欧州の事例に学ぶ入国税の現実性
オーバーツーリズム問題――、すなわち「観光公害」の問題を巡っては、欧州で興味深い事例がありました。入市料を徴収しようとしているベネチア市の例です。入市にあたっては時間枠指定を行ったうえで、入市希望者が多い日付は入市料が増額される、などの仕組みだとか。ほかにもギリシャのアテネでアクロポリスへの入場に予約制を導入する、アムステルダムでクルーズ船の入港を禁止する、といった事例もあるようですが、日本の場合はどうなのでしょうか。
オーバーツーリズムで苦しむ鎌倉高校前1号踏切
最近、当ウェブサイトでよく取り上げる話題のひとつが、オーバーツーリズムです。
最近だとこれに「観光公害」などの和訳もあてられるようですが、要するに、観光客が増え過ぎて地元の人たちが何らかの迷惑を被っているという状況を指します。たとえば『中国で販売される旅行商品は日本が韓国の9倍=韓国紙』などでも紹介した、「江ノ電聖地問題」がその典型例でしょう。
江ノ電「スラムダンク踏切」に外国人客が殺到!ゴミのポイ捨て、民家に侵入…観光公害の深刻危機
―――2023.8.22 7:00付 ダイヤモンドオンラインより
ウェブ評論サイト『ダイヤモンドオンライン』に掲載された、「乗り物ライター」の宮武和多哉(みやたけ・わたや)氏が執筆した記事によると、海外でも人気のアニメ作品のオープニングで登場する江ノ電の「鎌倉高校前1号踏切」前に外国人観光客などがたむろする様子が取り上げられています。
「踏切周辺は平日の日中でも70~80人、多い時で100人以上の人だかりができ、警備員の制止を振り切って車道に飛び出したり、ゴミを捨てたりするなど、マナー違反が目立つ。中には民家の庭へ侵入するなど、迷惑行為では済まされない事件も発生している。踏切に関する警察への苦情は、22年の18件から23年の6月末時点で50件近くに激増したという」。
典型的な外部不経済
これは、本当に悩ましい問題です。
もちろん、日本のアニメが好きで日本にやって来てくれるという外国人観光客が増えることは「嬉しい話」ですし、これらの外国人が日本国内で宿泊し、食事し、さまざまな商品、サービスを購入してくれれば、それなりの経済波及効果が期待できます。
しかし、こと「鎌倉高校前1号踏切」付近の住民にとっては、たまったものではありません。外国人観光客が大挙して押し寄せることでなにかメリットがあるわけではなく、それどころかむしろゴミの問題、騒音の問題、さらには不法侵入などの問題も生じているわけです。
このような現象は、「地元住人が何らかの不利益を被っているにも関わらず、そのコストを負担させることが難しい」という意味において、経済学的には典型的な「外部不経済」でしょう。「外部不経済」とは、難しくいえば「市場メカニズムの外部で発生するコスト」のことであり、平たくいえば「公害」のようなものです。
欧州各地の事例とは?
では、これについてはいったい、どうやって解決すれば良いのでしょうか。
これに関してオーバーツーリズムに対する欧州諸国の対策が興味深いものです。
建築に関する話題を取り上げる “Arch Daily” というウェブサイトに8月8日付で掲載されたこんな記事によると、欧州各地で現在、ポストコロナ期における観光客の過剰な流入を抑止するために、罰金、入場料、時間制限などの仕組みを導入し始めているというのです。
European Cities Pass Regulations and Entrance Fees in Response to Tourist Overcrowding
―――2023/08/08付 Arch Dailyより
同記事で取り上げられている事例は、イタリアのベネチア、オランダのアムステルダム、ギリシャのアテネ、パリなどフランス各地の4つです。
まずベネチアに関しては2022年、オーバーツーリズムを規制するために、時間枠に応じた「入市料」の支払いを義務付けると発表しました。具体的には、入市にあたっては事前予約が必要で、一定人数に達した日は入市料が増額される、というシステムです。
ただし、報道によると、この制度の導入は延期されており、現時点ではまだ適用されていない、などとしています。
続いてアムステルダムのケースでは、クルーズ船の市内への入港を禁止する措置を講じたそうです。
アムステルダムには毎日100隻以上の大型クルーズ船が停泊しており、クルーズ客が市内への年間2000万人を超える観光客の急増の原因となっているそうですが、これについてはオーバーツーリズム対策とともにクルーズ船が輩出する窒素酸化物の抑制も目的としている、などとしています。
さらにアテネに関しては、観光名所であるアクロポリスについて時間枠制度を導入し、あわせて一定規模以上のグループ向けのファストレーン、電子チケットなどの混雑緩和措置も導入されるのだとか。
そしてフランスでは、パリやモンサンミッシェルなどの人気観光地だけでなく、「国内であまり人気がない観光スポット」を勧めるキャンペーンを開始した、などとしています。
シェンゲン協定のある欧州独自の悩みvs日本特有の事情
どうも参考になるような、ならないような仕組みです。
想像するに、欧州の場合は「シェンゲン協定」により、少なくとも陸路で入国する場合には国境検問などが存在せず、ベネチアのように周囲を水で囲まれているなどの事情でもない限りは、入国・入市を制限する手段がないというのが実情なのかもしれません。
ただ、このように考えていくと、やはり日本という国の特徴にぶち当たります。
日本は(少なくとも現時点においては)外国とは陸路で国境を接していないため、外国人が日本に入国するためには、航空機か船舶という手段によらざるを得ません。
これをうまく活用することはできないものでしょうか。やはり、外国人の入国に当たっては、たとえば「1人あたりいくら」というかたちで入国税を課すのが現実的ではないでしょうか。
たとえば日本政府観光局(JNTO)のデータによれば、2023年7月の入国者数は232万人だったそうであり、このペースで推移すれば年間3000万人程度の入国者が見込めますので、1人あたり千円の入国税を徴収すれば、年間300億円の税収になります。
とはいえ、現時点においては「出国税」というかたちで1人1回あたり千円の税金を徴収されています(※正式名称は「国際観光旅客税」だそうですが、驚いたことに、日本人からも徴収されています)。したがって、「入国時に入国税」、「出国時に出国税」は、さすがに理解が得られないでしょう。
そこで、この「国際観光旅客税」なる税金を廃止し、外国人観光客を対象にした入国税に一本化したうえで、税額を1回あたり3千円ないし5千円などにひきあげるのはいかがでしょうか。
現在の日本のように円安状態となっていれば、日本に大挙してやってくる米国人などの外国人にとって、この程度の負担であれば問題がないでしょうし、観光ビザで日本に入国し、就労ビザへの切替を狙っている国・地域からの入国をためらわせる効果も、(多少は)期待できます。
入国税の導入により訪日者数が減少しないと仮定すれば、年間入国外国人が2500万人、入国税が5千円だとすると、年間1250億円の税収です。これにより、オーバーツーリズムの問題が生じている地域の自治体に税収を分配するなどの工夫が考えられます。
しかも、出国税を廃止したとしても、日本人の出国者数が月間100万人に達しない現状を考えると、それによる税収減はたかだか120億円程度であるため、基本的には(日本人を含めた)「すべての出国者」に対してではなく、「外国人である入国者」に限定して課税すべきと思うのですが、いかがでしょうか。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
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【おしらせ】人生で10冊目の出版をしました
自称元徴用工問題、自称元慰安婦問題、火器管制レーダー照射、天皇陛下侮辱、旭日旗侮辱…。韓国によるわが国に対する不法行為は留まるところを知りませんが、こうしたなか、「韓国の不法行為に基づく責任を、法的・経済的・政治的に追及する手段」を真面目に考察してみました。類書のない議論をお楽しみください。 |
【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました
日本経済の姿について、客観的な数字で読んでみました。結論からいえば、日本は財政危機の状況にはありません。むしろ日本が必要としているのは大幅な減税と財政出動、そして国債の大幅な増発です。日本経済復活を考えるうえでの議論のたたき台として、ぜひとも本書をご活用賜りますと幸いです。 |
今日NHKからの請求書がとどいた。倒れる前の住所で衛星テレビの契約で一ヶ月で4400円なんだそうだ。市役所で先日半額の身体者割引で半額になっているはずが反映されてなくて、前の住所から転送されてきたのだ。おれはNHKに電話をし今は無収入で脳出血をしたあとで、働けないからカネがないことを言ったんだが払わなくてはいけないらしい。おかしい。ヤクザのみかじめ料じゃあるまいに、みてもいないNHKになんでカネを払わなくてはならないんだ?収入がないんだぞ!あ、、オーバーツーリズムと入国税の話だっけ。おれは、他人の敷地に許可なくはいれば、不法侵入だし、ゴミのポイ捨ては、公序良俗に違反するので逮捕、罰金が当然だと思う。いつだったかアメリカでハロウィーンで間違えて他人の家に仮装していった人間が(日本人の16才の服部君とかいう少年)が射殺されている。射殺した人間は正当防衛で無罪になっているのだ。中国では買春で100万円の罰金を課せられ入金するまで釈放されないのだ。日本は甘い。なんで外国人から迷惑を被った人間が、我慢するのだ?政治家の怠慢なのだ。なんで日本人から出国税をとるのか。外国人からの入国税はわかる。帰るのに、出国税はわからん。政治家ってのはわからん。利権ばっかりだ!
観光客が特定の場所に集中するのも問題なのではないでしょうか?
地方などは、もっと観光客に来て欲しい所が沢山あると思います。
地方の観光地の開発や受入態勢の充実も必要だと思います。
ちょっと前には、映画「君の名は」のヒットで、東京・四谷須賀神社の石段など、印象的シーンに採り上げられた場所を、日本旅行の機会に是非とも我が目で見たいと、海外から「聖地巡礼」客なる者が押し寄せる、なんて話がありましたね。地元に住む者じゃないので、確かなことは言えませんが、今もうそこには、外国人観光客なんてほとんどいないんじゃないかしら。
「スラムダンク」にしてもそうですが、日本アニメの海外での人気から考えると、観光地でも何でもない場所で、地元民が「観光公害」と言えるような迷惑を蒙る事例は、今後も数年おきくらいに、一過的、ゲリラ的に起きるのは、覚悟しておかなければならないような気がします。
ただ、この「聖地巡礼」的行為については、日本人にだって覚えがある、もうかなり旧聞に属しますが、「冬ソナ」ブームで、ロケ地巡りなんかやった、大勢のオバサマがた、オネエサマがた、本当に地元に迷惑掛けるようなこと、やらなかったんでしょうね?
こういう、局所的、一時的、かつ一部のマナーの悪い観光客に限って引き起こす問題への対処に、全入国外国人を対象とした一種のペナルティ料を科すというのは、なんか筋違いじゃないかという気がするんですよね。
迷惑行為をした本人に対して、多分すでにあるはずの迷惑防止条例を厳格に適用し、逆らえば容赦なく公務執行妨害で国外退去処分にするというのが、一番理に適ったやり方だとは思うんですが、実際に、監視員を大勢動員してまでやるのは難しいとなれば、海外放映で稼いだカネの一部を、映画配信会社が「迷惑料」として地元に支払うのを、ルール化するというのはどうでしょう。
アメリカでこんなことが起きたら、地元住民が「生活権」「風景権」の侵害なんかを理由に、巨額の賠償請求の訴訟を起こすんじゃないかしら。そういうリスクを考えたら、映画制作者も安易に現実の風景を作品に取り込むことには、慎重にならざるを得なくなることも期待できるでしょうしね。
財務省は外人には腰抜けですね。アマゾンから税金を取る努力はしないし、会計士様のおっしゃるまさにチャンスと言う時に、なぜ吹っ掛けられないのか?東出の無能など一掃して、いっそうのこと能力と根性のある在日にでも仕事させたらどうか?
在日が根性ある!というのはよく分からんが、東大出の官僚はどんどん減っていくから心配要らないよ。
ちょっと話は違いますが、混み合うという事で。
閑静な住宅街で、普通に生活していた者が、突然イオンモールやアウトレットが近所にできたせいで、毎週土日は家の周りは大渋滞。普通に自宅に帰りたいだけなのに、渋滞に並ばなければならない理不尽なことを味わっている人も大勢いるように思う。
税金もそうだけど、道路の整備や規制なども考えた方がいいように思う。
人気あるイベントでも参加者のために
入場制限が実施されるのと同じように
日本人気でのオーバーツーリズムが
現に発生しているのですから
その妥当な対策として入国税の
早期導入を賛成します。
本来は別に一律でなくても
迎える主催者日本の糸を反映して国別に設定して、
たとえば、日本とまともい付き合える国を優先し
しょせん来ても反日の韓流のような国は
高く設定しても当然です。
ただ、そうしようとすると
汚染水画策を未だ謝罪しない
韓流政党立憲民主党の阿部知子とかが
わめいて騒ぐでしょうからうっとおしいので
一律でもいいと思います。
なあに、一律であっても
近くて安いということで来ている韓流は減って
遠くから高井航空運賃払っても日本に来たいという
まともな国の人は来るでしょうから
一律でも自然と 観光地の韓流デトックスフィルターとして
機能すると思います。
具体的提案(入国税)はとてもよろしいかと思います
こちらの動画
https://youtube.com/watch?v=OeSvKif8cvU&si=IaPPIHjuDxfLgMNc
も建設的で好感がもてました
※残念ながら尻切れトンボになってます
聖地巡礼を観光公害だけにしないための一つの考え方です。
観光と聖地巡礼は、確かにかなり相関関係が高いかな、と思います。
1. 聖地化して、観光開発をする。
アニメ映画「君の名は。」で、岐阜県の高山地域は聖地巡礼で観光客が増えたということですし、「ノルウェイの森」の映画化の撮影地になった兵庫県のススキの高原は、一時期、中年の男女ファンが沢山訪れたそうです。
「寅さん」シリーズの映画で、葛飾柴又および帝釈天は、定番の観光地になりました。
これを考えると、観光地開発には、人気作品の舞台地にしてもらったり、映画化の撮影地にしてもらったりする、
つまり、アニメ・小説・映画、などとのコラボで観光地開発をするという方法もあるのではないか?ということです。
今丁度放送されているあるドラマで、地域興しのために「PRビデオ」を作るのではなく、「地域を舞台にした映画」を作ろうという設定のものがあります。
こういう攻めの観光地開発のやり方も選択肢の一つにしてもいいかもしれません。
熱海の「寛一・お宮の像」。(小説「金色夜叉」)
アニメ「ガールズ&パンツァー(ガルパン)」の茨城県大洗。
アニメ「らき☆すた」聖地!関東最古!の鷲宮神社。(埼玉県)
「君の名は。」の影響かどうかわかりませんが、岐阜高山地域は、外国人観光客(特に欧米豪)には、定量的に人気があるようです。
2. 聖地巡礼を観光公害で終わらせないために。
昔、何かの本か雑誌で読んだ、米国の話です。カーターか誰かが、大統領候補になるというニュースが流れた時に、自宅にマスコミ人が多数押しかけてきて、門の前に記者やカメラマンが溢れていた時に、彼の小学生の娘が、アイスクリームを沢山仕入れて来て、それにマージンを乗せて、その記者やカメラマン達に売ったという話がありました。記者たちは少し驚きながらも、喜んで買ったということです。何しろ、暑かったので。
(尚、この話は、本当にカーターだったかの確認はしておりません。他の政治家だったかもしれません。模式的な参考話として読んで頂ければと思います。)
日本だったら、マスコミが沢山来ると迷惑だ、ご近所にも迷惑だと、負の側面しか見ませんが、これを、「鴨葱」と考える逞しい人間がいるということです。見方の違い・発想の違いというものがあるということも考えてみる必要があります。商魂を逞しくして。
地元の自治体も、観光公害だ、と嘆くばかりではなく、その人気を逆手にとって、観光地化する方法を考えたらいいのではないでしょうか。
例えば、鎌倉高校近辺から踏切までの一帯を、時間帯別料金を設定して通行料を聴取するとか、撮影スポットを設定して(そこに行くには料金が要る)その近くにショップを設けて、知的所有権者とコラボしてスラムダンクのグッズを開発して販売するとか。江ノ電とも何かコラボできないか?江ノ電の鎌倉駅に、スラムダンクのグッズの販売店を設けても良い。(或いは、既にあるかもしれませんが)
自治体も、金になることはないかと商魂逞しく考えることも必要でしょう。せっかく、大挙してやって来る人間がいるのだから、それを金にすることを考えなくては。一人一人は財布を持ってやってきているのだから、地元でたっぷりお金を落としてもらうことを考えなくては。
要は、観光客からは、取れるお金は最大限取りましょう!ということで、その為に知恵を絞りましょう、と。
京都の舞妓が通る路地なんかも、時間帯別に人数制限をした上で、通行料を取るとか、そこを通る舞妓さんには置屋と提携して出演料みたいなものを払って通ってもらうとか。更に、写真撮影も許可制にして撮影料も取るとか。(こんなことをやるために、別途、社団法人を作ってやるとか。)
自治体の法律には詳しくないですが、自治体は条例を作れるのだから、こんなことを条例で制定できないのでしょうか?
3. 入国税(国)と聖地化(自治体)の、ダブルで儲ける。
入国税(国)を取るという、全体に大きな網を掛けるような方法も一つですが、イカ釣り漁法のように明り(聖地)に引き寄せられてくる客をターゲットに定めて、しっかりお金を落としてもらう(自治体)方法も考えてみてもいいのではないかと思います。
地元の人たちが潤うように商売するのはいいですね。こういう商売は外国のかたのほうが得意のようですから、必ず地元の皆さんに利益が還元されるように仕組みを考えて、日本を利用する他の国にかすめ取られないようにやれるといいなと思います。