X
    Categories: 外交

韓国「誠意ある対応」発言に「言語道断」=佐藤正久氏

参議院議員で自民党の外交部会長を務める佐藤正久氏は、韓国の朴振(ぼく・しん)外交部長官(※外相に相当)が日本に対して「誠意あるリアクション」を迫ったことをめぐって「言語道断だ」と語気を荒げたそうです。弱小派閥「宏池会」出身の岸田首相、林外相が安易に韓国に譲歩することができないゆえんでもありますが、ただ、韓国からの「罠」はまだまだ続くでしょう。油断できません。

韓国外相「日本は誠意ある対応を」

先日日本を訪問した韓国の朴振(ぼく・しん)外交部長官(外相に相当)は、メディアなどに対し、日韓諸懸案の解決や日韓関係「改善」を巡り、日本の譲歩を促すかのような発言を行っています。

たとえば超党派の「日韓議連」の会長でもある自民党の額賀福志郎・衆議院議員との会談では、朴振氏は自称元徴用工問題を巡って、「日本も誠意あるリアクションを」と要求しました(『韓国外相「日本も誠意を」→佐藤氏「外交部会で糾す」』等参照)。

また、朴振氏は訪日日程を終えた際、韓国メディアなどの取材に対しても、日本の岸田文雄首相や林芳正外相に「誠意ある対応をするよう要請した」、などと明らかにしています(『韓国外相「徴用問題で日本に誠意ある対応を要請した」』等参照)。

そのうえで朴振氏は、日本の反応についても「日本政府も誠意を持って前向きに応じる用意があると感じた」、などと述べたのだとか(『韓国外相が訪日成果を強調も「日韓温度差」は明らかに』参照)。

一連の発言、なかなかに強烈です。

このあたり、尹錫悦(いん・しゃくえつ)政権発足の前後、日本の側ではごく一部の関係者の間で、「保守政権に交代したことだし、今後、日韓関係の『改善』が進むに違いない」、といった希望的観測もありました(『韓国の約束破り無視する「関係改善論」=日経編集委員』等参照)。

日経新聞に週末、『時代が要請する「日韓同舟」』と題したコラム記事が掲載されていました。この記事からは、日韓関係改善論者の典型的な思考パターンを読み取ることができます。韓国の日本に対する一方的不法行為の数々をことごとく無視し、「安保上の理由で日韓関係改善が必要だ」、などと主張しているものだからです。しかも驚いたことに、これを執筆したのは日本経済新聞社の編集委員の方だそうです。日韓関係改善論の詭弁当ウェブサイトで常々取り上げている「日韓関係改善論者の思考パターン」とは、「日本にとって韓国は大事な...
韓国の約束破り無視する「関係改善論」=日経編集委員 - 新宿会計士の政治経済評論

余談ですが、この編集委員の方がいま、いったい何を感じていらっしゃるのか、お会いできるならばちょっとご見解を聞いてみたい気もしないではありません(もっとも、この方の文章を読む限りでは、お会いしたとしても「時間を無駄にした」と感じるのが関の山かもしれませんが…)。

佐藤正久氏「言語道断だ」

こうしたなかで、自民党の外交部会長を務める佐藤正久参議院議員が21日、外交部会などの合同会議の場で、「言語道断」ということばを使って韓国を批判したそうです。いくつかのメディアがこれについて報じているのですが、ここでは産経ニュースと時事通信のものを紹介しておきましょう。

自民・佐藤外交部会長 「妥協あってはならない」 徴用工問題

―――2022/7/21 12:04付 産経ニュースより

「日本も誠意を」は言語道断 自民部会、韓国外相に反発

―――2022年07月21日14時59分付 時事通信より

産経によると佐藤氏は21日午前の党会合で、自称元徴用工判決問題を巡って「将来に禍根を残さないためにも、日本側が条約違反を許容するような安易な妥協は絶対あってはいけない」と指摘。そのうえで、朴振氏が額賀氏に「誠意あるリアクション」を求めたことについて、次のように強調したのだそうです。

韓国側が具体的な解決策を出す前に誠意ある対応を取ってほしいというのは言語道断だ」。

ちなみにこの「日本が誠意ある対応を取れ」という発言、韓国が具体的な解決策を出した後であったとしても、その内容次第では同様に「言語道断」でしょう。

また、時事通信によると、この合同会議では朴振氏の「誠意ある対応」発言に対し「出席者から反発」が相次ぎ、「安易に譲るべきではない」として政府に強い姿勢で臨むよう求める意見も出たのだそうです。そして、出席した外務省の担当者も、林外相が「『韓国側で解決すべき問題だ』とくぎを刺した」と強調したのだとか。

このあたり、日本が韓国に対し、安易に妥協できるかといえば、そこも微妙でしょう。

そもそも岸田首相、林外相がともに自民党内では「弱小派閥」である宏池会の出身であるため、政治的な基盤が弱く、佐藤氏を含めた「うるさがたの議員」が集う外交部会などを納得させることは、なかなかに困難です。

今回の外交部会の動きなどを見ても、この点は明らかでしょう。

今後も罠は続く

ただ、個人的に危惧している点があるとすれば、やはり、岸田首相や林外相に「韓国に譲歩する」気はないけれども、韓国側の罠に嵌って妙な言質を取られるというリスクです。

朴振氏の訪日は結果として「日本の譲歩」を求める韓国と、「絶対に譲歩をしない」とする日本の姿勢が浮き彫りになったという意味では、「結果オーライ」だったといえるかもしれません。

しかし、『日韓外相会談:両国発表の6箇所の相違が意味するもの』でも指摘したとおり、今回の朴振氏の訪日でも、やはり外務省の「甘さ」、「危うさ」が目立ちました。朴振氏の訪日を受け入れたことが良かったのかどうかについては、こうした点からも判断しなければならないのかもしれません。

韓国が諸懸案放置なら日本企業の韓国からの撤退加速も昨日は日韓外相会談が行われました。見ていて危なっかしい点もありますが、総じていえば、「宿題を抱えている」のは韓国の側であることが、改めて確認された会合だったといえるでしょう。そして、本稿では現実に日韓双方の外交当局の発表内容を見比べたところ、少なくとも76箇所の相違が存在することが判明しました。このインターネット時代、私たち一般国民もその気になれば両国のウェブサイトを直接見比べることができるというのも興味深い話です。2022/07/19 9:15追記・訂正当...
【記事修正】日韓外相会談:両国発表の6箇所の相違が意味するもの - 新宿会計士の政治経済評論

いずれにせよ、隙を見せれば韓国は日本の譲歩を迫るという「罠」を今後も仕掛けてくるでしょう。

そのことを、十分に認識しておく必要はありそうです。

新宿会計士:

View Comments (27)

  • ここで何故か佐藤正久議員を叩く人がいるが、こういう発言するだけでもいる意味はあるわな
    お花畑官僚には見習ってほしいね

    • 同意します。
      これをガス抜きと取る人がいても、それは人それぞれだし否定はしませんが、自分は応援したいですね。

    • お花畑官僚というよりは

      特定の人々にとっては
      国家の威信や利益よりも
      己の目先の現実的な利益があるから
      なのではないでしょうか?

      • いやいや、佐藤正久議員の口ばっかりを指摘する人は貴重。
        これからも続けてもらいたい。私個人は最初から佐藤正久氏にしか入れたことはないが、口ばっかり、というのは気づかされた。

  • >「韓国側が具体的な解決策を出す前に誠意ある対応を取ってほしいというのは言語道断だ」

    これどういうことだろう。韓国が解決策を出す「前」に誠意ある対応?
    私は韓国側のいう誠意って「日本の謝罪と基金への拠出」だと思っていたんですが、もしかして通貨スワップやホワイト国への復活を先にしろと言ってる?
    まあどちらにしても「ふざけんな」ですけど。

    約束を一方的に破った方が、守る努力をするから誠意を見せろと相手に言うって、まるっきりあたり屋、反社の言い分ですやん。

  • 佐藤議員への「口ばっかり」批判は、彼や自民党への圧力になると思うので、賛同しています。(笑)
    注目度が高いのだから、宣言したことの経過・結果報告はちゃんとやった方がいいでしょう。
    「○○議員が邪魔した」なんて言いにくい話もあるでしょうが。まあ、うまいことオブラートに包んで。

    ただ、外交安保票で当選する議員の存在は貴重なので、頑張ってほしいですね。

    宇土隆史議員が落選してしまった影響はどうなんでしょうね。まさかでしたが。
    過去の傾向も見ましたが、比例区の個人名票は選挙区よりも浮き沈みが激しい感じです。
    人気投票要素が強いかも知れません。

      • 元ジェネラリスト様

        私は投票してもよいという人が2-3人いたのですが、投票日前夜にいった烏森口のおでん屋が、自衛隊出身で、宇都のこと話しましたので、それそれ、と思い宇都に入れました。残念でした。捲土重来を目指してほしいです。
        前回は地方区は河井安里に入れました。 その昔は、東京に住んでた頃、都知事に美濃部に入れました。

        ところで、「誠意ある対応」って「まず約束を守る」という事だと思うのですが、「約束を守ってあげるからお前、先に頭を下げろ」という民族もあるのですね。文化人類学的に興味が湧いてきます。相手は類人猿ですかね。(こんな落とし込みはブログ主様は嫌がりますかねえ)

        • 私の比例票も記名候補は残念な結果でした。

          「誠意を見せろ」なんて、ゆすりたかりの常套手段だと思います。

          >相手は類人猿ですかね。(こんな落とし込みはブログ主様は嫌がりますかねえ)
          ブログ主さんがそんな落とし込みをしないのは間違いないですね。(笑)

  • >たとえば超党派の「日韓議連」の会長でもある自民党の額賀福志郎・衆議院議員との会談では、朴振氏は自称元徴用工問題を巡って、「日本も誠意あるリアクションを」と要求しました

    これに対して額賀さんは何て答えたのでしょうか?とても興味がありますが、どこのメディアも何て答えたかの記事が無いようですが、是非、額賀さんご本人に取材して、我々一般庶民の知る権利を満たしてもらいたいと思います。そういうことがメディアの重要な使命だと思いますが、放棄されるなら致し方ありませんけど、やはり(マス)ゴミ扱いされますよね。

  • かつて日本から大量の戦利品を勝ち取ってきた韓国の政治家に対して、いったい日本は何を得たというのでしょう。
    決して妥協しない?いまさら何を

    ここの人たちが盲信する安倍大司教様ですら、肉を切らせて骨を断つ、自損という形で慰安婦合意というディールしか残せていないのに。

    • > かつて日本から大量の戦利品を勝ち取ってきた韓国の政治家に対して、いったい日本は何を得たというのでしょう。

      長い時間はかかりましたが、韓国という国に対する「正当」な評価です。

      戦利品とは、戦争で勝った側が負けた側から得るものと定義すれば、大東亜戦争においては、日本は韓国と戦ったことなど一度もなく、あなたが仰る戦利品とは、お得意の事大主義を背景に、形勢逆転とばかりに日本から勝手にパクって韓国に持ち出したものと考えております。

      また、ウリスト教ではないので、大司教という呼び方も、適当ではありません。

  • 岸田さんの韓国への思い入れはわかりませんが、調整型の政治家なので変な妥協をするのではという不安がありますし、外務省は元々対決姿勢はないでしょう。
    佐藤さんや青山さん、高市さん等対東アジアに妥協をよしとしない議員に頑張っていただき、部会での牽制だけではなく、反日行為に対してしっかりと対応できるような立法を是非お願いしたい。

  • どこかのタイミングで「誠意」という主観的言葉は物事の進展を妨げるので使わないでくださいって言えないのでしょうか。
    この言葉を無くせば、自ずと先が見えてくるような気がします。

  • >>朴振氏の訪日を受け入れたことが良かったのかどうか・・・
    今回の外相会談、岸田総理との面談、私の眼には韓国にねじ込まれたにしか見えない。
    結果お互いの立場主張、日本は時間と金使って「『韓国側で解決すべき問題だ』とくぎを刺した」からそれでOKと言う認識なのでしょうか、日本は証拠を持っているのですからもう少し活用してほしいですね、今までのやり方では通用しない世の中に成っていると思います。

    • 「押し売りお断り」ステッカーを玄関ドアに貼ってるのに、いざ押し売りが来たらドア開けてそいつを中に入れて話聞くようなもんですね。次に来たときも中に入れて話を聞くと約束までしてるようで、完全に押し売りのペース。

  • 日本が見せられる誠意は韓国が行った不法行為に対して謝罪が行われた場合にその謝罪を受け入れるということだけですからね。
    こんな不法行為は謝罪しようが許さないという選択肢もあるわけで。

  • 日本の誠意(条約にのっとり、第3国を入れての話し合い)を蹴飛ばして、さらに日本に誠意を求める。
    たしかに蹴飛ばしたのは前政権です。しかし国を率いる以上オアシス運動は通じません。
    (お 俺じゃ無い、あ あいつがやった、し 知らない、す すんだこと)

    彼らは自ら率先して誠意をみせようとはしないのか?
    例えば、前政権が日本の申し入れを蹴飛ばしてすみませんでした。もう一度条約にのっとった話し合いをさせてくれませんか?と 頼むのが筋では無いか。
    だいたい、日本もて 韓国が誠意なるものを見せたことがあるのだろうか?
    今現在行ってるのが韓国の誠意というなら、日本は恥ずかしくて同じような誠意はみせられません。

    • 済んだことではなく、現在進行形の条約違反ですから、
      「顔を洗って出直してこい」と言いたいところですが、
      太郎外相に倣ってリンさん・額賀さんには「無礼である」と言ってほしいところですね。

1 2