巨額の対中援助がもたらしたもの
中国に対する巨額のODA、17兆円にも達する対外直接投資、12兆円もの対外与信、さらには中国人留学生に対して間接的に巨額の税金が投じられてしまっている現状――。日本が国を挙げて中国を支援していることで、中国が大いに力をつけ、最近だと尖閣諸島周辺海域への侵犯も頻繁に行われています。まずはこの現状を、私たち日本人はしっかりと見つめなければなりません。
産経「対中ODA、42年の歴史に幕/成果乏しく」
産経ニュースに日曜日、こんな記事が掲載されていました。
対中ODA、42年の歴史に幕 人的交流生むも〝成果〟乏しく
―――2022/4/24 01:00付 産経ニュースより
記事タイトルでだいたい内容が予想できますが、「中国に対する政府開発援助(ODA)が3月末で約42年の歴史に幕を下ろした」とする記事です(※ただし、残念ながら有料会員限定記事であるため、産経ニュースに購読契約をしていないと読むことはできません)。
こうしたなか、対中ODAについては、少し古い記事ではありますが、2018年11月9日付の外務省ウェブサイト『日本のODAプロジェクト・対中ODA概要』というページに、その概要が掲載されています。
「1979年以降、中国に対するODAは、中国の改革・開放政策の維持・促進に貢献すると同時に、日中関係の主要な柱の一つとしてこれを下支えする強固な基盤を形成してきました。経済インフラ整備支援等を通じて中国経済が安定的に発展してきたことは、アジア太平洋地域の安定にも貢献し、ひいては日本企業の中国における投資環境の改善や日中の民間経済関係の進展にも大きく寄与しました。中国側も様々な機会に日本の対中国ODAに対して評価と感謝の意を表明してきています」。
…。
外務省の説明のとおり、対中ODAは中国の経済発展に莫大な貢献をしたと考えられ、それと同時に、日本にとっては毎日のように尖閣諸島沖に公船を派遣するなどの「軍事的な脅威」を育て上げたという点において、じつに皮肉な結果をもたらしたといえなくもありません。
ODA、対外直接投資、対外与信…巨額の支援
ちなみに外務省によると、1979年に開始されたODAは2016年度までに有償資金協力(いわゆる円借款)が約3兆3165億円、無償資金協力が1576億円、技術協力が1845億円、などだったそうです。
図表 対中ODAの概要(1979年~2016年実績)
区分 | 実績 | 備考 |
---|---|---|
無償資金協力 | 1576億円 | 返済義務を課さないで資金を供与する援助 |
円借款 | 3兆3165億円 | 低金利・長期返済期間によるアンタイド融資 |
技術協力 | 1845億円 | 途上国に対する技術の普及等の融資 |
合計 | 3兆6586億円 |
(【外務省】『日本のODAプロジェクト・対中ODA概要』より著者作成)
外務省によると、これらのODA事業では、道路や空港、発電所といった大型経済インフラ、医療・環境分野のインフラ整備といった大きなプロジェクトが実施され、現在の中国の経済成長が実現するうえで大きな役割を果たしている、などとしています。
しかも、この「3兆6586億円」という数値は、あくまでもODAに限ったものです。
『詳説・直接投資統計:日本と世界の「投資」のつながり』でも指摘したとおり、民間企業による対中直接投資残高は、2020年12月末時点において1435億ドル(1ドル=120円計算で約17.21兆円)にも達しています。
また、『詳説・国際与信統計日本と世界の金融のつながりを読む』でも取り上げましたが、日本の金融機関の対中与信残高は2021年9月末時点で1060億ドル(1ドル=120円換算で約12.72兆円)にも達しています。
中国人留学生は日本を目指す
こうしたなか、『レコードチャイナ』というウェブサイトには日曜日、こんな記事も出ていました。
米国留学が困難になった中国人学生は日本を目指す、早稲田大学が積極受け入れ姿勢
―――2022年4月24日 14:00付 レコードチャイナより
レコードチャイナは香港メディア『亜洲週刊』の報道を引用するかたちで、「中国では現在、日本留学への関心が高まっている」と報じました。
「背景には、米国が中国人学生に対するビザ発給を引き締めていることと、日本政府が感染症対策を理由として行っていた外国人に対する入国制限を緩和しはじめたことがあるという」。
これに加えて早稲田大学の笠原博徳副総長に対するインタビューなども取り上げたうえで、「早稲田大学に在籍する外国人留学生は5497人で日本の大学の中で最も多い」、「うち、中国大陸から来た学生は3370人、香港からは61人、台湾からは271人」などと述べています。
正直、特定の大学が中国人を受け入れるかどうかは、本来ならばその大学の自由ですが、それと同時に、日本の場合、大学に対しては巨額の国費が投入されている問題があることを忘れてはなりません。
おりしも『私学助成法と文科省「大学認可利権」の見直しこそ急務』でも述べたとおり、日経新聞の報道によれば、大学の4分の1が「恒常的な赤字」なのだそうです。
私学振興助成法の規定に基づけば、私立学校に対しては教育経費の最大半額が補助されているわけですが、なかには日本人の学生・生徒があまりおらず、中国などからの留学生で学校経営を維持している、などの事例もいくつか存在しているようです。
たとえば、宮崎県にある「日章学園九州国際高校」では、在校生の約9割が中国人留学生ですが、私学振興助成法の要件を満たすため、宮崎県としては同法に従い「法令などに従って、適切に補助金を交付している」と認めています。
日章学園九州国際高校の中国人留学生について
―――2020年2月27日付 宮崎県HPより
要するに、「中国人のための学校」に対し、日本の国費が投じられてしまっているという意味です(厳密には学校に補助をしているのは宮崎県であり、宮崎県に対し国が補助をする、という二段階の仕組みです)。これ自体、法令に欠陥があるという証拠でしょう。
対中援助の結果がこれとは…
以前の『「日本の友人」である台湾が3番目の貿易相手国に浮上』などでも述べたとおり、貿易面だけで見れば、日本にとっての2021年の1年間を通じた貿易高(輸出高+輸入高)については、中国が米国をおしのけて圧倒的なトップに立っています。
いちおう、日中の貿易関係は、日本が中国に対し貿易赤字を計上している(つまり中国から見て日本が「お得意様」である)という状況にあるのですが、このあたり、「日本企業が中国に進出すれば14億人の市場が手に入る」といった言説がいかにいい加減であったかという証拠でしょう。
日本が中国から消費財を大量に輸入し、貿易赤字を計上しているという統計的事実自体、「日本の消費者向けの企業が14億人の中国市場で大いに儲けている」という言説がウソである証拠にほかならないからです。
日本が国を挙げて、中国にせっせ、せっせと投資を行い、また、大量の中国人留学生を受け入れるなど、中国の経済発展に多大な貢献を行ってきた結果が現在の日中関係なのだとしたら、本当に情けない限りではないかと思う次第です。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
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朝鮮学校も同じですけどね。
南北朝鮮どちらにも支援はやめるべき。
>日本が国を挙げて、中国にせっせ、せっせと投資を行い、また、大量の中国人留学生を受け入れるなど、中国の経済発展に多大な貢献を行ってきた結果が現在の日中関係なのだとしたら、本当に情けない限り
さて,それはどうでしょうか?
寧ろ現在の日中関係や日韓関係がこのようになってしまったのは,彼の国々の経済発展に日本が多大な貢献を行って来た必然的な結果なのではありませんか?
マキャベリ曰く「隣国を援助する国は滅びる.」
馬鹿が最低でも3つは付くほどお人好し極まりない日本国民は,毎朝起きたら何よりも先ずこのマキャベリの金言を最低でも10回は復唱してから朝食を食べたり仕事や学業を始めるたりすべきだと思いますね.
ドイツなどがロシアを育ててウクライナ侵略を助けた様に、日本やドイツが中国を育ててベトナムやフィリピン、日本などへの侵略を助けてしまう訳ですね。
中国が、歴史的に中国の一部である朝鮮半島を支配する事で侵略意欲を満たせば世界平和につながりそうですが。