歴史に学ぶ朝鮮半島情勢

予定では本日からドナルド・トランプ米大統領が日本を訪れます。予定では滞在期間は2泊3日ですが、もしかすると韓国訪問日程を削って、3泊4日になるかもしれません。それはともかくとして、本日は朝鮮半島と日本のかかわりについて、少し本質的な議論を紹介しておきたいと思います。

三連休は天気が良くて…

三連休に入る直前、私は「この三連休、天候が心配だ」と申し上げました。しかし、金曜日や土曜日に関しては、東京地方に小雨がぱらつくときもありましたが、日中はおおむね晴れてくれました。

私は大量に仕事を抱えていて、どうにも新宿から動くことができないため、連休中は家族で新宿御苑を散策して過ごしました。ただ、新宿御苑は自然豊かであり、季節に応じて美しい花や木々を楽しむことができるうえ、現在、菊花展も開催されています。本日は三連休の最終日ですが、新宿近郊にお住いの方は、家族連れで新宿御苑を訪れても良いかもしれません。

ただし、最寄駅はJR千駄ヶ谷駅(千駄ヶ谷門)か、都営地下鉄新宿線・新宿三丁目駅(新宿門)であり、地下鉄丸ノ内線の「新宿御苑前」という駅からだと、新宿御苑の入り口(大木戸門)までかなり遠いのでご注意ください(笑)

新宿御苑
  • 入園時間:9:00~16:00(※16:30閉園)
  • 入園料:一般200円/小中学生50円/幼児無料/団体割引・障害者割引等あり
  • アクセス:新宿駅南口から徒歩約8分(新宿門)/都営地下鉄新宿線・新宿三丁目駅から徒歩約3分(新宿門)/東京メトロ丸の内線・新宿御苑前駅から徒歩約5分(大木戸門)/JR千駄ヶ谷駅から徒歩約3分(千駄ヶ谷門)

なお、公式ウェブサイトのアクセスマップは分かり辛く、若干不正確ですので、出掛ける時にはグーグルマップなどを見ながらの方が良いでしょう。また、新宿御苑には駐車場もありますが、新宿区民のホンネとしては、できれば自動車ではなく公共交通機関でいらして頂きたいと思います。

歴史教科書の想い出

高校時代の想い出:歴史教科書を何度も読み込む

私が通っていた高校は、今になって思えば極左の教員に支配されていたのではないかと思います。なぜなら、社会科の選択1つとってみても、文系コースの学生が選択できたのは世界史か地理のみであり、日本史を履修することは不可能でした。

このため、私は日本史を履修するために、わざわざ高校2年生から理系を選択したほどです(ただし、理系を選択したおかげで、物理・化学を勉強することができたことは、自分の人生にとって良い影響をもたらしましたが、この点については機会があればまた後日、どこかでお話ししたいと思います)。

ただ、わざわざ理系コースを選択してまで日本史を履修したことは、私にとっては非常に良かったと思います。また、ついでに世界史を独習し、センター試験は世界史で受験しました。今になって思えば、高校で学ぶ歴史など、別に学校で教わる必要などなかったのかもしれません。

日本史にしろ世界史にしろ、大学受験で出題される内容の8割以上は教科書レベルのものであり、逆に言えば、大学受験では教科書さえきちんと読んでいれば十分です。実際、私も某大学には日本史を選択して合格していますが、日本史の出題水準は教科書レベルでした(ただし近現代から出題があったため、学校の授業しか聞いていなかった人には合格できなかったかもしれませんが…)。

近現代を思い出そう!

いずれにせよ、私は多感な高校生時代を、ひたすら歴史教科書を読み込んで過ごしたため、歴史年表については無駄に知識としてこびりついています。

日本史、世界史を問わず、とくに面白かったのは近現代です。

両方の科目の教科書で重複する記述も多く、このことから、日本が近現代において、非常に重要な地位を占めていたということは、直感的に理解できました。考えてみれば当然です。それまで鎖国していた国が、1853年にペリーが来航したことを契機に開国し、そのわずか15年後の1868年には明治維新が発生。

さらに開国から26年後の1894年には日清戦争、その10年後の1904年には日露戦争、その10年後の1914年には第一次世界大戦、と、実に多くの対外戦争をこなし、1919年のヴェルサイユ条約では、日本は「5大国」の一角を占めるまでに成長したのです。

ただ、世界恐慌とそれに続くブロック経済化により日本はなし崩し的に戦争に巻き込まれ、ナチス・ドイツと組み、中国、ソ連、米国を敵に回したことにより戦況が悪化。1945年には人類初の原爆を2発も落とされ、日本中の主要都市を無残に焼き払われて敗戦しました。

しかし、それだけでは終わりませんでした。1951年にサンフランシスコ講和条約を経て独立を回復するや、直ちに高度経済成長に入り、同じ敗戦国だった「西ドイツ(※)」とともに、G7と呼ばれる経済大国の一角を占めるようになったのです。これが、高校時代に読んだ近現代の流れです。

(※余談ですが、ここを「西ドイツ」と記載している理由は、私が高校生だった1990年10月に東ドイツと再統一を果たすまでは、ドイツは東西に別れていたからです。ついでに申し上げれば、中国(中華人民共和国の方)は世界の最貧国の1つであり、大量の人民が自転車にのって通勤する北京の様子がテレビで放映されていました。また、韓国は反日感情の強い国ではありましたが、それでも日本語を解する人も多く、また、日本と仲良くしたいという人も大勢いた時代です。)

しかし、いずれにせよ日本は当時、アジアで唯一の先進国であり、アジア最大の経済大国でもありました。そんな時代に高校生として歴史教科書を読んで過ごしたことは、私の現在の思考に、何らかの影響を与えているのかもしれません。

日教組の教師vs予備校講師

ところで、学校の授業では、日教組に所属している教員が歴史の授業を受け持っていました。この教員は、今でいうところの「反日史観」に染まっており、授業中もやたらと「日本が酷い国」であると強調していました。この日教組系の教員は、日清戦争や日露戦争、さらにその後の韓国併合などを批判的に取り上げ、日本がいかに罪深い国であるかと強調していたことを、昨日のように覚えています。

ただ、私はあくまでも大学受験の戦略上、学校で日本史を履修することに決めただけであり、歴史教科書に加え、近所の図書館や書店でも、歴史に関連する書籍を随分とたくさん読んだつもりです。さらに、当時流行していた、代々木ゼミナールの菅野祐孝(かんの・ゆうこう)先生の手による「日本史実況中継」という書籍を買い求め、受験対策を万全にしていたので、正直、私はあまりこの高校の授業を聞いていなかった気がします。

今になって思えば、高校の教員の授業を適当に流し、教科書プラス予備校講師の受験本でしっかりと知識を付けたことは、結果的には良かったと思います。もちろん、「受験テクニック」的な日本史の講義には、「単なる知識の詰め込みではないか」とする批判があることは承知しています。

しかし、本質的にいえば、情報には、次の2つの種類があります。

  • 客観的な事実
  • 主観的な分析

今になって思えば、日教組系の教員は、時として客観的な事実関係を無視し、「悪辣な日本が朝鮮半島を蹂躙した」などと教員としての主観を教え込んでいた節があります。このため、そことの比較で考えるならば、予備校講師の授業の方が遥かに優れていたのです。

大学にもよりますが、得てして受験日本史で求められるのは「知識」であり、「客観的な事実」です。このことは、私は決して悪いことではないと思います。大化の改新は645年、鎌倉幕府は1192年(※最近は1185年と教えているようですが…)、ペリー来航は1853年、…と、客観的な事実を詰め込んでおけば、それに対する「考察」は、人生の中でゆっくりと行えば良いだけの話だからです。

歴史に学ぶ、朝鮮と関わることの不幸

日本、清国、朝鮮国…東アジア3ヵ国の違い

ところで、私はその後、大学で学び、国家Ⅰ種を受験し、公認会計士資格を取得し、慌ただしくビジネスライフを営んで来ましたが、やはり高校時代に学んだ日本史や世界史の面白さは忘れられません。

この中でもとくに強く印象に残っているのは、何といっても1853年のペリー来航以後の、まさにジェットコースターのような日本の動きです。

改めて振り返っておくと、ペリーが来航してからちょうど15年で日本は幕藩体制を打破し、近代国家を作り始めます。こうした動きは1889年の大日本帝国憲法の発布により、一応の完成を見た格好です。

  • 1853年 ペリー来航
  • 1854年 日米和親条約
  • 1858年 日米修好通商条約、安政の大獄(吉田松陰らの処刑)
  • 1859年 横浜港開港
  • 1860年 桜田門外の変(大老・井伊直弼の暗殺)
  • 1862年 生麦事件
  • 1863年 下関戦争・薩英戦争
  • 1864年 薩長同盟
  • 1867年 大政奉還
  • 1868年 王政復古の大号令、明治維新、東京奠都、戊辰戦争(~69年)
  • 1871年 廃藩置県、岩倉使節団、日清修好条規
  • 1876年 地租改正
  • 1877年 西南戦争
  • 1885年 内閣制度成立
  • 1889年 大日本帝国憲法発布
  • 1890年 帝国議会開催

この37年間で、日本は鎖国体制から一気に西欧並みの近代国家に作り替えられました。もちろん、急ごしらえであるため、さまざまな不具合もありましたが(たとえば大日本帝国憲法には「内閣」という規定が存在しませんでした)、とにもかくにも、徳川王朝が諸外国と締結したさまざまな不平等条約を改正するだけの素地は出来上がったのです。

ところが、日本が40年弱で、封建体制を打破し、一気に近代国家を作っている間に、中国(当時は「大清帝国」、略して清国)は「洋務運動」などで西洋の科学技術を導入しようとしたものの、旧態依然とした体制を打破することはできませんでした。

また、清国は日本との間で、1873年に日清修好条規を締結していますが、これは「中華帝国秩序」が形成されて以来、初めて日本が中華帝国との間で締結した、対等な条約です。そして、清国は日本に対しても、大勢の留学生を派遣するなどしてその文物を吸収しようとしました。

しかし、当時の清国は名目上は「中華帝国」であるとはいえ、満州族(愛新覚羅家)が支配する国家であり、必然的に漢族を満州族が支配するために科学技術等の進歩を犠牲にせざるを得ませんでした。一例を挙げれば、清国は漢族に対しても、満州族の風習である辮髪(べんぱつ)を強要しましたが、こうした前近代的な風習を打破することができなかったことも、中国がその後、長年にわたって停滞する原因だったのです。

さらに救いようがなかったのが朝鮮です。朝鮮はもともと、1392年に李成桂(り・せいけい)が高麗(こうらい)を滅ぼして成立した国であり、朝鮮という国号は1393年に中国の大明帝国(いわゆる明国)から授与されたものです。さらに、李王家は大明帝国皇帝から朝鮮国王に封じられましたが、1636年に従属先を清国に変えつつも、いちおう、国家としては存続を続けます。

ただ、当時の朝鮮は技術も乏しく、朝鮮人民の生活水準は世界でも最低水準で、まさに文化的には日本の平安時代か、それ以前の水準に留まっていました。当時の朝鮮の写真などを見れば、朝鮮がいかに貧しく、技術も停滞していたかは明白です。

朝鮮半島に関わったのが運の尽き

日本は東アジア3ヵ国の中で、唯一例外的に、自力での近代化に成功した国です。ペリーが来航してから37年(開国してから22年)で憲法を整え、近代国家としての体裁を整えました。

ここから考えるならば、日本の江戸時代とは、決して「科学技術の進歩が停滞した暗黒の時代」ではなく、むしろ日本が鎖国したことにより清国の影響を最小限にとどめ、日本が自ら大きく発展する素地を作った時代だったと見るべきでしょう。そうでなければ、日本がわずか40年弱で憲法まで備え、近代国家の体裁を整えるまでに成長したことの説明が付きません。

江戸時代の日本では、寺子屋を通じた初等教育が庶民レベルにまで普及し、当時の西洋とも比肩し得る高度な数学が発達。さらに大坂の堂島市場では初歩的なコメの先物取引が行われていたとする記録もあり、こうした土壌が、明治期の日本の躍進を形作ったともいえます。

ただ、順調に成長を続けていた日本が混乱に巻き込まれたのは、やはり朝鮮半島情勢でした。

日本が開国した当時は、隙あらば日本を征服しようと、列強(ロシア、米国、英国、フランスなど)がアジアにも手を伸ばして来ていました。こうした中、朝鮮王朝は旧態依然としており、日本が放っておけば、いずれ列強(とくに北方から勢力を伸ばしていたロシア)に吸収されることは目に見えていました。

日本が明治維新を果たした直後、朝鮮は日本に対し断交という非礼を働き、これにより一時、日本国内でも「征韓論」が台頭しました。ただ、征韓論を唱えていた明治政府幹部が下野したことで、いったんは征韓論は鎮静化したものの、1876年に江華島事件が発生。これを契機に日本は朝鮮を開国させ、日朝修好条規を締結しました。

しかし、その後、日本と清国、さらには南下しようとしていたロシア、ロシアの南下を警戒する英国などの思惑が錯綜していきます。さらに、朝鮮国内の王権が安定せず、独立派(親日派)と事大派(親中派)に別れた政変が数次にわたって勃発。日本の在朝鮮公館も襲撃されるなど、朝鮮半島情勢の不安が生じたこともあり、日本はいやおうなく、朝鮮半島情勢に関わっていくのです。

こうした中、1894年に発生した甲午農民戦争(いわゆる「東学党の乱」)を契機に、日清両国軍が衝突し、双方が相互に宣戦を布告。当初は清国側が圧倒的に有利と見られていたものの、戦況は日本に有利に運び、翌1895年には下関条約により日本が清国に勝利し、台湾・澎湖島や遼東半島などの割譲、賠償金の支払いなどで合意しました。

今度は「日露二股外交」を始めた朝鮮

日清戦争の結果、朝鮮は清国から「独立」。以降は国号を「大韓帝国」、つまり韓国と改めました。

ところが、遼東半島はロシア、フランス、ドイツの3ヵ国による「三国干渉」によって清国に返還させられ、その遼東半島にはロシアが軍港を租借したうえにシベリア鉄道(のちの満州鉄道)を敷設するなど、南下の意思を強化します。

今になって思えば、それも当たり前の話です。「眠れる大国」と見られていた清国が、「弱小国」と見られていた日本に大敗を喫したことを受け、ロシアが清国を「御しやすし」と見るのは当然であり、パワー・バランス上は、ロシアが南下するのも当然過ぎる話だったのです。

ただ、これによって圧迫を感じたのが日本と英国です。とくに英国は、ロシアの南下を極端に警戒しており、1902年には日英両国が「日英同盟」を成立させます。

しかし、日英同盟にも関わらず、ロシアの南下は収まりませんでした。何故でしょうか?

その理由は簡単。「朝鮮」改め「大韓帝国」が、日本とロシアの間での「二股外交」を展開したからです。

具体的には、「大韓帝国」は国内のさまざまな利権(たとえば港湾利用権)をロシアに売り渡すなど、ロシアの積極的な南下を招いていて、そのこと自体が日本の安全保障に深刻な打撃を与えていたのです。

結局、日本は当時の国力の全てを使い、ロシアと戦うことを決断。幸いにも日英同盟が存在していたため、清国の再参戦の可能性は排除され、日本はロシア相手に総力戦を展開した結果、辛勝しました。その後、1905年に米国ポーツマスにおいて日露両国の講和が成立し、大韓帝国に対する排他的指導権を獲得し、これにより「朝鮮半島によって日本が戦争に引き込まれるリスク」を完全に排除することに成功したのです。

つまり、19世紀末から20世紀初頭にかけての2つの戦争は、いずれも日本が勝利を収め、その後の朝鮮半島は日本が統治することになってしまったのですが、その事は日本に多大な不幸をもたらしました。朝鮮半島経営に投じる資源のために国力を削がれたからです。

仮に朝鮮半島を経営する必要がなければ、日本は産業革命の成功によりもたらされた莫大な国富を、たとえば東京や大阪などの主要都市の強化、東北地方や北海道、千島列島などの開発などに投じることができていたはずです。

しかし、日本は朝鮮半島に莫大な資源を投下し、第二次世界大戦の敗北によりそれらの全てを放棄せざるを得ませんでした。つまり、日本が朝鮮半島と関わったことは、日本にとって不幸をもたらしたのです。

歴史教科書を読んでいる気分に!

あれ?これってどこかで見たような気が…?

ところで、改めて一連の流れを振り返ると、言い様のない既視感に襲われます。

そう、これはまさしく、韓国(大韓民国、あるいは南朝鮮)が現在進行形で繰り広げている、日米中などを巻き込んだ外交と全く同じなのです。

民族のDNAは否定できないのでしょうか、韓国はまさに李朝末期の迷走をそのまま繰り返しています。

たとえば1895年から1904年までの朝鮮半島は、「大韓帝国」を「大韓民国」に、「日本」を「米国」に、「ロシア」を「中国」に置き換えれば、そのまま2013年からの朝鮮半島に相当します。

韓国の朴槿恵(ぼく・きんけい)前大統領は、米国との軍事同盟を保持していながら、中国との関係を強めました。しかし、韓国による、あまりの中国への擦り寄りに激怒した米国は、高高度ミサイル防衛システム(THAAD)の実装などを韓国に突きつけ、韓国は米国の怒りを鎮めるために、2015年末から2016年11月に掛けて、「慰安婦合意」「THAAD」「日韓包括軍事情報保護協定(日韓GSOMIA)」の「3点セット」を実現させました。

ところが、今度はTHAAD配備により中国を激怒させた韓国は、「ろうそくデモ」により罷免された朴槿恵政権に代わり、文在寅(ぶん・ざいいん)政権が「三不」を表明。いわば、韓国は再び米国を裏切った形となっています(詳細は『「三不協定」の衝撃:米韓同盟崩壊が視野に入った』などもご参照ください)。

米国よ、日本よ、中国よ、ロシアよ、歴史に学べ!

ここから明らかになる点が1つあるとしたら、朝鮮半島には主体的な国家を作らせない方が安全だ、ということです。

私が歴史に学ぶべきだと思うのは、まさにこの「朝鮮半島のどうしようもないDNA」です。なまじっか、独立国家を維持していれば、周辺国を引きずり込む形で戦争の発火点となるからです。欧州でバルカン半島が「火薬庫」と呼ばれているように、アジアでも朝鮮半島は大国間の思惑がぶつかり合う震源地です。

私は、日米中露4ヵ国こそ、歴史を学ぶべきだと思います。具体的には、

  • ①朝鮮半島は日米中露のいずれかの国が「管理」し、自主外交をさせないようにする必要があること

という共通認識を持つことです。また、日本については、

  • ②少なくとも日本は、金輪際、朝鮮半島に関わらないこと

を徹底する必要があります。

ここで注意しなければならないのは、「朝鮮半島が中国やロシアの勢力圏に入れば日本の安全保障にも深刻な影響が生じる。だからこそ日本は積極的に朝鮮半島に関わらなければならない」と、したり顔で述べる人が、保守派の論客の中にも存在していることです。

歴史に照らすなら、この意見は100%間違っています。

例えば、朝鮮半島がロシアの版図に入ったとしても、ロシアはそこから先、対馬まで攻めてくることはありません。ロシアは日本が敗北するさなか、火事場泥棒のように千島・樺太を不法占拠していますが、逆に言えば、潜在意識の中では日本が怖くて、それ以上のことができなかった国です。

また、朝鮮半島が中国の版図に入ったとしても同じことが言えます。現在の中国は、東シナ海で尖閣諸島や沖縄県などを自国に併合しようと、虎視眈々と狙っていますが、いきなり朝鮮半島を版図に入れてしまうと、逆に日本から警戒され、対馬が軍事基地化してしまいます。

私に言わせれば、朝鮮半島は中国かロシアのいずれかが、責任を持って管理してくれるくらいでちょうど良いのです。

仮シナリオ:北朝鮮東部がロシア領、南朝鮮が中国領?

あくまでも仮の議論ですが、私は北朝鮮が東西に分割され、「東・北朝鮮」がロシア領、「西・北朝鮮」が中国領となることが理想的だと考えています。ついでに南朝鮮(=韓国)も中国領かロシア領、あるいは中国かロシアの衛星国家になるのが分かりやすいと思います。

すでに日本海はロシアのウラジオストクという軍港に睨まれていますが、日本は明治維新以来一貫して、舞鶴港からウラジオストクを睨み返しています。それに、現在は北朝鮮領である元山(げんさん)などの港湾都市も、すでにロシアの利権下に組み込まれており、北朝鮮東部が改めてロシアに併合されたとしても、日本の安全保障には新たな脅威とならないばかりか、むしろ「話ができない相手」である北朝鮮が、「話ができる相手」であるロシアに交代することは、日本にとっても好ましいといえます。

北朝鮮西部が中国領に組み込まれた場合も、全く同様のことがいえます。この場合、黄海がより一層、「中国の海」となるだけの話であり、日本の安全保障にとっては全く影響が生じません。

もちろん、南朝鮮が中国かロシアの版図に組み込まれる場合には、日本としては覚悟を決めて、絶対に玄界灘を死守しなければなりません。しかし、そのことは逆に、日本が日米同盟に加え、日英同盟、日豪同盟など、「海洋民主主義国家同盟」を成立させる、良いきっかけになります。

トランプ訪日日程延長を願って…

本日からドナルド・トランプ米大統領が訪日します。

事前の予定だと、滞在日程は2泊3日であり、その後は韓国に1泊2日、滞在するとのことですが、私はこれが「日本:3泊4日」「韓国:0泊1日」に変わる可能性も十分あると見ています。というのも、文在寅政権がこのタイミングで、中国に対して「三不」を宣言したからです。

さて、どうなることやら。

本文は以上です。

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読者コメント一覧

  1. めがねのおやじ より:

    < いつも更新ありがとうございます。
    < トランプ大統領は0泊1日でしょう。私のカンでは。滞在時間は8時間程度。平沢基地か元山基地に着陸、在韓米軍から戦闘詳報を受け、スタッフを激励する。文はその場に入れず待機。国会議員議事堂での講演はいやでもしなければならない。その時に韓国の歩んで来た道、なぜ二股外交はいけないか、なぜ近隣の日本と上手くやれないか、中華にシフトし過ぎるとどうなるか、米国はどういうスタンスか。厳しい発言をされると思います。
    < それでも愚民の代表である韓国国会議員は、日本ばかり贔屓にせず、韓国にも力を入れて欲しいって言うてくるかも。そうなると米軍は総攻撃が近々あるぞとほのめかしつつ、米民間人、軍属、および日本人、カナダ、豪州など各民間人の避難を行なう。京城を一発の被害も出さず助ける方法があるとマティス国防長官は言ってましたが、それは死者の事であり、少なくとも数百人以上の負傷者はでます。きっと京城は激しい攻防で廃墟に帰す。出来るだけ短時間で、出来れば24時間以内に作戦終了を願ってます。
    失礼いたしました。

  2. porter より:

    ヒガシ北朝鮮とニシ北朝鮮ワロタwwwwwついでに南挑戦も東と西に分ければ良いのにwwwww
    しっかし凄いタイミングで凄いことする奴らだね

    THAAD:米補佐官・司令官、康外相の「三不」発言に警告
    2017年11月4日 9時42分

    朝鮮日報

     終末高高度防衛ミサイル(THAAD)問題における韓中合意の過程で、韓国政府が表明した▲THAAD追加配備を検討しない ▲米国のミサイル防衛(MD)システムに参加しない ▲韓米日安全保障協力を軍事同盟に発展させない、という「三不」見解と関連、米政府や軍部の中心人物から遠回しながら懸念の声が出ている。

     米国のマクマスター大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は2日(現地時間)、米ワシントンで行われた本紙をはじめとするメディアとのインタビューで、「THAADの韓中合意についてどう思うか」との質問に対し、「私は韓国がその3つの領域で主権を放棄するとは思わない。(韓国の康京和〈カン・ギョンファ〉)外交部(省に相当)長官の発言は確定的(definitive)なものではないと思う」と答えた。これは、韓中両国のTHAAD協議発表後、ホワイトハウスが直接示した最初の反応だ。マクマスター補佐官の発言は、中国側が「するな」と要求した3つの事項を韓国が本当に放棄するつもりなら、これは「主権放棄」に該当し、米国も同意できない、という警告だと解釈できる。

     これと関連、ビンセント・ブルックス在韓米軍司令官兼韓米連合司令官も同日、ソウル市内のコリアナ・ホテルで行われた陸軍協会の招待による講演会で、「THAAD配備を通じて防衛態勢を強化することによって、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が(韓国)南部地域をむやみに脅かせないようにした。今後、既存の首都圏防衛システムに防衛資産や能力を追加し、首都圏住民を守る努力をする」と語った。外交・安保専門家らは、韓国政府が「THAADを追加配備しない」と言った後、「北朝鮮の核・ミサイルの脅威が高まれば、首都圏防衛のためTHAAD砲台の追加配備が必要になるだろうに、あまりにも簡単にこれを放棄した」と指摘した。ブルックス司令官はこの日、首都圏防衛のための措置が「THAAD配備」だと直接は言及しなかったが、同司令官が講演直後、外交部で康京和長官と面談したことを考えると、韓国政府に対するメッセージだと見られる。

     また、ブルックス司令官はこの講演中、手のひらを広げて見せ、「私が参謀たちに言ったのは『この手のひらが北朝鮮だとしたら、手のひらを囲んでいる5本の指を韓国・中国・日本・ロシア・米国だと考えてみよ』ということだ。それぞれの指だけで誰かを攻撃すれば、強い力は伝わらないが、5本の指をそろえてこぶしを握った状態で攻撃すれば、破壊力ははるかに強くなる。金正恩委員長の周辺国分裂戦略に対し、我々は結束力を強化する戦略で対抗できる」と語った。

    http://news.livedoor.com/article/detail/13843867/

    アメリカを怒らしてやんのwwwww

  3. 清明 より:

     北朝鮮核問題が、いつの間にか親中に走る韓国を巻き込んで、朝鮮半島問題になった感がありますね。

    本当に韓国とは知れば知るほど嫌いになる、今の小生の思いです。
    これまでの朝鮮半島との付き合いで、一度として良いことなかったもの。

     金大中大統領以降の韓国は、李朝末期な状況に陥りつつあるとのご高説に、賛同せざるを得ない。
    共産主義者文大統領の出現は、米国を裏切り中華帝国に降る最終章を迎えた感じがする。
    李朝末期の日本の役割をこんどは米国が担ってるわけですが、韓国の先行きは韓国民が期待するような甘いものにはなり得ません。

     アメリカは日本と違い寛容ではない、裏切り行為にはそれ相応の報復が待っている。
    韓国を曲りなりにも民主国家として独立させ、自由な経済活動を供与して繁栄させてきたのはアメリカです。
    その恩を仇で返されて黙って引き下がるほど、アメリカは優しくもないし寛容でもない。
    アメリカが韓国から手を引くときは、アメリカがそれまで韓国に与えてきた利得をそっくり引き剥がして行くことでしょう。
    すぐ思い浮かぶのは手っ取り早い通貨制裁。
    まず金融経済でアメリカとの繋がりを遮断されれば、もうそれだけで韓国は立ち行かなくなるんじゃないのかな。
     そうした事態になるだろうことすら予測がつかない韓国、哀れというほかない。

  4. 通行人 より:

    日経の鈴置さんは通貨で韓国を制裁すると書きましたが、あの国はちょっとやそっと制裁されたくらいで懲りるような国じゃないですよ。気が付いたら半島情勢のドロ沼にアメリカも巻き込まれているはず。それが半島のDNAなのだから。そう言えば会計士さんは日韓ハーフでしたっけ?だからこそここまでの容赦無い文章を書けるんですね。でも会計士さんの文章、どっからどう見ても韓国人に書ける文章じゃないですよ。冷静だし論理的だし説得力あるし。今時ネトウヨサイトでもこんな文章はないんじゃないかな?

  5. 憂国の志士 より:

    会計士様、毎日の更新、ありがとうございます。

    日本を取り巻く近現代史。ご指摘のように私も、チョイ昔も、そして今も、ほとんどマトモに教えてもらっていないのが現実でしょう。

    教える側も左巻きや赤化センセーばかりなので、自分の意にそぐわない「正しき日本の歴史」など生徒・学生に教えるわけがありません。

    いまの朝鮮半島を取り巻く諸情勢も、自分で情報収集し、解析し、理解する過程で学んできたものです。
    そのような稚拙な理解度からではありますが、「何でこんな厄介なトコに関わっちまった、か、なぁ…」

    あまりに遡ると収拾つかないのですが、明治期あたりからでも、隣には清が、北にはロシアが、そして欧米列強が、その覇権と勢力域拡大と、果ては植民地策をと、虎視眈々この「未開の地」を狙ってきた。

    百済・高句麗・新羅の時代、「内輪揉め」を除けば朝鮮半島にも少しは平和な時代もあったようです。
    そこにチョッカイを出してきたのが現代世界標準語で云うところの「支那=China」。(ちなみに日本人が支那人に「支那人」と云うと差別語・侮蔑語として嫌われる、らしい…。(「朝鮮人」発言はもっと…))

    この「支那」は「秦⁽シン⁾=Chin-a」から変異したものらしいが、名前などともかく、秦だの、隋だの、唐だの、清だの、つまりは「国」そのものがその時々の権力者によって造り代わってきた歴史、なのであろう。

    「中国五千年の歴史」などとは虚偽の捏造史そのものだ。(お隣では「半万年」とか云う、し)
    中国などとはたかだか70年にも満たない極新生史ではないか。その過去は、時の権力者が爆ぜた、戦乱と殺戮による、前政抹消史に外ならない。

    そこを正直にそのまま学んだのが韓国なのでしょう。
    だから歴代大統領にはロクな末路がない。
    現:文在寅の師匠は盧武鉉元大統領だった。朝鮮動乱以後の「『戦時』作戦統制権」を巡り、盧武鉉は執拗にその(統制権)返還・委譲を要求した。半島有事には軍政指揮権を韓国軍が主導するというものだが、在韓米軍がこれを許すわけもない。「統制権移譲=在韓米軍撤退」だからなので明確だ。米軍は「自国⁽米国⁾の意思で韓国に駐留している」ので、指揮権・統制権なしに韓国を守る理由はなくなる。

    明後日には「1泊2日」で韓国に行く⁽だろう⁾。
    何しに行く、のやら…。

    1. porter より:

      1泊2日じゃなくて0泊1日とか 0泊半日だったりして 反日だけにwww

  6. 宇宙戦士バルディオス より:

     私は、拉致被害者を取り戻す範囲内で、北朝鮮に関与しなければならないと考える立場です。恐らく、拉致被害者家族会も暗黙の裡に了解していると思いますが、話し合いはもちろん、経済制裁等で残りの被害者を取り戻すことはまず困難でしょう。とすれば、軍事オプション以外にはありません。関係各国が動くなら(アメリカが動くなら、平和安全法制の範囲において)、我が国もアメリカ等に最大限協力し、その後でPKO等の形で北に部隊を派遣し、実力で拉致被害者を捜索・奪還する、この際一部被害者に返り血が飛んでも致し方ないと考えざるを得ません。

     閑話休題
    『朝鮮の奴婢は両班に無条件に服従しただろうか』
    http://japanese.donga.com/List/3/08/27/1116572/1
     上も上なら、下も下。併合以前の李氏朝鮮・大韓帝国は腐り切っていた。それは、現代の韓国・北朝鮮も同じ。統治ではなくて、他者の手による支配、それも強圧的・威圧的支配でなければ、朝鮮半島は治められないということが良く分かる。
    「国というものは、必ず上から腐ります。一つの例外もありません」(by フェザーン自治領主アドリアン・ルビンスキー@銀河英雄伝説)

  7. 本日も多数のコメントを拝領し、大変ありがとうございます。皆様方のコメント、本当に勉強になります。

    ところで、東京在住の者として報告いたしますと、本日の東京は警察官だらけで物々しい雰囲気でした。3連休の最終日ということもあり、家族でお出かけしたのですが、ターミナル駅ごとに警察官の姿を目にしたほか、人がたくさんあつまる場所でも、警察官が警備を行っていたのが印象的です。

    こうした中、明日の当ウェブサイトでも、トランプ氏訪日の「熱気」について、ある角度から取り上げてみたいと思いますのでご期待ください。

    以上、お目汚し失礼しました。引き続き当ウェブサイトをご愛読賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。

    新宿会計士

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