現代社会の「おカネの多様化」に、昔の人はきっと驚く

ふとした拍子に今から30~40年前の街の姿などを見ると、いろいろと新鮮な衝撃を受けます。▼オフィスにPCがない、▼スマホをいじっている人がいない、▼自動改札が普及していない――など、現代社会と比べると、なんだかずいぶんと違いがあります。こうしたなかで、Xで昔の人気漫画の「キオスクのおカネのやり取り」に関するシーンが印象的です。

数十年で社会は大きく変わる!

今から30~40年前の人が、突然、現代にやってきたら、最も驚くのはいったい何でしょうか。

人々が何やら小さくて四角い金属製の板のようなものを持ち、四六時中、それを触っていることでしょうか?それとも自動車がビュンビュンと行き交う幹線道路で、ヘルメットも着用せず、何やら怪しげなキックボードを操作している人たちがいることでしょうか?

このあたりは、30~40年前から現代にタイムワープしてきた人が、(少なくとも著者の周りには)いないため、現実に彼らがどのような反応を示すかについては、よくわかりません。

ただ、それとは逆に、私たち現代人が30~40年前の写真や動画を見て、当時の雰囲気を知ることはできます。たとえば動画サイトを見ると、『1992年の東京の日常風景』などと称した、こんな動画を発見することができます。

スマホもない、オフィスにPCもない

残念ながら、この動画が本当に「1992年の東京の日常風景」なのかについては、著者自身としては検証する手段を持っていません。

しかし、実際に1990年代前半に東京で生活をしていた身としては、「ああ、そういえばそうだったな」、といった感想は持ちます。東京タワーの周囲には現在ほど高層ビルは建っておらず、新幹線や自動車、飛行機などのデザインも微妙に懐かしいからです。

そして、この動画を見ていて気づくのは、会社のオフィスにはPCもほとんどなく(たとえば動画の3:41~や5:18~など)、証券取引所でもいわゆる「場立ち」などの姿が確認できる(動画の4:20~)など、現在とは様子が様変わりしている点でしょう。

人間社会がたった数十年で様変わりしてしまうというのも、本当に興味深い点です。

おカネの払い方が随分と変わった

さて、あくまでも個人的な感想ですが、もしも30~40年前の人が現代にタイムスリップして来たとしても、サイフさえあれば、とりあえずは何とか買い物くらいは出来そうな気がします。

日銀ウェブサイト『その他有効な銀行券・貨幣』によると、たとえば古い一万円紙幣や五千円紙幣、千円紙幣、五百円紙幣、あるいは硬貨などについては、現在は発行されていないものの、問題なく使用することが可能とされています。

したがって、昭和60年頃の人がいきなり令和6年にタイムスリップしたとしても、サイフさえ持っていれば、とりあえず店に入って食事をしたり、コンビニやスーパー、駅の売店などで買い物をしたり、といった最低限の経済活動は可能であるはずです。

ただ、現実に買い物をしようとして、再び面食らうであろう点があるとしたら、それはおカネを払う場面ではないでしょうか。

たとえば、首都圏や近畿圏などの都市圏では、たいていの場合、電車に乗るための改札はすべて自動化されていますし、しかも多くの人は事前に交通系ICカードを準備していて、券売機で切符を買うこともせず、改札機にピピッとタッチするだけです。

スーパーやコンビニではセルフレジが増えましたし、また、現金だけでなく電子マネー、コード決済なども一般化しています。電子マネーはたいていの場合、駅の売店でも使用可能です。

(※ちなみに著者自身はしばしば飛行機や新幹線で遠方に出張をする人間ですが、各地で電子マネーが使える場所が増えています。具体的な場所を明らかにすることは控えますが、「いまや電子マネーは日本全国で幅広く使えるようになっている」、とだけ申し上げておきたいと思います。)

すなわち現代社会では、下手をすると現金自体がなくても生活できてしまうのです(とくに都市部だとそうでしょう)。

少し前までであれば、たとえばサラリーマンに大人気の、都内で大々的に事業展開している立ち食いそばチェーン店や定食チェーン店などでも現金しか使えなかったので、私たちは昼ご飯などを食べるためにサイフを持ち歩かなければならなかったと思います。

しかし、いまや電子マネーはスマートフォンに搭載できますので(たとえば「モバイルSUICA」など)、極端な話、財布がなくても携帯さえあれば買い物もできます。何ならスマホに行きつけの店の会員証やポイントカードなどを搭載することも可能でしょう。

キオスクのやりとり

さて、こうしたなか、Xで興味深いポストを発見しました。

これはユーチューバーのスーツこと藤田裕人さんのポストですが、週刊少年ジャンプでかつて連載されていた人気漫画『こちら葛飾区亀有公園前派出所』で、おそらく朝のラッシュ時に駅のキオスクで店員さんが殺到する客を手際よく捌いているシーンを引用リポストしたものです。

4コマ目では、登場人物がキオスクの店員さんを見て、「品物を持っただけでおつりが先に出るとは…」、「さすがに早い…」、などと感心していますが、元ポスト主の方は「実際に駅売店全盛期の70〜90年代のラッシュ時に、店員さんはほんとにこんな動きをしていた」、などと述べています。

ちなみに藤田さんは売店でアルバイトをしていたときの経験をもとに、SUICAなどの電子マネーで支払う人は「一目でわかる」、とポストしているのですが、これも興味深い限りです。

指摘されてみれば、たしかに、現金で払おうとしている人は多くの場合、財布を手に持ちながらレジに並びますが、電子マネーで払おうとする人は、サイフ、携帯電話などのフラットな面をタッチできるような持ち方をしているようです。また、コード決済を使う人は、スマホの画面を準備していることでしょう。

このあたりもなかなかに面白い洞察ではないかと思います。

決済の未来はどうなる!?

さて、先日、とある決済機関の方と話をしていたときに、ペイアプリやSUICAなどの電子マネーについての話題が出てきたのですが、これも大変興味深いものでした。

じつは現在、決済に関しては、さまざまな会社が「生体認証」などの実証実験を行っているのだそうです。

有名どころでは「顔認証」、「指紋認証」、「静脈認証」、「虹彩認証」などがあるのだそうですが、すでに顔認証などに関しては(試験的であるとはいえ)入退室、勤怠管理等に実用化されつつありますし、最近だと玄関ドアで顔認証などの仕組みも徐々に広まっているようです。

もちろん、現状では、こうした顔認証などの仕組みはまだまだ十分信頼できるとまで言い難いところですが、今後の技術開発次第では、たとえば「人差し指をかざして決済する」、「顔だけで決済する」、といったシステムも、案外遠くない未来に実現するのかもしれません。

さらには、米国ではすでに「アマゾンゴー」など、レジがない店舗も出現していますが、将来的には店に入り、好きな商品を手に取って自分のカバンに入れ、店を出たら自動的に決済が完了する、といった仕組みもより一般化していくのかもしれません。

いずれにせよ、技術革新がどこまで進むかは、興味が尽きないところではないでしょうか。

本文は以上です。

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読者コメント一覧

  1. どみそ より:

    90年代では 改造500ウォン硬貨が 自動販売機をだまし、 キオスクでは 日本円の価値の十分の一の 100ウォン硬貨を混ぜて使い 忙しい販売員をだましまくった時代です。
    隙あらば騙す。
    彼らの特徴かもしれません。

    1. 愛知県東部在住 より:

      あの頃、某メーカー(今はもう存在しない)の自販機のコインメカを、社員総出にて交換していたことを覚えています。

      韓国という国と韓国人に対して、初めて憎悪をかき立てられた時期でもありました。(笑)

  2. 転勤族 より:

    気になっているテーマをありがとうございます。
    本州最北端の県庁所在地である青森市に住んでます。
    自分自身キャッシュレス生活できるか、シミュレーションしてみました。

    【とある平日】
    朝起きて、バス(Suica)に乗り出社。
    職場でヤクルト(PayPay)を購入し昼食はコンビニ飯か全国チェーンの牛丼店(dポイント)。
    終業したらバスに乗って帰宅、近所のスーパー(独自電子マネー)で夕食分と翌日の朝ごはんを購入。

    【とある休日】
    朝クリーニング(PayPay)を出してから気分転換にドライブ。
    途中ガソリン給油(クレジットカード)。
    昼食は全国チェーンのうどん(dポイント)を食べてから、通販(クレジットカード)で購入した靴を受け取り。
    夕食はふるさと納税(クレジットカード)で届いた牛肉をすき焼きにして大満足の一日。

    おお、確かにキャッシュレス生活できますね!

    さて、
    職場は市役所近隣(駅前ではない)で、コンビニではなく徒歩圏内のお店(9店)で昼食を摂ることが多いです。
    9店のうち、電子マネー導入店は1店、残り8店は現金のみです。
    従業員を雇って経営している店は1店、残り8店は夫婦もしくは家族経営です。
    最近になり安くて美味しい定食を提供してくれる店(現金のみ・夫婦経営)が店主高齢のため閉店しました。

    地方都市であっても、キャッシュレス生活は可能です。
    ただし、それは住んでいる場所や職場つまり生活環境次第であり意識して選択しないとキャッシュレス生活はまだまだ難しいと感じています。

    縁あって地方に住んでいる以上、地元にお金を落とす(使う)ことを意識しています。
    ささやかな地方貢献と自己満足しています。

    1. さより より:

      いやはや、いろんなキャッシュレスが必要ですね。
      当方は、Suica一択です。Suica使えない店は利用しないです。
      都会は我儘かな?

      1. 転勤族 より:

        さよりさま

        コメントありがとうございます。

        Suica一択はちょっと無理です(笑)
        Suica・PayPay(もしくはdポイント)・クレジットカードがあれば、何とかキャッシュレス生活は可能です。

        たまに上京した時など、現金を使わない生活になっていることに驚きます。
        スマホ(モバイルSuicaとえきねっと)があればキャッシュレス移動できます。

        都会は文字通りスマートな生活になっていますね。

        1. さより より:

          夫婦でやっている定食屋。青森には、昭和がふんだんにありますね。そんな所で、しみじみと暮らす。
          誰か演歌だったか、「しみじみ、とお〜」というのがありましたね。今、都会で、しみじみとお〜、なんてありますかね?
          しみじみと酒呑んで、ハイお勘定、ピッ、なんて聞こえたら、一気に、しみじみが飛んで行きそうですね。

    2. CRUSH より:

      とりま、田舎でも政治献金をキャッシュレスでやれる、というところまでは理解できました。

      1. さより より:

        いや、それは、足が付く、足が付いても良い献金は,キャッシュレス。
        その他の献金には、現金が原則です。
        献金と現金の関係は、不滅です!by 政治家。

        1. CRUSH より:

          そう出来ない理由は無い。・・・のだから

          匿名での献金をシステムとして禁じろ!という
          「嫌味」
          「皮肉」
          として書いているので、マジレスされても、ねぇ。(笑)

          1. さより より:

            マジレス風、嫌味、皮肉、です、政治家への。
            主旨は、同じです。

  3. さより より:

    今、先ず、現金を使うことはないですね。
    偶に、スーパーで現金払いをしている人を見ると、原始人だなと思ってしまう自分に気付く。
    しかし、スマホ払いでも、スマホの準備が遅いトロイ人を見ると、非文明人と思ってしまう。君達、文明の利器を使うのには未だ早いようだね、と。
    そんな感じで、スーパーの支払いでも、文明度を測られる恐ろしい時代になっているようですね。

    1. 転勤族 より:

      >しかし、スマホ払いでも、スマホの準備が遅いトロイ人を見ると、(以下略)

      それは心の底から同意です。

      逆にアプリが固まった時はつらいです。

      1. さより より:

        それはですね。
        そのアプリが、文明の利器では無く、鈍器なんですね。
        そんなアプリとはオサラバしなくては!
        そうしないと、使っている人まで、鈍くさい、と思われてしまいます。

  4. sqsq より:

    >会社のオフィスにはPCもほとんどなく

    1989年に入社した会社で初めてPCを与えられた。OSはMS-DOS、表計算はロータス1-2-3だった。私のPCはデスクトップだったが上司は東芝ダイナブックのラップトップだった。モニターがオレンジ色のプラズマディスプレーでハードディスク付きは100万円を超えていたと記憶している。インターネットはおろか社内ネットワークもなくPCに打ち込んだものを紙にプリントアウトして渡すか、それをコピー機を使って透明なOHPシートに印刷しオーバーヘッドプロジェクターという光学式の装置に載せて暗い部屋でプレゼンする。

    今当たり前に使っているCCという用語はカーボンコピーの略だという事はよく知られているが、もしかしたら私はカーボン紙をはさんでタイプを打っているのを実際に見たことのある最後の世代かもしれない。「う~ん、4枚が限度ね」と秘書が言っていたのを覚えている。
    その意味はいくら力いっぱいタイプを打ってもカーボン紙を4枚以上入れると一番下は読めないくらい字が薄くなってしまうということ。

    1. さより より:

      何でこんな懐かしい話をしますかね?

      タイプライターは、4枚でも、手書きは、2枚が限度でした。
      ただ、カーボンコピーが無くなると困る事も。
      契約書など、同じものが複数必要な時に、コピー機での複写は信頼性が無い。そこで、割印を厳重に、となる。

  5. sqsq より:

    >会社のオフィスにはPCもほとんどなく

    マイケルJフォックスの映画「摩天楼はバラ色に」で主人公は大企業のメール係として雇われる。先輩のメール係から、この色のメールは社内、この色なら社外だなどと指導を受ける場面がある。
    この映画の公開は1987年、37年前には社内メーを紙に印刷して、配っていたのだ。社内ネットワークの発達によってもうこのような仕事はなくなっている。
    また主人公のあこがれる美人エグゼクティブはパソコンを使っているが、サーバにつながっていない。さしずめ表計算もできるタイプライターといったところだろう。

    1. さより より:

      >1987年

      日本は未だ、テレックスとファックス、アメリカは進んでました。日本で、メールが使われ始めたのはいつ頃?

      1. sqsq より:

        テレックスといえば最近若い人(30台)と話をしてて「テレックスって何ですか?」と言われて「うぐぐ」
        このサイトにもテレックスを知らない人いっぱいいるんじゃないかな?

        メールはたぶん96、97年くらいからじゃないかと思います?

  6. 匿名 より:

    バック・トゥ・ザ・フューチャーでは浮いてるのに乗ってたから、まだ浮かないのかよと思ってるかも。

  7. 匿名 より:

    経済ブログなんだから、立会場の変化にも触れてほしかった。

    テレビのニュースで株の話をする時に必ず挿入されていた 「場立ち」 の人達の映像。手話のようなハンドサインをしていた人達がいなくなった時は子供心にも衝撃的だった。

    昭和40~50年代の東証立会場 – YouTube
    https://www.youtube.com/watch?v=WNnXSsJxVZw

    立会場2 – YouTube
    https://www.youtube.com/watch?v=E6FYA7tKioU

    1985 (昭和60) 年頃撮影:立会場事務合理化システム導入前の立会場 – YouTube
    https://www.youtube.com/watch?v=8fUHjWHfqAQ

    1989 (平成元) 年頃撮影:立会場事務合理化システム導入後の立会場 – YouTube
    https://www.youtube.com/watch?v=MEBGxI4IWjA

  8. DHMO より:

    >会社のオフィスにはPCもほとんどなく
    ペーパーレス化が世間でも言われ始めたのは1990年代? まだインターネットが一般に知られていない頃。コンパックショック(1992年)から始まる、パーソナルコンピュータの低価格化で目立つようになったのでしょう。
    その後、ペーパーレス化のはずが紙が増えたと言われたのは2000年代前半だったでしょうか?
    印刷物は電子化でやっと減り始めましたが
    今でもカラーコピーするな!白黒でやり直します!違うそうじゃない!ってのはなくなりません

  9. いっちょ紙 より:

    会社ではさっそーとフロッピーディスク(本来のぺらぺらのやつ)で業務をこなし、自宅ではパソコン通信をコテハンでたのしんでいたのに、今やスマホで画面を相手にかざすのかな?自分で読み取るのかな?チャージ足らん?など、「鈍くさいぺーぺーやろーだな」と背後から聞こえてくるジジイ野郎ですが、何か。
    さすが、現金はほとんど出さなくなりました。

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