「韓国をホワイト国に戻してはならない」とする当ウェブサイトの昨日の記事とまったく同時刻に、産経ニュースは「独自」と銘打って、『韓国の「ホワイト国」復帰検討、徴用工見極め判断』と題した記事を配信しました。まさに真逆の内容です。ただ、産経の記事自体、事実誤認も多く、ロジックもかなりお粗末です。これはおそらく「産経記者の不勉強」ではなく、情報源である日本政府関係者あたりが考えている内容を、産経が「確信犯」的に報じたのではないでしょうか。
ホワイト国にふさわしくない韓国
なぜ韓国をホワイト国に戻してはならないのか
昨日の『韓国をホワイト国に戻してはならない輸出管理上の理由』では、2年前に出版した拙著『韓国がなくても日本経済はまったく心配はない』で論じた内容をベースに、一部の情報をアップデートしたうえで、対韓輸出管理適正化措置を振り返りました。
韓国政府が日本政府に対し、輸出「規制」の撤回と「ホワイト国リスト」への韓国の編入を強く要求しているようであることは、ここ数日の韓国メディアの報道でも明らかです。しかし、そもそも日本政府が対韓輸出管理適正化措置を発動した原因――日韓の信頼が損なわれた状況で、韓国が輸出管理を巡って不適切な事例を発生させたうえ、WTO提訴をしたことなど――が除去されていない以上、日本政府は韓国側の要求に応じることはできませんし、応じてはなりません。無名の専門家がウェブ評論をする時代社会のインターネット化に伴い、興味深... 韓国をホワイト国に戻してはならない輸出管理上の理由 - 新宿会計士の政治経済評論 |
我ながら、韓国に対する輸出管理を適正化するに至った経緯や、この措置を韓国側が一方的に「輸出『規制』」などと呼んでいるという事実、さらには韓国が求める「輸出『規制』を解除するための条件」について、それなりにうまくまとまったのではないかと思います。
自称元徴用工とホワイト国外しは基本的に無関係
ポイントを繰り返しておきますが、日本政府が2019年7月に、韓国を(当時の用語でいう)「ホワイト国」から除外したのも、また、輸出管理上、フッ化水素など3品目の対韓輸出を個別許可制に切り替えたのも、いわゆる自称元徴用工問題とは無関係です。
もちろん、「本当にまったく無関係」というわけではなく、自称元徴用工判決を含めた韓国の非友好的・非合理な行為の数々が日本政府の背中を押した可能性はゼロではありません。
実際、経産省によるこの措置の発動理由の説明を読むと、「輸出管理制度は国際的な信頼関係を土台として構築されている」、「関係省庁で検討を行った結果、日韓間の信頼関係が著しく損なわれたと言わざるを得ない状況にある」、といった表現もあるからです。
ただ、自称元徴用工問題が「日本政府の韓国に対する信頼を失わせた要因」だという可能性を真剣に議論するならば、そのような要因は自称元徴用工問題には限られないかもしれません。というのも、韓国の日本に対する不法行為は、自称元徴用工問題に限られないからです。
図表1は、これまでも当ウェブサイトでしばしば取り上げてきた、韓国の日本に対する不法行為のうちのおもなものを抜粋した一覧表です。
図表1 韓国の対日不法行為の一覧表(※引用・転載自由)
(【出所】著者作成)
この一覧表を見ると、韓国の日本に対する不法行為は、李明博(り・めいはく)、朴槿恵(ぼく・きんけい)両政権のころにもかなりのものが積みあがっていることがわかりますが、それでも文在寅(ぶん・ざいいん)政権のころが最も多かったことがわかります。
ホワイト国は「安保問題」:むしろFCレーダー照射事件と絡めるべきでは?
実際、昨日の議論でも提示したとおり、輸出管理はそもそも軍事と直結している制度です。輸出管理について定めた外為法第48条第1項の条文を読むと、輸出許可制度は「国際的な平和および安全の維持」のために必要な範囲で実装されていることがわかるからです。
外国為替及び外国貿易法第48条第1項(輸出の許可等)
国際的な平和及び安全の維持を妨げることとなると認められるものとして政令で定める特定の地域を仕向地とする特定の種類の貨物の輸出をしようとする者は、政令で定めるところにより、経済産業大臣の許可を受けなければならない。
その意味では、日本政府に輸出管理適正化措置を踏み切らせる原因となったのは、自称元徴用工判決よりも、どちらかといえば2018年12月に発生した火器管制(FC)レーダー照射事件の方が、可能性としては高いのではないでしょうか。
このため、「強制徴用問題を解決すれば輸出規制も撤廃する」という、韓国メディアの最近の報道は、そもそもまったくリンクしない2つの問題を強引にこじつけたようなものではないかと思えてなりません。
産経のリーク報道
産経ニュースが当ウェブサイトとまったく同時刻に真逆の内容を配信
さて、昨日の『韓国をホワイト国に戻してはならない輸出管理上の理由』、記事の公表日時が2023年1月28日午前5時だったのですが、これとまったく同時刻に、こんな記事が公表されました。
<独自>韓国の「ホワイト国」復帰検討、徴用工見極め判断
―――2023/1/28 05:00付 産経ニュースより
産経は「独自」と銘打ったうえで、こう報じたのです。
「政府は、韓国を輸出管理で優遇する『ホワイト国(優遇対象国)』に再指定し、対韓輸出管理を緩和する方向で検討していることが分かった」。
端的に申し上げれば、「自称元徴用工のバーターでホワイト国復帰させるというのはナンセンス」という、当ウェブサイトの配信記事とは真逆の内容です。
主語が「政府は」とありますが、このあたりについても、とても怪しい限りです。自称元徴用工問題を含めた日韓諸懸案の多くを管轄しているのは外務省ですが、そもそも輸出管理を管轄しているのは経産省だからです。産経ニュースの情報源は、はたしてどちらなのでしょうか?
ロジックも穴だらけ
もっとも、記事の内容自体も、極めて怪しいものです。基本的な事実誤認も多く、また、ロジックとしても穴だらけだからです。
たとえば、「ホワイト国」、つまり現在の用語でいう「グループA」に「再指定」するというのは、対韓輸出管理適正化措置の発動原因となった事実――、すなわち、少なくとも「①韓国に対する信頼の回復」、「②不適切な事案の再発防止策」が講じられたということを意味します。
これについて、産経はこう続けます。
「日本を取り巻く安全保障環境が厳しさを増す中、韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権が関係改善を模索していることを踏まえた。いわゆる徴用工訴訟問題を巡る韓国の解決策も見極めた上で、再指定の可否を慎重に判断する。複数の政府関係者が27日、明らかにした」。
お言葉ですが、「日本を取り巻く安全保障環境が厳しさを増している」ことは間違いありませんが、「尹錫悦(いん・しゃくえつ)政権が自称元徴用工問題を含めた日韓諸懸案を解決しようと努力している」という事実はありません。
先日の『「日本に非を認めさせる努力」しかしていない韓国政府』でも指摘したとおり、現在、韓国が行っているのは、「問題を解決する努力」ではありません。「日本に非を認めさせるための努力」です。
当ウェブサイトに優れたコメントを残してくださる「カズ」様という読者の方が、またしても重要なことを指摘しました。自称元徴用工問題を巡って、韓国政府は「日本に非を認めさせる」ための努力しかしていない、というのです。まったく言い得て妙と言わざるを得ません。もっとも、こうした韓国政府の努力も徒労に終わる可能性が出てきました。福島第一原発ALPS処理水、佐渡金山世界遺産登録という、韓国自身の強欲が作り出した問題がその原因です歴史問題とその対応日韓諸懸案を象徴する「自称元慰安婦問題」日韓諸懸案の象徴であ... 「日本に非を認めさせる努力」しかしていない韓国政府 - 新宿会計士の政治経済評論 |
実際、自称元徴用工問題を巡って尹錫悦政権が出してきた「解決策」というものは、いわゆる財団方式による併存的債務引受(あるいは第三者弁済)という、日韓基本条約に照らして日本が到底受け入れられない(し受け入れてはならない)代物です。
ちなみに「財団方式による解決」は、2019年7月19日、当時の河野太郎外相が韓国の南官杓(なん・かんひょう)駐日韓国大使に対し、「極めて無礼である」と怒鳴りつけているという事実を忘れてはなりません(『「河野太郎、キレる!」新たな河野談話と日韓関係』等参照)。
先ほど「速報」として、河野太郎外務大臣の談話を紹介しましたが、その続きとして、談話、記者会見、河野氏と駐日韓国大使との面談についても紹介しておきます。とくに、河野氏と駐日韓国大使の面談については、産経ニュースが動画サイト『YouTube』にアップロードしているのですが、その内容を確認すると、河野氏がカメラの前であるにも関わらず、韓国側の「基金案」に対し、通訳を遮り、「ちょっと待っていただきたい」などと激高するなど、さまざまな面で異例ずくめです。河野大臣の発言河野大臣の談話河野太郎外相は先ほど、韓国の... 「河野太郎、キレる!」新たな河野談話と日韓関係 - 新宿会計士の政治経済評論 |
(※余談ですが、この「極めて無礼である」という河野発言こそが日本政府の立場でなければならず、韓国側が財団方式を出してきた時点で林芳正・現外相あたりが尹徳敏(いん・とくびん)駐日韓国大使を呼び出し、「極めて無礼である」と怒鳴りつけているべきでした。)
そもそも「対抗措置」ではない!
それはともかくとして、産経の記事の続きを読んでみましょう。いきなり、こんな記述があってのけぞります。
「対韓輸出管理を巡っては、当時の安倍晋三政権が令和元年8月、徴用工問題をめぐり文在寅(ムン・ジェイン)政権が具体的な対応を示さないことへの事実上の対抗措置として韓国をホワイト国から除外。半導体材料3品目の輸出管理も厳格化した」。
違います。
まったく違います。
そもそも、対韓輸出管理適正化措置は、自称元徴用工問題への「対抗措置」ではありまsね。
たとえば韓国のホワイト国除外が行われたのは19年8月にズレ込みましたが、これは韓国をホワイト国に指定している根拠条文が政令(輸出貿易管理令)に明記されており、これを改正するのにパブコメなどの手続が必要だったからです。
韓国をホワイト国から除外する方針はすでに7月1日の時点で提示されており、しかもこの7月1日の時点では、自称元徴用工問題を巡って日本政府が韓国に通告した日韓請求権協定に基づく第三国仲裁の手続の期日がまだ到来していませんでした。期日が到来したのは7月19日のことです。
産経がこうした基本的な事実関係を誤って記載しているのは、記者が不勉強だからなのでしょうか?それとも「特ダネ」を外務省あたりからもらうために、知っててわざとやっているか、そのどちらなのでしょうか?
韓国が政策対話に応じなかったという点をなぜ無視するのか
こうしたなかで、産経は、こうも述べます。
「韓国は輸出管理措置の解除を求めてきたが、日本は韓国の輸出管理体制の不備などを理由に応じてこなかった」。
ここもおそらく間違いです。
日本が輸出管理適正化措置の「撤回」(?)に応じない理由は、日本政府が重ねて求めてきた、輸出管理に関する政策対話に、韓国政府が応じてこなかったからです。この点を、産経ニュースの記事はなぜ無視するのでしょうか?
実際、輸出管理適正化措置以前に関しては、政策対話自体は2016年6月を最後に途絶えており、また、その期間、日本から韓国へのフッ化水素(HS2811.11-000)の輸出が、数量、金額ともに急増していて、一時期はフッ化水素の輸出の9割が韓国向けだったこともあるほどです(図表2、図表3)。
図表2 フッ化水素(HS2811.11-000)の対韓輸出(数量)
(【出所】財務省『普通貿易統計』データを参考に著者作成)
図表3 フッ化水素(HS2811.11-000)の対韓輸出(金額)
(【出所】財務省『普通貿易統計』データを参考に著者作成)
日本政府は「不適切な事案」が何であるかについて、その具体的内容を明らかにしていませんが、状況証拠に照らすと、韓国が「ホワイト国」の地位を悪用し、日本から輸入した物資を目的外使用したり、第三国向けに横流ししたりしていたという疑いも出て来るのです。
想像するに、日本政府が要求した「政策対話」とは、平たく言えば、「日本企業が輸出した戦略物資の正確な使途の説明要求」だったのではないでしょうか?
そして、韓国政府としては、「探られると痛い腹」があったため、日本政府の政策対話開催要求から逃げ回り、ちょうど3年が経過した2019年7月に、日本政府が輸出管理適正化措置の発動を発表したのだ、と考えれば、辻褄が合います。
日本国民を愚弄するにもほどがある
こうした推論のうえに、産経ニュースの次の記載を読むと、思わず首をかしげます。
「昨年5月に発足した尹政権は、徴用工問題解決に向けた具体的な検討に着手するなど日本との関係改善に取り組んできた。韓国側がホワイト国への復帰を日本に求めてきた経緯もあり、政府は輸出管理緩和に向けた検討を始めた」。
くどいようですが、尹錫悦政権が検討している案は、自称元徴用工問題の解決からはほど遠いものであり、しかも自称元徴用工問題以外の諸懸案(FCレーダー照射事件、慰安婦合意問題など)についてはまったくと言って良いほど手付かずです。
こうしたなかで、もしも本当に「政府」が輸出管理緩和に向けて検討を行っているのだとしたら、日本国民を愚弄するにもほどがあります。
いずれにせよ、この産経の報道には基本的な事実誤認が多々紛れているのですが、ただ、もっと怖いのは、産経の記者にこの「特ダネ」を提供した政府関係者が、本当に産経が報じたようなストーリーに沿って、対韓輸出管理緩和を検討している可能性がある、という点にあります。
いや、「対韓輸出管理緩和」というよりも、「対韓輸出管理非適正化」、とでも称すれば良いでしょうか。
韓国は対中包囲網に加わっていない
おそらく正体は「下手な三段論法」
この点、著者自身の純粋な想像ですが、日本政府内で次のような「下手な三段論法」に基づき、日韓関係改善とそれに伴うさまざまな優遇措置の再実装を説得している者がいるのではないでしょうか。
- ①現在の日本を取り巻く安全保障環境はとても厳しく、日韓・日米韓連携はとても重要だ
- ②したがって、日韓関係は改善しなければならず、徴用工問題などを解決しなければならない
- ③徴用工問題が解決するなら、日本政府は褒美として輸出管理を緩和してやるべきだ
そして、愚かにもその提案に乗っかろうとしている者がいる、という可能性です。敢えてそれが誰なのかは申し上げませんが、「韓国に二度騙された人物」、「ブレーンを身内で固めている人物」、「故・安倍晋三総理を越える成果を焦っている人物」、とでもいえば伝わるのではないでしょうか。
ちなみにこの「三段論法」自体、さほどピント外れではないと思います。
これまでの宏池会関係者や日韓議連関係者、外務省関係者らの言動を眺めていると、本当にこんなことを考えているフシがあるからです。
三段論法は①の部分からして間違っている
なお、まじめにツッコミを入れておくと、この三段論法、①の部分で大きく間違っています。
わが国で最も信頼に値する韓国観察者のひとりである鈴置高史氏は、かなり以前から、「日本が韓国に譲歩しても意味がない」ということを、懇切丁寧に説明して来ました(『韓国への譲歩が無意味である理由を鈴置論考で確認する』等参照)。
年末に韓国観察者・鈴置高史氏が、「尹錫悦(いん・しゃくえつ)政権の総集編」ともいうべき記事を公表しています。これがまた大変に面白いのです。鈴置氏といえば、過去に「日本が韓国に譲歩したところで意味がない」という点をわかりやすく説き明かした人物でもありますが、今回の論考もそれとまったく同じ文脈に位置付けることができそうです。課題は解決しなくても良いこともある「課題山積」なら「解決法」は――?「新年から、内外ともに課題は山積している」――。こんなことを述べると、必ず帰ってくる反応のひとつが、「では、そ... 韓国への譲歩が無意味である理由を鈴置論考で確認する - 新宿会計士の政治経済評論 |
この鈴置論考の教えを当ウェブサイトなりにかみ砕いて理解すれば、「日本が日米韓連携を理由に日韓諸懸案で韓国に譲歩しようとしたとしても、そもそもそのような譲歩は日米韓連携にとっては無意味であるだけでなく、むしろ有害である」、ということです。
なぜなら、日本が自称元徴用工問題を含めた日韓諸懸案で韓国に譲歩したら、韓国はまたそれに味を占め、「日本は脅せば譲歩する」と勘違いするからです。このことは、日韓・日米韓連携を円滑に進めるうえでも、むしろ障害となり得ます。
いずれにせよ、産経の記事は穴だらけ、といったところでしょう。
こうしたなかで、この「ホワイト国復帰」に関するリーク記事を予見するかのように、その鈴置氏は、なんとすでに1週間以上前に、こんな論考を発表しています。
半導体戦争で板挟みになる韓国 米国の圧迫と中国の嫌がらせ…頼みの綱は日本の輸出管理撤廃
半導体戦争でも二股を続ける韓国。米国が「中国と別れろ」と圧力をかけると、中国も「技術者の入国禁止」で応じた。砲煙が激しくなる一方のこの戦争を韓国観察者の鈴置高史氏が“洞ヶ峠”から読む。<<…続きを読む>>
―――2023年01月20日付 デイリー新潮『鈴置高史 半島を読む』より
日本の対韓輸出管理が、米中半導体戦争においてもカギとなり得る、という指摘です。
あるいは、「米国の意向で日本も日韓関係を改善しなければならない」、といった、日本国内ではよくある主張(というか与太話)を木っ端微塵に論破するパワフルな論考、と申し上げた方が正確でしょうか。
これは、米国が半導体産業における「中国包囲網」に日本、韓国、オランダの3ヵ国を巻き込もうとする、という構想ですが、じつはこの構想に韓国は色よい返事をしていないのです。つまり、日本が輸出管理適正化措置を「解除」してしまうのは、むしろ米国の意向に背くものである、という可能性が議論されているのです。
韓国は対中包囲網にすら加わっていないのに…
鈴置氏は韓国の意図について、こう指摘します。
「米国は安全保障にかかわることなら何でもやります。韓国もそれを知っているからこそ、日本の対韓輸出管理の強化を執拗に撤廃させようとしてきた」。
「安倍晋三政権によって自分の喉元に突き付けられた刀を、一刻でも早く降ろさせたいのです。日本が持っている刀だけど、米国が使う可能性も大いにあるのです」。
では、日本政府は輸出管理の緩和を韓国に約束したとでも言うのでしょうか。
これに対する鈴置氏の答えは、こうです。
「その可能性が高い。対韓強硬派の議員の中にも『韓国と関係改善の折には緩和することになる』と言う人が多い。輸出管理の強化を二国間問題として、まだ捉えているのです」。
「対韓強硬派の議員」が誰を指すのかはわかりませんが、想像するに、「口だけ達者な髭の隊長」あたりでしょうか?(『「自民党が韓国に金融制裁検討」:外為法改正の実現を』でも触れたとおり、髭の隊長さん、2022年夏までに対韓制裁のパッケージを発表すると述べていたような気もしますが、音沙汰はありません。)
竹島問題を巡って、自民党内では「韓国に苦痛を与える対策」として、金融、投資、貿易など広範囲な制裁を検討し、来夏ごろまでに具体策を取りまとめるのだそうです。ただ、ことばだけ威勢が良くても困ります。現実の外為法などには、経済制裁に関する規定が十分にあるとはいえないからです。国会議員ならば、威勢の良いことばだけでなく、「具体的な法律改正」にまで言及していただきたいと思います。もし国会議員の方がいらっしゃれば、ぜひ、本稿を読んでいただきたく存じます。竹島問題を国際化するのは良いが…韓国警察庁長による竹... 「自民党が韓国に金融制裁検討」:外為法改正の実現を - 新宿会計士の政治経済評論 |
いずれにせよ、この「輸出管理強化を二国間問題として捉えている」というのは、日本の官僚や政治家の国際感覚のなさの傍証でしょう。
日米蘭3ヵ国が対中規制で合意=ブルームバーグ
そして、現在が日本政府が対韓輸出管理の緩和を行うタイミングではないことは、こんな記事からも明らかです。
日米とオランダが合意、半導体製造装置の対中輸出規制-関係者
―――2023年1月28日 14:27 JST付 Bloombergより
ブルームバーグは土曜日、「事情に詳しい複数の関係者」の情報を引用するかたちで、日米蘭3ヵ国が半導体製造装置の一部の中国に対する輸出規制に合意したと報じました。
具体的には、これは中国の「半導体製造能力増強」という野心を阻止することを目的としたもので、主要サプライヤーである東京エレクトロン(日)やニコン(日)、ASMLホールディング(蘭)を擁する日蘭両国を加えた多国間の枠組みに拡大する、としています。
ただ、現在までのところ、韓国がこの枠組みに入ってきたという話はありません。それどころか、米中双方に対し良い顔をするという「二股外交」は続いています。
こうした点を踏まえるならば、解決にもなっていない自称元徴用工問題の「解決策」に騙され、輸出管理適正化措置を撤回するというのは、日本にとっては考え得る最も愚策のひとつです。
もっとも、そもそもの自称元徴用工問題自体が「解決」からほど遠いところにあるという点を踏まえるならば、輸出「規制」も解除されず、5月のサミットにも韓国は招かれず、そのまま宏池会政権が終わってしまうという可能性もないわけではありません。
その意味では、産経の記事も含め、日韓諸懸案や対韓輸出管理適正化措置自体、しばらく様子見が正解でしょう。
View Comments (54)
いつも知的好奇心を刺激する記事の配信ありがとうございます。
>基本的な事実関係を誤って記載
え。岸田文雄は韓国と『基本的価値観を同じにする』のですから「包摂的秩序で上位たる偉大な韓国がどのように決められた」かが問題ですよ。
事実関係の重要度なんて0で十分です。
さて約束事を実効性が有る様にするには、もし韓国が西側のルールを少しでも破ったら日本にどのような『制裁をする』か書面で取り決めて事前に公開するべきです。
最低限で関西圏及び中京圏に複数の米国製核兵器を有無を言わず投下・炸裂する。
これでどうでしょうか。当方は「愚か者同士の約束事破りへの正義の制裁」として非常に妥当と思います。
自国の国民が1千万以上死ぬ。そして次は東京と言う『恐怖』が有れば日本政府は韓国に約束を守らせるにはどうするべきかを真剣に検討の上で適切な施策を実行すると思いますよ(笑)。
アメリカも「理不尽な核兵器使用で世界中から非難されたくない」でしょうから約束事の遵守へそれなりに協力すると思います。
まあ失敗したら厳し過ぎる厳罰が無いから「いいかげんな約束事を結ぼうとする」のです。ならば約束事を破ると実施される厳罰を明文化する1択です。
最後ですが実は核兵器が落ちたら「当方の生命は蒸発します(笑)」が国益の点では何ら問題ないです(笑)。
でも関西及び中京圏在住の読者様及びコメント主様ごめんなさいです。
m(_ _;)m。シコウジッケンナノデス
暴論は以上です。駄文失礼しました。
マスク処理の時も言いっぱなしだったからなあ
岸田政権は擦り付けにあまり抵抗が無いんじゃないかという疑念はずっとある
だからと言って今降ろされるのもちと困るのだけど
アメとムチをうまく使い分けるなどと考えて
いるのかもしれませんが、そんなことをしても
食い逃げ、告げ口されるだけです。
外為法を改正し、ムチの選択肢を増やし
使い分けましょう。
かりに日米韓の連携が重要だとしても
韓国に良い顔をする必要も韓国人に好かれる
意味も全くないです。
ホワイト国どころかレッドチームですしね。
そもそも産経新聞は(たぶん韓国&韓国人も)
「洞ヶ峠を決め込んでる韓国は、
チヤホヤされる価値がある」
と思い込んでいるフシがあります。
本来ならば必死こいて西側全員に
「オラを助けてけろ!」
とアピールして腰を低くして頭を下げて回らないといけない立場なのに。
そういうことはスイスみたいに武装中立するか、トルコやインドみたいな実力ある老舗が取れるポジションなのであって、経済も軍事も文化もすべて他国にキンタマを握られてる国がやっても、ピエロなだけでしょうに。
第二次大戦のときはオーストリアがナチスに擦り寄ったみたいに、日本に合法併合されて消滅したのにアメリカの都合でゾンビ復活。
若気の至りで、青臭く暴走するのは勝手ですが、もはや日本はそういうリスクの連帯保証人になってはいけません。
なぁなぁですごい支出につながる政策を決めないでほしいですね。
ここで対韓輸出規制を緩めたら、大変な事になる。味をしめた韓国は、更に何かと無理難題を言い、「チャラにしろ」「0対100は100対0」に持ち込もうとします。
日米同盟は強い絆だが、日米韓は腐った環になっている。その理由は、日米に悪い影響しか与えないからです。日本への韓国が起こして来た乱行・合意・国際法破りの数々。
海自哨戒機レーダー照射事件、竹島の不法占領、ALPS水を汚染水と呼び放つ非常識さ、日本海、東シナ海での瀬取り、北へミカン献上、慰安婦合意の一方的破棄、李大統領の上皇陛下に対する侮辱発言と竹島不法侵入、徴用工の国際法違法判決、対馬の仏像未返却、旭日旗を敵視する行為、姜次期日本大使を勝手に発表ーー挙げればキリが無い。
日本のリーダーさん、外務大臣、次官。どうするつもりですか?またもや韓国に譲歩して騙されんの?どうして韓国は他と同じ国の扱いにならないのですか?何のメリットも無いでしょうに。安倍晋三総理が作り上げて来た強力な対韓対中の鎧を、脱ぐ覚悟ですか?
万万が一岸田政権や外務省が韓国に対する輸出管理を緩めようとする考えがあったとしても、これは日本政府の一存ではできないはずです。というのは韓国をホワイト国から外した措置は米国の意向もしくは承認があったからこそだと思えるからです。この措置が行われたのは、イスラエルがイランで日本製のフッ化水素の空容器を発見し米国に通報し、我が国は米国からの連絡で事態を把握して輸出管理を厳格化したというような経緯があったと思います。(このような報道が事実であればですが。)つまり核不拡散政策を進めている米国の足を引っ張る事態が起きていたわけです。だからこそこの措置に怒り狂った文在寅がGSOMIAを破棄するぞと揺さぶりを掛けて米国を味方につけようとしたときも、米国は日本に対しては何も言わず一方的に韓国に圧力を掛けまくりGSOMIA破棄の撤回に追い込まれるというまったく逆の結果を招いたのですから。ましてや現在の米中関係はあの頃より遥かに緊張が高まっているし、中国に半導体を作らせないと本気になっている米国がどちらの味方か鮮明にせずコウモリ外交を続ける韓国すらサプライチェーンから外す方向になっているわけですから米国が輸出管理を緩めることに同意することはないと思いますので。
もし、それでも日本政府が暴走して輸出管理を緩めてまたぞろ横流し等の事態が起きたら、今度は日本も解っていながら不法行為に加担したとして日本国自体が国際社会から責任を問われ経済制裁されかねません。いくら岸田首相や外務官僚が無能だと言ってもド素人の私が気がつくこの程度が解らないはずはありませんもからね。
産経が何故こんな記事を書いたのか。
穿った見方をすると、一面で大きく掲載する事で話題にし、国民からの反対の声でこの企みを潰そうとしてるのでは。
記事の内容自体、馬鹿な外務省が考えそうな事で妙なリアリティーがあります。
整理しますと、
韓国の案はグダグダで日本は受け入れられない。
日本が受け入れなくとも、困る事はない。
企業資産は売れない。
かといって、韓国があからさまに中国に行くことはない。なぜなら、中国に行くイコール半導体が作れないから。
で、今日本は困ってるか?
否、今のままで困らない。
更なる日本企業への嫌がらせは?
ホワイト国復帰した方が、日本弱しと見て更なる舐めた態度で嫌がらせがエスカレートします。もっと貰えると思うから。
つまり、産経にのってる外務省の考えは 日本人相手の想定で、韓国人相手なら矛盾しかないありえない想定です。
だからこそ、影でこそこそやってる企みを明るみに出させ、国民と政治家に潰させようとしてるのでは?とみるのは穿ち過ぎか。
文在寅のオリンピック訪問外交も報道でつぶれてようなもんだし
潰してもらうために、わざと狙ってやってるんじゃないの?
外交関係者の立場で考えたら、報道した結果 どうなるか計算できないわけでもないのに
それが報道されちゃってるんだから
もう どう考えても、わざとでしょう
更新ありがとうございます。
思うに韓国の現政権も宏池会も「名目」だけを整えることにやっきになっている様に感じます。
自称元徴用工問題を「解決」しようとしたフリ。
輸出管理の非適正化を「検討」しようとしたフリ。
上の二つがバーターとなっているような気がします。
実際の解決や非適正化はおそらく二の次以下なのでしょう。単に「努力したフリ」を見せるのが両者と外務省辺りにとっての当座の目的なのだと思います。
それらのフリを行った上で、G7前に「関係改善をしたフリ」辺りを着地点に設定している感じを受けます。
G7前に「韓国とのゴタゴタを片付けたフリ」を行っておけば、他国との軋轢を解消した「名総理と優秀な官僚達」という評価を狙っているのかも知れません。
宏池会政権や外務省はそれで構わないと考えている可能性はありますが、伊政権はその隙に乗じて実際の「ホワイト国入り」を狙っているかと思います。
それに対し宏池会や外務省は「特に気にしない」スタンスを取りそうなところが心配です。
毎度、ばかばかしいお話しを。
アメリカ:「ロシアが武器製造のための半導体を入手できなくするために、半導体および関連物資の、韓国の輸出入を監視管理する」
日本:「韓国への輸出検査厳格化は、日本ではなく、アメリカが行う」
この話は、2023年1月29日時点では笑い話である。
ふと、思ったのですが、岸田総理は、(自民党初代総裁の孫である)鳩山由紀夫(元)総理から言われて、「韓国をホワイト国に復帰させることも、検討します」と答えたのではないでしょうか。
みなさん、辛辣ですね。
新聞記者や NHK なんぞよりもよほど事態の本質に迫って理解していると思います。
力の出し惜しみはしないし利口ぶったりもしない。
「お商売でやっているひとたち」に比べて集合知の有効性がはっきり示されていると当方は思います。