NHKは世論調査「偏り」を補正せず=末永氏がポスト

NHKは世論調査で母集団に偏りがあっても、基本的にはウエイト補正を行っていないのだそうです。ウエイト補正を行わなければ回答者属性に大きな偏りが生じ、ウエイト補正を行えばサンプル数によっては調査がゆがめられる――。なかなかに難しい問題です。

先日の『回答者が高齢者に極端に偏るNHK世論調査=内部資料』では、浜田聡・参議院議員の公設秘書である末永ゆかり氏がX(旧ツイッター)などにポストした内容をもとに、どうやらNHKの世論調査では回答者の3分の1が70代以上だったらしい、とする話題を取り上げました。

これによると、NHKが実施した2023年10月分の『政治意識月例電話調査』の回答者属性は、70代以上が33.6%、60代が17.2%、50代が16.7%で、70代以上で3分の1、60代以上で過半数、50代以上で3分の2、と、高齢層に非常に偏っているというのです。

また、サンプルは固定電話が748件、携帯電話が1,618件ですが、有効回答数は固定電話が495件(66.18%)、携帯電話が724件(44.75%)と、固定電話の方がはるかに高いことがわかります(そもそも若年層は固定電話を持っていないケースも多いのではないでしょうか)。

また、回答者の職業も4分の1超が「無職」で、主婦・主夫(15%)や学生を合計すれば43.5%、これに対し勤め人が37.3%だったそうです。

いずれにせよ、この回答者属性、社会の人口構造と比べて大きく偏っていることは間違いありません。

こうしたなか、この話題に関連して末永氏は19日、こんな内容を追加でポストしました。

末永氏によると、NHKに対してこの回答者属性の偏りについて質問したところ、NHKの側からは「原則としてウエイト補正を行っていない」とする回答があったのだそうです。

末永氏はこれについて、「NHK世論調査は補正をかけていないので、50%以上が60歳以上、33%以上が70歳以上という属性のアンケートだと思って見なければならないことがわかりました」、とポストしていますが、まさにそのとおりでしょう。

ただし、問題はNHKだけでなく、メディアが実施している世の中の多くの世論調査が、似たようなものではないか、といった疑問にあります。

そして、他メディアはもしかしたらウエイト補正を行っているのかもしれませんが、もしそうならば、その「補正のやり方」次第では調査結果がそのメディアの恣意によって調整されてしまう可能性だってあるでしょう。なかなかに難しい問題です。

いずれにせよ、「世論調査の信頼性」については、今後も継続的に意識していくべき疑問点なのかもしれません。

本文は以上です。

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読者コメント一覧

  1. ねこ大好き より:

    かつて中国の李克強首相は、自国の経済分析を、GDPではなく電気の消費量で行なった、という有名な逸話があります。
    日本も、首相の支持の状況分析を、支持率調査ではなく、別の方法で行わなくてはならないのかもしれませんね。それこそXの分析になるのでしょうか。オールドメディアは自分で自分の信頼性を毀損している。それでいてオールドメディア離れの原因分析や対処ができていない。岸田氏と同じです。

  2. nanasi より:

    どのくらい、「高齢層に非常に偏っているか」を、「【2022年最新】日本の年
    齢別人口推計」のページ掲載されているデータから調べてみました。
    ##https://eleminist.com/article/2174
    NHK『調査』の割合 2022年最新の日本の年齢別人口推計
    ————————-
    70代以上33.6% → 22.6%
    60代が17.2% → 12.2%
    50代が16.7% → 13.6%
    ————————————
    70代以上で3分の1(33.6%) → 約5分の1 (22.6%)
    60代以上で過半数(50.8%) → 約3分の1 (34.8%)
    50代以上で3分の2(67.5%) → 約2分の1 (48.4%)

    50代以上で、20%くらいの開きがあるのは、ちょっとな、と思いました。
    「年齢別人口推計」で、50代以上が、世の中の半分は驚きでした。
    ##もっと少ないと思っていた。

  3. 7shi より:

    NHKの世論調査について – よくあるご質問 | NHK放送文化研究所
    https://www.nhk.or.jp/bunken/yoron/nhk/faq.html

    Q. 調査に回答する人はどうやって選んでいるのですか?
    A. 世論調査に回答する人は、特定の地域、年齢、性、職業に偏らず、日本にお住まいの方々の縮図となるように選びます。まず、全国から 「調査地点 (調査する字町丁目)」 を選びます。(以下略)

    Q. 電話法による世論調査の調査対象は、携帯電話も含まれているのですか?
    A. 2016年12月より、電話法による全国世論調査について、固定電話の電話番号に加え、携帯電話の番号にも電話をかけて調査を実施しています。(中略) 携帯電話への調査は、全国を対象としたものに限り、地域を特定した調査では行っておりません。携帯電話では電話番号から地域が特定できないためです。

    Q. 固定電話に加えて携帯電話にも電話をかける世論調査では、固定電話と携帯電話の回答者の割合はどのようにしているのですか?
    A. NHKで実施している全国世論調査 (配付回収法) により、年に1回程度、国内の固定電話と携帯電話の保有者の割合を調べて、固定電話と携帯電話の回答者の割合を決めています。

    Q. 固定電話に加えて携帯電話にも電話をかける世論調査では、固定電話と携帯電話の回答の集計はどのようにしているのですか?
    A. (末永ゆかり氏への回答と同じ)

    そもそも携帯電話だと、市外局番で地域を絞り込むこともできないのに、どうやって地域的な偏りのないサンプル抽出をしてるんですかね? もはや 「電話世論調査」 という調査方法自体が、精度に於いて信頼できないのでは?

    なお、今年は統一地方選の年だったから、いつもなら選挙前に地方紙や地方局が地元を対象にした電話世論調査を行うのに、今年は全然行われませんでした。(カネと手間のかかる 「郵送方式」 や 「面接方式」 で世論調査を行なった地方紙や地方局は無かった模様。)

    ちなみに2021年の衆院選では、ほとんどのオールドメディアが結果予想を外した中、ネット調査の結果も加味して予想を出した朝日新聞が、一番近い数字でした。(NHKは 「〇〇党:〇議席~〇議席」 のように幅を持たせて予想していたが、自民党の予想議席数には50議席くらいの幅を持たせていて、予想になっていなかった。)

  4. 雪だんご より:

    世論調査のウェイト補正その物はしなくて良い。
    その代わり見た側がしっかり分析できる様に(望むならウェイト補正を施せる様に)
    調査結果を細部に渡って発表する。

    これがベストだと思いますが、そうなると世論操作力がますます低下するから
    世論調査をする側はやりたがらないでしょうね。

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