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ガソリン不足に見るロシア経済疲弊とウクライナの攻勢

ロシアでガソリン不足が表面化し、ガソリンやディーゼルの輸出を禁止する措置を講じたとの報道が出てきました。西側諸国による経済制裁でロシアの産業・経済がジワリと疲弊している証拠といえるかもしれません。これに加えてウクライナがどうもロシア領内に対する攻撃を強化しているようなのです。英国防衛省によると攻撃はクリミア半島やその対岸のクラスノダール地方、さらにはモスクワ東部の空軍基地にも及んだとのことですが、これをどう見るべきでしょうか。

ウクライナ戦争は膠着状態か

ウクライナ戦争は2022年2月に勃発して以来、早くも1年半以上が経過しました。

ここまでくると、長期戦も良いところでしょう。

戦端が開かれた当初は、火力で圧倒的な優位に立つロシアが短期間のうちにウクライナの首都・キーウを掌握し、ウォロディミル・ゼレンシキー政権が崩壊することで、ウクライナが事実上、ロシアの衛星国家となるだろうと予想する人も多かったのではないでしょうか。

ところが、ゼレンシキー大統領はキーウから逃亡するどころか、首都に留まって徹底抗戦を支持。

西側諸国からの武器供与などの事情もありましたが、ウクライナ軍はロシア軍を相手に善戦し、ロシアは同年3月末の時点でキーウの制圧を諦めて首都近郊から撤退。その過程でブチャなどにおける残虐な行為が知れ渡り、おもに西側諸国からの批判を浴びるなどしました。

ただ、ロシアは2014年以来、クリミア半島とセバストポリ市を実効支配しているのに加え、今回の戦争で「獲得」したウクライナ東南部を依然として広範囲で占領しています。

CNNの昨年6月時点の記事によれば、ゼレンシキー大統領はロシア側が依然として国土の20%を支配していると明らかにしており、これらのうちヘルソンなど一部地域はウクライナ側が奪還したものの、依然としてウクライナ側は全領土の奪還ができていない状況にあります。

「ウクライナ国土の20%がロシアの支配下に」 ゼレンスキー大統領

―――2022.06.03 09:42 JST付 CNN.co.jpより

正直、戦況は膠着しているように見受けられます。

燃料不足でガソリン輸出禁止:ロシアの産業・経済疲弊の証拠か

もっとも、漏れ伝わるところによると、ロシアでは昨年の西側諸国による経済制裁により、いくつかの物資の輸入が滞り始めているようであり、これに加えてこんな記事も出て来ています。

ロシア、旧ソ連4カ国以外への燃料輸出を一時禁止 燃料不足で

―――2023年9月22日 5:28 GMT+9付 ロイターより

ロイターによるとロシアは21日、「国内市場を安定させるため」として、ガソリン及びディーゼルの輸出を一時禁止することにしたそうです(例外的に輸出が認められるのは旧ソ連構成国でもあるベラルーシ、カザフスタン、アルメニア、キルギスタンの4ヵ国のみだそうです)。

ロシアといえば「産油国」であるはずで、その「産油国」であるロシアでガソリンやディーゼルの不足が生じているというのは、なにやら奇妙な現象だと思うかもしれません。

しかし、現実に原油からガソリンなどを作るためには、かなり複雑な工程を経ることが必要であり、製油所のメンテナンスの都合上、どうやらロシアではガソリン不足が常態化しているフシがあるのです。

想像するに、ロシアでは現在、「モノを作るためのモノ」の西側諸国からの輸入が滞っている状況ではないでしょうか。その意味で、ガソリン不足はロシアにおけるサプライチェーンが混乱を来し、ロシアの産業・経済が疲弊し始めている有力な証拠のひとつ、といえるのかもしれません。

英国防衛省のXポストが興味深い

ところで、ウクライナ戦争を巡り、当ウェブサイトではしばしば、英国防衛省がX(旧ツイッター)に投稿している『インテリジェンス・アップデート』の情報を紹介してきました。この『インテリジェンス・アップデート』によるポスト、あとから振り返ったら比較的正確な内容も多く、情報源のひとつとしては、それなりに信頼できるものでもあります。

そして、本稿で取り上げておきたいのが、これです。

大雑把にいえば、地上戦自体は落ち着いているものの、ウクライナ側がロシアの占領地域だけでなく、その後背地に対しても攻撃を積極化させており、ロシアがこれに対する報復としてウクライナに長距離攻撃を実施している、とするものです。

原文は英語ですので、原文とそれに対する意訳を掲載しておきます。最初の文章は、これです。

  • Over the last four days, both Russia and Ukraine have experienced unusually intense attacks deep behind their lines. There have been reports of explosions at Russian logistics sites, air bases and command posts in Crimea, the Krasnodar region, and near Moscow. (直近4日間で、ロシア、ウクライナ双方はいずれも自陣営の背後で異例の集中攻撃を受けた。クリミア、クラスノダール地方、モスクワ近郊にあるロシアの兵站拠点や空軍基地、司令部で爆発が報告されている。)

クリミアとモスクワはなんとなく想像が付きますが、「クラスノダール地方」とは正直、ロシアの地理に疎い方であれば聞きなれない地名でしょう。調べてみると、同地方はクリミア半島とはケルチ海峡を隔てた対岸にあり、純粋なロシア領です。

攻撃の事実は部分的にロシア自身も認めている

クラスノダールといえば、CNNの次の記事によると、ロシア国防省が22日、防空システムが夜間にウクライナのドローン2機を撃墜した、などとする声明を出している地域でもあります(ロシア側の被害や犠牲者については言及なし)。

ロシア、ウクライナのドローン攻撃を阻止 国防省

―――2023/9/22 15:51 JST付 CNN.co.jpより

また、ウクライナが黒海艦隊の基地に向けてミサイルを発射したとする情報は、当のロシアメディア自身も(間接的ながら)認めています。ロシアの『タス通信』(英語版)によると、セバストポリの知事が土曜日、ロシア側が撃墜したウクライナのミサイルの一部がセバストポリ湾北部に墜落した、などと述べたと報じたからです。

Debris from downed rocket fall on northern part of Sevastopol Bay — governor

According to preliminary information, air defenses were activated in Sevastopol

―――2023/09/23 15:38付 タス通信英語版より

よって、このインテリジェンス・アップデートの情報は、やはりある程度は正確なのでしょう。

いずれにせよ、現在のウクライナはロシアの占領地域を飛び越えて攻撃する態勢をもっていることは間違いなさそうですが、興味深いのは次のこんな文章です。

  • It is highly likely that Russia’s Black Sea Fleet has again been heavily targeted. However, the explosions at Chkalovsky Air Base, near Moscow, are likely to be of most strategic concern to Russian leaders. (ロシアの黒海艦隊も再び激しく狙われたという可能性も高いが、おそらくロシアの首脳陣にとっての戦略上の関心事は、モスクワ近郊に位置するチカロフスキー空軍基地での爆発であろうとみられる。)

「チカロフスキー空軍基地」について調べてみると、なんと、首都・モスクワよりも約30㎞東方にあります。

これにはいったいどういう意味があるのでしょうか。

インテリジェンス・アップデートのポストは、こう続けます。

  • This is a sensitive location because it hosts specialist military aircraft as well as VIP transport for Russian leaders. (この基地はロシアの首脳陣らに対するVIPとしての輸送拠点にも使われる専門性の高い軍用機を所管するなど、敏感な場所でもあるからだ。)
  • Reported damage to a COOT special mission aircraft is particularly relevant: the exact variant involved is unclear, but these valuable assets undertake missions which include electronic intelligence collection. (COOTと呼ばれる特別任務用の航空機にも損傷が報告されている。巻き込まれた航空機の正確な機種は不明だが、これらの貴重な資産は電子情報収集を含めた任務を担っていたとみられる。)

つまり、ロシアのVIPの輸送を担う拠点であるとともに、「COOT」と呼ばれる任務を遂行していた機体にも損傷が生じている、ということだそうです。

ロシアの報復攻撃も…ロシアは確実に疲弊

インテリジェンス・アップデートによると、ロシアはこのところ、ウクライナ各地に対する長距離攻撃を仕掛けているのだそうですが、英国防衛省にいわせると、これは戦略面での優位性確保だけでなく、ロシア領内の拠点などに対する攻撃への報復、という意味合いも含まれているのだとか。

  • Russia has launched long-range strikes at targets across Ukraine repeatedly over the last week. (ロシアは先週以降、ウクライナの全土を標的とする長距離攻撃を開始している。)
  • This unusual intensity is likely partially in response to the incidents in Russia and Crimea. With the ground battle relatively static, each side is seeking advantage by striking through their adversary’s strategic depth. (この攻撃は異例なほどに激しいが、部分的にはロシア本土とクリミアに対する攻撃に対する報復と見られる。地上での戦闘には比較的落ち着きが見られるなかで、双方は相手国の奥深くの戦略拠点を突くことにより、戦況面の優位性を確保しようと努力している。)

もちろん、この英国防衛省のXポストを全面的に信頼して良いのかどうかという問題はあります。ただ、インテリジェンス・アップデートのポストは、結果的に見て、信頼し得る内容のものも多いことは間違いありません。

正直、短期的に見て、ウクライナ戦争がどちらかの勝利で劇的に終結する可能性がどこまであるのかについては議論があるところですが、少なくともロシア経済が疲弊していること、ウクライナが長距離攻撃を積極化していることに関しては、間違いないといえるでしょう。

新宿会計士:

View Comments (17)

  • ウクライナ軍も多大な犠牲を払いながら少しずつ前進しているようです。メリトポリ近辺の幹線を遮断できるのも時間の問題ではないでしょうか。

    米国もようやく射程300kmのATACMS供与を発表したようです。
    当面はクラスター弾のみで、施設の破壊というより面制圧の用途になるそうですが。米国内にもいろいろ思惑があるようで遅々として進みません。

    昨日だか、クリミア半島の艦隊司令部の攻撃に使ったのは欧州から供与されたストームシャドウだそうです。複数発命中したようです。威力を増すために露のレーダーからはよく見える高空から突入させたようですが、ロシア最新鋭の防空システムS-400があまり役に立たなかったようです。
    証拠動画はツイッターで流れまくってます。

    最近S-400買った多くの国のことを心配する意見で溢れていました。(笑)

  • ロシアは、本土のガソリンをウクライナの戦場に送っているのでしょうか。そうなると、戦時体制を宣言しないと、これ以上、ガソリンを送るのが難しくなるのではないでしょうか。

    • もしかしたら、ロシア軍はウクライナの戦場で、(戦争中の大日本帝国のように)「ガソリンの一滴は、血の一滴」になるのでしょうか。
      蛇足ですが、ロシアは中国からガソリンを輸入するのでしょうか。

      • 軍用車は、軽油でしょうね。
        航空機は、ケロシン(灯油の一種)。
        公用車や自家用車などのレシプロエンジンならガソリンですから、
        国民が日常生活に困りそうですね。

  • 自由民主主義国家陣営に属する日米台が、反民主主義国家陣営に属する西南北朝鮮と戦う際の、後背地への攻撃の重要性が分かりますね。

    次の戦争は必ず勝利し、ゆくゆくは日本が自由民主主義国家陣営の盟主となりたいものです。

    米国?
    あれは上半身はスーツで下半身は裸の、欲望丸出しの強欲国家なので宗主国には本来相応しくないです。

    • >ゆくゆくは日本が自由民主主義国家陣営の盟主となりたいものです。

      願望を持つのは自由ですが,それにしても僅かでも現実味のある願望に留めておいたら如何ですか? 日本が自由民主主義陣営の盟主になって欲しいなどという願望は余りにも日本の現実からかけ離れて全くの失笑モノです.

      18歳以上を対象として行われた「戦争になったら国を守るために戦うか?」というアンケートに僅か13%ほどしか「はい」と答えない国が自由主義陣営の盟主になって欲しいなんて,文前大統領らを含め韓国民の多くが抱いている「韓国はG8に相応しい」という妄想さえも可愛く見えるレベルのスーパー妄想です.

      指摘しておられる通りアメリカは強欲な国だと私も思いますし,私はアメリカが嫌いですが,自由民主主義陣営の国々においてアメリカが戦後の長い間,盟主と看做されそれなりに尊敬されて来た(そして強欲ではあるが同時に自由民主主義を守る盟主として陣営諸国から敬意を持たれるに相応しい行動をアメリカは執って来た)と私は認めます.

      何故,アメリカが盟主として敬意を受けるに相応しかったかと言えば,自由民主主義を守る世界の警察官としての仕事=対共産主義の戦いを現実にそれなりに果たして来たからです.

      (その典型は,既に西太平洋地域における自由民主主義陣営の防衛ラインから朝鮮半島は切り捨てる判断してアチソン・ラインを宣言していたのに,現実に北朝鮮による韓国への侵攻が始まったら韓国防衛のために米兵の多大な血を流すことを厭わなかったこと)

      自国の防衛でさえ僅か13%の国民しかやろうとしない国が自由民主主義陣営の防衛役など果たせる可能性はゼロですし,自由や民主といった崇高な理念を守るために(多少の金は出すでしょうが)血を流す気はゼロの国を他国が盟主と仰ぐことなど有り得ないのは明らかです.

      己の力量を無視した誇大妄想的で威勢だけ良い妄想は国を滅ぼす危険性が非常に大きい.ちょうど約80年前に八紘一宇や大東亜共栄圏という誇大妄想に取りつかれて殆ど国を滅ぼすまでに至ったのです.

      否,実際に戦前の日本国民が持っていた忠誠心などの国民としてのモラルはGHQによって徹底的に破壊され,その結果として「戦争になったら国を守る」という答えが国民の僅か13%しかいない「国モドキ」に成り下がったのですから,それまでの日本と言う国は敗戦で解体されて滅びてしまい,今現在,我々が暮らしているのは「日本モドキ」と呼ぶのが本当は正しいのかも知れません.

      「自由民主主義陣営の盟主になる」などという誇大妄想な願望を持つ前に,どうやって国モドキをちゃんとした国に建て直すかを真剣に考え実行することが不可欠であり,日本モドキのより良い未来へ向けて進む上での目標設定として正しい順番です.

  • >モスクワ近郊に位置するチカロフスキー空軍基地での爆発

    ロシア国民にも「対岸の火事」ではなくなりました。
    当事者としての自覚に目覚め早期終戦させて欲しい。

  • 戦争、特に現在のような消耗戦が長期化すれば、国力を損耗し、経済が疲弊するのは、ある意味当然なことです。西側による経済制裁が何の効果も上げてないということはなく、それなりに効いているだろうとは思いますが、一部の人が期待したような劇的な効果は挙げられていないとは言えるでしょう。何しろ、「国際金融の核爆弾」とまで一部では言われていたSWIFTからの排除ですら、(あくまでも)今のところロシアは平気な顔をしていますし、これまた一部の人が夢想していたような「西側の奢侈品を享受することにすっかりなじんだロシアの消費者が、西側製品を入手できなくなったらすぐに音を上げ、政権を揺るがすだろう」なんてことも、これまでのところ全く起こっていません。つまりは、プーチン大統領の戦争継続意思を挫くには至っていないのです。

    もちろん、ロシアの国力とて無限ではありませんが、西側の支援余力もまたけして無限ではありません。このまま推移すれば、いずれどちらか、または双方が限界に達するでしょうが、それが何時になるのか、現時点では見通し不明です。それはすなわち、現在の膠着状態がいつまで続くか見通せないということでもあります。
    今のところ、小麦などの価格はおおむね安定しているようですが、輸送インフラの破壊や農地の損耗により、小麦の一大輸出国であったウクライナの輸出能力が侵攻前の水準にまで回復するまでにはかなりの年月が必要でしょう。そうなれば、ウクライナ産の小麦に依存していた中東やアフリカ諸国の政情不安につながりかねません。このように、露宇戦争は単に二国間の問題に留まらず、多くの国に影響を及ぼし得るものであり、戦争の継続は、武器弾薬製造業者を除いて、誰一人幸福にしません。その意味でも、一刻も早い停戦が望ましいのですが、現状、当事者を含めて誰も見通しを立てられないということだと思います。

    結局のところ、消耗戦を継続している以上、ロシア経済の疲弊は当然の成り行きでしかなく、ガソリンなどの禁輸がその一端を露呈したものであったとしても、それだけで戦争の帰趨を占いうるほどの話ではないと考えます。

  • ロシアで国内ブランド衣料の製造が始まったとの報道記事が出ています。
    France 24 English 2023 年 9 月 14 日投稿 3 分 15 秒英語字幕あり
    Made in Russia' fashion industry tries to fill gap left by Western brands
    熟練労働者不足、縫製機械確保困難、何より布が手に入らないということで、本来は誇るべき国産衣料製品産業は前途多難なようです。動画は最後で西側製品が手に入らなくなって代わりに立ち上げた愛国ブランドの名は英語だったとちくりとやっています。

  • 最近の、映像で、映し出される、独裁者:プーチン の、
     目の力のなさ、顔色の悪さが、
     戦況が思わしくなく、経済も上手く回っていない、
     証左ではないかと思っています。
     言葉は、勇ましいですけれどもね。

     要は、継戦に、国の統治に、
     自信がなくなりつつ有るのではないかと。

    開戦 当初の恫喝は、目に力がこもっていたような印象が。

     もっとも、影武者・病気が、原因かも知れませんが?

    客観的 論調の多い中で、主観で、申し訳有りません。

  • ウクライナ軍は、クリミア半島の孤立化を狙っているようです。
    クリミアへの補給を断つため、ロシアの占領地域を東西に分断する作戦を進めていますが、先日第一防衛線を突破したようだというニュースがありました。
    第二、第三防衛線の突破は時間の問題とのことで、冬になる前にアゾフ海沿いのロシアの補給ルートに砲弾が届く距離まで迫ることが目的とのことです。
    ロシアの占領地域が東西に分断され、クリミア半島が孤立化すれば、ロシアは一気に劣勢に追い込まれるように思います。
    プーチン政権は今後ますます苦しくなることが予想されます。
    どのような展開になるのか、この1~2か月間が分かれ目だと思います。

    • どうでしょうね。ケルチ海峡をまたぐクリミア大橋は、確かに何度か攻撃を受けているようですが、今のところ橋梁自体が崩落したというニュースはありません。(おそらくは)ウクライナ軍による攻撃も、目的を完遂したというわけでもないようです。また、そもそもクリミア半島は海に囲まれており、黒海北部でロシア艦艇がほぼ自由に行動できる以上、ロシア本土からの補給が完全に途絶するということはないでしょう。なので、たとえ占領地が東西に分断されたとしても、ある意味侵攻前に戻るというだけであり、そのことでロシアが一気に劣勢になるということはないだろうと思います。
      ただし、「回廊」の確保はロシアの侵攻目的の一つではあったでしょうから、戦果の一つを失わせるという意味はあるでしょう。それも、ウクライナが奪還した土地を保持し続けられたらという話ですが。

      もちろん、ロシアが苦戦していないとか、何のダメージも蒙ってないという話ではありません。間違いなくロシアは大いに国力を損耗しているでしょうし、「回廊」確保の失敗は侵攻目的の一つ(でも最優先ではない)を果たせないことになります。
      でも、「ロシア憎し」あるいは、ロシアの敗北を願いすぎるあまりに、ウクライナ側の戦果を過大評価し、今度こそロシアはキャンと言うに違いないと考えるのは、単にそうだったらいいなあという願望でしかないのではないか、そのような視点を保持しておくべきではないかと思います。

      • > ロシアの敗北を願いすぎるあまりに
        私が関心があるのは、プーチンが追い込まれた場合、ロシアの国内情勢がどう変わるのかと言うことと、習近平の対露政策です。
        また、ウクライナも早く戦果を上げないと、NATOの支援疲れによる足並みの乱れが今後の戦況を左右することになりかねません。
        戦場の実態は我々は知る由もありませんが、戦争に関わる全ての国が何らかの国内事情を抱えています。
        今後1〜2ヶ月間こう着状態が続けば、支援する側の足並みの乱れが懸念されます。

        • 先日ポーランドがウクライナ向け武器供与の停止を言い出したように、すでに綻びの一端が見えつつあるような感じがします。この措置の直接の引き金となったのは穀物輸出の問題らしいですが、軍事支援や難民の受け入れなどで、ポーランドもまたかなり国力を損耗していることは明らかです。供与した武器の穴埋めに、韓国製兵器(自走砲など)の導入を検討しているという情報がありますが、事実だとしたら、よほど金に窮しているとしか思えません。韓国製品一般に通じる話ですが、どれほど立派なカタログスペックであっても、額面通りに動くとは限らない、信頼性/耐久性に欠けるということを韓国軍自身が実証していますので(延坪島事件参照)、たとえ安価であったとしてても、実際に戦力化できるかどうかは運次第です。

          ポーランドなどの東欧諸国が懸命にウクライナを支援するのは「明日は我が身」という思いが一番強いと思いますが、ウクライナと心中するつもりなどさらさらないでしょう。あえて酷い言い方をすれば、ロシアが十分に消耗し、少なくとも向こう10年くらいは自国に侵攻するだけの余力を持ちえないことを見極められれば、軍事支援の打ち切りも十分あり得ます。ドンバス地方の帰属など、それほどの関心を持っているとは思いません。そうなれば、むしろウクライナへの停戦圧力が高まる可能性すらあると考えています。

  • どう転んでも、ロシアへの信頼、信用は地に落ちた。ウクナイラだって西側頼みだから帰趨の行方は、判らない。政治家はお気楽に支援を口にするが、ガソリンや電気の高騰を招いたのは、明らかにコロナでありプーチンの戦争なのだ。正義を標榜しているから世界は、ウクナイラを支援するのだ。北朝鮮、中国なによりもロシア自体が核保有している。西側はアメリカが圧倒的に保有はしてるがインドやパキスタン、ユダヤのイスラエルは帰趨がハッキリしない。お互いの抑止力で膠着を保っている。真剣に核保有を議論しなければならない。9条の扱いも焦点だ。日本の政治家は心許ない。

  • 日露戦争のように第三国が仲介に入り戦争を終結させるのか、フォークランド紛争のように仕掛けた国の内政が崩壊し終結するのか、カンボジア和平のように国連が介入するのか、分からない状況ですが、国連が機能しないのは間違い無いですね。
    この戦争が終わった時、ロシアは戦争前と同じ国際的地位であることは許されないと思います。ウへの賠償金、戦争犯罪者の処罰、国連安保理の常任理事国の剥奪、核軍備の縮小は必ず行なわれないといけない。そしてその時、日本がしっかり日本の国益を獲得できる為にウへの支援を行わないといけないと思います。岸田氏は戦後の日露関係を考えてますかね?考えてないでしょうね。今しか見えてなさそう。