最新版「日本の広告費」から見える新聞・テレビの危機
新聞・テレビ業界は「広告費」という観点からも、まさに危機的状況に突入しつつあることは間違いないと結論付けてよさそうです。株式会社電通が27日に公表した『2023年日本の広告費』というレポートのデータによれば、マスコミ4媒体――とりわけ新聞、テレビ――の広告費が前年比でさらに減ったことが示されました。新聞は部数減で、テレビは視聴時間減で、それぞれ広告媒体としての魅力を失っている格好です。ただ、購読料収入やチラシ需要がある新聞と比べると、状況はテレビの方が深刻といえるかもしれません。
目次
最新版の『日本の広告費』
媒体別に見るとマスコミの退勢がくっきり
株式会社電通は27日、『2023年日本の広告費』と題したレポートを公表しました。
2023年 日本の広告費
―――2024/02/27付 株式会社電通ウェブサイトより
調査レポート
その概要については『ネット広告が成長:新聞とテレビの広告費はさらに低下』で、すでに速報として取り上げたとおりなのですが、本稿では改めてその内容を確認していきたいと思います。
まずは、媒体別広告費に関する図表を再掲しておきましょう(図表1)。
図表1 媒体別広告費(2022年vs2023年)
媒体 | 2022年 | 2023年 | 増減(増減率) |
総広告費 | 7兆1021億円 | 7兆3167億円 | +2146億円(+3.02%) |
マスコミ4媒体 | 2兆3985億円 | 2兆3161億円 | ▲824億円(▲3.44%) |
うちテレビ | 1兆8019億円 | 1兆7347億円 | ▲672億円(▲3.73%) |
うち新聞 | 3697億円 | 3512億円 | ▲185億円(▲5.00%) |
うち雑誌 | 1140億円 | 1163億円 | +23億円(+2.02%) |
うちラジオ | 1129億円 | 1139億円 | +10億円(+0.89%) |
ネット | 3兆0912億円 | 3兆3330億円 | +2418億円(+7.82%) |
PM | 1兆6124億円 | 1兆6676億円 | +552億円(+3.42%) |
うち折込 | 2652億円 | 2576億円 | ▲76億円(▲2.87%) |
※新聞+折込 | 6349億円 | 6088億円 | ▲261億円(▲4.11%) |
(【出所】株式会社電通『日本の広告費』データをもとに作成)
総広告費・ネット広告費は増えたのに…マスコミ広告費は減少
これで見ると明らかなとおり、総広告費については7兆3167億円と、前年と比べて2146億円(3.02%)も増えているのですが、マスコミ4媒体広告費については2兆3161億円に留まり、前年と比べて824億円(3.44%)減っています。つまり、総広告費に占めるマスコミ4媒体のシェアが、さらに下がった格好です。
これに対し、ネット広告費については3兆3330億円で、前年と比べて2418億円(7.82%)増えました。つまり、ネット広告費は総広告費の伸び以上に伸びているのです。
その結果、総広告費に占めるマスコミ4媒体のシェアは、2022年の33.77%から2023年には31.65%に下がった計算であり、これに対し総広告費に占めるネットのシェアは、2022年の43.53%から2023年には45.55%に上昇しています(図表2)。
図表2 総広告費に占める媒体別のシェア(2022年vs2023年)
媒体の割合 | 2022年 | 2023年 |
マスコミ4媒体 | 33.77% | 31.65% |
うちテレビ | 25.37% | 23.71% |
うち新聞 | 5.21% | 4.80% |
うち雑誌 | 1.61% | 1.59% |
うちラジオ | 1.59% | 1.56% |
ネット | 43.53% | 45.55% |
PM | 22.70% | 22.79% |
うち折込 | 7.44% | 3.52% |
合計 | 100.00% | 100.00% |
(【出所】株式会社電通『日本の広告費』データをもとに作成)
すなわち、このたった1年で、マスコミ4媒体の地位は大きく低下したという計算です。
もっと古いデータと比べると、マスコミの凋落はいっそう明白
そして、図表1と図表2について、もう少し長いタームで見てみると、さらに興味深いことがわかります。どちらの図表も2023年と前年の2022年のデータを比較したものですが、比較する対象を、著者自身が所持している最も古い2000年のものに置き換えてみると、マスコミの凋落がいっそう明白だからです。
まずは図表1について、「2022年」を「2000年」に書き換えてみたものが、図表3です。
図表3 媒体別広告費(2000年vs2023年)
媒体 | 2000年 | 2023年 | 増減(増減率) |
総広告費 | 6兆1102億円 | 7兆3167億円 | +1兆2065億円(+19.75%) |
マスコミ4媒体 | 3兆9707億円 | 2兆3161億円 | ▲1兆6546億円(▲41.67%) |
うちテレビ | 2兆0793億円 | 1兆7347億円 | ▲3446億円(▲16.57%) |
うち新聞 | 1兆2474億円 | 3512億円 | ▲8962億円(▲71.85%) |
うち雑誌 | 4369億円 | 1163億円 | ▲3206億円(▲73.38%) |
うちラジオ | 2071億円 | 1139億円 | ▲932億円(▲45.00%) |
ネット | 590億円 | 3兆3330億円 | +3兆2740億円(+5549.15%) |
PM | 2兆0805億円 | 1兆6676億円 | ▲4129億円(▲19.85%) |
うち折込 | 4546億円 | 2576億円 | ▲1970億円(▲43.33%) |
※新聞+折込 | 1兆7020億円 | 6088億円 | ▲1兆0932億円(▲64.23%) |
(【出所】株式会社電通『日本の広告費』データおよび当ウェブサイト読者「埼玉県民」様提供データをもとに作成)
2023年の数値を2000年を比べると、総広告費は1兆2065億円(19.75%)増えているのですが、内訳で見ると、マスコミ4媒体が1兆6546億円(41.67%)も落ち込んでいるほか、PMが4129億円(19.85%)減少しています(うち新聞折込については▲1970億円・▲43.33%)。
また、マスコミ4媒体のなかでも、とりわけ落ち込みが深刻なメディアが新聞と雑誌です。というのも、2000年にそれぞれ1兆2474億円、4369億円だった新聞・雑誌広告費は、2023年にはそれぞれ3512億円、1163億円に落ち込んだからです。
実額と減少率でいえば、新聞が8962億円・71.85%、雑誌が3206億円・73.38%、それぞれ市場が縮小した計算です。あるいは、「市場規模が3分の1から4分の1程度にまで縮小した」、といえば、その深刻さが伝わるでしょうか。
これに対し、ネット広告費は2000年に590億円だったものが、2023年にはなんと5,549%(!)も伸びて3兆3330億円に達しました。増加幅でいえば3兆2740億円で、いわば、インターネット広告が隆盛となることにより、広告市場自体が伸びた計算です。
さらに下落したシェア
一方、媒体別のシェアについても示しておくと、図表4のとおりです。
図表4 総広告費に占める媒体別のシェア(2000年vs2023年)
媒体の割合 | 2000年 | 2023年 |
マスコミ4媒体 | 64.98% | 31.65% |
うちテレビ | 34.03% | 23.71% |
うち新聞 | 20.42% | 4.80% |
うち雑誌 | 7.15% | 1.59% |
うちラジオ | 3.39% | 1.56% |
ネット | 0.97% | 45.55% |
PM | 34.05% | 22.79% |
うち折込 | 7.44% | 3.52% |
合計 | 100.00% | 100.00% |
(【出所】株式会社電通『日本の広告費』データおよび当ウェブサイト読者「埼玉県民」様提供データをもとに作成)
これによると、総広告費に占めるシェアは、マスコミ4媒体だけで全体の64.98%、すなわち3分の2を占めていて、折込を含めたPMが残り3分の1強を占め、ネット広告費は全体の1%にも満たない0.97%という水準でした。
広告の世界から見て、ネットは無視し得る存在だったわけです。
ところが、2023年においては、マスコミ4媒体は31.65%、すなわち3分の1未満にも減ってしまっています。PMはシェアを22.79%に落としていますが、それでもシェアの落ち方でいえば、市場シェアが半分以下に減ったという意味で、マスコミ4媒体の方が遥かに深刻です。
これに対し、2000年時点で「無視し得る存在」だったネット広告費は、2023年においては総広告費の45.55%を占めるに至っており、この調子で伸び続ければ、あと数年のうちに過半を占める可能性すら出てきました。
つまり、広告費の世界では、マスコミ4媒体の凋落は進んでいて、回復する兆しがない一方で、ネット広告の「快進撃」が続いている格好です。
長期的な傾向としてさらに影響力を失うマスメディア
これをグラフでも示しておきましょう。
図表1や図表3で示した媒体別広告費のうち、ネットとマスコミ4媒体のみを抜き出して、2000年以降の数値をグラフ化したものが図表5、図表2や図表4で示した広告費のシェアについても2000年以降の数値をグラフ化したものが図表6です。
図表5 広告費の推移(ネットvsマスコミ4媒体)
(【出所】株式会社電通『日本の広告費』および当ウェブサイト読者「埼玉県民」様提供データをもとに作成)
図表6 広告費に占める媒体別シェア
(【出所】株式会社電通『日本の広告費』および当ウェブサイト読者「埼玉県民」様提供データをもとに作成)
こうやって長期的な傾向で見てみることで、「広告費」という観点からは、絶対的な金額、広告費全体に対するシェアのいずれの視点においても、マスメディアがその影響力を失いつつあることがうかがえる、というわけです。
新聞、テレビの実情
広い意味での新聞広告費と新聞部数
こうしたなかで、もうひとつ注目しておきたいのが、新聞広告費と折込広告費を合算した、広い意味での新聞広告です。
先ほどの図表3に示した通り、2000年と2023年の比較で新聞広告費は71.85%減ったわけですが、折込広告費に関しては、1970億円、すなわち割合にして43.33%しか減っていません。素人考えだと、「新聞広告費が減っているのだから、折込広告費も同じ割合で減るはずではないか」、と思ってしまいます。
これについてはおそらく、同じ新聞でも「朝刊と夕刊の違い」と何らかの関係があるのかもしれません。
年初の『「新聞がなくなったら社会に莫大な利益」とする考え方』などを含め、当ウェブサイトではこれまでに何度となく引用して来たとおり、一般社団法人日本新聞協会のデータによれば、新聞部数は凋落の途をたどっており、2000年に7190万部だった部数は2023年には3305万部へと半分以下に減りました(図表7)。
図表7 新聞合計部数の推移
(【出所】一般社団法人日本新聞協会ウェブサイト『新聞の発行部数と世帯数の推移』データをもとに作成。ただし、セット部数を朝刊1部・夕刊1部とカウントし直しており、グラフ中の「合計②」はそのようにカウントした朝刊と夕刊の合計部数を意味する)
夕刊は激減したが…朝刊は「チラシ需要」で部数維持
ただ、この減少部数も、朝刊と夕刊でずいぶんと異なります。
夕刊部数に関しては、2000年には2001万部だったものが、2023年には491万部へと激減しています。部数にして1510万部、割合にして75.46%減った計算であり、とりわけここ数年は減少ペースが速く、下手をしたらあと数年で夕刊という存在がこの世から消滅するかもしれません。
しかし、朝刊部数に関しては、2000年に5189万部だったものが、2023年には2814万部へと減っていますが、減少部数は2375万部で減少率は45.77%と、夕刊と比べて緩やかです。
どうして朝刊部数が夕刊部数と比べて減少速度が遅いのか――。
ここにはいくつかの仮説があるのですが、そのなかの有力なもののひとつが、「チラシ需要」です。
つまり、新聞の朝刊を取っていれば入ってくる、スーパーだの、量販店だのといった折込チラシを目当てに新聞朝刊を取り続けている層が一定数存在する、という仮説です。
一般に折込チラシは一般紙の朝刊にしか入らず、夕刊やスポーツ紙には入りません。このため、時代の流れで紙媒体の新聞を購読する人が減っているにもかかわらず、一般紙の朝刊に対しては根強い需要があるのだ、とする仮説が成り立つのです。
実際、2000年と2023年を比較したときの新聞広告費の減少率は71.85%に対し、折込広告費の減少率は43.33%にとどまっているのですが、このことは合計部数の減少率が54.04%、夕刊の減少率が75.46%であるのに対し、朝刊部数の減少率は45.77%にとどまっていることと、いちおう整合はしています。
合算した広告費はここ数年横ばい
これに加えて新聞広告費と折込広告費を合算して比較すると、コロナ禍で合算した広告費はいったんガクンと落ち込んだのですが、ここ数年は横ばいないし小康状態にあることがわかります(図表8)。
図表8 新聞広告費と折込広告費
(【出所】株式会社電通『日本の広告費』および当ウェブサイト読者「埼玉県民」様提供データをもとに作成)
そういえば最近、スーパーに行くと店の入り口に紙のチラシが置いてあるのを見かけることが多い気がしますが(※これについてはきちんと統計を取ったわけではないので、あくまでも印象です)、想像するに、やはりスーパーのチラシを紙で見たいという需要は、高齢層などを中心に根強いのかもしれません。
これには、スーパーのチラシなどを効率よく比較するためのアプリなどが、いまひとつであるという事情もあるかもしれません。
この点、一部のスーパーだとチラシをスマートフォンなどで閲覧することも可能ですし、最近だと『Shufoo!(シュフー)』なのサイトでチラシの比較もいちおう可能なのですが、多くの人にとってはチラシを小さな画面で拡大しながら見るよりも、大きなチラシを畳などに広げてじっくりと眺める方が見やすいことは間違いありません。
このあたりはチラシ専用のブラウザなどを誰かが開発しないと、なかなか見辛いのではないでしょうか。
スマートフォンに適した、たとえば▼ひとつひとつの商品を1画面に表示する、▼スワイプすることで次の商品を表示させる、▼メニュー表で商品ジャンルの指定が可能、▼クリップして他店との比較が可能――、といった機能が備わったアプリは、ちょっとあまり見かけた記憶がありません。
もちろん、そのようなアプリが開発されれば、紙媒体のチラシなどあっという間に駆逐されそうな気もしますが、少なくとも現状においては、新聞業界の命脈は風前の灯火(ともしび)といいつつも、朝刊のチラシ需要に関しては底堅い、という実情が浮かび上がるのです。
テレビ広告費減少のインパクト…新聞業界との違い
こうしたなか、今年の『日本の広告費』にもうひとつ見どころがあるとしたら、テレビ広告費でしょう。
2023年のテレビ広告費は1兆7347億円と、前年と比べて672億円(3.73%)落ち込んでいるのですが、2000年以降最悪という状態を記録した2020年の1兆6559億円と比べれば、それでもまだ788億円多いのです。
2020年といえばコロナ禍でほとんどの媒体の広告費が落ち込んだ時期でもありましたが、さすがにその時期と比べれば、現在のテレビ広告費の状況はまだマシだといえます。
ただ、広告費全体が伸びている中で、テレビ広告費が減ったという事実は、やはり重く見る必要があります。
購読料収入などがある新聞業界と違って、テレビ業界の場合、コンテンツそのものからカネを取るというビジネスモデルではなく、局によっては広告収入が売上の過半を占めるケースもあります。このような状況で広告費が減っているというのは、すなわち、テレビ業界全体で売上が減っているということを意味するのです。
その意味では、テレビ業界にとっての広告費の減少は、新聞広告費と比べ、経営に与える打撃はより大きなものとなり得ます。
そういえば、『広告費激減のテレビ業界でこれから始まる「冬の時代」』では、2023年9月中間期時点の在京5局、在阪1局の各親会社の連結セグメント情報などをもとに、すでにテレビ業界では広告収入の減少が経営に打撃を与えつつある、とする話題を取り上げています。
インターネット上で、YouTubeやニコニコ動画などの無料・有料動画配信サイト、あるいは各種VOD(ビデオ・オン・デマンド)に代表される有料動画配信サービスが隆盛を極め始めているなかで、さすがにチャンネル数が極めて少ない地上波のテレビ局がいつまでも圧倒的な存在感を示せるというものではありません。
実際、『視聴者や広告に続きクリエイターもTVを見捨て始めた』などでも指摘したとおり、一部報道等によれば、最近は優秀なクリエイターが制作予算が限られている民放各局に見切りを付け、民放テレビ局を退職してVODサービスなどに転職するケースも増えているのだとか。
見る人が減っているテレビ
そういえば、総務省『情報通信白書』などの統計で見ると、最近になればなるほど、また、若年層になればなるほど、テレビを見る人が減っていることが示されています(図表9)。
図表9-1 2013年における年代別・メディアの平均利用時間(平日、単位:分)
図表9-2 2022年における年代別・メディアの平均利用時間(平日、単位:分)
(【出所】総務省『情報通信白書』データをもとに作成)
こうした状況を踏まえると、テレビがかつてと比べ、(とくに購買力のある若年層・中年層に対する)広告媒体としての魅力を失っているであろうことは想像に難くなく、今回のレポートで広告費が順調に減っているという結果が出てきたこと自体は、個人的には想定の範囲内ではないかと思っています。
危機的状況に突入しつつある新聞・テレビ
以上のとおり、今年の『日本の広告費』に関しては、新聞、テレビの広告費が下がるであろうことについてはある程度予想できたことですが、その落ち込みの激しさについては、その傾向が今後も続けば、それぞれの業界が危機を迎えるのも間違いない、という水準です。
このうち新聞に関しては、少なくともチラシ需要はまだ底堅く、想像するに、「チラシが欲しい」がために新聞を購読している層もそれなりに存在すると見られ、広告収入と購読料収入が期待できますが、コンテンツの対価が発生せず、もっぱら広告収入に依存している民放テレビ各局にとっては、現在の状況は危機的です。
また、新聞業界に関しても、いつまでもチラシ収入が期待できるというものではありませんし、一部のデータだと部数の減少に歯止めがかかっていないようですので、いくらチラシ収入が小康状態だからといって、業界全体が風前の灯火状態にあることに変わりはありません。
いずれにせよ、新聞・テレビ業界は「広告費」という観点からも、まさに危機的状況に突入しつつあることは間違いないと結論付けてよさそうです。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
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【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました
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誰も聞いていないのに、大声で妄言をまき散らしながら消えていく未来。
テレビ局業界は、その業界の歴史のなかで初めての業界縮小と認めざるをえない局面に入って、そんな経験をしたことがある社員がいないので、解決策を出してくれる人を待っているのではないでしょうか。(まあ、これはテレビ局業界に限った話ではないですが)
NHK や民放 TV 局からは職場が荒廃している気配が伝わってくる。
「俺をクビにできるならやってみろ」
そんな投げやりな心象。
イカレた職場に充満する毒気に関しては日本の勤労者たちはよく分かっている。潮目を逆転させる気概も知恵もない。そもそも儲けかたが変わってしまった。儲けを得るからくり、舞台を新興産業に奪われてしまった。新興産業はソフトウェアの作り込みでどんどん進化していってしまう。改良も進化もできない巨大装置に拘泥している限り彼らに突破的前進は不可能ですね。
私感ですが…
ニュースや情報入手はXなどのSNSや、パーソナライズ化されたネットニュース(私はCopilotの併用もあり最近はMicrosoftのウィジェットニュース)で充分であり、
娯楽や芸能は、悪い意味でコンプライアンスに縛られたテレビでは刺激的なものは作成できず、コネや利権の絡みで組織も制作者も硬直的になり斬新的なものは作成できず、
「マス」メディアはその名前通りの意義は失われたかと思います。以前のように一般大衆に対する周知権限を一手に独占していた時代は利権集団として好き放題出来たと思いますが、もうマスメディアの存在意義は絶対的なものから相対的なものに変化したのを認められず、ネットとの相対化の時代にも昔の感覚のまま居れば凋落するのは自明の理のような気はしますね。
こんな話があります。以前書いていますが再掲します。
「インターネットを TV 放送に取り込む必要がある」
NHK のかたが雄弁にもそう口にして聴衆を白けさせたことがあります。前世紀すなわち 1990 年代のことです。分かっていないな、この人は。
TV 放送がいずれネットに置き換えられて衰退消滅するであろうとの未来感は、その会場に集まっていたネット技術者・ソフトウェア技術者の間で共有されていました。あの頃はブラウザの中で展開するネット広告という産業体系はまだ完成されていなかった。Youtube もなかった。NetFlix もなかった。でも今は違っている。儲かる仕掛けを作り込まれてしまって、もはや挽回も逆転もできない。さらなる次の地平を目指して進取しそこで優位を取るほかない。新聞も TV 局もこれまでいったい何をしてきたのでしょうか。
総務省情報白書が報じているとする年齢層別メディア利用時間分布(第9-1と2)に疑義を感じます。これは実態を表しているのでしょうか。9年経ったら、それまでオールドメディアに時間を使っていなかった層が新たに TV 新聞を見るようになるのか。それは違うでしょう。
50代60代に注目してください。現場から離れて時間を使い放題になって退屈だから TV 新聞の時間が爆増するとはおかしいと思います。現役世代こそネットが役に立ち何より楽しいとよく分かっているからです。調べさせた手下が「偏向」していて、お役人特有の単細胞作文に見合う結論を出して見せているのではというのが当方の見立てです。
私は新聞購読をしている『オールドメディア』愛好者ですが、子供たちが地上波テレビを見る習慣がなくネットの動画を好んで見るため、居間の大型テレビでもYouTubeにより占有されがちで地上波を見るのが容易でなくなりました。テレビを見たい層がいても映す画面のぶんどり合戦でテレビの視聴率が下がり続ける傾向があるのかもしれません。
NHKブラタモリが来月末でレギュラー番組から降板するそうです。そしてその後に登場するのが何と「プロジェクトX」!
広告収入より手堅い契約料というサブスク収入を得ている為か、何と言うか企画能力が枯渇している様子。
「プロジェクトX」は最後の頃は、取材対象関係者などから「事実と異なる」など捏造についての意見や問題が噴出して有耶無耶で中止されたような気が。
僅かな自分の経験でも、彼ら取材陣は「自分達の作ったシナリオに沿った絵」を造るために、現場ではその原材料となる絵を撮ることに専念し、あとは編集で望んだ絵に仕上げることをしていました。
事実を伝えるなどハナから考えていないで、いつも仕事しているのでしょう。
なので、プロジェクトXも彼らとしてはいつもどおりの仕事。事実と違うとか捏造とかが問題となる意識は特に無かったと推察します。
今般、この調子で番組再開して、果たして1年後番組が存在出来るのか?
疑問に感じます。
今年の日本新聞労働組合連合の春闘目標はベア獲得だそうです。
「賃金抑制や不利益変更の提案に対抗し、ベア獲得のための強力な闘争態勢を構築すること」
連合は春闘方針は賃上げ目標を「5%以上」、定期昇給分の2%とベースアップを3%以上。
新聞代値上げで「入」は多くなった???そうですので、原資はあると思う???
しかし、新聞広告費は前年比マイナス5%とのこと。今年もマイナス5%もあり得る。
赤字覚悟で賃上げを実行するのか?据え置くのか。経営者は悩ましいですね・・・。