立憲民主党・泉代表、減税を否定

減税を求める声が与党内で高まっていることを巡り、朝日新聞の報道によると、立憲民主党の泉健太代表は「『減税、減税』と急に叫び始めるのは無責任」、「即効性がない」などと述べたうえで、「現下の生活を支える施策という意味では、減税では間に合わない」と批判したようです。絶望的なまでの政治センスのなさです。

「自民党政権を終わらせろ!」

自民党がいわゆる「LGBT法」を強行採決したあたりからでしょうか、自民党政権に関する話題をX(旧ツイッター)などのSNSで検索してみると、最近だと「自民党は次の選挙で大敗すべき」、とするコメントが相次ぎます。

岸田文雄首相の韓国に対する頭が悪すぎる外交などを批判してきた当ウェブサイトとしても、もしかしたらこうした「反自民党政権」の空気を形成するのに寄与した可能性はあると思います(ただし、当ウェブサイトとしては客観的な材料をもとに岸田政権の対韓外交を「頭が悪い」と結論付けただけですが…)。

ただ、ここで重要な点があるとしたら、やはり私たち日本国民こそがこの日本の主権者であり、私たちの投票行動が日本の未来を決めていく、ということです。

当然、良いことは良い、悪いことは悪い、と、是々非々で判断する姿勢が重要です。

このあたり、岸田政権がこの2年あまりでなしてきたことに加え、過去に「自民党にお灸を据える」として民主党に政権交代した実績などを振り返っておくと、自民党を全否定すべきなのかどうかについては、何となく見えて来るでしょう。

自民党内では減税議論も出ている

当ウェブサイト的には、岸田首相の対韓外交は稚拙のヒトコトに尽きると考えている反面、最近では自民党の党内からは減税案などが出て来ていることを踏まえると、自民党を全否定するのではなく、やはりこうした動きも是々非々で見ていかねばならないということに尽きるのだと思います。

自民若手、消費税率5%への減税求める提言決定

―――2023/10/04 14:37付 産経ニュースより

もちろん、こうした声が自民党内のメインストリームを占めているかどうかは判断が微妙なところでもありますし、「単なるガス抜き」という可能性だってありますので注意は必要です。

もっとも正直なところ、自民党政権が気に入らないという理由で、一度すべてをリセットして「自民党にお灸を据える」ことが正解だとは限りません。

それよりは、自民党内でダメな政治家を落選させつつ、心ある政治家を当選させるなどし、自民党をよりマシな政党に作り替えるために、私たち有権者も努力する価値があるかもしれません。

鉄道工事理論

これは、当ウェブサイトでいつも指摘している「鉄道工事理論」のようなものでしょう。

首都圏や近畿圏がその典型例ですが、大都市部ではとくに多くの鉄道路線が通勤のため混雑します。ラッシュ時には1時間で30本前後、つまり2分に1本という高密度で通勤電車が走る路線もありますが、これらの電車を運行しながら鉄道路線を改造するのは大変な仕事です。

なかには「開かずの踏切」が地元の交通に悪影響を与えているケースも多く、こうした問題を一挙に解決するためには、鉄道を高架化ないし地下化し、場合によっては増線(=複々線化)するなどの工事をするのが良いのですが、これが一筋縄ではいきません。

鉄道シミュレーションゲームの世界ではクリックひとつで邪魔な建物をぶっ壊し、そこに好きなように鉄道を引くことができますが、現実世界だと地権者の了承を得て立ち退いてもらう必要がありますし、鉄道の運行を可能な限り止めずに工事を進める必要があるため、かなり精緻な計画と相応の時間が必要です。

現実の政治も、これと同じでしょう。

もし私たち国民が減税を願うなら、「減税」を掲げる新党に票を投じるという選択肢もないではないのですが、やはり現実的には自民党内で減税派議員を増やし、親財務省派(すなわち反日派)などの議員を落選させていくのが早いのではないでしょうか。

今朝の『単なる引締め?「総選挙で自民過半数割れ」報道の実情』でも取り上げたとおり、一部報道では、「いますぐ解散総選挙をすれば、自民党が議席を大幅に減らす」、といったシミュレーションも示されているようです(それが虚報かどうかは別として)。

与野党で減税政策論争を戦わせるチャンスだが…

これに危機感を覚えたであろう自民党が、もしも減税を掲げて総選挙に打って出た場合には、自民党はそこそこ議席を維持するかもしれません。

逆にいえば、自民党に挑戦する政党にとっては、減税を大々的に打ち出すチャンスでもあるはずですが、しかし、最大野党である立憲民主党の態度はなにかと理解に苦しむものでもあります。

朝日新聞の報道によると、立憲民主党の泉健太代表は長崎県佐世保市で記者団に対し、自民党内で所得税や消費税の減税を求める声が出ていることについて、記者団に対し驚くべき発言をしたというのです。

『減税、減税』と急に叫び始めるのは無責任。即効性がない政策で、それが経済対策というのは少し不思議。現下の生活を支える施策という意味では、減税では間に合わない」。

立憲・泉代表「『減税、減税』と急に叫ぶのは無責任。即効性がない」

―――2023/10/09 18:45付 Yahoo!ニュースより【朝日新聞デジタル配信】

財務省が減税を極端に嫌うのは官僚の利権擁護という本能に沿った行動であること、それにもかかわらず、経済理論に照らし、減税が即効性のある経済対策であることは、当ウェブサイトでもこれまで何度となく指摘してきたとおりです。

しかし、泉氏はこの発言で、立憲民主党が減税に後ろ向きであることを示してしまった格好です。

絶望的なまでの政治センスのなさには驚きます。こうしたなか、「もしも」の議論ではありますが、日本維新の会あたりが「減税」を公約に掲げて選挙戦に突入すれば、立憲民主党のひとり負け、というシナリオも現実味を帯びて来るでしょう。

いずれにせよ、まともな野党が存在しないのが現在の日本の問題なのかもしれません。

本文は以上です。

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読者コメント一覧

  1. カズ より:

    >泉氏はこの発言で、立憲民主党が減税に後ろ向きであることを示してしまった格好です。
    彼は労働者(支持母体)の利益に反してまで、何をしたいんでしょうね。→(立民の解体?)

  2. Masuo より:

    私はテレビは見ませんが、番組ではしきりに「減税反対」を吹聴しているそうです。泉の発言はこれに沿ったものだと思います。彼らはきっと、自民党が減税を打ち出して選挙をすればまずいことになると考えているのでしょう。

    立憲民主党の政策には何の興味もありませんが、自民党の減税理論もやはり信用していません。

    ・自民若手議員ら 消費税減税求め緊急声明 (NHK)
    https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200330/k10012357251000.html
    抜粋)自民党の若手議員らは記者会見を開き、消費税の減税を求める緊急声明を発表しました。(2020年3月30日の記事)

    ・自民若手議連「消費税5%に減税。食料品はゼロも」 電気代を全額政府が負担する案も提言へ
    (FNNプライム)
    https://www.fnn.jp/articles/-/596060
    抜粋)自民党の若手議員らによる「責任ある積極財政を推進する議員連盟」が4日、提言を発表し、20兆円規模の財政出動や消費税の減税を訴えた。
    (2023年10月4日の記事)

    私は減税しないと思ってます。(やっても法人税減税まで)
    減税を争点に選挙をするなら、やるやる詐欺にならないように、先に減税法案を通してからやって欲しいものです。

  3. たろうちゃん より:

    泉健太代表はバカなのか?それともいつもの代案なき反対論者なのか?国民が一番求めているのは物価安定とエネルギー関連の値下げじゃないのか?プーチンの戦争でなにもかもがあがった。くわえて中東での戦闘勃発である。世界の穀物区のウクライナ。そしてエネルギー倉庫の中東に起こっていることを考えればこれから起こり得ることは解りそうなものだろう。センスの問題ではない。危機管理の問題なのだ。たしかに自民党が急に減税を叫ぶのは無責任のキライはある。選挙で議席を減らしそうだからな。国民はちゃぶ台返しもお見通し。だから代案が必要なのだ。野党の党首がウルトラバカでは希望もヘチマもない。しかし、、バカだよなぁ、、、

  4. naga より:

    確か昔、社会党だった時は減税ばかり言っていたと思う。与党と反対のことを言えば良いと思っているだけなのか。また財務省が喜ぶこと言っとけばと言う浅知恵なのか。

  5. 伊江太 より:

    泉代表が減税に即効性がないと言う理屈は、大体想像がつきます。要するに、減税で手取りが増えれば、消費に回るより貯蓄が増えるだけに終わるのがオチというアレでしょう。

    そうなる余地がない期限付きの地域商品券とか、子育て支援金とかに使ったほうが、よほど目に見えた効果があると言いたいんでしょうが、もともと今減税せよという世論が盛り上がっているのは、カネ回りが滞って不況だというんじゃなくて、とりすぎた分を国民に返せという話です。

    戻ってきたカネをどう使おうが、本来の持ち主である国民各自の裁量次第。それを恩着せがましく、「支援してやる的」感覚で捉え、あわよくば自党の支持層にアピールなんてのは、いただけるもんじゃありません。

  6. 農民 より:

     昨今の「減税の必要性」は、税金が高いのはイヤ・下げるとウケが良い、とかいう原始的な感情ではなく、税制構造の是正や経済活性化に主眼が置かれていると認識しています。本件を見るに、泉氏が財務省の伝書鳩をしていないのであれば、「表層や過去の例を見る程度しか能がなく、本質を全く理解していない」と言えるでしょう。そして「理解しているが~」などと反論した場合、何らかの悪意があるなり財務省の伝書鳩だということになり最悪です。
     今の与党がやるにやれない好政策、増税メガネの弱点を突くチャンスだろうに、何故自分から手放しているのやら。実務家としても勝負師としてもド三流ですね。政治家ならどちらかは持っているべきです。前者は菅義偉、後者は(昔の)小沢一郎がパッと思いつく代表でしょうか。
     民主党のお歴々からはやたらと悪意や陰謀がにじみ出ていますが。泉氏はなんかそういうのが無いピュアな無能って感じで……

  7. CRUSH より:

    僕も、物価の安定を今の最優先でよいと思います。
    (雇用は円安で絶好調の追い風なので無視)

    ごくシンプルに考えれば、ガソリン高騰が目立つ。
    今の世の中で物価に広く影響するのは物流コストなので、とにかく効く。
    立法化も不要。
    すでにトリガー条項が整備済み。
    「やります」
    と宣言すればよいだけ。
    とても簡単に自民党圧勝のストーリーに。

    トリガー条項発動なら原油高騰が収まったらまた元の体制に戻るのだから、財務相もそこまで嫌がらないでしょうに。

    不思議ですわ。

  8. ねこ大好き より:

    与党も野党も感覚がおかしくなっていませんか。
    オールドメディアの歪んだ報道が与野党議員の感覚を狂わせているかもしれません。岸田氏が増税メガネのあだ名に怒って、レーシックにすれば良いのか!とズレた反応をしたとかしないとか、エッフェル松川女史が被害者スタンスだったりとか。
    そしてこの泉氏。国民が何に不安を感じ、何に不満を持っているか分かっていない。財務省に洗脳されているのか、ばら撒きの大風呂敷(口だけでしたが)で政権をとった前例にあやかったのか分かりませんが、今この時点で言うべき言葉では無い。小沢一郎あたりが裏で言わせているのかな。
    次の選挙がいつになるか分かりませんが、立憲に自民の批判票が集まる事は無いですね。

  9. 名前 より:

    立憲民主党は確実に○んだな!飛躍するのは国民民主党。

  10. さより より:

    内容よりも「逆張り」が党是だから、敵が正論を言えば、自分は、悪論を言わざる得なくなるんですね。
    そして、自分が何を言っているかも分からない、という思考停止状態。更に、自分が思考停止していることにも気が付かない、無感覚。もはや、何と表現したらいいのやら。

  11. 匿名 より:

    財務省の下に国税庁があるかぎり、「脛に傷を持つ」 「叩けば埃が出る」 議員は、与党だろうが野党だろうが、減税には反対しづらいのだろう。

    安倍元総理が、すでに決まっていた消費税増税を2回も延期できたのは、安倍元総理がクリーンな政治家であったことの証拠でもあると思う。

    1. 匿名 より:

      訂正
      ×減税には反対しづらい → 増税には反対しづらい
      または
      ×減税には反対しづらい → 減税を言い出しづらい

  12. 一之介 より:

    >立憲民主党の泉健太代表は絶望的なまでの政治センスのなさです。
    そもそも、
    過去ぽっぽの鳩山由紀夫さん、菅直人さん、枝野幸男さん、安住淳さん、岡田克也さん、ついでに前科一犯の辻元清美さん、なにがなんだかの村田斎藤謝蓮舫さん、おまけの小役人小西洋之さん等々その他大勢。この方たちに政治センス有りますかね?そもそも、この政党には政治センスは見いだせません。と、私は思います。松原仁さんは離党して良かった。

  13. 雪だんご より:

    はて、泉代表はなぜここまで自爆にしか見えない発言を…?
    これではただでさえやりづらくて仕方がない野党支持者がますます
    与党支持者とのレスバスに負けてしまうと思うのですが。

    以前から半ば冗談で言われていた「民主政権の再来を一番恐れているのは民主党自身」と言う
    説が案外冗談でもない?泉代表はまかり間違って政権に近づくなんて絶対嫌と言う立場?

    そもそも泉代表は前々からさっさと代表を辞めたがっている、他人に押し付けたがっている
    フシがあったので、今回珍しく能動的に発言したのは色々と深読みしたくなります。

  14. 世相マンボウ_ より:

    『立憲民主党・泉代表、減税を否定』は、
    あの泉さんですから、単に自民党の逆張りしたいだけ
    なのでしょうが でも、奇しくも
    立憲民主党の体質にはあっています。

    立憲民主党支持者層の
    リアル社会での生きザマをみてみれば
    共産党と鬱憤層の票の取り合いしているように
    『もっとクレクレ』主張を求めているのです。

    それなのに減税してしまって
    普通に真面目に働く多数派国民良識層の
    納税額が減ってしまっては、
    立憲民主党支持者の中核をなす
    『もっとクレクレ層』に配分してあげる
    原資がなくなってしまいます。

    泉代表の今回の発言は、
    これまでありもしない埋蔵金とかでごまかして
    支持者は『もっとクレクレ層』なのに
    荒唐無稽なマニュフェストで思いつきで
    減税とかを口にしていた過去よりは
    むしろ期せずして本来の『もっとクレクレ層』の
    ニーズに矛盾なく合致するものだと評価します。

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