【夕刊】「もうお終い」なのはむしろマスゴミの方

「内閣支持率が低下した。もう安倍政権はお終いだ…。」とでも言いたいのでしょうか?

内閣支持率が急落

読売の内閣支持率調査が急落の真相

本日、共同通信と読売新聞が内閣支持率調査を公表しています。

「佐川氏証言納得できず」72% 内閣支持42%、共同世論調査(2018.4.2 3:35付 共同通信より)
内閣支持42%、不支持50%…読売世論調査(2018年04月02日 06時00分付 読売オンラインより)

このうち、共同通信が3月31日と4月1日の両日に実施した調査によれば、支持率は42.4%で前回(3月17~18日)の調査から3.7%ポイント増。不支持率は0.7%減って47.5%でした。

一方、読売新聞も同じく3月31日と4月1日の両日に調査を実施した結果、支持率は42%で前月比▲6%ポイント低下。一方、不支持率は50%(前月比+8%ポイント)となり、「支持率と不支持率が逆転した」としています。

つまり、読売新聞の調査では支持率が急落する一方、共同通信の調査では支持率が下げ止まっている格好です。これをどう見るべきでしょうか?

共同は2週間に1回、読売は1ヵ月ぶり

おそらく、この「答え」は、調査の頻度の違いです。

共同通信の方は、3月3日・4日の両日(支持48.1%/不支持39.0%)、3月17・18日の両日(支持38.7%/不支持48.2%)、という具合に、調査はおよそ2週間に1回行われています。これに対し、読売新聞の方は、前回調査が3月9~11日(支持48%/不支持42%)でした。

これに具体的な日付を挿入してみましょう(図表)。

図表 支持率と政治的イベント
時期出来事備考
3月2日朝日新聞社が『森友文書、財務省が書き換えか』などと報じるこの時点で報道の真否は明らかになっていない
3月5日支持48.1%、不支持39.0%共同通信3月3~4日調査
3月10日財務省が森友文書の改竄の事実を認める12日に財務省が国会議員らに報告
3月12日財務省が国会議員らに対し文書改竄の詳細を報告マス・メディアがいっせいに「安倍内閣のスキャンダル」と報道
支持48%/不支持42%読売新聞・3月9~11日世論調査
3月19日支持38.7%/不支持48.2%共同通信・3月17~18日調査
3月27日佐川宣寿(さがわ・のぶひさ)元国税庁長官を国会証人喚問
4月2日支持42%/不支持50%読売新聞・3月31日・4月1日調査
支持42.4%/不支持47.5%共同通信・3月31日・4月1日調査

(【出所】著者作成)

いかがでしょうか?

そもそも論として、共同通信と読売新聞がきちんと調査を行っているのかどうかという問題はありますが(たとえば回答した人の年齢層が著しく偏っていないか、新聞社などが調査結果を歪めていないか、など)、その点については、本日はとりあえず問いません。

支持率の動きを自然に読んでいけば、朝日新聞が「文書改竄」と報じた段階では、あまり「森友疑惑」は取りざたされていませんでした。この時点で、「左巻き」で知られる共同通信の調査でも、政権支持率は政権不支持率を上回っていました。

しかし、風向きが変わってきたのは3月10日、「どうやら財務省が(朝日新聞の報道どおり)本当に文書を改竄していたようだ」と判明したあたりでしょう。ただし、読売新聞の調査が行われたのは3月9日から11日の間であり、情報が錯綜するなかで、こちらの調査でも支持率が不支持率を上回っています。

3月12日以降、日本のマス・メディアは、それこそ常軌を逸するほど、「森友問題」を取り上げました。私はテレビのワイドショーを見ないのですが、日中テレビを見る層が、これによって相当に「反安倍政権」に傾いたのではないでしょうか?

実際、3月19日の共同通信の調査では、支持率が38.7%に急落し、不支持率は48.2%にまで高まりました。

頑張ってもこれが限界か?

しかし、やはりこの問題で「反安倍」という話題を引っ張るのには、相当の無理があります。なぜなら、そもそも「森友問題」とは、

安倍晋三(氏)が内閣総理大臣としての地位を悪用し、法律をねじまげて、彼の友人が経営する学校法人に違法な便宜を供与していた問題

のことです。安倍総理がそんなことをやったならば、場合によっては犯罪になりますし、政治家として許されない行為です。さっさと辞めて頂くべきです。

ところが、問題が1つあります。そんな証拠、1つも出て来ていない、ということです。昨年3月以来、1年以上も「もりかけ問題」で国会を空転させたわりに、安倍政権の不正の証拠が出ていないどころか、辻元清美、玉木雄一郎の各氏に代表される、一部の野党議員に「ブーメラン」が刺さっています。

心ある国民の間では、「そんな不毛なことで国会議論を空費しないでほしい」という気持ちもあるのではないでしょうか?やはり、新聞やテレビが「情報の切り取り」で読者・視聴者を騙そうとしても、インターネットの普及により、一般国民が「切り取られた情報」で騙されなくなっているという事情もあるでしょう。

このように考えていくと、4月2日に公表された共同通信の世論調査については、「支持率が下げ止まった」と見るのが正しいでしょう。やはり、マス・メディアが一生懸命頑張って安倍政権を印象操作で引きずりおろそうとしても、これが限界なのかもしれません。

世論調査に民意はない

ただし、私は以前から、この「世論調査」報道に、大きな疑念を抱いています。関係のない質問をぶつけて、「人々が安倍政権に不信感を抱いている」とする印象を人々に植え付けようとしているようにも見受けられるからです。

たとえば、冒頭に紹介した共同通信の記事では、

  • 学校法人「森友学園」への国有地売却を巡る財務省の決裁文書改竄問題で証人喚問を受けた佐川宣寿前国税庁長官の証言に関し「納得できない」との回答が72.6%に上った
  • 改竄問題で「安倍晋三首相に責任があると思う」は65.0%

など、内閣支持率と無関係の調査を絡めて報じています。共同通信はわが国の地方紙を中心とする多くのメディアに記事を配信している団体であり、少し悪い表現をするならば、地方紙がこの記事をそのまま「垂れ流す」というおそれがあるのです。

私に言わせれば、本当に重要な話題は、たとえば外交では北朝鮮の動きや中国の憲法改正、国内的には憲法改正や1年半後に迫った消費税の再増税の凍結を巡る議論などであり、「私学スキャンダル」では断じてありません。

何より、このように誘導する世論調査が、民意を正確に示しているとも考えられません。私は、世論調査で内閣支持率急落を演じて、時の政権を退陣に追い込もうとする、マス・メディアによる旧態依然とした方法が、限界を迎えているのだと考えています。また、そのようなことを許してはなりません。

おりしも、放送法第4条改正の議論に加え、電波オークションの議論が本格化して来ました。マス・メディアによる安倍政権攻撃は、ますます激しくなることでしょう。しかし、これは「マス・メディア対安倍政権」の戦いではありません。「国民対マス・メディア」の戦いです。

そのことを、私は強く申し上げたいと思います。

本文は以上です。

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読者コメント一覧

  1. りょうちん より:

    謎なんですが、なぜ統計学者はRDD法に対して引導を渡さないんでしょうか。
    うちの固定電話にも調査の電話が掛かってきましたが、家人が「なにこの気持ち悪いコンピューターの声」とすぐに切ってしまいましたw
    この調査に我慢して最後まで回答につきあうのは、そもそもが相当に暇で現状の生活の不満を誰か聞いて欲しい偏った標本しかいないです。
    科学の世界なら、サンプリングバイアスきつすぎて棄却されるでしょう。
    まあ自然科学系の人間には「社会科学」自体が疑似科学であるとまで言う人が少なくないのですがね。
    私は経済学は数学に対する「実験物理学」くらいには「近似科学」だと信頼していますけど。

  2. めがねのおやじ より:

    < 夕刊の配信ありがとうございます。
    < マスゴミの『安倍政権の支持率が低下した。もう安倍政権はおしまいだ』というのを聞いても、「ふーん。それで?」というのが私の気持ちです。私は自民党の味方ではありません。シンパでもありません。安倍首相に大きな欠陥が無いのと、野党は野盗ではないかと思うぐらい酷いからです。
    < あれだけ日夜マスゴミに取り上げられ、騒がれて、支持率が40%台で不支持とイーブンに近いならいいんじゃないですか。結局何も出てこない。国会で証人喚問もした。マスゴミは、それならガソリーヌやら大阪の公園整備で辻元議員の役どころは?謝の国籍は?
    < 更に安倍政権倒せとかいう、官邸前や新宿で13,000人集まった(そんなにおらんやろ)とのヘイトデモは取材しないのか。煽るのではなく、どんなヤツがやってるのか。参加者は狂信的な反日の日本人と、隣国人の団体のようだが、ウラで仕切っている組織を洗い出せ。それを集中連載する度胸もないのかな。
    < 安倍政権の支持率は今が下げ止まり、底でしょう。あんなにマスゴミに叩かれても沈まない。爺さん婆さんの中には「安倍首相って何か悪い事してたの?」と思った人もいるが、今や「テレビはウソか!同じことばかり言って!」となる。更に視聴者減るよ。オメ。
    < 支持率調査や世論調査など何の役にも立たん。やめたらどうか。
    < 失礼します。

  3. 憂国の志士 より:

    いまの国情に憤懣やるかたない、忸怩たる思いを募らせていましたが、久方ぶりに胸の空く白眉な報に接しましたので、ご紹介します。

    http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/52696

    私が云いたくとも宛てのない、たれども捨て置けない、今の日本に、日本人に必須の自覚すべき意識ではあるのですが、どの媒体も明らかにしない、あるいは意図的に報じない「いまここにある日本の危機」が如実に、分かりやすく記されています。

    ぜひご一読ください。

  4. 非国民 より:

    もりかけ以外に重要なことはいっぱいあるんだから、野党もマスコミも考えた方がいい。だいたい総理が個別案件にかかわるわけはない。書き換えの指示なんてだせるわけないんだ。書き換えの指示をだす前提としてその文書を読まなきゃいけない。あんな膨大な資料、いちいち読む時間は総理にはない。それ以外にも仕事はいっぱいあるんだから。予算委員会なんだから予算を審議してよねといいたい。かりに森友を追究するにしても会計監査報告をみると籠池は1億3,000万円の工事費について業者に2,000万円くらいを返金させて国をだましていたんだ。こんなやつの証言なんか信用できるわけないよ。そしてそれを放置しておいた役人の追及をしたらどうかな。それ以外にもまるで証拠隠滅するような行政の運営。これはひどいよ。追究するにしても総理ではなくこの不適切な行政運営をなんとかしてくれと思う。話は本旨からはずれるけど、会計検査院の報告書、なかなかわかりやすくて、しかも力作。これ作るのに大変だったろう。

  5. 黄昏せんべい より:

    毎月1回、スマホの簡単なアンケートに答えるだけで
    →スマホ料金割引 or ポイント加算 or 牛丼無料 等々
    になるなら、あなたはそのアプリ、利用しますか?

    利用者が相当数になるようなこういう仕掛けを作れば
    ・政権支持率や支持政党その他の調査は
    ・今より恣意性を排除した、はるかに大きなサンプル数で
    ・高い精度、公平な調査結果を
    ・性、年齢、地域、職種、年収等詳細かつ複雑な組み合わせで
    ・容易になおかつ即座に集計、分析、公表できる
    ・場合によっては緊急アンケート、その場合はポイント加算

    年齢別なら1才単位で、地域別なら選挙区ごとに集計でき
    職種別、年収別かつその組み合わせ別の支持政党とか
    地域偏在の有意性、選挙区内の経時変化、立候補者への感応性
    それを分析することで、強力な選挙戦対策ツールになりうる

    勿論、質問項目の設定次第では世論形成に影響を与える事も可
    (要は世論誘導やね、今もやってるようにw)

    問題は仕掛け
    回答者の経済的動機づけ、よくいうインセンティブと
    スポンサー(企業、政党、場合によっては政府)との紐づけ
    分析加工した集計結果の商品クオリティと顧客ニーズ対応
    まあビジネスモデルを構築すれば顧客満足度調査等に応用可

    などとメモってみました
    ちなみに世帯別では95%が携帯持っててうち70%はスマホ
    なのだそうだが、あたしゃガラケーなのよねw

    メモ追加
    1.エサにつられて毎月アンケートに答える内に政治意識が変容
    2.それは投票行動にも変化を与えるだろう
    3.ポピュリズムが一層加速する危険性も反面潜んでいる
    4.あえてこういうものは作らないというのも人類の知恵かも
    5.作ってしまったら後戻りはできない
    6.世の中は便利になればいいというものではない
    7.便利を作って不幸にすることもある
    8.特定の政党支持者を弾圧するような時代はこないよな?
    9.スマホ経由のビッグデータに紐づけする?だろうな?

    もしかして、やヴぁいかこれ?w

  6. とらじろう より:

    かつて新聞記者は「無冠の帝王」と呼ばれていました。
    世論を味方に徒手空拳で権力に抵抗する姿をそういう風に表現していたのでしょう。
    でも今の新聞社の体たらくはどうでしょう。
    とても世論が味方のようには見えません。
    「社会の闇を暴く」ことに拘泥するあまり物事の本質が見えなくなった(新聞記者としては致命的なのですが)ように思えます。

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