岸信夫・首相補佐官が16日、自身のツイッターで、駐英ロシア大使館のアカウントがなにやら不審なツイートを発信していたことを明らかにしています。文脈から考えて、岸氏のツイートであるかのごとく捏造された画像を積極的に拡散しようとする行為であると断定して良いでしょう。そういえば最近、当ウェブサイトにも妙なスパム・コメントが激増しています。

総理大臣補佐官（国家安全保障担当）で前防衛相でもある岸信夫氏は16日朝、駐英ロシア大使館のツイッター・アカウントがなにやら不審なツイートを発信していたことをツイッターへの投稿で明らかにしました。

岸氏が画像投稿していた問題のツイートについては、本稿執筆時点においてはまだ削除されていないようです。

これによると、「岸氏のすでに削除されたツイート」と称して、あたかも岸氏が直接つぶやいたかのような画像が添付されています。ただし、このツイート自体も削除される可能性はありますので、ロシア大使館が広めようとしていたツイートのスクリーン・ショットを紹介しておきましょう（図表）。

図表　問題のスクリーンショット

（【出所】駐英ロシア大使館のツイッター・アカウント）

画像をもとに、岸氏が「つぶやいたことにされている」内容を文字起こししておきましょう。

「世界は核災害の危機に瀕しています！ウクライナのミサイルは、ザポリージャ原子力発電所の上空で爆発すべきではありません。アメリカの犯罪を繰り返すな！今日が人類最後の日かもしれない…」

ご覧の通り、日本語としては非常に不自然であり、とても怪しい文章です。

また、この日本語に続き、グーグル翻訳によると思われる英訳が掲載され、さらにはザポリージャ原発と原爆投下直後の広島市の写真が投稿されている、といったものです。

正直、日本語としてはかなり不自然ですし、これを岸氏本人が投稿するとも思えません。この「投稿」自体、駐英ロシア大使館が発したウソと断定しても良いでしょう。

駐英ロシア大使館がいかなる意図でこれを投稿したのかはわかりませんが、もしかすると、「日本語が読めない英語圏の人々を騙すにはこんなレベルでも十分だ」とでも思ったのかもしれません。

ただ、この画像を捏造した人物が誰なのかについてはよくわかりませんが、岸氏のツイートでは「高級研究員」なるアカウントにも言及がなされています（正確には「🇷🇺 🅉 高级研究员」だそうです）。見たところ、中国語での情報発信が多いようです。

この「高級研究員」なる人物が問題の画像を捏造し、投稿したのかどうかについては、定かではありません。

ただ、岸氏がツイートしている件は氷山の一角とみるべきなのでしょう。

実際、当ウェブサイトにもここ数日、ロシア、中国などからのスパム・コメントが激しさを増しています。

従来であればポルノサイトや違法賭博サイト、ウイルスサイトなどへの誘導コメントが多かったのですが、最近だと「ウクライナがロシアへの侵略戦争を始めた」などとする荒唐無稽な主張のサイトなどへ誘導するスパム・コメントも見られます。

また、一部には怪しげな日本語で、「自民党と統一教会との関係」などにも言及したものが出現し始めている状況にあります（ついでにいえば、コメントごとにＩＰアドレスが変化するという偽装工作を伴っているものもあります）。

もちろん、当ウェブサイトの場合はそれらのコメントの多くは、読者の皆さまの目に触れないよう、隔離したうえで処理していますが、なかには本物の読者によるコメントと見分けがつかないものも混じっているため、最近では敢えて一部のコメントを削除せず、放置している状況です。

そういえば、当ウェブサイトの場合、「ＩＰアドレス偽装」で思いつくのは、「オールド右翼」氏が有名ですが（『「オールド右翼」さんの面白いコメントをまとめてみた』等参照）、この「オールド右翼」氏の場合はアドレス偽装を除けば、一見するとコメントも記事の内容に沿っているかにも見えるという代物でした。

（※もっとも、「オールド右翼」氏は最近、あまり当ウェブサイトにはいらっしゃっていただけていないようであり、残念です。）

いずれにせよ、こうした「工作活動」は、今後、激しさを増してくるのかもしれません。