「韓国はパートナー」と記載も…韓国は青書撤回を要求

日本政府は16日に公表した令和6年版の『外交青書』で、韓国を「パートナー」に「格上げ」しました。しかし、韓国は少なくとも政権が変わったら約束を破る国ですから、現段階での格上げが適切だったのかについては、厳しく検証されるべきでしょう。ただ、それ以上に興味深いのは、韓国政府が今年も外交青書に強く抗議するとともに、撤回を要求している、という事実でしょう。

外交青書で韓国は「パートナー」に格上げ

外務省が16日に公開した令和6年版の外交青書では、日本は韓国に関する記述を「パートナー」に「格上げ」しました。

具体的には、次の通りです。

  • 韓国は国際社会における様々な課題への対応に協力していくべき重要な隣国である」(『令和5年版外交青書』P62)
  • 韓国は、国際社会における様々な課題への対応にパートナーとして協力していくべき重要な隣国である」(『令和6年版外交青書』P59)

…。

自称元徴用工巡る意味不明な記述

韓国が発生した諸懸案はろくに解決していないにも関わらず、韓国を「パートナー」扱いというのも、日本国民はずいぶんと舐められたものです。

自称元徴用工問題を巡って日本企業(日立造船)の資産(供託金)が没収されてしまったわけですから(※もちろん国際法違反)、外務省には「韓国は国際法や国同士の約束を破る国である」という意味の文言をぶち込んで来てほしかったものです。

この点、外交青書(P61~)などを読むと、「旧朝鮮半島出身労働者問題」(※自称元徴用工問題のこと)を巡っては、こんな記述があります。

2024年2月に日本企業が韓国裁判所に納付していた供託金が原告側に引き渡された事案については、日本政府として、極めて遺憾であり、断じて受け入れられないとして抗議を行った」。

何とも間抜けな記述です。韓国に対し、「抗議」しても意味はまったくないからです。韓国に対して必要なのは、この場合、「抗議」ではなく「対抗措置」でしょう。

日本が一方的に韓国に対して譲歩する関係から、いい加減脱却してもらいたいものだ」――。

心ある日本国民ならば、誰しもそう思うのではないかと思います。

韓国政府は日本に「強く抗議」して「撤回を要求」

ただ、これに関する韓国政府の評価は、そうでもないようです。

日本の外交青書「竹島は日本の領土…徴用判決を受け入れられない」

―――2024/04/16 10:52付 Yahoo!ニュースより【中央日報日本語版配信】

韓国紙『中央日報』(日本語版)が16日に配信した記事によれば、韓国政府・外交部は16日、この外交青書を巡り、「強く抗議し、直ちに撤回を求めた」のだそうです。

その理由は、「独島」(※韓国が勝手に不法占拠し、国際法に違反して領有権を主張している島根県竹島のこと)について、「日本が独島に対する無理な主張を盛り込ん」でいるからなのだとか。

なんだか、強烈です。

日本政府のメッセージは、韓国は「韓国は、国際社会における様々な課題への対応にパートナーとして協力していくべき重要な隣国」であり、「とりわけ、現下の厳しい国際環境の下、日韓両国は、地域の平和と安定という共通の利益の確保に向け、多様な分野で連携を深め、協力の幅を広げていく必要がある」、というものです。

ここまで最上級の表現をしているにも関わらず、韓国は日本に対し、この外交青書の撤回を求めた、という事実は重要です。さっそく、「韓国はパートナーとして協力すべき重要な隣国」日本政府の外交青書のメッセージが、韓国政府自身によって否定されたのと同じだからです。

ちなみに自称元徴用工問題を巡っても、中央日報の記事ではさり気なくウソが紛れています。

日本政府は韓国で徴用被害訴訟の判決が出る度に強く反発し、韓国政府が昨年3月に発表した、いわゆる『第三者弁済』という解決法を通じて解決してほしいと主張してきた」。

たった1年前の話なのに、どうしてこうやってナチュラルにウソをつくにでしょうか。というよりも、この一文に矛盾があることに、気付かないのでしょうか。いわゆる「第三者弁済」案は、「日本が韓国にお願いしたもの」ではありません。「韓国政府が発表したもの」です。

このあたりを間違えないでいただきたいところです。

破綻はほぼ確実の第三者弁済案

さて、自称元徴用工を巡る肝心の「第三者弁済案」にも、大きな問題があります。

当ウェブサイト的な評価に基づけば、「第三者弁済案」はそもそもの虚偽・捏造である自称元徴用工らの主張を「正しいもの」として取り扱っていて、しかも国際法違反である自称元徴用工判決を解決していない時点で、解決になっていないという代物ですが、問題はそれだけではありません。

韓国政府自身が約束した「第三者弁済案」自体が、破綻しそうになっているのです。

韓国の最高裁に相当する「大法院」で違法な判決を喰らった日本企業と判決件数は延べ4社・12件に達していて(図表)、また、下級審でもいくつもの訴訟が係属中であることから、賠償をするための韓国の財団で財源が枯渇することはほぼ確実です。

図表 自称元徴用工訴訟の被害企業一覧
時点被害企業訴訟件数
2018年10月30日日本製鉄1件
2018年11月29日三菱重工業2件
2023年12月21日日本製鉄1件
2023年12月21日三菱重工業1件
2023年12月28日三菱重工業2件
2023年12月28日日立造船1件
2024年1月11日日本製鉄1件
2024年1月25日不二越3件
合計12件

(【出所】報道等。なお、2018年10月30日の被害企業については、当時の社名は「新日鐵住金」)

また、『「保守政党」が惨敗の韓国に日本はどう向き合うべきか』でも取り上げたとおり、先日の韓国の国会議員総選挙の結果、野党側が3分の2を制圧する事態は避けられたものの、尹錫悦(いん・しゃくえつ)大統領の支持母体である「保守与党」は議席を減らしています。

こうした状態で、「韓国が日本との約束を守ってくれる」と無邪気に期待するには、少々、無理がありそうです。

というよりも、自称元慰安婦問題を巡る2015年12月の日韓合意を文在寅(ぶん・ざいいん)政権があっけなく破った事実からもわかるとおり、韓国は政権が変わるとあっけなく約束を破る国であるという事実を踏まえると、やはり日本政府が韓国を「パートナー」に位置付けたこと自体の妥当性は検証されてしかるべきでしょう。

本文は以上です。

読者コメント欄はこのあとに続きます。当ウェブサイトは読者コメントも読みごたえがありますので、ぜひ、ご一読ください。なお、現在、「ランキング」に参加しています。「知的好奇心を刺激される記事だ」と思った方はランキングバナーをクリックしてください。

にほんブログ村 政治ブログ 政治・社会問題へ

このエントリーをはてなブックマークに追加    

読者コメント一覧

  1. 匿名 より:

    パートナー、と書いてもらっただけでも有り難いと思わなきゃ。個人的には、パートナーと思ったことは全く無いが。

    1. KY より:

       半島は常に日本を格下の存在としか見ていない証左ですね。

  2. CRUSH より:

    「パートナー撤回」

    相手の意向なのだから、大手を振って撤回したらエエと思いますけどね。

    スワップ延長しなかった時も
    「もはや韓国は、落ち目の日本からのアシストは不要」
    との言われ方をされたから、麻生太郎が相手の意向に合わせてホナサイナラ!と。

    腰の軽い岸田ならではの、軽くて早いレスポンスを期待します。(笑)

  3. naga より:

    韓国は国際秩序の破壊者です。
    パートナーなどと持ち上げたところで無理でしょう。

  4. KA より:

    パートナーを撤回ならいいんじゃない。
    断交すべき対象国って書いたら喜ぶんじゃないの?

    1. KY より:

       撤回したらしたで火病るのは間違いないだろう。

  5. DEEPBLUE より:

    少しでも甘くすればつけあがる国。この総理の功罪は1:9くらいでマイナスが多いでしょうね。

  6. 雪だんご より:

    相変わらず岸田政権は韓国には甘いなあ。対米、対中だとおおむね満足な対応なのに。
    アメリカに韓国の”お守り”を(安倍政権以前の様に)押し付けられたのか?と
    思う事は多々あれど、今のアメリカの韓国の扱いを見るとその線も薄い様に思える……

    しかし最近の岸田政権は低支持率だからと開き直ってやりにくい事をやっている感もある。
    これが吉と出るか凶と出るか……

  7. クロワッサン より:

    「第三者弁済案」について、韓国の「やります」を信じた岸田文雄には、「馬鹿は死ななきゃ治らない」というか「馬鹿は死ななきゃ害悪を排除出来ない」ですかね。

    日本と違って、韓国は「やります」って言った時点で「やりました」と同じ意味になってて、失敗しても「やった成果」を得られて当然で、得られなかったら「約束を守れ!」と逆に言い出すくらいのアタオカ度合いで。

    1. クロワッサン より:

      韓国の基本的価値観って「アニキ!景気はどうですか!ちょっとお小遣いくださいよ!」って感じの、『私と貴方はウリなんだから何か頂戴』なんですよね。

      だから、おこぼれとか小遣いは貰えて当然で、貰えなかったら「じゃああっちのアニキにすり寄って何か貰おう!」って行動するのが当たり前な訳で。

      結果、韓国に飴玉は与えても無意味で、鞭のみで従わせるのが正解で。

      1. 匿名 より:

        朝鮮の人たちは、日本のことを「アニキ」とか思ってはいませんよ。日本は自分たちの弟分で華夷秩序の格下だから、自分たちの要求には全て従わなければならない、と思っています。
        格下に無理難題を要求して格上らしく振舞うことが、自分たちの「義務」とさえ思っています。

        1. クロワッサン より:

          「アニキ」と思ってるかどうかというより、そう言ってすり寄って何かおこぼれを貰おうとするのが基本的手法だって事です。

          対米対中はほぼ全面的にそれだし、対日だと「日本は永世加害者だから謝罪と賠償をし続けろ!」と「アニキ〜」の両面となります。

  8. 世相マンボウ」 より:

    はは(^^) まあ、まともな国相手でであれば
    せっかくあんなしょもない国を
    パートナーとまで書いてあげているのに
    感謝もせずに嘘捏造での竹島泥棒したい根性を
    表に出してくるとは呆れます。

    まあ、そんな姿勢では、韓流と言うものを
    他のまともな国には劣後した
    正しい低い位置づけで扱ってあげるしか
    ないということを徹底する必要を感じます。

  9. んん より:

    パーとな?
    差別はいかんよ、君

    1. 獣用なる淋(しい)国 より:

      鮮略的誤K関係でしょ

    2. 世相マンボウ」 より:

      うまい (^^)/ ぴったり!

      どうりで 
      クルクルルーピーの
      ミスター民主党御大将であられる
      鳩ポッポさんと仲良しのわけだ。

  10. ムッシュ林 より:

    パートナーではないでしょう。大統領の任期が切れるころには確実に反日大国になり、いずれまた削除されるでしょ。韓国総選挙で李在明率いる共に民主党が圧勝した事実を見れば韓国の国民がどのような選択をしたのか分かるはずなのに、なぜかマスコミは尹大統領と韓国の肩を持つ。

  11. がみ より:

    韓国が青書撤回を求めているそうなので、大韓民国についての記述は撤回して抹消してあげるのもよろしいかと。
    緯度経度とかのデータだけでも役立つ人には役立ちます。

  12. taku より:

    「パートナーとして協力していくべき重要な隣国」さすがに、この表現には抵抗がありますね。
    「無用な軋轢は回避しつつ、関係縮小を図るべき隣国」でしょう。

  13. 引っ掛かったオタク より:

    結局髭隊長率いた政権党の外交部会はガス抜き目的のペラペラな口先広報以上のナニかを為したんだろか?
    ワタシがこう思ってしまっているちうことはとりまガス抜きは成せなかった!…のかな??
    政権党はライバル不在で切磋琢磨無くダラダラ過ごし来たあげくが今般のテイタラクなんだわなあ…鬱
    そして他力本願な自らにも鬱鬱

※【重要】ご注意:他サイトの文章の転載は可能な限りお控えください。

やむを得ず他サイトの文章を引用する場合、引用率(引用する文字数の元サイトの文字数に対する比率)は10%以下にしてください。著作権侵害コメントにつきましては、発見次第、削除します。

※現在、ロシア語、中国語、韓国語などによる、ウィルスサイト・ポルノサイトなどへの誘導目的のスパムコメントが激増しており、その関係で、通常の読者コメントも誤って「スパム」に判定される事例が増えています。そのようなコメントは後刻、極力手作業で修正しています。コメントを入力後、反映されない場合でも、少し待ち頂けると幸いです。

※【重要】ご注意:人格攻撃等に関するコメントは禁止です。

当ウェブサイトのポリシーのページなどに再三示していますが、基本的に第三者の人格等を攻撃するようなコメントについては書き込まないでください。今後は警告なしに削除します。なお、コメントにつきましては、これらの注意点を踏まえたうえで、ご自由になさってください。また、コメントにあたって、メールアドレス、URLの入力は必要ありません(メールアドレスは開示されません)。ブログ、ツイッターアカウントなどをお持ちの方は、該当するURLを記載するなど、宣伝にもご活用ください。なお、原則として頂いたコメントには個別に返信いたしませんが、必ず目を通しておりますし、本文で取り上げることもございます。是非、お気軽なコメントを賜りますと幸いです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

【おしらせ】人生で10冊目の出版をしました

自称元徴用工問題、自称元慰安婦問題、火器管制レーダー照射、天皇陛下侮辱、旭日旗侮辱…。韓国によるわが国に対する不法行為は留まるところを知りませんが、こうしたなか、「韓国の不法行為に基づく責任を、法的・経済的・政治的に追及する手段」を真面目に考察してみました。類書のない議論をお楽しみください。

【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました

日本経済の姿について、客観的な数字で読んでみました。結論からいえば、日本は財政危機の状況にはありません。むしろ日本が必要としているのは大幅な減税と財政出動、そして国債の大幅な増発です。日本経済復活を考えるうえでの議論のたたき台として、ぜひとも本書をご活用賜りますと幸いです。
関連記事・スポンサーリンク・広告