【準保存版】韓国の外貨準備統計のウソと通貨スワップ
この記事は、時事ネタというよりも、「準保存版」というつもりで執筆しました。韓国の外貨不足額の計算ロジックと、なぜ韓国が通貨スワップにこだわるのかという点に焦点を絞り、今までの当ウェブサイトの議論を再構成したものです。数字や計算式もたくさん出てきますが、その分、「数字で」現在の韓国の窮状をイメージしてもらえると嬉しいです。
目次
早いものでもうすぐ半年!
早いもので、本日で5月も終了。明日から6月です。そして、その6月が終われば、今年も半分が終了、です。年を取るにつれ、年々、時間が経つのが早くなっている気がするのですが、気のせいでしょうか?
私個人的に嬉しい話があるとすれば、今年に入ってから、当ウェブサイトへのアクセス数が大きく増加していることでしょう。その大きな要因は、あくまでも私の主観ですが、おそらく、当ウェブサイトのスタンスにあるのだと思います。
世の中の情報には、「客観的事実」と「主観的意見」があります。このうち、「客観的事実」の方は、簡単に手に入ります。報道機関による報道でも確認できるほか、最近では官庁や企業なども事実関係を公表するからです。
しかし、「主観的意見」については、なかなか手に入りません。とくに、解釈が難しいニュース、矛盾するニュースなどを発見した場合には、それらについて、どう考えていけば良いかがわからず、どうしても戸惑ってしまうことがあります。
ひと昔前だと、「新聞を読めば解決する!」と言われていましたが、残念ながら朝日新聞を筆頭に、現在の新聞各紙のレベルは低下し過ぎており、新聞を読んでも参考になる意見を目にすることは、ほとんどありません。
だからこそ、当ウェブサイトのように、匿名でありながらも「政治経済評論」に特化しているウェブサイトへのアクセスが増えているのでしょう。
韓国の外貨準備統計の怪しさ
しつこすぎる!「日韓スワップ」
さて、5月に入ってから、なぜか韓国側から、猛烈に「日韓通貨スワップ待望論」が出始めました。この「日韓通貨スワップ」とは、韓国が通貨危機になった際に、韓国ウォンを担保に、日本から日本円や米ドルなど、「世界最強の通貨」を受け取る契約です。
「スワップ」と称していますが、別にデリバティブ取引ではありません。要するに、韓国に対する支援のことです。それらの具体的な報道については過去に当ウェブサイトで触れていますので、詳しくは次のような記事もご参照ください。
- 2018/05/07 『【昼刊】「外貨準備高最高」なのに「日韓スワップ懇願」の謎』
- 2018/05/08 『【夕刊】呆れた韓国メディア「日韓通貨スワップの追憶」論』
- 2018/05/09 『【昼刊】中央日報で辿る、韓国「韓日スワップ」哀願史』
- 2018/05/10 『往生際の悪い韓国メディア、この期に及んで「通貨スワップ待望論」』
- 2018/05/18 『【昼刊】それって「通貨スワップ」じゃなくて「コミットメントライン」では?』
ところで、昨日当ウェブサイトに『【速報】イタリアのユーロ離脱不安が招くリスク回避』という記事を掲載したのですが、その末尾で
「おそらく、一両日中に、韓国メディア『中央日報』あたりが、「危機に備えて日本との通貨スワップが必要だ」といった社説を掲載するのではないでしょうか?(笑)」
と申し上げたところ、どんぴしゃりで当たりました。中央日報日本語版に、こんな記事が掲載されたのです。
韓国経済学者「韓国が締結の通貨スワップ、危機で作動しないことも」(2018年05月30日10時49分付 中央日報日本語版より)
韓国メディアの行動パターンが完全に読めてしまっている自分に気付き、少々、自己嫌悪気味です(苦笑)
日韓スワップの振り返り
何度も繰り返しになりますが、日韓スワップの経緯を、ごくごく簡単に振り返っておきましょう。
日韓通貨スワップとは、もともとは、2001年7月4日、「チェンマイ・イニシアティブ(CMI)」に基づくスワップ協定の一環として、20億ドルでスタートした協定です。2011年10月19日には、当時の野田佳彦首相が主導する形で、この金額が700億ドルにまで増額されました(いわゆる野田スワップ)。
野田スワップとは?
- 米ドル建てスワップと日本円建てスワップの2本
- 米ドル建てスワップ…400億米ドルを上限に、韓国銀行が韓国ウォンを日本に担保提供し、それと交換で、日本の財務省が保持する外貨準備から米ドルを韓国に貸し付ける
- 日本円建スワップ…300億米ドル相当額を上限に、韓国銀行が韓国ウォンを日本に担保提供し、日本銀行が韓国に日本円を貸し付ける
ただ、この「野田スワップ」を締結してほぼ10ヵ月後の2012年8月、李明博(り・めいはく)韓国大統領(当時)が日本領の島根県竹島に不法上陸し、天皇陛下を侮辱する発言を行うなどしたことを契機に、日韓関係が極度に悪化。野田スワップ自体は同年10月に失効してしまいます。
それだけではありません。2005年5月27日にスタートした日銀の円建てスワップ(上限:30億米ドル相当額)は2013年7月3日に、CMIに基づく財務省のドル建てスワップ(上限:100億米ドル)も2015年2月16日に、それぞれ失効してしまいました。
ただ、この日韓通貨スワップ協定については、韓国側としてはどうしても再開して欲しかったらしく、2016年8月27日に行われた「日韓財相対話」では、韓国側から通貨スワップの再開を要求して来ました。
日本側はこの要求を聞き入れる形で、通貨スワップの再開交渉を行うことで合意したのですが、2016年12月に釜山の日本総領事館前に慰安婦像を設置されたことを受け、翌2017年1月には日本政府の対抗措置として、通貨スワップの再開交渉の中断が通告されました。
まったく意味のないスワップ再開論
ところで、この日韓スワップ協定をめぐっては、韓国側のメディアでは、「韓日双方にとってメリットがあるものだ」、といった説明が、まことしやかに流されてきました。そのロジックは、だいたい次のようなものです。
- ①韓国経済が安定することで、貿易や投資で韓国と関わっている日本企業にも恩恵がある
- ②為替市場が安定することで、円と韓国ウォンの為替相場が安定する
- ③日本にとっては円という通貨の国際化に役立つ
しかし、このうちの①については、屁理屈も良いところです。確かに韓国経済が破綻したら、韓国と取引している日本企業にも大きな打撃があることは間違いありません。しかし、何が悲しくて、韓国と好き好んで取引している日本企業を、日本国民の税金負担で助けなければならないのでしょうか?
企業活動はあくまでも自己責任の世界です。韓国と取引したことにより、経営上、大きな打撃を受けたとしても、それはその企業のリスク管理が悪かったというだけのことです。それを、日本国民の税金負担で助けるということ自体、ナンセンスです。
また、②についてもおかしな理屈です。むしろ、通貨スワップが存在することで、韓国は安心して為替介入をしまくり、自国通貨をウォン安に誘導してきたという経緯があります。つまり、通貨スワップ協定が存在すれば、却って為替相場がウォン安に誘導され、不安定化するのです。
さらに、③に至っては意味不明です。日韓通貨スワップは円建てのものと米ドル建てのものがありますが、このうち、韓国が欲しがっているのは米ドル建てのものです。米ドル建てのスワップが「円の国際化に役立つ」わけなどありません。
また、円建の通貨スワップにしても、別に日本は韓国とスワップを締結しなくても、日本円は十分に国際化しています。現に国際決済銀行(BIS)統計でも、外国為替市場における日本円の取引量、世界の外貨準備の構成通貨はいずれも、米ドル、ユーロに次いで3番目です。
いずれにせよ、日韓通貨スワップについては、日本側には一切メリットがなく、一方的に、韓国にのみ恩恵が生じるものです。この点については間違えないようにしましょう。
外貨準備統計の怪しさ
外貨準備とは?
さて、どうして韓国はここまで日本との通貨スワップにこだわるのでしょうか?
考えてみたら、とても不思議です。韓国は「外貨準備高は約4000億ドルある」と公表しています。一方で、韓国の資金循環統計を分析すると、債券などの形で外国から借りているおカネの額は、約130兆ウォン、つまり、せいぜい1000~1200億ドル程度です。
この情報を信頼するならば、別に外国と通貨スワップなど結ばなくても、別に韓国には通貨危機など発生しません。
韓国の外貨ポジション(公式発表)
- 外貨準備高…3984億ドル(聯合ニュース報道による2018年4月時点の数値)…①
- 外貨建債券…130兆1420億ウォン(2017年9月時点の資金循環統計の「海外・外債」)…②
- 外貨建債券のドル換算額…1200億ドル(②を1ドル≒1084ウォンと仮定して換算)…③
韓国政府・中央銀行の公式発表を信頼するならば、①(3984億ドル)>③(1200億ドル)です。
仮に「イタリアのユーロ離脱」など、「BREXIT」に匹敵する世界的な金融ショックが発生したとしても、韓国から逃げ出す資金はせいぜい1200億ドルです。そして、韓国が保有する外貨準備高は400億ドル弱ですから、この程度であれば、韓国は通貨危機に怯える必要など、まったくありません。
その他の外国債権債務という闇
ですが、どうして韓国は4000億ドルもの外貨準備を持っているにも関わらず、ここまで外国とのスワップにこだわっているのか、不自然です。これについて、韓国の資金循環統計などで、いろいろと状況を調べていくと、おかしな項目が多数、計上されていることに気付きます。
その1つが、「その他の外国債権債務」(Other Foreign Claims and Debts)です。
- その他の外国債権債務…161兆5310億ウォン(2017年9月時点の資金循環統計)…④
- その他の外国債権債務のドル換算額…1490億ドル(④を1ドル≒1084ウォンと仮定して換算)…⑤
この「その他の外国債権債務」という金額、その名の通り、本来であれば雑多な項目(短期未払金など)を計上するカテゴリーの勘定科目であり、本来ならば非常に少ない金額となるべきものです。ところが、この項目に計上されている負債が、韓国全体で1500億ドル近くにも達しているのです。
しかも、資本市場関係者からは、韓国は国を挙げて、外国の銀行(とくに日本の民間銀行)から運転資金を外貨で借り入れているらしい、という話をよく耳にします。日本の民間銀行も、韓国向けに(一部は香港経由で)無視できない額の与信を出していることは、ディスクロージャーからも確認できます。
ところが、韓国の資金循環統計を見ても、「外国の銀行からの借入金」は、4兆ウォン少々、すなわち36億ドルくらいしか残高が確認できません。ということは、この「その他の外国債権債務」という勘定に、外国の銀行からの借入金が混入している可能性は、極めて高いのではないでしょうか?
外貨準備も「その他の外国債権債務」に混入
この「その他の外国債権債務」という勘定科目には、他にも問題があります。韓国の場合、どうも外貨準備をすべて、この「その他の外国債権債務」という項目で処理しているようなのです。
韓国の資金循環統計(2017年9月時点)から判明する「その他の外国債権債務」の残高は374兆2610億ウォンであり、1ドル=1084ウォンと仮定すれば、その金額は3453億ドルです。この金額は、韓国が主張する「韓国の外貨準備高」の金額と似ています。
どうも、さまざまな状況から判断して、韓国は外貨準備高をこの「その他の外国債権債務」に混ぜて計上しているようなのです。
では、具体的に「その他の外国債権債務」の内訳は、いったい何でしょうか?これについては、韓国銀行の統計上は、さっぱりわかりません。諸外国の統計と比べて、韓国の統計の怪しさは、段違いに高いのです。
外貨準備の最大額は1800億ドル?
このことを、思考実験で検証してみましょう。
簡便のため、韓国の外貨準備高が4000億ドルで、外貨準備に占める米ドル建て資産の比率が80%だったと仮定します。
- 米ドル建て資産…3200億ドル
- 米ドル建て以外…800億ドル
この3200億ドルが、いったいどのような形で運用されているのかを窺い知るためには、米国内の統計が役立ちます。米国財務省『外国居住者別証券投資残高(U.S. Long-Term Securities Held by Foreign Residents)』による2017年11月末時点の韓国の有価証券保有額は、次のとおりです。
- (1)米国債…91,972百万ドル(つまり約920億ドル)
- (2)エージェンシー債…45,381百万ドル(つまり約454億ドル)
- (3)その他の公社債…35,986百万ドル(つまり約360億ドル)
- (4)株式…114,138百万ドル(つまり約1141億ドル)
このうち、株式1141億ドルについては多くの場合、外貨準備を構成しませんし、韓国の資金循環統計上も、民間セクターが保有する外国株式(261兆2130億ウォン、約2400億ドル)の額の範囲内に収まっているため、外貨準備高には含まれていないとみて良いでしょう。
次に、それ以外の公社債、つまり(1)~(3)の合計額は約1734億ドルです。しかし、この1734億ドルには、韓国の中央銀行が外貨準備勘定で保有している金額もあれば、韓国の民間セクター(おもに民間銀行と民間保険会社)が保有している金額もあるでしょう。
この点、韓国の民間セクターが保有している外貨建債券の合計額は186兆8180億ウォン(約1723億ドル)です。そのうち米ドル建ての資産の割合はよくわかりませんが、仮に5割が米ドル建てだったと仮定すれば、民間セクターが保有する米ドル建て債券の金額は861億ドルと計算できます。
よって、(1)~(3)の合計額1734億ドルから861億ドルを引いた873億ドルが、米ドル建ての外貨準備の正味金額と計算できるのです。
つまり、韓国の外貨準備高のうち、米ドル建て以外の800億ドル部分と、うえで求めた873億ドルの合計値の1672億ドルが、韓国の実質的な外貨準備高だと見るべきではないかと思うのです。
なお、この試算結果は、「韓国の外貨準備4000億ドルのうち、何%が米ドル建てか」、「韓国の民間セクターの外債保有額のうち、何%が米ドル建てか」という2つのパラメーターによって、大きく影響を受けます。
私の予想では、韓国が米ドルに深く依存している国であることから、外貨準備高に占める米ドル建て資産の割合は少なく見ても8割程度だと思いますが、韓国の民間セクターの外債保有額に占める米ドル建て資産の比率は、よくわかりません。
そこで、仮に「韓国の民間セクターの外債保有額に占める米ドル建て資産の比率」が変動した場合、韓国の正味外貨準備高がどう変動するかについて示したものが、下の図表1です。
図表1 韓国の外貨準備高のシミュレーション
(A) | (B) | (C) |
---|---|---|
10% | 172億ドル | 2361億ドル |
20% | 345億ドル | 2189億ドル |
30% | 517億ドル | 2016億ドル |
40% | 689億ドル | 1844億ドル |
50% | 862億ドル | 1672億ドル |
60% | 1034億ドル | 1499億ドル |
70% | 1206億ドル | 1327億ドル |
80% | 1379億ドル | 1155億ドル |
90% | 1551億ドル | 982億ドル |
(【出所】著者作成。ただし、(A)は韓国の民間セクターが保有する外貨建債券に占めるドル建ての比率、(B)は韓国の民間セクターが保有する米ドル建て債券の金額、(C)はTICレポート上の外債金額(1734億ドル)から(B)を控除し、800億ドルを足した金額)
さすがに韓国の民間セクターが保有する外債の米ドル比率は、50%を下回ることはないと思います。このため、韓国が保有する外貨準備高は、多く見積もっても1800億ドル程度なのです。そして、「外貨準備高に占める米ドル建て資産の比率」が8割超なら、韓国の実質的な外貨準備高はもっと少ないのです。
外貨不足額を再計算してみた
では、ここで韓国が主張している「4000億ドル近い外貨準備」がウソだったとしましょう(いや、私はむしろ、ウソだと確信していますが…)。そして、韓国の実質的な外貨準備が、私が見積もった最大値である1800億ドルだったと仮定します。
- 「本当の」外貨準備高…1800億ドル…⑥
この⑥の数値から、上記③(「外貨建債券」1200億ドル)と⑤(「その他の外国債権債務」1490億ドル)の合計値である2690億ドルを引けば、韓国の外貨不足額は、890億ドルと計算できます。
私の見立てが正しければ、韓国が通貨危機になったときに韓国から逃げる外貨の金額は、③と⑤の合計額である2690億ドルです。しかし、韓国が危機の際、本当に使える原資は、どんなに楽観的に見積もっても1800億ドル程度、下手をすると1000億ドル、いや、500億ドルという可能性すらあります。
参考までに、「本当の外貨準備」の額と、その場合の韓国の資金不足額についての対応関係についても計算しておきましょう(図表2)。
図表2 韓国の外貨準備の実額と資金不足額
外貨準備 | 資金流出 | 資金不足額 |
---|---|---|
500 | 2,690 | 2,190 |
750 | 2,690 | 1,940 |
1,000 | 2,690 | 1,690 |
1,250 | 2,690 | 1,440 |
1,500 | 2,690 | 1,190 |
1,750 | 2,690 | 940 |
2,000 | 2,690 | 690 |
(【出所】著者作成。金額単位:億ドル)
中央日報「資金不足額は1200億ドル」
こうした私の試算は、あながち見当はずれとは言えません。今年3月に中央日報に掲載された次の記事によれば、韓国の外貨不足額は1200億ドル程度なのだそうです。
韓国、米利上げ時に通貨危機の可能性…日米との通貨スワップ必要(2018年03月19日13時47分付 中央日報日本語版より)
中央日報によると、「全国経済人連合会傘下の韓国経済研究院」なる組織が3月18日付で発行した『米国通貨政策正常化の影響と韓国の政策対応方向』なる報告書で、次のような内容の指摘が掲載されていたのだそうです。
- ①「韓国が通貨危機に陥った場合、外貨保有額が約1200億ドル(約12兆7000億円)不足する」
- ②「国内居住者の資本流出と海外韓国法人の現地金融のうち短期償還分、市場安定化のための韓国銀行による外国為替市場介入分などを考慮すると、不足額はさらに増える」
とされています。このうち②については、正直、統計からは予測し辛いのですが、この①の下りについては、図表2でいうところの「韓国の実質的な外貨準備高が1500億ドルだった場合」の試算値と類似しています。
そして、あくまでもこれは「少なく見積もった場合」の金額です。実質的には、もっと膨らむのでしょう。
使い物にならない通貨スワップ
韓国の通貨スワップ
以上の試算により、韓国が外国との通貨スワップを熱望している背景が、何となく理解できます。韓国は、とくに日本との米ドル建ての通貨スワップを欲しがっているのです。
当ウェブサイトではいままで何度も掲載してきた図表ですが、韓国当局が「外国との間で締結している」と主張している通貨スワップの金額は、図表3のとおりです。
図表3 韓国と外国中央銀行の通貨スワップ(BSA)
相手国と金額 | 韓国ウォン | 相手国通貨の換算額 |
---|---|---|
100億豪ドル(オーストラリア) | 9.0兆ウォン | 75.4億米ドル |
150億リンギット(マレーシア) | 5.0兆ウォン | 38.1億米ドル |
115兆ルピア(インドネシア) | 11.0兆ウォン | 82.5億米ドル |
100億フラン(スイス) | 11.2兆ウォン | 100.0億米ドル |
3600億元(中国)(※) | 64.0兆ウォン | 565.8億米ドル |
合計 | 100.2兆ウォン | 861.8億米ドル |
(うち中国以外とのスワップ) | 36.2兆ウォン | 296.0億米ドル |
(【出所】著者調べ。なお、米ドル換算はWSJの2018年5月4日時点引け値により試算)
韓国が外国の通貨当局と締結している通貨スワップの総額は、米ドル換算で約862億ドルです。この金額だと、私が上記図表2で示した、「韓国の本当の外貨準備高が1800億ドル程度だった場合の資金不足額」と、ほぼ見合っています。
しかし、ここで落とし穴がいくつかあります。まず、韓国が外国と締結する通貨スワップのうち、中国とのスワップが全体の7割近くを占めていますが、中国とのスワップ協定自体は昨年10月に失効済みであり、中国側は「更新した」とはヒトコトも言っていない、という事実です。
そもそも中国の当局は「韓国との通貨スワップの延長で合意した」とはヒトコトも述べていません。韓国政府、中央銀行関係者が「中国と口頭で契約を結んだ」と述べているだけです。また、人民元自体が国際的な市場で使い物にならない「ソフト・カレンシー」であり、スワップとして役に立ちません。
また、マレーシアやインドネシアとのスワップについても同様に、これらの通貨を通貨スワップ協定に従って引き出したとしても、米ドルと交換することは困難です。なぜなら、マレーシアやインドネシアの通貨も、いわゆる「ソフト・カレンシー」だからです。
結局、使い物になるスワップはスイス、オーストラリアとのスワップのみであり(合計175.4億米ドル)、上記「1200億ドルの不足額」には全く足りないのです。
韓国「いまこそ1000億ドルの韓日スワップ」
以上から、韓国が欲しがっている「韓日スワップ」の規模は、約1000億ドル相当であると想像できます。
2011年、民主党政権時代の700億ドルという「野田スワップ」の非常識さにも呆れますが、現在はそれよりもさらに韓国の外貨借入高が増大しているはずです。もし野田佳彦政権がまだ続いていたと仮定すれば、野田佳彦「首相」は躊躇せず、韓日スワップ(※)の規模を1000億ドルにまで拡大するでしょう。
(※野田「首相」のご認識では、おそらく、契約締結するのは「日韓スワップ」ではありません。「韓日スワップ」です。)
ところが、現在の政権を担当しているのは、つい3年前、慰安婦合意で韓国に煮え湯を飲まされたばかりの安倍晋三総理大臣であり、また、リーマン・ショック時に日韓スワップの一時増額措置に応じたときの総理でもあった麻生太郎副総理が財相を兼務されています。まさに最強の布陣です。
少なくとも安倍総理は、韓国が慰安婦合意を完全に履行しない限り、基本的には日韓スワップを再開しないという立場ではないかと思います。また、山崎達雄・前財務省国際局局長のような「媚韓派」を麻生副総理が抑え込んでいれば、財務省が勝手に韓国に配慮するような暴走はしないと見るべきでしょう。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
いずれにせよ、仮に――あくまでも「仮に」、ですが――安倍政権が日韓スワップを再開しようとするならば、私はウェブ評論家の立場から、これを厳しくチェックするつもりです。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
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【おしらせ】人生で10冊目の出版をしました
自称元徴用工問題、自称元慰安婦問題、火器管制レーダー照射、天皇陛下侮辱、旭日旗侮辱…。韓国によるわが国に対する不法行為は留まるところを知りませんが、こうしたなか、「韓国の不法行為に基づく責任を、法的・経済的・政治的に追及する手段」を真面目に考察してみました。類書のない議論をお楽しみください。 |
【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました
日本経済の姿について、客観的な数字で読んでみました。結論からいえば、日本は財政危機の状況にはありません。むしろ日本が必要としているのは大幅な減税と財政出動、そして国債の大幅な増発です。日本経済復活を考えるうえでの議論のたたき台として、ぜひとも本書をご活用賜りますと幸いです。 |
毎日の更新ありがとうございます。
厳しいチェックお願いします!細かいことはわからないので。やっと少し株価もどりましたが、、、
国益=株価これ以上下がらないように願うばかりです。
< 【準保存版】ありがとうございます。韓国の懐具合は相当なピンチなんですね。中央日報でさえ1200億ドルの不足というぐらいだから、会計士様ご指摘の通り、本当は1500億ドル~ヘタしたら2000億ドル足りないかも。自分で電卓片手にやってみました。離れておこう韓国とは。近づいたら絶対スワップの件をねだられる(笑)。 以上。
< すみません、連投です。
< 韓国の正式な外貨準備高や、怪しい数字の『その他外国債券債務』というのは、韓国がデフォルトする(またはIMF管理下に入る等)まで分からないのでしょうか。それとも闇のままなんですかね?詳しい方、教えて下されば幸いです。 以上
管理人様のご指摘通り、
> ①韓国経済が安定することで、貿易や投資で韓国と関わっている日本企業にも恩恵がある
> ①については、屁理屈も良いところです。確かに韓国経済が破綻したら、韓国と取引している日本企業にも大きな打撃があることは間違いありません。しかし、何が悲しくて、韓国と好き好んで取引している日本企業を、日本国民の税金負担で助けなければならないのでしょうか?
全く以てその通り。
企業活動は自己責任と思います。
しかし野田政権時代に拡大した日韓スワップは野田元総理大臣の意向というより、
韓国との取引が大変に多いイオンの創業者一族である岡田克也(=当時副総理)のご意向と思われます。
これこそまさに政治の私物化というものではないでしょうか。
参考までにイオンはPB(=プライベートブランド)商品として韓国産を多数採用。
私は絶対に買いませんが。w
< 名無しの権兵衛さんへ
< 初めまして。決してイオンを庇う訳ではないです。あの、『韓国との取引き』ですが、岡田 克也副総理時代から、イオンは韓国との仕入れは、それほど多くないですよ。一番多いのは中国です。圧倒的に多いです。韓国なんぞはトップ5にも入ってません。
< 中国、インドネシア、タイ、マレーシア、台湾ですね。最近増えてるのはベトナム、バングラデシュ、ラオス、ミャンマー、印、露、加、豪、ノルウェー辺り。これは食品、衣料、住居用品、雑貨等のトータルです。*出所は秘密ですが知人からデータを見せて貰いました。
< 韓国製品はかなり昔から扱いが少ないです。今、売り場で見かけるのはプライベートブランドの発泡酒、マッコリ、韓国焼酎、何処でも売ってる辛ラーメンなど。その酒も本物のビールは日本のSビールが作ってますし、ワインは仏、チリ辺りから輸入してます。
< お味は食べて飲んで判断して下さい(笑)。衣料や住居関連等は使った事無いので知りません。韓国の比率が何故少ないかと聞くと、商品の均一な安定供給が出来ない割に、人件費等コスト高だからです。ま、自業自得ですな(笑)。
< 失礼します。
韓国のスワップ報道によって過去の日本は、日本側から「大丈夫ですか」とお声かけをしてきたのでしょうね。
日本側から要求したと韓国のカオをたててあげていた。
もうそれは通用しない。
観測気球をあげてもゼロ回答なのがいまの日本。
韓国は懐古しているだけ。
読んで良かったウェブサイトってのはこういうサイトって手本。
もっと早くから見つけ出しておくべきだった
色々勉強出来ました。色々ストレス解消出来ました。
今後読ませて頂きます。有難う御座いました。
「日韓スワップ協議再開しようかなあ」と麻生閣下が冗談でつぶやけば
文罪寅と康狂和はレンタル大統領専用機で江戸まで飛んでくるでしょうね。
それにしても笑える隣国群には疲れますナ