市民団体「改憲阻止」提唱も…コメント欄盛り上がらず
『Yahoo!ニュース』に土曜日に掲載された記事によれば、今度は「戦争反対と改憲阻止の世論を盛り上げること」を目的に、新たな市民団体が発足したのだそうです。ただ、この話題に関連して最も興味深いのは、肝心の『Yahoo!ニュース』のコメント欄で、「戦争反対と改憲阻止の世論」が盛り上がっている形跡はみあたりません。
当ウェブサイトの憲法論
当ウェブサイトでは例年、憲法記念日の5月3日に、現行の日本国憲法の問題点などについて議論して来ました(直近5年分に関しては、次のような議論もご参照ください)。
結論からいえば、現行憲法を一言一句変えないままで、いつまでもやっていけるというものでもありません。
良いところは残すべき
いちおう誤解を恐れずに申し上げるなら、著者自身は日本国憲法を全否定する立場ではありません。
現行の憲法の優れた部分についてはそのまま引き継ぎ、明らかに欠陥がある部分(巷間指摘される第9条第2項のみならず、たとえば第7条の「天皇の国事行為」が多すぎる問題、国会召集に関する第53条、54条第1項、予算単年度主義に関する第86条など)は、変えていくべき、とする立場です。
これに加えていわゆる「緊急事態条項」を含めた国家の非常事態への備えも必要ですし、(あくまでも個人的な見解も含めてですが)「三権分立」に関する規定の強化(とくに裁判所の暴走を防止する仕組み)も必要だと考えています。
しかし、国家の根幹となる、「自由・民主主義」、「法の支配」、「人権」、「積極的平和主義」、「国際貢献」といった基本的・普遍的な価値観についてはしっかりと維持すべきです。
大日本帝国憲法復活論の非現実性
このあたり、ごく一部には「日本国憲法の無効を宣言し、大日本帝国憲法を復活させればよい」、などと主張する人もいるのですが(誰とは言いません)、正直、主張としてはあまりにも非現実的でしょう。
現行の日本国憲法は大日本帝国憲法の第73条(改正)に定める手続を経て、大日本帝国憲法上、適法に成立したものです。
大日本帝国憲法第73条
将来此ノ憲法ノ条項ヲ改正スルノ必要アルトキハ勅命ヲ以テ議案ヲ帝国議会ノ議ニ付スヘシ
2 此ノ場合ニ於テ両議院ハ各々其ノ総員三分ノニ以上出席スルニ非サレハ議事ヲ開クコトヲ得ス出席議員三分ノ二以上ノ多数ヲ得ルニ非サレハ改正ノ議決ヲ為スコトヲ得ス
また、日本国憲法公布の詔書に、昭和天皇の御名・御璽がなされています。
日本国憲法・公布詔書
「朕は、日本国民の総意に基いて、新日本建設の礎が、定まるに至つたことを、深くよろこび、枢密顧問の諮詢及び帝国憲法第七十三条による帝国議会の議決を経た帝国憲法の改正を裁可し、ここにこれを公布せしめる。」
したがって、日本国憲法の無効を宣言するということは、間接的に大日本帝国憲法自体、あるいは昭和天皇の御名・御璽を否定しているのと同じでもあります。天皇の御名・御璽を否定すること自体、大日本帝国憲法違反ですので、大日本帝国憲法の復活には大日本帝国憲法違反を犯さねばなりません。
こうした観点からも、「日本国憲法の無効と大日本帝国憲法の復活を宣言せよ」、とは、机上の空論と断じざるを得ないのです。
旧態依然とした護憲派
その一方で、これと逆の極論が、「日本国憲法は一言一句変えてはならない」というものでしょう。
X(旧ツイッター)などのSNSのユーザーが増えているためでしょうか、最近だと、SNSでもずいぶんと、「改憲阻止」という立場からの極論を唱えるアカウントを見かけるようになった気がします。
ただ、それと同時に、これらのアカウントに多くの賛同がついているという事実は、めったに見かけません。
たいていの場合は、一般国民からの強い反発が見られます。
あるいは、新聞、テレビを中心とするオールドメディアのなかには、「護憲」、「改憲阻止」を社是にしているようなケースもありますが、社会のネット化が進んでいるためでしょうか、こうした古くさい「護憲」論が社会の支持を失っていることは間違いなさそうです。
こうしたなかで、『KTNテレビ長崎』が13日、こんな記事を配信しました。
憲法改正阻止の世論を高めようと新たな市民団体結成【長崎市】
―――2024/07/13 18:52付 Yahoo!ニュースより【KTNテレビ長崎配信】
同テレビによると、今年4月に最高裁で原告敗訴が確定した安保法制違憲訴訟の原告やその支援者が13日、「憲法が改正され日本が再び戦争をすることが絶対にあってはならない」として、新たな市民団体を結成したのだそうです。
「自分たちの子供や孫のためにも私たちはまだ闘いを継続していかなければならない」。
このあたり、やはり理解に苦しみます。
この手の「市民」団体のみなさんは、しきりに、「日本国憲法を守れば戦争が起きない」、などと主張しているのですが、これについては残念ながら、万民にわかるような、完結明瞭なロジックを、彼らはこれまでに示したことがありません。
「憲法で戦争と軍隊を禁じれば戦争がなくなる」というのなら、憲法第9条(とくに第2項)のような条項は、それこそ世界中に広まっているはずですし、そうなっていないという現実は、この「非戦条項」に実効性がないということを示唆しています。
そんなに素晴らしい条項だというのなら、彼らはどうして、北京や平壌、モスクワやソウルなどで、それを主張しないのでしょうか?
いずれにせよ、「憲法で禁止すれば戦争にならない」という理屈が正しければ、こんなことがいえるでしょう。
- 憲法で脱税と税務署を禁じれば脱税はなくなる
- 憲法で犯罪と警察署を禁じれば犯罪はなくなる
- 憲法で火災と消防署を禁じれば火災はなくなる
- 憲法で急病と救急車を禁じれば急病はなくなる
…。
ほかにも、禁止対象は「コロナ」「デフレ」「地震・・雷・火事・親父」などなんでもよいのですが、それらを禁じると憲法に明記したところで、それらがなくなるというものではないでしょう。
コメント欄で「世論が盛り上がっている」形跡はまったくない
こんなことを述べると、「なにをバカなことを言っているのか」、などと叱られるかもしれません。
しかし、もし「犯罪と警察の禁止」が「バカげている」とおっしゃるのなら、その「バカげている」と指摘する対象に、日本国憲法第9条(とくに第2項)を加えるべきでしょう。
ただ、『Yahoo!ニュース』の記事の面白さは、その反応です。
記事によると市民団体側は「改憲阻止の世論を盛り上げたい」、などとしているようです。
「今後、憲法改正の国民投票を見すえ講演会などを通じて若者や市民に訴えかけて戦争反対と憲法改正阻止の世論を盛り上げたいとしています」。
しかし、読者コメントを見る限り、少なくとも賛同数が上位のコメントに関していえば、「改憲阻止の世論」が盛り上がっているふうには見えません。
正直、いわゆる「護憲派」に対する世間の反応は、これがすべてではないか、などと思う次第です。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
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【おしらせ】人生で10冊目の出版をしました
自称元徴用工問題、自称元慰安婦問題、火器管制レーダー照射、天皇陛下侮辱、旭日旗侮辱…。韓国によるわが国に対する不法行為は留まるところを知りませんが、こうしたなか、「韓国の不法行為に基づく責任を、法的・経済的・政治的に追及する手段」を真面目に考察してみました。類書のない議論をお楽しみください。 |
【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました
日本経済の姿について、客観的な数字で読んでみました。結論からいえば、日本は財政危機の状況にはありません。むしろ日本が必要としているのは大幅な減税と財政出動、そして国債の大幅な増発です。日本経済復活を考えるうえでの議論のたたき台として、ぜひとも本書をご活用賜りますと幸いです。 |
最低限、自衛隊の明記は絶対実現させねばならないでしょう。
現状のまま自衛隊が武力行使せざるを得ない状態に陥れば、間違いなく当事者を傷害殺人罪等で手当たり次第に刑事告発する「市民」が続々と出てくるはずですので…
自民党の改憲案が九条以外のところが噴飯ものだったりするからなー
実は九条が一番「改憲した方が良い」という意見が大きい条項かも
それよりも、戦争になりそうになったときに、侵略への抵抗は憲法違反の言説を大声に言い出すフェーズがありますよ
よく分からないのが冷戦終結直後のROCとROKなんですよね
いくつかあった紛争を針小棒大に「戦争を隠していた」とスキャンダル化すれば、「戦時賠償」としていろいろな明文化ができそうな物ですが
そんな小物で消費しなかったって事は、本命イベントを想定していたって事ですかね?
毎度、ばかばかしいお話を。
改憲阻止市民団体:「アルバイトを雇って、コメント欄に書き込みます」
これって、笑い話ですよね。
「平和的に生きる権利」を侵害されたので、「闘い」を継続するとおっしゃっています。
話し合いを放棄して、民意も尊重せず、妙に交戦的な人たちですね。
ヤフコメを見て、国民投票の実現にますます危機感をつのらせたことでしょう。
>裁判は終わり、支える会は解散しましたが、・・・新たな市民団体を発足しました
この手の人たちは、看板をリニューアルしたら、敗訴はなかったことになると思っているのかな。
https://news.goo.ne.jp/article/kyodo_nor/nation/kyodo_nor-2024051101001161.html
てゆーかおかしいだろwww戦争にならないための闘争って戦いたいんか戦いたくないんかどっちやねんwwwww
「Xなどで改憲阻止というアカウントを見かける」・・・ワンオペじゃないですか?何台も掛け持ちで。それでも賛同少ないって過疎ってますやん。まぁそういうヤカラは、私と同じで高齢者が多いから、あんまりテクに精通してないと思うけど(爆笑)。
個人的には憲法9条を「悪用」できないかと妄想していたりもするのですが
(平和国家を名乗りつつも自衛隊をきちんと強化していき、”核兵器?持っていませんよ?
いざとなったらすぐに作れるだろう?またまた御冗談を”と言う態度を取る等)、
現実的にはじきに改憲され、”普通の国”になっていくんだろうなあと予想しています。
だって、護憲派はぜんっぜん答えてくれないんだもん。
「今の日本が侵略戦争を仕掛けて”得をする”国ってどこですか?」と言う質問に。
習近平閣下がせっかく圧力を加えてボンクラお花畑に冷や水をぶっかけて目を覚ましてくださるのに今会見しないで、いつするのって感じ
改憲でした
市民団体と自称及びマスコミが表記するから
間違いやすいのです。
新たな宗教団体を立ち上げたと公称すれば
よいだけの話です。
さて、巷で流行しているオカルトじみた話からすれば
2025年7月に大異変が発生するというのがあります。
その時、日本が大被害を被るというのがあり、
そのドサクサに紛れて中共が台湾侵攻するシナリオがあるそうです。
この新しい宗教団体は、日本が台湾有事に参加する恐れを
無くそうとする試み?
ちょろんぼさまご指摘のとおりです。
朝日新聞などが「市民団体」?と
紙面で技巧を駆使して
さもふつうの市民かのように
記事にしてきたものは
多くの普通の市民とは距離があるその手の
そんなこんなのものばかりが続いてきたので
日本においては残念なことに
市民団体?は、
ゴネ得活動家とニアリーイコールが妥当
だとの認識が定着してしまい
声高に暴れたりしない少数のまともな市民団体は
風評被害を被り低調となってしまう
迷惑な状況となりました。
護憲派をグルーピングすると、次の3つに分かれます。
1 日本国憲法真理教徒
法学者や法律専門家に多い。旧大日本帝国憲法を徹底的に下げ、その対照として日本国憲法を賛美する。要するに、昔習った憲法学にしがみ付いている。非武装を選択した結果、日本の安全がどうなるかなんてことは、教義に反するから考えない。
2 確信犯のアカ
権力が欲しいが、選挙で勝つ見込みはなく、かといって暴力革命を行うような度胸も覚悟もない連中。日本を9条によって非武装にすれば、赤色国家が日本を解放してくれて、自分たちを傀儡政権に取り立ててくれると思っていた。ソ連の崩壊でその夢は絶たれたが、今更正体を明かすことができないから、平和主義者を装い続けている。野党政治家に多い。
3 お花畑左翼
日本国憲法真理教徒の亜種。単純に、日本だけでも武力を放棄し、世界に向かって平和を語れば、日本に攻めて来る国はなくなり、世界も平和になるというわけの分からない教義を有する宗教の信者。市民団体なんかは、概ねこのグループ。自己満足でやっているから、現実の世界を動かせなくても、知ったことではない。
頑張れ守旧派