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日韓双方に妥協を求める「ゼロ対100理論」の典型例

ウェブ評論サイト『現代ビジネス』に昨日、典型的な「ゼロ対100理論」に基づく屁理屈が掲載されていました。いわく、「韓国内の日本企業資産に対する現金化措置がこの8月~9月に実施されると予想されており」、「タイムリミットは迫っている」、などとしつつ、「世界の安保・経済秩序が、完璧に再編されつつある状況で、尹錫悦大統領と岸田文雄総理は、新たなる日韓関係の発展をともに誓わねばならない」などと述べる記事です。諸懸案を作り出したのが一方的に韓国の側であるという事実を無視した詭弁の塊と言わざるを得ません。

韓国の不法行為と詭弁

韓国の対日「二重の不法行為」

これまでに当ウェブサイトでは何度となく議論してきましたが、自称元徴用工問題や自称元慰安婦問題には、基本的には「①ウソ、捏造のたぐいに基づき」、「②法的な根拠なしに日本に対して謝罪や賠償を求める」、という共通点があります。

これが、「二重の不法行為」です。

日韓諸懸案巡る韓国の「二重の不法行為」
  • ①韓国側が主張する「被害」の多くは、(おそらくは)韓国側によるウソ、捏造のたぐいのものであり、最終的には「ウソの罪をでっち上げて日本を貶めている」のと同じである
  • ②韓国側が日本に対して要求している「謝罪」「賠償」などには、多くの場合、法的根拠がなく、何らかの国際法違反・条約違反・約束違反を伴っている

(【出所】著者作成)

この「二重の不法行為」については、日韓諸懸案を議論するうえで、本来であれば絶対に欠かせない論点なのですが、不思議なことに、日韓双方のメディア報道を読んでいると、どうしても上記②の部分にのみ力点が置かれ、①の部分については事実が軽視されているきらいがあります。

この点、日本政府は安倍晋三政権以降、②の部分を強く主張するようにはなりましたが、①の部分については、残念ながら、その主張がまだ「毅然としている」、とは言い難いのが実情でしょう。

外交青書は少しずつ良い方向に変わり始めているものの…

ただし、物事は少しずつ良い方向に変わり始めていることも間違いありません。たとえば、ここ数年の外交青書の記述などを読むと、たとえば自称元慰安婦問題を巡っては「強制連行」だ、「性奴隷」だ、「20万人」だといった韓国側の主張をめぐっては、「証拠がない」、「事実に反する」といった反論も掲載されるようになりました。

外務省による自称元慰安婦問題への反論の例
  • 「強制連行」…これまでに日本政府が発見した資料の中には、軍や官憲によるいわゆる強制連行を直接示すような記述は見当たらなかった。
  • 「性奴隷」…「性奴隷」という表現は、事実に反するので使用すべきでない。この点は、2015年12月の日韓合意の際に韓国側とも確認しており、同合意においても一切使われていない。
  • 慰安婦の数に関する「20万人」といった表現…「20万人」という数字は、具体的な裏付けがない数字である。慰安婦の総数については、1993年8月4日の政府調査結果の報告書で述べられているとおり、発見された資料には慰安婦の総数を示すものはなく、また、これを推認させるに足りる資料もないので、慰安婦の総数を確定することは困難である。

(【出所】『令和4年版外交青書』P32)

こうした記述がなされるようになったこと自体は、外務省が良い方向に変化している証拠として、高く評価して良いでしょう。

もちろん、韓国が現在、国を挙げて全力で展開している自称元慰安婦問題、自称元徴用工問題のウソを取り消すにはまだまだ不十分ですが、そうであったとしても、日本が国際法を守り、ウソはウソと毅然と否定できるよう、物事が少しずつでも好転することには期待をしたいところです。

日本に譲歩を迫る常套手段

さて、こうした日韓諸懸案をめぐっては、理屈の上で考えられる「落としどころ」は3つあります。下記①~③がそれです。

日韓諸懸案を巡る「3つの落としどころ」
  • ①韓国が国際法や国際約束を誠実かつ完全に履行することで、日韓関係の破綻を回避する
  • ②日本が原理原則を捻じ曲げ、韓国に対して譲歩することによって、日韓関係の破綻を回避する
  • ③韓国が国際法や国際約束を守らかったことの結果として、日韓関係が破綻する

(【出所】著者作成)

このなかで国際法に従って妥当な解決策は①、つまり韓国が国際法に従って妥当な解決を図ることで日韓関係の破綻が回避される、というパターンですが、非常に残念ながら、この①のパターンについては、基本的には期待できません。

そして、著者自身の主観的な印象で恐縮ですが、尹錫悦(いん・しゃくえつ)政権が発足して以降、韓国では現在、国を挙げて上記②、つまり「日本に対して譲歩を迫る」という主張が、やたらと増えてきたように思えてなりません。

その際に用いられる屁理屈が、「ゼロ対100」理論、あるいは一種の「どっちもどっち」論です。日韓諸懸案の全責任が韓国の側のみにあるという事実を隠蔽し、あたかも日韓諸懸案の原因が日韓双方にあるかのような言い草である、と言っても良いでしょう。

※ゼロ対100理論とは?

自分たちの側に100%の過失がある場合でも、屁理屈を駆使し、過失割合を「50対50」、あるいは「ゼロ対100」だと言い募るなど、まるで相手側にも落ち度があるかのように持っていく態度のこと。

(【出所】著者作成)

当然、この「ゼロ対100理論」の陥穽に陥ると、日本としてはいわれのない譲歩を余儀なくされますので、ここには絶対に嵌ってはなりません。

韓国の詭弁の典型例

現代ビジネスに掲載された「ゼロ対100理論」

ただ、ここに来て韓国側からは、この「ゼロ対100理論」のようなものが主張が激しくなってきました。それらの目的は、韓国国内だけでなく日本国内に対しても、②の世論を形成することにあるのでしょう。ウェブ評論サイト『現代ビジネス』に昨日掲載された次の記事も、その典型的なものではないでしょうか。

韓国が「レッドライン」を超える…! ついに徴用工「現金化タイムリミット」で、岸田政権が迫られる「一手」

―――2022.07.25付 現代ビジネスより

ウェブページ換算で6ページという、一見すると長文ですが、実際の文字数は3000文字足らずであり、少々ページが分割され過ぎでしょう。ただ、内容自体も大変に薄っぺらく、早い話が「日韓関係の改善は待ったなし」、といったものです。記事末尾の次の文章が、それを象徴しています。

世界の安保・経済秩序が、完璧に再編されつつある状況で、尹錫悦大統領と岸田文雄総理は、新たなる日韓関係の発展をともに誓わねばならないだろう」。

なんだか、とってもおかしな議論です。

そもそも論として記事タイトルもヘンテコです。「現金化のタイムリミット」で「一手を迫られている」のは岸田文雄政権ではなく、尹錫悦政権の方だからです。

法律の素人が「日韓関係破綻」説を唱える珍妙さ

ちなみに記事を執筆したのは「日韓関係専門家、フリーランサー記者」と名乗る人物であり、プロフィール欄にはこうあります。

日韓関係関連の著作を続けてきたフリーライター。日韓関係の歴史問題の解決及び政治、経済の懸案などについて集中的に扱ってきた。韓国の大学及び大学院で政治学を専攻し 日本に韓国の現実を知らせることに集中している」。

ずいぶんと期待させるプロフィールです。

しかし、正直、記事の1ページ目の導入部分を読むだけで、この方が会社法制や経済はおろか、国際法や日韓関係に対する知見もほとんどないことがわかってしまいます。たとえばこんな記述がそうです。

徴用工問題をめぐっては、韓国内の日本企業資産に対する現金化措置がこの8月~9月に実施されると予想されており、タイムリミットは迫っている。このまま両者の間で“妥協点”が見いだせなければ、最悪の場合、いったいどんなことになってしまうのか」。

そもそも「現金化措置」とは、いったい何を意味しているのでしょうか。書いているご本人がきちんと理解なさっているのでしょうか。

ちなみに当ウェブサイトでは『個人的実体験に基づく「自称元徴用工訴訟の不自然さ」』を筆頭に、自称元徴用工問題で資産の現金化が実現する可能性は極めて低いということを、これまでに何度となく指摘してきたつもりです。

自称元徴用工問題の落としどころのひとつこそFOIP自称元徴用工訴訟を巡り、昨晩は「韓国の大法院(最高裁に相当)が三菱重工の資産差押命令に関する再抗告を棄却した」とする報道が流れていました。これ自体、正直、大した記事ではないのですが、そもそも論としてもうすぐ自称元徴用工判決から3年を迎えるため、少し個人的な「訴訟体験」も交えつつ、彼らの本当の狙いと日本政府のあるべき対応について探ってみたいと思います。要約 本気で訴訟を戦うつもりなら、売却が容易な資産を調べ上げ、最初から差押をするのが当然 非上...
個人的実体験に基づく「自称元徴用工訴訟の不自然さ」 - 新宿会計士の政治経済評論

しかし、非常に残念なことに、現代ビジネスの記事には、差し押さえられている資産が知的財産権や非上場の合弁会社株式など、換金が非常に難しいものばかりである、という事実には、まったくと言って良いほど触れられていないのです。

完全に韓国の都合のみに立脚した議論&事実誤認の嵐

リンク先記事の問題点は、まだまだあります。

自称元徴用工問題、自称元慰安婦問題などの日韓諸懸案について、完全に韓国のみの都合に立脚して議論しているものであり、かつ、「事実誤認の嵐」、という代物だからです。

たとえば、自称元徴用工問題を巡っては、朴振(ぼく・しん)韓国外交部長官が「被害者と各界各層の意見を傾聴し、国民に理解してもらえる解決方案を模索するため」に作った「官民協議体」をめぐっては、この著者の方は「党や派閥を越えて、知恵をしぼる余地は、十分にある」、などと指摘。

次のように言ってのけるのです。

解決のためには、企業と民間が参加する自発的な基金設立と、韓国政府が被害者に賠償金を支給する代位返済方案が議論されるが、有効な解決策になるためには被害者の同意を得なければならず、世論の支持も受けなければならない」。

そもそも論ですが、なぜ自称元徴用工のウソを日本が受け入れる前提で勝手に物事を議論しているのでしょうか。

しかも、記事ではこの「官民協議体」をめぐって、自称元徴用工やその支援団体らが「『被害者と日本企業の直接交渉』を要求しているのが現実だ」と指摘。日本側が自称元徴用工判決を「国際法違反」、「韓国が先に解決法を提示すべき」とする主張で一貫していることを、次のように表しています。

今回の解決策も、さっそく前途多難になっているわけだ」。

2018年10月、最高裁判決直後に、文在寅政府は、汎政府タスクフォースを組織したが、結局、5月の退任時まで何もしなかった。その間、日本が、2019年7月の半導体部品輸出規制で報復し、韓国側がGSOMIA(韓日軍事情報保護協定)終了を宣言するなど、両国は至上最悪の関係に陥った」。

なんだか、言っていることがメチャクチャです。

日本政府が2019年1月に日韓請求権協定に基づく外交的協議を申し入れたという事実、韓国側がそれを4ヵ月間も放置した末に、当時の李洛淵(り・らくえん)首相が「韓国政府の対応には限界がある」と匙を投げてしまったという事実を、どうして無視するのでしょうか。

ついに韓国が「徴用工判決問題」でさじを投げたのでしょうか?もう1本、ショートメモです。本日、時事通信にこんな記事が配信されていました。韓国首相、「政府対策には限界」=司法手続き進む徴用工判決(2019年05月15日14時31分付 時事通信より)これは、韓国の李洛淵(り・らくえん)首相が15日、韓国・ソウル市内で行われた討論会で、自称元徴用工らの問題をめぐり、司法手続きが進められている事案に対し、政府対策を打ち出すには、基本的に限界がある。さまざまな論議をしたが、結論は限界があるということだ(※下線部は引用者...
【速報】韓国首相、自称徴用工問題巡り「対応には限界がある」 - 新宿会計士の政治経済評論

また、この李洛淵氏の発言を受け、日本政府が手続を外交協議から国際仲裁に切り替え、韓国側に仲裁委員の任命を求めたにも関わらず、条約に定められた2ヵ月以内に韓国がその手続を無視した事実(『「河野太郎、キレる!」新たな河野談話と日韓関係』等参照)についても、どうして無視するのでしょうか?

先ほど「速報」として、河野太郎外務大臣の談話を紹介しましたが、その続きとして、談話、記者会見、河野氏と駐日韓国大使との面談についても紹介しておきます。とくに、河野氏と駐日韓国大使の面談については、産経ニュースが動画サイト『YouTube』にアップロードしているのですが、その内容を確認すると、河野氏がカメラの前であるにも関わらず、韓国側の「基金案」に対し、通訳を遮り、「ちょっと待っていただきたい」などと激高するなど、さまざまな面で異例ずくめです。河野大臣の発言河野大臣の談話河野太郎外相は先ほど、韓国の...
「河野太郎、キレる!」新たな河野談話と日韓関係 - 新宿会計士の政治経済評論

リンク先記事の著者の方は、2019年7月に日本政府が発表した対韓輸出管理適正化措置のことを、「徴用動員賠償および慰安婦問題解決と、それにともななう輸出規制」(※「ともななう」は原文ママ)などとカン違いしていますが、正直、この時点でかなりズレています。

「日本政府の謝罪が必要」

だからこそ、結論もハチャメチャになるのでしょうか、この著者の方は、次のように主張しています。

日本が、韓国に対する輸出規制を解除し、韓国が日韓軍事情報保護協定(GSOMIA)を修復するための解決策を提供するのが重要だろう」。

まったく話にならないとは、このことでしょう。

そもそも『もう3年:輸出管理適正化措置の原因は韓国側が作った』でも説明したとおり、日本政府の措置発表のタイミングや内容から判断して、この対韓輸出管理適正化措置は自称元徴用工問題とは無関係であり、かつ、世間で思われているよりもはるかに根が深いものです。

日本政府が韓国に対する輸出管理を適正化する措置を講じてから、もうすぐ3年です。ただ、韓国側がこれを「輸出規制」だと騒ぐわりには、日本の素材・部品・装備の対韓輸出高はまったく減っておらず、むしろ増えている状況にあります。事実関係をちゃんと調べていけば、日本政府の措置は輸出「規制」でも対韓報復でも何でもなく、自称元徴用工問題と無関係であり、そして、この措置を発動する原因を作ったのが韓国側であるという事実を、改めて認識することができるでしょう。鈴置論考の集大成(勝手宣伝)ここ数日、執筆者の許可なく...
もう3年:輸出管理適正化措置の原因は韓国側が作った - 新宿会計士の政治経済評論

このように考えていくと、不勉強による勘違いというものは、本当に怖いものだと思います。議論がナチュラルにピント外れだからです。

そのうえで、今回の記事のおそらく中核を占めているのが、自称元徴用工問題や自称元慰安婦問題をめぐる「基金案」です。

以前、文在寅政府でも、今回の賠償問題のようなこと慰安婦問題をめぐって浮上したことがある。当時は、韓国と日本企業による自発的な基金から、被害者に慰謝料として支給する『1+1』案、基金設立に両国企業はもちろん国民の寄付金も加える『1+1+α』(文議長案)などが議論された」。

具体的には、寄付金に加えて2015年の日韓慰安婦合意に基づいて設立された「和解・癒し財団」に日本が拠出した基金の残額60億ウォンの資金を使い、再び財団を作って、自称元慰安婦らへの賠償に充てようとした、というのです。

だが、慰安婦団体は、『日本政府と安倍首相のお詫びを受けるという被害者の核心要求が抜けた方案』と反発して、霧散した」。

そのうえで著者の方は、ある自称元慰安婦がメディアに対し、「私たちの目的は、日本に、ちゃんとお詫びをしてもらうこと」、「お詫びのない寄付金は、必要ないから、話を持ち出すまでもない」などと語ったというエピソードを紹介。

自称元慰安婦問題の解決方法については「日本政府からの謝罪を受けるのが、何よりも先」であり、「賠償は日本政府がすることであり、そこに韓国政府のお金が含まれるのも言語道断」、などと述べた、と主張しているのです。

思わず、頭が痛くなります。

そのうえでリンク先記事は、自称元徴用工問題に話題を戻し、資産現金化という「日本政府が示したレッドライン」が迫るなかで、日韓関係の改善が待ったなしであり、そのためには日韓双方が努力しなければなない、などとして議論を締めくくっているのです。

なお、この記事は同じく現代ビジネスに25日付で掲載された『韓国「徴用工問題」でまた大騒ぎ…! 日韓“妥協案”に「日本は謝罪しろ!」「慰労だって?」の大批判が起きている!』という記事とセットなのだそうですが、正直、もう片方の記事に時間を割いてまで読む価値があるとも思えません。

(※ただし、当ウェブサイトとしてはべつに「読むな」と申し上げることはしません。「読みたければどうぞ」、とだけ申し上げておきます)。

対韓制裁論が必要

さて、上記の記事は正直論外として、こうした韓国側のウソ、捏造、屁理屈に逐一反論する努力はもちろん必要ですが、それだけではやはり不十分です。たとえば、韓国が虚偽の歴史問題の主張を続けることで、すでに日本の側にはさまざまな実害が生じているという事実については無視してはなりません。

たとえば、自称元徴用工問題を巡っては、韓国の最高裁に相当する「大法院」が2018年10月と11月に、それぞれ新日鐵住金(現在の日本製鉄)と三菱重工に対して下した国際法違反の判決は、両社に対し、これらの問題に対応するための人的リソースというコストを費やすことを余儀なくしています。

もしも韓国の裁判所が国際法違反の判決を下さなければ、そのようなコスト負担を余儀なくされることはあり得ませんでしたので、その意味では、「すでに日本企業に実害は生じている」のです。

また、自称元慰安婦問題に至っては、世界各地に慰安婦像が建立され、現地では日本人子弟がいじめの被害に遭っているという報道もあります。たとえば、少し古い記事ですが、産経ニュースによる2017年2月16日付の記事なども参考になるでしょう。

「慰安婦像で在外邦人の子供がいじめ」 自民党会合で「慰安婦像放置」の政府に注文が相次ぐ 対外発信の充実を求める意見も

―――2017/2/16 17:33付 産経ニュースより

つまり、韓国の日本に対する「二重の不法行為」の問題は、これに対応しないこと自体が日本に対して現在進行形でさまざまな問題をもたらしているのだ、という点を、私たち日本人はもう少し深刻に認識しなければなりません。

ただ、逆に言えば、私たち日本人が自称元徴用工問題、自称元慰安婦問題を含めた日韓諸懸案について議論するに際しては、この「二重の不法行為」という性質を抑えておく必要がある、ということです。

もっといえば、『韓国への対抗措置については「検討段階」を終えたのか』などでも指摘したとおり、そろそろ日本でも対韓制裁について、もっと大っぴらに議論すべき時期が到来しているのではないでしょうか。

いつまでも「ゼロ対100」理論にやられっぱなしではなく、日本もそろそろ、不法行為を行っている相手国に対し、相手国の不法行為のコストを転嫁する作業に取り掛かってほしいものです。ところで、韓国メディア『中央日報』(日本語版)に金曜日、「日本の韓国への対抗措置」に関する記事が掲載されていたようなのですが、正直、この話題には、あまり新味自体はありません。二重の不法行為とゼロ対100理論『【総論】韓国の日本に対する「二重の不法行為」と責任』を含め、普段から当ウェブサイトで何度となく指摘しているとおり、日韓諸...
韓国への対抗措置については「検討段階」を終えたのか - 新宿会計士の政治経済評論

その意味で、当ウェブサイトも弱小サイトながら、金融専門サイトの端くれとして、外為法などに基づく制裁の議論を繰り返していきたいと思う次第です。

勝手な宣伝

なお、「口直し」ではありませんが、日韓関係についてもう少しまともな分析を読みたいという方には、日本を代表する優れた韓国観察者である鈴置高史氏が先月上梓した先月、『韓国民主政治の自壊』が、なんといってもおススメです。

とくに、日韓諸懸案のすべての原因が韓国の特殊性に起因すると示唆する、次のような記述は、何度でも読み返す価値があるでしょう。

韓国を相手にしなくなったのは日本だけではない。米国も北朝鮮も、そして中国からもまともに扱われなくなった。自らの力を過信した傲慢な外交で、孤立の一途をたどったのだ。日韓関係が悪化したのも『日韓関係の特殊性』からではない。『韓国の特殊性』が原因なのだ」(同P165)。

まだ購入されていない方は、この機会にぜひともご一読をご検討ください。また、すでに購入された方は、折に触れて読み返す価値がある書籍であるという点については何度でも強調しておきたいと思う次第です。

新宿会計士:

View Comments (20)

  • 【日本に韓国の現実を知らせることに集中している】という点では、やってる事は言ってる事と合ってますね。

    ただ、意味があるかと言われると、無意味に見えますが。

    韓国は国内問題を自力で解決出来ず、他国の内政干渉を必要とする非独立国家だって事は、日韓慰安婦合意を必要とした事と日韓慰安婦合意を守れない事から明らかな訳だし。

    • 日本のメディアが、韓国側の主張を無批判に一方的に垂れ流すのはどうにかならないのか。これも報道の自由?

      • 「敵国」のマスメディアを篭絡し、プロパガンダで自国に有利な世論を
        形成させるのは侵略の王道パターン。
        外国の立場での記事を垂れ流すマスコミがゴロゴロいる日本は、無防備で
        愚鈍な国だという事でしょう。

      • >たれながす
        所謂"汚鮮"された発信者による記事、と解するのもひとつの見方かもしれません
        或いは"半島出身者"の書いた原稿かも、とか
        いずれにせよ全ての発信は発信者の意図のもと、でせうか

      • 基本「受け手側の捉え方次第。読まれず見られず購読料もスポンサーも逃げてしまうのがいちばんの制裁」と思っていましたが、苦しくなればなるほど他国の資金による介入を招きます。やはり規制は必要でしょうかね...
        逆に、マスコミ屋さんの"横暴する権利"を法律で保障して差し上げるのも有りとさえ思います。

  • 韓国の報道はもちろん日本側にもこういう意見は時々見かけますね。大義名分は地域の平和でしょうか。中国の跋扈、北朝鮮のミサイルに顕著ですが、日本の譲歩は地域の安定にはつながっていません。日本が法を守る、相手にも守られせる姿勢を強く持つことでこの地域の平和は保たれると思います(FOIP)。日韓の間での条約を韓国側が守るしか両国の平和が守られる術がないことを向こう側に理解してもらうしか日本側としたらやりようはないですよね。守らなければ相応のペナルティがあるということも。

  • >現金化のタイムリミット
    新宿会計士様の現金化は極めて難しいというのは、脇においといて、このタイムリミットってつまるところ、自称元徴用工さんたちが、やるやる詐欺から一歩踏み出すタイミングなんですよね♪
    それが韓国のためにならないと思うのなら、韓国政府が全力で説得?すれば、それは来ないだろうし、韓国からすればタイムリミットでもなんでもないと思うのです♪

    >「資産強制売却は日韓関係の破綻」
    というけど、現金化→日本の対抗措置発動→韓国で反日祭り開催になったとしても、それだけだと多分輸出管理を厳格化したときみたいな状況になるだけだと思うのです♪
    仮に、その時に北朝鮮が南進始めたら、在韓米軍は動くだろうし、米国の要請を受けて日本は米軍の支援をすると思うのです♪
    別に今と変わんないと思うのです♪

    ・・・・だから、日本政府は、「日韓関係の破綻」なんかをおそれずに、現金化前でもいいから、ひとつくらいお灸を据えてやって欲しいのです♪
    そうすれば、あたしがスッキリするのです♪

    • 仰る通り、これは日本に対しての期限では無く、「韓国の原告が韓国内で行おうとしている、韓国内で企業活動を行っている企業に対しての(日本にとっては金銭的実害が無視できる規模の)予告された韓国自身の自傷行為」ですよね。

      日本害ばかり与える韓国という約束を守らず、嘘つきでもある国家の自傷行為を日本が手助けして止めるべきかは議論が分かれるところだと思います。

  • 我が国が設定したタイムリミットではありませんから、我が国に譲歩を求めるのは筋違いなのであります。

  • 韓国の甘えを許さない。そして、韓国の周辺国を巻き込み諍いの火種を大きくする、古からの手法に警戒しながら対処する。全く厄介な隣人だ。なんだけど、オレが思うに、期限を切りながら、何時何時までに、これを実行しなければ、こういう報復をしますよ。みたいな事はできないのだろうか。たとえば、10月1日までに盗んだ仏像を返さなければ、これこれ、こういう報復をします。みたいな。売春婦像の撤去、、それも、合意違反だから、世界中の像の撤去をしなければこういう報復をしますよ。とか。韓国なんぞなくても困ることはない。朝鮮半島生命線も怪しいもんだ。この際、過去からの災過と子孫への厄災を断ち切るためにも、徹底した報復を!

  • >「一手を迫られている」のは岸田文雄政権ではなく、尹錫悦政権の方だからです。

    その通りですね。
    「日韓関係は待ったなしだ」との言で使われた”待ったなし”も、相撲で使われる「制限時間いっぱい(後がない)」ではなく、将棋なんかで使われる「指した手を無かったことにするな」の方だと思っています。

  • 韓国の識者の認識がこの程度であれば、国民の認識はどんなものか想像できますが、韓国の実情を伝えるということでは参考になります。
    であれば、日本の国民の認識もこの筆者は伝えて欲しい。

  • 新宿会計士さんお得意のインチキ社説にしてもいいような、偏った論理ですよね。こういう人は少数にはなりましたが、日本ではまだ一定数お見えになります。
    私は、徴用工問題については、(日韓基本協定で解決済の問題なので)①日本政府、日本企業に”被害”が及ばない②韓国政府のみの責任で解決策を策定し実行する、というのが基本条件だと考えています。従って③日本政府であれ、日本企業であれ、謝罪はない④被告企業と”被害者”の面談・交渉もない⑤いわゆる”被告企業”の財団への出資はない⑥現時点で訴訟が提起されていない”被害者”への対応方針(時効?その他?)を韓国政府が明らかにする⑦大審院判決の射程に入る懸念のあるそのほかの”不法な植民地支配による損害賠償”への対応方針(時効?その他?)を韓国政府が明らかにする、ことが大事だと考えています。そのうえで大審院判決は、日本では国際法違反で当然無効ですが、韓国内では合法と主張していただいても、その程度の解釈の相違はあえて議論するに及ばない、と考えます。輸出規制については、これとは無関係に(実態が改善されていれば)検討されてもよい、と考えています。
    また、慰安婦財団の解散は「韓国は国家間の約束を守らない」動かぬ証拠となっており、韓国にとって、国際世論上、不利益なものとなっています。韓国が自己の判断で復活するのを止めはしませんが、いわゆる”パッケージ処理”のなかで、日本に譲った材料とされることには、反対です。放置で良い、と思います。現状のままであれば、日本は永遠に「韓国は国家間の合意を守れ」と主張できるでしょう。私としては、どうでも良いのですが、いわゆる道徳的優位に立てる材料です。
    日韓関係が拗れた原因を、私は「日本人の過去の植民地支配に対する過度の贖罪意識」とそれに反射した「韓国人の”もめれば日本が譲るのが当然”意識」だと思っています。本問題の解決を通じて、これらの意識が双方で徐々に是正されていくでしょう。そのためには中途半端な妥協は禁物です。現時点までの岸田政権の対応を、支持します。
    予想としては、ユンソンニョル政権は支持率低下で韓国内の意見集約に失敗し、日本へ対案提示ができない(ないしは日本が到底検討できない条件提示を行う)、と考えます。

  • こういうクソ記事も暇つぶしにはいいですよね。
    リンク先開いたら、6ページもあるんで期待したら1ページの文字数の少ないこと・・・

    >このまま両者の間で“妥協点”が見いだせなければ、最悪の場合、いったいどんなことになってしまうのか

    どんなことになってしまうか、専門家なんだから具体的に書けばいいんですよね。全文通して、一切書かれてませんでした。
    そこを書けば、日本が焦る必要はないっていう重要な結論に至るじゃないですか。w

    • >こういうクソ記事
      リンク先記事のことですからね。w
      誤解なきよう。

    • >リンク先開いたら、6ページもある

       よくやることです
      ページビュー稼ぎですね
      前編も3ページあるので計9ページ
       前編はYahooで見れば一気 w

      前編
      韓国「徴用工問題」でまた大騒ぎ…! 日韓“妥協案”に「日本は謝罪しろ!」「慰労だって?」の大批判が起きている!(現代ビジネス)
      https://approach.yahoo.co.jp/r/QUyHCH?src=https://news.yahoo.co.jp/articles/3ff074806c4e2348347df9214bd5fa0f3a1b2e71&preview=auto

       該当記事は一気(1ページ スクロール)になってませんでした w
       

    • ドラマ脳といいまして
      例えば 弁護士は真実・正義の為に法律を駆使して戦う仕事と信じて、
      法律の範囲内で依頼人の権利を最大化する弁護士の行為の叩く人がいます。
      マスコミも報道も 法律の範囲内なら情報を売ってナンボの世界です。

      現代ビジネスも 買い手が付くなら、それが仕事なので
      紹介されただけでも 大成功だったと思います

      現代ビジネスのやってる事は道徳的に不愉快ですが、道徳は法律にしてはいけないので
      現代ビジネスを野放しにするのも仕方がないことだと思います

  • 日本人は優しくて、どんなに相手が悪くとも、そこを曖昧にして向こうから手打ちになる様に仕向けます。
    これが、ハッキリと相手の悪いとこを指摘すると争いが激しくなり引くに引けない状況にのるので、それを避ける仕草が自然と見についています。
    和をもって尊しとなす。

    しかし、韓国人にはこれは通じません。
    日本人ではないからです。
    彼等は日本人がハッキリ指摘しないのをいい事に、肝の部分を誤魔化してどうにか自分に都合のいいように物事を進める傾向があります。

    日本政府は逃げ道を全ての塞いで、解決策はこっちですよと教えてあげる優しさをみせるべきです。

    三権分立だから、無理というなら 大法院の判決が正しいのか正しくないのか確認して、
    正しいというなら、日本としては今迄の様な付き合いは出来ないと伝える。
    正しくないというのなら、法律を作ってでも自分で解決しろと伝える。
    日韓基本条約を守るか守らないか?確認して、守るのであれば 今の状況は守ってないので条約違反を早く解消しろと伝える。

    この様に一つ一つ韓国の逃げ道を塞いで行くと、自ずと正しい道が見えてきます。

    ただ、韓国が最後まで耐えられずファビョーンとなるかもですが。

    • 河野洋平がこれで騙されたんですよ。
      言ってくれればこれで納めるから と。

      騙されるほうがわるい という 国の人々は すべて信用に値しない。

      • どみそ様

        そうなんです。
        慰安婦は基本条約で解決済みだと韓国政府もわかってます。
        日本が謝罪さえしてくれたら、あとはこっちでなんとかします という言葉に騙されて・・・。

        あのときは 間に第3国を入れなかったのでダメでしたが。
        韓国と話をする時は、必ず第三者を交えてでないと 危なっかしいですよね。