成果万全な日米首脳会談と「韓国の滅び方」

連日、トランプ氏訪日の話題の提供となり、申し訳ありません。ただ、昨日の安倍・トランプ両首脳の共同記者会見からは、予想通り、さまざまな日米協力の形態が見えてきたことも事実です。そこで本日も、この話題をお届けしたいと思います。

安倍・トランプ記者会見

希望の同盟から価値同盟へ

昨日、安倍晋三総理大臣は訪日中のドナルド・トランプ米大統領とともに共同記者会見に臨みました。

日米共同記者会見(2017/11/06付 首相官邸ウェブサイトより)

首相官邸ウェブサイトには現時点でテキストが掲載されていませんが、安倍総理の発言内容のうち、私自身の文責で安保関連の部分をざっくりと申し上げれば、次の通りです。

  • テキサス州の銃乱射事件に哀悼を表すとともに、大切な友人であるトランプ大統領を日本に迎えて嬉しく思う
  • 北朝鮮問題に対し、全ての選択肢が机上にあるとするトランプ大統領の意見を支持する
  • 過去20年以上国際社会は北朝鮮と対話を続けてきたが、核放棄という約束は反故にされ、ミサイル開発の時間稼ぎに使われた
  • 今は対話ではなく過去最大限の圧力を掛ける時期だ
  • この問題を巡り中国がさらに大きな役割を果たして行くことと日米韓3ヵ国の協力を前に進めていくことが重要だと一致した
  • 拉致被害者のご家族と面会して頂いたことに感謝申し上げたい
  • 核問題と拉致問題の解決のため、独自の制裁措置として、明日、35団体・個人の資産凍結を決定する

まさに日米関係が過去で最も良好となっていることへの自信が裏付けられています。

また、これに呼応するように、トランプ氏も日本を「伝統ある国」として尊敬すると述べたことに加え、米国大統領として初めて北朝鮮の拉致被害者と会ったことにも言及。

北朝鮮の手によって若い日本人が1970年代に誘拐され、その家族は40年以上、心を痛めて来た

として理解を示すとともに、この問題への解決に向けて圧力強化が必要だと述べました。

いわば、日米両国は自由主義、民主主義、法治主義という価値を共有し、アジア・太平洋地域における自由と繁栄を守るために協力することで一致した格好です。

真綿で首を絞められる北朝鮮

さて、共同記者会見で安倍総理が言及した、「明日指定される35の団体・個人」の具体的なリストについては、政府からはまだ一切公表されていません。ただ、事実上の在日北朝鮮大使館の役割を担っている組織である朝鮮総連を含め、日本国内にはまだまだ資産凍結の対象に含めるべき団体や個人がたくさん存在していることも事実です。

今回の「資産凍結措置の拡大」を巡っては、北朝鮮や朝日新聞あたりから、強硬な反発が発生することでしょうが、そのことについては気にする必要など全くありません。

しかし、注意しなければならないのは、むしろ保守系を名乗る論客からの極論です。

敢えて実名を挙げることは控えますが、保守系を自称するウェブサイトの間で、最近、「資産凍結措置など実効性に乏しい」「そんなちまちましたことをやるよりも、朝鮮総連や朝鮮学校に対して破防法などを適用して強制解体すべきだ」といった極論が見られます。

しかし、私はこうした見解には同意しません。

確かに北朝鮮は無辜の日本の一般人を拉致した犯罪集団であり、また、核兵器を初めとする大量破壊兵器を公然と開発している、世界平和を脅かす勢力です。日本人の1人として、拉致被害者全員の1日も早い無事のご帰還を心から祈っていますし、また、大量破壊兵器が除去されることを願っています。

ただ、現在の日本は、憲法第9条第2項で軍事力の行使を禁止されています。そうであるならば、むしろ現在の日本国政府は、できる最大限のことをやっているといえます。

以前、『対北朝鮮セカンダリー・サンクションの威力発揮!』や『北朝鮮リスクにどう立ち向かうか?』でも申し上げましたが、日本政府が行っている1つ1つの制裁は小規模だったとしても、これらが重なれば、確実に北朝鮮の資金源を締め上げることに繋がります。

それだけではありません。『国際社会を味方に付けることが重要!』でも強調したとおり、国連安保理決議などの形で、日米両国は現在、国際社会を巻き込んで北朝鮮制裁を強化しています。中近東の主要国から北朝鮮の労働者が排除され、彼らが送金する外貨収入が断たれたことなどは、その典型例でしょう。

いずれにせよ、北朝鮮に核放棄と拉致問題解決を迫るためには、無責任で非現実的な解決策を勇ましく言い放つだけでなく、現段階でできるあらゆる努力を重ねることが必要なのです。

最近、よく「サラミスライス戦略」という単語を耳にします。これはもともと、サラミをひときれずつスライスするように、少しずつ外国を侵略するという、中国が得意とする戦法です。

ただ、現在の日本が行っている北朝鮮制裁の段階的強化も、いわば、「日本版サラミスライス戦略」といえるかもしれません。

なぜ自衛隊は北朝鮮に攻め込めないのか?

ところで、自然に考えたら、北朝鮮による日本人拉致事件は、北朝鮮政府による国際犯罪です。そして、北朝鮮が拉致被害者の全員を日本に帰そうとしない以上、国際法上、日本は実力ですべての日本人を取り返す権利があります。

つまり、今すぐ日本が北朝鮮に攻め込んだとしても、「国際法上は」違法ではありません。

しかし、今の日本にそれができるのかといわれれば、できません。なぜなら、日本には憲法第9条という条文が存在しているからです。

憲法第9条
  1. 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
  2. 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

日本語としても非常に醜悪で不自然な条文です。

ただ、憲法第9条を変えようとすると、日本共産党、朝日新聞社を筆頭とする反日勢力が全力で妨害してくることも事実です。そうであるならば、せめて第2項だけでも変えなければなりません。

というのも、憲法第9条第2項とは、「たとえ日本国民の生命や財産が外国から侵害されたとしても、日本国は日本国民を絶対に助けてはならない」と命じている、一種の「殺人憲法」だからです。

日本政府や憲法学者どもは、この条文を「自衛のための戦争を禁じた条文ではない」とむりくりに解釈していますが、小学生が読んでも、自衛隊の存在や自衛のための戦争自体を禁じているとしか思えません。

あるいは、「自国民を守ることを禁じられる」ということ自体が、自然法に違反していて無効である、とする解釈も存在します。しかし、日本政府が「この条文は自然法違反だから無効だ」と宣言できるわけもありません。

なにより、この「殺人憲法」である第9条第2項が、戦後70年以上経過した今日まで生き延びている最大の責任は、私たち日本国民にあるのです。そうであるならば、日本政府が拉致被害者を取り返すために北朝鮮に軍事侵攻することすらしないことを、私たち日本国民が批判する権利などありません。

憲法第9条第2項の撤廃は、日本政府ではなく、国会と私たち日本国民の責任で行うべきです。このことを、私はすべての日本国民に対し、強く主張申し上げたいと思います。

大きな変革が生じている

意味深な「なぜミサイルを撃ち落さなかったのか?」発言

ただ、ここでもう1つ、トランプ氏の訪日と日本の自主防衛に関連し、重要な転換点となる話題が出ています。それは、トランプ氏自身が「日本は北朝鮮のミサイルを撃ち落とすべきだった」と述べたとする情報です。

さきほど紹介した「日米共同記者会見」では、ニューヨーク・タイムズのMark Landler記者が

トランプ大統領が北朝鮮のミサイルを日本が撃ち落すべきだと述べたことについてどう思うか?

と質問していますし、また、英BBCもトランプ氏が日本に北朝鮮のミサイルを撃ち落とすことを期待していると述べていると報じています。

Trump: Japan could shoot down North Korean missiles(2017/11/06付 BBCオンラインより)

これは、言い換えれば、日本が米国からより高性能な迎撃システムを導入することにより、北朝鮮(や中国)に対する防衛力を強化することを米国が期待している、という意味です。

これをどう見るべきでしょうか?

日米韓3ヵ国連携の破綻は日本の価値の上昇だ!

日米共同記者会見では、安倍総理は北朝鮮問題を巡り、「日米韓3ヵ国の連携が必要だ」とする従来の見解を繰り返しました。

じつは、これについても、「ネトウヨ」と呼ばれる人たちを中心に、安倍総理に対する批判が渦巻いています。

いわく、「韓国などどうせ裏切る国だから、さっさと韓国を切り捨ててしまえ」。

いわく、「韓国が不法占拠する竹島を巡り、自衛隊を派遣して取り返せ」。

いわく、「韓国を経済制裁し、韓国人への観光ビザ免除制度を廃止しろ」。

どれも非常に正論ばかりであり、私個人としては賛同できる話ばかりですが、物事はそう簡単には進みません。日本が最もわきまえておかねばならないのは、日本が現在、自主的に国土を防衛することができる体制にはない、という点なのです。

米国にとっての東アジア安全保障戦略は、日韓両国との軍事同盟を前提として成り立っています。ということは、日本が米国の了解なく、韓国を「切る」ということなどできない、ということです。

もちろん、士気もモラルも運用能力も著しく低い韓国軍のことを、米国は本気で信頼していないことは事実ですし、近年、韓国政府は米国の信頼を裏切ることを立て続けに繰り返してきたという事情もあります。

これまでの記者会見を読み返しても、安倍総理が「日米韓3ヵ国連携」と強調するほどは、トランプ氏は「韓国(South Korea)」という単語を口にしていませんから、米国政府の「韓国不信」は、相当のものであろうと想像できます。

ただ、あくまでも私の邪推ですが、安倍総理は米国大統領の口から、「米国は韓国との関係を終わらせる」と宣言するのを待っているのではないのでしょうか?もしそうだとしたら、自分からは引き金を引かず、陰で米国に対し、「韓国を切らざるを得ないのではないか?」と判断させようとしているということですから、安倍総理は非常に賢明です。

それに、冷静に考えてみれば、安倍総理は北朝鮮対応について述べる際、

日米韓3ヵ国連携

とは言いますが、

日韓2ヵ国連携

とは全く発言していません。ということは、米国が韓国を切った瞬間、日韓関係も自動的に切れる、ということです。

そして、この地域において、韓国が米国の同盟国でなくなってしまえば、日本にとっては思わぬ「副産物」が得られます。それは、米国の目から見て、日本の相対的な重要性が飛躍的に高まる、ということです。

いちおう1泊2日だが…?

ドナルド・トランプ米大統領は、2泊3日の訪日旅程の大部分を無事に終了させました。

日程的には2泊3日に過ぎませんが、ともにゴルフを楽しみ、4回も食事を共にするなど、首脳同士、濃厚な時間を過ごしています。また、トランプ氏の長女で大統領補佐官のイヴァンカさんが、トランプ大統領に先立って訪日しており、おそらく、報道されている内容だけでなく、報道されていない国家機密レベルの内容までを含め、日米間でさまざまな観点から議論が行われたことは間違いありません。

そして、北朝鮮処分についても、少なくともすでに日米間では複数の具体的な戦略が立案され、共有されていることも間違いありません。

そんなトランプ氏は明日、次の訪問地である韓国に向けて旅立ちます。

ただ、トランプ氏にとっては、ここから先がアジア歴訪の「本番」です。というのも、韓国は中国に対して、「三不」―▼高高度ミサイル防衛システム(THAAD)の追加配備を検討しないこと、▼米国のミサイル防衛システム(MD)に入らないこと、▼日米韓協力関係を軍事同盟に発展させないこと―、を確約したからです。

その意味で、トランプ氏の訪韓を前に、韓国は事実上、中国の軍門に下ってしまったといえます(図表1)。

図表1 韓国は3度裏切った
時期出来事顛末
2015年6月AIIB参加表明で米国を裏切る同年10月の訪米時に朴槿恵を徹底的に冷遇
2016年7月THAAD配備表明で中国を裏切る中国が韓国に「THAAD制裁」を発動する
2017年10月「三不」表明で米国を裏切る米国の「韓国切捨て」?

トランプ氏は韓国に1泊2日の日程で滞在する予定だそうですが、その米国が韓国に対し、根強い不信感を抱いているのではないかと疑われる記事が、昨日の『中央日報』日本語版に掲載されています。

24年ぶりに米大統領迎える韓国国会「演説10分前に着席、入場時には起立拍手」(2017年11月06日14時51分付 中央日報日本語版より)

問題の下りは、これです。

保安が強調されるトランプ氏の国会出入りの動線も焦眉の関心事だ。国会事務局によると、米国国務省職員が事前踏査のため数日前に韓国入りして駐韓米大使館職員と共に国会に常駐するようにして動線一つ一つをチェックしている。トランプ氏は8日午前、リムジン乗用車を利用して国会に入ってくる可能性が高い。通常、国会議員が車に乗り降りる時に利用する2階正門は米側が「四方が開けすぎていて大統領が見えやすい場所なので、警護上、問題になりうる」として難色を示したという。

予定では、トランプ氏は明日(8日)、韓国国会で演説を行いますが、その警備が大きな問題になっているというのです。そして、米国政府職員が数日前から韓国国会に「常駐するようにして」、動線を1つ1つ、チェックしているということですから、そこには韓国政府の警備体制に対する根強い不信感が充満しています。

日本だと、米国政府や米国大使館が警備について注文を付けてくるとは考えられません。

実際、トランプ氏訪日中の首都・東京の警備も、日本の警察当局が万全の体制を敷いていましたが、市民の側もそれに協力的で、東京は緊張の中にもトランプ氏の歓迎ムードで一色となっていました。

しかし、韓国の場合、「前科」があります。それは、2015年3月5日早朝に発生した、マーク・リッパート駐韓米国大使に対する襲撃事件です。

この事件は、朝食会の席上でリッパート大使が刃物を持った韓国人の男に襲撃され、重傷を負ったという、衝撃的なものです。実行犯は2010年7月に日本大使に向けて巨石を投げつけ、結果、日本大使館の女性職員が負傷したという事件も起こしていますが、韓国の司法当局はこの男に実刑判決を下さなかったことでも知られています。

つまり、米国はオバマ前政権時代から、何度も何度も韓国の裏切りや不法行為に直面していて、もはや米国政府は韓国政府のことを、まったく信用していないのです。

本丸は水曜日以降の訪中

ただ、トランプ氏は韓国訪問を1泊2日で終わらせ、水曜日はそのまま中国に向かいます。今回のトランプ氏のアジア歴訪における「本丸」とは、まさに「敵陣」の本拠地である北京に乗り込む水曜日以降でしょう。

トランプ氏にとっては、先日の共産党大会で権力基盤を固めた習近平氏との間で、今年4月の米中首脳会談の「続き」を行うことになります。前回の首脳会談では、高級リゾート地「マー・ア・ラゴ」で、習近平氏が晩餐会で出されたデザートのチョコケーキを食っている最中、トランプ氏が「シリアを空爆した」と宣告したことでも知られていますが、今回、習近平氏はトランプ氏に対し、何らかの「意趣返し」を行うのでしょうか?

米中間は、北朝鮮情勢以外にも、さまざまな問題を抱えています。思いつくだけでも、▼米中間の貿易不均衡問題や為替操作国認定問題、▼韓国を巡る米中間の綱引き、▼南シナ海などにおける法を無視した海洋進出、▼中国が進める一帯一路構想とアジアインフラ投資銀行(AIIB)への米国の不参加問題―など、それこそ難題が山のように押し寄せています。

そして、米中間の鞘当ては、すでに始まっています。

中国は今年夏以降、北朝鮮在住者との銀行取引を停止する措置を開始していますが、それと同時に、韓国に対しては「THAAD制裁解除」をチラつかせながら、「三不宣言」を呑ませました。

ここから感じ取れるのは、中国としては「北朝鮮問題については中国の責任で何とかするから、その代わり米国は韓国から撤兵せよ」という、強いメッセージです。

そして、米国が北朝鮮問題を巡る中国との「バーター取引」に応じるのかどうかは、トランプ大統領の韓国滞在時に抱く印象にも強く左右されることは間違いありません。

その意味で、明日からもしばらく、トランプ氏の動向からは目が離せない展開が続きそうです。

補論:韓国はいかにして滅ぶか?

韓国経済、人間に例えるならば「成人病」

ところで、明日からのトランプ訪韓を前に、韓国国内では米韓FTAの動向にも注目が集まっています。

この米韓FTAは、米国ではバラク・オバマ政権時代、韓国では李明博(り・めいはく)政権時代に成立したものですが、トランプ政権はその見直しを韓国に突きつけているからです。

韓国では連日、「米韓FTAが破棄されたらどうなるか?」といった観点から戦々恐々としている様子が、韓国メディアを通じて伺えますが、実は、韓国経済の「アキレス腱」は、米韓FTAではありません。というのも、韓国の最大の輸出相手国は、米国ではなく中国だからです。

というよりも、韓国が抱えている経済問題とは、人体でいえば「成人病」のようなものです。具体的には、①輸出依存度が高すぎる問題、②家計債務が巨額であるという問題、③銀行の過剰融資問題、④金融面での外貨依存、といった問題があります。これら1つ1つは、気を付けてきちんと管理していれば爆発することはありませんが、これらの要因(たとえば①と④、②と③など)が組み合わされると、韓国経済が破滅しかねません。

たとえば、韓国はドイツと並んで、OECD加盟国の中でも、輸出依存度が特に高いグループに属しています。GDPは国内消費、国内投資、政府支出、純輸出(輸出高-輸入高)の合計値として定義されますが、輸出依存度とはGDPに占める輸出高の割合のことであり、これが高ければ高いほど、世界経済の後退や為替相場の変動に対して弱いという意味です。

現在、世界経済は日本や米国が堅調ですが、欧州や中国が弱く、しかも中国からは「THAAD制裁」を喰らっている状況です。その中国は、通貨スワップと引き換えに、韓国に「三不」を呑ませたものと考えられます(とはいっても、中韓通貨スワップは、金額だけは巨額ですが、米ドル建てのスワップではないため、緊急時に使い物にならない代物ですが…)。

韓国は輸出競争力を高めるなどの目的で、半ば公然と為替操作を行っていますが、それも中国との巨額の通貨スワップ協定が存在しているという「心理的安定感」を背景に行われているものです。

しかも、米FRBが年内に利上げに踏み切ることはほぼ確実と見られているなかで、FRBが金融引締めに転じれば、韓国を含めた新興市場諸国(EM諸国)から資金流出が生じるリスクまであります。巨額の家計債務問題を抱える韓国が、資金流出を防ぐために利上げを行えば、家計債務爆弾が炸裂しかねません。

韓国は「外貨売り・自国通貨買い」という通貨防衛を余儀なくされる可能性が高く、そうなれば、外貨準備が底を尽きて、金融面から破綻してしまうかもしれません。

最大のリスクは「日本が助けてくれないこと」

つまり、放漫で安易な経済運営を行って来たツケが、現在の韓国には溜まっているのです。

こうした中、軍事面では米国の傘の下にある韓国が、経済面では日本の庇護下から中国の軍門に下り始めています。実際、2ヵ国間通貨スワップ協定(BSA)でも、いまや韓国は日本とのスワップを保持しておらず、米ドル換算で総額750億ドル程度のBSAのうち、実に7割は中国とのスワップが占めているのです(図表2)。

図表2 韓国が外国と締結する通貨スワップ協定
相手国最大金額米ドル換算額
オーストラリア100億豪ドルと9兆ウォン約79億ドル
マレーシア150億リンギットと5兆ウォン約36億ドル
インドネシア115兆ルピアと11兆ウォン約85億ドル
中国3600億元と64兆ウォン約546億ドル
BSA小計約746億ドル
CMIM384億ドル384億ドル
合計約1130億ドル

(【出所】中国とのスワップを除き、各国中央銀行ウェブサイトより著者作成。中国とのスワップは韓国当局が「延長に成功した」と言い張っているだけの状況にある。なお、為替換算はWSJの日本時間10月16日22時時点のものを使用し、億ドル未満を四捨五入している)

ということは、トランプ氏の訪韓により、米国が軍事面でも韓国を手放せば、韓国は軍事面、経済面で完全に中国の影響下に入ることになります。これが「中華属国化」です。

韓国が中華属国化を防ぎたければ、北朝鮮に懇願して赤化統一してもらうか、頑張って軍部がクーデターを起こして現在の極左政権を倒し、日米両国に土下座して再支援をお願いするか、そのいずれかしか方法はありません。

いずれにせよ、韓国経済は人間でいえば慢性病のような状況にありますが、中国にはそれを助ける「医者」の役割など不可能です。本来、豊富な外貨準備と確固たる技術基盤がある日本が、経済面で韓国の苦境を助けてくれていたのですが、はたして「次の韓国通貨危機」に際して、日本は韓国を助けるのでしょうか?

乞う、ご期待!(笑)

本文は以上です。

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読者コメント一覧

  1. 埼玉県民 より:

    毎日拝読させていただいております。
    本日NBOにて鈴置さんの記事がありました。
    中国のこのタイミングで狙いすまして、三不の踏み絵を踏ませますね、さすが属国のハンドリングは手慣れたものです。トランプ大統領の訪韓・国会演説がどういう展開になるか興味深いです。 食事は何を食べさせるか、キムチが出てもトランプ大統領は極めて保守的な食習慣にみえるので、気持ち悪がって手をつけないのではないかと想像します。 

    以前より気になっていた鈴置さんの“朝鮮半島201Z年”を図書館で借りて週末にかけて読了しました。2010年11月発行なのですが、恐ろしいぐらい、韓国が中国の属国化することを予言しております。公海上の核実験予告なども含まれており、最終的には中国の地上軍侵入により北の指導者の取り換え傀儡政権の樹立まで現実が小説にリアルタイムに追いついていくのを目撃している感があります。 改めて鈴置さんの慧眼に敬服いたします。小説のシナリオで、まだ現実化していないのはウォンとKOSPIの暴落です

    1. 埼玉県民 より:

      追伸です。 小説には真田先生がモデルと思しき、鍋島教授が登場します。

  2. めがねのおやじ より:

    < いつも拝読させていただいてます。
    < 「白旗を揚げた韓国」との見出しでNBOの鈴置氏のインタビューが掲載されました。「三不」を突然のように言い出すのは、不自然な気もしていた私ですが、鈴置氏の説明で氷解しました。康長官の与党議員からの質問も、それに続くすぐ後にシナの報道官が述べたこと、更に翌日念押ししてアナウンスしたこと、すべて路線通りの半ばヤラセですね。「なぜ今か?」「さすがにMD、THAAD、日米韓同盟破棄はないだろう」と思っていた私は、まだまだ朝鮮人の根性、中国の周辺国への荒っぽい対応が心底分かっていませんでした。韓国はいくらなんでも自由主義同盟国側から抜け出さない。それもマティス国防長官と南鮮国防長官が米韓定例安保協議を10月28日に開いたばかり。国レベルではともかく、剛腕と言われるマティス長官ははらわたが煮えくり返る思いだったのではないでしょうか。米中間のボールは蹴られっぱなしですが、安もんのせいか、なかなか割れません。また割れてしまえば、米中の直接対決のキズ口が広まるかもしれません。
    < しかし、裏切り(何回目や!韓国は!)が表明されてからも米国からの表立った報復がない。むしろ「中韓の関係改善を歓迎する」と米国務省の報道官は述べているそうです。もう、完全に少なくともトランプ+安倍><キンペイ-文-金体制の間は南鮮のスタンスは決定、紅軍チームです。そこでもナンバー2になれないのが情けない、要は信用されてない。
    < 今回のトランプ大統領のアジア歴訪は主に対北朝鮮包囲網の強化、貿易赤字の削減、シナへの北問題通告と阿吽の了解求める事、さらにDデイ秒読みと思います。また露とも会う予定ですね。南鮮の行儀の悪さは日米ともに織り込み済みです。どうでもいい国ですので、南鮮は亡くなって欲しい。レッドチームならレッドチームに居ればよい。聞くところによると、京城では反トランプ反米デモが凄いらしい。もっとやれッ。徹底的に米国を侮辱し、嫌われろというのが私の今の願い事です。なお、トランプ大統領夫妻歓迎の晩餐会、南鮮は竹島海老を出すそうです。名前をおぞましい韓国領地名に変えて。どこまで性根が腐っているのだろう、付き合いきれんわ、韓国人は。プライドはエベレスト級らしいから、日本には二度と擦り寄るな(笑)。失礼しました。

  3. spaceman より:

    更新ありがとうございます。

    韓国は、トランプ大統領に反日アピールをしたいようですね。

    http://www.sankei.com/world/news/171107/wor1711070040-n1.html
    http://www.sankei.com/world/news/171107/wor1711070042-n1.html

    あの民族らしい思考で、大変面白い。

    さて、トランプ氏はどう反応するか。あるいは、どうtweetするか。
    鈴置さんの書いているように、意図をこめた「無反応」もありえると思いますが。

    とまれ、今はひたすら旅の安全をお祈りしたいと思います。

  4. 非国民 より:

    韓国もなんとか中国とスワップを締結したようです。案外、スワップ発動と同時にその担保として済州島の一部を99年間、中国に割譲なんてことがあるかもしれません。そうなると米軍は北と南で挟み撃ちとなり、軍事的にかなりやばくなります。どうしますかね、米軍。まあ、中国もここまで活動領域が広がると維持費がかかりすぎて破産状態になるかもしれません。空母を作ったはいいが、空母を運営するには補給や哨戒とかが必要。おそろしくお金がかかります。歴史的に空母機動部隊を作ったことがあるのは日本とアメリカだけ。

    1. めがねのおやじ より:

      非国民様
      おっしゃる通りです。空母でもイージス艦でも潜水艦でも最低3の倍数が必要です。1隻では張り子の虎(笑)。3年で1年だけしか外海に行けないです。空母ですと1隻が戦闘地域または領海外での遊弋、警戒任務、他国軍との合同実技演習、2隻目が近海での習熟訓練、3隻目がドックで修理、改修中。となります。オマケに中国の空母はソ連製でカタパルト(射出機)がありません。有翼飛行機飛ばせない欠陥品。今、中国は空母を新造中ですが、このカタパルトは大変難事のようで、米国海軍指定造船所しかノウハウないです。日本なら多分作製出来ますが、例の憲法9条が足かせになり、まだ設置出来ない状態です。知っておられたかも知れませんが、長文失礼しました。

      1. 非国民 より:

        カタパルトの件は知っていました。あのロシアすらもってませんからね。

  5. りょうちん より:

    >日本だと、米国政府や米国大使館が警備について注文を付けてくるとは考えられません。

    シークレットサービスが皇居の事前チェックを要求したようですよ。
    さすがに日本も断ったようですが。

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