釣りコメ?「民放テレビ局への公的支援必要」との主張

フジテレビからのスポンサー離れという動きが目立ってきましたが、ついにいくつかの番組でスポンサーがゼロになってしまうなどの珍現象が発生しているそうです。こうしたなか、Yahoo!ニュースのコメント欄を眺めていると、フジテレビは規模の大きい会社であり、同社の経営破綻は日本経済に悪影響を及ぼす、といった主張がありました。テレビ局に公的資金を注入して支援せよ、といった内容です。

提供ゼロ相次ぐ

フジテレビでスポンサー離れが生じているとされるなか、ここにきて「提供ゼロ社」が本格的に増えてきたようです。

日曜日夕方の国民的アニメ番組(夜6時以降、および夜6時半以降)に関しては、どちらも提供がゼロ社になってしまったとの情報もありますし、また、「月9ドラマ」(月曜日午後9時から放送されるドラマ)についても提供がゼロになってしまったとのことです。

このうち「月9ドラマ」の状況については、スポニチがこんな記事を配信していました。

フジテレビ ついに月9ドラマも提供0社に ネット「これはヤバい」「TVerみたい」の声

―――2025/02/03 22:07付 Yahoo!ニュースより【スポニチアネックス配信】

スポニチによると、フジテレビ社長会見で放送延期になった月9ドラマ『119 エマージェンシーコール』の第3話では、提供者名の表示が完全に消えてしまったそうです。1月3日の初回放送では6社だった提供社数が、20日の放送では2社に減ったとのことですので、最終的にはゼロ社になってしまった格好です。

記事ではまた、この日の放送では番組の宣伝・予告が流れたほか、ACジャパンの広告もあったとしており、さらには撮影協力していた横浜市消防局や横浜市会のクレジットもエンドロールから削除された、などとしています。

この読者コメントは…!?

ただ、この記事に注目した理由は、その記述だけではありません。

『Yahoo!ニュース』の読者コメントに、こんな趣旨のものが掲載されていたからです。

  • フジテレビには多数の下請け企業があり、また、全国に系列局も展開していて、CMを出稿することで経済活動を行っている企業も多いなど、わが国の経済活動に大きな影響力を持つ大企業
  • 電力会社と同様、倒産すると国民生活への影響も大きい社会インフラのひとつであり、絶対に倒れてはならない企業
  • 石破政権におかれては速やかに同社編公的資金注入を検討していただく必要があるが、自公が少数与党という厳しい状況でもあるため、政府として身動きがとりづらい
  • そこで、開催中の通常国会においては与野党が党派を超えてフジテレビへの支援策を検討し、日本経済に訪れた危機を乗り越えなければならない

…。

なかなかに、強烈なコメントです(あるいは「釣りコメント」か何かでしょうか?)。

メディアへの公的資金注入論

あるいはこれ、当ウェブサイトに昨年掲載した、『【インチキ論説】ネット規制と補助金でマスコミを守れ』や『【インチキ論説】新聞版「特殊負担金」で民主主義守れ』など、新聞、テレビを中心とするオールドメディアの立場を擁護する立場からのインチキ論説と、主張している内容自体はソックリです。

フジテレビ自体が系列局を抱えていることは事実ですし、また、番組を制作している下請け企業なども多いこともまた間違いありませんが、だからといってフジテレビを救済しなければこれらの企業がすべて倒産する、というものでもないでしょう。

とくに、実力のある映像制作会社は、極端な話、自分たちでYouTubeチャンネルを開設したり、有料のVODサービスなどに番組を売り込んだりもできますし、べつに地上波テレビ局「だけ」を優遇しなければならないという話でもありません。

テレビ自体、すでに広告媒体としての魅力は低下しているのだが…

なにより、『TV局不祥事はCM撤退に向けた地殻変動の前兆なのか』などでも指摘したとおり、株式会社電通が公表する「日本の広告費」というレポートによれば、テレビ広告費はとくにコロナ禍以降、振るわない状況が続いています。すでにテレビ広告費は2兆円の大台を大きく割り込んでいるからです。

ちなみに図表は、ネットとテレビを比べた広告費の違いです。

図表 広告費の推移(テレビvsネット)

(【出所】株式会社電通『日本の広告費』レポートおよび当ウェブサイト読者「埼玉県民」様提供のデータをもとに作成)

テレビ広告費は2000年から2019年頃まで、2兆円前後でほぼ一定だったのが、コロナ禍の2020年あたりから2兆円を割るのが常態化しています。言い換えれば、広告主(スポンサー)にとって、テレビは広告媒体として、近年、より魅力が低下している可能性が高い、ということでもあるのです。

いずれにせよ、最近の一部政治家・一部官庁などによるSNS規制といった動きは、想像するに、次にかなりの確率で「新聞社、テレビ局への公的支援」という論点に発展するのではないかと思います。

その意味で、『権力者によるSNS規制論は危険』などでも述べた、とある国会議員によるSNS規制論などと並んで、こうしたオールドメディアに対する公的支援という動きには、十分な警戒が必要ではないか、などと思う次第です。

本文は以上です。

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読者コメント一覧

  1. 七味 より:

    >なかなかに、強烈なコメントです(あるいは「釣りコメント」か何かでしょうか?)。

    釣りなんじゃないかな?

    広告費の総額自体は上がってるので、フジテレビが倒れたとしても単なる業界再編の一環でしかないように思えるのです♪

    それに、政府が救済するにしても、マスコミが電力会社みたく政府の統制下に置かれて良しとするのか、業界の考えがまとまらない気がするのです♪

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