せず従順なことです。
中国側の不興を買う(事実上中国から締め出される)のを恐れて、何も言わないのです。
これが今でも当たり前に行われている日中友好というわけです。
ですから日中関係では枕詞にも友好という言葉は使わない方が良いと思うんです。
日中友好を謳う組織や団体は7つほどありますが、悪名高き「日中記者交換協定」もその一つです。
この協定を順守することで朝日新聞は中国の信頼を得たわけです。
天安門事件で世界中から不興を買って立ち行かなくなった中国を、率先して救ったの日本の官民です、まさに日中友好の証だったのです。
中国側は自国に不都合なことは言うな書くなと言いながら、日本側に不都合と思うことは逆に声高に言い募ります。
その他にも友好を謳う団体には、日中経済協会や日中友好協会が活動しています。
中国側に都合よいときにはよいしょして来ますが、悪いときには制裁など朝飯前です。
安倍さんや経営者の皆さんも、今でも中国の友好に騙されると痛い目に遭いますよ。
< いつもホットな政治経済情報、ありがとうございます。無料で読めるし(そこか)内容は濃いし毎夜楽しみです。
< 今年が 日中正常化45年、来年が友好40年ですか。中国に乗り込んだ田中角栄を周恩来が出迎えてましたっけ。テレビで見ました。もったいぶって毛主席はその日来なかったと思います。中国に対して、日本は工業、商業、金融、学術、芸能、スポーツ他十分尽くしました。スポーツの話で恐縮ですが、当時中国人はジョギングシューズ、スパイク、トレウェア、ユニ、水着、球技用具など一切持ってませんでした。ただ一つ、卓球だけは国技扱いで強かった。十数億の人口を抱えるため、狭いスペースででき、カネも掛からないので力を入れてたのでしょう。私は80年代初頭に業務で多少関わっただけですが、全くの貧国でした。電話のある家などない。
< スポーツもいずれあの人口の多さで絶対に日本は負ける、と言われながら政府、民間企業、日中協会などは中国から要請を受けて手を貸しました。体育館など無かった国に北京工人体育館という超立派な箱モノ作ったり、8万人収容の北京大競技場(国立霞ヶ丘よりデカい)に初の吸水力のある全天候トラックを作ったり、水泳など一から教えたり(中国人は泳がない民族だった)。全部無償供与ではないが、その協力ぶりは凄かったです。20年後、国を挙げた強化で陸上、バレー、バスケ、体操、水泳、、多くの競技で日本は後塵を浴びるようになった。仕方ないことだが今の中国人は、さも当然のように自分達だけで実績を作ったと勘違いしている。当時ペコペコ日本人にしていたのに、今は競技でも下に見てふんぞり返ってます。許せない!(笑)。
< さて、中国のキンペイ氏から「日本は隣人。アジアと世界の主要経済国」と上から目線ながら言わせたのは大きな進展だと思います。「戦略的互恵関係」を何度も踏みにじってきたのはシナ国で、日本にはまったく非はありません。でも向こうが言い出したのは、やはり何かしら国として「負」があるのでしょう。会計士様仰る通り、日本企業の撤退はシナにしたら痛いです。私が関係したいろいろな国内取引先でも、大昔は産地・生産拠点は日本、それが韓国になり中国の時代が長かった。ところが今や、インドネシア、タイ、ベトナム、ラオス、バングラデシュ等が低工賃でシェアを上げ、チャイナリスクの回避は相当大きいです。それに人件費、メイドインチャイナは、決して高値入れ(荒利益率が高い、原価率が低い)商品ではありません。それと他国に比しB品(不良品ダメ物)の発生率が高い。これが日本人には嫌われました。
< この件、韓国なら私は即ゴミ箱行きの話だと思います。しかし、中国はやはり無視出来ない国。日本の真正の敵ですが、片手は握手、もう片方はいつでも殴れるようにすればいい。表面上は中国と上手くやって、付き合うのがいいですね。シナ国からの関係改善メッセージは対日侵略のリスクを減らす方向に行くでしょう。それにしても安倍総理はまた世界的評価が上がりましたね。
< 失礼いたします。