家電や大型家具の処分にもカネがかかる時代、リサイクルサイトなどをうまく活用したいものです。こうしたなか、とある人が引っ越しに伴い、自宅の家具類を処分しなければならなくなり、リサイクルサイトにゼロ円で出品したところ、思わぬトラブルに巻き込まれたといいます。この手のサイトに出品するときは、100円でも良いから有料にした方が良い、というのがこの体験者の談です。
メルカリで300円出品
ウェブ評論サイトの『現代ビジネス』に18日付で、こんな記事が掲載されていました。
メルカリで、利益がほとんどでない「300円出品」をする人の理由
―――2023/07/18 07:04付 Yahoo!ニュースより【現代ビジネス配信】
記事自体は、なかなかに面白いものです。
「メルカリ」とは「まだ使えるけどもう必要ないモノ」を出品するためのサイトで、売りたい商品をスマートフォンなどで撮影し、商品の状態や価格、配送方法を設定するだけで気軽に販売できるという点で、大変に使い勝手が良いのです。
現代ビジネスによると、このメルカリで300円という、ほとんど利益が出ない水準で出品する人がいる、というものです。
メルカリに10%の販売手数料を支払い、最も安い「らくらくメルカリ便のネコポス」の送料175円を支払えば、手元には95円しか残りませんが、それでも出品する理由とはいったい何なのか。
その答えはリンク先記事に書いてありますので、記事を読んでのお楽しみ、といったところでしょう。
家電リサイクル、家具の処分有料化
ところで、むしろ「利益は要らない」「不用品を処分する方が優先」、といった需要がある、ということについても指摘しておく必要があるかもしれません。
昭和生まれの人たちにとってみれば、子供のころ、自宅で出た粗大ごみを、ゴミ捨て場に捨てていたという記憶がある方も多いでしょう。
とある方は近畿地方にある実家の「家終い」をしたとき、自宅にあった、立派なソファだのテーブルだの、ステレオセットだの、ブラウン管テレビといった家電、家具類を「粗ゴミ」(※)としてゴミ捨て場に出したそうですが、自治体のゴミ収集車は、これらのゴミを普通に回収してくれたそうです。
(※「粗ゴミ」は「あらごみ」と呼ぶそうで、要するに「燃えないゴミ」のことだそうです。現在ではこの区分は廃止されています。)
ところが、現在ではこのような処理はできません。
家電の場合、1998年に公布され、2001年から本格施行された「家電リサイクル法」(特定家庭用機器再商品化法)に基づき、エアコン、テレビ、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・衣類乾燥機などの家電製品についてはリサイクルなどが義務付けられています。
また、机、テーブル、いす、本棚といった大型家具の場合は、特に近年、各自治体でゴミ回収の有料化が進んでいるようであり、東京都新宿区の事例でいえば、学習机は1,200円、ソファは3人掛け用が2,000円、などとなっているようです(『粗大ごみの処理手数料一覧』等参照)。
つまり、ゴミを捨てるにしても有料、という世知辛い世の中になってしまったわけです。
もっとも、ゴミ処理の有料化に加え、昨今の物価高も相まって、注目されるのはリサイクルでしょう。
とくに、引っ越しなどに伴い、それまで使っていた大型家電、大型家具が不要になる、という事例はよく耳にしますが、捨てるにもカネがかかりますし、まだまだ使える本棚、美麗なソファなどを捨てるというのも、いかにももったいない話でもあります。
リサイクルサイト、うまく使えば快適
こうしたときにおすすめなのが、冒頭でも取り上げた「メルカリ」や、最近話題の「ジモティ」といったサイトでしょう。
これらのサイト、著者自身も利用した経験があるのですが、うまく使えば非常に快適です。
それぞれの具体的な使い方については個別のウェブサイトをご確認いただきたいのですが、たいていのサイトでは、まずメールアドレスなどを認証したうえでユーザー登録を行うのですが、そのうえで出品するときには写真を撮影し、スマートフォンなどでアップロードする、といった流れです。
正直、このサイトを利用する目的は「不用品の処理」にあります。
たとえば机やソファなどをゴミとして自治体に回収してもらうと、点数によっては数千円から、下手をすると数万円レベルで処分費用が掛かります。しかし、これらのサイトを活用すれば、こうした処分費用を浮かすことができるのです。
格安での出品の背景には、こうしたリサイクル目的での利用者がいることもまた間違いないでしょう。
ゼロ円出品は控えた方が良い理由
もっとも、ここでひとつ、注意点があるとすれば、「あまり格安での出品はしない方が良い」、でしょう。「不要だから」という理由で、たとえば「ゼロ円」という値段をつけてしまうと、あまり良くない客層から目を点けられてしまい、ストレスを抱え込んでしまうこともあるのです。
ある人の体験談です。
東京都新宿区内の某路線の某駅近くに住んでいる人が引っ越すことになり、自宅の不用品をどんどん処分することにしたのですが、「私の指定する場所まで取りに来てくれること」という条件で家電や家具などの不用品をゼロ円で出品したところ、さっそく応募が。
ところが、ゼロ円出品に応募する人のなかには、あまり社会常識がない人もいるようで、取引が成立したのに連絡がつかなくなる、約束までこぎつけたのにその時間にやって来てくれない、といった事例が相次いだのだそうです。
酷い事例では、こんなケースもあったそうです。
「ちょっとした家具を『私の家の前で受け渡します』と出品したところ、応募者が出たんですね。ところが、取引が成立した後になって、いきなり『駅まで持ってきてください』って言ってきたんです。私の家から●●駅までは3分ですから、『じゃぁ●●駅まで持って行ってあげますよ』とメッセージを送り返したんです」。
ところが、この応募者がいう「駅まで持ってきてください」の「駅」、この出品者が暮らす新宿区内の駅ではなく、応募者が暮らす品川区内の駅のことだったのだそうです。当然、交通費は出品者持ちです。
「そんなの、話が違う」。
こういって取引をキャンセルにしようとしたのですが、応募した相手がウェブサイトの運営事務局を巻き込んで大騒ぎし、出品者のことを罵り出したというのだとか。
幸い、この出品者の方は自宅の住所を表示していなかったので、自宅にまで押しかけられることはなかったのだそうですが、「顔が見えないネットでの取引の怖さを知った」のだそうです。
なお、こうした「質の悪い落札者」対策として、ひとつ考えられるのは、「格安でも良いからとにかくカネを取ること」ではないでしょうか。冒頭の記事ではありませんが、それこそ数百円でも構わないので、「有料」としてしまうのです。
実際、この出品者の方も、この「品川区内の駅まで持ってこい事件」以降、すべての出品条件を見直し、一律に100~300円の値段を付けたところ、見事に質の悪い落札者を排除することができたのだそうです。
これもインターネット時代ならではの知恵なのかもしれませんね。
View Comments (9)
物を処分する時は、直接掛かる費用ばかりではなく、その作業に要する自分の時間と手間と、自分の精神的コスト,つまり、気苦労、心配、不安感、等がどれだけ掛かるかの収支バランスで決める事にしています。
個人間取引は、相手がよく分からないし、価値観等も様々だし、企業間取引のようにお互いが受け入れている整然としたルールがある訳でもないです。又、個人は、取引という事に慣れていない人もいます。
引越しの際の大量の不用品は、ついでに引越し業者に依頼して、自治体の処分場へ持ち込めば、重量で精算してくれるので安上がりです。
世の中、いろんな処分方法があるので、上記のバランスで判断して処分することにしています。つまり、少々余分な費用が掛かるとしても、手間と時間と精神的リスクの少ない方を選択するようにしています。
学費無償化っていうのも大反対なんですよね私。
学費を税金で支払われて本当にホクホクなのは学校の経営者だけ。
存在価値の無い学校が淘汰されなかったり新たなビジネスとしての学校モドキまで現れる。
また全額税支払いなら無限に学費はあがります。
またすべからく無料・無償のものは売る側も買う側も無責任になります。
学生であるというのもひとつの特権というか特殊に保護された環境なので、四年制大学でしたら留年して八年ずるずる在学する学生も現れますし、医師・薬剤師等の資格を目指す大学なら大学が喜んで試験合格か満期退学まで卒業させないことになるのは目に見えてます。
コンサートや演劇なんかでも「無料」「招待」は来ない事や来てもデカい態度の事が多々あります。
無料は高くつくだけでなく害悪の温床だと考えます。
がみ様
>無料は高くつくだけでなく害悪の温床だと考えます。
私的には、無料・無償などの提供物に対してはその背景情報(収益を何処で取ってるか。広告?補助金?赤字対策?etc)を理解して納得してから利用するようにはしています。
ついでに私学に対する助成金は、留学生等の利権腐敗の温床になってるケースもあるのでバランスを低く抑えるべきなのは同意ですが、国公立大学については優秀な学生に学びの場を与える目的で無償or低額の授業料の方が良いと思っています。私の学生時代よりは随分国公立の授業料も上がったとの噂も耳にしますので。
高校の私学の学費無料化もやめた方がいいとは思う
レベルの違う層が同じ場所に存在するといろいろ問題が起こる
応札する方の気分としては、100円でも自分が支払う(リスクを負う)場合はそれなりに商品選別をしたり少しは真剣に考えるかも知れません
それに対し、表示上だけでも0円の案件に入札する場合は、自分はノーリスク。ノーリスク故にドタキャンしようがどう扱おうが勝手気ままに処理できる、と勘違いするいわゆる「ヤカラ」層のヒット率が上がるのかも知れません(勿論真摯に対応する応札者も居るでしょうが・・)
世の中には価値観の違う人も常識の違う人も大勢いますし、「多様性」の時代ならソコに関わらない選択の自由は欲しいですね。対応を押し付けられると面倒しか思いつかないし、互いに不幸なので
東京都新宿区はモノ捨てるのでも、やっぱり高いんですね。「学習机は1,200円、ソファは3人掛け用が2,000円、などとなっているようです」。
私は神戸市ですが、捨てる粗ゴミに貼るシールは、コンビニやHC、スーパー等で300円、600円、900円の3種類売ってます。押し入れに入れる透明のアクリル製衣料ケース(キャスター付き)が一個300円、学習机600円、同椅子300円、但し机の横のパソコン置き兼引き出しは、机とセット料金です(笑)。ソファは分けられない一式で900円、別途ストールは300円。パソコン、タブレットは市が無料で持ち帰り破棄します。超デカいモノは別途手数料要です。こんな感じです。
タダほど怖いモノは無い。私もネットで個人同士の売買を覗きますが、タダの品とか異様に安いチケット(QRコードで入場認証する正規品が8,000円ぐらいのモノが1,000円とか)は、怖〜い気がします。本日限りの座席指定のチケなら分かりますが、やっぱり見るだけにしてます。揉めるの嫌ですから(^^)。
インターネット黎明期の話。無料のソフトウェアを公開している人がいた。そのソフトウェアの利用条件として「このソフトをインストールしたことによる損害に対し、作者は一切の責任を負わない」と、まあありふれたことが書かれていたが、さらに「仮にパソコンが爆発したとしても責任を持たないということです」と追記されていた。
あの頃に較べるとネットもゆるくなったなあと。
逆に有料とした方がリスクが上がる場合もあります。
無料→タダだから多少の不具合等があっても文句は言わない。
有料→お金を取ったのだから、出品物について責任を持て。
ヤフオクでのことですが、出品物の説明に「動作するかどうかわかりません」と記載しておいたにもかかわらず、「壊れていたので、交換しろ」とトラブルになった事があります。
落札者は「たとえ少額でも代金を取った以上、製品に対する責任を持て!」と言って譲りませんでした。
つまり、どちらでも相手が常識知らずであればトラブルを起こすという事です。
ですのでトラブルになりそうな事は、事前に予防線を張った説明をして置き、頼み事は聞かないようにすることです。
例 動作保証はできません。到着時に壊れていても対応はしません。不具合があっても対応しません、取に来られる場合は当方の都合を優先となります、などなど。
ここまで来ますと、
「君子危うき近づかず」
の方が良さそうですね。
この言葉の意味する所は、二面あって、
「危うきに近づくものは、君子にあらず」ということも言えます。
君子にあらずとは、一言で言えば・・・、
いや、一言で言えない程にいろんな意味がありそうですね。
賢明であれ、用心深くあれ、世の中は自分の思惑通りに行かないことがあることを知れ、他人の立場も考えろ・・・。