元大手新聞記者「マスゴミ論」と一般読者の辛辣な反応
オールドメディアが世論を誘導する時代が終焉を迎えつつある。その象徴が、「JAXA記者会見事件」と「桜ういろう問題」だ――。こんなことをぼんやりと考えていたところ、ふと目に留まったのが、元新聞記者の方が執筆した、『だからネット上でマスゴミと嫌われる』、『JAXA会見と桜ういろうに共通する日本のマスコミの根本問題』と題した記事です。
年々拡大するオールドメディアとネットのギャップ
オールドメディアが唱える世論とネット世論にはすでに大きな断絶が生じており、それが年々拡大している――。
こんな仮説を、著者「新宿会計士」は持っています。
著者自身がブログを開始したのは2010年7月(該当ブログはすでに休止済み)、当ウェブサイトを開始したのは16年7月のことですが、この13年間で、ずいぶんと世の中も変わりました。新聞、テレビなどのオールドメディアの社会的影響力が低下する一方、ウェブメディアの影響力が高まってきたのです。
改めて指摘しておくならば、ウェブメディアには、オールドメディアには存在しない特徴がいくつもあります。
その最たるものは、「多様性」です。
オールドメディアの場合、新聞もテレビも数は限られており、とくに地上波テレビの場合だと、視聴可能な民放全国ネット放送は(地域によっても異なりますが)最大でも5系列、NHKの2チャンネルを加えても最大で7チャンネルに過ぎず、これにローカル局の電波が少々入るくらいでしょう。
また、新聞の場合も全国紙が5紙、これにブロック紙や地方紙、地域紙を合わせても、せいぜい10紙もあるかないかといったところですが、これらのメディアには時事通信や共同通信が共通の記事を配信していることもあるため、多様性はさらに限定されます。
これに対し、ネットの場合は、大手新聞社、テレビ局などが開設するウェブサイトだけでなく、各種ポータルサイトがさまざまなメディアの速報などを扱っていますし、独立系のウェブ評論サイトなどもネット上には乱立しており、多くのネット・ユーザーは、自分なりに「お気に入り」のサイトを見つけてアクセスしています。
著者自身、ウェブ評論サイトの数を数えたことはありませんが(というか、日々新たなウェブ評論サイトが立ち上がっているため、カウントすることは不可能です)、これらのウェブ評論サイトのなかには、下手な地方紙・地域紙よりもアクセス数が多いというケースもあります。
情報源のオープン化、読者・視聴者の情報処理能力の飛躍的上昇
こうなってくると、新聞、テレビなどのオールドメディアが国民世論を誘導しようとしても、次第に難しくなってきます。
この点、オールドメディアの常套手段は、情報の「切り貼り」、「印象操作」にあります。
しかし、一般ユーザーの情報処理レベルが上昇してくるに従い、こうした切り貼りや印象操作は簡単に見抜かれるようになりつつあります。また、最近だと、役所や企業などの記者会見では、中継のカメラがYouTubeなどで同時配信されるようになり、前後の文脈を含め、一般人が報道を検証できるようになったのです。
つまり、「情報源のオープン化」、「読者・視聴者の情報処理能力の飛躍的な上昇」は、オールドメディア業界に対し、致命的な影響を与えつつあるのです。
その証拠が、共同通信の「JAXA会見問題」と「桜ういろう問題」でしょう。
このうち「JAXA会見問題」とは、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が2月17日午前、次世代主力ロケット「H3」の打ち上げを中止した件に関連し、共同通信の記者が質疑の最後で「それは一般に失敗といいます」と言い放った問題です(『JAXA会見でのやり取り巡り共同通信記者が「炎上」』等参照)。
少なくとも2月17日の時点で打ち上げは延期されたに過ぎず、失敗はしていませんでしたので、この共同通信記者の認識は一般社会通念に照らし、明らかな誤りと考えて良いでしょう。
ただ、批判されているポイントは、そこではありません。記者会見というオープンな場で、質疑のやり取りの最後という「相手が反論できないタイミング」で自分の意見を表明する共同通信記者の独善的な姿勢であり、また、打ち上げは失敗だったとする歪んだ報道を読者に押し付けようとする態度でしょう。
そして、共同通信の不祥事は、それだけではありません。
『メディア記者、相次いで「炎上」』でも取り上げたとおり、「桜ういろう」なるアカウント名のツイッター・ユーザーが、おもに保守的な論調で知られる論客(ジャーナリストら)に次々と絡んでいた問題で、該当するユーザーが共同通信の記者だと『NEWSポストセブン』が報じたのです。
この「JAXA会見問題」、「桜ういろう問題」は、いずれもメディア不祥事という意味ではじつに象徴的なものですが、それだけではありません。オールドメディアの情報発信者としての「特権」が、インターネットの登場によるガラガラと音を立てて崩れているという証拠なのです。
元新聞記者の「マスゴミ」論
こんなことをぼんやりと考えていたところ、ウェブ評論サイト『プレジデントオンライン』に月曜日、こんな記事が掲載されていました。
だからネット上で「マスゴミ」と嫌われる…「JAXA会見」と「桜ういろう」に共通する日本のマスコミの根本問題
―――2023/03/20 13:17付 Yahoo!ニュースより【プレジデントオンライン配信】
記事を執筆したのは、元大手新聞社の記者で、現在はフリージャーナリストでYouTubeチャンネルを開設している人物です(もし執筆者の方にご興味があれば、ご自身で検索してツイッターをフォローするなり、YouTubeのチャンネル登録をするなりなさってください)。
この記事に注目した理由は、記事タイトルで「マスゴミ」というネットスラングが使われていたからだけではありません。この記事では「JAXA会見事件」と「桜ういろう事件」がともに取り上げられており、記者やその記者が所属する会社が「説明責任を果たさない態度」が、ネット上で「火に油を注いでいる」と指摘しているからです。
正直、このプレジデントオンラインの論考のすべてに無条件に賛同することはできませんが、それでも「なるほど」と思える記述も多々あります。たとえば次の記述などは、「まったくその通り!」と相槌を打ってしまう人が多いであろうことは間違いありません。
「炎上したときの最悪の対応は、黙ってやりすごそうとすることだ。ひと昔前であれば、マスメディアは情報の発信源を一手に担っていた。何か批判が起きたとしても、黙っていれば沈静化させることはできたかもしれない」。
「しかし、今は誰もが個人的に発信をする一億総発信社会だ。黙っていても炎上は止まることはなく、そのままネット上で袋叩きに遭ってしまうだろう。説明しない態度の傲慢さが火に油を注ぐ可能性さえある」。
さすが、元大手新聞社の記者の方で、文章力はピカイチです。
執筆者の方はこう続けます。
「情報はマスが一方向で届ける時代から、双方向の時代となって久しい。マスメディアは自らに向けられた批判に正面から向き合い、適切だと思うのならば反論し、不適切だったならば謝罪しなければならないのだ」。
「そのように考えると、『桜ういろう』の炎上騒動は、マスメディアが説明責任を果たすという、あるべき姿の対極にあると言わざるを得ない。あえて匿名で発言している時点で、そもそも、説明責任を果たそうという意思はない、と見るべきだろう」。
ここでは共同通信が批判されていますが、この「自分たちの行動に対し、説明責任を果たそうとしていない」という点は、日本のオールドメディア各社に共通しています。いわば、暗黙の裡に「無謬性(むびゅうせい)」の前提が置かれているのでしょう。
読者コメントが本当に面白い!
ちなみにこの『Yahoo!ニュース』の読者コメントを読むと、こんな趣旨の指摘が並んでいます。
「(オールドメディアが)嫌われる理由のひとつは、特権階級であるかのごとき傲慢さ。記事で触れられている事件以外にも(北海道新聞の)記者による大学侵入事件もそうだった。『報道の自由』を盾になんでも許されると思っているフシがある」
「他人に対しては高圧的に説明責任を迫りながら、いざ矛先が自分たちに向くとダンマリ。他部署の落ち度を批判する時には元気いっぱいなのに、自分たちのパートではやたらおとなしい。いざ具体的な提言を求められれると当たり障りのない理想論しか言えない」。
ほかにもColabo問題を「報道しない自由」でオールドメディアが頑なに取り上げていない問題を指摘する人もいるなど、読者コメントはここでは紹介し切れないほど多岐にわたり、そしていずれも辛辣で、まさにこの著者の方がいう「一億総情報発信社会」そのものです。
いずれにせよ、オールドメディアが一般世論を誘導できた時代が終わりを迎えつつあることだけは間違いないといえるでしょう。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
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【おしらせ】人生で10冊目の出版をしました
自称元徴用工問題、自称元慰安婦問題、火器管制レーダー照射、天皇陛下侮辱、旭日旗侮辱…。韓国によるわが国に対する不法行為は留まるところを知りませんが、こうしたなか、「韓国の不法行為に基づく責任を、法的・経済的・政治的に追及する手段」を真面目に考察してみました。類書のない議論をお楽しみください。 |
【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました
日本経済の姿について、客観的な数字で読んでみました。結論からいえば、日本は財政危機の状況にはありません。むしろ日本が必要としているのは大幅な減税と財政出動、そして国債の大幅な増発です。日本経済復活を考えるうえでの議論のたたき台として、ぜひとも本書をご活用賜りますと幸いです。 |
メディアも”自浄能”活性低いトコロから影響力が淘汰されてくんでせう
この記事の記者は、「過去に当時の安倍首相に対する態度で炎上したが、
更に批判される事を覚悟の上で反論を行った」とアピールしていますね。
彼の当時の態度や反論には賛同できませんが、覚悟や責任感は
共同通信の二人よりは高いと言って良いでしょう。
批判者を「ネトウヨ」や「誹謗中傷」や「罵詈雑言」呼ばわりをしていない点も良い。
過去には毎日新聞に所属しながらも、2023年に独立してフリーで活動中。
ごくわずかながら、「マスゴミ呼ばわりされて当然」と認める人物もいるのですね。
ただ、この人が共同通信にロケットの件で問い合わせても回答は拒否されたとも書いてある。
やはり「マスゴミ」が救われる可能性は限りなくゼロに近いのでしょう。
ご紹介頂いた記事の中で、いまひとつ意味がわかんないとこがあるのです♪
>記者は会見でロケットが発射されなかったことについて、「中止」か「失敗」かを何度も確認しているが、これは必要な取材と言えるだろう。
>今回の事案を中止と捉えるか失敗と捉えるかで、ロケットをめぐる記事の見出しが大きく変わる可能性があるからだ。
とのことなのだけど、記事の見出しをどうするかなんて、事実を伝える上では、あんまし重要なことじゃないと思うのです♪
JAXAが「失敗」ではなく「中止」と捉えている理由自体は報道すべき事実かもしれないけど、記者がどう捉えてるなんかはどうでもいい事だと思うのです♪
記者が「失敗」に拘るのは勝手だけど、それは自身の意見として「・・・・・なお、今回の発射中止に対して、共同通信社〇〇記者は、これこれの理由で「失敗」であったと考えてる。」って記事に書いて、「H3ロケット発射できず。共同通信社〇〇記者は失敗と評価!!」って見出しをつければ良いだけのことで、無理にJAXAからの言質を取らなきゃならないほどのことじゃないと思うのです♪
なんていうか「誘導して言質を取る」って取材方法自体が、事実を伝えるっていう報道の役割にそぐわないと思うのです♪
あたし的には、そこんとこがJAXAの会見での共同の記者の質問と捨てゼリフがくだらないって思う理由なのです♪
記者の会見って、議論する場でも、事実への評価を下す場でもないと思うのです♪
マスゴミ屋さんとしては自分たちの考えた決め付けを「誰かが言った」で客観報道の如く伝えるのが大事なのでしょう。JAXAに「失敗」と言わせてしまえば、自分たちは言葉に責任を負わなくて済みますから。
実名報道(正確には「実名の開示要求」)も同じ構造だと思います。
新聞は朝刊32ページ(日本経済新聞の場合)の中でいろいろ扱わなければならない。
政治、国際、経済、スポーツ、社会、ラジオテレビ、社説、その他連載小説、囲碁将棋、読者投稿の短歌俳句等々。
何でもそろっていると言いたいのだろうが興味のあるものは少ない。囲碁将棋興味なし、短歌俳句興味なし、むかし新聞の連載小説を読んでいる人は長期入院患者ぐらいと言われていた時代があった。ラジオなど床屋でしか聞かない。テレビはテレビに番組表が内蔵されている。
オールドメディアとネットの関係はデパートと専門店の関係に似ていないこともない。
デパートになんでもそろってた時代、デパートで家具を買い、デパートでTシャツを買い、デパートの食堂でランチを食べて帰る。
今デパートで家具買う人いるの?イケアかニトリに行く。Tシャツはユニクロ行けば質のいいものが安く買える。デパートの食堂ってまだあるの?
これと同じで新聞が扱う記事はネットで質がよく深掘りしたものを無料で見ることができ、場合によっては自分の意見の発信までできる。
デパートはどんどん閉店している。新聞も部数が減り続け休刊が増えている。大手新聞と言えどもヤバイことになる。
政府など情報源から直接広報されるようになって、
マスコミの役割が問われているわけですが。
さて。
あと、「マスゴミ」を語る上で不可欠なのが「報道しない自由」があります。
需要と供給のアンバランスと言えばそれだけでしょうけど。
こちらの見解も聞きたいですね。
新宿会計士様いつもためになる記事をありがとうございます。
元記事を読んできたのですが書いているのは昔安倍総理に
「逃げないで下さい! 総理!」
と言い放って炎上した記者さんなんですね。
俺様はちゃんと説明責任果たしたぞと、支持もされているぞ
とうそぶいていますが
こうした傲慢さはマスコミ関係者のビョ~キみたいですね。
マスコミ関係者は態度を改めないと近い将来
「お前マスコミの言っている事信じちゃっているの?情弱だな」
と国民の多くから言われるようになるのではないか?
「無知蒙昧で愚かな国民を我々が教化するという本音と、国民の代表として、政治家の誤りを正していかなければならないという思い違い」がマスコミの問題では無いかと思います。
マスコミが思うほど国民は愚かでは無いし、そもそも国民が代表として選んだのは議員の方々で、国民にマスコミを選択する機会は与えられていないのに、さも国民の声を代弁していると思い込んでいるのが問題です。
主にマスコミ関係者の傲慢さが不愉快性を押し上げていますが、それはマスコミが最盛期に入って来た連中が官僚に成れなかった半端な高学歴だというところから来ていると考えられます。
現在の腐敗官僚とマスコミの癒着は主に元高学歴で現在の無能だという世間からの評価による疎外感が合体条件のように思えますね。
そこに所詮反体制活動家上がりでしかない野党が組み込まれるのも当然かなぁと。
共産党は【元】高学歴の【現】傲慢な無能と反体制活動家を接着する繋ぎでは無いかと。
インテリ崩れにアカが混じるのは百年以上前からの歴史ですからね。
けつなあな確定さま
アカ(赤)んワぁ〜。そんなに事実を陳列したら・・・
(以下、陰謀論であってほしいのですが)
そこに、キンペイ、プーチン、黒電話、南朝鮮にツケコマレ・・・
ナニカに公金&募金チューチューで活動資金を献上していたり・・・
マジ、やばない?
一度だけ、この人のYouTubeライブを見たことがあります。共同通信がやらかす前で、「アンチ・マスメディアの人は、批判するために新聞を読んだりしてくれるだけ、まだいい。問題はアンチでもない無関心層の人達。彼らはそもそも、お金を払ってまで新聞を読もうとはしない。」 みたいな事を言ってました。
でもその認識って、ちょっと古いような・・・今どき、新聞を批判するために新聞を購読するという人、いるかな? 5年前、10年前なら、政治系のブロガーや動画配信者で 「朝日新聞の記事や社説を批判するために、朝日新聞を購読している」 という人もいましたけどね。
プレジデント・オンラインの記事では、オールドメディアへの批判の度合いが強まっているように見えるから、共同通信の “やらかし” が堪えたんですかね。なお、Twitterには、この人と同じく毎日新聞の元記者で、今はマスコミ業界自体から足を洗って、実名でマスコミ業界を批判している人がいるんですが、その人のアカウントを今、見てみたら、左翼を批判する保守系アカウントのツイートをリツイートしまくってますね。まるでカルトの洗脳が解けた人みたい・・・。
https://twitter.com/kozuchi1
>いずれにせよ、オールドメディアが一般世論を誘導できた時代が終わりを迎えつつあることだけは間違いないといえるでしょう。
うーん、どうなんでしょう?確かに状況は10年前に比べれば格段にマシになっていますが・・。
でもねぇ、例のコラボ問題はリアルでは知らん人結構多いし、ネット民でも社会問題に関心ない層だとYou TUBEでもツイッターでも「おすすめ」に上ってこないでしょうし。
それに対してテレビはスイッチをつければ、興味のない話であっても、イヤでも「見さされる、聞かされる」という「強み」がありますしね。
男の子アイドル最大手トップのホモセクハラスキャンダルはBBCが特番を組んでも肝心の日本ではこれまでと同じく、騒ぎは尻すぼみになりそうな気配ですし・・・。あまり、ネットに過剰な期待をすると失望も大きいような気もします。