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日本を壊す岸田文雄:有権者の冷静さこそが最大の救い

宮澤喜一以来30年ぶりの宏池会政権が、日本をメチャクチャに怖し始めています。そのなかでも特に酷いのが対韓外交であり、日韓問題はいまや「岸田問題」に化けた、という言い方もできるでしょう。こうしたなかで、自民党の青山繁晴・参議院議員は30日、例の「ホワイト国パブコメ」を巡って、経産省の姿勢を舌鋒鋭く批判しつつも、意外な点に「希望」を見出したと述べています。これには当ウェブサイトの著者としても全面的に同意せざるを得ません。

宏池会政権の闇

個人的に「血縁」について深く議論することは、正直、あまり好きではありません。あくまでも「親は親」「子は子」だからです。

ましてや、直接の血のつながりがない2人の政治家の類似性を議論するのは、「決めつけ」めいてくるため、本来ならば望ましい議論の方法ではない、ということは、重々気を付けなければならないでしょう。

ただ、岸田文雄首相と宮澤喜一の類似性や関係性を議論すると、やはり、何かと気になる個所が出て来ることも間違いありません。

そもそも岸田文雄内閣は、宮澤喜一以来、約30年ぶりに成立した「宏池会政権」でもあります。

そして、「30年前の宏池会政権」である宮澤喜一内閣の事績を振り返っておくと、やはり、現在の日本の問題点の源流を作ってきた、非常に罪深い政権であると気付きます。「宏池会政権」は、「天皇陛下の政治利用」、「自民党分裂と日本の政治の停滞の原因作り」など、さまざまな禍根を残しているからです。

宮澤喜一内閣(1991年11月5日~93年8月9日)の事績
  • 天皇・皇后両陛下の御訪中(1992年10月23日~28日)
  • 内閣不信任案可決と自民党分裂(1993年6月)
  • 第40回衆議院議員総選挙で自民党の過半数割れ・下野が確定(1993年7月18日)
  • 自称元慰安婦問題に関する河野談話(1993年8月4日)

(【出所】著者調べ)

つまり、宮澤宏池会政権は、まさに「歴史に残る政権」(※良い意味とは限りません)であることは間違いないのです。

さらに、宮澤喜一個人に関していえば、大蔵官僚出身者でもあり、竹下登首相の時代に消費税導入に尽力したという人物ですので、いわば、日本経済が今日に至るまで長らく停滞する原因を作った張本人のひとり、という言い方もできるでしょう。

こすひたなか、岸田首相自身は宮澤喜一とは直接の血縁関係にはありませんが、宮澤喜一の甥(宮澤喜一の弟・宮澤弘の長男)である宮沢洋一・現自民党税調会長は、岸田首相の従兄(岸田首相の叔母の長男)でもあります。

個人的に、「血縁」を理由にある政治家を批判するのは嫌いではありますが、それでも岸田首相が30年前に日本をメチャクチャにした宮澤喜一と同じ宏池会の出身者でもあり、遠戚でもあるという事情を考慮すると、どうにも気にならざるを得ないのです。

実際、すでに岸田「宏池会」政権は、増税、LGBT法、対韓外交などを通じ、日本をメチャクチャに壊し始めているからです。

将来に禍根を残す愚かな対韓譲歩

日韓通貨スワップとホワイト国の同時復帰

さて、先日の『日韓通貨スワップとホワイト国「同時復活」もあり得る』では、韓国を輸出管理上の「(旧)ホワイト国」、つまり現在の用語でいう「グループA」に復帰させる手続と、日韓通貨スワップを再開する手続が同時に発表されるかもしれない、などとする話題を取り上げました。

これは「日韓問題」ではなく「岸田問題」だおそらく財務省は日韓通貨スワップを復活させるつもりなのではないでしょうか。想像するに、夏以降の内閣改造で西村康稔・経産相を更迭し、韓国を「(旧)ホワイト国」に戻す政令改悪とともに、日韓通貨スワップ復活が正式決定される、という流れも考えられます。こうした読みが正しければ、岸田「宏池会」政権、どこまでも国民を舐め腐っているものだと思わざるを得ません。日韓通貨スワップ復活へ当ウェブサイトでは今年3月の『詐欺師が狙う次の「鴨葱」:日韓スワップ交渉本格化へ』でも...
日韓通貨スワップとホワイト国「同時復活」もあり得る - 新宿会計士の政治経済評論

ただし、この稿を出した時点では、当ウェブサイトとしては「(旧)ホワイト国復帰は西村康稔・経産大臣がストップをかけているが、西村氏が夏以降の内閣改造で経産相から外れた際には、後任の経産相がホワイト国復帰にゴーサインを出す」、などと考えていました。

また、日韓財務対話で日韓通貨スワップの復活が議論に出ることは確実であるにせよ、スワップ復活には実務上、数週間から数ヵ月の時間が必要であるはずなので、「スワップとホワイト国は秋口に同時復活する」、などと考えていたのです。

ところが、この見立ては、半分は外れ、半分は当たりました。

現実にはこの稿を出した直後に、政令改悪が閣議決定され、韓国が7月21日以降に「(旧)ホワイト国」に戻されることが確定。その2日後の財務対話では、鈴木俊一「ポンコツ」財相が韓国の秋慶鎬(しゅう・けいこう)韓国経済副首相兼企画財政部長官との間で、日韓通貨スワップの復活を宣言したのです。

このため、時期は当ウェブサイトの予想よりも大幅に前倒しとなったにせよ、「日韓通貨スワップと(旧)ホワイト国の同時復帰」という当ウェブサイトの見立てはドンピシャリと当たりました。

本当に、やらなければならないこと(原発再稼働や新増設、憲法改正など)を全然やらず、やらなくても良いこと(LGBT法や増税、対韓譲歩など)をスピーディーかつ一生懸命にやるのが、現在の岸田「宏池会」政権です。

対韓外交は「失敗」以上に「禍根」が心配

そして、岸田「宏池会」政権の怖いところは、この「やらなくても良いこと」をスピーディーかつ一生懸命に取り組むところにありますが、それだけではありません。それらの多くが「未来に向けて禍根を残しかねないもの」であるからです。

ちょうど今から30年前、宮澤内閣時代に出てきた「河野談話」などは、その典型例でしょう。この談話は現在でも韓国側(や一部の日本の関係者)らによって、「(自称元)慰安婦問題が事実であることを、日本政府自身が認めた証拠」として、いまだに利用され続けているからです。

故・安倍晋三総理大臣を含め、歴代の政権が、この河野談話によってどれだけ苦しめられたか、思い出しておく必要があります。

その安倍総理は2015年12月に、韓国の朴槿恵(ぼく・きんけい)政権との間で、いわゆる「日韓慰安婦合意」を取り交わしています(皮肉にも、実働部隊として韓国を訪れて合意を取り交わしてきたのは、当時の岸田文雄「外相」でした)。

【参考】いわゆる「日韓慰安婦合意」(2015年12月28日)のポイント
  1. 慰安婦問題は、当時の軍の関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題であり、かかる観点から、日本政府は責任を痛感し、安倍晋三総理大臣は日本国を代表して心からおわびと反省の気持ちを表明する。
  2. 韓国政府は元慰安婦の支援を目的とした財団を設立し、日本政府はその財団に対し、政府予算から10億円を一括で拠出する。
  3. 韓国政府は在韓国日本大使館前に慰安婦像が設置されている問題を巡って、適切に解決されるように努力する。
  4. 上記②の措置が実施されるとの前提で、日韓両国政府は、この問題が最終的かつ不可逆的に解決されたことを確認し、あわせて本問題について、国連等国際社会において互いに非難・批判することを控える。

(【出所】外務省HP『日韓外相会談』より著者作成)

その後、韓国で朴槿恵大統領が罷免され、文在寅(ぶん・ざいいん)政権が発足するやいなや、この政権は慰安婦合意形成に至るまでの外交機密文書を一方的に公表し、さらにはそれに飽き足らず、この合意自体を破棄してしまっています。

岸田首相は自身が当事者としてかかわった慰安婦合意が韓国の手によって破棄されているにも関わらず、なぜその解決を韓国側に要求しないのでしょうか?

ボンクラぶりもここまで来ると、ノーベル賞級です。

慰安婦像の問題、解決したんでしたっけ?

そういえば、日韓通貨スワップに関しても、日本がこれを再開する理由はありません。

もともとスワップ再開は、安倍政権時代の2016年8月、副総理兼財相だった麻生太郎総理大臣が韓国の柳一鎬(りゅう・いちこう)副首相兼企画財政部長官(当時)との間で持った日韓財務対話で、いったんは再開に向けて議論を開始することで合意されていたものではあります。

しかし、韓国政府は慰安婦合意に含まれた③、すなわちソウルの日本大使館前の慰安婦像撤去問題をまったく履行しないだけでなく、2016年12月末、釜山の日本総領事館前にも、新たな慰安婦像の設置を許してしまいました。

これに激怒したのは、安倍総理の下で当時、内閣官房長官を務めていた菅義偉総理大臣です。

菅総理(※当時は官房長官)は、この慰安婦像の問題を受け、日韓通貨スワップ再開協議や日韓ハイレベル経済対話などの無期限中断を打ち出したのですが、逆に言えば、日本が韓国とのスワップ再開に合意するためには、少なくともこの2つの慰安婦像問題が解決していなければならないのです。

つまり、岸田首相という者は、日本が絶対に逸脱してはならない原理原則を踏み外しまくり、日本の国益をチープな値段で韓国側に売り渡しまくっている、というわけです。

また、一部の論者は、今回の通貨スワップの金額自体が100億ドルと「極めて少ないからOK」、などとする主張を展開していますが、これもそこまで単純なものではありません。いったんスワップ契約が成立すれば、あとからそれを増額することは簡単だからです。

麻生総理や野田佳彦元首相らの時代にスワップが増額され、それぞれの増額措置に対して韓国が日本に何をやったか(『インターネット時代に意識が追い付いていない岸田首相』等参照)を思い出しておくだけでも、韓国にスワップを与えることが国民の信頼と期待を裏切る背任行為であることは明白です。

そもそも成り立たない「朝鮮半島生命線説」

もちろん、3月の自称元徴用工問題に関する「岸田ディール」以降の異常ともいえる対韓譲歩の連続の裏には、米国の圧力があったのではないか、などの説を唱える人もいます。

日本を取り巻く安保情勢が厳しさを増す中で、いわば、「何が何でも韓国を味方につけておかねばならない」、という判断があったのではないか、といった仮説です。

この仮説、当ウェブサイトではこれまで何百回となく繰り返してきた、「朝鮮半島生命線説」(あるいはその亜流)の考え方そのものです。

朝鮮半島生命線説とは?

「韓国は地理的に見て日本に非常に近く、この地域が日本の敵対勢力に入れば、日本の安全保障に深刻な脅威をもたらす」、「だからこそ、日本はあらゆるコストを払ってでも、朝鮮半島を日本の友好国に引きとどめておかなければならない」、などとする言説のこと。

この「朝鮮半島生命線説」、著者自身が見たところ、さまざまな「亜流」があります。たとえば、「北朝鮮の核・ミサイル開発抑止のためには日韓連携が必要だ」、「日本人拉致事件を円滑に解決するためには、韓国との連携が必要だ」、「中国と対峙するためには日韓連携が必要だ」、といった具合です。

困ったことに、「保守」を自称する論客なども、こうした言説をまことしやかに提唱しているのです。

ただし、共通点があるとしたら、「日韓連携は必要だ」とする結論の部分でしょう。「日韓連携が必要」という結論を導くために、その理屈付けをコロコロと変えているだけだ、という言い方もできるかもしれません。

まさに、「ためにする議論」の典型例です。

そもそも「あらゆるコスト」を韓国に支払ったとしても、韓国が日本(や米国)のために動いてくれるというものではありません。日本(や米国)が韓国を「味方に付ける」ために、韓国にさまざまな譲歩をしたとしても、韓国はあっけなく裏切る国だからです。

もっといえば、2018年12月の火器管制(FC)レーダー照射事件で明らかになった通り、「信頼関係に基づく韓国との防衛協力」というものはそもそも成立するものではなく、したがって、「あらゆるコスト」を韓国に支払ったところで、日本の安全保障上の地位を高めることにはまったく寄与しません。

したがって、「朝鮮半島生命線説」自体、破綻した考え方であり、成り立たないのです。

「民意が救い」の日本

経産省の「ホワイト国パブコメ無視」

さて、こうしたなかで改めて考えておきたいのが、経産省の「(旧)ホワイト国戻し」に関するパブコメです。

具体的な内容の詳細については、すでに『ホワイト国復帰パブコメ賛成23個・反対78個の転載』などでも紹介したとおりですが、経産省が出してきた「パブコメの結果」を読んでも、韓国を「(旧)ホワイト国」に戻すことに賛成の意見、反対の意見の具体的な割合はいっさい記載されていません。

賛成意見の例として23個、反対意見の例として78個の意見が列挙されているに過ぎないのです。

これについては、当ウェブサイトの『パブリック・コメント大募集!入力方法を解説します!』などに寄せられた読者コメントから判断して、7,917件の総数のうち、おそらく反対意見は少なく見積もって90%、すなわち7,000件以上に達していたものと推定されます。

本記事は2023年5月31日まで当ウェブサイトトップページに掲載し続けます電子政府の総合窓口(e-gov)トップからパブリック・コメントを入力する方法についてまとめました。手順が大変わかり辛いのですが、本ページを参考にしながら、是非ともパブコメに積極的に応じていただきたいと思います。また、実際に入力したコメントにつきましては、本記事の読者コメント欄にて入力していただいて構いません(※その際、個人情報などについては消してください)。2023/04/29 20:00追記本記事に関するバックグラウンド等について追記しています...
パブリック・コメント大募集!入力方法を解説します! - 新宿会計士の政治経済評論

というのも、当ウェブサイトに寄せられた100件を優に超すコメントのなかで、明らかな賛成コメントはたった1件のみ(それも控え目に申し上げて、かなり支離滅裂な内容)であり、残り99%以上は反対だったからです。

ちなみに当ウェブサイトは、一部の論者からは「低レベルなネトウヨサイト」と認定されているようですので、当ウェブサイトにコメントを寄せる方々が、山手線の駅名を冠した怪しげな自称会計士とそのコメント主の多くは「低レベルなネトウヨ」、ということになるのかもしれません。

ただ、ツイッターやヤフコメなど、外部サイトで確認してみても、主だった保守系の論客は、多くの場合、韓国の「(旧)ホワイト国戻し」や「FCレーダー照射問題不問」、「日韓通貨スワップ」などの論点を巡って、少なくともどれか1つ以上に対しては明確に批判しています。

やはり、経産省のパブコメに寄せられた意見については、9割以上、いや、下手をしたらそれ以上が、明確な反対意見だった可能性が濃厚なのです。

いずれにせよ、この割合を公表していない経産省の態度は国民を愚弄するようなものでしょう。

ちなみに重要なことなので改めて申し上げておくと、担当者は貿易経済協力局・貿易管理課の黒田課長、担当の平山氏・稲葉氏の3名だそうであり、電話番号は「03-3501-1511(内線 3295)」または「03-3501-1479」、メールアドレスは bzl-boeki-kanri-inquiry@meti.go.jp とのことです。

青山繁晴氏が「ホワイト国でパブコメ無視」と激怒

こうしたなかで、「山手線の駅名を冠した自称会計士」とほぼ同じ時期から、外為法や輸出貿易管理令に注目してきた人物のひとりである青山繁晴参議院議員が30日、このパブコメを巡って、「ホワイト国でパブコメ無視」と題する動画をアップロードしています。

30分弱の動画ですが、なかなかに興味深いものです。

青山氏は現在、自民党の「経済産業部会」の「会長代理」という役職にも就いているそうですが、その青山氏は本件に関し、公表されたパブコメの内容を巡り、経産省の担当者にその具体的な賛否の割合などについて問い合わせを行ったのだそうです。

しかし、経産省の担当者(※例の直通電話番号「03-3501-1479」、メールアドレス「bzl-boeki-kanri-inquiry@meti.go.jp」のことでしょうか?)は、「反対の方が多かった」としつつも、その賛否の具体的な割合については明らかにしなかったのだとか。

青山氏によると、この担当者は非公式に、「ひとつの意見のなかに賛成している部分と反対している部分が混じっているため、明確に賛成と反対に峻別することができない」とする趣旨の回答をしたのだそうですが、これについて青山氏は「賛否が入り混じっているコメントは全体の一部分ではないか」と疑念を呈しているのです。

そのうえで、こうした経産省の態度を、青山氏は「堕落」だと厳しく批判しているのです。

それでも希望が持てる理由

この青山氏の態度については、実際のところ、賛否両論あり得るでしょう。

とりわけ、「あなたは政権与党である自民党の国会議員なのだから、経産官僚や西村大臣らをもっと詰問すべきだ」、「どうせ単なるガス抜きでしょ?」、といった批判意見などは、あってしかるべきかもしれません。

ただ、本件に関しては、著者自身はそうした見解には与しません。

青山氏はこの「ホワイト国」の件を巡り、かなり早い時期から経産省などに働きかけを行ってきた人物でもありますし、また、青山氏はその立場を最大限活用し、自民党を良い方向に替えようと努力している人物でもありますので、この点については正当に評価すべきでしょう。

なにより、青山氏の発言に同意せざるを得ない点は、やはり、「主権者の前向きな反応」です。

青山氏は「わずかな光明を見出した」(動画の9:50以降)として、青山氏の個人ブログなどに対しても、「主権者から(今回の政令案については)『おかしい』という意見が多数寄せられている」、という趣旨のことを述べているのです。

非常に残念なことに、当ウェブサイトと異なり、青山氏の個人ブログでは読者コメントは原則非公開だそうで、その具体的な「一般主権者の意見」を青山氏のブログで確認することはできません。

これに対し、当ウェブサイトでは、一部の反社会的なコメント、公序良俗に反するコメント、個人攻撃コメントなどを除き、基本的にコメントは自由であり、全面公開を原則としていますが、これらのコメントを読んでいても、青山氏が述べている「一般主権者の意見」がウソでないことはたしかでしょう。

すでに「日韓」問題ではなく「岸田」問題となった

いずれにせよ、一連の日韓諸懸案――たとえば「▼竹島、▼自称元徴用工、▼自称元慰安婦、▼FCレーダー照射、▼輸出管理改悪、▼日韓通貨スワップ」など――を巡っては、すでに「日韓」問題ではなくなったことは間違いありません。

要するに、これらはすでに「日韓」問題ではなく、「岸田」問題なのです。

もちろん、「岸田首相だって、アメリカにいわれて韓国に譲歩をしているんでしょ?」などと述べる人もいるかもしれませんし、これについては部分的には事実でしょう。

安倍総理はむしろ、「米国の言いなりになる日本」ではなく、「米国をコントロールする日本」という、稀有な時代を作った偉人ですが、岸田首相はそれを元に戻してしまっただけのことです。

しかし、それと同時に日本はべつに米国の植民地でも何でもありません。

今回の対韓譲歩局面で、米国が日本に対し、韓国への理不尽な譲歩を要求したのかどうかはわかりませんが、もしそれが事実だったとしても、それを撥ね付けなかった時点で「岸田首相の負け」です。

いずれにせよ、日本の不幸は、「キシダフミオ」という、「インテリジェンス」も「プリンシプル」も欠いた男を首相にしてしまったことであり、また、安倍総理を狂人の手によって亡き者にすることを許してしまったことです。

ちなみに安倍総理を筆頭に、政治家らに対し、公然と危害を加えようとする者が出現するきっかけを作ったのも、基本的には新聞、テレビを中心とするオールドメディアであり、特定野党です(『自由民主主義を否定するのは安倍総理にヤジ飛ばした側』等参照)。

「選挙演説中に『安倍辞めろ』と叫んだ当人は、『やじを飛ばすことは表現の自由で保障されている』と述べた」。なにか盛大な勘違いをしているようです。政治的主張をするのは自由ですが、だからといって、選挙を妨害する権利はありません。というよりも、気に入らない相手の選挙演説でやじを飛ばして演説できなくすることの方が、自由・民主主義の否定そのものでしょう。安倍総理演説ヤジ事件先日の『ヘイト問題を取材するならまず「桜ういろう事件」から』では、「共同通信ヘイト問題取材班」が発した、こんなツイートに関する話題を...
自由民主主義を否定するのは安倍総理にヤジ飛ばした側 - 新宿会計士の政治経済評論

しかし、青山氏も指摘する通り、日本の本当の希望は、志の高い有権者の存在にあります。

よく、「民主主義国ではその国の政府はその国民のレベルを超えることができない」、などと指摘されますが、それと同時に著者自身は、「政府のレベルがその国の国民のレベルを遥かに下回る」ことは、十分にあり得るとも考えています。現在の日本が、まさにそうだからです。

インターネット時代に意識が追い付いていない岸田首相』でも指摘しましたが、おそらく岸田首相を筆頭とする宏池会政権幹部、あるいは安倍総理亡きあとの現在の自民党の主流派らが気付いていないのは、10年以上前の民主党政権禍を経て、国民の政治意識が飛躍的に高まっているという事実でしょう。

岸田文雄首相を筆頭に、現在の自民党に不足しているのは、現在の自分たちが自民党の岩盤支持層であるはずの保守層の期待を裏切っているという点に対する認識であり、危機感です。日韓通貨スワップの推進を「外交上の成果」などとのたまう宏池会所属の衆議院議員は論外ですが、岸田首相を含め、現在の政権関係者には、総じてマスコミの社会的影響力が大きかった十数年前のまま、意識がアップデートできていないようです。日韓通貨スワップ、いったん締結すれば増額も可能『慰安婦像問題解決していないのに日韓通貨スワップ再開』で「速...
インターネット時代に意識が追い付いていない岸田首相 - 新宿会計士の政治経済評論

ちなみに、こうした国民の政治意識の高まりに気付いていない(あるいはわざと見ないふりをしている)のは、メディア関係者も同じようなものかもしれません。

雑誌『週刊ダイヤモンド』でも知られる株式会社ダイヤモンド社が運営するウェブサイト『ダイヤモンドオンライン』に6月30日付で掲載されたこんな記事を読むと、それを痛感します。

安倍元首相支持の保守層に異変、解散判断の難易度がさらに上昇

―――2023.6.30 5:05付 ダイヤモンドオンラインより

リンク先記事は有料会員限定のものですが、無料で閲覧できる部分に、内閣支持率の下落を巡って、こんな記述があります。

下落の原因は明確だ。政府が導入を急ぐマイナンバーカードを巡るトラブルに対する拭い難い不信感に起因する。健康保険証を廃止してマイナカードへ一本化する方針に対する中高年層の反発は想定以上のものがある

…。

この時点で、お話になりません。

あくまでも著者自身が観察している限りにおいて、安倍総理や菅総理の時代には自民党を支持していたであろう「岩盤保守層」を中心に、岸田文雄首相に対する失望を表明する人が激増しているように見えるのですが、彼らがその理由として挙げるのは、「LGBT」、「増税」、「韓国」のどれかです。

そして、誤った分析のうえには誤った処方箋しか出てきません。

いずれにせよ、もしも岸田首相が2024年9月の自民党総裁選で再任されるような事態があれば、意外と近い将来、自民党が民意を失い、再び政権を手放すときがくるのかもしれません(それが日本にとって良いことかどうかは別として)。

新宿会計士:

View Comments (36)

  • 今ほど 「政府は余計な事は何もするな」 と思ったことはない。アメリカに 「小さな政府」 を主張する人達が常に一定数いる訳が分かったような気がする。

    増税だから怒っているわけじゃない。それが公金チューチューに使われるのが分かっているから怒っている。LGBT法は新たな公金チューチュースキームだから怒っている。海外援助は援助し甲斐のある国にしろ。

  • 「ぼくたちの考えるスバらしいニッポン」
    筋違いな暴走集団、霞が関官僚たちに日本の未来を一任しておいては危険ということです。
    そうはさせないための国会議員であったはずなのですが、岸田首相どの勘違い甚だしい。

  • 「宮澤・岸田」共に、言葉は通じても話が通じない政権。
    英語が話せても道理が通せぬ外交には意味がないのかと。

  • バカが権力を握るとろくなことにならない。
    選挙で権力者を引きずり下ろすしかない。

  • 岸田首相とその一味は、私に言わせれば「反日行為」を繰り返す韓国の政治家の如きものです。

    こんな人にはサッサと辞めてもらいたいのですが、党内政局でもない限り、暫くは岸田政権のままです。

    党内政局を起こすには、あらゆる選挙で自民党を敗北させるしか道はないと思います。

    実際、菅義偉政権も、菅氏自身の選挙区の横浜市長選挙の敗北が決定打になって、党内政局に繋がったと思います。

    もともと自民党は、竹下登元首相が述べたように「歌手一年、総理二年の使い捨て」をして、目先を変えて生き残って来ました。

    自民党政権は、外から倒れる例なんて麻生政権くらいなもので、大抵は党内政局で倒れます。

    政権を左右しないようや補欠選挙や地方選挙では、このことを心がけて行動しようと、私は思います。

    すべては、岸田政権の退場のために。

  • 宮澤氏に岸田氏は共に広島県出身の首相だ。更に宏池会初期のボス池田勇人氏も岡山県出身。どうやら山陽道出身の総理はロクな人物しか出ないようだ(山口県は違うよ)。

    韓国は日本に幾多の反日侮日行為をやって来た。それの一つも改善(隣国からのあらゆる事件での謝罪、犯人連行、盗品の日本への返還、汚い像の破壊、竹島の返還、売春婦・自称徴用工の判決取り下げ)されてないのに、なぜヨリを戻すか?

    保守の岩盤支持層を甘くみたな、岸田!あと1年少々は苦痛だが、この際宏池会やそのシンパなどを、洗い出してつまみ出すチャンスだ(爆笑)。

    • 池田勇人氏は広島県出身です。高度成長の端緒を作った人物であり、日本を毀損する宮沢・
      岸田とは比較になりません。

  • 池田勇人元首相の著作に「均衡財政」というある種の論文があります。
    中公文庫「シリーズ戦後史の証言・占領と講和2」で読めます。この図書には敗戦処理後の日本発展を決定づけた理論の一つとして歴史的価値があると当方は考えて購入しました。奥付によれば発売直後に勝ったようです。
    この文庫には「占領下三年のおもいで」という池田勇人氏による随筆のようなものがついています。政権樹立前に掛かれた「均衡財政」が経済論文の一種であるのに対し、おもいで部分はその名のとおりに政治の舞台裏を著者の目線で語り記す文章です。講和条約締結に至る政治劇に特に凄みがあります。当時若輩ものだった宮澤喜一氏にちょっとだけ言及があります。また奥様がたに特に人気のある白洲次郎氏の発言も収録されています。ご興味を感じたら。

  • もし立憲が「「悪夢の民主党政権」と言っているが、「悪夢の岸田政権」ではないか」と言いだしたら、みなさんはどう思いますか。

    • それはもちろん
       お・ま・ゆ・う
      ではないでしょうか。

      • ならば、立憲が「自分が言うと角が立つから、代わりに言ってくれ」は、ありかもしれません。

      •  自分たちの政権与党時代の数々の失政を反省する事無くそんな事を言う奴らは岸田政権を云々する資格はありません。

        • KYさま
          「例え、自分がどうなっても、自民党が落ちるのを見るのは楽しい」ということもあるのでは。

  • 某首相・自民・官僚が勘違いしているとは思っていません。

    大人しい国民にに寄り添うよりも、
    口うるさい米中韓やメディア、経団連に忖度しているほうがはるかに楽で、
    任期内に逃げ切れるから問題視してないんだと思います。

    凋落しているとは言え、オールドメディアの力はまだまだ強力です。
    愚かな有権者もまだまだ多いです。

    メディアの影響力低下よりも、日本の崩壊の方が速いかもと思う今日この頃です。

    • >大人しい国民にに寄り添うよりも、
      口うるさい米中韓やメディア、経団連に忖度しているほうがはるかに楽で、
      任期内に逃げ切れるから問題視してないんだと思います。

      私もそう思います。岸田首相にとっての「世論」は相変わらず新聞・テレビなのかもしれません。あとまあ、人間の情けない性として「うるさい奴」「めんどくさい奴」への対応を「優先」してしまったり、屈してしまったり・・は日常生活でもよく経験すること。

      ここに集う皆さんのご意見には大体賛同できる(だからこそ、出入りしているわけで)のですが、その反面、オールドメディアの力に対する見立てが甘すぎるし、ネット世論への影響力を過信しすぎではないか?と思わされるところがあります。

      もっとも一方で韓国については「過大評価」しすぎかな?という気がしないでも。
      そもそも韓国のいうことを「真面目に」相手にする国ってどれだけあるんだ?ということ。そもそも、海外の東アジア情勢を論じた著作、報道で韓国の動向を詳しく解説した
      ものなんて見たことがありません。韓国の話なんて数ページで終わりだったり、全く「眼中にない」場合も珍しくありません。

      日本人、韓国人以外で慰安婦像だのレーダー照射、歴史認識云々・・なんて詳細に知っている人間がいたらその方がビックリです。
      右側、保守層の中には韓国の執拗な世論工作により日本のイメージや立場は失墜し・・なんて悲憤慷慨している人もいるようですが、海外の世論調査、例えばBBCが不定期に行う国際世論調査(「世界に良い影響、悪い影響を与える国」)なんかでも、日本は常に「良い影響」を与える国々ベスト10の常連ですし、中韓の「工作」が影響を与えた様子は全く感じられません。
      例の「告げ口」外交も表向きは聞いてるフリしてても内心は「アホか?」「ガキみたい」と思っていた要人がほとんどだったのではないでしょうか?

      だからこそ、その程度の国、韓国にいちいち振り回され、その対応に一喜一憂する日本とか日本人に思想や立場の左右を問わず、情けなくもアホらしくなってくるのですが・・。

  •  ルークが宮澤喜一のもとで修行を頑張ってるのにソロとレイアが痴話喧嘩してるのを見て本気で腹を立てた想い出。

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