衆院選の左派惨敗をもたらしたマスコミ利権構造の崩壊

日曜日の衆院選では自民党が単独で3分の2を超える圧倒的な議席を獲得しましたが、その反面、最大野党である中道改革連合のみならず、左派政党は軒並み議席を減らしました。ただ、その背景にあるのは、やはりSNSの社会的影響力の飛躍的な向上です。こうしたなかで本稿では少し大きな話をしておきたいと思います。それは、今回の衆院選というものが、マスコミを中心とした長年の利権構造の崩壊を意味する、という仮説です。

事実と意見を分ける

話題が偏る当ウェブサイト

本稿では、少し大きな話をしておきたいと思います。

当ウェブサイトは「読んでくださった方々の知的好奇心を刺激すること」を目的として、2016年7月に開設したサイトで、おもに政治(国内政治や外交)、経済(経済全般や金融)などから話題を選ぶこととしているのですが、これには明確な選定基準はありません。

基本的には、そのときどきの「旬な話題」(だと著者自身が思った話題)を取り上げてきたのではないかと思います。

このため、話題としてはそのときどきでかなり偏ることも多く、たとえば韓国の裁判所が日本企業に対し、日韓基本条約など国際法に違反する判決を下すなど、韓国の異常行動が目立ったときには、当ウェブサイトの話題も韓国一色に染まったほどです(具体的な時期でいえば2018~19年頃でしょうか)。

同様に、コロナ禍が深刻化して以降は、当ウェブサイトはあたかも「コロナ専門サイト」のようになったこともありますし(たとえば2020年~21年頃)、「手取りを増やす」が流行語となった2024年秋口以降に関しては、当ウェブサイトは「税社保取り過ぎ問題」の専門サイトと化しているフシがあります。

最近だと中国の対日制裁を手掛かりに、日中間の経済統計などを用いた「脱中国」に関する話題も多く、さらには選挙の話題も頻繁に取り扱っていたりします。

韓国専門サイトになりかけたこともあったが…

これに関連して、少しだけ余談です。

当ウェブサイトではかつて韓国についてかなり深く取り扱い、『韓国がなくても日本経済はまったく心配ない』という書籍まで刊行したほとでしたが、最近は韓国の話題、めっきり減りました。

その理由は簡単で、最近は日本が国を挙げて、韓国への関心をなくしたからでしょう。

じっさい、韓国は両国間貿易高でも日本にとって「4番目の国」に転落しましたし(『台湾が3位に再浮上:日中貿易は日本上位の垂直統合型』等参照)、邦銀国際与信でも韓国の地位はめっきり低下しました(『中国や香港からのステルス撤退続く邦銀=国際与信統計』等参照)。

もちろん著者自身、韓国の存在が日本の外交安全保障に与える影響はあると考えてはいるのですが(実際、韓国観察者の鈴置高史氏の論考については熟読しているつもりですが)、ただ、最近は日本社会の韓国への関心は低下したと断じざるを得ません。

もちろん、韓国の日本に対する異常行動はやや落ち着いたようには見えるにせよ、韓国の一時期の常軌を逸した国際法違反が日本企業関係者の「ビジネスリスク」意識や意思決定に深刻な影響を与えたことはおそらく間違いありません。

国際社会でビジネスを行う場合は、国際法や条約・慣習、契約などを平気で反故にする韓国よりも、同じスペックを持ち、日本に対し友好的であり、かつ、国際法、条約、慣習、契約などをちゃんと守ってくれる国(たとえば台湾)を重視するようになるのは当たり前だからです。

その意味では、日本の経済界は、日本に対しなかば常軌を逸した要求を続けている中国についても、いずれ韓国と同様、「ビジネスリスク」意識や意思決定に深刻な(しかも韓国を大きく上回る)影響を与えることだけは間違いないと思う次第です。

ただ、当ウェブサイトは「韓国専門サイト」でもなければ「コロナ専門サイト」でもありませんし、ましてや「中国専門サイト」ではありません(ただし「税社保取り過ぎ問題」に関しては、今後はおそらくメインテーマのひとつに据えていくつもりですが…)。

当ウェブサイトにおける中国に関する話題の取り上げ方に関しても、かつての韓国と同様、今はそれなりに多いものの、おそらく日本の「脱中国」に目途が立った時点で、当ウェブサイトのメインの話題からは外れていくことでしょう。

情報の種類という論点

さて、余談はこんなところとしたうえで、本稿で取り上げておきたい話題というのは、最近の時事ネタでもなければ、中国や韓国などの話題でもありません。

日本社会の在り方を論じる、もっと遥かに大きな問題です。

じつは、当ウェブサイトの根幹であり、「隠れたメインテーマ」のひとつとも密接にかかわるのが、情報の民主化です。

当ウェブサイトにおける事実上の第1号記事『情報の種類』で指摘したとおり、世の中の情報には、常に2つの種類が存在します。ひとつが「客観的事実」、もうひとつが「主観的意見」です(ほかにもたとえば「創作・フィクション」などがありますが、ここは論評サイトですので、フィクションはとりあえず無視します)。

客観的事実はどこの誰がどう表現しても同じ内容になる情報、主観的意見は表現者によってまったく異なる内容になる(可能性がある)情報のことです。

例を挙げましょう。次の(A)を読んでみてください。

(A)「2026年2月8日に実施された衆議院議員総選挙で、自民党は315議席を獲得し、中道改革連合は49議席を獲得した」。

これが、「客観的事実」です。

この点、自民党の獲得議席に追加公認した1議席や無所属で出馬して当選した同党系候補1議席を加える場合は、「自民党は315議席」のくだりが「316議席」や「317議席」となるかもしれませんし、また、「2026年」の部分を「令和8年」、「獲得した」を「獲得しました」、などと表現する人もいるかもしれません。

ただ、多少細かい表現の違いはあれ、情報の「骨格」としては、本質的にはまったく同じです。「自由民主党」という組織が315議席(追加公認などを入れたら316議席ないし317議席)を獲得したことと、「中道改革連合」という組織が49議席を獲得したことについては、誰がどう表現しようが、変わりません。

(※もちろん、なかには「これは不正選挙だった!」、「自民党が316議席も取るなんてありえない!!」、「実際の自民党の議席数は50だったに違いない!!!」、などと主張する人もいるかもしれませんが、これは単純に現実を受け入れられないだけの話でしょう。)

主観的な情報とは:書き手により内容が異なるもの

一方で、次の文章(B)はどうでしょうか?

(B)「自民党は定数465議席のうちの3分の2を超える議席を確保したことで、憲法改悪など、今後の暴走は避けられない見通しとなった」。

「今後の暴走は避けられない」、などと言われても困ります。

この文章の作成者は、いったい何をもって「自民党の暴走」と言っているのかわかりませんし、例示されている憲法改正の発議については憲法第96条第1項で定められている手続であり、合憲です(しかも、衆院側だけで改憲発議ができるわけでもありません)。

ただ、ここで重要なことは、文章(B)が正しいか、間違っているか、ではありません(あるいは「信者」の方から見れば正しいのかもしれませんが…)。

ポイントは、「客観性」という観点から、(A)と(B)には非常に大きな違いがある、という点です。

(A)に関しては誰がどう表現しても同じ内容になりますが、(B)は表現者による個性が色濃く出てくる文章であり、そして、じつはこの(B)のように、その表現者なりの理解に基づく立論こそが、多様性の源泉でもあるのです。

実際、著者個人的に(B)の文章には賛同しませんが、ただ、社会の多様性・健全性が維持されるという観点からは、この手の文章が世の中からは完全になくなってほしいとは思っていません(程度の問題はありますが…)。

なにより、大事なのは、文章の書き手がなぜこの(B)のような表現を採用したのか、という「背景情報」ではないかと思います。

(B)のような文章を書く人物にも、それを書くに至った何らかの動機・理由があるはずであり、これについてはぜひとも、その理由を書いてほしいところでもあります。

大手メディアがこれを書くのは困りもの

ただ、この(B)のような文章を、新聞、テレビといった影響力の大きいメディアが、さも客観的事実であるかのごとく平然と記述するのは困りものです。私たちが生きる社会において、困ったことがあるとしたら、次の(C)のような文章でしょう。

(C)「2026年2月8日に実施された衆議院議員総選挙で、自民党は315議席を獲得し、中道改革連合は49議席を獲得した。自民党は定数465議席のうちの3分の2を超える議席を確保したことで、今後は野党との意見調整が不要となった格好だ」。

この(C)は、(A)のあとに(B)をつなげたうえで、「憲法改悪」という表現を抜いたうえで、「暴走」云々のくだりをややマイルドな表現に変えたものですが、この文章を読んでいただくと、メディア報道にありがちだと思いませんか?

実際、この(C)は著者自身がいま適当に作ったものであり、どこかのメディア報道から取ってきたものではありません。

しかし、以前の『事実と意見ごちゃまぜ記事に政治家が即時反論する時代』でも取り上げましたが、この手の文章は、メディア報道を読んでいたらわりとよく目にするものです。

これは選挙前の記事ですが、記事の表題に、『国民民主党・玉木氏、中道改革連合と連立に含み』、とあります。これだけを読むと、立憲民主党と公明党が結党した新党「中道改革連合」を巡って、国民民主党の玉木雄一郎代表が将来的な連立に前向きな姿勢を示したかにも見えます。

やはり、国民民主党だって、しょせんは旧民主党から出て来た政党であり、立憲民主党やその後継政党である中道改革連合に対し、シンパシーを感じているのか」―――。

表題だけを読むと、そういう感想を持つ人が出て来たとしても、不思議ではありません。それどころか、当時、この情報を見た人のなかには、「なんだ、しょせん玉木(氏)は立憲民主の連中とつるむつもりなのか」、などと思った人もいたかもしれません。

ただ、これについては記事を読んでみると、また全然違った印象があります。

記事によると玉木氏は「中道改革連合」を巡って、「安全保障やエネルギーを巡る政策を現実路線に転換したことを評価」したものの、連立政権を組む可能性を巡っては、両党が「参院、地方組織も合わせて結集していくかまずは見定めたい」と述べたに過ぎません。

通常、「連立に含みを持たせる」と書くのであれば、最低でも、玉木氏本人が含みを持たせた発言―――たとえば「条件次第では将来的な連立もあり得る」、など―――をしていなければおかしいはずですが、玉木氏は「まずは見定めたい」としか述べていないことに注意して下さい。

要は、「連立に含み」など、玉木氏本人は全く述べておらず、記事を書いた人の勝手な主観に過ぎないのです。

なんだか、驚きですね。

なお、余談ですが、現実に中道改革連合が獲得したのは49議席(厳密にいえば43議席に自民党のおこぼれ6議席)であり、内閣不信任決議案を提出できる51議席すら失ってしまったわけですから、国民民主と中道改革連合の連立は当面あり得ないでしょう。

というよりも、中道改革連合自体がいつまで続くのかわかりませんし、むしろ中道改革連合が旧公明(28議席)と旧立民(21議席)に分裂した場合、28議席を獲得した国民民主が最大野党に躍り出る可能性すら出てきた格好ですが…。

壊れ始めたメディア利権

今回の選挙と「腐敗トライアングル」の関係とは?

余談はともかくとして、ここで強調しておきたいのは、日本のメディアが客観的事実と主観的意見をまぜこぜにした、いわば、ファクトとオピニオンをミックスした報道を常態化させていることです。玉木氏の発言の関する先月の報道など、その典型例でしょう。

そして、今回、つまり2026年2月8日に行われた衆院選で、最大野党だった立憲民主党と昨年10月まで連立与党の一角を構成していた公明党の両党が合体してできた「中道改革連合」が惨敗したことと、近年、新聞やテレビの影響力が急低下していることは、おそらく「ほぼ同じ現象」ではないでしょうか。

「ほぼ同じ現象」、というのは、当ウェブサイトで長らく提唱してきた、いわゆる「腐敗トライアングル」論です。

これは、「自由主義」や「民主主義」の仕組みから大きくかけ離れたような組織が、国民から選ばれたわけでもないくせに、やたらと大きな実質的権力や社会的な影響力を持ち、国民のためにならないことをしている―――という構図です。

当ウェブサイトではこれまで何度も取り上げて来たとおり、私たちが暮らすこの日本という国は、自由民主主義国家です。そして、自由主義国家とは自由闊達な言論で、民主主義国家とは民主的な投票を通じて、それぞれ社会をより良くしていくという活動が許されている社会のことです。

(※余談ですが、著者が石にかじりついてでもこのウェブサイトを継続しているのも、日本の隅っこで読者の皆さまに社会をより良くすることの重要性を訴えかけるためでもあります。)

当ウェブサイトではその「自由・民主主義のルールに反する者」の代表例として、▼官僚機構、▼マスコミ、▼特定議員―――の三者を挙げてきました。

官僚機構

国民から選挙で選ばれていない。しかし、政府提出法案や、政省令を起草したりすることを通じて法令解釈権を握っているほか、財務省を筆頭に、何らかの強大な利権をしっかりと握り、下手な国会議員すら凌ぐ実質的権力を持っていることもある

マスコミ

国民から選挙金で選ばれていない。しかし、少数の企業で記者クラブなどを通じて情報流通を独占し、「報道の自由」または「報道しない自由」を悪用することで、自分たちにとって意にそわない政治家を落選させようとしたり、自分たちにとって好都合な政治家を当選させようとしたりする

特定議員

官僚、マスコミの両者にとって都合が良い議員。たいていの場合は特定野党の議員だが、まれに自民党非主流派議員のこともある。国民の意思で選ばれた与党などの足を引っ張ることが多い

とくに官僚とマスコミが大きな問題

そのうえで、これら三者のことを、当ウェブサイトでは「腐敗利権」などと称することもあるのです。

この点、これら三者のうち特定議員に関しては、曲がりなりにも民主的な選挙で選ばれているため、「国民から選ばれていない」は表現としてやや行きすぎていますが、「選挙の結果、多数派を形成するに至らなかったにもかかわらず、大きな影響力を持つ(こともある)」と読み替えれば、あながち誤りとは言い切れません。

ただ、官僚機構とマスコミに関しては、これは間違いなく「選挙で選ばれた者たちではない」という特徴に当てはまっています(もう少し正確にいえば、特定議員はこの官僚機構とマスコミが世論を歪めた結果生み出した「鬼っ子」のようなものでしょう)。

そして、本来ならばそのような「選挙で選ばれたわけでもない者たち」がのさばるのは、自由・民主主義国家としてあるまじき話でもあります。なぜなら、民主的に選ばれたわけでもないくせに不当に大きな権力を持っているという状態は、たいていの場合、社会に対して悪さをなすからです。

もちろん、これらの三者「だけ」が問題だというつもりはありませんが、それでもだいたいこれら三者が日本の多くの問題を作り出してきたことは間違いありません。

そして、この三者のことを、当ウェブサイトでは「腐敗トライアングル」と呼びますが、これにもちゃんとした理由があります。そこにはマスコミを中心とする「共犯関係」が成立しているからです。とくに官僚・マスコミ・特定議員は、構造の真ん中にいる「マスコミ」を介して共犯関係にありました。

わかりやすいのが「官僚+マスコミ」です。

たとえば官僚は「記者クラブ」という制度を作り、マスコミ記者という「ヤギ」を「飼う」のです。マスコミ記者は普段から官僚に飼いならされていて、だからこそ官僚にとって都合が良い記事を書いているのでしょう。「日本は財政危機だ」という財務省のプロパガンダを垂れ流している某紙あたりはその典型例です。

そして、「強すぎる与党」を嫌うのは官僚もマスコミも同じです。だからこそ、マスコミは与党の批判をすることはあっても、滅多なことで官僚を批判したりしないのかもしれません。

官僚機構+マスコミ

官僚は記者クラブでマスコミを支配する。マスコミは官僚が喜ぶ話題を垂れ流す。官僚もマスコミも「強すぎる与党」を嫌う。

メディア+特定野党でも共犯関係が成り立っている

その一方で、特定野党議員(あるいは自民党などでも非主流派の左派議員)などは、「マスコミに気に入られるような行動を取ることでマスコミから好意的に報じてもらい、それによって選挙で勝つ」、という意味での共犯関係にあったフシがあります。

あるいは「マスコミが与党を攻撃した結果、その恩恵を受ける形で国会議員に当選しやすくなった」、という側面もあるのかもしれません(いわば特定野党議員はマスコミ報道が与党攻撃の結果生み出した存在、という仮説でしょうか)。

ただ、特定野党議員などはマスコミが作り出した「問題」(最近だと「モリカケ桜」「統一教会」「裏金」あたりでしょうか?)を最大限利用し、予算委員会などの貴重な国会質疑の時間をこれらの「問題」の追及で浪費し、その姿をメディアに取り上げさせるという共犯関係が成り立っていたことは間違いありません。

つまり、特定野党議員の姿をマスコミが「報道の力」によって好意的に取り上げ、結果的に特定野党(や自民党の非主流派の左派議員など)が選挙で実力以上に有権者から評価され、それによって選挙で勝ち進み、政治的に強いパワーを得ることにつながっていたのではないでしょうか。

マスコミ+特定議員

マスコミは報道の力を悪用し、特定野党や自民党の非主流派の左派議員らを当選させてきたし、これらの議員はマスコミに好かれるために、敢えてくだらないスキャンダル追及で国会質疑を空費してきた。

さて、この「腐敗トライアングル」と「共犯関係」、眺めていて何か気付く点がありませんか?

官僚機構+マスコミ。

マスコミ+特定議員。

どちらも、その真ん中に「マスコミ(マスメディア/オールドメディア)」がいることがわかります。

マスコミを中心とした腐敗構造

ということは、次の構図が成り立っている、ということでもあります。

官僚機構+マスコミ+特定議員

官僚は記者クラブでマスコミを支配する。マスコミは官僚が喜ぶ話題を垂れ流す。官僚もマスコミも「強すぎる与党」を嫌う。その結果、マスコミは報道の力を使い、特定野党・自民左派など政権の足を引っ張る議員らを当選させてきたし、特定野党議員もマスコミに好かれるためにスキャンダル追及を続けてきた。

この構図こそ、じつは著者自身が2010年ごろにブログ活動を始める重要なきっかけだったのであり、また、2016年に当ウェブサイトを発足させた重要なきっかけでもあるのです。

そして、2010年からかれこれ16年近く、ウェブ評論活動を続けて来た結果、至った結論は、「個人レベルでも客観的事実と主観的意見をちゃんと分けて情報発信し続ければ、見る人はちゃんと見てくれる」、であり、また、「いったんマスコミ報道のおかしさに気づいた人は、もう二度とマスコミ報道を盲信しない」、です。

もちろん、せっかくインターネットというツールがあっても、それを有効活用できない人や、得られる情報を正しく理解できないという人はいますし、当ウェブサイトにおける主張内容、あるいは著者自身がXを通じて行っている主張内容が無条件に受け入れられるとはまったく思っていません。

それに、正直、時事問題を追いかけているときは不確実な情報をもとに議論を構築せざるを得ないこともありますし、そもそも当ウェブサイトは選挙予測(や最近だと金融分野における特定の話題)など、ポリシーとして取り扱わない話題もあります。

ただ、当ウェブサイトはあくまでも数多く存在するウェブ評論サイトのひとつであり、ほかにも個人レベルで運営されているウェブサイトは多数存在すると思われることから、とにかくカギを握るのは「情報源の多様化」であり、当ウェブサイトは世の中の情報源の多様化の「肥し」くらいになれば良いと割り切っていたりもします。

今回の衆院選はメディア利権崩壊の象徴

そして、個人的な仮説ではありますが、現在世の中で大々的に発生しているのは、この「腐敗権力の崩壊」であり、とりわけマスコミを中心とした腐敗利権構造の崩壊です。

マスコミが「報道の力」を悪用し、あることないこと世の中に対して喧伝することで、少なくない有権者がこれに騙され、その結果特定野党が伸長する―――。

この部分が、今回の衆院選では崩壊した可能性が濃厚なのです。

くどいようですが、当ウェブサイトとしては、自民党が選ばれた理由は自民党が素晴らしかったからではなく、自民党以外の野党が有権者から忌避され、嫌悪された結果、自民党が圧勝したに過ぎないと見ています。

とりわけ『衆院選の実態は自民大躍進というより立民への退場勧告』でも見たとおり、かつての選挙戦などと比べ、自民党が圧倒的に多くの票を獲得したというよりは、中道改革連合が「独り負け」を喫した結果、小選挙区全体で自民党が圧勝したという方が実態に近いです。

方式が全く異なる参院選が同時に行われていた場合、おそらく中道改革連合は参院側でも惨敗していたと考えられますが、その反面、参院側では「自民圧勝」とはいかず、国民民主党、参政党、チームみらいの3つの政党がそこそこの議席を獲得していた可能性が高いです。

(※このあたりを数値的に裏付けるためのシミュレーションについては、衆院選に関する資料が総務省から公表された段階で試みてみようと思います。当ウェブサイトにその内容を発表できるかどうかはわかりませんが…。)

ただ、根底にあるのは「メディアが報じない政党が躍進しやすくなったこと」であり、「メディアが好意的に取り上げる政党が躍進するとは限らなくなったこと」である―――と思います。

とくに、メディアの好意的な切り取り報道に過度に依存していた政党が、社会の急速なSNS化についていけず、切り取りが効かないSNSの威力の前に盛大に撃沈したのではないでしょうか。

左派政党は総崩れ

実際のところ、(これはなかば著者の主観ですが)とくに一部のメディアは左派政党に対し異常に甘い、というフシもありましたが、「(一部メディアが熱心に応援していた)左派政党が総崩れになった」という意味では、今回の選挙はかなり特徴的です。

今回議席を大きく減らしたのは中道改革連合(というよりも旧・立憲民主党)だけではありません。日本共産党だって8議席から4議席に減りましたし、れいわ新選組は8議席から1議席になり、社民党に至ってはついに議席が完全にゼロとなりました。

しかも、れいわ新選組の1議席は自民党の比例代表で候補者不足が生じたために「おこぼれ」出回ってきたものであり、それがなければれいわ新選組の獲得議席はゼロだったのです。

さらに、社民党は先日離党した新垣邦男氏が立候補した沖縄2区に瑞慶覧長敏氏という対抗馬を立てたのですが、得票は新垣氏71,071票に対し、新垣、瑞慶覧両氏の得票が合計71,811票で、いわば、共倒れとなった(=社民が対抗馬を立てなければ新垣氏は当選していた)可能性があるのです。

2026年衆院選・沖縄2区
  • (当)宮崎 政久(自民)71,071票
  • (落)新垣 邦男(中道)57,500票
  • (落)瑞慶覧長敏(社民)14,311票
  • (落)ほか2名【省略】

(敬称略【出所】総務省等)

このことからわかるとおり、左派政党の急速な勢力縮減は、彼ら自身の選挙戦略の問題もありつつも、日本全体で現在、新聞やテレビの影響力が急落していることとも密接な関係を認めるのが自然な発想でしょう。

「メディアと特定野党」構造の崩壊

これはなかば著者自身の主観でもありますが、2024年ごろからSNSの社会的影響力の上昇傾向が顕著となってきたことなどもあり、メディア利権が急速に崩れ始めている可能性が高そうです。

今回の衆院選で自民党が(多くの人にとっては)「想定外の勝利」をおさめる一方、最大野党の中道改革連合やその他の左派政党が議席を大きく減らし、さらにはSNSを中心に支持を広げて来た国民民主党、参政党、チームみらいが躍進または議席を維持したことは、そのあらわれのひとつに過ぎません。

もちろん、自民党が「素晴らしい政党」なのかどうか、という点に議論の余地はあるのかもしれませんが、少なくとも中道改革連合を含めたいわゆる左派政党に対する支持が急回復する可能性は非常に低く、それはマスコミの社会的影響力低下と軌を一にしています。

こうした仮説が正しいかどうかは、おそらく遠くない未来において、次々と判明していくでしょう。

たとえば株式会社電通が例年、2月下旬から3月上旬ごろにかけて公表する『日本の広告費』というレポート(図表1)、総務省が毎年夏頃までに公表するメディア利用時間に関する調査(図表2)、日本新聞協会が例年12月下旬に公表する新聞部数に関するデータ(図表3)なども待ち遠しいところです。

図表1 広告費(マスコミ4媒体vsネット)

(【出所】株式会社電通『日本の広告費』および当ウェブサイトの「埼玉県民」様と名乗る読者の方から提供を受けたデータをもとに作成)

図表2 平日のメディア利用時間

図表3 新聞部数

ただ、データだけではありません。

今後数年のうちに行われるいくつかの選挙(たとえば2027年の統一地方選や28年の参院選、2030年までに場合によっては解散総選挙で行われる衆院選など)、さらにはSNS世論の盛り上がりなどの社会現象には、注目する価値があると思う次第です。

本文は以上です。

金融評論家。フォロー自由。雑誌等の執筆依頼も受けています。 X(旧ツイッター) にて日々情報を発信中。 Amazon アソシエイトとして適格販売により収入を得ています。 著書①数字でみる「強い」日本経済 著書②韓国がなくても日本経済は問題ない

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読者コメント一覧

  1. はにわファクトリー より:

    >報道のおかしさに気づいた人は、もう二度とマスコミ報道を盲信しない

    当方はおカネを払う価値のあるオンライン報道サービスが日本に誕生する日を心待ちにしています。ですが、今の情勢ですと、そう長くない余生のくひ死ぬまで報道にはお金を払ったりしないと予測します。
    コストが掛かっていても、対価を請求しなければタダです。この世はコストは掛かっているが無料のもので満ち溢れており、人はその恩恵にあずかりながら日々生活している。それが文明です。新聞事業ではコストに見合う売り上げを達成することは実行不可能です。

  2. カズ より:

    *サナエ旋風

    メディアによる「見せ場」をネット空間が検証(集合知)
    「生産性の無いスキャンダル追及政党」との実態が露呈。

    無関心層が政治に向き合った結果なんだと思いますよ。

  3. 引きこもり中年 より:

    毎度、ばかばかしいお話を。
    オールドメディア:「今回の衆議院選挙で、我々は、内心では最初から、自民党を応援していた。(だから、某会計士は間違っている)」
    まあ、高市総理の支持率が、あれほど高ければ。

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自称元徴用工問題、自称元慰安婦問題、火器管制レーダー照射、天皇陛下侮辱、旭日旗侮辱…。韓国によるわが国に対する不法行為は留まるところを知りませんが、こうしたなか、「韓国の不法行為に基づく責任を、法的・経済的・政治的に追及する手段」を真面目に考察してみました。類書のない議論をお楽しみください。

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日本経済の姿について、客観的な数字で読んでみました。結論からいえば、日本は財政危機の状況にはありません。むしろ日本が必要としているのは大幅な減税と財政出動、そして国債の大幅な増発です。日本経済復活を考えるうえでの議論のたたき台として、ぜひとも本書をご活用賜りますと幸いです。
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