社会人の基本「納期を守ること」
単位がヤバい学生への救済措置はその学生のためにならない
能登半島地震における岸田首相の行動を批判する人たちを見ていて気付くのは、その実務感覚のなさです。もしかして、彼らの多くはビジネスを営んだことも、あるいはまともな会社で働いたこともないのではないか――。こうしたなかで、とある大学教授の方がXに、興味深い内容をポストしていました。毎年この時期になると単位を懇願する学生が出てくるのだそうです。
目次
社会人の特徴は「納期を守れ」
個人的に社会人生活を送っていて気付いた重要な概念があります。
それは、「納期」です。
社会人は多くの場合、決められた期日までに仕事を終わらせなければなりません。
納税まわりでいえば、たとえば会社の経理部門だと毎月の源泉徴収税額の納付や社会保険の手続、年1回の決算(※上場会社の場合は年4回の開示)や税務申告、個人だと3月15日までに確定申告…。
こうした事務手続だけではありません。
たとえば、何らかの資料やプログラムなどの作成を請け負い、それを「この日までに納品します」と約束したのならば、何があってもその日までに完成して納品しなければ、その人は社会的信用を失います。
この点、学生時代だと、ともすれば「時間をかけて丁寧に仕上げる」ことの大切さを教えられることもあります。
当たり前ですが、時間を度外視して、どこまでも丁寧に仕上げようとすれば、それなりに素晴らしい資料ができあがるでしょう。しかし、だからといってそれで納期に遅れるようなことがあったら、社会人(とりわけビジネスマン)にとっては、本末転倒です。
難関資格もビジネスも「時間内に合格点を取ること」が大事
その意味では、社会人の仕事は、先日の『資格試験も政治家の評価も「満点主義」から脱却すべき』でも取り上げた「資格試験の論点」とも似ているのかもしれません。
ちなみに資格試験は短時間でサクッと合格点に達した人から合格していく、という特徴があります。とりわけ世間では「難関資格」として知られる試験ほど、「頻出論点」をいかに早くマスターするかという勝負であり、言い換えれば、「埋没論点」をいかに見切って捨てるか、という勝負でもあるのです。
(ちなみに「頻出論点」は出題される可能性が極めて高い論点であり、「埋没論点」は出題される可能性が低い論点のことです。「頻出論点」は出題された場合、大部分の受験生が正答出来るものでもありますが、「頻出論点」をちゃんと答えられるようになれば、それだけで合格にグッと近づきます。)
いずれにせよ、「無尽蔵に時間を使って100点満点の仕事をすること」と、「限られた時間とリソースで60点の成果を出すこと」のどちらが重要かといわれれば、ビジネスの世界でも資格試験の世界でも、あるいは政治の世界でも、後者の方であることは間違いありません。
能登半島地震における非現実的な提案
こうしたなかで気付くのは、たとえば石川県能登半島地震における政府の対応を批判している人たちの実務感覚、あるいは「現実感覚」のなさです。
先日の『フェリーもキャンピングカーも今次災害では役立たない』などでも取り上げたとおり、一部の野党議員や一部の新聞記者・ジャーナリストらの情報発信や言動、国会質問などを眺めていると、どうにも100%完璧な対応を政府に求めすぎるがあまり、非現実的な提案が出て来るフシがあるのです。
たとえば、能登半島は半島という地形的性質上、被災地へのアクセスは陸路からだと一方通行とならざるを得ませんし、地形も山がちであり、海岸線も入り組んでいるため、陸、海などからのアクセスポイントも非常に限られてしまっています。
使える資源が限られているなかで、「倒壊家屋の下敷きになった人を全員迅速に救出せよ」、「孤立集落に迅速に救援物資を送れ」、といった、実務上の限界を無視した要求が出て来るわけです。
しかも、「では、あなたならこの状況で、どうやってそれを実現するのですか?」などと尋ねると、出てくるのは▼「物資を空中投下」(危ない)、▼「部隊を空中降下」(危ないし役に立たない)、▼「フェリー・キャンピングカーを借り上げる」(非現実的)――、といった絵空事ばかり、というわけです。
とある大学教授「図々しい学生」
こうした実務感覚のなさについて、Xを眺めていてであったこんなポストを読むと、何となく実情がわかるような気がします。
サボりにサボって単位が危うい学生たちから課題でも何でもやりますからチャンスをください的なメールが毎年届くが、何でサボり続けたあんたたちのために新たに問題いくつも作って採点までしなきゃならんの?この忙しい時期に図々しいとは思わんのかな。人の時間を気安く奪えると思うな
— matheca (@paulerdosh) January 26, 2024
ポストしたのは大学教授の方だそうですが、毎年、この時期になると、単位が危ない学生さんからの、「課題でも何でもやりますからチャンスをください」、といったメールが届くのだとか。
この「単位が危うい学生」のメール、まさに「納期」という概念を完全に無視した、非常に甘ったれたものであることは間違いありません。
大学の講義ではたいていの場合、最初から「これをやれば単位をあげます」という条件が示されていたはずであり、その条件に沿って必要な行動(授業に出る、レポートを提出する、など)を取っていれば、たいていのケースでは単位は取れるはずです。
また、大学の進級条件や卒業までの単位数などについては、たいていの場合、入学した時点でわかっているはずですし、履修申告も自主的に行えるはずですから、それらをもとに計画的に講義の履修を進めていけば、進級と卒業はできると思います。
もちろん、なかには理不尽な教授もいますが、それを見越して多めに履修申告すれば良い話でしょう。
しかしながら、著者自身の体験談なども踏まえて申し上げると、やはり大学生レベルだと、10人に1人くらいの割合で、「単位が取れないから教授に泣きつく」というケースがあるようです。
なかには、こんな笑い話(?)も。
女子学生「先生、何でもやりますから、どうか単位を!」
指導教授「何でもやる?何でもやると言ったな、本当だな!」
女子学生「はい。何でもやります。」
指導教授「それなら、もう1年、まじめに授業に出て課題をこなし試験を受けて単位を取りなさい。」
いずれにせよ、単位が取れていないのはたいていの場合、学生本人の責任ですので、教授の側がその学生のためにわざわざ新たな課題を追加で作ってあげる必要などありません。
大学は「使えるリソースで成果を出す」という訓練の場
ただ、それでも大学教授のなかには良い人もいますので、もしかしたら、なかには学生の懇願に負けて「追加課題」などを設定してあげる、という人もいるかもしれません(著者自身の大学生時代の学友のなかにも、その方法で何とか卒業していたというケースがあります)。
しかし、これをやってしまうと、結局は本人のためになりません。社会に出ると、自分の怠惰のせいで納期に間に合わなかったというケースでも、似たようなことをやってしまう(かもしれない)からです。
こうしたなかで、あまり一般化したくはないのですが、今回の能登半島地震でも首相の対応を舌鋒鋭く批判している人たちのなかには、もしかして、ビジネスをやったことがない人や、まともな会社で働いたことがない人も多いのではないか、などと勘ぐってしまうのです。
いずれにせよ、一般的な会社やビジネスにおいては、(時間も含めた)リソースは無尽蔵に使えるわけではなく、厳しい制約下で最も多くの成果が上がる方法を試行錯誤しなければなりません。しかも、答えがない道を進まなければならないことだってあります。
「納期を守る」というのは、数あるリソースのなかでも最も重要な要素のひとつである「時間」を、有効活用しなさい、という意味があります。
その意味では、大学という場は「納期を守る」という「リソースの有効活用」の、貴重な訓練の場なのかもしれません。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
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よく学校とかで、この勉強が社会に出てなんの役にたつのか?とかの疑問が出ると思います。
古文なんか、会社に出て使うとこないやんとか、数学の公式とか学校出たら一生使えへんわとか。
が、先生の話をきく。理解する。出された課題を時間内に終わらせる。
この根本的な事こそ社会に出て必要不可欠な事ではないか。
上司の話を聞いても理解出来ない。
言われた事をキチンとしない。
何度も同じミスを繰り返す。
誰がこんな部下を持ちたいと思うのか。
たった50分程度も椅子に座って静かに授業を聞く事が出来ないのに社会に出て仕事が出来る訳がありません。
大人になって気づく、自分はなんて子供だったのか。
もっとキチンとしておけばと。
箱根駅伝は納期までに襷を届けるリレーであり納期に遅れそうなランナーを見守るリレーでもある。
「のうき」と聞くと、農業機械が最初に頭に浮かんでしまう農業地域出身者の業。
>何らかの資料やプログラムなどの作成を請け負い、それを「この日までに納品します」と約束したのならば、何があってもその日までに完成して納品しなければ、その人は社会的信用を失います。
もうね、本当にこれ、これなんですよ。
こんな当たり前なことが分かってない社会人がたまにいるので、本当に迷惑です。
個人的に先日、仕事上で、納期を守らない、それ以前に納期を過ぎても仕事に手を付けていなかった奴のせいで、えらい目に遭ったこともあり、本日の論考には脊髄反射で飛びついてしまいました。
自分は、大学の授業の中で、「社会に出たら、受注した仕事の納期を1分でも逃したら、次から仕事は来ないからな。社会人のイロハのイだぞ。」と教わったクチで、教わっておいて本当に良かったです。教えてくれたのは、企業のお偉いさんを定年退職して大学の講師になった方でした。叩き上げの企業人OBの講師の言葉には説得力があったので、今でもよく覚えています。
本日の論考は、まさに我が意を得たりということで、心の底からすっきりいたしました。ありがとうございました。
日本社会において「納期」は大前提として「守るもの」なのは理解してますが、例えば、大阪万博はもう延期すべきじゃないですかね?
大阪万博に携わる人々は、サボって単位を落とす大学生レベルな連中と同レベルですかね?
なかなか良い視点ですね。
納期を「守る」方法には、もう一つありますね。
「納期を延ばす」ということです。
次に、納期を、守らなくても良くする方法は、「目標を無くす」ことですね。
学生達に関して言えば、前者は留年、後者は中退、という選択肢です。
大阪知事も、そろそろ決断しなければ、納期を守らない学生と同じで、「そこを何とかして〜」と言っている◯◯学生と同じことになります。
大阪知事なら、「そこを何とかして〜」じゃなくて「そこを何とかしろ!」と言ってるブラック上司と同じ事になるんじゃないかと。
その内、大阪府の公務員を動員して、作業服を着せてスコップや軍手を持たせて建設現場に送り込むかもですね笑
社会人の基本は、税金を払うこと。脱税は駄目です。
では、生活保護を受けている人は社会人ではないという事ですね?
https://www.weblio.jp/content/%E7%A4%BE%E4%BC%9A%E4%BA%BA
感情論を抜きにすると、実際にそうだったりします。尊重されるべき人間であり同じ国民であり地域社会の一員であり、決して虐げて良い対象ではなく明日は我が身かもしれませんが、それでも”社会人”ではない、と言えます。
なるほど、社会人の定義は「職業を持つなどして自立している人」なんですね。生活保護を受けている人、ニートは確かに外れますね。・・・年金をもらっている無職の老人も外れそうですね。
一定以上の年金をもらっている無職の老人も税金は払っています。でもその税金も元は国からもらった年金から払っているではないかと言うかもしれませんが、若い頃から年金を収めて更に上の世代を支えたからこそ貰える年金であり、決してタダでもらっている訳ではありません。
ピラミッド型の人口構成を前提にした現在の年金制度は、人口構成の変化により若い世代には不公平感が出てきたのは否めませんが、別に無職老人が悪いわけではありません。
全員消費税は払っていると思いますね。
ましてや現職総理が脱税なんてそれこそ内閣が吹っ飛ぶ事案でしたが、当時のマスゴミは深く追及しないまま有耶無耶にした時がありましたね。
それで良く今時「政治とカネ」なんて説教垂れる図太さ、否無神経さ。
納期と約束、大切ですね。
前者は社会人として、後者は国家そして人として。
>女子学生「先生、何でもやりますから、どうか単位を!」
以下の会話。ひと頃大学教員の間ではやった?笑い話を思い出しました。
教員A:赤点取った学生が来室する時期になったら、女子学生は決してひとりでは入れるな。
ブラウスの前ボタンを外して、「悲鳴上げて部屋から飛び出しますよ」と脅される。
教員B:オレなら大丈夫。その学生押しのけて、「助けてくれ」と先に部屋から飛び出す。
岸田首相に、血相変えて言い訳して回らなければならない状況を作り出せないようでは、
野党の面々の工作能力と言ったら、女子大学生以下(笑)。
ゼミの教授と大喧嘩して、単位はやるから二度とくるなと言われた思い出
なかなか、交渉上手。
我国の、対韓専任外務大臣になってもらいたい。
>たとえば、何らかの資料やプログラムなどの作成を請け負い、それを「この日までに納品します」と約束したのならば、何があってもその日までに完成して納品しなければ、その人は社会的信用を失います。
此処も基本的には同意ですが、実社会では「下請けが元請けから切られない為に、無理だと理解しつつ仕事を請け負う」って事もある訳です。
予定は未定とも言いますし、日本社会は何でもかんでも予定通りに進めようとして予実差を埋める為に努力ではなく無理をし、無理をして達成した事に充足感を感じたり誇ったり美談にしたりするから、次もまた努力の範囲に収まらずに無理をする、そんな負の連鎖社会になっているのでは?と。
効率化を進めていったその先にある社会は、「生産性の落ちた労働者は廃棄処分する社会」だと思いますし、それをいち早く取り入れている企業もちらほら見受けられます。
でも、廃棄処分って言っても殺処分ではないから、廃棄処分された労働者の面倒を日本社会に押し付けている訳で、公害を撒き散らす企業と大差ないです。
「生産性の落ちた労働者は廃棄処分する社会」にならない為に働き方改革が求められるんじゃないかと。
その為には、60点の成果を10年間見込める選手を、80点の成果で5年で使い潰すのではなく、70点の成果で15年使うようなマネジメントが求められると考えますし、そんなマネジメントをする上司として連想するのは、故・野村監督です。
ご無沙汰しました。
懇願どころではありません。パワハラで事務局に訴えてきます。経験者です。
学生兼社会人だったので社会人がどこから始まったのかよくわからない私ですが…
一応社会人の研修として受けた座学の際に視せられたビデオの中で
「社会人が働く最大の目的は株主に配当を出す為です」
ってリクルート制作の動画がありました。
違和感持っていたらよく月に江副さんが捕まりました。
随分昔の事です。