首脳会談「時期協議」とする韓国発表を日本が速攻否定
韓国政府高官が金曜日、日韓首脳会談を巡り、「具体的時期を協議した」かのごとく述べたところ、それを日本政府高官が「強く否定する」というやり取りがあったようです。こうした認識の齟齬の背景には、やはり日韓諸懸案を「スタート」と見るか、「ゴール」と見るかという違いが存在しているのかもしれません。やはり、自称元徴用工問題を含めた日韓諸懸案については、無理に解決を図るのではなく、むしろ外交の在り方を見直していくための手段のひとつ、くらいに位置付けたくらいでちょうどよいのかもしれません。
目次
徴用工判決から早くも4年:無法国家と化した韓国
早いもので、自称元徴用工問題が日韓間で外交問題に浮上してから、もうすぐ4年が経過します。
ことの発端は2018年10月30日、韓国の最高裁にあたる「大法院」が新日鐵住金(※現在の日本製鉄)に対し、「戦時中強制徴用された」などと自称する原告側への損害賠償の支払いを命じたことにあります。続いて1ヵ月後の11月29日には、三菱重工にも似たような判決が下りました。
これらの判決、結果的には日韓請求権協定に反する法的状態を作り出したという意味において、韓国の司法自身が国際法に違反する違法な判決を下したという深刻な問題を生じたのですが、問題はそれにとどまりません。
日本政府がこの問題を解決するために、日韓請求権協定に従って申し入れた外交的協議、国際仲裁などの手続を、韓国政府自身が拒絶したのです。つまり、司法府と行政府が同時に国際法を破ったことで、韓国という国家が「国際法を守る国」であることを自ら放棄してしまったという言い方もできるのです。
日本政府はいちおう、「日本企業に不当な不利益が発生した時点」をもって、何らかの対抗措置を講じる可能性を示唆しているのですが、それだと不十分かもしれません。正直、現時点においてもすでに韓国が国際法を守らない無法国家と化している、という言い方もできるからです。
日本政府としてはいっそのこと、「日韓請求権協定に従った問題解決プロセス」を韓国が拒絶した2019年7月19日以降に韓国に進出した日本企業に対しては、その法的権益を守ることは保証できない、などと宣言した方が良かったのかもしれません。
あるいは、法律を堂々と破る国との貿易高が非常に多いという状況についても、もっとスピード感をもって調整していくべきではないか、とすら思えてなりません。
政権交代後も解決の見通しはまったく立たず
ただ、韓国では今年5月に政権が交代し、尹錫悦(いん・しゃくえつ)大統領らは日韓関係についての「包括的解決」を謳っているのですが、現時点においても残念ながら、日本が望む形での問題解決が図られる可能性は、皆無と見て良いでしょう。
昨日の『韓国外相が自称元徴用工と面会してしまったことの意味』では、韓国の朴振(ぼく・しん)外交部長官(※外相に相当)が自称元徴用工らと面会し、「長官として責任を持って(賠償)問題を早期に解決するよう最善の努力を尽くす」と述べた、などとする話題を取り上げました。
当たり前の話ですが、こんなことをやってしまうと、尹錫悦政権として、「国際法を誠実に履行する」というかたちでの問題解決を図ることが極めて困難になってしまいます。朴振氏の行動によって、自称元徴用工判決自体を無効化するなどの解決は、ほぼ不可能になったと見て間違いありません。
日韓間の認識の落差は埋まらない
ただ、昨日も指摘したとおり、そもそも論として日韓諸懸案の「定義」そのものが日韓間で大きく異なっているという点を踏まえると、このような結論は最初から見えていたのかもしれません。
もっといえば、「理想的な両国関係」が、日本の場合は「基本的価値と戦略的利益を有し、未来志向でともに発展していける関係」と規定しているのに対し、韓国の場合は「正しい歴史認識を共有し、日本の反省と謝罪に立脚した関係」と考えているフシがあるのです。
もちろん、「正しい歴史認識」とは、「韓国にとって都合が良い認識」、という意味です。
通常の先進国同士であれば、過去に何らかのトラブルがあったとしても、どこかの時点で謝罪し、金銭的に解決を図ったならば、それ以降は過去の問題を蒸し返したりしません。
いや、もう少し身もふたもないことをいえば、「本気で戦った国同士」は、たいていの場合、相手国に対して恨みを抱いたりしないものです。日本やベトナムでは反米感情がほぼ存在しないか、存在しても社会の少数派ですが、これなども「本気で戦争した」からこその結果なのかもしれません。
だいいち、日本と韓国(朝鮮)は、少なくとも第二次世界大戦当時は「交戦国」ではありませんでした。朝鮮自体が、大日本帝国によって統治される地方に過ぎなかったからです。
韓国側で1910年の日韓併合条約の違法性を問う論者が多い理由も、結局のところ、この日韓合邦自体が違法だったと主張することで、歴史を修正しようとする動きのひとつと理解して間違いないでしょう(※もちろん、そんな主張など、国際社会からは相手にされていませんが…)。
当然、韓国がいう「正しい歴史認識」は、国際社会でいう「歪んだ歴史認識」であり、そんなものに日本がお付き合いする筋合いはありませんし、両国の認識の落差は埋まらないのです。
「我々の立場で包括的解決を」
ただ、韓国側はそうも言っていられません。日韓関係が破断でもしようものなら、韓国にとっては経済、安全保障などの多岐にわたり、非常に深刻な影響が生じるかもしれないからです。
その実例のひとつが、金曜日の『レーダー照射を否定し「包括的解決」主張する韓国高官』でも取り上げた、韓国国防部高官による2018年12月の火器管制(FC)レーダー照射を「なかった」ことにしつつ、「両国関係の改善と国防協力の観点で包括的に解決する」という、まことにムシの良い発想でしょう。
これについては読者コメント欄でも「農民」様というコメント主の方からご指摘をいただいたとおり、こんなたとえ話がわかりやすいでしょう。
- K国→「我々の立場はAです。Bは受け入れられません。」
- J国→「我々の立場はBです。Aは受け入れられません。」
- K国→「そうですか、困りましたね。ではAということで包括的に解決しましょう。」
J国の立場としては、困惑するしかありません。
韓国政府高官「韓日首脳会談の具体的な時期を協議した」
こうした文脈で、我々として困惑せざるを得ない話題は、他にも出てきています。韓国メディア『聯合ニュース』(日本語版)に金曜日、こんな記事が出ていたのです。
日本と首脳会談の「具体的な時期協議」 9月開催の可能性も=韓国高官
―――2022.09.02 19:52付 聯合ニュース日本語版より
聯合ニュースによると、米ハワイで開催された日米韓の安保担当高官による会談などを終えて帰国した金聖翰(きん・せいかん)国家安保室長が2日、日韓首脳会談について、「詳細を明らかにする段階ではない」としつつも、「具体的な時期について日本側と話し合った」と述べたというのです。
これについて聯合ニュースは、「今月中旬に米ニューヨークで開催される国連総会に合わせて開かれる可能性があることを示唆した」ものだと解しています。というのも金聖翰氏は日韓首脳会談について、次のように説明したからです。
「国連をはじめとする多国間会議に合わせて開くか、またはその前後に首脳が相互訪問するシャトル外交の形で会談し、懸案の解決策を具体的に提示する機会があるだろう。(国連総会に合わせて開かれる可能性は)閉ざされていない」。
日韓諸懸案のあまりの多さ、あまりの複雑さを踏まえるならば、自民党内にも大した政治基盤を持たず、複雑な調整能力にも若干の疑義がもたれている岸田文雄首相、少数与党かつ就任早々に支持率の急落に見舞われている尹錫悦大統領の双方が首脳会談を行って妥結できるレベルは越えています。
もっとも、聯合ニュースの記事では、「今月中に韓日首脳会談が実現すれば、2019年12月以来、約2年10ヵ月ぶりとなる」、などとして、首脳会談に向けた調整が進んでいるかのような報道ぶりであるのは気になるところです。
【参考】6月29日の日米韓3ヵ国首脳会合
(【出所】外務省)
韓国側報道を速攻で否定する日本政府高官
ところが、こうした報道を念頭に置いたのでしょうか、産経ニュースには金曜日深夜、こんな記事が掲載されていました。
日韓首脳会談「早ければ今月」と韓国示唆 日本側否定
―――2022/9/2 23:00付 産経ニュースより
産経の記事で重要なのは、秋葉剛男国家安全保障局長と金聖翰氏との協議を巡って、「日本政府高官」が「徴用工問題の解決を求めただけであり、首脳会談の日程については一切協議していない」と述べ、韓国側の発表を「強く否定した」、というくだりでしょう。
韓国側が発表し、それを日本側が「強く否定する」というのは、文在寅(ぶん・ざいいん)政権時代には頻繁に見られた現象でしたが、それを今回も目にすることができるとは、なかなかに印象深いところです。
結局のところ、日本としては自称元徴用工問題を含めた諸懸案の解決策を韓国側が何ら提示していない時点で、首脳会談を行っても意味がないと判断しているのでしょう(岸田首相や林芳正外相らに、若干の、あるいはかなりの脇の甘さはありますが…)。
もしかすると、日韓諸懸案の解決も、日本にとってはスタートであり、韓国にとってはゴールなのかもしれません(『私にはスタートだったの、あなたにはゴールでも=日韓』等参照)。
いずれにせよ、FCレーダー照射事件を巡る一件でもわかるとおり、日韓の認識の落差は一朝一夕では埋まるものではないことは間違いありませんし、それどころか、ますます拡大するばかりです。
なにより、現在の日本政府には、故・安倍晋三総理が遺した「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」を広めるという責務があります。歪んだ歴史認識にとらわれFOIPに賛同しない国など放っておいて、FOIPの理念に賛同してくれる国を1ヵ国でも獲得する方が、現在の日本にとっては生産的です。
このような発想に立つのならば、日韓諸懸案については「解決する」ことを優先する必要などありません。これらの日韓諸懸案については、日韓関係の決定的な破綻に至らないようにうまくマネージしつつ、日本は国を挙げ、「基本的価値を共有しない国」との関係をフェードアウトしていく、という方向が望ましいかもしれません。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
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【おしらせ】人生で10冊目の出版をしました
自称元徴用工問題、自称元慰安婦問題、火器管制レーダー照射、天皇陛下侮辱、旭日旗侮辱…。韓国によるわが国に対する不法行為は留まるところを知りませんが、こうしたなか、「韓国の不法行為に基づく責任を、法的・経済的・政治的に追及する手段」を真面目に考察してみました。類書のない議論をお楽しみください。 |
【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました
日本経済の姿について、客観的な数字で読んでみました。結論からいえば、日本は財政危機の状況にはありません。むしろ日本が必要としているのは大幅な減税と財政出動、そして国債の大幅な増発です。日本経済復活を考えるうえでの議論のたたき台として、ぜひとも本書をご活用賜りますと幸いです。 |
まあ、事務局レベルで会談に応じてあげれば、自分たちの希望事項をあたかも合意の如く発表して、既成事実化を図ろうという、いつもの”見え見え”の手ですよね。
対応としては、「速攻で強く否定」で良いと思います。事務局レベルの階段も応じないとなると、「日韓関係膠着の原因は日本にある」と主張しようと待ち構えている韓国の思うつぼでしょうから。
それにしても懲りない国ですな。基本原則は無視・スルーで、あまりにひどい(本件はそれに該当)は強く否定、かな。
またしても「そんなことは言っていない」案件ですか。
韓国関連でお馴染みのパターンの一つですね。
一応、韓国政府が「お願いだから対話だけでもしてよぉおおおお!!
ほんのちょびっとでも功績らしき物をでっち上げないと、支持率が、支持率がぁああ!!」と
悲鳴を上げているとも解釈できますね。
それに対して日本政府が「こっちは忙しいの。対価もなしにそっちのお芝居になんか
付き合ってあげないよ?もちろん対価はそっちの先払いでね」と冷たい態度に
徹しているのはそこそこ安心できますね。
つくづく教育って大事だなって思います。この問題の根底は、建国以来の韓国の反日教育にあるような気がします。すなわち、極端に言えば、「相手が日本であれば韓国の言うことが正義であり、日本の反論を許さない。」この考え方は在日の人たちにも多い。たとえば辛淑玉さんみたいな極端な人もいる。これは朝鮮人にとっては禁断の甘い果実だったのでしょう。だから、その愚に後々気づいても容易に改めることはできない。それどころかますますモンスター化している。この反日教育のどこが悪いのでしょうか?そうです。朝鮮人の中では通用しても、日本人には通用しないのです。なぜ?論理が破綻しているからです。好き嫌いは別にして正しい論理に根差しているなら、何事も議論のテーブルは用意され、それなりに問題は解決に向かうと思うのです。
根底には扇動されやすい国民性があると思う。
いつのまにか朝鮮戦争の勃発は韓国側が北進したことになってるみたいだし、他にも「韓国人は狂牛病にかかりやすい」等々。
速攻否定した政府高官って秋葉国家安全保障局長自身でしょうね。それ以外の情報源があるわけもなくて。
韓国側の発表はいつも答え合わせしなきゃいけないといういつもの話ですね。我々も韓国側の一方的な発表でワタワタするのそろそろやめなきゃです。
名前入れそびれてしまいました。上記の投稿Gによるものです。
秋葉氏ということも考えられなくもないですが政府高官って大体は官房副長官の隠語みたいですよ。
即座に否定したとあるので三人いる官房副長官の中の事務担当ではなく政務担当の木原氏・磯崎氏のどちらかだと思います。.
個人的には岸田総理との関係を自慢しまくってマスコミに総スカンくらって女性スキャンダル記事を書かれた木原氏かなと。
コメント失礼します。
「歴史問題は解決しない」しても得しないので。現代は、
・この地球上で唯一侵略=虐殺凌辱強奪をやり捲って植民地(搾取に次ぐ搾取)支配迄やった大日本帝国及び末裔の日本国
・当時の独逸が合法の選挙で選んでその後も支持し続けた癖に、今の独逸とは無関係という話になっているナチス
この二つが二大巨悪ですね。コミンテルン(国際共産党)も酷いし国によっては法規制されてますが何故か弾圧対象としては緩い扱い。日本国では議席も有るし。
「巨悪=どれだけ責めても反撃されない」のが在ると人間は嬉しいというか安心するみたいですね。現実の国家や人を徒に責めるより、妄想や創作物で発散した方がお互い平和に生きられる確率が高いと思いますが、サヨクさんのアベガー!でも分かる様に残念ながら地球人の本性の一つの様子。
日本国は自ら歴史問題を生み育てたツケを永遠に払い続けないといけません。自業自得です。自衛隊を軍隊にして脅す位やれば解決するかも?
経済成長と自前の軍事力は国家運営に於いてとても大事ですが、日本人が無関心と無理解である内は実現は難しい。
後は南朝鮮に限らず、
【外国とは同じ価値観を共有出来なかった群れ。隣国は最も近い敵国】
という国際常識も共有されると良いですね。
外人と価値観共有出来る!と豪語する方には、国籍問わず見知らぬ他人を引き取って同居、財産も共有して何も問題が起こらずに何日暮らせるのか試して欲しい次第です。
価値観が異なる故、国家の目的である「自国の生存と発展」についても方策が異なるのは珍しくありません。侵略=虐殺凌辱強奪した方が目的に適うと信じられるならやるのは露を観ても判ります。
価値観が異なる場合は議論(同じ目的の為に協力して話し合う事)の成立は難しくなりますが、交渉(価値観の異なる対手との主に利益の為の駆け引きや取引)は出来ます。
政治家は利害調整が仕事だから統一でも敵国でも関わるのはしょうがないですが、関わっても不利益ばかりの輩とは上手く交渉し、徐々に関りを減らして欲しいです。
韓国とは国交断絶、東南アジア情勢は今後未知の状態に。日本は忙しく暇はない。
首脳同士が挨拶しただけでも首脳会談になる。それが韓国の包括的立場。
素朴な疑問ですけど、「いずれ日韓首脳会議をやりたいな」という雑談も、首脳会談「時期協議」になるのでしょうか。まあ、こういえば(日本の)朝日新聞代理人やサンデーモーニングが、「日韓首脳会談をすべきだ」と言ってくれますが。
先の日米韓安全保障トップ会合でサリバン補佐官から日韓に対して何か一言あったのでは。意を強くした韓国、そうは言われてもと日本。そんなところかも。
国葬に便乗して会談を画策してくるかもしれません。
金融・経済崩壊間近ですから 恥を知らない韓国人は 必死に摺り寄ってくると思います。
『日韓首脳会談「早ければ今月」と韓国示唆(産経2022/9/2 23:00)』の”今月”とはこのことでしたか。となるとK国が騒げば騒ぐ程、国葬反対組がトーンダウンするかも?
日本と価値観・歴史観を共有しない(反社組織な)韓国さま
首脳会談「時期協議」とする「嘘」を発表されました。
日本を怒らせるばかりの「自滅の刃」と理解していないようで、ご愁傷様です。
「自称先進国」の韓国ですから、
日本に協力という名の「施し」は不要のハズ、韓国のみで解決してくださいね♪
この聯合ニュースの記事の(韓国語版)には下記も書いてあります。
キム室長はまた、強制徴用など両国関係の懸案として指摘されている過去史問題に関し「具体的な方法論については話す機会、時間的余裕がそれほどなかった」と答えた。
その一方で「しかし強制徴用問題を解決していくことによって韓日両側間の他の主要懸案も包括的に解決出来るだろうという期待感を日本側も持っていた」とし、「そのような共感の上で今後1、2ヶ月程度集中的に努力すれば何らかの解決法を導き出すことが出来るのではないかと期待している」と明らかにした。