EUがロシアの外貨準備利息をウクライナ支援に活用へ
今年の欧州連合(EU)理事会議長国のベルギーがX(旧ツイッター)に投稿したポストによると、凍結されているロシアの外貨準備資産のうち、ユーロ建ての約2000億ユーロ相当について、欧州連合(EU)が年間約30億ユーロに相当する利息収入を没収して、ウクライナ防衛や復興支援などに充てることで合意したようです。これは大変良い流れです。
EUがロシア資産の利息収入没収で大筋合意
ウクライナ戦争を巡って少し良い話題が出てきました。
2024年の欧州連合(EU)理事会議長国のベルギーがX(旧ツイッター)に投稿した内容によると、欧州連合(EU)加盟国は、凍結中のロシア中央銀行が保有する資産から生じる利息収入を、ウクライナの復興と軍事的な防衛に使用することで合意したそうです。
🇺🇦 EU ambassadors agreed in principle on measures concerning extraordinary revenues stemming from Russia’s immobilised assets.
👉 The money will serve to support #Ukraine‘s recovery and military defence in the context of the Russian aggression.
— Belgian Presidency of the Council of the EU 2024 (@EU2024BE) May 8, 2024
ここでいう「ロシア中央銀行の資産」とは、2022年2月、ロシアがウクライナに軍事侵攻したことを受け、日米欧など西側諸国が相次いで凍結措置を講じた資産を指しています。
ロシアの2021年12月末時点の外貨準備高
具体的に、その金額はどうなっているのでしょうか。
ロシアの中央銀行が2022年にロシア下院に提出しているレポートの112ページ目には、ロシアの外貨準備の通貨別内訳に関する情報が掲載されています(図表1)。
図表1 ロシアの外貨準備の内訳
2021/1/1 | 2022/1/1 | |
ユーロ | 29.2% | 33.9% |
ロシア中銀が保管する金塊 | 23.3% | 21.5% |
米ドル | 21.2% | 10.9% |
人民元 | 12.8% | 17.1% |
英ポンド | 6.3% | 6.2% |
その他通貨 | 7.2% | 10.4% |
合計 | 100% | 100% |
(【出所】ロシア中央銀行がロシア下院向けに作成したレポート【※ロシア語、PDFファイル】の112ページ目の記載を参考に作成。なお、2022年1月1日時点の「その他通貨」は日本円が5.9%、加ドルが3.2%、豪ドルが1.0%、シンガポールドルが0.3%――などとなっている)
一方、国際通貨基金(IMF)が公表している外貨準備データ(International Reserves and Foreign Currency Liquidity, IRFCL)によると、ロシアの2021年12月末時点の外貨準備高は6306億ドルだったそうです。
ここから逆算すると、西側諸国が凍結しているロシアの外貨準備の金額は、当時の為替レートでだいたい4000億ドル前後、と見て良いでしょう(図表2)。
図表2 ロシアの外貨準備高・通貨別構成の想像図(2021年12月末)
通貨 | 金額 | 割合 |
ユーロ | 2137.82億ドル | 33.90% |
ロシア中銀が保管する金塊 | 1355.85億ドル | 21.50% |
米ドル | 687.38億ドル | 10.90% |
人民元 | 1078.37億ドル | 17.10% |
英ポンド | 390.99億ドル | 6.20% |
その他通貨 | 655.85億ドル | 10.40% |
うち日本円 | 372.07億ドル | 5.90% |
うち加ドル | 201.80億ドル | 3.20% |
うち豪ドル | 63.06億ドル | 1.00% |
うちシンガポールドル | 18.92億ドル | 0.30% |
合計 | 6306.27億ドル | 100.00% |
※凍結された額 | 3872.05億ドル | 61.40% |
(【出所】図表1及びIMFデータをもとに試算。ただし、金額には微妙に齟齬がある)
ロシアの資産の有効活用方法
この図表の試算が正しければ、欧州連合(EU)が凍結したユーロ建てのロシア中銀の資産は、当時の為替レートで2137.82億ドル、すなわち1888億ユーロと試算されます。
これに対していくつかの報道によれば、実際に凍結されている外貨準備は2000億ユーロ前後とされていますが、誤差が生じている原因はおそらく、時点の違いでしょう。上記の試算が2021年12月末時点のものであり、現実に資産凍結措置が講じられたのが2022年2月末だったためです。
(もっとも、この程度の金額であれば、正直、「誤差の範囲内」でしょう。)
いずれにせよ、ロシアが保有していた外貨準備資産は2022年以降、ユーロ建てのものについては、その多くがユーロクリアなどに保管されたままの状態で凍結されているはずであり、利率が1~2%だったとしても、利息収入は20~40億ユーロ程度は発生しているはずです(報道等によれば「年間30億ユーロ」だそうです)。
金額は少ないかもしれませんが、ロシアの資産の有効活用方法のひとつであることは間違いありません。
このあたり、個人的にはロシアの資産を完全に没収してウクライナに支払っても良いのではないか、などと思う反面、『ロシアの外貨準備資産等没収にスイス大統領が「異論」』などでも述べたとおり、欧州ではロシアの資産の完全没収には法的ハードルがありそうです。
しかし、まずは法的ハードルが低い利息収入の没収に道を開いたことは良い流れであり、また、ロシアとしては自国の資産が生み出す利息収入がウクライナの防衛に充てられるというのは、大変に良い皮肉といえるかもしれません。
いずれにせよ、ロシアの敗北とウクライナの勝利を祈らざるを得ないと思う次第です。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
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ロシアの差し押さえ資産の利活用について一番反対しているのは欧州中銀総裁。
「そんなことをしたらドルとユーロが世界で信任をなくす」
これは完全にその通りで、これを恐れ西側は2年間マゴマゴしていました。
西側は自意識が過剰すぎやしませんか?
この戦争でロシアが勝ったらどう落とし前をつけるのでしょうか?
結局、グローバルサウスでドルとユーロ離れは進んでいくでしょう。
この戦争はG7の没落とBRICSの隆盛という結果となり、それが歴史に刻まれます。
さて、現在ロシアはウの25%の領土を支配しています。
ここにウの地下資源、鉱物の60%、時価にして1000兆ドルが存在していることはあまり知られていません。
ドネツクの全開放で地下資源の70%となります。
ロシアはこの地下資源のロシアへの帰属を宣言すればよい。
この地下資源をレンドリースの返済にと考えている西側に深く刺さることでしょう。
ウクライナ応援団の皆様はぜひ幅広い視点を持つよう心がけてください。
アオキ様
>ロシアはこの地下資源のロシアへの帰属を宣言すればよい
このストーリーは相当以上に無理があるような気がするなぁ。
思惑通りにこの地域の制圧に、当面成功したとしても、ここで地下資源とやらを採掘し、更に鉱工業資源として利を上げられるようになるまでには、十年をはるかに超える時間が必要。その間安定的にその地で経済活動を営めるほどの環境を造り上げなければ、ただの絵に描いた餅。
まず無理じゃないかな。それまでにロシアという国が消滅している可能性の方が、遥に高い気がする。
>この地下資源をレンドリースの返済にと考えている西側に深く刺さることでしょう
このコメントにいたっては、むしろ下衆の勘ぐりに近い。一体何年かけて援助分を取り戻してやろうと、西側諸国が算盤をはじいてるなんて、想像するのやら。
フィンランド、スウェーデンといった長年中立政策を採ってきた国が、ロシアのウクライナ侵攻を機にNATO加盟に舵を切ったことを、軽視すべきではありません。欧州は本気になった。ロシアが悪魔であって、改心の見込みが無い国であることをはっきりと理解したんだと思います。
この状況は、たとえウクライナの息が切れ、不承不承ながらもドンバス地域の支配権を一時手放すことがあっても、引き換えにウクライナ国民の強烈な敵意と、西側諸国の対露経済制裁の永続化を招くだけで、ロシアの繁栄に結びつくことなど、おおよそあり得ない話だと思います。
伊江太様
西側がドンバスを取り戻すというのですか?
ロシアの前にまず西側が自壊しませんか?
私が見るにNATO、EUなどは崩壊の寸前に見えますが?
クリミア奪還などが実現するのでしょうか?
いずれにせよ戦場で決着が付きます。
さあ、どのような決着となりますか。
>私が見るにNATO、EUなどは崩壊の寸前に見えますが?
>いずれにせよ戦場で決着が付きます。
>さあ、どのような決着となりますか。
「西側のおとぎ話は『むかしむかしある所に~』で始まるが、ソ連のおとぎ話は『来たる未来には~』で始まる」というやつですね。
ロシア支持者のかたがたはプーチン氏ともども、ソ連時代からまったくお変わりないようで。
差押え資産没収の異論の記事を見たのに見つけられなかったんですが、こちらで拝見していたのですね。どうも最近記憶が・・・
>「違法な侵略行為を行った国の資産は没収し、被害国の損害賠償に充てられる」という慣習法が形成されるのであれば、結果論としては、スイス大統領の述べる「法的根拠」が現在進行形で作られていくということになるのではないか
この結論がしっくりくるんですよね。
差押え資産本体に手をつける案はいくつかあるようで、国際法や金融の専門家が実現性をあれこれ議論するのでしょうが、恐らく決定的なOK/NGは出ないのでしょう。最後は政治的な気合い合わせで決まってしまうような気もします。
世論が概ね追い風になるような、いい案が登場するといいですね。
この決定の意味は大きいと思います。
これまで世界経済秩序のために
西側諸国は、たとえならず者国家であっても
その資産をまともな国と同じように保証して
また、ならず者国家はそれに付け込んで
国際経済にアクセスしてきたのですが
これからは、ならず者国家は
制裁受けない独自のならず者経済圏に逃げ込んで
世界は国際社会経済圏とならず者国家経済圏に
二分分断される岐路に立っていると感じます、
、
国際指名手配のウラジミールプーチン(71)
による蛮行が現実に進行していて
日本でも多数派国民良識層を騙して
票を掠め取りたいので表向きは
プーチンロシアを応援しないふりをしても
韓流正統立憲民主党や社民党の代議士の発言からは
日本を毀損したい=反米からのドサクサの
発言が散発的に発信されてます。
人類の正しい未来のためにも
ロシア、北朝鮮、半島の韓流、中国などの
ならず者国家、集団に甘い顔を見せてはいけない
国際社会の矜持が試されていると考えます。
パナマのノリエガ将軍みたいに、首都まで乗り込んで逮捕
アメリカの裁判所で裁判して懲役150年だか170年だかの判決を下すという事?
東京裁判で不十分だった事を今こそ大々的にやりましょうという感じ
とうとう「ロシアの金を取り上げても良い」と言う判断に到りましたか。
これをどう解釈すべきか…
「ロシアの大勝利は来ない」と言う見通しが立ったのか?
「第二次冷戦時代突入を覚悟した」と言う事になるのか?
あるいは「この戦争をもっと長引かせよう」と言う目論見があるのか?
最終的にどういう決着がつくかは分かりませんが、きな臭い時代が続きますね。