【速報】北朝鮮のミサイル、「災い転じて福となす」へ?

本日は異例ですが3本目の記事を公表します。

北朝鮮のミサイル発射をどう見るか?

北朝鮮の弾道ミサイルが再び太平洋上に落下

すでにご存じの方も多いと思いますが、北朝鮮が今朝、弾道ミサイルを発射しました。

首相官邸ウェブサイトによると、6時57分ごろ北朝鮮西岸から発射された1発の弾道ミサイルが、7時16分ごろに北海道・襟裳岬の東2000kmの海上に落下したとみられるとされています。

首相官邸は「現在のところ航空機・船舶等への被害は報告されていない」としていますが、季節柄、太平洋三陸沖で操業する漁船も多く、さらに、北海道上空は国際線・国内線を含め、民間航空機の主要航路でもあります。

「被害がなかったからよかった」、で済まされる問題ではありません。ミサイル発射実験そのものが、単なる実験ではなく、わが国に対する準戦闘行為と見るべきでしょう。

ただ、今回も政府の対応は迅速で、Jアラートなどを活用して国民に情報発信を行い、インド訪問日程を終えたばかりの安倍晋三総理大臣は、ミサイル発射直後の午前7時1分には、総理指示を発信。危機管理能力の高さを見せつけた格好となっています。

それだけではありません。

実は、今回の北朝鮮によるミサイル発射は、むしろ日本にとっては、災いが転じて僥倖(ぎょうこう)となる可能性があるのです。

僥倖①世界が「日本政府に」注目

最初の「僥倖」は、本件につき「日本政府が」世界の情報発信の中心地になり始めていることです。

たとえば、米WSJや英BBCニュースなどが、この件につき速報を出しています。

North Korea Fires Second Missile Over Japan in a Month(米国東海岸時間2017/09/14 19:15 ET付=日本時間2017/09/15 08:15付 WSJオンラインより)
North Korea fires ballistic missile over Japan(英国時間2017/09/15付 BBCより)

これらの記事を読んで目につくのは、「日本」という単語が頻出する点です。

たとえばWSJは「日本の領空を北朝鮮のミサイルが通過するのは6回目だ」、「日本の官房長官は北朝鮮に強く抗議すると述べた」、などと報じており、また、BBCも「日本政府が発表した」などとして、北朝鮮と並んで、明らかに日本の存在感が高まっていることが示されています。

僥倖②安倍総理、再び安保理決議を求める

次に、帰国したばかりの安倍総理が、再び国連安保理の開催を求めたことです。

安倍晋三首相、国連安保理開催を要請「今こそ国際社会の団結求められる」(2017.9.15 09:45付 産経ニュースより)

産経ニュースによると、安倍総理は首相官邸で記者団に対し、

国連安全保障理事会の緊急会合の開催を要請する。今こそ国際社会の団結が求められる

と述べました。

安保理決議なんて要請したって、どうせまた骨抜きにされてお終いでしょ?

保守派の論客の方々の中には、そう考える方もいらっしゃるかもしれません。しかし、これは全く違います。

国連安保理とは、いわば、「国際社会」です。2日前に私は、

  • 何事も筋を通すことが大事だ
  • 安保理決議自体、全会一致という姿勢を見せたこと自体が重要だ
  • 北朝鮮を真綿で首を絞めるがごとく追い詰めるべきだ

と主張しました(『国際社会を味方に付けることが重要!』参照)。

前回は、北朝鮮に対する石油の禁輸や金正恩(きん・しょうおん)一味に対する個人資産凍結などの措置を盛り込んでおらず、「実効性が弱くて意味がない」と批判した人が、保守派の論客の中にも相当にいました。

しかし、前回の決議自体、実効性が弱いことは事実ですが、安保理決議の直後に再びミサイル発射を行ったという事実を見れば、「北朝鮮が国連安保理決議を舐めている」という態度を全世界に向けて示した格好です。

すかさず安倍総理が安保理の緊急会合の開催を要請したことで、再び北朝鮮に対する制裁の強化が議論されることは間違いありません。そして、そのことは中露両国の立場を危うくするものになります。

つまり、北朝鮮がミサイルを撃てば撃つほど、あるいは核実験をやればやるほど、国際社会が北朝鮮の首を絞める「真綿」の量は増えていくのであり、また、北朝鮮がそれに耐えられなくなって軍事的暴発をすれば、その瞬間、米軍の攻撃により北朝鮮は焦土と化すのです。

個人的な希望:北朝鮮には暴発して欲しい

この点、国連安保理決議の制裁には抜け道だらけであり、北朝鮮がこれ以上のミサイル発射実験に踏み切れなくなるほど困窮するとは考えられません。これからも北朝鮮が核・ミサイル発射を繰り返すことは間違いないでしょう。

しかし、それと同時に、北朝鮮がミサイルを撃てば撃つほど、国際社会からの批判が強まります。そして、「日本と米国は正義」「北朝鮮と、それを支援する中露両国は悪」と、国際社会に対して強く印象付けることができるのです。

つまり、北朝鮮のミサイル発射、核実験実施は、いずれも、北朝鮮が中露を道連れにしながら、自身の立場を悪くしているだけなのです。

私が希望的観測も込めて考える今後のプロセスとは、

  • ①北朝鮮がミサイル発射や核実験などを強行する。
  • ②日米の求めに応じて安保理が開かれ、そのたびに少しずつ制裁案が強化される。
  • ③北朝鮮の無法ぶりが国際社会に強く印象付けられる。
  • ④日米が安保理決議に基づき、対北朝鮮制裁を国際社会に呼びかける。
  • ⑤独自制裁を取る国が徐々に増え、経済的な困窮度合いが高まる。
  • ⑥耐え切れなくなって、北朝鮮が軍事的に暴発する。
  • ⑦米軍がそれを「北朝鮮の先制攻撃」と宣言し、「反撃」と称して北朝鮮攻撃に踏み切る。
  • ⑧中国は8月の環球時報社説で主張したとおり、中立を維持する。

といったところでしょうか。

ただし、韓国の文在寅(ぶん・ざいいん)政権が北朝鮮に対する「人道支援」を打ち出すなど、情勢は一筋縄ではいきません。

そこで、この問題については、一両日中に、もう少し詳細に説明したいと思います。どうかご期待ください。

読者コメント一覧

  1. めがねのおやじ より:

    毎日の更新ありがとうございます。
    また北朝鮮がミサイルぶっ放しましたね。国連安保理事会決議を無視する暴挙ですし、今日また安倍首相が緊急理事会を開催提議しました。実際対北制裁は石油パイプラインとか、金正恩の口座凍結されず、ザルであるのは分かってましたが、こうたびたびになると、中国、露も庇いきれなくなる。また遠距離の開発途上国で国交を持つ国も、姿勢を改めるでしょう。明日明後日辺り、本日のミサイル発射の件で米国が案を出し、反対派の中国、ロシアの了解を取る。私見ですが、石油の輸出を昨年実績の50%まで落とすかもしれない。金委員長の個人口座は凍結、船の臨検を北朝鮮の同意なしで出来るようにする(危険なので、武装と装甲した高速船でないとムリ)。以上、前回で承認されなかった行動が追加されると思います。
    会計士様言われるように、「もっと暴発して欲しい」と私も思います、さらに真綿は締まり窒息寸前になる。どうなってもいいと金委員長が爆発した時、米国、日本の出番。今年中にあるでしょうか。日本は欲を言えば戦える体制になってからがいいのですが、敵が攻撃するなら今の状態でも十分応戦できます。親韓派や護憲派、平和活動者、朝日、毎日、東京などの新聞社、マスメディアはどういうスタンスで報道するのか大変興味があります。合わせて邪魔だけはしないと約束して欲しい。

  2. ぶたさん より:

    更新ありがとうございます。

    私も、先生のご意見に全面的に賛成です。
    今までの状況から、戦争は避けられないと思います。
    戦争になるのであれば、さすがにアメリカからの先制攻撃は、国際的に避難が大きいでしょうから、北朝鮮からの先制攻撃からの反撃というようになると良いなと思います。

    北朝鮮の先制攻撃となれば、北朝鮮は、中国も攻撃するのではないのでしょうか?

    自分勝手で、エゴと思われても良いので
    戦争になっても日本には、被害が無い事を祈ります。

  3. spaceman より:

    更新ご苦労様です。

    NBOに鈴置さんの記事が出ましたね。この記事は、北のミサイル発射があったから緊急に上がったのか、それとも当初の予定通りなのか──ちょっと謎です。前回もミサイル発射の直後だったような。

    まあ、そんなことはともかく。

    文在寅の動きがいよいよおかしくなってきました。このタイミングで、米軍による国内戦術核配備を拒否して、一方で北への人道支援を打ち出すというのは、どう見ても眩暈のする行動です。単に頭が悪いのか、それで攻撃から矛先を逸らせられると思っているのか、あるいは表には出さない深謀遠慮があるのか。

    スタッフに北との内通者がいることは間違いないでしょう。ただし、正確な情報を得ているというよりは、何らかの扇動を受けている可能性の方が高いと思いますが。(アメリカからの情報が北に筒抜けになるようですから、逆方向の情報の流れも当然あるでしょう。)

    しかし、いくらそんな文在寅でも、北朝鮮に一方的に併呑されたいと考えているわけではないでしょう。五分五分の条件で連邦統一して、その後、南は北に経済援助、北は南と核兵器共有、それで日米中露に対抗できる大国として屹立できる──みたいなことを考えているのかもしれません。

    アメリカは、今即座に韓国を捨てるわけにもいかないので困り果てているでしょうね。まさに「韓国という足枷」です。今後、北に対して攻めるにせよ引くにせよ、すべて韓国を無視せざるをえません。もはや韓国は当事国としての立場を失ったと私は見ます。少しずつ文在寅の支持率は低下していますし、野党はアメリカに戦術核懇願の議員団を送るなど勝手な動きを見せ始めています。もしかすると韓国は激しい内部分裂に突入していくのかもしれません。歴史的に見てもそういうお国柄ですしね。

    日本はこの危機をチャンスとして、防衛体制をはじめ、国のありかた(憲法)や国際的な立場を「正常化」させなければなりません。それが安倍さんの言う「戦後レジームからの脱却」でもあるでしょう。今もしかしたら歴史の転換点に自分は立っているのかもしれないと思うと、本当にこの情勢からは目が離せません。

  4. 埼玉県民 より:

    鈴置さんのコラム読みました。

    その中の、朝鮮日報の社説「文大統領は『戦術核に反対』、政府は北支援を検討」
    http://japanese.donga.com/List/3/0501/27/1061970/1

    金づるを絞るのが、最も効果的かつ、日・米が力を発揮できそうですね。

    少し前の現代ビジネスの記事を読んで思ったのですが、

    元経済ヤクザだからわかる、北朝鮮「過剰な挑発」の真意
    http://gendai.ismedia.jp/articles/-/52816

    金正恩氏の「海外資産」にだけは触れてはいけない
    http://gendai.ismedia.jp/articles/-/52887

    北は国家としてより、偽札・麻薬覚醒剤・労働搾取を行い、ミサイルと核で人を恐喝する巨大暴力団と考えた方が、行動予想や効果的な対応策ができそうに思います。 暴排条例により、企業のコンプライスにより、反社会勢力との取引が実質できない状況です。 山口組でさえシノギが厳しく上納金も払えなくなり、分裂になっております。 国連の追加制裁と米日独自金融制裁で金がまわらなくなれば、ベンツやメロンがまらえなくなった子分どももいうことをきかなくなるでしょう。 脅しに屈して、人道支援の名の元にミカジメ料を払おうとする輩はヤクザの共犯者です。

    1. spaceman より:

      はじめまして。
      ご紹介の記事、読みました。

      あの国、多少の資源産出こそあるものの人口も産業も乏しいわけで、それこそ「裏稼業」にでも手を染めない限り存立できるわけがない。諸外国から手を貸してもらって何か「特技」でも育てるなら、少しはなんとかなるのでしょうが、なにしろどんなに窮しても偉そうにしていたい人たちですからね。

      今大騒ぎしているのは現状がかなり苦しいからでしょう。ここで周囲が妥協すれば、彼らは恫喝する以外にその核を売って儲けようとするでしょうから、世界の混乱は深まるばかりです。止めなければなりません。

      金正恩の資金に関しては、産経新聞でも西岡力氏の雑誌記事が紹介されていました。

      http://www.sankei.com/world/news/170912/wor1709120018-n1.html

      安保理制裁決議前の記事ですが、制裁はじわじわと奏功しているという意見ですね。アメリカは(おそらく中国も)裏では交渉を行っているでしょうから、もしかしたら、比較的早く何らかの動きがあるかもしれません。

      埼玉県人さんというのは、もしかすると別の韓国ウォッチサイトでもそのHNでコメントされてますか。ときどきお見掛けするHNなので、そうかなと思いました。

    2. spaceman より:

      すみません。失礼しました。
      埼玉県人さんではなく、埼玉県民さんですね。

  5. 憂国の志士 より:

    「平壌という国」らしいです。もはや北朝鮮としての国家運営はトウに諦め、平壌域内のみが潤えばそれでいいという、自暴自棄に陥っている断末魔状態なのでしょう。これからの厳寒に庶民は地中に穴を掘って寒さをしのぎ、国境沿いでは命がけの物々交換で飢えをしのぎ、コッチェビが路頭に屍ても誰も見向きもしない。その中から才ある者だけが平壌国に暮らすことを許され、ついには叶い「入国」し、将軍様に永遠の忠誠を誓(…ったフリでも…)う限り、極上の生活が永らえる。命を帯びた船舶が船名・船籍を偽って金員・石炭を国内(平壌国内)に密輸入し、DEBUはヌクヌクと美女三昧でミサイルを打ちまくる。戒める者など皆無だ。周りを2重、3重に絶対忠誠者のみで取り囲み、微塵にも疑いがあれば民衆公開の元、重機関銃で木っ端の如く粉砕する。そんなヤツに800万ドルもの大金を支援する隣国の指導者もいる。そのカネが平壌国の外に使われる訳がない。後ろでは支那・露助が淡々と何かを企んでいる。日本はといえば、このような傍若無人に成す術もない。国軍を持たない国家とは、斯様にも軽んじられる仕儀であるのか。

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