韓国外相「同盟は強固」発言と裏腹に米韓同盟は弱体化
ウクライナ危機は日本人にとって決して他人事ではないし、ましてや日に日に米韓同盟が弱体化しつつある米国にとってはなおさらのことだ――。そう感じる記事が、韓国メディア『聯合ニュース』(日本語版)に昨日掲載されていました。本稿は、これに関するちょっとした「雑感」です。
目次
ウクライナ戦争が突き付ける課題
本稿は、ちょっとした「雑感」です。
ウクライナ戦争は、私たち日本人にとっては決して他人事ではありません。
『憲法第9条では外国からの侵略を防ぐことなどできない』などでも指摘したとおり、外国の侵略から自分の国を守るためには、①自前の軍隊をしっかりと持ち、②できれば信頼できる国との同盟関係を結んだうえ、③国際社会に対し、常に自国の正当性を説明し続けなければなりません。
日本にこれができているのか、といえば、できている部分と、そうでない部分があることは間違いありません。
このうち、明らかにできていないのは③の部分でしょう。国際的な舞台では、日本は悪意を持って貶めて来る国からの攻撃にどうも弱く、外国に対してありもしない問題で謝罪したり、賠償したり、あるいは自国領が侵略されているのに「大人の対応」とやらで沈黙したりしているからです。
本当に、情けない話ではあります。
日本は日米同盟を土台にFOIPを追求する立場になった
ただし、②の部分については、とくに近年、かなりの成果があがったのではないでしょうか。
安倍晋三総理やその後継者である菅義偉総理は、日本外交の主軸を、「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」、すなわち「基本的な価値を共有する国々との連携」に切り替えたのです(『近隣国重視から価値重視へ:菅総理が日本外交を変えた』等参照)。
すなわち、強固な日米同盟を土台として、日米豪印4ヵ国連携、さらにはG7の場を活用したFOIPの提唱、「日米豪」「日米英」などの多国間連携の枠組みへの積極的な参加などを通じて、日本は自国の外交的立場を飛躍的に向上させました。
このことは、日本外交にとってはまれに見る大きな成功でしょう。日本が提唱した概念が諸外国に受け入れられるというのは、歴史的な快挙でもあります。
菅総理の後継者である岸田文雄首相や、岸田政権下の林芳正外相らが、(おもに能力面で)心もとなく見えるのは気になるところですが、しかし、いったんFOIPに舵を切った日本外交を、「近隣国重視外交」に戻すことはできません。
ウクライナ戦争は改憲を議論する良い機会
こうなって来ると、残りの懸案は①、すなわち自前の軍隊をきちんと持つことであり、それと並んで重要なことは、戦争状態になったときの法律(軍法)の仕組みをしっかり整えることでしょう。
これには、単純に日本国憲法を改正すれば良い、という話ではなく、憲法改正に加えて関連する法制をきちんと国会で議論することや、私たち日本国民ひとりひとりの国防意識を高めることなども必要です。
もちろん、自衛隊が事実上の「軍隊」として、私たち日本国民の平和と安全を守ってくれているという実情はあるのですが、自衛隊にはきちんとした「軍隊」としての法的根拠を整備し、自衛官の皆さまには誇りをもって働いていただけるような環境を整備することは、私たち日本国民の義務でもあります。
いずれにせよ、ウクライナ戦争はこうした点をしっかりと議論するうえでの良い機会となったのではないでしょうか。
韓国外相「韓米同盟は強固」
もっとも、同盟関係がいつまでも存在するとは思わない方が良い、というのも、また同様に、歴史が教える鉄則でもあります。ことに、ある国と同盟を結んでおきながら、その同盟相手国の敵対国と仲良くするような態度を取っていれば、いずれ同盟自体が消滅の危機にさらされるかもしれません。
こうしたなか、韓国メディア『聯合ニュース』(日本語版)に昨日、こんな記事を発見しました。
韓米同盟は強固 侵攻受けたウクライナと異なる=韓国外相
―――2022.02.25 16:26付 聯合ニュース日本語版より
聯合ニュースによると、韓国の鄭義溶(てい・ぎよう)外交部長官は25日、国会の外交統一委員会で発言し、米国がロシアのウクライナ侵攻を巡り消極的姿勢を見せたとの指摘に対し、次のような趣旨の回答をしたのだそうです。
「朝鮮半島の安保のための韓米同盟は強固なため、ウクライナの状況と比較する必要はない。われわれはウクライナと違って独自の防衛能力などが相当な水準に達しているため、ウクライナに対する米国の対処について国民は不安がる必要がない」。
そのうえで鄭義溶氏は、米韓同盟が「過去の一方的な関係から脱し、互恵的な方向に発展している」、「米国のいかなる同盟関係より強固となっている」、などと強調したのだとか。
同盟を弱体化させたのは貴国では?
本当に、驚くべき認識です。2017年5月に発足した文在寅(ぶん・ざいいん)政権下で米韓合同演習がいくつか中止に追い込まれるなど、文在寅政権が米韓同盟をさまざまな点で骨抜きにしたことを、鄭義溶氏が完全に無視しているからです。
そういえば、つい先日まで、北朝鮮との「朝鮮戦争終戦宣言」の実現を画策し、先日閉幕した北京五輪でも、「米中南北4ヵ国首脳会談で終戦宣言」などと主要国に働きかけ、米国から完全に無視されていたのは、ほかならぬ文在寅政権だったのではないでしょうか。
いずれにせよ、「米韓同盟は強固だ」などとわざわざ強調して見せるのは、裏を返して言えば、同盟関係がそれだけ弱体化している証拠ではないか、という気がしてなりません。
また、もしかすると、今回のウクライナ戦争は米韓同盟の賞味期限を少しだけ伸ばすかもしれませんが、個人的には韓国の次の政権を担当するのが誰になるかを問わず、米韓同盟は遅かれ早かれ終焉を迎えると予想しています。
それは結局、遅いか早いかの問題に過ぎないのではないでしょうか。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
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【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました
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(希望的観測ですが)ロシア軍のウクライナ侵攻でも、ロシアの拒否権で国連で何も決められないのを見て、日本国民の国連幻想も完全に消えるのではないでしょうか。(それでも、朝日新聞や共産党、立憲は、国連幻想にしがみつくかもしれませんが)
私の思うに、韓国人の方々は自らの「”在るべく姿”と言う妄想」と「実際の現実」の区別をつけられないのでは?
>ウクライナ戦争は改憲を議論する良い機会
犠牲者が出てますので、「良い機会」とするのは疑問です。
「機会となった」くらいで、良いのでは。
米韓同盟は、既に機能不全で、今後より一層形骸化するでしょうが、どちらからも「破棄する」が出て来ないでしょうから、強固だと思いますよ。
>ましてや日に日に米韓同盟が弱体化しつつある米国にとってはなおさらのことだ――。
「韓国にとっては」と間違いかな?って思うんだけど・・・・
韓国は、既に中国やら北朝鮮の言いなりになってるし、自力での独立ってのをやってみるのも良い経験になりそうだから、ウクライナ危機は他人事でも良いような気もするし・・・
むつかしいのです♪ ( ˘•ω•˘ ).。oஇ
ウクライナ戦争で「左派は論外」となって、韓国大統領選挙は保守派が圧勝する可能性があるかも
>G7の場を活用したFOIPの提唱、「日米豪」「日米英」などの多国間連携の枠組みへの積極的な参加などを通じて、日本は・・・・
やはり海洋国家の日・米・英・豪は、大陸国家への政治的関与を大きく減らす方向に、しかも一気にシフトした様に見えます。つまる所、FOIPとして協調出来得る国家とは、国土周辺が海で大陸からは完全に分離し、大陸とは別の次元(外敵と守備、海洋交易、海洋資源、海洋性気候)で国家形成されて来た下地のある事が共通点の様に思います。反して、大陸諸国に分類されている独・仏・露・中・印は一辺が海に接していても、過酷な大陸性気候、異民族の変遷、中でもモンゴル帝国から蹂躙されて来たユーラシア大陸諸国の惨事の歴史から、この現世に於いても大陸内で殴り合いの喧嘩、独裁政治、共産主義、難民流入と軋轢など、海洋国日本から見たら良い事はあまり有りません。
FOIPはまさに海洋国家の理念を表す基本構想。だから、関係国と協調し得る憲法改正も、相互防衛戦略も、緊急事態協力も、NATO並みに結束しなければ日本は、危ないと思います。
追記;
韓国については、次期大統領に誰がなっても、「腐ったみかん」その物だし、中華序列に毒された歴史的思考のせいで、FOIPの理念とは相いれません。しかも半島とはいえ、れっきとした大陸諸国かつ中国の属国ですから、この先協調する事は無いと思いますし、その様に願っています。
FOIPの構成メンバーについて一言。
報道によると国連安全保障理事会でロシアによるウクライナ侵攻を非難する決議案の採決を行ったところ
✕ ロシアが拒否権を行使
▽ 中国が棄権
▽ UAEが棄権
▽ インドが棄権
○ 残りの11カ国が賛成
したそうです。
ここでのインド政府の判断はFOIPのメンバーとしては正当化が出来ないのでは?
インドは中国と対抗するする勢力ではあっても海洋国家と価値観を同じくするとは限りません。
FOIPの構成メンバーについて一言。
報道によると国連安全保障理事会でロシアによるウクライナ侵攻を非難する決議案の採決を行ったところ
✕ ロシアが拒否権を行使
▽ 中国が棄権
▽ UAEが棄権
▽ インドが棄権
○ 残りの11カ国が賛成
したそうです。
ここでのインド政府の判断はFOIPのメンバーとしては正当化が出来ないのでは?
インドは中国と対抗するする勢力ではあっても海洋国家と価値観を同じくするとは限りません。
FOIPの成立は、アメリカの防衛戦が38度線から李承晩ラインへ移動したという見方もできると思います
そうなると最前線となる日本の自由主義陣営としての責任はいや増すわけで、本文中の「①軍隊を持つこと・軍法を整えること」は国民全員が考えるべき喫緊の課題ですね
韓国?ああ、あそこは5〜6年後に同盟は解消するけれど米軍基地は残すというグエンタナモみたいな感じになるんじゃないですかねえ
FOIPの構成メンバーについて一言。
報道によると国連安全保障理事会でロシアによるウクライナ侵攻を非難する決議案の採決を行ったところ
✕ ロシアが拒否権を行使
▽ 中国が棄権
▽ UAEが棄権
▽ インドが棄権
○ 残りの11カ国が賛成
したそうです。
ここでのインド政府の判断はFOIPのメンバーとしては正当化が出来ないのでは?
インドは中国と対抗するする勢力ではあっても海洋国家と価値観を同じくするとは限りません。
報道によると国連安全保障理事会でロシアによるウクライナ侵攻を非難する決議案の採決を行ったところ
ロシアが拒否権を行使、中国が棄権、UAEが棄権、インドが棄権、そして残りの11カ国が賛成したそうです。
ここでのインド政府の判断はFOIPのメンバーとしては正当化が出来ないのでは?
インドは中国と対抗するする勢力ではあっても海洋国家と価値観を同じくするとは限りません。
今、世界の平和と民主主義は
プーチンと思い上がったロシア国民の
邪悪な挑戦を受けてます。
そんな重大局面の中では、
たまたま今は国として扱ってもらっている
有史以来ほぼ中国の属国にすぎない半島や
日本の道を踏み外したどぶサヨさんたちの
いいようなんかは相手にしてあげるヒマなど
ないと思います。
ましてや、
火事場泥棒的にウッシッシを狙って
プーチンとロシアを擁護する
中核派のれいわやクリミア強奪の際に
現地まで赴いてロシアの肩を持った
ミスター民主党御大将鳩ポッポさんなどは
この際まとめてポイしてしまう
好機だとも感じます。