中途半端?経済対策閣議決定へ…解散総選挙はどうなる
記事の中で意見(しかも間違っている)を混ぜ込むの、やめた方が良いですよ?
総額17兆円程度の緊急経済対策を巡って、産経ニュースに「国の借金となる国債の増発は避けられない見通しで、財政は一段と悪化する」、とする記述が含まれた記事が掲載されました。国債は国の借金ではありませんし、日本の財政はまったく悪化していません。それどころか取り過ぎた税金を返す必要があるのであり、今回の経済対策も減税規模としては不十分です。
減税よりもバラマキ
減税よりもバラマキ。財務省にとっては「減税」よりも「取ってから配る」方が利権の源泉となるのでしょう。
産経ニュースが2日配信した記事によると、政府は2日夕方の臨時閣議で、17兆円台前半の経済対策を閣議決定する、としています。
経済対策17兆円、夕に決定 政府与党が最終調整 減税で家計支援
―――2023/11/2 08:27付 産経ニュースより
この17兆円の内訳は、低所得世帯を対象とする7万円の給付金などからなる13.1兆円、3兆円台半ばと見込む所得税と住民税の減税額、さらには減税の関連経費の合計――、だそうです。
報道が非常に不正確であり、これだけだと中身はよくわかりません。金額13.1兆円のすべてが「低所得世帯への7万円給付」で構成されるわけではないでしょう。13.1兆円を単純に7万円で割ったら対象者が1.3億人もいるという計算になるなど、どう考えても計算がおかしいからです。
また、17兆円程度の補正予算を組むことができるということは、その分、消費税の税収(令和5年予算ベースでは国税部分だけで約23.4兆円)の約7割を還元することができる、ということを意味しています。7.8%の税率を2.4%にできる(地方消費税との合計税率を5%以下に下げられる)、ということです。
「国の借金が増え、財政は一段と悪化する」
たった一度限りの減税で、「増税メガネ」というネット上のあだ名が消え去るものか、個人的にはちょっと見てみたい気もしますが、この産経ニュースの記事に驚くポイントは、そこだけではありません。記事にはこんな記述も出て来るからです
「国の借金となる国債の増発は避けられない見通しで、財政は一段と悪化する」
…。
どうして、記事のなかに記者の勝手な(しかも間違った)見解を混ぜ込むのでしょうか?
昨日の『日経新聞、「グラフの不備」認めて再投稿したものの…』では日経新聞のメチャクチャなグラフについて取り上げたばかりですが、こうやって記事配信者の勝手な見解を記事に混ぜ込むからこそ、新聞産業が衰退しているのではないでしょうか?
そもそも論ですが、国債は「国の借金」ではありません。「中央政府の負債」です。
そして、その「中央政府の負債」の9割近くを国内の機関投資家(※)が「資産」として買っており、それらの機関投資家の資金調達(ファンディング)を家計や法人企業などの預金が支えているわけですから、「中央政府の負債」は「国の借金」どころか「国民の資産」でもあるのです。
(※なお、厳密にいえば、機関投資家のなかでも最大の国債保有者は日銀ですが、日銀は預金取扱機関からのファンディングで国債を買っており、預金取扱機関などの機関投資家は家計などから預かった預金をファンディングとして日銀当預を預けているため、間接的には国内投資家が国債を買い支えているのと同じです。)
なぜ減税が必要なのか
それに、中央政府の適正な負債規模というものは、一国の資金循環バランスで決定されるものですが、『ザイム真理教に不都合な事実:国の資産は過去最大に!』でも指摘したとおり、最新データ(2023年6月時点)によると、日本の対外純債権の額も過去最高です。
これでよく「日本の財政は危機的状況だ」、などといえたものです。
ウソをつくのも大概にしていただきたいと思います。
だいいち、『剰余金21兆円!税を「取り過ぎている」亡者・財務省』などでも触れたとおり、現在の日本で税収が余りまくっている事実を、産経の記事ではどうして無視するのでしょうか。
くどいようですが、『国民民主党がブラケット・クリープ対策の必要性を提唱』などでも触れたとおり、現在の日本には、二重の意味で減税が必要です。ひとつはインフレ増税(俗にいう「ブラケット・クリープ」)対策、もうひとつは取り過ぎている税金を返すこと、です。
報じられている今回の「17兆円の経済対策」だと、減税はたった1回、しかも1人あたりたった4万円という規模であり、もし減税がこれで打ち止めとなるのならば、これだと正直、有権者にとっては「やらない方がマシ」というレベルではないでしょうか。
今後は解散総選挙が焦点に?
この点、当ウェブサイトとしては、岸田文雄首相のことについても「是々非々で」判断すべきだと考えており、たしかに防衛費の増額や原発の再稼働・新増設などの方針を決定したことなどについては、非常に高く評価して良いことは間違いありません。
しかしながら、少なくとも今年に入って以降、韓国と財務省という2つの勢力との付き合い方では、残念ながら、評価できる点はほとんどありません。
もちろん、今回の経済対策は、とりあえずスピード感を重視し、早急にまとめるという意味合いがあったのだ、という言い方もできなくはありませんし、もしそうであるならば、来年以降、減税議論が本格的に進むことについては、期待したいとは思います。
しかしながら、現在の岸田首相、あるいは自民党主流派が、今後の減税に含みを持たせているようにも見えません。
ただし、経済対策が出てくる以上は、今後の焦点は解散総選挙ではないでしょうか。
このあたり、『やらない方がマシの4万円減税:でも自民は敗けない?』などでも指摘したとおり、選挙情勢「だけ」で見れば、仮に現時点で岸田首相が解散総選挙を決断しても、自民党が政権を失うほどに惨敗する可能性は、さほど高くありません。
衆院選では、なんだかんだ言いながらも、第一党所属の候補者、あるいは圧倒的な地盤を持つ候補者が小選挙区で勝つ傾向にあるからです。
岸田首相にとっては幸いなことに、最大野党を目指している日本維新の会は、現時点において、まだ全国の小選挙区に候補者を立てるに至っていませんし、現時点の最大野党である立憲民主党は(少なくとも各種世論調査では)支持が低迷し、自民党に勝てる要素がありません。
立憲民主党が最大限勝てたとしても、2021年の選挙時における約60人の「自民党ボーダー議員」のうち、せいぜい半数から議席を奪う程度でしょうし、下手をしたらそれすらままならず、自分たちの「ボーダー議員」40人の当選も危うくなるかもしれません。
このように考えたら、岸田首相が解散総選挙を決断する可能性は相応に残っていると見るべきでしょう。
賢明な投票行動が必要!
もっとも、以上は岸田首相側の判断の話であり、私たち有権者の側としては、「どうせ自民党が勝つんでしょ?」、で思考停止すべきではありません。もし選挙が行われる場合、賢明に投票行動をしなければならないのは、私たち有権者だからです。
この点、当ウェブサイトとして、「自民党に投票してほしい」、「自民党に投票しないでほしい」、などと呼び掛けるつもりはありません。ご自身の選挙区でどの候補者に投票するかは、当ウェブサイトの読者の皆さまがご自身で適切に判断なさってください。
あるいは有権者が賢明であれば、たとえば同じ自民党でも「宏池会所属議員だから落選させる」、「安倍派議員だから当選させる」、といった具合に、候補者のひとりひとりを見て適切に投票行動をとるべき、という考え方も成り立ちます。
といっても、「安倍派」にも「エッフェル塔観光」」「ブライダル補助金」で知られる議員(いずれも参議院議員)が所属していたりしますので、結局は所属政党だけでなく、候補者本人をちゃんと見極めるという態度が有権者にも求められるのです。
その意味では、これから年末にかけて、国内政界には見極めるべき論点が多々ありそうです。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
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【おしらせ】人生で10冊目の出版をしました
自称元徴用工問題、自称元慰安婦問題、火器管制レーダー照射、天皇陛下侮辱、旭日旗侮辱…。韓国によるわが国に対する不法行為は留まるところを知りませんが、こうしたなか、「韓国の不法行為に基づく責任を、法的・経済的・政治的に追及する手段」を真面目に考察してみました。類書のない議論をお楽しみください。 |
【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました
日本経済の姿について、客観的な数字で読んでみました。結論からいえば、日本は財政危機の状況にはありません。むしろ日本が必要としているのは大幅な減税と財政出動、そして国債の大幅な増発です。日本経済復活を考えるうえでの議論のたたき台として、ぜひとも本書をご活用賜りますと幸いです。 |
このボンクラメガネは自身の年収アップにはなんの痛痒も感じないらしい。年収30万円アップだとか?それを庶民には4万円の給付金?しかも一回だけの減税?
やはりボンクラだ。オレは最近、岸田の顔を見ると怒りの感情しか湧いてこない。回りの議員共も異議もとなえない。ふん、、自分らが良ければそれでいか、、、んじゃ国民一人あたり30万円の給付金な!それも一年に一回最低でも10年続けて貰おう。うん、、選挙対策バッチリだな。オレは入れねぇけどな。
17兆円を使っても、根本的に経済を立て直さないと堂々巡りになってしまう。
経済格差を是正する方向で進めるのであれば、どの人たちが低いのか調べる必要があります。
所得倍増に焦点を当てるのであれば、優良企業でないほうの低所得の人に対して最重点に政策を検討実践する。
少子化対策を優先するのであれば、その政策にしたらいいと思う。
ただし、財源は限られてしまうのであれば、優先順位に基づいて割り振るかしない。低所得にせよ、低年金にしても、抜本改正しないと毎年同じ結果になってしまうので、しっかり法改正しないと成果にならない。
岸田文雄の新たな経済対策とはどうなっているのか疑問である。早くもっとできる総理大臣に交代してほしい。
>賢明な投票行動が必要!
自民大負け,でも過半数は何とか維持,メガネは落選
が,理想だなあ。
「わたしを離さないで」のキャシーたちが
不治の病を抱える患者たちに臓器を提供するためだけに存在したのと同様
我らが危地田氏も
台本作者を喜ばせるためだけにこの世に生を受けたのだ
もしも増税を実現せぬまま政治生命を終えれば
彼の人生は全く無意味なモノになってしまう
もちろんいくらモチの絵を描いて示そうが
彼に魂はない
面白いグラフがあります。
https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/condition/010.pdf
【一般会計税収の推移 財務省】
一応いやしくも日本国政府の行政機関である財務省が公表しているデータですから、その内容に誤りはないでしょう。
三大税収と云われる所得税と法人税、そして消費税ですが、前者がそれぞれが987年から、そして消費税がそれが導入された1989年からの推移が一つの表にまとめられております。
所得税は1991年の26.7兆円をピークにずっと低迷しています。今年度は昨年度より1兆円減額する模様です。法人税もまた1989年の19兆円を超えることなく現在に至っています。
これに反して消費税は順調に増加しています。否、順調というよりも爆発的に増えている年があることに気づかされるかと思います。
1997年、2014年、2020年がそれです。それは消費税が3から5、そして5から8、更に8から10%へと引き上げられた年、若しくはその翌年に当たります。
https://biz-wpickup.com/post-325/
これは前世紀のピークを未だに超えられない所得税と法人税の代替税として、消費税があると云うこと、そしてザイム省がそんな便利な税収を手放すはずがないということをを如実に物語っています。言い換えれば国民所得並びに法人所得を政策的に伸ばすことのできなかったが故に、国民全体に税の網を仕掛けられる消費税の税率を逐次上げてきたという証左でもあります。
それにしても増えすぎて使い残した税金を返戻することを、「還元」と言い換えたり「減税してやったのに」などとふざけたもの言いをしている暇があるのなら、さっさと消費税減税に着手すべきです。現在の消費税収はスタートした年から36年で7倍以上となっていることがわかるでしょう。明らかにやり過ぎであり、「取り過ぎ」なのです。
国民からあまねく「取り過ぎ」た税金は、国民にあまねく「返す」べきです。
真偽・ソースとも不明の話を書くのはどうかと思いますが、9/30-10/1に行われた自民党の選挙区調査によれば、現時点で解散総選挙した時の議席数は、「自民261→220、公明32→22、立民96→108、維新41→69、国民10→16、共産10→14」だそうです。これが当たっておれば、自公は過半数を維持しますが、岸田内閣は退陣を余儀なくされるでしょう。
現在、自民党の重鎮が最も警戒しているのは、岸田首相が「どうせ支持率低下で辞めざるをえないのなら、負ける可能性が高いと判っていても、解散を試してみる価値はある」と、”やぶれかぶれ”解散に打って出ることだそうです。逆に野党はそれを狙っているそうです。
はてさて、どうなることやら。いずれにせよ、早く退陣してもらいたい。
岸田文雄の薄っぺらさは如何ともし難いですね。
何というか、人気と人望の違いを理解出来ていない感じ。
普段信じてない筈のマスゴミのガセネタに飛びついて岸田叩きをする連中を見かけますが、彼らの行動も薄っぺらいですね。
ましてや「増税メガネ」なんてネットスラングを恒常的に使って批判したつもりでいるなんて。
岸田文雄首相の発言が信頼されないのは語る言葉がことごとく借りものだからです。
耳打ちされたとおりに口にしているだけ。言っていることをご本人がどれだけ理解できているのか分かったものでない。誰もが怪しんでそう感じる。こんな国政運びでは半年先すら見通せない。
不透明(岸田文雄首相だから)不確実(岸田文雄首相こそ)不信(岸田文雄首相さえ)
「だから・こそ・さえ」
これを退陣圧力三段活用と当方は名付けたいと思います。
>岸田文雄首相の発言が信頼されないのは語る言葉がことごとく借りものだからです。
仰る通り、岸田首相は財務省や外務省など役人のスピーカであり腹話術人形ですね。
自分の言葉がありません。
財務省や外務省などの役人は、神輿は軽いほうが良いと思っているのでしょうけど、安倍政権で一時的に信頼を得ていた自民党は、最早国民の多数の意見を反映していない政党であることが露呈してしまったのでは無いかと思います。
次回の選挙では自公で過半数割れは無いと思いますが、自民党の終わりの始まりになると思います。
>岸田首相は財務省や外務省など役人のスピーカであり腹話術人形ですね。
自分の言葉がありません。
棒読み総理と揶揄された鈴木善幸に比べれば、少しはマシ。
岸田首相がトヨタの豊田章夫と会う機会が多いようですが、なぜ?消費税減税をされた場合、一番困るのはトヨタだからでしょうか?