ロシアが日本産水産物輸入を制限:輸出が3億円減少へ

ロシアが中国の輸入規制の例に倣い、日本産の水産物の禁輸に参加しました。これにより日本は年間約2~3億円の輸出を失うなどの経済的打撃を被ります。ちなみに下手をすると東京都心で最近売り出されている新築タワマンの方が高いかもしれません。それどころか、日本は今年1~7月の実績ベースでロシアから魚介類等を682億円分輸入しています。日本が対抗措置を講じたら、影響が大きいのはロシアの側でしょう。

ロシアが日本産水産物の輸入を規制へ

久しぶりに、心の底から驚く話題がありました。ロシア政府が中国の例に倣い、日本産の魚介類の輸入を制限すると発表したのです。

Russia joins China’s curbs on Japan fish, seafood imports

―――2023/10/16 18:42 GMT+9付 ロイターより

なんとも強烈です。ロシア政府はいったい何がやりたいのでしょうか。

今回の措置、日本経済への影響はほぼ皆無

ちなみにロシアの輸入規制の話題については、当ウェブサイトでも先月の『ロシアが日本産水産物禁輸へ?壮大なセルフ制裁の予感』で指摘したとおり、正直、日本経済にとっての影響はほぼ皆無です。

というのも、日本のロシアに対する魚介類の輸出額は、2022年実績で2億5792万円に過ぎませんでした。また、2023年に関しても1月から7月までの累計で2億0864万円に過ぎません。下手をすると、最近、東京都心部あたりで売り出されている新築の分譲高級タワーマンションの方が高いくらいです。

しかも、もしも日本が対抗措置を講じてロシア産の水産物の輸入を全面停止しようものなら、むしろロシアにとっては貴重な外貨獲得源が消滅しかねません。

日本のロシアからの輸入額は2023年1月から7月の累計で6206億7938万円ですが、このうちのだいたい6割が鉱物性燃料(LNGなど)であり、これに続いて2割弱が非鉄金属(パラジウムやアルミニウム)、そして10%弱が魚介類です。ちなみにカニの輸入額は178億円で、輸入金額の約3%を占めています。

日本経済にとって打撃が皆無であるだけでなく、日本が対抗措置を講じた場合には、むしろロシア経済の側にこそ大きな打撃が生じかねない――。

考えれば考えるほどに、ロシア政府が何をやろうとしているのか、理解に苦しむところです。

振り上げた拳を下せなくて困る中国

そういえば、中国が日本産の水産物の輸入制限を課してから、もうすぐ2ヵ月が経過しようとするところです。現在のところ、基準値を超える放射性物質が水産物から検出されたとの報告はありませんが(当たり前でしょう)、中国は日本産水産物の輸入規制という「振り上げた拳」の落としどころに困っているようです。

当たり前ですが、この問題で日本が中国に「折れる(?)」必要は、まったくありません。輸入規制は自分の国が始めたものですから、それがもたらす効果も含め、全面的に自分の国で責任を取るべき筋合いの話だからです。

中国はちょっと経済制裁で相手を脅せば、すぐに相手が屈すると勘違いしているフシがあります。

こうした「成功体験」を中国に植え付ける原因となった国のひとつは、おそらくは韓国でしょう。2017年の「THAAD制裁」のときも、中国は韓国の当時の文在寅(ぶん・ざいいん/ウェン・ツァイイン)政権から「三不の誓い」なる譲歩を引き出したためです。

しかし、2021年に台湾に対し、パイナップル禁輸措置を講じた際には、台湾は中国に屈することなく、パイナップルの販路を日本に求めたことで、台湾は販路を失うことなく、それどころか日本人も美味しい台湾パイナップルを食することができるようになるなど、日台双方がウィン・ウィンの関係になりました。

今回の規制も「台湾パターン」

今回の水産物輸入規制も、「韓国パターン」ではなく、明らかに「台湾パターン」となりつつあるようです。

そして、中国の輸入規制にロシアが加わったことで、国際社会に対してはますます、「中露無法国家連合」という印象を与えることになるでしょう。

かさねがさね、ロシアという国がいったい何をやりたがっているのか、理解に苦しんでしまう次第です。

本文は以上です。

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読者コメント一覧

  1. Ken より:

    せいぜい鈴木宗男議員を吊し上げた事への報復ではないでしょうかw

  2. 匿名 より:

    明日の中露会談への細やかなお土産、機嫌取り。

  3. ねこ大好き より:

    今頃岸田氏は頭を抱えている。高市の阿呆が中国様を刺激するからロシアが同調してきたんだ。よし!日本国民の為、耐え難きを耐え、ここはこの岸田が泥をかぶり、ロシアに謝罪しよう。対抗措置?ロシアを更に刺激するではないか!
    なんて考えているかも。

  4. これだけ より:

    17日北京で一帯一路会議プーチン出席のせこい手土産?

  5. より:

    まあ、中国への義理立てでしょ。
    日本からの水産物輸入を止めても、ロシア側にも日本側にもたいした影響はないし、仮に日本が対抗措置を取ったとしても、年間700億円にも満たない程度ならば、その分くらいは中国様が買ってくれるでしょう。あるいは、北朝鮮との間で、水産物と弾薬のバーター取引なんてのもあるかもしれませんね。

    タラバガニの市場価格がちょっと上がる……かな?

  6. たろうちゃん より:

    岸田はバカだから目先の反応しかみることができない。カネをばらまくなんてことは誰でも考えられることなのだ。たかだか3億円の輸入禁止など対抗措置として魚介類の輸入をストップさせれば困るのはロシアの方ではないか?少くとも600億円にはなるだろう。止めればロシアの国内の漁業関係者は騒ぐんじゃないか?そうなればウクライナへの側面支援にはなる。ま、ウクライナも中東戦争勃発で安穏とはしていられなあ。西側の支援が分散される可能性がある。取り分けアメリカ。ロシアに勝機が見えてきた。舵取りが難しい。バカが総理じゃ心もとない。

  7. 引っ掛かったオタク@ワカランワカラン より:

    まー自公政権ではヤらんでしょうが、「北方領土返せ」キャンペーンを大々的に展開して2国間更に冷却してみるのもまた…

  8. 伊江太 より:

    たとえ3億円(200万ドル)弱とは言え、今外貨が出ていくのとっても痛い。

    それほど外貨事情が切羽詰まってると見透かされずに、輸入抑えようとしたら、日本の水産品なんてのは、まあ一応は、外貨節約以外の理屈を付けられる分、対象として好都合。

    それにこんな些細な金額(日本にとっては)なら、そう目くじら立てられることもあるまいから、強烈な反撃喰らって、泣きっ面に蜂なんてことにはならないだろう。

    なんか出し遅れの証文みたいで、今更感の強いロシアの今回の措置ですが、色々熟慮を重ねた結果こうなった、じゃないでしょうかね?(笑)。

  9. 簿記3級 より:

    大間のマグロ1匹分に満たない額ですね。
    ロシア人も鯉は食べるそうなので福島県郡山市の養殖鯉業者に打撃があるのか、ないのか。おそらく無さそうに思えます。

  10. 匿名 より:

    ロシアへの水産物輸出額 < ヒカキンの家
    やっぱヒカキンってスゲェや

  11. 匿名 より:

    ロシアが中国の足を引っ張ってるね

  12. Masuo より:

    ロシアは中国と足並みを揃えて西側に対抗するよ、って意思表示でしょうね。
    輸入制限で痛い目に合わせてやろう、というような意図は無いと思います。
    (一部の日本国内の工作員は大騒ぎするかもしれませんが・・・)

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