労組よ、本来の役割を思い出せ!「悪の枢軸」と労組を考える
今年も「メーデー」の季節がやってまいりました。日本の労組のなかには、トンチンカンな経済政策を掲げる政党を支援したり、賃上げそのものを邪魔したりする、「国民の敵」ともいえる連中が混じっています。
目次
メーデーとは?
本日、つまり5月1日は、「メーデー」とされます。連合のホームページによれば、このメーデーは1886年5月1日、アメリカのシカゴで、1日12~14時間労働が当たり前だった労働環境の改善を求め、労働者が8時間労働の実現を要求した労働争議に由来する祭典なのだそうです。
ただ、わが国の場合、5月1日自体は祝日ではありません。このため、私が調べた限り、労組の集会は5月1日に前後して行われることが多いようであり、実際、今年も4月28日からの3連休などを使い、各地で連合の地方組織などがメーデー集会を開催していることが確認できます。
連合福岡がメーデーで集会(2018.4.29 07:07付 産経ニュースより)
豊かで公正な社会を 連合系諏訪地区メーデー(2018年4月29日 6時00分付 長野日報ウェブより)
組合員ら4800人参加 県中央メーデー さいたま市で連合埼玉(2018年4月29日付 東京新聞より)
「豊かで公正な社会」!実にすばらしい標語です。これは誰もが理想とする社会の在り方であることは間違いありません。私も、「豊かで公正な社会」を実現するために、日本国民が一丸となって頑張らなければならないと考えている人間の1人です。
しかし、日本の労組にそれができているのかと言われれば、そこは微妙です。奇しくも先月、当ウェブサイトでは『労組は労働者の敵なのか?』という記事で、JR東日本労組から6~7割の組合員が脱退しているという話題を取り上げたばかりです。
労組のなかには、労働者の利益を最大化するために働いている組織もあれば、残念ながら「労働貴族」と化している組織もある一方、これとは逆に「労使協調」の理念を逆手に取り、会社の「御用組合」のようになってしまっているものもあるそうです。
当ウェブサイトでは、常々、「どんな組織にも、その組織としての『本分』がある」と主張し続けて来ました。それは労組にしても同じです。ここで、労組の定義とは、
「労働者が使用者との交渉において対等の立場に立ち、労働者の地位を向上させ、労働者がその労働条件について交渉することその他の団体行動を行うために自主的に組織する団体」
のことです(労働組合法第1条第1項より著者作成)。要するに、個々人では力が弱い労働者が、使用者と対等な立場に立って集団的に労働条件の改善を求める団体のことであり、労働者の権利を守り、向上させるための組織です。
最近、某業界では「ワンオペ」(1人で店舗を運営すること)を初めとした、無茶なことを命令して来る会社が話題となっていますし、「外国人研修生制度」のように、実質的には奴隷労働と批判されてもおかしくないような労働慣行がまかり通っている業界もあります。
こういった労働者の人権を侵害して来る会社と戦うことこそ、労組としての本来の役割でしょう。
迷走する現代の労組たち
労組は目的外活動が多すぎる!
逆に言えば、労働組合は労働者のためにあるのであって、労働者が労働組合のためにあるわけではありません。ましてや、日教組のように、労働組合が特定の政治勢力と結び付き、私たちの大切な子どもたちに奇妙な反日教育を施すような組織など、社会的に存在を許されるべきではありません。
しかし、先ほど紹介した記事を読んでいくと、彼らの行動には強い違和感を覚えざるを得ません。
たとえば、長野日報ウェブの記事によると、デモに参加した850人(※主催者発表)の組合員が「①すべての働く者の賃上げや②長時間労働の是正、③恒久平和などに向けた決意と団結」を訴えたのだそうですが、この③については意味が分かりません。「労働者の地位向上」とはまったく関係ないからです。
また、東京新聞の記事によれば、連合埼玉の近藤嘉会長が28日、さいたま市大宮区で発言した内容に、国政について「野党がまとまりきれないことが今日の政治状況を招いた一因」「緊張感のある2大政党的政治体制を目指し、一丸となって国会の立て直しに邁進してほしい」という項目がありました。
もちろん、労組が労働者の地位向上を政権公約に掲げる政党を支援することは、私としても否定するつもりはありません。経営者に意識変革を迫り、労働者の権利向上を図るためには、政治に対して影響力を持つことが手っ取り早いからです。
しかし、だからといって、「2大政党制になったら労働者の地位が向上する」という話にはなりません。「2大政党制」とやらが実現したところで、その「2大政党」とやらが、いずれも労働者の地位向上に興味・関心を持たなければ、結果的に労働者の地位の向上は実現しないからです。
近藤会長、そもそも、「2大政党制」を目指すことと「労働者の地位向上」に、いかなる関係があるというのでしょうか?もしこの記事を読んで下さっているのなら、簡単で結構なので、コメント欄で説明してくださいませんか?
労組が特定政党を支援することは否定しないが…
ついでに申し上げますが、労組が支援していると思しき政党(立憲民主党や社民党、民進党、希望の党など、日本共産党(※)を除く主要野党)は、どう考えても労働者の地位向上に資する政策を掲げているようには見えません。
(※なお、日本共産党系の労組の問題については、本稿では取り上げません。日本共産党の危険性については、昨年、『本当の脅威はマスゴミではなく日本共産党だ』でも議論していますので、是非、こちらもご参照ください。)
まず、野党には、そもそも「経済政策」そのものがありません。たとえば、今年2月6日付の日経報道『野党 金融緩和偏重追及の構え 成長戦略対案はみえず』によれば、野党側は対案も示さず、「金融緩和偏重の経済政策」を批判するだけです。
これについて、立憲民主党のウェブサイトを見てみたのですが、同党のウェブサイトには、具体的なマクロ経済政策(財政政策と金融政策のポリシー・ミックス、目標インフレ率や目標失業率水準、増税スタンスなど)については、一切、明記されていません。
つまり、労組が応援している政党とは、この程度の組織なのです。それどころか、野党は国政の重要課題を放り出して、「もりかけ・セクハラ・日報問題」を言い訳に17連休を取るような「税金泥棒」であり、「国民の敵」です。
私は、労組が特定の政党を支援することについては否定するつもりはありません。しかし、支援するならば「きちんと国会議員としての職責を果たす人たち」を支援すべきです。ちなみに日経調査では64%の人が野党の審議拒否を「不適切」と回答しています。
野党の審議拒否「不適切」64% 内閣不支持、最高迫る/本社世論調査(2018/4/29 21:00付 日本経済新聞電子版より)
立憲民主党、民進党、希望の党、自由党、社会民主党の5野党の議員が、「きちんと国会議員としての職責を果たしている」のかどうか、じっくりと考えなおすことを、強くお勧めしたいと思います。
賃上げに反対する労組こそ国民の敵だ!
さらに呆れる話があります。
安倍政権側が昨年末から今年にかけて、民間企業に対して賃上げを求めた際、これを「完成春闘」などと批判した労組関係者がいました。その実名を申し上げます。その人物とは高倉明・自動車総連会長であり、その証拠は次の2つの記事です。
高倉明・自動車総連会長「官製賃上げの弊害懸念」(2018/3/6 1:00付 日本経済新聞電子版より)
官製春闘「もういい加減に」 金属労協議長が政権に疑義(2017年12月7日05時01分付 朝日新聞デジタル日本語版より)
このうち、日経のインタビュー記事を読むと、高倉氏は
「厳しい時期ほど先行投資として人への投資が必要だ。従業員が奮起するために月例賃金で報いてほしい。」
と述べておきながら、政府が経済界に3%賃上げを求めている点については
「弊害が出かねない。賃上げ率が3%を下回ると失望感が出て消費者心理を冷やすだろう。内需主導の経済サイクルを回すためにも賃上げ水準は各企業の労使の議論で決めるべきものだ」
と述べています。
正直、まったく意味が分かりません。「先行投資として人への投資が必要だ」と言いながら、政府による3%賃上げ要請については「3%を下回ると失望感が出て消費者心理を冷やす」し、「賃上げ水準は各企業の労使の議論で決めるべきだ」と否定しているのですが、まったく論理的ではありません。
さらに、朝日新聞デジタル日本語版に掲載されたインタビューでは、
「労働条件は労使が主体的に決める。(政府主導の賃上げは)もういい加減にしないといけない」
と、さらに露骨に賃上げを牽制しています。
賃上げを言い出したのが政府であろうが労組であろうが、賃上げが実現すれば労働者の利益につながるのですから、労組としては賃上げを歓迎するのが筋です。それなのに、この高倉明氏という人物は、「労組主導じゃないからダメだ」という、わけのわからないことを主張して、賃上げを阻止しようとするのです。
すなわち、わが国においては
労組が賃上げに反対している
という実例が存在しているのです。
もう1度、申し上げます。本来、労組とは労働者の地位向上を図る組織であり、その労働者の多くは一般国民です。その労組が賃上げに反対しているということは、労組こそが労働者の敵であり、国民の敵である、という意味です。
少なくとも労組側が国民の敵であるという状況を解消するためには、ただちに高倉明氏に自動車総連の会長職辞任を勧奨すべきでしょう。
既得権益は巨悪だ
現代日本の「悪の枢軸」
さて、メーデーの話題で労組について言及したついでに、「既得権益」についても指摘しておきたいと思います。
既得権益とは、正当な努力をしていないにも関わらず、さまざまな経緯で利益を得ている人たちのことです。古今東西、どんな社会にも既得権益は存在します。それが大きいか小さいかの違いであって、既得権益が存在しない社会など、探す方が難しいと思います。
しかし、既得権益があまりにも大きくなり過ぎた場合、「正当な努力をしても評価されない社会」が実現してしまいます。そのような社会はいずれ活力を失い、滅亡していきます(現代社会におけるその典型例といえば、中国共産党が絶対的な支配力を有する中華人民共和国という国だと思いますが…)。
このため、社会を持続させるためには、既得権益が大きくなり過ぎないよう、コントロールすることが必要です。
前置きが長くなりましたが、現代日本において、「正当な努力をしていないのに大儲けしている業界」の典型例とは、テレビ業界です。テレビ局は国民の共有財産である電波を格安の利用料で独占的に利用し、ゴミのような番組を作って垂れ流すことで暴利を貪ってきました。
テレビ局の中でもとくに悪質な組織はNHKです。法律でテレビを設置すればNHKに受信料を払わなければなりませんが、そのNHKでは、職員1人当たり2000万円近い年収を得ているのです(『超高給取りのNHK職員は「正当な努力」をしているのか?』参照)。
また、新聞社の場合も既得権益としては酷い部類に入ります。全国津々浦々への宅配制度を作り上げ、新規参入が難しい仕組みを悪用し、新聞だけ独占禁止法の例外として「再販売価格維持制度」を認めさせ、不当に高額で読者に対して新聞を販売しています。
そして、新聞社とテレビ局の多くは、「クロス・オーナーシップ」の関係にあり、ごく限られたメディア・グループ(たとえば朝日新聞・テレビ朝日グループ、読売新聞・日本テレビグループなど)が日本国内の情報を完全に支配してきたのです。
その意味で、「既得権益」かつ「国民に選挙で選ばれたわけでもないくせに世論を自由に操作している」という観点からは、マス・メディアこそが「日本の悪の枢軸」の一翼を担っていると断言して差し支えないでしょう。
官僚と野党の悪質さ
このマス・メディアを中枢に置き、これに官僚と野党を付け加えれば、「現代日本における悪の中枢」が出来上がります。
まず、「国民から選挙で選ばれたわけでもないくせに、絶大な権力を握っている組織」といえば、マス・メディア以外にも存在します。それが官僚機構です。中でも歳入と歳出を一手に握り、霞ヶ関を支配し、「日本は財政危機にある」というウソの情報を垂れ流す財務省は、「悪の中枢」と呼ぶにふさわしい組織です。
しかも、官僚機構は「記者クラブ」を通じてマス・メディアを支配しています。いわば、法律や政令・省令をわざと複雑に書いて、その内容について記者クラブに対し「ブリーフィング」を行うことで、官僚がマス・メディアを、マス・メディアが国民世論を支配する、という仕組みを作り上げているのです。
さらに、マス・メディアは野党をやたらと擁護します。野党議員が審議拒否をしても、賃上げを否定しても、なぜかマス・メディアは絶対に野党を批判しません。
つまり、「官僚がマス・メディアを飼い馴らす」、「マス・メディアが野党議員を擁護する」、という関係があるため、「官僚、マスコミ、野党議員」こそが、「悪の中枢3点セット」と言うべきなのです。
ど真ん中を崩すインターネット
ただ、この「悪の中枢」である「官僚、マスコミ、野党議員」、構造をよく眺めてみると、真ん中にマス・メディアが存在します。官僚と野党議員はむしろ利害が対立し、仲が悪いのです。
たとえば、野党は「合同ヒアリング」という官僚に対するパワハラまがいの行為を行っていますが、まともな心ある官僚の中には、野党議員を疎ましく思う人が相当にたくさん存在します(※これについては私自身も複数の友人からそのような情報を得ています)。
こうしたなか、「悪の中枢」の「ど真ん中」に存在するマス・メディアの絶大な影響力が崩れれば、「官僚がマス・メディアを通じて世論を支配する」ということができなくなりますし、マス・メディアが「報道しない自由」を使って野党議員を全力で守る、ということもできなくなります。
そうなれば、官僚機構はマス・メディアを使わず、国民に対して自力で分かりやすく情報発信をしなければならなくなりますし、国民と役所の直接対話が増えていけばいくほど、官僚機構がこれまでのような分かりにくい行政を続けることは難しくなります。
また、マス・メディアの影響力が低下すれば、野党議員は国民からダイレクトに批判されるようになります。実際、審議拒否を続ける野党議員に対しては、ツイッターなどのSNSで批判が殺到しており、野党議員は説明にしどろもどろになる、という展開が増えて来ました。
つまり、インターネットによってマス・メディアの支配力が突き崩されていくことで、現在、社会が大きく変わりつつあるのです。
労組も変わるべき
ところで、私自身は労組について、「悪の枢軸」である「官僚、マスコミ、野党議員」を支える「下部組織」の1つに過ぎないと考えています。逆に言えば、労組が変な野党議員を支援することをやめ、マス・メディアを使わずに自ら直接、労働者に対してメッセージを発信するようになれば、国民の労組に対する信頼も回復します。
なにより、本来の労組は労働者の権利を守るべき組織であり、社会的には必要な機能です。労組が変な政治思想を辞め、労組としての本来の役割である「雇用の最大化」を達成することを目指し始めれば、きっと国民からの支持は回復するでしょう。
なにより不思議なことに、私は労組の関係者が「フィリップス曲線」に言及するのを見聞きしたことがありません。この「フィリップス曲線」とは、「インフレ率と失業率の間の相関関係」のことであり、金融政策と雇用政策は表裏一体の関係にあるということを示す考え方です。
「労働者の権利を最大化」するためには「社会全体の雇用を最大化」することが必要ですが、「社会全体の雇用を最大化」するためには「最適インフレ率」を達成しなければなりません。ということは、連合こそが日銀に対して「インフレ目標の達成」を理論的に要求しなければならないはずでしょう。
いずれにせよ、メーデーを契機に、労組の皆さんも危機意識を抱いた方が良いと思いますよ。これは「新宿会計士」からの、こころばかりのアドバイスです。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
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【おしらせ】人生で10冊目の出版をしました
自称元徴用工問題、自称元慰安婦問題、火器管制レーダー照射、天皇陛下侮辱、旭日旗侮辱…。韓国によるわが国に対する不法行為は留まるところを知りませんが、こうしたなか、「韓国の不法行為に基づく責任を、法的・経済的・政治的に追及する手段」を真面目に考察してみました。類書のない議論をお楽しみください。 |
【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました
日本経済の姿について、客観的な数字で読んでみました。結論からいえば、日本は財政危機の状況にはありません。むしろ日本が必要としているのは大幅な減税と財政出動、そして国債の大幅な増発です。日本経済復活を考えるうえでの議論のたたき台として、ぜひとも本書をご活用賜りますと幸いです。 |
< 毎日の更新ありがとうございます。
< 今の労働組合は、何をしているんだろう。労使が激しく対立する企業はほとんどなく、だいたいが協調路線で、中には「労働貴族」化して、ごく一部の専従者が組合費を使いまくるのもあります。銀座で豪遊なんてのもあったな(笑)。それに嫌気がさして第二組合を作る動きも以前はありましたが、もう『組合活動自体不要』『組合辞退するから高い組合費返せ』という声もあります。私も企業組合には「ひがな何をしている連中だろう」という思いが強かった。結局は『御用組合』でしたが(笑)。
<自動車総連の高倉会長曰く『労働条件は労使が主体的に決める。政府主導はもう、いい加減にしてもらいたい』とか、『賃上げが3%以下なら失望者が出て、消費者心理を冷やすだろう』え?--あの、全く理解不能なんですが。3%以下、例えば2%でも労働者は喜ぶゾ!長い間定期昇給なんて無かったんだから。やはり若い頃から組合専従でやって来た人は言う事が違う。世間知らず、シモジモの事なんか、まるで分かっちゃいない。高倉氏は、日産入社後、現場の事務職営業職等に殆どついてない。根っからの組合族。日産が長期低迷したのはこういう獅子身中の虫がいるからだろうね。会社別・個別対応にしたら、余計中堅以下のメーカー経営者の出す数値は厳しいよ!高倉氏が「3%」を気に要らないのは、ただ単に労働側が出した要求じゃないからでしょう。本当に恥ずかしいヤツだわ。
< 私など偏屈だったので、労組が推す議員立候補者を投票したことがない。無論、選挙区が異なる場合は投票できないが、あの企業ぐるみの違法スレスレ、違法確信行為は二度としたくない。
< 失礼します。
外国人研修制度はこれよくないな。労働組合も野党もちゃんと調べて、与党に立ち向かわないといけないね。日本は法治国家なのだから、研修制度に名を借りた実質奴隷制度はよくないに決まっているだろう。研修とかの名前はどうあれ、実質的に何が行われているか調査したらよい。
4月30日はワルプルギスの夜
魔女たちの夜の宴(サバト)のこの日は
生死の境界が淡くなり、浮遊する死者の魂に世界が溢れる
これを追い払おうと焚かれる万本のかがり火
火には穢れを清め、闇から光を戻す力が宿る
火を焚かなければ光は二度とこの世に戻らない
光よ戻れかしと夜を徹し懸命にかがり火に祈る
明けて5月1日、やっと帰ってきた光である太陽と
冬が終わり、再びめぐって来た春を祝う
これがメーデーなのである
闇から光を戻すために火を焚く
このとき、火は単なる光の象徴ではない
火を焚かないと光は戻らない
古代人の論理ではそうなるのである
世に災厄が生じた時には
時の王を殺し新しい王を担ぎ出す
王とはそのための装置でしかない
王を殺すことが共同体のさだめに叶うことなのだ
むしろ王はあらかじめ殺すために担ぎ出される
「供物」であり「人身御供」「生贄」である
政治(まつりごと)の本質は
古代も現代も変わらないような気がする
ちなみに、アーリア人を賞賛したヒトラーを
ケルトの魔女たちが闇の世界に連れて逝った
そんなわけで4月30日はヒトラーの命日でもある