もし子育てを国費負担にしたら?

「医者から『太りすぎだから運動しろ、食事を減らせ』と言われたんだけど、食べる量を減らすなら、その分のカロリーはどこから摂取すれば良いの?」。減税反対派の「減税するなら財源を示せ」は、これと同じくらいナンセンスなことを言っているのです。こうしたなか、本稿でもうひとつ考えておきたいのが、子育てを100%、何でもかんでも国費負担にした場合の不都合です。

なぜ減税が必要なのか

「減税するなら財源示せ」のナンセンス

Xで先日から、山手線の駅名を冠した怪しげな自称会計士が、こんな内容をつぶやいているようです。

『減税するなら財源示せ』って、人間ドックで太り過ぎと診断され、『もっと運動して摂取カロリーを減らしなさい』と言われたのに、『食べる量を減らすなら、その分のカロリーはどこから摂取すれば良いのですか?』と反論している患者みたい」。

要するに、減税というのは「財源が必要なもの」ではありません。

そもそも現在の日本では税収が余っており(『財源論者に不都合な事実…来年度税収見通しは過去最高』等参照)、これこそ政府が税金を取り過ぎている証拠であって、だからこそ税金を国民に返さなければならないということですが、それだけではありません。

国民に対し「節約して納税しろ」と要求する前に、政府こそ「節約して減税すること」を覚えなければなりません。

【総論】「国の借金」説は、どこがどう誤っているのか』などを含め、これまでに繰り返し指摘してきた通り、もし「財政再建」をしたいのであれば、増税する前に、次の努力をしたのでしょうか?

  • 歳出削減
  • 資産売却
  • 国債発行
  • 経済成長

歳出削減の努力をしていない政府

歳出削減はその名の通り、政府の歳出の中身を精査して余計な支出をなくすことです。

たとえば健康保険の場合だと、高齢者は70歳から74歳までが2割負担、75歳以降は1割負担で医療機関を受診することができますが、これもそもそもおかしな話です。高齢者ほど医療費が増えるのは当然であり、これを「保険」という枠組みで実現すること自体、保険の体をなしていないからです。

現役層が高すぎる社会保険料(年金、健保、介護に加え雇用保険などを含めたら労使合わせて30%前後)を負担させられていて、それでも足りなくて税金が投入されている理由は、高齢者向けの医療などの支出が大きすぎるからです。

これをただちに高齢者も含め一律3割負担に改めるとともに、たとえば保険に収載されている医療サービスについても随時見直しを実施し、効果の低いものや単なる延命治療などについては保険の適用から除外するなどの措置が必要でしょう。

また、外国人観光客向けに講じられている消費税の免税措置(※条件あり)を続ける必要があるのかもよくわかりませんし、そもそも観光公害が指摘されているなかで、外国人入国者のみを対象に数万円レベルの入国税を検討していないのも、なんだか意味がわかりません。

資産売却の努力をしていない政府

次に、資産売却です。

日銀が3ヵ月に1回公表している資金循環統計を確認すると、2024年12月末時点で外貨準備は194兆円にも達しており、また、いわゆる「財政投融資」の公的金融機関向け貸出は122兆円、政府が保有する特殊法人等の株式・出資金などは84兆円にも達しています。

外貨準備などの場合は為替変動があるため、円高になれば金額は減少してしまいますが、それでも政府が保有している金融資産などは、少なく見積もっても400兆円前後に達します(社会保障基金の393兆円を含めれば800兆円近くに達します)。

これに加えて金融資産だけで(※年金資産を含め)グループ内に1兆円を超える資産を持っているNHKなどのように、不当に財産を溜め込んでいる政府系企業なども多いとみられますし、電波利用権のオークション制度を実施するなどしたら、政府の税外収入はさらに増えるはずです。

政府は「減税できない」などと言い張る前に、政府はこれらの努力をしたのでしょうか。

余談ですが、よく「国の借金が1200~1300兆円でGDPの2倍以上だ」、などとする報道を目にしますが、これは負債の側のみに着目した論点であり、政府が保有している巨額の資産を差し引いた純債務は、(集計する範囲やカウント方法にもよりますが)400兆円から、せいぜい700兆円くらいに留まります。

国債発行と経済成長が問題を解決することもある

これと同じ文脈で、国債発行と経済成長についても考える必要があります。

減税反対派がよく勘違いしているのですが、そもそも国債は全額を税金で返済すべき筋合いのものではありません。寿命がある個人とは異なり、国家というものは永続する存在ですので、国債については償還期が到来すれば、同額以上を借り換えれば済みます。

しかも、経済成長を伴ったインフレが進んでいけば、たとえば10年前の1億円と現在の1億円、10年後の1億円はそれぞれ実質価値が異なりますので、国債を返す負担は非常に低くなっていきます(今までの日本でそうならなかった理由はデフレだったため)。

ちなみに経済成長率が1%だった場合、GDPが倍になるまでには約70年もの時間を要しますが、成長率が2%だった場合はほぼ半分の約35年、3%なら22.45年程度で、5%なら14.21年程度で、それぞれGDPが倍になります。

また、GDPが3倍になるまでに必要な期間は、成長率1%なら110.41年(!)ですが、2%なら55.48年、3%なら37.17年、5%ならば22.52年に過ぎません。

そして、仮に国債を現在の名目GDPとほぼ同額の600兆円程度増発し、「国の借金」とやらが1200兆円から1800兆円に増えたとしても、それにより5%成長が見込めるならば、国債を躊躇なく600兆円増発すべきです。なぜなら、5%税調が続けば22.52年後に名目GDPが1800兆円に増えるからです。

もちろん、この「国債を600兆円発行しては?」というのは、「国の借金」教に染まった人にとっては刺激の強い考え方かもしれませんし、また、国債をそれだけ発行しても賢明な使い方をしなければ無駄になる可能性もあるかもしれません。

ただ、当ウェブサイトで提唱している「国債をむしろ増発して減税し、経済成長を促す」というのは、スタンダードな経済理論(というよりも投資理論)に照らして、一般的に見られる考え方でもあるのです。

全額国費負担という罠

上記をまとめてみる

日本が減税を必要としている理由、あるいは減税が可能である理由などを、改めて列挙しておくと、こんな具合です。

①税の取り過ぎ

現在の日本ではほぼ毎年のように税収が上振れしており、一般会計では巨額の剰余金が発生してしまっている。そもそも現在の日本では税を取り過ぎているのである。

②歳出削減

歳入が足りないと言い張るならば歳入に見合う水準にまで歳出を削減する必要がある。とくに高齢者が医療機関を受診する際の窓口負担を現役層と同じく一律3割に引き上げるだけで保険財政はずいぶんと改善すると見込まれる。

③資産売却

歳入が足りないと言い張るならば歳出を賄うために不要な政府資産を売却する必要がある。とくに200兆円近くに迫る外為特会や100兆円前後の財政投融資、さらには100兆円前後の天下り関連法人の整理・縮小、民営化が必要である。

④国債発行

歳入が足りない場合、国債発行を検討すべきである。とくに資金循環構造上、日本経済は恒常的に国内資産が国内負債を超過しており(2024年12月末時点では542兆円の黒字)、数百兆円レベルで国債を増発する余力を持っている。

⑤経済成長

国債はそもそも全額を税金で返す必要などないし、経済成長することで国債の債務負担は軽減される。公的債務残高が1200兆円だったとしても、名目GDPが600兆円から1200兆円に倍増すれば、債務残高GDP比率は勝手に100%に落ちる。成長率3%なら20年あまりでGDPは倍増する。

すなわち、▶そもそも日本は財源が余りまくっており、▶百歩譲って財源が足りないのだとしても①歳出削減、②資産売却、③国債発行、④経済成長など、財源となり得るものはほかにいくらでもある―――、というわけです。

「減税よりも給付が良い」と言い張る人たち

ただ、やはり「減税に財源を示せ」が論破されつつあることに気付いたのでしょうか、ここにきてネット上では、「減税よりも給付が良い」といった言説を唱える論者が急に増えているように見受けられます。

実名は挙げませんが、某新聞社の元記者と名乗る人物が12日、こんな趣旨の内容をXにポストしていました。

  • 年少扶養控除は児童手当の財源の一部に組み替えられて廃止されたものであり、復活はあり得ない
  • すべての人的控除を所得控除ではなく給付付き税額控除に改めていくべきだ
  • 児童手当の一部についても給付付き税額控除とする改革なら検討してもよいだろう

…。

なんだか、よくわかりません。

当ウェブサイトではこれまでずっと、「取って配るくらいなら最初から取るな」と申し上げてきたつもりですが(※低所得者向けの限定的な給付くらいならあっても良いとは思いますが)、たとえば児童手当は昨年9月まで所得制限があったことなどを踏まえると、やはり「結果の平等」を進める制度であるように思えてなりません。

では、全額国費負担にしたら?

ただ、冷静に調べてみると、この手の「減税よりも給付」などと叫ぶユーザーはわりと多く(どれも高評価がほとんどついていませんが)、ご経歴を拝見してみると、たいていの場合は官庁出身者であったり、NGO関係者であったり、(なぜか)元新聞記者などであったりするケースが散見されます。

新聞記者はともかく、元官僚やNGO関係者は、どちらかといえば「タックスイーター」の側でもありますが、こうしたなかでちょっと興味深い思考実験があるとしたら、これかもしれません。

「子育てにかかる費用を政府が100%負担します」

少子化対策として政府は令和●年度以降、子育てにかかるすべての費用を100%負担することとしました。手始めに出産費用を全額国が負担します。また、新生児に必要なおむつ、哺乳瓶などを全額負担します。

ちょっと設例は雑ですが、いわんとすることは「全額国費で子育てを賄うとしたら何が起こるか」、です。

これについては「良い」のか「悪い」のか、一概に決めることはできません。数年前、あるいはもっと以前から子育てを経験してきた方ならば心当たりがあるかもしれませんが、子供がいると何かとおカネが掛かるからです。

出産をしたら、かつては出産給付金が42万円支給されましたが(現在は50万円)、とくに東京などの場合は出産費用として(病院・産院により異なるにせよ)だいたい50~100万円請求され、たいていの場合はなんらかの自己負担が発生してしまいます。

著者自身、これは出産給付金に合わせて病院・産院側も出産にかかる費用を便乗値上げしている結果ではないか、などと見ているのですが、いずれにせよ、病院や産院も経営していくためには何らかの収入を得る必要があるため、これは病院・産院を責めるわけにはいきません。

また、生まれる前の定期健診は、お住いの自治体から補助が出るケースもありますが、基本的に妊娠は病気ではないため、検診は全額自己負担が原則です(合併症の治療を受ける場合は健康保険が使える場合もあります)。

正直、現代社会では、ある程度の収入がある人でなければ子供を産むのにもおカネが掛かりますので、これらすべてを無償化すれば、とりあえず低所得者でも妊娠し、出産することはできます。

自由経済競争の原理に反する?

ただし、子供が生まれたあとは、どうでしょうか。

たとえば新生児のうちは母乳で育てるのか、市販のミルクで育てるのか、それともその混合で育てるのかは、お母さんの体調やその子などによって異なりますし、粉ミルクを買ってくるならそのブランドは何にするのか、おむつは布おむつか紙おむつか、紙おむつの場合は何を買うか、といった点も悩ましいところです。

さらに、普段着る肌着やベビー服、子供を連れて外出するときの手段(ベビーカーを使うのか、抱っこひもを使うのか、など)、普段使うおもちゃや絵本などについても、「定番」はありますが、結局は国が決めて指定するわけにはいきません。

正直なところを申し上げるならば、やはり妊娠・出産に健康保険を全面適用すること、年少扶養控除を復活させて子育て世帯の手取りを増やすこと、紙おむつだろうが粉ミルクだろうが一律に税を取り上げていく消費税という仕組みを是正すること、などの方が、子育て支援としてははるかに有益です。

結局のところ、政府・官僚がすべて管理するからおかしなことになるのです。

私たち国民が稼いだカネは政府・官僚に渡さず、最初から私たち国民が自由に使える状態にある方が、はるかに有益ですし、自由経済競争の観点からも望ましいといえるのではないでしょうか。

ネット化社会で事実を伝え続けること

いずれにせよ、「給付より減税」、「まず財源を国民に返すべき」、といった論点についてはこれまでにもしばしば取り上げてきた通りですし、今後も指摘していくつもりですが、著者自身がこれを繰り返すのには、ちゃんとした理由があります。

先日お会いしたとあるジャーナリストの方からは、「官僚は事実に即した指摘を最も嫌う」、とのアドバイスをいただいたからです。

ここで思い出すのが、以前の『宗教改革にも匹敵し得る現代の「インターネット革命」』でも議論した、「活版印刷術と宗教改革」の論点です。

1450年頃にグーテンベルクにより発明されたとされる活版印刷は、その直後、カトリック教会の免罪符というインチキを糾弾したマルティン・ルターの主張を全ドイツに広める役割を果たしました

じつは、これとまったく同じことが、現代社会でも発生しているのではないでしょうか。

官僚とメディアが結託し、官僚にとって都合が良い主張をオールドメディアが広めまくっていた時代は、昨年、すなわち2024年をもって完全に終わりを告げました。すでに若年層から中年層にかけての人々は、新聞、テレビよりも、ますますネット情報を重視するようになっています。

もちろん、ネット情報がすべて正しい、などと申し上げるつもりはありません。

しかし、少なくともオールドメディアと違って、ネット情報は多くの場合、誤っていれば即座に反論が付きますし、Xの場合は「コミュニティノート」などの仕組みも機能し始めています(フェイスブックの場合も、米国限定ではありますが、「コミュニティノート」の運用が始まっているそうです)。

このように考えていけば、オールドメディア「しか」情報の入手手段がなかった時代と比べれば、現代社会は格段に、情報の透明性が上がっているといえると思いますし、著者自身も当ウェブサイトとXの2本柱で、客観的事実と適切な推論に基づく情報発信に努めていきたいと思う次第です。

本文は以上です。

金融評論家。フォロー自由。雑誌等の執筆依頼も受けています。 X(旧ツイッター) にて日々情報を発信中。 Amazon アソシエイトとして適格販売により収入を得ています。 著書①数字でみる「強い」日本経済 著書②韓国がなくても日本経済は問題ない

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読者コメント一覧

  1. sqsq より:

    渡部昇一が言ってたね。日本には減税を喜ばない人がたくさんいる。なぜか? もともと払ってないから。

  2. CRUSH より:

    ダイエットの例え話、よいですね。

    減税のよい点は、
    「納税してる人にメリット」
    「納税してない人には無関係」
    ということですかね。

    減税に反対してる議員は、納税してない人たちに給付したくてしたくてたまらん、みたいに見えますね。

    高校無償化も同じ構図に見えますね。
    味噌の学校もあればクソの学校もある。
    一律に無償化することで誰が得するの?
    そんなもん市場原理に任せておけばよくて、クソの学校は淘汰にさらされて頑張るべきなのであって、税金で保護することを納税者は望んでないかと。

    別の切り口をするならば、
    「補助金は麻薬」
    「渡す方も受け取る方も必ず腐る」
    幾ばくか有償部分は残すべき。
    マナーのよい人ほどそう考えるでしょう。

    学費を無償化したがる議員は、クソ学校に通うマナーのよくない人たちに給付したくてしたくてたまらん、みたいに見えますね。

    公金チュウチュウするなら、もう少しコソコソ見つからないようにやってほしいですな。

    1. はるちゃん より:

      >「渡す方も受け取る方も必ず腐る」

      タダほど怖いものはない。
      タダに慣れると自立心、自尊心などはどこへやら。次第に、貰うのが当たり前という感覚になって行くのではないでしょうか?。
      出産費用に関して言えば、全額国の負担という事になれば、育児放棄など無責任な親が増えるのではないかと危惧します。

  3. カズ より:

    >子育てにかかる費用を政府が100%負担します

    総額国庫負担は、勤勉でまじめな国民性を棄損する愚行。
    *逝く末は、総モラルハザード国家。キックバック天国。

  4. 愛知県東部在住 より:

    国民に対し「節約して納税しろ」と要求する >

    江戸時代の倹約令なんぞを思い起こすのは私だけでしょうか?

    『合成の誤謬』などという言葉が、不意に脳裏をよぎる今日この頃です。

  5. sqsq より:

    イギリスの医療保険NHSはほぼ税金で賄われている。そもそも税金で賄われているため保険とは呼べないものでNHSの「S」はサービスのS。
    その結果は惨憺たるものになっていて政権交代の原因の一つと言われている。
    医師の3割は外国人だそうだ。
    税に頼る危険。他山の石としてよく観察すべき。

  6. 匿名 より:

    >少なくともオールドメディアと違って、ネット情報は多くの場合、誤っていれば即座に反論が付きますし、Xの場合は「コミュニティノート」などの仕組みも機能し始めています

    一般論としてはそうなんでしょうが、コミュニティノートのような検証機能が必ずしも機能しない局面も、自分はあると思っております。

    【NHK】兵庫県知事選挙 Xの「コミュニティノート」ほとんど機能せず
    https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250324/k10014758511000.html

    【藤代裕之】兵庫県知事選挙に関するXのコミュニティノートの内容と評価
    https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/08a2d0add374429d520ab7f0bdbdb66e03dd7cc4

    自分は、藤代裕之氏の論考における以下の指摘は、非常に示唆に富んでいると思っております。

    >コミュニティノートはユーザーがノートを付与し、その評価で公開・非公開を決めていくという民主主義的なアプローチとなっています。このプロセスには時間が必要で、選挙のように時間が限られており、人々の注目が集まり真偽不明の情報が拡散しやすい状況に対応する仕組みではないといえるでしょう。

    自分は、オールドメディアもネットも、どちらも突き詰めればただのシステムであって、それ自体に良いも悪いもないと思っております。どちらも運用の仕方や中の人の思惑によって、良くも悪くもなると思っております。なので、オールドメディアがダメでネットが良いといったステレオタイプの善悪論を誘発するような主張とは、意識的に距離を取るようにしております。

    巷では、新聞やテレビや週刊誌の報道を、信用ならんと問答無用で一刀両断し、ひたすらネットやSNSを賞賛するような主張が幅を利かせつつあり、自分はこのような状況を非常に危惧しております。ネットやSNSの効能を否定するつもりはさらさらありませんが、効能が大きいものには、往々にして、それに見合う程度には大きなリスクが内包されているものです。オールドメディアとネットの両者を、善悪論ではなく、客観的かつ科学的な視点で冷静に内容を評価する姿勢が必要と思います。

    1. 農民 より:

       CNはあくまで補強、+αとして働くものです。全面的な信頼がおけないからCNは能力不足、SNSは危険、ダメ、とする藤代氏の論調には賛同できません。

       日本ファクトチェックセンターが「テレビ・新聞は対象外」とするのは当然と論評する御仁です。理由は「それらにはBPOや第三者委員などの検証・訂正システムが存在しているが、SNSにはそれが無いから」とのこと。ではなぜCNが登場したのに今度はCNを腐しているのか。ましてやBPOは(本人も認めているが)従来から機能不全であり、当のファクトチェックセンターすら身内で固めた体裁だけの機関なのは明白。CNには即時性が不足していて選挙には不向きなどと言うが、オールドメディアが仕組み上どうしても即時性に劣り、社の方針でいかにでたらめなことをしてきたのかは、こちらでは語る必要も無いでしょう。藤代氏自身がCNの表示が短かった事について「評価者が偏ったせいかもしれないがよくわからない」などと情けない分析を語っていますが、オールドメディアなど最初から徹底して社による偏りがあるのに。本件において支離滅裂ですし、必ずオールドメディア擁護に偏って感じる過去記事、そもそものご経歴もあり、信用に値しません。

       なんかオールドメディアは悪でネットは正義ではない、どちらも道具に過ぎない、てそれは全くその通りで異論は無いし、出たこともないし、新宿会計士様も全くその通りの記述を毎回されていると思うのですが、必ずこの論点(本記事からは枝葉で少し触れただけ)にこだわる匿名様がいらっしゃいますが、同じ方でしょうか。だとすると「いい加減匿名をやめてくれ」と訴えても絶対に匿名で通されるのでしょうけど。

      1. 匿名 より:

        9:56の匿名です。コメントありがとうございます。

        >全面的な信頼がおけないからCNは能力不足、SNSは危険、ダメ、とする藤代氏の論調

        申し訳ないのですが、自分は、藤代裕之氏の論考のどの個所に、この論調が記されているのか、分かりませんでした。少なくとも、自分は、藤代氏がCNやSNSを全否定するがごとき、上記のような論を展開している風には思えませんでした。お手間でなければ、上記の藤代氏の論調が記してある論考の箇所を示していただけませんでしょうか。

        >日本ファクトチェックセンターが「テレビ・新聞は対象外」とするのは当然と論評する御仁です。

        自分は、藤代氏のこのような主張を記した論考に触れたことがこれまでにないので、「藤代氏はこんなことも言ってるんだ」と今回初めて思いましたし、もし、面と向かって「テレビ・新聞は対象外」とか言われたら、自分も、「その主張はちょっと変じゃないの?」と言うと思います。

        藤代氏に限らず、人の主張の内容には、賛同できるものもあればできないものもある、ということであり、至極当たり前の話だと思います。少なくとも自分は、ある人のある主張の内容のみをもって、その人を一括りに全否定することはしないつもりです。

        >「評価者が偏ったせいかもしれないがよくわからない」などと情けない分析を語っています

        XにおけるCN公開・非公開のアルゴリズムが明らかになっていないので、確実なことが言えないという意味だと思います。分からないものを分からないと正直にいう姿勢は、正確な議論を行う上で必要と思います。

        >オールドメディアなど最初から徹底して社による偏りがある

        これは、オールドメディア自体の問題ではなくて、オールドメディアの運用の仕方や中の人の思惑による問題だと思います。露骨な世論誘導や憶測記事を垂れ流すメディアもあるわけなので、そういうメディアには、「毎度毎度こいつら、しょうがねぇなぁ」という評価を与えておけばいいだけだと思います。一方で、そういうしょうがないメディアも、たまにはちゃんと仕事する場合があるので、その時は、「やればできるんじゃん」という評価を与えればいいと思います。いずれにしろ、オールドメディアを一括りに駄目な子扱いするスタンスを、自分は取っておりません。

        >「いい加減匿名をやめてくれ」と訴えても絶対に匿名で通されるのでしょうけど。

        ご指摘の通り、おそらく自分は今後も匿名を通すと思います。もともと自分は、誰が言ったかより何を言ったかが重要だという考え方なので、「誰々の発言」という色がつかない状態で、どこまで自分の意見が通用するのか試している部分があります。逆に、HNを名乗ることで、あいつの言うことは信用できる、とか、あいつはいつも碌なことを言わない、みたいな変なバイアスがかかるのが嫌なのです。(例えば、「藤代さんの言うことは信用ならない」みたいなレッテル張りを、自分は、するのもされるのも嫌なのです。)

        少なくとも、自分は、このサイトにおいて匿名の投稿が認められている限りにおいては、匿名を通すと思います。

        1. 匿名 より:

          >XにおけるCN公開・非公開のアルゴリズムが明らかになっていないので、

          公開されています。

          1. 匿名 より:

            9:56の匿名です。

            >公開されています。

            そのようですね。失礼いたしました。

        2. 農民 より:

          ファクトチェックセンター絡み
          https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/75885e38d0f23a31eab9cc0a974cda45bd4b8e6f

           「設立の経緯を知っていれば」TV新聞等が対象外なのは当然で、それらにはBPO等があり、それが機能不全というのならばJFCではなくそちらを批判すれば良いという論理からの、反発を取りあげた記事タイトルは混乱を招く、といった指摘の記事です。(Yahooニュースなどは大抵執筆者の名前がリンクになっていて、過去の記事を参照できます。私もこの方は初めて知りましたので信用云々はニュートラルからのスタートです。)
           まずタイトル煽りはだめだという指摘自体は尤もで、ファクトチェックセンター(JFC)そのものに対する理屈は確かに通るのですが、現実にはBPOを批判しても意味が無く、BPOがあるじゃないかということを隠れ蓑にJFCなどというBPO並に粗悪なものを立ち上げていることを問題視している立場からすると、「問題解決にあたって」納得の行く内容ではありません。BPOやJFCが通す”理屈”が形骸で問題だと感じているのだから、理屈が通っても無意味です。「悪法を遵守せよ」と言っているようなもので、「悪法を糺せ」という議論が必要なのに。他のメディア論においても、個人的には似た傾向を感じました。
           さておき、その他の記事でも問題提起自体は尤もなものであったり納得のできる物も多々あるので、「ひとつ納得のいかなかった藤代氏の言だから全て間違い」などとは当然言いません。ただ傾向として論理の持っていき方、論点には懐疑が残ります。

           またこれも氏がそうだという意味ではありませんが、「誰が言ったか」は決して無視して良い情報ではありません。立場や思想によって、言葉の裏に利害や目的が潜むことは必ずあります。
           ちょうど須藤元気氏の不可思議な変節が話題になったところです。あれも「改心したのだから良いじゃないか」という評はありますが、あれほどまでの急激で妙に都合の良いタイミングの変節をそのまま受け取るのは危険でしかありません。また氏がこれまで言ってきたことは絶対に無視できないほどの内容でした。
           超極端な話、詐欺師が「貴方の利益のために良い話があります」だのと言ったら、詐欺師であるということを律儀に無視して「良い話」を聞く必要があるのかという。

          1. 匿名 より:

            9:56の匿名です。自分の面倒くさい返信にお付き合いくださり、感謝です。

            自分は今、晩酌して出来上がった状態でして、承った個々の返信内容を吟味した上での返答は、返信文の文章のクオリティに責任が持てないので、ここでは止めておきます。ざっくりとした返信として、いただいたコメントを、「なるほど、こういうことなのね」と思いながら、有り難く読ませていただきました。改めまして感謝申し上げます。

            せっかく返信いただいたコメントに対する自分の回答がこんな感じで、甚だ失礼であることは十分承知しております。何卒ご容赦いただきたく。

    2. 元雑用係 より:

      >評価者が偏っているとアルゴリズムに判断された可能性が高いですが、最終的な公開・非公開の理由はプラットフォームによるためよく分かりません。

      コミュニティノートのソースコードと活動記録は公開されているので、誰でも分析可能だったかと思います。
      IT系を歩んだ経歴の”ジャーナリスト”氏の記事としては物足りないですね。
      まあ、分析は手間がかかるでしょうからなかなかだとは思いますが、他人にお勧めしようとは思わない記事ですね。
      それにしても、少なくともコミュニティノートを評価して断罪するなら公式ドキュメントくらいは読んだら?とは思います。

      https://communitynotes.x.com/guide/en/about/introduction
      https://github.com/twitter/communitynotes

  7. KN より:

    肥満を前提にした議論には乗らず「食事を減らせ」「ぜい肉を減らせ」「運動しろ」とチクチク指摘し続けるしかないですね。

  8. んん より:

    「安倍君、政治不信を煽り、どこもが同じに汚れているとなりゃ、我が票田には有利に働くな」
    「石破君、君でも成長することあるんだね」

  9. 元雑用係 より:

    >先日お会いしたとあるジャーナリストの方からは、「官僚は事実に即した指摘を最も嫌う」、とのアドバイスをいただいたからです。

    官僚の知り合いはいないので想像ですが、法とロジック(屁理屈を含む)の世界で生きる彼らにとっては、事実に即した指摘は場合によってはロジックの穴となり得るので塞いだり説明したり、放置してもいいか吟味したり、要は「対応」しなきゃならない。
    近隣の他国だとそんな力学は感じられないです。
    まあ、法治国家として成熟していることの証かもしれませんね。

    事実に基づいた議論は大事ですね。

  10. 貧乏人 より:

    国債を発行するといってもいったいだれが買うのか?
    ここで国債発行に賛成している人は皆さん個人向け国債を大量に買っているのだろうか?
    ちなみに家計の国債保有額15兆円しかなく、誰もが魅力のない金融資産だと思っている。

    1. 匿名 より:

      なぜ国債の買い手がいないと思うのか?
      毎日売り買いされてるのに。

    2. 悪徳銀行員 より:

      貧乏人さま
      本気でおっしゃってます?
      我々機関投資家がズッコケちゃいますよー

  11. 匿名 より:

    この問題は著名人やジャーナリストの方も含めてXで言っています。

    https://x.com/Yu_TERASAWA/status/1099203789486059520

    https://x.com/yujinfuse/status/1102724281346088960

    https://x.com/ikedanob/status/1101030587106639872

    論拠となる書物もちゃんとあるので、デタラメ言ってる訳ではありません。

    >記者クラブとは Kindle版
    >寺澤 有 (著) 形式: Kindle版

    >世界中で日本にしかない異常な情報談合組織「記者クラブ」。その内幕が新聞やテレビで明かされることはない。

    >記者クラブは「国民の代表」を自称し、「国民の知る権利」を声高に叫ぶが、実際には記者クラブこそが「国民の知る権利」を侵害している。

    >警察と記者クラブとの談合という象徴的な実例を紹介しつつ、記者クラブが税金で運営されている問題を追及する。

    https://www.amazon.co.jp/dp/B07NSHLN7S/ref=cm_sw_r_tw_awdo_c_x_aRPpDbKYY62NW

  12. 匿名 より:

    >「Fラン大学」の暴走が止まらない…! グレーな手段で補助金を受け取り、政治家とベッタリな大学も
    https://gendai.media/articles/-/139107?imp=0

    >Fランク大学は役人や官僚、公務員の天下り先ですか?

    >Fラン大学は役人の天下り先であるだけでなく、マスコミ関係者にとっても定年後の就職先となっているようです。

    >これでは、報道などで大きく取り上げられにくいので、この問題が改善されるのは難しいかもしれません。

    https://f-ran.com/meaning/amakudari/

    利権の問題もそうですが、国民も自助努力が無くなったらローマ帝国のように滅びます。
    国民を堕落させて利権を作り、負担を増やすだけなのは問題です。

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