X

例の記者「孤立集落へパラシュート投下は可能と思う」

山岳地帯が多い能登半島の孤立集落に向けて、果たして「パラシュート投下」などはできるものでしょうか。また、やったらやったで「安全性をどう確保しているのか」という難癖をつけてきそうなのは、気のせいでしょうか?何の話かといえば、官房長官記者会見で、昨年「芸能・音楽を監督する官庁がない」などとする主張を展開した人物が、今度は「孤立集落にパラシュート投下などは積極的にできる」などと主張した、というものです。

「パラシュート投下みたいなことは積極的にできると思うが?」

これはさすがに「ネタ」でしょうか。

林芳正・内閣官房長官の5日午前の記者会見で、とある新聞の女性記者が、なんだかよくわからない質問(というか主張のようなもの?)をしていたようです。

令和6年1月5日(金)午前

―――2024/01/05付 首相官邸HPより

該当する場面は動画の15:30~で見られます。

この方は「現在、能登半島地震での一般のボランティア募集は行っていない」という点に関連し、こんな趣旨のことを述べたのです。

珠洲市で713名もの方が孤立しているという報道を見ていると、水も食べ物も足りていないという声も聞こえてくる。パラシュート投下みたいなことは、輸送機を使えば積極的にできると思うが、こういった地域に(そのようなことが)できているのか」。

『乗りものニュース』に掲載された「物料投下」の記事

この記者のいう「パラシュート投下」とは、一般に、物資にパラシュートを付け、輸送機から投下するという、いわゆる「空中投下」ないし「物料投下」と呼ばれる行為のことを指しているようです。

これについては『乗りものニュース』に昨年7月19日付で掲載された、ルポライター・カメラマンの布留川司氏が執筆した次の記事が参考になるかもしれません。

お届け時間は“秒指定”OKって!? 空自の宅配便「物料投下」のスゴ技 C-2輸送機からそんなものまで落とすとは!

―――2023.07.19付 乗りものニュースより

布留川氏によると、鳥取県にある航空自衛隊美保基地では、同基地に所属するC2輸送機がこの物料投下の訓練を行っている様子を見ることができるのだそうです。

その際の方式としては、たとえばCDS(大型投下容器投下方式)と呼ばれる、1辺が約1.2mの板状の大型投下容器に貨物と落下傘を括りつける方法や、より大きく重い荷物で使用されるPDS(プラットフォーム投下方式)、さらにはLCLA(低コスト低高度投下)などがある、などとしています。

条件はずいぶんと異なる

そんな便利な方法があるのなら、この女性記者のいうとおり、孤立集落に対し、C1輸送機やC2輸送機、C130輸送機などを使った物料投下を積極的に活用すれば良さそうなものですが、どうしてそれを使わないのでしょうか。

恐らくその理由は、地理的条件にあります。

同記事の説明によると、CDSの場合、投下時の輸送機の最低高度は約180mにまで下がるのに加え、安全性確保のためには「誰も立ち入らない広い空間」が必要です。山岳地帯で広大な空間が確保し辛く、低空飛行にも適さない能登半島は、この美保基地とはずいぶん条件が異なるようです。

ちなみにこの物料投下に関しては、ときどき訓練中に演習中に区域外に落下するなどの事故も生じており、2018年には横田基地所属のC130輸送機が空中投下訓練中、パラシュートが東富士演習場付近の施設区域外に落下したこともあります。

これについては武蔵村山市ウェブサイトに公表されている『C-130輸送機による物資投下訓練におけるパラシュートの施設区域外への落下について』【※PDF】などの資料にも経緯が掲載されています。

よって、投下を行ったら行ったで、この人物は「安全性確保は大丈夫なのか」、などと難癖をつけてきそうな気もしますが、このあたりはいかがでしょうか?

いずれにせよ、昨年の『「芸能・音楽を監督・指揮する官庁がない」=新聞記者』でも取り上げた、「芸能・音楽の規制官庁」という話題に続き、新春早々、なかなかに印象的な記者会見だったのではないか、などと思う次第です。

新宿会計士:

View Comments (26)

  • ヘリコプターで荷揚げするか、収容して避難所に避難していただくのが現実的ではないでしょうか。
    日本アルプスの山小屋などでは、日常的に行われていることです。
    小口の荷物ならドローンでしょうか。
    パラシュートだと風任せになってしまいますからね。
    軽戦車や軍用トラックくらいまでなら降下可能ですが、やはり広大な平地が必要です。

  • ここに集う人で、東京新聞の例の人のタワ言にミリ程度でも賛成する人は皆無なのですが、それはさておき、
    「BBCの取材チー厶が乗り込んでるのに台湾の救助隊が乗り込めないと考える思考回路が謎。」というsnsコメントには賛同しました。実際にその動画を見て、やはり日本マスゴミとは違うと思いましたので。確か航空自衛隊の犬同伴捜索隊による生き埋め者捜索隊が活動中で、「何か情報があったわけではなく片っ端から的な対応」であるとの趣旨を女性がレポートしていました。

    • 「台湾は断れるけど、メディアは断れない」
      というだけでは?

      土地勘なく衣食住排泄まで自己完結できない集団も、芸能レポーターみたいなのも、現場をウロウロするのは、ヤメロ!
      と、僕が指揮官なら思いますけどね。

      あと、情報が整理されて現場に置いてあればよいのですが、もしそうでなければボケっと立ってるよりは、片っ端から身体を動かす方がマシちゃうのかしら。

  • 自衛隊の使えるヘリは、ほぼ全て使っているでしょう。ただ、物質輸送だけに使える奴は限られると思います。というわけで、恐らく政府は在日米軍に支援を要請しているものと思われます。
    が・・・、輸送能力の高く速度も速いオスプレイが使えないからなぁ、本当に残念。

  • 毎度、ばかばかしいお話を。
    例の記者:「ドラえもんに頼んで、孤立集落に、どこでもドアで支援物資を届けよう」
    テレ朝が喜ぶでしょう。

  • 記者章は付けてはいても、ただの 
    どぶサヨ活動家に過ぎない『例の記者』ですね(笑)

    記者会見という場でありながら
    政府と国民の間に立ち憚って
    特定野党とその そんなこんなの少数支持者の
    意見とは言えるレベルに達しない戯言を
    繰り広げてきてますが、
    特にこうした災害非常時なのに、
    どぶサヨ心根からの振る舞いには
    そんな者を支持してしまう
    リアルの生きザマそんなこんなの人たち含め
    軽蔑の感を持たざるを得ません。

  • イソコさんが典型例ですが、なんで最近のメディアは素人のくせに自説を垂れるのですかねえ。

    その上で
    「ムムッなるほど」
    と感心するような自説は聞いたことないし。

    君たちの仕事は提案じゃないだろ。

    • 阪神大震災で「ヘリコプターによる空中消火」が叫ばれましたが、
      思わずテレビの画面に「アホちゃう、搭乗員を犬死させる気か」と言ってしまいました。

  • 富山側の県道が土砂で埋まっており、海側も崩落個所が多い状況では、海自の「おおすみ型補給艦(事実上の揚陸艦)」を使うのが現実的かとおもいます。今回、曽々木海岸に揚陸された物資を運んできたのは「おおすみ」です。呉の3隻配備されているので、順次来るのではないかと思います。飲み水については、大型の自衛艦(海水をろ過して飲料水を作ることができます)が接舷出来る港がないのが痛いかと思う次第です。官房長官会見で発言された女性記者の方は勉強不足ではないかと思います。

  • 713人分の水2Lは約1.5tです。
    それが空から落ちてきて、人に当たったら。
    建物に当たったら。
    いくらパラシュートがあってもその被害が簡単に想像できます。
    が、おそらくですが映画とかならイッパツで簡単に丁度いいとこにコンテナが届きます。
    多分、映画くらいしか想像の為の知識がないのでしょう。
    おそらくくだんの記者さんは選択科目で理系から逃げてきたのかもしれません。
    なら、この様な無茶苦茶言っても仕方がないでしょう。

1 2 3