【速報】北朝鮮弾道ミサイル、日本列島を越える

さきほど、首相官邸ウェブサイトを通じて、菅義偉(すが・よしひで)は、北朝鮮が発射したミサイルが日本上空を飛び越えて北海道・襟裳岬の東方の海上に落下したと発表しました。

【速報】8:00

さきほど、首相官邸ウェブサイトを通じて、菅義偉(すが・よしひで)は、北朝鮮が発射したミサイルが日本上空を飛び越えて北海道・襟裳岬の東方の海上に落下したと発表しました。

2017年8月29日朝5時58分頃、弾道ミサイル1発が北朝鮮西岸から北東方向へ向けて発射され、6時6分頃、北海道・襟裳岬上空を通過し、6時12分頃、襟裳岬の東・1180kmの太平洋上に落下した。現在のところわが国の領土への落下物、船舶・航空機への被害は確認されていない。

また、米メディアWSJ(電子版)も、このミサイル発射を速報で配信しています。

North Korea Launches Missile Through Japanese Airspace(米国時間2017/08/28(月) 18:06付=日本時間2017/08/29(火) 07:06付 WSJオンラインより)

北海道・襟裳岬上空は、帯広、釧路、女満別など民間国内線の航空航路でもあります。もし民間機にミサイルが激突すれば、墜落などの被害が生じることもあります。また、現時点では米韓軍事演習が終了していません。

ということは、米国にとっては同盟国である日本の領空を侵犯し、ミサイルを撃ち込んだということであり、これを「北朝鮮による先制攻撃」と見られても不自然ではありません。

追記(8:15)

私が調べた限り、日本領空を北朝鮮のミサイルが通過するのは、1998年、2009年に続き、3回目です。

2009年のミサイル発射の際には、麻生政権下で浜田靖一防衛大臣が破壊措置命令を出す考えを明らかにしましたが、結局、この命令は実行に移されませんでした。しかし、わが国の安全を脅かすミサイルは、専守防衛という考え方にも関わらず、迎撃措置に加え、敵基地攻撃の対象とすることも検討しなければなりません。

いずれにせよ、日本政府に武力行使を禁じた日本国憲法第9条第2項が、いよいよ日本の安全保障を脅かしている格好です。もはや改憲議論は待ったなしです。憲法第9条第2項撤廃に向けて、国民的な議論を盛り上げていく必要がありそうです。

追記(13:00)

北朝鮮のミサイル発射に関連し、先ほど、首相官邸ウェブサイトに、菅義偉・内閣官房長官による声明が発表されています。

内閣官房長官声明 平成29年8月29日
  1. 本日午前5時58分頃、北朝鮮が我が国の北海道、襟裳岬上空を通過する形で弾道ミサイルを発射した。政府としては、航行中の船舶・航空機の安全確認や、上空を弾道ミサイルが通過したと判断される地域の安全確認等必要な対応をとり、対応に万全を期しているところであるが、現在のところ被害は報告されていない。
  2. 我が国を含む関係各国及び国際社会は、北朝鮮に対し、これまで累次にわたり関連の国連安保理決議等の完全な遵守を求めるとともに、度重なる核実験や弾道ミサイルの発射等の挑発行為を非難し、核・弾道ミサイル開発の放棄を求めてきた。さらに、本年8月には、国連安保理は、北朝鮮による7月の2度にわたるICBM級の弾道ミサイル発射を強く非難するとともに、制裁を大幅に追加・強化する内容の国連安保理決議第2371号を全会一致で採択し、このような行為をさらに重ねることのないよう国際社会が一致して改めて抗議・警告をしてきたところである。こうした中、今回、北朝鮮が再び弾道ミサイルの発射を強行したことは、我が国として断じて容認できない。
  3. 昨年来、北朝鮮は大量破壊兵器の運搬手段となり得る弾道ミサイルを30発以上発射するとともに、2回の核実験を行っており、我が国はもとより、国際社会全体の安全に対する深刻かつより重大な脅威となっている。さらに、今回発射されたミサイルは、我が国上空を通過し、北海道東方の太平洋上に落下したとみられる。これは、我が国の安全保障にとって、深刻かつ重大な脅威であり、また、アジア太平洋地域の平和及び安全を脅かすものであり、航空機や船舶の安全確保の観点からも極めて問題のある行為である。このような北朝鮮の行為は、関連国連安保理決議及び日朝平壌宣言への違反であるとともに、六者会合共同声明の趣旨にも反するものである。我が国は、北朝鮮に対して厳重に抗議し、最も強い言葉で非難する。
  4. 我が国としては、北朝鮮に対し、改めて、関連する国連安保理決議を即時かつ完全に履行するとともに、拉致、核、ミサイルといった諸懸案の包括的な解決に向け具体的な行動をとるよう、強く求める。
  5. 政府としては、総理指示を踏まえ、引き続き、我が国の平和と安全の確保、国民の安心・安全の確保に万全を期し、以下の対応をとることとする。
    (1) 弾道ミサイルが通過したと判断される地域に重点を置いて、落下物等による被害がないか、改めて確認を行う。
    (2) 国民への情報提供を適時・的確に行う。
    (3) 北朝鮮の今後の動向を含めた情報収集・分析に徹底を期す。
    (4) 不測の事態の発生を防ぐとともに、仮に発生した場合には万全の対応を行うため、我が国として不断に必要な態勢をとるとともに、米国や韓国等と緊密に連携する。
    (5) 本年7月及び8月に決定したものを含む我が国独自の措置及び関連国連安保理決議に基づく措置を引き続き着実に実施していく。また、国連安保理理事国として、米国、韓国、中国及びロシアを始めとする関係各国や国際社会との協力・連携を更に強化し、国連安保理決議第2371号及び関連国連安保理決議の実効性の確保を図るとともに、国連安保理における更なる対応を含め、北朝鮮に対する断固たる対応を早急に検討する。
  6. 国民の方々には、冷静に、平常どおりの生活を送っていただきたい。

この官房長官声明は、国民の動揺を防ぐとともに、何があっても国民の安心・安全の確保に万全を期すという強い意志は感じられます。しかし、私に言わせてもらうなら、この文章を読んで「納得する国民」が多数派だとも思えません。

私が抱く最大の違和感とは、日本政府の対抗措置が「北朝鮮に抗議するとともに、米国や韓国と連携し、国連安保理決議等の完全な順守を求めること」である、という点にあります。

なぜ朝鮮総連の関係者の身柄を拘束しないのでしょうか?

なぜ北朝鮮に対し、軍事的制裁をほのめかさないのでしょうか?

その理由は簡単です。日本には、それができないからです。

日本には憲法第9条第2項が存在します。

前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

つまり、憲法第9条第1項(戦争の放棄)という目的を達成するために、今回のように、たとえ外国からミサイルを撃ち込まれても、日本国憲法はこれに反撃することすら認めない、と命じているのです。これが日本の現実です。

憲法を守れ、子供たちを戦場に送るな、などと、きれいごとを言うのは簡単です。誰だって戦争になるのは嫌です。しかし、だからといって、「日本は外国と戦争をしない」とする規定を設けていれば、戦争にならない、という理屈は成り立ちません。外国から戦争を仕掛けられたら戦争になるからです。

考えてみれば、中国の軍艦船が尖閣諸島周辺海域に侵入することも常態化しています。そうであるならば、私たち日本国民がやらなければならないことは、明確です。

憲法の改正は、政府にはできません。国会が発議するものです。そして、国会がそれを発議するためには、マス・メディアやノイジー・マイノリティの妨害を乗り越え、私たち日本国民が世論を盛り上げ、国会議員たちの背中を押してあげなければなりません。

私は、現在の日本政府・安倍政権が、今の法制の制約下でできる最大限のことをやっていると考えています。ただ、それだけでは、やっぱり限界があります。このふざけた憲法を撤廃できるかどうかは、ひとえに私たち日本国民の覚悟に係っているのだと申し上げたいと思います。

本文は以上です。

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読者コメント一覧

  1. むるむる より:

    朝これで起こされた奴…………………私です。
    テレビ付けたら余計怖くて気が気じゃなかったよorz
    一応今後のこと考えて国も住宅作る際には出来るだけ補助金出して簡易でもいいからシェルター普及に力注げませんかね、あと電磁パルスにも対応できるように少しづつで良いから何とかして欲しいっす。

    はぁ朝から無駄に疲れた、憲法で縛られてなくて軍隊も存在してれば北も先制攻撃の口実になる様な行為は控えるのに……

  2. めがねのおやじ より:

    新宿会計士様 コメント主各位
    おはようございます。早朝の北のミサイル発射、襟裳岬沖東1,180kmに着水の件、たまたま本日は5時半に目が覚めて(いつもは7時)散歩し、この非常事態を知りました。激しい怒りと、どこにもぶつけられない悔しさ、自分があるいは日本が報復行動を取れない事実に愕然としています。
    でも、少し時間が経ったので冷静になれまして、憲法第9条第2項の撤廃に向けて、良い環境作りに一役買ったのではないでしょうか。ニュースなどでは一般市民の声として「アラートが鳴っても何も自分でできない」「地下に避難しなさいと言われたが、この辺に地下などない」「怖いです」「非現実的なこと。ありえない」といった形で編集してました。もう、次の国会で提議してもいいのではないでしょうか。攻めてきたら守るは所詮きれいごと。日本も、まともな兵力が必要だと、国民の意識が変わるきっかけになったと確信します(左派、護憲派はこれでトーンが落ちる。国民の支持を取れない)。安倍首相はトランプ大統領と電話会談40分したそうです。いろいろ対策を練ったのでしょうが、米国国内では現時点それほど大きく取り上げられず、アメリカのタイフーンのことが中心だそうですね。まだ米韓演習も続きますので、目が離せません。
    あと、この事態になってやっと韓国のポジションが分かりました。一言で言うと、「無用」。もう緩衝地帯でも防壁でもありません。日米の邪魔だけはしないでくれと、願うばかりです。以上、失礼しました。

  3. むるむる より:

    http://livedoor.blogimg.jp/kinisoku/imgs/8/4/849cfd93.png
    2ちゃんで出てた画像で恐縮ですが恐らくこれが今北朝鮮にできる配慮の可能性らしいです。

    めがねのおやじさんの言う通りアメリカが北朝鮮の核・ミサイル問題に無力であるイメージが同盟国や周辺国で根付かれるとそれらの国々は米国を頼り無しと判断し自主防衛の為軍事力を強化せざるおえないので今回の騒動は間違いなく防衛能力強化を主張する側には有利に働きます。
    また北朝鮮の問題は韓国関係無しと日本国民はより一層意識するでしょうからマスゴミの主張と国民意識により一層差が広がるでしょう。(戦争を煽りまくった上にゾルケ事件まで起こした朝日の手の平返し能力がここでも発揮されるか乞うご期待)

    1. 神田友紀 より:

      >むるむる様
      画像へのリンクありがとうございます。
      つまり韓中ロ上空は間違っても通過させてはならないが、日本上空なら大した問題にはならないだろう、という判断ですかね?
      完全に舐め腐ってますね。勿論、それを北鮮に許している最大にして根本の原因は、9条2項という殺人憲法にあるのは言うまでもありません。
      無論、ミサイルの危機など来ないに越したことはありませんが、現実に目の前にある以上、この逆境を活かして改憲議論を深めるべきです。

  4. mko より:

    今朝、緊急警報が目覚まし代わりとなった方も、多かったのではないでしょうか?

    私、北海道札幌在住ですが、職場の同僚含め、出入り業者さんなど数名「ゴー」なる音が聞こえた!!と、
    申しておりました。(私は聞こえませんでした)

    場所にもよるかもしれませんが、飛行機のような・そうではないような….と

    その音が、上空(雲の上)を通過したミサイルかどうかは不明ですが、とても不気味(怖い)だったそうです。

    そして、頑丈な建物に避難・・・と、言われても思わず「どこ?」でした。
    地震対策はそれなりにしておりますが、ミサイル対策は・・・どうしましょ

    そして、こんな現状でも
    手も足も出せない(声名しか・・・)現状に、もどかしさを感じます。

  5. マロンP より:

    いつも楽しみに拝見しています。
    今の憲法がアメリカからの押し付けという声がありますが、国民からみると憲法はお上から押し付けられたもので、これまで承認する機会さえもなかったという意見があります。
    ただ、決められたことは守るという日本人の国民性のためか、そのまま憲法が定着してしまうようです。
    憲法改正の仕組みは憲法に書かれていますが、国民投票法が成立するまで50年以上を要したことも憲法改正に熱心でない国民性を表しているように思います。
    一部に「憲法に触ってはいけない」という意見もありますが、殆ど憲法を聖書と同様と勘違いしているように思われます。このような宗教では、旧約聖書が明治憲法、新約聖書が今の憲法と考えているのでしょう。
    そうすると十七条憲法は、モーゼの十戒にあたるのかもしれませんね。
    駄文、失礼しました。

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