官房長官会見の「駐韓大使帰任」と「日韓関係」

一昨日、『崩壊する韓国社会と日本の対韓外交』でも触れたのですが、日本の中韓大使不在という状況が発生して、既に1か月以上が経過しました。そこで、本日2つめの配信では、この問題に関する昨日の菅義偉(すが・よしひで)内閣官房長官の記者会見を紹介したいと思います。

大使帰任問題の現状

政府インターネットテレビでの記者会見

日本政府・安倍政権は、平日であれば1日2回、午前と午後に内閣官房長官が行っており、この様子は首相官邸のウェブサイトから「政府インターネットテレビ」で確認できます。実は、私が新聞もテレビも見ていなくても困らない大きな理由の一つが、「内閣官房長官記者会見」という「一次情報」をインターネットで視聴することができるからです。

昨日(2月9日)は、韓国に駐留していた長嶺安政大使らが一時帰国してから、ちょうど1か月という節目に当たっていました。菅長官は午後の記者会見で、これについて記者の質問に答えています。

内閣官房長官記者会見(平成29年2月9日(木)午後)

該当する箇所は動画の2:07からあとで、質問者は「テレビ朝日の記者」(名前は不詳)です。

記者と菅長官のやり取りの概要は、次のようなものです。

  • (記者)政府が韓国駐在大使を帰国させてから今日で1か月になりますが、改めて帰国日に関する考え方についてお願いします。
  • (長官)度々申し上げている通り、大使と総領事の帰国は未定です。政府とすれば今後諸般の状況の中で判断していきたいという考えには変わりありません。
  • (記者)韓国については大切な隣国であるという一方で、現在1か月大使は居ないという状況を踏まえると、こういうことを考えると政治的な関係は良好であると考えて良いのでしょうか?
  • (長官)わが国にとっても韓国にとっても重要な貿易相手国であることは間違いなく、両国の経済関係は極めて緊密な状況にあると思っています。また北朝鮮の核ミサイルなどを考えた時に、緊密に連携をする国であることは間違いありません。そういうことも含めて総体的に検討していきたいと思っています。

長官発言の「真意」とは?

先日の『崩壊する韓国社会と日本の対韓外交』でも紹介したとおり、共同通信は「大使帰任は3月以降」だとする記事を配信していますが、菅官房長官の発言を聴く限りでは、大使と釜山総領事の帰任は、現状で全くの未定です。

ところで、この記者会見で、私が一番注目したいのは、菅官房長官の二番目の回答部分です。菅長官は、テレビ朝日記者からの「韓国については大切な隣国であるが」という前置きを置いた質問に対し、

  • 「日韓両国はお互いに重要な貿易相手国であり、経済関係は緊密である」
  • 「北朝鮮の核ミサイルなどを巡って緊密に連携をする相手である」

と答えました。実は、この発言こそ、極めて重要です。

なぜなら、菅長官自身は「韓国は大切な隣国である」という抽象的な表現ではなく、「経済的な関係が強いこと」と「北朝鮮の核ミサイル問題が存在すること」という、2つの具体的な事例を挙げたからです。逆にいえば、「経済的な関係」が弱まり、「北朝鮮の核ミサイル問題」が消滅すれば、日韓関係を維持する必要はなくなる、と読むこともできます。

北朝鮮の核問題を除去せよ

日本と北朝鮮の関係では、問題が大きく2つあります。

1つめは言うまでもなく、日本人拉致問題が解決していないことです。そして、もう1つは、北朝鮮による核開発です。

このうち、前者については、韓国は全く役に立ちません。日本が自力で解決しなければならない問題です。もっといえば、日本が「日本国民を自力で守る」ことを禁止している憲法第9条第2項という「殺人条項」を撤廃すれば、自ずから拉致問題にも光明が見えます。

一方、後者については、韓国と「連携」する余地もなくはない、という状況です。しかし、仮に北朝鮮の金正恩(きん・しょうおん)体制が崩壊するなど、何らかの理由で北朝鮮が核開発を放棄すれば、この問題で韓国と「連携」する必要はなくなります。いや、むしろ韓国と「連携」すること自体が、日本外交にとっての「足かせ」となっている現状もあるかもしれません。

いずれにせよ、菅官房長官の発言は、「北朝鮮の核開発という共通の脅威」があるからこそ、「日韓の連携友好、ではなく)」が必要だ、と読むべきでしょう。

韓国進出企業は自己責任で

もう一つ、これは私自身の持論ですが、「日韓が貿易等で関係を深めているから」、韓国との友好が大切だ、という考え方は完全な間違いです。

当然、経済関係は重要ですが、それ以上に国自体の安全保障・存立の方が重要です。特に、日本企業から技術を窃盗するような国と、積極的に「お付き合いする」ことは、それ自体が脅威でもあります。

菅長官の発言は、「日韓は経済面でも結びつきが強い」というものですが、逆に、日本企業の多くが「脱韓」していけば、日韓の経済面での結び付きも弱まってきます。

私は、韓国に進出している企業や韓国と貿易している企業は、あくまでも「自己責任」でそうすべきだと考えていますし、その意味でもなおさら、韓国を助けるための「日韓スワップ協定」の復活には反対していきたいと考えています。

明日の予告

「ニュース女子」という番組に対する、ごく一部のメディアや自称知識人らによる攻撃が、最近になって過激化しつつあります。中には「事実に基づかない内容だ」と決めつけたり、酷い場合には出演者に対して個人攻撃を行ったりする事例もあるようです。ただ、「自分たちにとって都合が悪い言論を封殺する行動」に対しては、「言論空間への新規参入」によって対抗すべきです。そこで、明日の当ウェブサイトでは、普段からの私の持論に基づいて、「言論と民主主義」について、じっくりと考えてみたいと思います。

どうかご期待ください。

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