佐賀県知事選巡る新聞報道は「情報タテ検証」の典型例
18日に投開票される佐賀県知事選の争点は、現職の2期8年に及ぶ県政への評価に加え、佐賀空港への自衛隊輸送機オスプレイ配備計画などへの対応だ――。そんな報道がなされた翌日に行われた県知事選では、195,907票対22,257票という圧倒的多数で現職の勝利に終わりました。まさに「情報のタテ検証」のし甲斐があります。
情報のタテヨコ検証
以前の『【総論】崩壊始まる官僚・メディア・野党「腐敗利権」』などでも指摘したとおり、昨今は社会のインターネット化が急速に進んでいます。
社会のネット化が進むと生じる大きな変化のひとつは、「だれでも簡単にタテヨコ検証できるようになること」ですが、ここで「タテ検証」とは「情報を時系列に並べ立てること」、「ヨコ検証」とは「情報を横串で把握すること」を意味します。
たとえば、ネット時代だと、かなり以前の情報もネット上にそのまま残っていたりしますので、それを掘り起こしていけば、「同じメディアがどんな報道を行ってきたのか」を簡単に把握することができてしまいますし、その過程で、そのメディアの情報の適切性を、あとから検証することができるのです。これが「タテ検証」です。
一方で、このネット時代、いちいち複数の新聞を購読しなくても、ネット検索さえすれば複数のメディアの報道を「横串」で比較する、といった作業も、本当に簡単に実施できてしまいます。これが「ヨコ検証」で、ケースによっては、メディアの報道を一次データで検証することすらできるのです。
佐賀新聞「知事選の焦点はオスプレイ対応など」
こうしたネット時代の威力を感じることができる、非常に好適な事例をひとつ発見しました。
まずは、佐賀新聞のウェブサイトに土曜日に掲載された、こんな記事をご覧ください。
<知事選2022>12月18日投開票 オスプレイ対応など焦点
―――2022/12/17 09:53付 佐賀新聞より
佐賀新聞によると、任期満了に伴う佐賀県知事選は「佐賀空港への自衛隊輸送機オスプレイ配備計画などの国策課題への対応」や、現職の山口祥義氏(57歳・無所属、自公推薦)の「2期8年の県政」への評価が争点となる、などと記載されています。
ちなみに山口候補に挑戦するのは共産党新人で党県委員会書記長の上村泰稔氏(57)だそうで、上村氏は大票田である佐賀市内を遊説し、同党の田村貴昭衆院議員も駆けつけ、「佐賀空港へのオスプレイ配備反対」と「九州電力玄海原発のストップ」を呼びかけたそうです。
結果は「圧倒的な差」
それでは、この「オスプレイ対応などの焦点」を、佐賀県の有権者はどう判断したのでしょうか。
その結論は、すでに昨日の夜11時半に出ています。
佐賀県知事選挙 開票結果(確定:23時30分)
詳細は、添付のPDFファイルをご覧ください。
添付資料
―――2022/12/18 23:30付 佐賀県ホームページより
結論的には、山口氏が195,907票に対し上村氏は22,257票にとどまり、山口氏が圧勝しました。それも、すべての市町で山口市の得票が上村氏を圧倒したのです。
上村氏が最も票を獲得した佐賀市でも、得票数は6,999票と山口氏(46,897票)の15%弱に留まったほか、佐賀市以外の自治体ではさらに差をつけられており、藤津郡太良町に至っては3,061票対135票で22倍もの差が付いています。
なんだか「勝手に争点を作って勝手に敗北した」という印象を抱くのは気のせいでしょうか?
共産党の敗北であるだけでなく…
先ほどの佐賀新聞の報道によれば、上村氏は「佐賀空港へのオスプレイ配備反対」と「九州電力玄海原発のストップ」を大々的に呼びかけたわけですので、間接的には、佐賀県の民意は「オスプレイ配備」と「九電玄海原発の稼働」にゴーサインを出した、ということでしょう。
このあたり、日本共産党界隈から、「保守王国の佐賀県だから仕方がない」、「投票率は33%と過去最低を更新したから仕方がない」、などとする言い訳が出てくるのはなんとなく想像がつくところですが、本稿で強調しておきたいのは、そこではありません。
地元紙であるはずの佐賀新聞がその投票日の前日になって、わざわざ「オスプレイが焦点だ」とする記事を配信したことに関し、こんなに早く「タテ検証」ができてしまったという点にあるのです。
このあたり、佐賀新聞がなぜあんな記事を掲載したのかはよくわかりませんが、少なくともこの投票結果で見る限り、もしも「オスプレイ配備」が「選挙の争点」だったのだと仮定すれば、県民の民意は圧倒的多数でこれを承認したと断言して良い、ということになるでしょう。
いずれにせよ、新聞、テレビを中心とするメディアの報道内容については、私たち一般人ですら簡単に批評することができてしまうのですから、大変面白い時代になったものだと思う次第です。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
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自称元徴用工問題、自称元慰安婦問題、火器管制レーダー照射、天皇陛下侮辱、旭日旗侮辱…。韓国によるわが国に対する不法行為は留まるところを知りませんが、こうしたなか、「韓国の不法行為に基づく責任を、法的・経済的・政治的に追及する手段」を真面目に考察してみました。類書のない議論をお楽しみください。 |
【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました
日本経済の姿について、客観的な数字で読んでみました。結論からいえば、日本は財政危機の状況にはありません。むしろ日本が必要としているのは大幅な減税と財政出動、そして国債の大幅な増発です。日本経済復活を考えるうえでの議論のたたき台として、ぜひとも本書をご活用賜りますと幸いです。 |
佐賀新聞+オスプレイで、グーグルでニュース記事を検索してみると・・・・
1ページ目には、10時間前、4週間前、2日前、2週間前、3週間前、12時間前、2週間前、1週間前、1ヶ月前、3週間前の記事がヒットしたのです♪
で、2ページ目には、1ヶ月前、2022年10月18日、2022年7月15日、2022年8月19日、1ヶ月前、1ヶ月前、1ヶ月前、1ヶ月前(※)、2022年7月27日、2022年7月23日の記事が出てきました♪
※をつけたひとつ以外は佐賀新聞からだから、佐賀新聞としては結構関心を持ってたのかな?と思ったのです♪
結果については・・・・・、控えさせて頂くのですm(_ _)m
毎度、ばかばかしいお話しを。
佐賀新聞:「佐賀新聞が、佐賀県知事選でオスプレイを争点としたのは、2日も前のことだ」
これって、笑い話ですよね。
蛇足ですが、投票率が低い選挙で惨敗した候補は、支持者がとてつもなく少なかった、少なくても、この候補を当選させるために投票所に足を運ぼう、と思われなかった、ということですよね。
佐賀新聞は何を言いたいのでしょうか。
結局原発とオスプレイにお墨付きを与えてしまいましたね。今後、この二つが議論になった時、オールドメディアは「民意を問うていない!民意無視、強権発動だ!」なんて批判できなくなりました。
これって笑い話しですよね。
次の記事は、少数派の意見にも耳を傾けねばならない、でしょう。
革新王国なので羽田や杉尾が勝っても仕方がない、と諦めるしか無い長野からすれば羨ましい話です……千葉よ、わかってくれるか。
田中康夫知事あたりから長野県民の政治指向が左になってるのでしょうか。
※これは投稿規則に反してませんよね?
聞きかじる限りでは、昭和初期に二・四事件と呼ばれる左翼教師弾圧があったりしまして。似た名称の二・二六事件などに比べれば些末でしょうし教科書にも乗りませんが。
100年を超える古い小学校が多数存続していたりと、自称も含め教育熱心な県ではあるようなのですが、かなり早い段階から左翼思想と「思想教育」が入り込んでいたようです。現在の中高年の方と政治の話をすると「政治家はダメだ与党はダメだ」と雰囲気だけで話して具体的な部分はTV新聞のウケウリで政策内容を全然語らない……というパターンが多数で、マウント優先中身スカスカの左翼教育いっちょあがりという感じです。その二・四事件ではマルクス被れに巻き込まれて真っ当な教師も弾圧されてしまったようで尚更かな……
先ごろの選挙でも「羽田孜」という個人的には汚名とすら思えるものが「長野が誇る元首相ブランド」として羽田Jr陣営に効いたようです。嗤って下さい。
※これもマズイかしら?
長野県とは全く縁が無く、そんな歴史があったとは知りませんでした。ウィキとかでも調べてみます。
羽田jrはまだ分かりますが、スギ○は酷く無いですか?農民さんは長野県民ですか?責任取って下さい。
私は民主党系には09年も含めて一度も投票していないのですが、そういう県なのですよ……責任を取る方法があればまだ良いものを。
ス○オ当選については、選挙期間にあわせて文春が自民候補に選挙どころか人生終了レベルの特大スキャンダルかましまして。それでも大差が付かなかったのだからス○オの悪評(あるいは成果の無さ)もそれなりには周知されていそうなのですが。ド田舎なので共産も根強いです。民主主義も困ったものだなとつい思ってしまいます。
教養がつくどころか鳥アタマになってしまう新聞ですね。愛読者などは口が開いて呆然としているのかも知れませんね。
共産党さんの太鼓持ちと
わかりやすい佐賀新聞さん。
選挙結果で明らかな
多数派県民良識層との
「 差 が ありすぎ新聞」 さんのようですな
(^^);
こういった場合、「選挙には負けたが反原発、反オスプレイが負けた訳ではない!」と
叫ぶのがあの界隈のお約束だと言う認識です。
彼らは勝利条件だけ設定し、敗北条件は言及しないのが常でした。今回もそうなるかな?
ご指摘的を射ているち感じます。
まあ、平和な江戸時代でも
山賊追い剥ぎさんは身の程知らずに
自分たちの主張を
掲げていたようなものです。
現代のそんなこんなの人たちの主張とやらも
そうしたものなのだと正しい位置づけて
扱って上げるべきものなのでしょう。
保守王国で保守が負けるのは雌プレイ問題が噴出した時くらいかな
佐賀新聞が同業者である朝日新聞を見習って一定の過去の記事に「noindex」「nofollow」「noarchive」を振り付けてしまわない事を祈ります。
参照:『朝日新聞、慰安婦問題訂正記事に「検索回避タグ」設定 「確認漏れだった」と謝罪』
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/1809/12/news114.html
小難しいことじゃなくって、敗因は「共産党だから」じゃないですかね?w
岸田首相の広島1区と同じことでしょう。対抗馬が共産党と社民党しかいないし
そうそう、先の衆院選では日本成功党なる党が参戦し、党名とは裏腹に盛大に失敗してましたがw