徴用工「その場しのぎ」に終始する韓国「官民協議体」
本日、韓国政府が自称元徴用工の「官民協議体」の初会合を非公開で開催するとみられるのだそうです。ただ、関連する報道を眺めていても、日本側が要求する「2018年の違法な判決の問題」を根本から解決するという話はまったく聞こえてきません。韓国が根治療法を拒否し、対症療法に終始するならば、日本は日本として対処を考えなければならないのではないでしょうか。
自称元徴用工問題の「3つのポイント」
自称元徴用工問題、すなわち「戦時中、強制徴用された」などと自称する者たちやその関係者らが日本企業に対し謝罪や賠償を求めている問題は、さまざまな意味で「韓国の特殊性」を象徴する事例のひとつです。
なかでもその中核を占めているのは、2018年10月と11月に韓国大法院(※最高裁に相当)が日本企業に下した判決です。というのも、この判決自体、結果として日韓請求権協定に違反する状態を作り出しているという点において、明らかな違法判決だからです。
しかも、日本政府は該当する判決が日韓請求権協定違反・国際法違反であるとして、韓国政府に対して国際法手続に従い、一貫して是正を申し入れてきたにも関わらず、韓国政府はこうした申し入れを、ことごとく無視してきました。
そもそも「日帝が戦時中に朝鮮人を強制連行して違法な強制労働に従事させた」とする自称元徴用工問題自体のストーリー自体が悪質な捏造であるという点もさることながら、韓国は現在、国を挙げて日本に対し違法な要求をしてきているというわけです。
自称元徴用工問題の3つのポイント
- 韓国側が主張する「強制連行」ないし「強制動員」の多くは、(おそらくは)韓国側によるウソ、捏造のたぐいのものであり、最終的には「ウソの罪をでっち上げて日本を貶めている」のと同じである
- 2018年の自称元徴用工判決を含め、韓国側が日本に対して要求している「謝罪」「賠償」には法的根拠がない違法なものである
- 日本政府はこの違法判決を是正するために2019年に日韓請求権協定に基づき是正を申し入れたが、外交協議、国際仲裁などの一切合切の手続を韓国政府が無視した
(【出所】著者作成)
友誼を結ぶに値する相手国なのか?
そのうえ、日本政府が2019年7月に発表した韓国に対する輸出管理適正化措置を、韓国側は勝手に「輸出『規制』」などと呼び、この自称元徴用工問題と絡めて「日本の不当な報復だ」、などとする虚偽の言い分を広め続けています。
国際法秩序に真っ向から挑戦する判決を平然と下す司法府。
自国の国際法違反の状態を真摯に解決しようと行政府。
それどころか、さらにはまったく別次元の問題を混同し、日韓関係をどんどんと踏みにじる「特殊性」――。
日韓GSOMIA破棄騒動、対日WTO提訴などの韓国側の行動も、韓国がまったく異なる問題を別個に理解せず、完全に混同しているという証拠なのかもしれません。
いずれにせよ、「ウソをつかない」のも、「約束を守る」のも、およそ近代主権国家であれば当たり前の行動です。この点を守れないという時点で、日本が韓国を「対等な友誼を結ぶ近代主権国家」と取り扱うことが難しいのが実情ではないかと思います。
政権交代で日韓関係「改善」というまやかし
ただ、その一方で、「日韓関係が悪化したのは左派の文在寅(ぶん・ざいいん)前大統領のせいだ」、「保守派である尹錫悦(いん・しゃくえつ)政権が発足したことで、日韓関係は改善に向かう」、などとする議論がみられることもまた事実でしょう。
そもそも当ウェブサイトでは、日韓関係の「悪化」という表現についてはあまり使いたくないのですが、あえてこの「悪化」という表現を用いるならば、それをもたらしたのはべつに文在寅政権には限られません。
保守派大統領だったはずの前任の朴槿恵(ぼく・きんけい)政権の時代にしろ、さらにその前の李明博(り・めいはく)政権の時代にしろ、「韓国の特殊な行動」の結果、日韓関係が傷つくような事例は、いくらでもあるからです。
こうしたなかで、当ウェブサイトでは尹錫悦氏が次期大統領にえらばれた直後から、「正直、新大統領の下で韓国が国際約束を守る方向に舵を切る可能性は非常に低い」とする議論を展開してきたつもりです。
そして、その考え方が、いささかも誤っていなかった証拠が出てきました。
韓国メディア『聯合ニュース』(日本語版)に本日、こんな記事が掲載されていたのです。
強制動員巡る官民協議体 きょう非公開で初会合予定=韓国
―――2022.07.04 09:10付 聯合ニュース日本語版より
記事タイトルもにある「強制動員被害者」とは、もちろん、旧朝鮮半島出身労働者や自称元徴用工のことです。
根治療法を拒絶し対症療法に終始
聯合ニュースは韓国政府・外交部が趙賢東(ちょう・けんとう)第1次官の主催で、「政府関係者や専門家、被害者側関係者らが参加する官民協議体」の初会合を非公開で開催する見通し、などとしたうえで、次のように述べます。
「賠償を命じられた日本企業の韓国内資産の現金化が間近とされる中、韓国政府は外交的な解決策を探り、韓日関係への多大な影響を回避する必要性に迫られている」。
日本企業の資産現金化が進めば、日韓関係に多大な影響が生じることは間違いないにせよ、どうもアプローチがおかしいと言わざるを得ません。そもそも日本側が求めているのは「違法状態の是正」であり、「資産現金化の回避」ではないからです。
なお、自称元徴用工側が差し押さえている資産は、知的財産権(商標権・特許権)であったり、非上場の合弁会社株式であったりするため、売却するまでのハードルが極めて高く、スムーズな換金は困難ですが、この点はとりあえず脇に置きましょう。
聯合ニュースは大法院が「早ければ今秋にも強制執行の開始に向けた最終判断を示すとみられる」としたうえで、「大法院の判決後に急速に悪化した韓日関係を改善したい韓国政府としては、現金化を回避する方策の提示が求められる状況」と指摘。
今回のような協議体の発足も、「有効な解決策を導き出すには被害当事者の同意が欠かせず、世論の支持も必要なため、政府はこれまで水面下で進めてきた議論を、官民協議体を通じた公の活動に転じることにした」結果だとしています。
そのうえで聯合ニュースは、韓国の朴振(ぼく・しん)外交部長官が2日、テレビのインタビューでこの官民協議体の目的を、「被害者側を含む当事者と各界各層の意見を傾聴し、国民が納得できる解決策を模索するためのもの」と説明した、などと報じています。
日本にも友人を選ぶ権利がある
こうした報道を眺める限り、どうも韓国の現政権は、やはり「2018年の違法判決を是正する」という根治療法ではなく、「資産現金化を止める」という対症療法に終始しているように見えてなりません。
聯合ニュースは自称元徴用工側がこの判決をめぐり、「日本企業に結果的に『免罪符』を与えることになってはならない」との立場を取っているとしつつ、「焦点となるのは日本側の相応の措置、とりわけ当該企業がいかなる形であれ関与するかどうかだ」、などと勝手に決めつけています。
しかし、正直なところを申し上げるならば、べつに日本としてはこの「問題」を解決させる必要などないのかもしれません。結局のところ、日本にとっては無理をしてでも韓国とお付き合いをしなければならない、というものでもないからです。
「ウソをつかない」、「ちゃんと国際法を尊重してくれる」という信頼すべき国は世界にほかにいくらでもありますし、たまたま地理的に近いというだけの理由で、ウソばかりつく約束破りの国家と多大なるコストを支払ってまでお付き合いする必要はありません。日本にも友人を選ぶ権利はあるのです。
本件についても結局のところ、「韓国の独り相撲を観察する」以外に、私たち日本人にできることは何もないのかもしれません。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
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【おしらせ】人生で10冊目の出版をしました
自称元徴用工問題、自称元慰安婦問題、火器管制レーダー照射、天皇陛下侮辱、旭日旗侮辱…。韓国によるわが国に対する不法行為は留まるところを知りませんが、こうしたなか、「韓国の不法行為に基づく責任を、法的・経済的・政治的に追及する手段」を真面目に考察してみました。類書のない議論をお楽しみください。 |
【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました
日本経済の姿について、客観的な数字で読んでみました。結論からいえば、日本は財政危機の状況にはありません。むしろ日本が必要としているのは大幅な減税と財政出動、そして国債の大幅な増発です。日本経済復活を考えるうえでの議論のたたき台として、ぜひとも本書をご活用賜りますと幸いです。 |
友誼を結ぶに値する相手国なのか?
⇒明確にNOでしょう。
韓国との友諠(国交)は、日韓基本条約がベースになっています。
これを過去に遡って間違いだった、日本企業に追加賠償を求めるというのであれば、友諠を無かったことにすると同じですから。
慰安婦問題に関しては、元々が日本の新聞社が捏造した問題であり、日本にも責任はありますが、徴用工問題は完全に韓国だけの問題です。
人は当たり前の事実に対して、あえて疑義をはさむことはしません。
しかも、周り全員が同じ考えを持っている時においては、困難を極めるでしょう。
それは異端審問をみてもわかるでしょう。
かつて、キリスト教の教義に反する事実を訴える者はハリツケにされました。
キリスト教の既得権益を侵したからです。
現在の韓国人全員、反日教で やはり教義に反する事実を訴える者は迫害されます。
それに、この反日教は既得権益者以外に信者は概ね現実を忘れて日本を叩く事で気持ちよくなれます。
今迄はこの教義通りに行動しても何も起こりませんでした。
日本にとって韓国は取るに足らない小国だったからです。
今もそうですが、日本が助けなくてもいいぐらいには大きくなれました。
だから、日本はもう反日教の嘘につきあわなくても良くなりました。
反日教の神通力が効かなくなったのです。
それでも反日教は現実を見る宗教ではありません。
現実を見ずに教義の中でしか解決策はみつけられません。
韓国にルターは現れるのでしょうか。
「官民協議体」を作って議論しても、日本への提示には至らない。ないしは日本が到底呑めない(議論のたたき台にもならない)案が提示される、というのが、私の予想です。
それでいいんですよ、この「韓国が自国にボールがあると認識しながら、自国の事情で、日本に対案提示ができない」状況が続くことが、我が国にとっても日韓関係にとっても、一番良い。
ただ、日韓基本協定で、植民地支配が「当初より無効」か「敗戦により無効」かもめて、「もはや無効」で玉虫色決着したように、大審院判決も、日韓で扱い方が異なることはやむを得ません。
仮に、①韓国政府が”被害者”に代位弁済する②韓国政府は日本政府・日本企業に代位請求しないと表明する③韓国政府は、まだ訴えていない”徴用工”は既に時効と考えていると表明する④韓国政府は、大審院判決のいう「不法な植民地支配という不法行為への損害賠償請求」の類似訴訟が今後提起されても認めないと表明する、
というのであれば、日本政府・企業に被害は及びませんので、
韓国内では大審院判決が有効とされても、我が国の関与すべきことではないと、考えます。
我が国では、いわずもがな、独りよがりの暴論であり、韓国司法の未熟さ(未開度合い)を示すものであり、問題外の判決ということになります。
無理でしょうね。そういう取り決めをしても、将来的に文大統領みたいなのが一人でも出れば、ちゃぶ台返しです。
(1)日本に請求しない→やっぱり道義的に請求します。
(2)裁判で受け付けない→世論が怖いから地裁は受け付けます。結局最高裁まで行く。
(3)時効→日帝の犯罪に時効ない。
私、思うのですが、日本を訴える自称慰安婦や自称徴用工は、日本統治下の事件として、日本側も個人を日本の法廷で証人喚問する法律を作ればいいのですよ。(日韓基本条約上可能かは知りませんが)
韓国の人たちは自分たちが安全圏にいるから吠えているだけで、日本統治下のことを訴えるのなら、日本側も反訴して日本で証人喚問するぞと立法すれば、誰も裁判なんかしないですよ。
解決策の模索のための思考実験はよいと思います。
ただ、日本政府が韓国側の提案する解決策に同意を与えるのは難しいと思います。というのは、韓国大法院判決が日韓併合条約の無効と植民地支配が違法であることを前提にしているので、その判決を前提にした解決策の提案に同意すると、日本政府が日韓併合条約が無効ということに同意したと受け取られる恐れがあるからです。何か合意しても結局はYTさんのいうようになるでしょう。
理想をいえば、韓国側が日本企業に損害が及ばない状態に持っていき、日本側はそれに対して肯定も否定もしないというのがよいのではと思います。
とはいえ、そんなことはまず起きないでしょうけど。
>韓国の独り相撲を観察する
あと歴史的に、近隣国を自国の政治闘争にうまく巻き込んでいく習慣があるようですので、これ以上巻き込まれないように、元寇対策で備えた「防塁」のようなものを現代でも作る必要があるのかもしれませんね。
韓国人のビザの発給を厳しくしたり、韓国企業による日本企業の買収、マスコミのスポンサーに韓国企業がなるのを制限したりなどヒト、モノ、カネ、情報の流れに、より一層しっかり注意するべきだと思います。
条約・国際法が守られていない状態が継続している
放置しているのは許容と同義
日本は国際法を軽視していると取られないように、言葉だけでももっと圧力を掛けるべき
これまで、国家間の紛争解決は相手国の仕事で自国の仕事では無いと考え実行してきた韓国政府が、今回、どのような解決策を提示してくるのか、楽しみで楽しみで仕方がありません。
恐らく、1000年待っても、日本政府が首を縦に振る解決策は出てこないと思います。日本政府には、2000年待つつもりで、気長に対処していただきたいと思います。
朴槿恵氏のいうように千年経っても韓国は変わらんでしょう。
河野談話は日本を巻き込んだ「その場しのぎ」ですし、そもそも韓国が自力で根本的な解決を行った問題って今までにありましたっけ?
強制動員巡る官民協議体が初会合 「できるだけ早く解決策まとめる」=韓国
2022.07.04 21:11
https://jp.yna.co.kr/view/AJP20220704004400882
続報出てました。
どんな結論にいたることやら。