年収の壁巡って自公が国民民主案に少しだけ歩み寄りか
年末以降、とくに動きがなかった「年収の壁」問題を巡り、先週金曜日の産経の報道によれば、政府・与党は現行の103万円を150万円に引き上げる方向で「調整に入った」のだそうです。これが事実だとしたら、宮沢洋一税調会長の「税は理屈の世界」なる主張は、いったい何だったのでしょうか?控え目に申し上げて意味がわかりません。ただ、「123万円案」がSNSなどであまりにも不評で、やむなく150万円に引き上げると決断したのだとしたら、これは石破自民党にとっては大いなる悪手です。
国民民主党の躍進と年収の壁
政治家や政党は是々非々で評価すべき
いわゆる「年収の壁」引上げと「手取りを増やす」は、国民民主党が昨年の衆院選で掲げた公約であり、その国民民主党が改選前と比べ、議席をちょうど4倍に増やすという大躍進を遂げたという事実は、同党がおもに勤労層から大きく支持されたであろうことを強く示唆する状況証拠でもあります。
いちおう、誤解を招かないようにヒトコト申し上げておくと、当ウェブサイトとしては、国民民主党を積極的に応援しているつもりはありませんし、当ウェブサイトの読者の皆さまに、次の選挙で同党や同党所属候補者に投票を呼び掛けるつもりもありません。
単純に、「国民民主党の公約がウェブ評論の題材的に面白い」、というだけの話です。
というよりも、当ウェブサイトを以前からご訪問下さっている方々ならばご承知かもしれませんが、当ウェブサイトのスタンスとしては、ある政党を100%盲目的に正しいと支持するつもりはありませんし、逆に100%完全に否定するとも限りません。
最大野党・立憲民主党にも、近藤和也衆議院議員のように、能登半島の復興支援に東奔西走する素晴らしい政治家が所属していますし、与党・自民党にもヘンテコな議員、汚職議員などが在籍していますので、無条件に「自民党なら素晴らしい」、「立憲民主党はダメだ」と決めつけることには慎重であるべきでしょう。
(ただし、あくまでも「一般論」でいえば、そのように決めつけたくなる状況証拠が存在することもまた事実かもしれませんが…。)
玉木雄一郎氏が変わるきっかけはYouTubeだった?
国民民主党についてもこれとまったく同じことがいえます。
同党が日本という国にとって、100%素晴らしいことをしてくれる存在なのかどうかは、正直、よくわかりませんし、なにより同党も結局、「悪夢の民主党政権」(故・安倍晋三総理大臣の言を借りるなら)を担った人たちの「成れの果て」でもあるわけです。
その意味では、国民民主党がどこまで信頼に値する政党なのかについては、少々、慎重に評価せざるを得ないのも事実でしょう。
ただし、安倍総理自身がそうだったように、一度何らかの「挫折」を経験している人たちは強い、という法則もあります。
あくまでも著者自身が観察したところによれば、同党の玉木雄一郎代表(役職停止中)も、「もりかけ問題」のあたりまでは、「いかにも旧民主党」、といった評価を持たざるを得ませんでした。とりわけ加計学園「問題」では、獣医師の関連団体から政治献金を受けていたことが、のちに判明したりもしています。
ただ、その玉木氏も、自身のYouTubeチャンネル『たまきちゃんねる』を2018年7月頃に開設する前後あたりから、大きく変わったように思えます。
当初は街頭インタビューを敢行し、街を歩いている若い人に話しかけるなど、「手探り感」満載でしたが、やはりネットを通じて一般視聴者とちゃんと対話を試み、そのなかで「税金が高すぎる」などの問題点を自ら探り当てたわけですから、これについては素直に評価すべきでしょう。
その玉木氏が率いる国民民主党は、良くも悪くも「SNS政党」でもあります。
安倍総理が存命だったころの自民党が掲げていたアベノミクス的・リフレ派的な思想がSNSなどで支持されているとわかったためでしょうか、国民民主党の現在の経済政策は、(あくまでも著者自身の私見ですが)アベノミクスと非常に似通ったものでもあります。
石破茂・現首相が安倍総理とあまり懇意ではなかったという事情もあってか、現在の「石破自民党」がアベノミクス離れを加速させているかに見えるなか、安倍総理時代に自民党を支持していた若い勤労層が、そのまま国民民主党に支持政党を鞍替えしていたとしても、あまり不思議ではないと思います。
その意味でも、自民党こそ危機感を持っていただきたいところです。
財政再建派の言い分の間違い
少なくとも大きく5つの主張
ただ、その自民党、あるいは財務省や総務省などから出て来る、「年収の壁を引き上げることができない説明」というのが、何とも強烈です。著者自身が確認したところ、これには少なくとも、大きく次の5つの主張があるようです。
財政再建派などの言い分の例
- その①「国の借金はGDPの2倍で財政再建が必要」
- その②「日本は毎年度財政赤字で減税の余裕はない」
- その③「基礎控除引上げには複雑な制度変更が必要」
- その④「国の借金はいつか全額税金での返済が必要」
- その⑤「国の借金を国民1人に換算すると一千万円」
ただ、これらについてはどれも、すでにスタンダードな経済学の立場から論じ尽くされているようなものばかりです。
その①「国の借金はGDPの2倍で財政再建が必要」
最初は、「国の借金がGDPの2倍」だとする主張です。これについてはパッと思いつくだけでも、次のようなツッコミが出て来そうです。
その①「国の借金はGDPの2倍で財政再建が必要」
- 国家の債務を個人の債務を同じ感覚で論じるな
- 負債の額だけで議論するな、資産を無視するな
- 自国通貨国債の発行可能額は資金循環で決まる
- 経済成長でGDPが2倍になれば良いのでは?
当たり前の話ですが、政府が負っている債務は「国の借金」ではありません。返済する義務を負っているのは個人ではなく政府だからです。
それに、政府債務論者は政府が保有する巨額の資産の存在を無視していますし、とくに日本の場合だと財政投融資や社会保障基金、外為特会(≒外貨準備)などが巨額の金融資産を保有していますので、これらの資産の存在を含めたトータルの議論を無視して金融負債側のみを論じても意味はありません。
しかも、政府債務、とくに自国通貨建てのものに関しては、これを個人や企業などの債務とおなじ感覚で論じても困ります。政府は半永久的に存続するものであり、債務は貨幣経済が続く限り、半永久的に借り換えることができるからです。
また、「公的債務残高GDP比率が問題だ」というのならば、なにも無理をして債務の方を圧縮する必要などありません。GDPの側を増やせば良いだけの話でもあります。
極端な話、経済成長率を維持するような政策を続け、GDPを2倍にすれば、公的債務残高を圧縮しなくても増税なしに公的債務残高GDP比率を1倍に下げられます(ちなみに経済成長率が毎年2%ならば35年後に、3%なら23.5年に、5%なら14年に、それぞれGDPは2倍になります)。」
→『【総論】「国の借金」説は、どこがどう誤っているのか』等参照
その②「日本は毎年度財政赤字で減税の余裕はない」
次に、「日本は一般会計で毎年赤字を計上している」とする主張ですが、これについても基礎的な事実関係を調べるだけで間違いが色々とバレます。
その②「日本は毎年度財政赤字で減税の余裕はない」
- 一般会計は少なくとも2009年以降剰余金を計上
- 7~8兆円税収減とする主張の根拠自体乏しい
- 減税で乗数効果により経済成長し税収も増える
- 財務官僚が主張する「税収弾性値1.1」は間違い
そもそも論ですが、日本は一般会計で少なくとも2009年以降、剰余金を計上し続けていますし、また、公債の発行が取り止められたうえで翌年度への剰余金として繰り越されたり、地方交付税に含められたり、あるいは債務の償還に使われたりしています。
それに、減税反対派がよく使う「年収の壁を103万円から178万円に引き上げたら7~8兆円の税収不足が生じる」とする主張も意味不明です。これについては減税による乗数効果を無視していますし、また、財務省が置いている「税収弾性値1.1」も、おそらくは実情に合致していない、誤った値です。
→『財源論者に不都合な事実…来年度税収見通しは過去最高』等参照
その③「基礎控除引上げには複雑な制度変更が必要」
こうした減税反対論のなかには、もっと杜撰なものもあります。
これらのなかで個人的に最も感銘を受けた(?)のが、著者自身が昨年末頃にXで経験した、こんな趣旨のやり取りです。
(相手)「基礎控除を引き上げるためには複雑な制度を議論しなければならない」
(新宿)「基礎控除の引き上げは根拠法である所得税法と地方税法の2つの条文を書き換えたうえでいわゆる甲欄表を変えればお終いでは?」
(相手)「そんな単純なものではない、基礎控除を変えたらそれにともない社会保険料の計算にも影響が生じるし源泉徴収票のフォーマットも変えなきゃいけないし人材教育も必要」
(新宿)「社会保険料の料率は基礎控除と無関係だし源泉徴収票のフォーマットにも影響しないし人材教育に至っては意味不明」
(相手)「専門知識で殴るな!あなたとは議論にならないのでブロックします」
これらに関するツッコミどころをまとめておくと、こんな具合でしょうか。
その③「基礎控除引上げには複雑な制度変更が必要」
- 基礎控除引上げるだけなら計算ロジックは不変
- 源泉徴収票のフォーマット変更なども必要ない
- 法改正は所税法と地税法の2条文と甲欄表のみ
- この手の変更であれば民間の負担は非常に軽い
ちなみにこのユーザー、最後は「専門家が素人に対し専門知識を振りかざすな」などと吐き捨てて逃げて行ったのですが、基礎控除がどういう法律のどういう条文に書かれているかくらい、ちょっと調べたらすぐわかるものではないでしょか?
→『否が応でもSNSと付き合わなければならない時代到来』等参照
その④「国の借金はいつか全額税金での返済が必要」
ただ、それ以上にぶっ飛んでいるのが、「国の借金はいつか全額税金で返さなければならない」、などとする主張でしょう。
その④「国の借金はいつか全額税金での返済が必要」
- 自国通貨建ての政府債務は基本的に借換が可能
- 政府には寿命がないため半永久的な借換も可能
- 経済成長でGDPが拡大すれば返済負担も軽減
- 国債は必ずしも税金「だけ」で返す必要はない
先ほどからの繰り返しですが、そもそも国は死にませんので、通貨制度が続く限り、また、自国通貨建てである限り、ほぼ無制限に借換が可能です。その間に経済成長が進み、GDPが拡大すれば、債務返済負担も軽くなりますので、国債というものは必ずしも税金「だけ」で返さなければならないものではないのです。
→『減税巡るショボすぎる自公案…国民に喧嘩売った財務省』等参照
その⑤「国の借金を国民1人に換算すると一千万円」
そのうえで、やはりSNSなどで必ず見かけるのが、「日本の国の借金は国民1人あたり1000万円を超えている」、などとする俗説です。
その⑤「国の借金を国民1人に換算すると一千万円」
- 政府債務の返済義務があるのは国民でなく政府
- 返済には増税だけでなく借換や資産売却も可能
- 企業債務も「従業員1人あたり」で評価しない
- 銀行の債務も「従業員あたり」で議論する気か
これについても先ほどからの繰り返しですが、そもそも「国の借金」などという考え方自体、悪質なデマのようなものですし、政府債務はあくまでも政府の債務であって国民の債務ではありません。
また、債務弁済には借換(※これが一番重要!)に加え、政府が保有している無駄に多額の資産の売却でも実現できます(総務省の関連団体が実施している「ふるさと融資」などもその典型例かもしれません)。
というよりも、国家の債務を「国民1人あたり」で割るという神経が理解できません。
そういうひとは、企業債務を分析するときも、その企業の債務を従業員1人あたり、株主1人あたりなどで割ったりするのでしょうか?
→『「SNSで財務省に誹謗中傷」自体が悪質なデマでは?』等参照
現実の議論はどうなっているのか
番外編としての「トホホ」な言い分も!
以上、「なぜ現在の日本では減税ができないのか」に関する主張と、それらに対する反論(というか、なかには「単なるツッコミ」というレベルのものもあります)の事例を列挙してみましたが、これら以外にもいくつか「トホホ」レベルの言い訳に加え、酷いときには「ためにする批判」も散見されます。
たとえば、「高名な経済学者へのアンケート調査の結果、現在の日本では減税をしない方が良いと答えている人が多いことがわかった」とする、おそらくはどこかの新聞記事の図表を引用したうえで、「偉い先生方がこうおっしゃっているのだから、減税は間違いだ」とする主張もありましたが、それだけではありません。
「財政の専門家であり日本の頭脳でもある財務官僚の皆さんが『減税はできない』、『財源はない』と主張しているのだから、減税を主張するなら、まずは財務官僚の皆さんが要求する『財源がある証拠』を示すべきだ」、といった主張が、そこかしこで見られるのです。
いや、もちろん、よっぽど反社会的な者でない限り、どんな主張をしたって自由なのですが、それにしてものペラペラのペーパーをもとに、「財源が必要ない証拠を示せ」、などといわれても少々困惑する限りです。
ショボすぎて話にならない自公案
いずれにせよ、少なくともスタンダードの経済学の知見に照らせば、「減税できない理由」というものは、基本的にはすべて論じ尽くされているものと考えられ、正直、著者自身としても「どうにも反論できない、ぐうの音も出ないほどの正論」というものを、見たことがありません。
それなのに、昨年暮れに自民党の宮沢洋一税調会長らが国民民主党の要求していた「年収103万円の壁」引上げを巡り、じつに中途半端な、減税を実質骨抜きにする案を出して来たという事例には、正直、呆れざるを得ません。
『ちゃんと計算したら「ほとんど意味なし」=減税自公案』でも触れたとおり、自民案の骨子は、こうです。
- 現在は48万円に設定されている所得税の基礎控除を58万円に10万円だけ引き上げる
- 地方税の基礎控除については現在の43万円のまま
- 給与所得控除の最低保障額を55万円から65万円に引き上げる
その結果、年収190万円以上の人にとっての恩恵は基礎控除10万円の引上げのみに留まります。これによる手取りの増加は、低年収層で1ヵ月5,000円あまり、年収500万円以上で1ヵ月1万円ちょっと、といったところでしょうか(図表1)。
図表1 自公案による年収増のイメージ
年収 | 手取りの変化 | 増加額と増加率 |
100万円 | 987,600円→987,600円 | +0円(+0.00%) |
200万円 | 1,599,264円→1,604,369円 | +5,105円(+0.32%) |
300万円 | 2,361,603円→2,366,708円 | +5,105円(+0.22%) |
400万円 | 3,117,899円→3,123,004円 | +5,105円(+0.16%) |
500万円 | 3,847,111円→3,857,321円 | +10,210円(+0.27%) |
600万円 | 4,561,438円→4,571,648円 | +10,210円(+0.22%) |
700万円 | 5,233,762円→5,254,182円 | +20,420円(+0.39%) |
800万円 | 5,864,588円→5,885,008円 | +20,420円(+0.35%) |
900万円 | 6,531,136円→6,551,556円 | +20,420円(+0.31%) |
1000万円 | 7,182,475円→7,202,895円 | +20,420円(+0.28%) |
1200万円 | 8,450,249円→8,473,732円 | +23,483円(+0.28%) |
1500万円 | 10,124,480円→10,158,173円 | +33,693円(+0.33%) |
(【注記】試算の前提については本稿末尾参照)
国民民主案の大幅な手取り増
これに対し、国民民主党の減税案は、どうなのでしょうか。
国民民主案だと所得税と地方税の基礎控除をどちらも75万円引き上げるというものであり、これをすることで恩恵は所得2400万円までのすべての人に及ぶと考えられます(2400万円を超えた場合は基礎控除が減らされるという謎のルールがあるため)。
ここで、具体的に試算してみると、年収300万円以上の層で10万円以上、年収800万円以上の層では20万円以上、それぞれ手取りが増えます(図表2)。
図表2 国民民主案による年収増のイメージ
年収 | 手取りの変化 | 増加額と増加率 |
100万円 | 987,600円→989,000円 | +1,400円(+0.14%) |
200万円 | 1,599,264円→1,684,200円 | +84,936円(+5.31%) |
300万円 | 2,361,603円→2,474,890円 | +113,288円(+4.80%) |
400万円 | 3,117,899円→3,231,186円 | +113,288円(+3.63%) |
500万円 | 3,847,111円→3,978,419円 | +131,308円(+3.41%) |
600万円 | 4,561,438円→4,713,013円 | +151,575円(+3.32%) |
700万円 | 5,233,762円→5,419,255円 | +185,493円(+3.54%) |
800万円 | 5,864,588円→6,092,738円 | +228,150円(+3.89%) |
900万円 | 6,531,136円→6,759,286円 | +228,150円(+3.49%) |
1000万円 | 7,182,475円→7,410,625円 | +228,150円(+3.18%) |
1200万円 | 8,450,249円→8,701,371円 | +251,123円(+2.97%) |
1500万円 | 10,124,480円→10,452,178円 | +327,698円(+3.24%) |
(【注記】試算の前提については本稿末尾参照)
国民民主案と比べた自公案の「ショボさ」は明らかでしょう。
国民民主党側が昨年の3党協議で席を蹴って立ったのも当然といえるかもしれません。
ここにきて「150万円案」という悪手が!
ところが、自民党にとっての「悪手」となり得る話題が出てきました。
<独自>「年収103万円の壁」150万円上限に引き上げ 政府・与党が調整
―――2025/01/24 16:40付 Yahoo!ニュースより【産経ニュース配信】
産経は24日、「独自」と銘打って、政権幹部が24日、政府・与党が「年収の壁」を150万円に引き上げる方向で調整に入ったと報じました。
「128万円」とは、いったい何だったのでしょうか?これだと、「宮沢税調が出してきた128万円の評判があまりにも悪かったため、もう少しだけ引き上げる」、といった意図が見え見えです。
一部メディアの報道によると、宮沢氏は昨年、「税は理屈だ」と述べたそうですが(『SNSで発信しても不適切な意見が批判されるのは同じ』等参照)、今回の産経の報道が事実なら、減税に理屈もへったくれもあったものではありません。
それに、先日から出ている通り、社保のうち厚生年金保険料を引き上げるとする話も出ているため、いわゆる「中間層」にとっては社保の値上げ分と総合すれば、結局、手取りはほとんど増えない(それどころか手取りが減る)という可能性すらあります。
正直、社保の負担増との合わせ技で、何としてでも国民に手取りを増やさせないという官僚の強い意志が漂ってきます(このあたり、財務官僚らを国民投票などでクビにする仕組みがあれば良いのですが…)。
いずれにせよ、現在の「石破自民党」が本気で今夏の参院選で敗北に向けて突っ走っているように見えるのは気になるところですが、この「年収の壁」については欺瞞そのものの社保制度(※)(『議論の「可視化」はSNSの功績』等参照)とともに、慎重に見極めたい論点であることは間違いないでしょう。
厚生年金が「欺瞞」といえる理由
- 応能負担…高収入ほど支払額が増える(※上限あり)
- 給付制限…高い保険料を負担するほど還元率が落ちる
- 強制加入…会社員は脱退できず事実上強制徴収される
- 二重負担…雇用主が本人負担分と同額以上を負担する
- 情報隠蔽…雇用主負担分は年金定期便に記載されない
試算の前提
なお、本稿図表1と図表2で示したシミュレーションの前提は、次の通りです。
試算の前提
- 被用者は40歳以上で東京都内に居住し、東京都内の企業に勤務しているものとし、給与所得以外に課税される所得はなく、また、ボーナスはなし、月給は年収を単純に12で割った値とし、配偶者控除、扶養控除、ふるさと納税、生命保険料控除、配当控除、住宅ローン控除などは一切勘案しない
- 年収が約106万円以上である場合、厚年、健保、介護保険に加入するものとし、その場合は東京都内の政管健保の令和6年3月分以降の料率を使用するものとする(ただし計算の都合上、「標準報酬」を使用していないため、端数処理などで現実の数値と合致しない可能性がある)
- 雇用保険の料率は1000分の6とし、便宜上、少しでも収入が発生したら自動的に雇用保険料が発生するものとする
- 「社保」とは厚年、健保、介護保険、雇用保険の従業員負担分合計、「諸税」とは所得税、復興税、住民税の合計とし、住民税の均等割は5,000円、住民税の所得割は10%とする
本来、住民税の所得割は前年の確定所得に基づき翌年6月以降に課税されるが、本稿では当年の所得に完全に連動するものとし、かつ、年初から課税されているものと仮定する
基礎控除は合計所得金額が2400万円までの場合、所得税が48万円、住民税が43万円とし、以降2450万円まで、2500万円まででそれぞれ基礎控除が逓減し、2500万円超の場合はゼロとする
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
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【おしらせ】人生で10冊目の出版をしました
自称元徴用工問題、自称元慰安婦問題、火器管制レーダー照射、天皇陛下侮辱、旭日旗侮辱…。韓国によるわが国に対する不法行為は留まるところを知りませんが、こうしたなか、「韓国の不法行為に基づく責任を、法的・経済的・政治的に追及する手段」を真面目に考察してみました。類書のない議論をお楽しみください。 |
【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました
日本経済の姿について、客観的な数字で読んでみました。結論からいえば、日本は財政危機の状況にはありません。むしろ日本が必要としているのは大幅な減税と財政出動、そして国債の大幅な増発です。日本経済復活を考えるうえでの議論のたたき台として、ぜひとも本書をご活用賜りますと幸いです。 |
バナナの叩き売りじゃあないんだから…。
結論ではなくて、なぜその額が妥当なのか?
というロジックが知りたいですよね。
国民民主党案は、最低賃金をモノサシにして、
「29年間放置の物価スライドを適用しろ」
です。
生活保護の月額をモノサシにしたら250万円くらい?ですかね。
税制は理屈の世界なのだそうですから、啖呵を切ったならば、率先垂範でよろしくです。
最低賃金を1500円まで引き上げるつもりなら、
103万円×(1500/611)=253万円まで気前よく引き上げたら、
国民も企業も「さすが税は理屈の世界!」と称賛して、支持率が爆上げするかもしれない。
https://www.nri.com/jp/media/column/data_view_use/20241025.html
https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1200767_1527.html
そんなことされたなら、思わず他の諸々に目をつむって石破自民党に一票を入れてしまうなあ。
べ、別に大学生二人で人生最大の手元不如意だから、あんたなんかに投票してるんじや、ないんだからネっ!
先週の格言)
ツンデレは、チョロい!
屯田林…
反論も、
筋が通ってれば言い分(いいぶん)。
そうでなければ言い訳(いいわけ)。
・・なんだと思っています。
・・・・・
記者:税制に対する持論をお聞かせください?
宮澤:税は、へッ・・.理屈だ!(失敬、くしゃみが・・。)
・・。
確たる論理があるのならば、じわじわ譲歩など起きないはずなのですがね。自公案が論理と責任に基いていたのであれば、130だろうが150だろうが絶対に譲れないはずで。逆に言えば、そもそも論理的におかしくなってきたから改正案が出た、というだけの話。「税は理屈」という名言()が虚しい。
確かに税を仕立てるには理屈が必要ですが、減税効果、目標である”景気”は、理屈だけでなくインパクトが重要になりますし。”庶民の気持ちの理解”ってホッケがどうとかいう下らない話ではなく、こういう時の心理効果や経済動向を感知できるかどうかなのでは。
比べるのは失礼かもしれませんが、形式的には正統ではないのにデカい図体で無理を振りまく中国と立憲、形式的には正統だが寡勢であるも独自の進歩を遂げた台湾と国民って、何やら似ている気がしました。
四島返還のところニ島返還で済ませてようとするロシアみたいな奴らであります。
その二島すらも有耶無耶にするのを目論んでそう….
『150万円』が自民党公明党の奈辺から出た言説かは存じ上げませんが、(コノトコロワタクシ個人的期待値と評価がダダ下がり中の)自民党小野寺政調会長は党首幹事長政調会長レベルでなく「税」に“詳しい”だか“専門家”だかの議員レベルで“議論”だか“交渉”だかするだのナンダノ公言シタヤニ聞き及びマスので、ソーイッタ『自民党で税に造詣の深い人物なり組織なり』が“国民民主党案に対して小出しに刻んできた”コト事態&ソノ姿勢態度が、
“『不案内な国民』から『専門家クラスに詳しい国民』にまで『どのように映る』のか”について関心を失って見え残念極まる次第にゴザイマス…
まーアトになって「俺は私は~」と騒いでもアフターフェスティバルやろけど
いつも楽しみに拝読しております。
条件を小出しにして切下げる態度が、結局自民党は減税したくない、国民の手取りを増やしたくないと受け取られることが分かってないのでしょうね。
次はきっと昨年の定額減税みたいな時限措置でごまかそうとするんでしょうが、基礎控除引上げより現場がよほど面倒になることも理解してないと思われます。
>「128万円」とは、
123万円だったかと思います。どっちでも大した違いではないですが。
>別の与党幹部も「150万円までであれば、物価上昇率などで引き上げ根拠を説明できる」と語った。
「財源がない」つってたじゃん?
財源があるんならもっと上げてよ。
>現在の「石破自民党」が本気で今夏の参院選で敗北に向けて突っ走っているように見える
参院選敗北に向けての政権の本気度が伝わってきます。(笑)
「石破は自民党を敗北させたいのでは」説が出てくるのもわかりますよ。
沈みゆくマスコミの顔色ばっかり見てるから世論が読めない説。
与党が刻んで新案出す度に、
「財源はどう捻出したんですか?」
と問うて説明させるのはどうだろ?w
元雑用係様。
ワタシ色々アタマをよぎっています。
まあ、そんなンは横に置いといて、
石破総理は夏の参議院選挙に向けて本気で敗北路線に突き進んでいるに100%賛成です。
歴史は史上最低、アホな総理と評価するでしょう。(私見。
勝利しちゃったら、R民主党と大連立出来なくなるからでしょうか。
せめて有力候補と評価しましょうよ(私見。
「自民党をぶっ壊したい」説もありとは思いますが、例えば選択的夫婦別姓の件はもうこんな感じでヒヨってきてて、「実は何も考えていない」説も有力かなぁと思う次第です。(笑)
折衷案の通称使用拡大だと立憲は呑まないんじゃないすかね。
https://x.com/mi2_yes/status/1883543944581320729
【選択的夫婦別姓に折衷案?】選択的夫婦別姓について、石破茂総理大臣「(賛成と反対)どちらの考え方にも偏れないとするならば、折衷案もありうべしと思ったりしてる。夏の参院選までに公明党も考え方がある。保守派の人が言っている『絶対に駄目』というのは大勢ではない。自民党も決めて行く」
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しかし、あいかわらずこの人、話すテンポが・・・話し相手、寝てしまうんじゃないかな。
>政府債務、とくに自国通貨建てのものに関しては、これを個人や企業などの債務とおなじ感覚で論じても困ります。
財務省の方々には国家運営は無理なようですね。
財務省の増税路線の目的が財務所の利権確保なら、国よりも自らの利益を優先するまさに売国奴というべきですね。
SNSのおかげで多くの国民がこの事実に気付きつつありますが、政治家の方々はどれくらいの方々が気付いておられるのでしょうか?
>「税は理屈の世界」
税は「票」の世界でしょう。
103万円が議論になるのは国民民主党がこれで票を集めたから。
自民党が歩み寄るのはこのままでは票が逃げるから。
選挙前の世論調査に与党が日和ってからでは既に時遅し、ってここ20年くらい繰り返してるような・・・
着地点
103万円の壁の引き上げで仮に178万円未満で折り合いをつける場合、どこらへんが着地点でしょうか。
103万円 → 178万円 が30年間分の最低賃金格差なので、単純計算で1年あたりは 2.5万円。
123万円の場合は、差額20万円÷2.5万円=8年分
つまり、22年前の水準。話になりません。
150万円の場合は、差額47万円÷2.5万円=約19年分
12年前の水準。ひと昔前のもの。ちょうど民主党政権の頃ですか。。。
せめて3年前位の水準なら、世間の受けも良いと思いますけど、それなら、
2.5万円×3年=7.5万円。
つまり178万円-7.5万円=170.5万円
ここらへんなら許せる水準かもしれません。
因みにですが、壁の引き上げの根拠として物価水準で良いのでは、という意見があります。物価だと最低賃金にも反映しているんで妥当ではないか、という考えのようですが、
物価を計算しながら、就業時間の上限を103万円に調整する方なんぞいませんよね。時給、つまり(最低)賃金から割戻して計算してるんだから、
物価採用は、マチガイです。最低賃金をベースにすべきです。キャベツが高いから働き控えしよう、なんて人は聞いたことありません。