為替介入報道:FTに「抗議」する韓国政府の愚

本日2本目の配信です。中央日報日本語版によると、韓国政府は英FT社に対し「抗議書簡」を送付した模様です。

韓国政府、FTに抗議書簡を送付

FT記事にも問題があるが…

英フィナンシャル・タイムズ(FT)に先日、こんな記事が掲載されました。

Donald Trump’s anger at Asian currency manipulators misses target(英国時間2017/02/13(月) 01:00付=日本時間2017/02/13(月) 10:00=付 FTオンラインより)

記事の概要は、「アジアにおける真の為替操作国は、日本と中国ではなく、韓国と台湾とシンガポールだ」と主張するものです。これについては、FTの東京在勤記者のRobin Harding氏が執筆したものですが、以前、『FT「韓国が為替介入」記事とトランプ通商戦争』で指摘したとおり、「中国が為替介入国ではない」などの記述に大きな誤りがあり、これはこれで非常に稚拙な論考でもあります。

ただ、記事の中には事実誤認がいくつか含まれているものの、それでも「韓国が為替操作を行っている」という下りについては正しいと考えて良いでしょう。というのも、米国政府自身がこれを認めているからです。

米国で2015年に成立した「貿易促進・強制法」(the Trade Facilitation and Trade Enforcement Act of 2015)に基づき、半年に1回公表している米議会向けレポートの最新版『アメリカ合衆国の主要な貿易相手国の外国為替相場政策について(原題“FOREIGN EXCHANGE POLICIES OF MAJOR TRADING PARTNERS OF THE UNITED STATES”)』によれば、米国財務省は中国、日本、韓国、台湾、ドイツ、スイスの6か国が「為替操作監視対象国」を指定しています。この中で、韓国に関しては、

韓国では為替介入が常態化しており、2016年6月までの1年間で自国通貨の下落を防ぐために240億ドルの外貨を売却しているが、以前は自国通貨の上昇を防ぐ為替介入を行っていた。韓国の経済は過度に輸出に依存している

などと指摘しているからです。

抗議すれば良いというものでもない

以上を踏まえて、次のニュースを紹介しましょう。

FT「為替操作国は韓国」…韓国政府「事実と違う」 抗議書簡(2017年02月16日15時28分付 中央日報日本語版より)

中央日報によると、

  • 韓国政府は、アジアで為替レートを操作している国が韓国だと主張した英国フィナンシャル・タイムズ(FT)に抗議の書簡を送った
  • 企画財政部と韓国銀行は15日に共同名義でFT英国本社と日本支社に対して報道内容が事実と違うため慎重を期してほしいとの内容を含んだ抗議書簡を送った
  • 米国が韓国と台湾を為替操作国に指定する可能性があるという観測が高まることを未然に防ぐための措置か

ということです。

確かに、FTのRobin Harding記者の記事は何かと稚拙で問題がありますが、それと同時に、「韓国が為替介入を行っている」という下り自体は、米財務省も認めている事実です。

外国の報道機関に対し、「事実と違う」と申し入れるのであれば、その論拠を明らかにすべきでしょう。ただ、「事実と違うため慎重を期してほしい」、では、反論になっていません。反論するならば、具体的な統計データを用いるべきでしょう。しかし、それができないということであれば、やはりFTの記事は、韓国に関しては事実を突いていたということでしょう。

自分にとって都合が悪い報道に対して、論拠を示さずに「抗議」をして撤回させようとする―。日本の「パヨク」とそっくりですね。

明日の予告

さて、当ウェブサイトでは、「韓国崩壊」というカテゴリーを設けました。その理由は、最近、大手メディアでも「韓国崩壊」という主張が掲載され始めたからですが、私がなぜ、このようなテーマを設けたのかについては、明日、説明申し上げたいと思います。どうかご期待ください。

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